(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184345
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/13 20060101AFI20221206BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B41J29/13
H05K5/03 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092133
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】石田 徹吾
(72)【発明者】
【氏名】福井 貴哉
【テーマコード(参考)】
2C061
4E360
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS06
2C061BB10
2C061BB35
2C061CD05
2C061CD07
2C061CD12
2C061CD13
4E360AB02
4E360BA02
4E360BB02
4E360BB23
4E360BC03
4E360BC05
4E360BD03
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA12
4E360EA18
4E360EC11
4E360EC14
4E360ED02
4E360ED04
4E360ED16
4E360GA46
4E360GB48
(57)【要約】
【課題】開閉カバーが不必要に開けられることを抑制しつつ、特定のユーザーであれば開閉カバーを容易に開けることができる印刷装置を提供する。
【解決手段】ロール紙を収容するロール紙ホルダーと、ロール紙ホルダーを開閉する開閉カバー5と、開閉カバー5を閉じた状態にロックするロック部材13と、ロック部材13のロックを解除するロック解除レバー17と、ロック解除レバー17に設けられ、ロック部材13のロックを解除するためにユーザーにより力が加えられる第1ノブ19と、開閉カバー5が閉じた状態で、ユーザーにより第1ノブ19に対して力が加えられる前に、第1ノブ19に対して第1方向に位置し、第1ノブ19に力が加えられることを阻害する阻害部55と、を備え、阻害部55には、ユーザーにより第1ノブ19に力が加えられることを許容する切欠き57、が設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を収容するロール紙ホルダーと、
前記ロール紙ホルダーを開閉する開閉カバーと、
前記開閉カバーを閉じた状態にロックするロック部材と、
前記ロック部材のロックを解除するロック解除レバーと、
前記ロック解除レバーに設けられ、前記ロック部材のロックを解除するためにユーザーにより力が加えられる第1入力部材と、
前記開閉カバーが閉じた状態で、ユーザーにより前記第1入力部材に対して力が加えられる前に、前記第1入力部材に対して第1方向に位置し、前記第1入力部材に力が加えられることを阻害する阻害部と、を備え、
前記阻害部には、ユーザーにより前記第1入力部材に力が加えられることを許容する切欠き、が設けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第1入力部材は、前記第1方向の端部から前記第1方向に突出した作用部、を有し、
前記作用部は、前記開閉カバーが閉じた状態で、ユーザーにより前記第1入力部材に対して力が加えられる前に、前記切欠きに対応する位置に位置することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1入力部材は、ネジにより前記ロック解除レバーに取り付けられ、
前記ネジは、ユーザーにより前記第1入力部材に力が加えられたときに、前記切欠きに対応する位置に位置することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1入力部材は、着脱可能に前記ロック解除レバーに装着され、
前記第1入力部材に代えて前記ロック解除レバーに着脱可能に装着され、前記ロック部材のロックを解除するためにユーザーにより力が加えられる第2入力部材、を備え、
