(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184332
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20221206BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20221206BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20221206BHJP
H01L 41/083 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H04R17/00
H04R7/04
H01L41/09
H01L41/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092112
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】永井 慧大
(72)【発明者】
【氏名】江澤 敦
(72)【発明者】
【氏名】滝 辰哉
【テーマコード(参考)】
5D004
5D016
【Fターム(参考)】
5D004AA03
5D004BB01
5D004CD01
5D004CD07
5D004CD09
5D004CD10
5D004DD01
5D016AA04
5D016BA01
5D016BA06
(57)【要約】
【課題】与えられる駆動信号に応じた所望の振動を実現する振動デバイスを提供する。
【解決手段】振動デバイスVD1は、圧電素子10と、圧電素子10が接合されている主面20aを有し、圧電素子10の伸縮に伴って振動する振動板20と、を備えている。圧電素子10は、主面20aに直交する方向から見て、主面20aの外周縁22の内側に位置している。振動板20は、当該振動板20の振動に伴って生じる振動板20での応力集中を緩和する応力緩和部50を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子が接合されている主面を有し、前記圧電素子の伸縮に伴って振動する振動板と、
を備え、
前記圧電素子は、前記主面に直交する方向から見て、前記主面の外周縁の内側に位置し、
前記振動板は、前記振動板の振動に伴って生じる前記振動板での応力集中を緩和する応力緩和部を有している、振動デバイス。
【請求項2】
前記応力緩和部は、前記振動板を貫通する貫通孔、又は、前記主面に形成される窪みで構成されている、請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記応力緩和部を構成している前記貫通孔又は前記窪みは、前記主面に直交する前記方向から見て、湾曲した開口縁を含んでいる、請求項2に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記応力緩和部は、前記主面に直交する前記方向から見て、前記圧電素子の外周縁の少なくとも一部と重なるように位置している、請求項1~3のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記圧電素子は、角部を有し、
前記応力緩和部は、前記主面に直交する前記方向から見て、前記角部と重なるように位置している、請求項4に記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記応力緩和部は、前記主面に直交する前記方向から見て、前記圧電素子の中央領域と重なるように位置している、請求項1~5のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子と、圧電素子が接合されている主面を有し圧電素子の伸縮に伴って振動する振動板と、を備えている振動デバイスが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動デバイスでは、圧電素子は、与えられる駆動信号に応じて伸縮する。圧電素子の伸縮に伴い、振動板は繰り返して撓む。振動板が撓む際に、すなわち、振動板の物理的な変形が起こる際に、振動板に応力が集中する箇所が存在することがある。以下、応力が集中する箇所は、「応力集中箇所」と称されることがある。応力集中箇所が振動板に存在する場合、振動板の振動に歪み成分が重畳されるおそれがある。歪み成分が振動板の振動に重畳される場合、振動デバイスは、与えられる駆動信号に応じた所望の振動を実現し難い。
【0005】
本発明の一つの態様は、与えられる駆動信号に応じた所望の振動を実現する振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様に係る振動デバイスは、圧電素子と、圧電素子が接合されている主面を有し、圧電素子の伸縮に伴って振動する振動板と、を備えている。圧電素子は、主面に直交する方向から見て、主面の外周縁の内側に位置している。振動板は、当該振動板の振動に伴って生じる振動板での応力集中を緩和する応力緩和部を有している。
【0007】
上記一つの態様では、振動板は、応力緩和部を有しており、振動板での応力集中が緩和される。応力集中が緩和される結果、振動板の振動に重畳される歪み成分が抑制される。上記一つの態様は、与えられる駆動信号に応じた所望の振動を実現する。
【0008】
