(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184350
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20221206BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20221206BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20221206BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B60K35/00 A
B60R11/02 C
G01C21/36
G08G1/0968
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092142
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】前川 光明
(72)【発明者】
【氏名】中島 英信
(72)【発明者】
【氏名】兼重 一菜
【テーマコード(参考)】
2F129
3D020
3D344
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB20
2F129EE02
2F129EE22
2F129EE26
2F129EE52
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2F129EE79
2F129EE80
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH14
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD05
3D020BE03
3D344AA21
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3D344AB01
3D344AC25
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】横方向に対して縦方向の高さが低い画像形成面に対して映像を投影しながら、運転者に対して複数のオブジェクトを車両の走行経路順に直感的に認識させることができるヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置の光処理部は、走行経路順における直近の道路標識情報に基づく第1画像信号と、後続の道路標識情報に基づく第2画像信号とをコントローラから取得する。光処理部は、線分オブジェクトOBJ51,OBJ52と、第1画像信号および第2画像信号からそれぞれ生成される情報オブジェクトOBJ57,OBJ58を画像形成面5に表示させる。オブジェクトOBJ57,OBJ58は、ともに右線分オブジェクトOBJ52に沿った右外側位置に配される。画像形成面5において、オブジェクトOBJ58は、オブジェクトOBJ57の左斜め上方の位置に配される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転関連情報を運転席の前方に設けられた画像形成面に投影するヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記運転関連情報を受け付けて、当該受け付けた前記運転関連情報から画像信号を生成するコントローラと、
前記コントローラから画像信号を取得して、前記画像形成面に光出射する光処理部と、
を備え、
前記コントローラは、
車両の走行経路順における現在または直近の前記運転関連情報である第1情報を受け付ける第1情報受付部と、
前記第1情報に後続する前記運転関連情報である第2情報を受け付ける第2情報受付部と、
前記第1情報に基づいて第1画像信号を生成するとともに、前記第2情報に基づいて第2画像信号を生成する画像信号生成部と、
を有し、
前記光処理部は、前記運転席から平面視した場合の前記画像形成面に対して、
上部から下部へと行くのに従って左右方向の中央部から左側へと斜め方向に延びる線分である左線分オブジェクトと、
前記左線分オブジェクトの右側に配された、上部から下部へと行くのに従って前記中央部から右側へと斜め方向に延びる右線分オブジェクトと、
前記第1画像信号から生成されたオブジェクトであって、前記左線分オブジェクトおよび前記右線分オブジェクトの内の一方の線分オブジェクトよりも前記左右方向の外側に部分に前記一方の線分オブジェクトに沿う位置に配される第1情報オブジェクトと、
前記第2画像信号から生成されたオブジェクトであって、前記一方の線分オブジェクトよりも前記左右方向の外側の部分に前記一方の線分オブジェクトに沿い、且つ、前記第1情報オブジェクトよりも斜め上方の位置に配される第2情報オブジェクトと、
を表示するように光出射する、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置において、
前記画像信号生成部は、前記第1情報オブジェクトの方が前記第2情報オブジェクトよりも前記車両の運転者に対して高い視認性を有する態様で前記画像形成面に表示されるように、前記第1画像信号および前記第2画像信号を生成する、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ装置において、
前記画像信号生成部は、前記画像形成面でのオブジェクトサイズが前記第1情報オブジェクトの方が前記第2情報オブジェクトよりも大きいサイズで前記画像形成面に表示されるように、前記第1画像信号および前記第2画像信号を生成する、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ装置において、
前記第1情報オブジェクトおよび前記第2情報オブジェクトのそれぞれには、直線および曲線の少なくとも一方の線分が含まれており、
前記画像信号生成部は、前記第1情報オブジェクトの前記線分の方が前記第2情報オブジェクトの前記線分よりも太い線幅で前記画像形成面に表示されるように、前記第1画像信号および前記第2画像信号を生成する、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載のヘッドアップディスプレイ装置において、
前記コントローラは、