前記第2入力部材の前記第1方向の端部は、前記開閉カバーが閉じた状態で、ユーザーにより前記第2入力部材に対して力が加えられる前に、前記阻害部に対して前記第1方向に位置することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1が開示するように、プリンター本体と、プリンター本体を収容可能なロック機構付きケースとを備えたプリンターが知られている。プリンター本体は、収容したロール紙を覆うプリンターカバーと、プリンターカバーを開放させるオープンボタンとを備えている。ロック機構付きケースは、プリンター本体を収容する収容部と、収容されたプリンター本体のオープンボタンを覆うカバーとを備え、カバーは、閉止状態となるようにロックされる。これにより、オープンボタンが不正に操作され、ロール紙が取り出されることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプリンターでは、ユーザーがロール紙の交換などのためにプリンターカバーを開ける場合には、ロック機構付きケースのロックを解除してカバーを開いたうえで、オープンボタンを操作する必要があるため、手間を要していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷装置は、ロール紙を収容するロール紙ホルダーと、ロール紙ホルダーを開閉する開閉カバーと、開閉カバーを閉じた状態にロックするロック部材と、ロック部材のロックを解除するロック解除レバーと、ロック解除レバーに設けられ、ロック部材のロックを解除するためにユーザーにより力が加えられる第1入力部材と、開閉カバーが閉じた状態で、ユーザーにより第1入力部材に対して力が加えられる前に、第1入力部材に対して第1方向に位置し、第1入力部材に力が加えられることを阻害する阻害部と、を備え、阻害部には、ユーザーにより第1入力部材に力が加えられることを許容する切欠き、が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】開閉カバーが閉じた状態における印刷装置の斜視図である。
【
図2】開閉カバーが開いた状態における印刷装置の斜視図である。
【
図3】第1ノブが装着されたロック解除レバーが非作用位置に位置する状態における第1ノブ周りを-Y方向から見た部分拡大図である。
【
図4】第1ノブが装着されたロック解除レバーが非作用位置に位置する状態における第1ノブ周りを+Z方向から見た部分拡大図である。
【
図6】第1ノブが装着されたロック解除レバーが作用位置に位置する状態における第1ノブ周りを-Y方向から見た部分拡大図である。
【
図7】第1ノブが装着されたロック解除レバーが作用位置に位置する状態における第1ノブ周りを+Z方向から見た部分拡大図である。
【
図9】第2ノブが装着されたロック解除レバーが非作用位置に位置する状態における第2ノブ周りを-Y方向から見た部分拡大図である。
【
図10】第2ノブが装着されたロック解除レバーが非作用位置に位置する状態における第2ノブ周りを+Z方向から見た部分拡大図である。
【
図12】第2ノブが装着されたロック解除レバーが作用位置に位置する状態における第2ノブ周りを-Y方向から見た部分拡大図である。
【
図13】第2ノブが装着されたロック解除レバーが作用位置に位置する状態における第2ノブ周りを+Z方向から見た部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を参照して、印刷装置の一実施形態である印刷装置1について説明する。この印刷装置1は、例えば、スーパーマーケットなどの店舗に設置され、レシートやクーポン券などを印刷するために用いられる。なお、以下では、各図に示したXYZ直交座標系による方向を用いて説明するが、これらの方向は説明の便宜上のものにすぎず、以下の実施形態を何ら限定するものではない。
【0008】
図1および
図2に示すように、印刷装置1は、略直方体状に形成されており、装置本体3と、開閉カバー5とを備えている。
【0009】
装置本体3は、-Y方向の面が開放された箱状に形成されており、装置本体3内には、ロール紙ホルダー7が設けられている。ロール紙ホルダー7は、印刷媒体となる記録紙が巻回されたロール紙(図示省略)を収容する。印刷装置1は、ロール紙ホルダー7に収容されたロール紙から繰り出された記録紙に対して、印刷を行う。
【0010】
開閉カバー5は、ロール紙ホルダー7を開閉する。開閉カバー5は、装置本体3の-Y方向且つ-Z方向の端部に、X方向と略平行な軸周りに回動可能に取り付けられている。すなわち、開閉カバー5は、開閉カバー5の-Z方向の端部を中心として回動し、XZ平面と略平行な姿勢となることで、ロール紙ホルダー7を閉塞し(