上記一つの態様では、応力緩和部は、振動板を貫通する貫通孔、又は、主面に形成される窪みで構成されていてもよい。この場合、貫通孔又は窪みによって、振動板の振動に重畳される歪み成分が確実に抑制される。
【0009】
上記一つの態様では、応力緩和部を構成している貫通孔又は窪みは、主面に直交する方向から見て、湾曲した開口縁を含んでいてもよい。この場合、振動板の振動に重畳される歪み成分がより確実に抑制される。
【0010】
上記一つの態様では、応力緩和部は、主面に直交する方向から見て、圧電素子の外周縁の少なくとも一部と重なるように位置していてもよい。
振動板の、圧電素子の外周縁に対応する部分に、応力が集中するおそれがある、すなわち、当該部分が応力集中箇所となるおそれがある。したがって、応力緩和部が、上述したように位置している場合、振動板での応力集中が確実に緩和される。
【0011】
上記一つの態様では、圧電素子は、角部を有していてもよい。応力緩和部は、主面に直交する方向から見て、角部と重なるように位置していてもよい。
振動板の、圧電素子の角部に対応する部分に、応力が集中するおそれがある、すなわち、当該部分が応力集中箇所となるおそれがある。したがって、応力緩和部が、上述したように位置している場合、振動板での応力集中がより一層確実に緩和される。
【0012】
上記一つの態様では、応力緩和部は、主面に直交する方向から見て、圧電素子の中央領域と重なるように位置していてもよい。
振動板の、圧電素子の中央領域に対応する部分に、応力が集中するおそれがある、すなわち、当該部分が応力集中箇所となるおそれがある。したがって、応力緩和部が、上述したように位置している場合、振動板での応力集中が確実に緩和される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つの態様は、与えられる駆動信号に応じた所望の振動を実現する振動デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る振動デバイスを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る振動デバイスを示す平面図である。
【
図5】
図5は、圧電素子の断面構成を示す図である。
【
図6】
図6は、駆動信号の周波数と、振動板の振動に重畳する歪み成分との関係を示す線図である。
【
図7】
図7は、実施形態の変形例に係る振動デバイスを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態の変形例に係る振動デバイスを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して、本発明の実施形態及び変形例について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1~
図5を参照しながら、振動デバイスVD1の構成を説明する。
図1は、一実施形態に係る振動デバイスを示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る振動デバイスを示す平面図である。
図3及び
図4は、振動板の断面構成を示す図である。
図5は、圧電素子の断面構成を示す図である。
図2では、応力緩和部を見やすくするために、外部電極及び配線部材の図示が省略されている。
【0017】
図1及び
図2に示されるように、振動デバイスVD1は、圧電素子10と振動板20とを備えている。圧電素子10は、振動板20に配置されている。本実施形態では、圧電素子10は、直方体形状を呈している。第一方向D1から見て、圧電素子10は、矩形状を呈している。本明細書での「直方体形状」は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。本明細書での「矩形状」は、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状を含む。圧電素子10は、ユニモルフ型又はバイモルフ型の積層型圧電素子である。
【0018】
圧電素子10は、第一方向D1で互いに対向している一対の主面10a,10bを有している。圧電素子10は、主面10bを画成する四つの辺10c,10d,10e,10fを有している。四つの辺10c,10d,10e,10fは、主面10bの外周縁を構成している。本実施形態では、主面10bの外周縁が、第一方向D1から見た圧電素子10の外周縁10kに一致している。辺10c,10dは、第二方向D2で互いに対向している。第二方向D2は、第一方向D1と交差している。第二方向D2は、第一方向D1と直交していてもよい。辺10e,10fは、第三方向D3で互いに対向している。第三方向D3は、第一方向D1及び第二方向D2と交差している。第三方向D3は、第一方向D1及び第二方向D2と直交していてもよい。辺10c,10dは、辺10e,10fを連結するように第三方向D3に延在している。辺10e,10fは、辺10c,10dを連結するように第二方向D2に延在している。
【0019】
圧電素子10は、四つの角部10g,10h,10i,10jを有している。四つの角部10g,10h,10i,10jは、第一方向D1から見て、主面10bを画成している。角部10gは、辺10cと辺10eとによって形成されている。角部10hは、辺10cと辺10fとによって形成されている。角部10iは、辺10dと辺10eとによって形成されている。角部10jは、辺10dと辺10fとによって形成されている。角部10gと角部10hとは、第三方向D3で隣り合っている。角部10gと角部10iとは、第二方向D2で隣り合っている。角部10jと角部10iとは、第三方向D3で隣り合っている。角部10jと角部10hとは、第二方向D2で隣り合っている。