車両の走行経路順における現在または直近の前記運転関連情報であって、前記第1情報とは異種の前記運転関連情報である第3情報を受け付ける第3情報受付部と、
前記第3情報に後続する前記運転関連情報である第4情報を受け付ける第4情報受付部と、
をさらに有し、
前記画像信号生成部は、前記第3情報に基づいて第3画像信号を生成するとともに、前記第4情報に基づいて第4画像信号も生成し、
前記光処理部は、前記運転席から平面視した場合の前記画像形成面に対して、
前記第3画像信号から生成されたオブジェクトであって、前記左線分オブジェクトおよび前記右線分オブジェクトの内の前記一方の線分オブジェクトとは異なる他方の線分オブジェクトよりも前記左右方向の外側に部分に前記他方の線分オブジェクトに沿う位置に配される第3情報オブジェクトと、
前記第4画像信号から生成されたオブジェクトであって、前記他方の線分オブジェクトよりも前記左右方向の外側の部分に前記他方の線分オブジェクトに沿い、且つ、前記第3情報オブジェクトよりも斜め上方の位置に配される第4情報オブジェクトと、
を表示するように光出射する、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のヘッドアップディスプレイ装置において、
前記第1情報と前記第2情報とは、同種の前記運転関連情報であり、
前記第3情報と前記第4情報とは、同種の前記運転関連情報である、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のヘッドアップディスプレイ装置において、
前記第1情報および前記第2情報は、道路標識情報であり、
前記第3情報および前記第4情報は、経路案内情報であり、
車両が右ハンドル車である場合には、前記一方の線分オブジェクトが前記右線分オブジェクトで、前記他方の線分オブジェクトが前記左線分オブジェクトであり、
前記車両が左ハンドル車である場合には、前記一方の線分オブジェクトが前記左線分オブジェクトで、前記他方の線分オブジェクトが前記右線分オブジェクトである、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れかに記載のヘッドアップディスプレイ装置において、
前記コントローラは、
先行車両の有無、および前記先行車両がある場合には当該先行車両との車間距離に関する第5情報を受け付ける第5情報受付部をさらに有し、
前記画像信号生成部は、前記第5情報に基づいて第5画像信号も生成し、
前記光処理部は、前記運転席から平面視した場合の前記画像形成面に対して、
前記第5画像信号から生成されたオブジェクトであって、前記左線分オブジェクトと前記右線分オブジェクトとの間の位置に配される第5情報オブジェクトも表示するように光出射する、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドアップディスプレイ装置は、運転席前方の画像形成面に種々の運転関連情報に関するオブジェクトを投影する装置である。ヘッドアップディスプレイ装置を備える車両では、運転者が視線を落とさなくても種々の運転関連情報を運転者に認識させることができる。
【0003】
特許文献1には、画像形成面の上部に道路標識や経路案内などの車両外因子情報に関するオブジェクトを投影し、下部に車速やクルーズコントロールのON/OFFなどの自車情報に関するオブジェクトを投影するヘッドアップディスプレイ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヘッドアップディスプレイ装置が種々の情報に関するオブジェクトを投影する画像形成面は、車両前方を注視する運転者の妨げとならないようにするため上下方向に低い形状を採用せざるを得ない。このため、ヘッドアップディスプレイ装置では、ナビゲーション装置のように、車両の走行経路順に複数の標識案内や経路案内などに関するオブジェクトを画像形成面の上下方向に並べることが困難である。よって、従来のヘッドアップディスプレイ装置では、車両の走行経路順における、直近の情報とこれに続く後続の情報とを運転者に対して直感的に認識させることが困難であった。
【0006】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、横方向に対して縦方向の高さが低い画像形成面に対して映像を投影しながら、運転者に対して複数のオブジェクトを車両の走行経路順に直感的に認識させることができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るヘッドアップディスプレイ装置は、運転関連情報を運転席の前方に設けられた画像形成面に投影する装置であって、コントローラと、光処理部とを備える。前記コントローラは、前記運転関連情報を受け付けて、当該受け付けた前記運転関連情報から画像信号を生成する。前記光処理部は、前記コントローラから画像信号を取得して、前記画像形成面に光出射する。
【0008】
前記コントローラは、第1情報受付部と、第2情報受付部と、画像信号生成部とを有する。前記第1情報受付部は、車両の走行経路順における現在または直近の前記運転関連情報である第1情報を受け付ける。前記第2情報受付部は、前記第1情報に後続する前記運転関連情報である第2情報を受け付ける。前記画像信号生成部は、前記第1情報に基づいて第1画像信号を生成するとともに、前記第2情報に基づいて第2画像信号を生成する。
【0009】
前記光処理部は、前記運転席から平面視した場合の前記画像形成面に対して、左線分オブジェクトと、右線分オブジェクトと、第1情報オブジェクトと、第2情報オブジェクトを表示するように光出射する。前記左線分オブジェクトは、上部から下部へと行くのに従って左右方向の中央部から左側へと斜め方向に延びるオブジェクトである。前記右線分オブジェクトは、前記左線分オブジェクトの右側に配された、上部から下部へと行くのに従って前記中央部から右側へと斜め方向に延びるオブジェクトである。前記第1情報オブジェクトは、前記第1画像信号から生成されたオブジェクトであって、前記左線分オブジェクトおよび前記右線分オブジェクトの内の一方の線分オブジェクトよりも前記左右方向の外側に部分に前記一方の線分オブジェクトに沿う位置に配されるオブジェクトである。前記第2情報オブジェクトは、前記第2画像信号から生成されたオブジェクトであって、前記一方の線分オブジェクトよりも前記左右方向の外側の部分に前記一方の線分オブジェクトに沿い、且つ、前記第1情報オブジェクトよりも斜め上方の位置に配されるオブジェクトである。