図1参照)、XY平面と略平行な姿勢となることで、ロール紙ホルダー7を開放する(
図2参照)。なお、開閉カバー5は、後述するロック部材13(
図5参照)により、閉じた状態にロックされる。
【0011】
開閉カバー5の先端部すなわち+Z方向の端部と装置本体3との間には、排紙口9が設けられている。排紙口9からは、印刷済みの記録紙が排出される。開閉カバー5の内側には、開閉カバー5の先端部に位置して、プラテンローラー11が設けられている。プラテンローラー11は、図示省略したサーマルヘッドとの間に挟持した記録紙を、排紙口9に向けて送る。
【0012】
開閉カバー5の外側には、開閉カバー5の-X方向且つ+Z方向の端部、すなわち、排紙口9に対して-X方向に位置して、第1ノブ19(
図1参照)或いは第2ノブ21(
図2参照)が設けられている。
【0013】
図3ないし
図14を参照して、開閉カバー5を閉じた状態にロックするロック機構12について説明する。
図5、
図8、
図11および
図14に示すように、ロック機構12は、ロック部材13と、ロック受け部材15と、ロック解除レバー17と、第1ノブ19と、第2ノブ21とを備えている。
【0014】
ロック部材13は、装置本体3に設けられており(
図2参照)、+X方向から見て、略逆「L」字の板状に形成されている。ロック部材13には、ロック穴(図示省略)と、フック部23と、当接受け部25とが設けられている。ロック穴は、ロック部材13の+Y方向且つ-Z方向の角部近傍に設けられている。ロック穴には、X方向を軸方向とするロック軸27が挿通している。ロック部材13は、ロック軸27を中心として回動可能に設けられている。フック部23は、ロック部材13の-Y方向の端部に設けられており、ロック受け部材15と係合する。当接受け部25は、ロック軸27とフック部23との間に設けられており、ロック解除レバー17の当接部41が当たる箇所である(
図8参照)。
【0015】
ロック部材13は、+X方向から見て最も反時計回りに回動したロック位置(
図5参照)と、+X方向から見て最も時計回りに回動したロック解除位置(
図8参照)と、の間で回動可能である。ロック部材13は、ロック位置に位置するときに、フック部23がロック受け部材15と係合することで、開閉カバー5を閉じた状態にロックする。ロック部材13は、ロック位置からロック解除位置へ回動すると、フック部23がロック受け部材15から外れることで、開閉カバー5を開放可能とする。なお、ロック部材13は、図示省略したバネにより、+X方向から見て反時計回りに、すなわちロック解除位置からロック位置に向かう方向に、力が付与されている。
【0016】
ロック受け部材15は、開閉カバー5の内側に設けられており(
図2参照)、X方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。ロック受け部材15には、ロック部材13が係脱可能に係合する。
【0017】
ロック解除レバー17は、開閉カバー5の内側に設けられている(
図2参照)。ロック解除レバー17は、ノブ装着部29と、接続部31と、解除部33とを備えている。ノブ装着部29および解除部33は、YZ平面に対して略垂直な板状に形成されており、解除部33は、YZ平面に対して略平行な板状に形成されている。
【0018】
ノブ装着部29は、ロック解除レバー17の-Y方向の端部に位置しており、+X方向から見て略「L」字状に形成されている。ノブ装着部29は、開閉カバー5に設けられたレバー開口35を介して、開閉カバー5の外側に突出している。ノブ装着部29には、ユーザーの選択により、第1ノブ19および第2ノブ21のいずれかが着脱可能に装着される。ノブ装着部29には、ノブ固定穴37が設けられている。ノブ固定穴37には、ノブ固定ネジ39が固定される。
【0019】
接続部31は、ノブ装着部29の+Y方向の端部から-Z方向に屈曲して延びている。接続部31は、ノブ装着部29と解除部33とを接続している。
【0020】
解除部33は、接続部31から+Y方向に延びている。解除部33には、レバー穴(図示省略)と、当接部41とが設けられている。レバー穴は、解除部33の略中央部に設けられている。レバー穴には、X方向を軸方向とするレバー軸43が挿通している。ロック解除レバー17は、レバー軸43を中心として回動可能に設けられている。当接部41は、解除部33の+Y方向の端部に設けられており、ロック部材13の当接受け部25に当たる箇所である(
図8参照)。
【0021】
ロック解除レバー17は、+X方向から見て最も時計回りに回動した非作用位置(