【0020】
本実施形態では、圧電素子10は、第二方向D2が長辺方向である長方形状を呈している。圧電素子10の第二方向D2での長さは、たとえば、約66mmである。圧電素子10の第三方向D3での長さは、たとえば、約30mmである。圧電素子10の第一方向D1での長さ、すなわち、圧電素子10の厚みは、たとえば、約0.7mmである。
【0021】
図5に示されるように、圧電素子10は、素体11と、二つの外部電極12,13と、を有している。素体11は、第一方向D1で互いに対向している一対の主面11a,11b、第二方向D2で互いに対向している一対の側面11c、及び、第三方向D3で互いに対向している一対の側面11eを有している。主面11a,11bは、それぞれ、圧電素子10の主面10a,10bに対応している。
【0022】
主面11a,11bは、四つの辺を有している。主面11a,11bは、矩形状を呈している。本実施形態では、主面11a,11bは、第二方向D2が長辺方向である長方形状を呈している。主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。主面11a,11bは、正方形状を呈していてもよい。
【0023】
一対の側面11cは、主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11cは、第三方向D3にも延在している。一対の側面11eは、主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11eは、第二方向D2にも延在している。主面11a,11bと側面11c,11eとは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、主面11a,11bと側面11c,11eとの間には、稜部が位置する。
【0024】
素体11は、複数の圧電体層を有している。本実施形態では、素体11は、6層の圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fを有している。圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fは、第一方向D1に積層されている。圧電体層15aは、主面11aを有している。圧電体層15fは、主面11bを有している。圧電体層15b,15c,15d,15eは、圧電体層15aと圧電体層15fとの間に位置している。本実施形態では、圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fの厚みは、互いに同等である。本明細書での「同等」は、必ずしも、値が一致していることだけを意味するのではない。予め設定した範囲での微差、製造誤差、又は測定誤差が含まれている場合でも、形状が同等であるとしてもよい。
【0025】
圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fは、圧電材料からなる。本実施形態では、圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料は、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)を含む。圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体11では、圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fは、圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
【0026】
外部電極12,13は、主面11a上に配置されている。外部電極12,13は、たとえば、第二方向D2に並んでいる。外部電極12,13は、第一方向D1から見て、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。外部電極12,13は、第一方向D1から見て、たとえば、矩形状を呈している。本実施形態では、外部電極12,13は、長方形状の各角が丸められている形状を呈している。外部電極12,13は、第一方向D1から見て、互いに同形状を呈している。第一方向D1から見て、外部電極12,13の長辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致し、外部電極12,13の短辺方向は、第三方向D3と一致している。外部電極12,13は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg-Pd合金が用いられる。外部電極12,13は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0027】
圧電素子10は、素体11内に配置されている複数の内部電極を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、5層の内部電極16a,16b,16c,16d,16eを有している。内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg-Pd合金が用いられる。内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0028】