図5参照)と、+X方向から見て最も反時計回りに回動した作用位置(
図8参照)と、の間で回動可能である。ロック解除レバー17は、非作用位置から作用位置へ回動すると、当接部41が当接受け部25に当たることで、ロック部材13をロック位置からロック解除位置へと回動させる。これにより、ロック部材13のフック部23がロック受け部材15から外れ、開閉カバー5が開放可能となる。なお、ロック解除レバー17は、図示省略したバネにより、作用位置から非作用位置に向かう方向に力が付与されている。
【0022】
図3ないし
図8に示すように、第1ノブ19は、ロック解除レバー17のノブ装着部29に着脱可能に装着される。第1ノブ19は、第1ノブ本体45と、第1ネジ止め部47とを備えている。
【0023】
第1ノブ本体45は、-Y方向から見て、略長方形状に形成されている(
図3参照)。第1ノブ本体45の+Y方向の面には、装着凹部49が設けられている。装着凹部49は、第1ノブ本体45の+Y方向の面から、-Y方向と+Z方向との間の斜め方向に延びている。装着凹部49には、ノブ装着部29が嵌め込まれている。また、第1ノブ本体45の+Z方向の端部のうち、X方向における略中間部からは、作用部51が+Z方向に突出している。作用部51は、略直方体状に形成されている。
【0024】
第1ネジ止め部47は、第1ノブ本体45の+Y方向の面において、装着凹部49の+Z方向の縁部から+Y方向に突出している。第1ネジ止め部47には、ネジ挿通穴53が設けられている。ネジ挿通穴53は、ザグリ穴状に形成されている。第1ネジ止め部47のネジ挿通穴53に挿通されたノブ固定ネジ39が、ノブ装着部29のノブ固定穴37に固定されることで、第1ノブ19がロック解除レバー17にネジ止めされる。
【0025】
第1ノブ19は、ユーザーにより開閉カバー5が開けられるときに、ロック部材13のロックを解除するためにユーザーにより力が加えられる部位である。すなわち、ユーザーは、第1ノブ19に力を加えることで、ロック解除レバー17を非作用位置から作用位置に向けて回動させることができ、これにより、開閉カバー5を開けることができる。
【0026】
ここで、印刷装置1が、例えば、店舗のセルフレジカウンターに設置された場合、店舗にとっては、顧客により開閉カバー5が不必要に開けられることを抑制したい、という課題がある。そのため、印刷装置1には、開閉カバー5が不必要に開けられることを抑制すべく、第1ノブ19に力が加えられることを阻害する阻害部55が設けられている。
【0027】
阻害部55は、開閉カバー5の+Z方向の端部から、ひさし状に-Y方向に突出している。阻害部55は、開閉カバー5が閉じた状態において、ロック解除レバー17が非作用位置に位置するときに、第1ノブ19に対して、+Z方向に位置している(
図3参照)。すなわち、第1ノブ19の+Z方向は、阻害部55により覆われている。これにより、阻害部55は、第1ノブ19に対して+Z方向から力が加えられることを阻害している。
【0028】
もっとも、第1ノブ19に対して力を加えることが阻害部55により完全に阻害されてしまうと、ロール紙の交換などのために開閉カバー5を開ける必要がある場合にも、開閉カバー5を開けることができなくなってしまう。そこで、阻害部55には、ユーザーにより第1ノブ19に力が加えられることを許容する切欠き57が設けられている。切欠き57は、阻害部55のX方向の略中間部に設けられている。阻害部55のうち、切欠き57に対して-X方向の部分を、第1阻害部59といい、切欠き57に対して+X方向の部分を、第2阻害部61という。すなわち、切欠き57は、第1阻害部59と第2阻害部61との間に設けられている。
【0029】
第1ノブ19の作用部51は、ユーザーにより第1ノブ19に力が加えられる前に、すなわちロック解除レバー17が非作用位置に位置するときに、切欠き57に対応する位置に位置している。すなわち、作用部51は、ロック解除レバー17が非作用位置に位置するときに、第1阻害部59と第2阻害部61との間に位置している(
図3参照)。なお、作用部51の+Z方向の端部は、ロック解除レバー17が非作用位置に位置するときに、阻害部55の+Z方向の端部よりも、‐Z方向に位置している。
【0030】
このように、作用部51が切欠き57に対応する位置に位置するため、例えば印刷装置1を設置した店舗の店員のように、阻害部55に切欠き57が設けられていることを知っているユーザーであれば、+Z方向から切欠き57を介して指先やペン先などを入れることで、作用部51に対して力を加えることができる。すなわち、ユーザーは、第1阻害部59と第2阻害部61との間に指先やペン先などを入れることで、作用部51に対して力を加えることができる。そして、ユーザーは、切欠き57を介して作用部51に力を加えることで、ロック解除レバー17を非作用位置から作用位置へ回動させることができ、開閉カバー5を開けることができる。なお、作用部51の+Y方向の面には、ノブ凹部63(
図5参照)が設けられている。ノブ凹部63に指先やペン先などを引っ掛けることで、開閉カバー5を開けようとするユーザーが、作用部51に対して力を加えやすくなっている。
【0031】
図9ないし
図14に示すように、第2ノブ21は、第1ノブ19に代えて、ロック解除レバー17のノブ装着部29に着脱可能に装着される。第2ノブ21は、第2ノブ本体65と、第2ネジ止め部67と、摘み部69とを備えている。第2ノブ本体65および第2ネジ止め部67は、それぞれ、第1ノブ本体45および第1ネジ止め部47と略同様に構成されているが、第2ノブ本体65に作用部51は設けられておらず、その代わり、第2ノブ21は、摘み部69を備えている。
【0032】
摘み部69は、第2ノブ本体65の+Z方向の端部から、+Z方向に突出しており、略長方形の板状に形成されている。摘み部69の+Z方向の端部は、ユーザーにより第2ノブ21に力が加えられる前に、すなわちロック解除レバー17が非作用位置に位置するときに、阻害部55に対して、+Z方向に位置している(
図11参照)。
【0033】
このため、阻害部55は、第2ノブ21に対して+Z方向から力が加えられることを阻害しない。すなわち、ユーザーは、阻害部55によって阻害されることなく、+Z方向から摘み部69を摘んで、第2ノブ21に力を加えることができる。これにより、ユーザーは、第1ノブ19が装着されている場合に比べ、ロック解除レバー17を非作用位置から作用位置へさらに容易に回動させることができ、開閉カバー5をさらに容易に開けることができる。なお、第2ノブ本体65の-Y方向の面には、第2ノブ21の操作方向を示す操作マーク71が設けられている。
【0034】
また、ノブ固定ネジ39は、ユーザーにより第1ノブ19或いは第2ノブ21に力が加えられる前、すなわちロック解除レバー17が非作用位置に位置するときには、レバー開口35内に位置している(
図5および
図11参照)。このとき、ノブ固定ネジ39の頭部は、レバー開口35の縁部に覆われており、ユーザーがノブ固定ネジ39を操作、すなわち締めたり緩めたりすることは困難である。
【0035】
一方、ノブ固定ネジ39は、ユーザーにより第1ノブ19或いは第2ノブ21に力が加えられたとき、すなわちロック解除レバー17が作用位置に位置するときには、切欠き57に対応する位置に、すなわち切欠き57に対して-Z方向に位置する(
図7、
図8、
図13および
図14参照)。このため、ユーザーは、ロック解除レバー17を作用位置に回動させた状態で、+Z方向から切欠き57を介してドライバーなどの工具を入れることで、ノブ固定ネジ39を容易に操作することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態の印刷装置1によれば、阻害部55を備えたことで、開閉カバー5が不必要に開けられることを抑制しつつ、阻害部55に切欠き57が設けられていることで、切欠き57の存在を知っているユーザーであれば、開閉カバー5を容易に開けることができる。
【0037】
また、印刷装置1は、選択的に装着可能な第1ノブ19と第2ノブ21とを備えたことで、いたずら防止機能の有無をユーザーに選択させることができる。ここで、「いたずら」とは、顧客などにより開閉カバー5が不必要に開けられることを意味する。第1ノブ19は、いたずら防止機能「有」のノブであり、第2ノブ21は、いたずら防止機能「無」のノブである。店舗の店員などのユーザーは、顧客などにより開閉カバー5が不必要に開けられるおそれがある場所に印刷装置1を設置する場合には、ロック解除レバー17に第1ノブ19を装着すればよい。一方、店舗の店員などのユーザーは、顧客などにより開閉カバー5が不必要に開けられるおそれが少ない場所に印刷装置1を設置する場合には、ロック解除レバー17に第2ノブ21を装着すればよい。
【0038】
[その他の変形例]
上記の実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態は、上述したほか、以下のような形態に変更することができる。また、実施形態や変形例を、それぞれ組み合わせた構成でもよい。