内部電極16a,16b,16c,16d,16eの外形形状は、第一方向D1から見て、たとえば、矩形状を呈している。本実施形態では、内部電極16a,16b,16c,16d,16eの外形形状は、長方形状を呈している。内部電極16a,16b,16c,16d,16eの長辺方向は、たとえば、第二方向D2である。第一方向D1から見て、内部電極16a,16b,16c,16d,16eの四つの角は、各角が丸められている形状を含んでいる。
【0029】
内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極16a,16b,16c,16d,16eの各々は、互いに、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、素体11の表面には露出していない。すなわち、内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、側面11c,11eには露出していない。内部電極16a,16b,16c,16d,16eは、第二方向D2及び第三方向D3から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
【0030】
内部電極16aは、圧電体層15aと圧電体層15bとの間に位置している。内部電極16bは、圧電体層15bと圧電体層15cとの間に位置している。内部電極16cは、圧電体層15cと圧電体層15dとの間に位置している。内部電極16dは、圧電体層15dと圧電体層15eとの間に位置している。内部電極16eは、圧電体層15eと圧電体層15fとの間に位置している。
【0031】
外部電極12は、内部電極16dと複数の接続導体17aとにビア導体18aを通して電気的に接続されている。複数の接続導体17aは、それぞれ、内部電極16a,16b,16c,16eと同じ層に位置している。各接続導体17aは、各内部電極16a,16b,16c,16eに形成された開口内に位置している。各開口は、第一方向D1から見て、外部電極12に対応する位置に形成されている。各接続導体17aは、第一方向D1から見て、各内部電極16a,16b,16c,16eに囲まれている。各接続導体17aは、各内部電極16a,16b,16c,16eと離間している。
【0032】
各接続導体17aは、第一方向D1で外部電極12と対向しており、第一方向D1から見て、外部電極12と重なる位置に配置されている。各接続導体17aは、第一方向D1で内部電極16dと対向しており、第一方向D1から見て、内部電極16dと重なる位置に配置されている。ビア導体18aは、外部電極12と内部電極16dと複数の接続導体17aとの間に位置しており、第一方向D1から見て、外部電極12と重なる位置に配置されている。ビア導体18aは、第一方向D1で、対応する圧電体層15a,15b,15c,15d,15eを貫通している。
【0033】
外部電極12は、内部電極16bと複数の接続導体17bとにビア導体18bを通して電気的に接続されている。複数の接続導体17bは、それぞれ、内部電極16a,16c,16d,16eと同じ層に位置している。各接続導体17bは、各内部電極16a,16c,16d,16eに形成された開口内に位置している。各開口は、第一方向D1から見て、外部電極12に対応する位置に形成されている。各接続導体17bは、第一方向D1から見て、各内部電極16a,16c,16d,16eに囲まれている。各接続導体17bは、各内部電極16a,16c,16d,16eと離間している。各接続導体17bは、各接続導体17aと離間している。
【0034】
各接続導体17bは、第一方向D1で外部電極12と対向しており、第一方向D1から見て、外部電極12と重なる位置に配置されている。各接続導体17bは、第一方向D1で内部電極16bと対向しており、第一方向D1から見て、内部電極16bと重なる位置に配置されている。ビア導体18bは、外部電極12と内部電極16bと複数の接続導体17bとの間に位置しており、第一方向D1から見て、外部電極12と重なる位置に配置されている。ビア導体18bは、第一方向D1で、対応する圧電体層15a,15b,15c,15d,15eを貫通している。
【0035】
外部電極13は、内部電極16aと内部電極16cと内部電極16eと複数の接続導体17cとに、ビア導体18cを通して電気的に接続されている。複数の接続導体17cは、それぞれ、内部電極16b,16dと同じ層に位置している。各接続導体17cは、各内部電極16b,16dに形成された開口内に位置している。各開口は、第一方向D1から見て、外部電極13に対応する位置に形成されている。各接続導体17cの全縁は、第一方向D1から見て、各内部電極16b,16dに囲まれている。各開口は、第一方向D1から見て、外部電極13に対応する位置に形成されている。
【0036】
各接続導体17cは、第一方向D1で外部電極13と対向しており、第一方向D1から見て、外部電極13と重なる位置に配置されている。各接続導体17cは、第一方向D1において内部電極16a,16c,16eと対向しており、第一方向D1から見て、内部電極16a,16c,16eと重なる位置に配置されている。ビア導体18cは、外部電極13と内部電極16aと内部電極16cと内部電極16eと複数の接続導体17cとの間に位置しており、第一方向D1から見て、外部電極13と重なる位置に配置されている。ビア導体18cは、第一方向D1で、対応する圧電体層15a,15b,15c,15d,15eを貫通している。各接続導体17a,17b,17cは、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。各接続導体17a,17b,17cの各角は、各角が丸められている形状を含んでいる。
【0037】
接続導体17a,17b,17c及びビア導体18a,18b,18cは、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg-Pd合金が用いられる。接続導体17a,17b,17c及びビア導体18a,18b,18cは、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。ビア導体18a,18b,18cは、対応する圧電体層15a,15b,15c,15d,15eを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
【0038】
素体11の主面11bには、内部電極16a,16c,16eと電気的に接続されている導体と、内部電極16bと電気的に接続されている導体と、内部電極16dと電気的に接続されている導体は、配置されていない。本実施形態では、第一方向D1から見て、主面11bの全体が露出している。
【0039】
素体11の側面11c,11eにも、内部電極16a,16c,16eと電気的に接続されている導体と、内部電極16bと電気的に接続されている導体と、内部電極16dと電気的に接続されている導体は、配置されていない。本実施形態では、第二方向D2から見て、一対の側面11cの全体が露出している。第三方向D3から見て、一対の側面11eの全体が露出している。
【0040】
素体11では、圧電体層15bにおける内部電極16aと内部電極16bとで挟まれた領域と、圧電体層15cにおける内部電極16bと内部電極16cとで挟まれた領域と、圧電体層15dにおける内部電極16cと内部電極16dとで挟まれた領域と、圧電体層15eにおける内部電極16dと内部電極16eとで挟まれた領域とは、圧電的に活性な活性領域を構成する。すなわち、素体11では、内部電極16aと内部電極16bとの間、内部電極16bと内部電極16cとの間、内部電極16cと内部電極16dとの間、及び内部電極16dと内部電極16eとの間に、活性領域が形成される。第一方向D1から見て、内部電極16a,16b,16c,16d,16eの外縁が、活性領域と、圧電効果的に不活性な不活性領域との境界を成している。
【0041】
本実施形態では、活性領域は、第一方向D1から見て、複数の外部電極12,13を囲むように位置している。したがって、第一方向D1から見て、外部電極12,13が配置されている領域は、不活性領域である。第一方向D1から見て、素体11は、外部電極12と外部電極13との間に位置している領域に、活性領域を含んでいる。第一方向D1から見て、素体11は、外部電極12と外部電極13とが位置している領域の外側にも、活性領域を含んでいる。
【0042】
図1に示されるように、振動デバイスVD1は、配線部材30を備えており、外部電極12,13は、配線部材30と電気的に接続される。配線部材30を通して、外部電極12,13に駆動信号が与えられる。駆動信号は、たとえば、電圧信号を含む。外部電極12,13は、圧電素子10の主面10a側に配置されている。配線部材30は、たとえば、フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)からなる。本実施形態では、外部電極12,13と配線部材30との接続部分は、振動板20に接触していない。
【0043】
振動板20は、圧電素子10の伸縮に伴って振動する。圧電素子10の伸縮に伴い、振動板20は、繰り返して撓む。本実施形態では、振動板20は、直方体形状を呈している。振動板20は、第一方向D1から見て、たとえば、矩形状を呈している。振動板20は、第一方向D1で互いに対向している一対の主面20a,20bを有している。圧電素子10は、主面20aに接合されている。本実施形態では、圧電素子10の主面10bが、主面20aに接合されている。主面20aに直交する方向が、第一方向D1である。
【0044】
振動板20は、第二方向D2で互いに対向している一対の側面20cを有している。一対の側面20cは、主面20a,20bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面20cは、第三方向D3にも延在している。振動板20は、第三方向D3で互いに対向している一対の側面20eを有している。一対の側面20eは、主面20a,20bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面20eは、第二方向D2にも延在している。主面20a,20bと側面20c,20eとは、互いに間接的に隣り合っていてもよい。この場合、主面20a,20bと側面20c,20eとの間には、稜部が位置する。
【0045】