【0039】
阻害部55は、開閉カバー5に設けられた構成に限定されず、例えば、装置本体3に設けられた構成でもよい。すなわち、阻害部55は、開閉カバー5が閉じた状態で、ユーザーにより第1ノブ19に力が加えられる前に、第1ノブ19に対して+Z方向に位置し、第1ノブ19に対して力が加えられることを阻害する構成であればよく、どの部材に設けられているかは、特に限定されない。
【0040】
第1ノブ19は、ネジ止めによりロック解除レバー17に装着される構成に限定されず、例えば、ロック解除レバー17のノブ装着部29が第1ノブ19の装着凹部49に嵌め込まれることのみにより、ロック解除レバー17に装着される構成でもよい。第2ノブ21についても同様である。
【0041】
印刷装置1は、第1ノブ19および第2ノブ21の双方を備えた構成に限定されず、第1ノブ19および第2ノブ21のうち第1ノブ19のみを備えた構成でもよい。すなわち、特にいたずら防止機能の有無を選択する必要がない場合には、第1ノブ19のみ備えた構成でもよく、これにより、開閉カバー5が不必要に開けられることを抑制しつつ、切欠き57の存在を知っているユーザーであれば開閉カバー5を容易に開けることができる。
【0042】
印刷装置1は、サーマルヘッドを備えた構成によらず、他の印刷機構を備えた構成でもよい。すなわち、印刷装置1の印刷方式は、サーマル方式に限定されず、例えば、インクジェット方式でもよく、電子写真方式でもよい。
【0043】
[付記]
以下、印刷装置について付記する。
印刷装置は、ロール紙を収容するロール紙ホルダーと、ロール紙ホルダーを開閉する開閉カバーと、開閉カバーを閉じた状態にロックするロック部材と、ロック部材のロックを解除するロック解除レバーと、ロック解除レバーに設けられ、ロック部材のロックを解除するためにユーザーにより力が加えられる第1入力部材と、開閉カバーが閉じた状態で、ユーザーにより第1入力部材に対して力が加えられる前に、第1入力部材に対して第1方向に位置し、第1入力部材に力が加えられることを阻害する阻害部と、を備え、阻害部には、ユーザーにより第1入力部材に力が加えられることを許容する切欠き、が設けられている。
【0044】
この構成によれば、阻害部を備えたことで、開閉カバーが不必要に開けられることを抑制しつつ、阻害部に切欠きが設けられていることで、切欠きの存在を知っているユーザーであれば、開閉カバーを容易に開けることができる。
なお、第1ノブ19は、「第1入力部材」の一例である。+Z方向は、「第1方向」の一例である。
【0045】
この場合、第1入力部材は、第1方向の端部から第1方向に突出した作用部、を有し、作用部は、開閉カバーが閉じた状態で、ユーザーにより第1入力部材に対して力が加えられる前に、切欠きに対応する位置に位置することが好ましい。
【0046】
この構成によれば、作用部が切欠きに対応する位置に位置するため、第1方向から切欠きを介して指先やペン先などを入れることで、作用部に対して力を加えることができる。
【0047】
この場合、第1入力部材は、ネジによりロック解除レバーに取り付けられ、ネジは、ユーザーにより第1入力部材に力が加えられたときに、切欠きに対応する位置に位置することが好ましい。
【0048】
この構成によれば、ユーザーは、第1入力部材に力を加えた状態で、第1方向から切欠きを介してドライバーなどの工具を入れることで、ネジを容易に操作することができる。
なお、ノブ固定ネジ39は、「ネジ」の一例である。
【0049】
この場合、第1入力部材は、着脱可能にロック解除レバーに装着され、第1入力部材に代えてロック解除レバーに着脱可能に装着され、ロック部材のロックを解除するためにユーザーにより力が加えられる第2入力部材、を備え、第2入力部材の第1方向の端部は、開閉カバーが閉じた状態で、ユーザーにより第2入力部材に対して力が加えられる前に、阻害部に対して第1方向に位置することが好ましい。
【0050】
この構成によれば、第1入力部材は、開閉カバーが不必要に開けられることを防止する機能を有するのに対し、第2入力部材は、開閉カバーが不必要に開けられることを防止する機能を有しない。したがって、開閉カバーが不必要に開けられることを防止する機能の有無をユーザーに選択させることができる。
なお、第2ノブ21は、「第2入力部材」の一例である。
【符号の説明】
【0051】
1…印刷装置、5…開閉カバー、7…ロール紙ホルダー、13…ロック部材、17…ロック解除レバー、19…第1ノブ、21…第2ノブ、39…ノブ固定ネジ、51…作用部、55…阻害部、57…切欠き。