第一方向D1から見て、振動板20が長方形状を呈する場合、振動板20の長辺の長さは、たとえば、約132mmである。振動板20の長辺は、第二方向D2に沿っている。振動板20の短辺の長さは、たとえば、約60mmである。振動板20の短辺は、第三方向D3に沿っている。第一方向D1から見て、振動板20が正方形状を呈する場合、振動板20の一辺の長さは、たとえば、約110mmである。振動板20が長方形状及び正方形状のいずれの形状を呈する場合にも、振動板20の第一方向D1での長さ、すなわち、振動板20の厚みは、たとえば、約0.2mmである。振動板20は、圧電素子10の伸縮に伴って振動する材料からなる。振動板20は、たとえば、ガラス、樹脂、金属からなる。金属は、たとえば、Ni-Fe合金又はステンレス鋼である。
【0046】
振動デバイスVD1は、一対の枠体40を備えている。一対の枠体40は、第一方向D1で振動板20を挟んでいる。各枠体40は、第一方向D1から見て、振動板20の周囲を覆うように配置されている。一対の枠体40は、振動板20の主面20a,20b上に配置されている。一方の枠体40は、たとえば、主面20a上に配置され、他方の枠体40は、主面20b上に配置されている。本実施形態では、各枠体40は、振動板20の側面20c,20eを覆っていない。側面20c,20eは、振動デバイスVD1の外部に露出している。各枠体40は、たとえば、ガラス、樹脂、又は金属からなる。
【0047】
圧電素子10は、第一方向D1から見て、振動板20の外周縁22の内側に位置している。第一方向D1から見て、外周縁22は、一対の側面20cと一対の側面20eとによって画成されている。圧電素子10は、第一方向D1から見て、振動板20の中央領域に配置されている。本実施形態では、圧電素子10は、第一方向D1から見て、振動板20の周辺領域には配置されていない。圧電素子10が配置されている場所は、第一方向D1から見て、枠体40の内側でもある。第一方向D1から見て、枠体40は、振動板20の周辺領域に配置されており、振動板20の中央領域には配置されていない。
【0048】
図1~
図4に示されるように、振動板20は、応力緩和部50を有している。本実施形態では、振動板20は、複数の応力緩和部50を有している。応力緩和部50は、振動板20の振動に伴って生じる振動板20での応力集中を緩和する。本実施形態では、各応力緩和部50は、
図3に示されるように、振動板20を貫通する貫通孔50aで構成されている。この場合、応力緩和部50は、第一方向D1で振動板20を貫通している。貫通孔50aは、主面20aから主面20bまで達している。貫通孔50aは、第一方向D1から見て、湾曲した開口縁51を含んでいる。本実施形態では、応力緩和部50を構成する貫通孔50aは、第一方向D1から見て、たとえば、円形状又は楕円形状を呈している。開口縁51は、直線部分と曲線部分とを含んでいてもよい。
【0049】
各応力緩和部50は、
図4に示されるように、主面20aに形成される窪み50bで構成されていてもよい。応力緩和部50が窪み50bで構成される場合、応力緩和部50は、たとえば、主面20a上に形成される。窪み50bは、主面20bに達していない。窪み50bも、上述した貫通孔50aと同様に、第一方向D1から見て、湾曲した開口縁51を含んでいてもよい。窪み50bは、第一方向D1から見て、たとえば、円形状又は楕円形状を呈していてもよい。窪み50bの開口縁51も、上述した貫通孔50aと同様に、直線部分と曲線部分とを含んでいてもよい。振動板20が複数の応力緩和部50を有している場合、複数の応力緩和部50は、貫通孔50aにより構成される応力緩和部50と、窪み50bにより構成される応力緩和部50と、を含んでいてもよい。
【0050】
応力緩和部50は、振動板20における応力集中箇所に位置する。たとえば、振動板20における以下の部分に、応力が集中するおそれがある。
振動板20の、圧電素子10の外周縁10kに対応する部分が、応力集中箇所となるおそれがある。振動板20が、圧電素子10の伸縮に伴って撓む際に、圧電素子10の外周縁10kから振動板20に力が作用する傾向がある。したがって、振動板20の、圧電素子10の外周縁10kに対応する部分に、応力が集中するおそれがある。
振動板20の、圧電素子10の角部10g,10h,10i,10jに対応する部分が、応力集中箇所となるおそれがある。振動板20が、圧電素子10の伸縮に伴って撓む際に、圧電素子10の角部10g,10h,10i,10jから振動板20に力が一層作用する傾向がある。したがって、振動板20の、圧電素子10の角部10g,10h,10i,10jに対応する部分に、応力が集中するおそれがある。
振動板20の、圧電素子10の中央領域に対応する部分が、応力集中箇所となるおそれがある。振動板20が、圧電素子10の伸縮に伴って撓む際に、圧電素子10の中央領域から振動板20に力が作用する傾向がある。したがって、振動板20の、圧電素子10の中央領域に対応する部分に、応力が集中するおそれがある。圧電素子10の中央領域は、第一方向D1から見たときの、圧電素子10の中央領域である。
【0051】
振動板20は、たとえば、
図1及び
図2に示されるように、五つの応力緩和部50を有している。
四つの応力緩和部50は、振動板20の、圧電素子10の外周縁10kに対応する部分に位置している。四つの応力緩和部50は、第一方向D1から見て、外周縁10kの少なくとも一部と重なるように位置している。本実施形態では、四つの応力緩和部50それぞれは、振動板20の、圧電素子10の、対応する角部10g,10h,10i,10jに対応する部分に位置している。四つの応力緩和部50それぞれは、第一方向D1から見て、対応する角部10g,10h,10i,10jと重なるように位置している。上記四つの応力緩和部50のうち一つは、第一方向D1から見て、辺10c,10eと重なるようにも位置している。上記四つの応力緩和部50のうち別の一つは、第一方向D1から見て、辺10c,10fと重なるようにも位置している。上記四つの応力緩和部50のうち更に別の一つは、第一方向D1から見て、辺10d,10eと重なるようにも位置している。上記四つの応力緩和部50のうち更に別の一つは、第一方向D1から見て、辺10d,10fと重なるようにも位置している。
一つの応力緩和部50は、振動板20の、圧電素子10の中央領域に対応する部分に位置している。一つの応力緩和部50は、第一方向D1から見て、圧電素子10の中央領域と重なるように位置している。上記一つの応力緩和部50は、第一方向D1から見て、圧電素子10の外周縁10kと重ならないように位置している。上記一つの応力緩和部50は、第一方向D1から見て、圧電素子10の外周縁10kの少なくとも一部と重なるように位置していてもよい。
【0052】
たとえば、振動板20の、辺10cに対応する部分が、応力集中箇所となる場合、振動板20は、第一方向D1から見て辺10cの少なくとも一部と重なるように位置している応力緩和部を有していてもよい。
たとえば、振動板20の、辺10dに対応する部分が、応力集中箇所となる場合、振動板20は、第一方向D1から見て辺10dの少なくとも一部と重なるように位置している応力緩和部を有していてもよい。
たとえば、振動板20の、辺10eに対応する部分が、応力集中箇所となる場合、振動板20は、第一方向D1から見て辺10eの少なくとも一部と重なるように位置している応力緩和部を有していてもよい。
たとえば、振動板20の、辺10fに対応する部分が、応力集中箇所となる場合、振動板20は、第一方向D1から見て辺10fの少なくとも一部と重なるように位置している応力緩和部を有していてもよい。
たとえば、振動板20の、圧電素子10の中央領域に対応する部分以外の部分が、応力集中箇所となる場合、振動板20は、第一方向D1から見て圧電素子10の中央領域に対応する部分以外の部分と重なるように位置している応力緩和部を有していてもよい。
【0053】
振動デバイスVD1では、振動板20は、応力緩和部50を有しており、振動板20での応力集中が緩和される。応力集中が緩和される結果、振動板20の振動に重畳される歪み成分が抑制される。振動デバイスVD1は、与えられる駆動信号に応じた所望の振動を実現する。
【0054】
振動デバイスVD1では、応力緩和部50は、振動板20を貫通する貫通孔50a、又は、主面20aに形成される窪み50bで構成されている。この場合、貫通孔50a又は窪み50bによって、振動板20の振動に重畳される歪み成分が確実に抑制される。
【0055】
振動デバイスVD1では、応力緩和部50を構成している貫通孔50a及び窪み50bは、主面20aに直交する方向から見て、湾曲した開口縁51を含んでいる。この場合、振動板20の振動に重畳される歪み成分がより確実に抑制される。
【0056】
振動デバイスVD1では、応力緩和部50は、主面20aに直交する方向から見て、圧電素子10の外周縁10kの少なくとも一部と重なるように位置している。この場合、振動板20での応力集中が確実に緩和される。
【0057】
振動デバイスVD1では、圧電素子10は、角部10g,10h,10i,10jを有している。応力緩和部50は、主面20aに直交する方向から見て、角部10g,10h,10i,10jと重なるように位置している。この場合、振動板20での応力集中がより一層確実に緩和される。
【0058】
振動デバイスVD1では、応力緩和部50は、主面20aに直交する方向から見て、圧電素子10の中央領域と重なるように位置している。この場合、振動板20での応力集中が確実に緩和される。
【0059】
本実施形態によって、振動板20の振動に重畳される歪み成分が抑制されることを、実施例によって、具体的に示す。実施例では、上述した本実施形態に係る振動デバイスVD1が用いられ、振動板の振動が測定された。比較例では、応力緩和部50を有していない振動板を備える振動デバイスが用いられ、実施例と同様に、振動板の振動が測定された。実施例と比較例とは、振動板20の構成を除き、同じ構成を備えている。
測定結果を
図6に示す。
図6は、駆動信号の周波数と、振動板の振動に重畳する歪み成分との関係を示す線図である。
図6中、横軸は、圧電素子10に与えられる駆動信号の周波数を表示し、縦軸は、歪み成分の大きさを表示している。実線は実施例の特性を表し、破線は比較例の特性を表している。歪み成分の大きさは、たとえば、全高調波歪(Total HarmonicDistortion:THD)の大きさで表される。
図6中、縦軸は、THDの大きさを表示している。
図6に示されるように、実施例では、比較例に比して、振動板20の振動に重畳する歪み成分が抑制されている。比較例では、振動板20での応力集中に起因して、いくつかの周波数帯域において、振動板20の振動に歪み成分が重畳されている。これに対して、実施例では、振動板20の振動への歪み成分の重畳が抑制されている。
【0060】
図7及び
図8を参照して、振動デバイスVD1の変形例について説明する。
図7は、実施形態の変形例に係る振動デバイスを示す斜視図である。
図8は、実施形態の変形例に係る振動デバイスを示す平面図である。
図8では、応力緩和部を見やすくするために、外部電極及び配線部材の図示が省略されている。変形例に係る振動デバイスVD2は、第一方向D1から見た圧電素子10が円形状を呈している点に関して、振動デバイスVD1と相違する。以下、振動デバイスVD1と振動デバイスVD2との相違点を主として説明する。
【0061】
図7及び
図8に示されるように、振動デバイスVD2は、圧電素子10と振動板20とを備えている。圧電素子10は、振動板20に配置されている。圧電素子10は、第一方向D1で互いに対向している一対の主面10a,10bを有している。圧電素子10は、主面10bを画成する外周縁を有している。主面10bの外周縁が、第一方向D1から見た圧電素子10の外周縁10kに一致している。本変形例の外周縁は、円形状を呈している。圧電素子10は、振動板20の主面20aに接合されている。圧電素子10の主面10bが、主面20aに接合されている。本変形例では、振動板20は、直方体形状を呈している。振動板20は、第一方向D1から見て、たとえば、矩形状を呈している。
【0062】
圧電素子10は、素体11を有している。素体11は、第一方向D1で互いに対向している一対の主面11a,11bを有している。主面11a,11bは、円形状を呈している。素体11は、内部電極16a,16b,16c,16d,16eを有している。内部電極16a,16b,16c,16d,16eの外周縁は、第一方向D1から見て、円形状を呈している。素体11は、6層の圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fを有している。圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fは、第一方向D1に積層されている。圧電体層15a,15b,15c,15d,15e,15fの外周縁は、第一方向D1から見て、円形状を呈している。圧電素子10は、外部電極12,13を備えている。
【0063】
振動デバイスVD2は、配線部材30を備えており、外部電極12,13は、配線部材30と電気的に接続される。配線部材30を通して、外部電極12,13に駆動信号が与えられる。外部電極12,13は、圧電素子10の主面10a側に配置されている。本変形例では、外部電極12,13と配線部材30との接続部分は、振動板20に接触していない。
【0064】
本変形例では、振動板20も、第一方向D1から見て圧電素子10の外周縁10kの少なくとも一部と重なるように位置している複数の応力緩和部50と、第一方向D1から見て圧電素子10の中央領域と重なるように位置している別の応力緩和部50と、を有している。上述した複数の応力緩和部50は、たとえば、圧電素子10の外周縁10kに沿って並んでいる。上述した別の応力緩和部50は、圧電素子10の外周縁10kと重ならないように位置している。上述した別の応力緩和部50は、第一方向D1から見て、圧電素子10の外周縁10kの少なくとも一部と重なるように位置していてもよい。
【0065】
振動デバイスVD2でも、振動板20は、応力緩和部50を有している。したがって、振動デバイスVD2でも、振動デバイスVD1と同様に、振動板20での応力集中が緩和される。応力集中が緩和される結果、振動板20の振動に重畳される歪み成分が抑制される。振動デバイスVD2は、与えられる駆動信号に応じた所望の振動を実現する。
【0066】
振動デバイスVD2では、応力緩和部50は、振動板20を貫通する貫通孔50a又は主面20aに形成される窪み50bで構成されている。この場合、貫通孔50a又は窪み50bによって、振動板20の振動に重畳される歪み成分が確実に抑制される。
【0067】
振動デバイスVD2では、応力緩和部50を構成している貫通孔50a又は窪み50bは、主面20aに直交する方向から見て、湾曲した開口縁51を含んでいる。この場合、振動板20での応力集中が確実に緩和される。
【0068】
振動デバイスVD2では、応力緩和部50は、主面20aに直交する方向から見て、圧電素子10の外周縁10kの少なくとも一部と重なるように位置している。この場合、振動板20での応力集中がより一層確実に緩和される。
【0069】
振動デバイスVD2では、応力緩和部50は、主面20aに直交する方向から見て、圧電素子10の中央領域と重なるように位置している。この場合、振動板20での応力集中が確実に緩和される。
【0070】
以上、本発明の好適な実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0071】
複数の応力集中箇所が振動板20に存在する場合、すべての応力集中箇所に対応する複数の応力緩和部50が振動板20に位置している必要はない。たとえば、複数の応力集中箇所が振動板20に存在する場合でも、一つの応力集中箇所に対応する一つの応力緩和部50のみが振動板20に位置していてもよい。複数の応力集中箇所すべてに対応する複数の応力緩和部50が振動板20に位置している構成は、振動板20の振動に重畳される歪み成分をより確実に抑制する。
圧電素子10は、素体11内に配置される導体を備えていなくてもよい。素体11内に配置される導体は、複数の内部電極16a,16b,16c,16d,16eを含む。
【符号の説明】
【0072】
10…圧電素子、10k…外周縁、20…振動板、20a…主面、22…外周縁、50…応力緩和部、50a…貫通孔、50b…窪み、51…開口縁、VD1…振動デバイス、VD2…振動デバイス。