【0010】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、画像形成面に左線分オブジェクトと右線分オブジェクトとが表示され、左線分オブジェクトと右線分オブジェクトとは上部から下部へと行くのに従って互いに間隔が拡がるように表示されるので、運転者に対してはこれらの線分オブジェクトにより画像形成面に遠近感をもった走行車線を想起させることができる。
【0011】
また、上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、走行経路順で先行する第1情報についての第1情報オブジェクトと、走行経路順で後続する第2情報についての第2オブジェクトとが、それぞれ上記一方の線分オブジェクトに沿って配置されるとともに、第1情報オブジェクトが第2情報オブジェクトよりも下方に表示される。
【0012】
このため、上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、運転者に走行車線を想起させる左線分オブジェクトおよび右線分オブジェクトと相まって、第1情報オブジェクトにより表わされる第1情報が先行する情報であり、第2情報オブジェクトにより表わされる第2情報が後続する情報であることを運転者に対して直感的に認識させることができる。
【0013】
従って、上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、横方向に対して縦方向の高さが低い画像形成面に対して映像を投影しながら、運転者に対して複数の情報オブジェクト(第1情報オブジェクト、第2情報オブジェクト)を車両の走行経路順に直感的に認識させることができる。
【0014】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置において、前記画像信号生成部は、前記第1情報オブジェクトの方が前記第2情報オブジェクトよりも前記車両の運転者に対して高い視認性を有する態様で前記画像形成面に表示されるように、前記第1画像信号および前記第2画像信号を生成する、としてもよい。
【0015】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、画像形成面において第1情報オブジェクトの方が第2情報オブジェクトよりも高い視認性を有する態様で表示されるようになっているので、運転者に対して相対的に高い視認性を有する第1情報オブジェクトの方に注意を向けさせることができる。
【0016】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置において、前記画像信号生成部は、前記画像形成面でのオブジェクトサイズが前記第1情報オブジェクトの方が前記第2情報オブジェクトよりも大きいサイズで前記画像形成面に表示されるように、前記第1画像信号および前記第2画像信号を生成する、としてもよい。
【0017】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、画像形成面において第1情報オブジェクトの方が第2情報オブジェクトよりも大きなサイズで表示されるようになっているので、運転者に対して大きなサイズの第1情報オブジェクトの方に注意を向けさせることができる。また、第1情報オブジェクトを第2情報オブジェクトよりも大きなサイズとすることにより、運転者に対して、より一層の遠近感を感じさせることができる。
【0018】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置において、前記第1情報オブジェクトおよび前記第2情報オブジェクトのそれぞれには、直線および曲線の少なくとも一方の線分が含まれており、前記画像信号生成部は、前記第1情報オブジェクトの前記線分の方が前記第2情報オブジェクトの前記線分よりも太い線幅で前記画像形成面に表示されるように、前記第1画像信号および前記第2画像信号を生成する、としてもよい。
【0019】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、画像形成面において第1情報オブジェクトの方が第2情報オブジェクトよりも太い線幅の線分を含むようにしているので、運転者に対して太い線幅の線分を含む第1情報オブジェクトの方に注意を向けさせることができる。
【0020】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置において、前記コントローラは、車両の走行経路順における現在または直近の前記運転関連情報であって、前記第1情報とは異種の前記運転関連情報である第3情報を受け付ける第3情報受付部と、前記第3情報に後続する前記運転関連情報である第4情報を受け付ける第4情報受付部と、をさらに有し、前記画像信号生成部は、前記第3情報に基づいて第3画像信号を生成するとともに、前記第4情報に基づいて第4画像信号も生成し、前記光処理部は、前記運転席から平面視した場合の前記画像形成面に対して、前記第3画像信号から生成されたオブジェクトであって、前記左線分オブジェクトおよび前記右線分オブジェクトの内の前記一方の線分オブジェクトとは異なる他方の線分オブジェクトよりも前記左右方向の外側に部分に前記他方の線分オブジェクトに沿う位置に配される第3情報オブジェクトと、前記第4画像信号から生成されたオブジェクトであって、前記他方の線分オブジェクトよりも前記左右方向の外側の部分に前記他方の線分オブジェクトに沿い、且つ、前記第3情報オブジェクトよりも斜め上方の位置に配される第4情報オブジェクトと、を表示するように光出射する、としてもよい。
【0021】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、第1情報オブジェクトおよび第2情報オブジェクトに加えて、第3情報オブジェクトおよび第4情報オブジェクトも画像形成面に表示させることとしているので、より多くの情報を画像形成面を介して運転者に認識させることができる。
【0022】
また、上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、走行経路順で先行する第3情報についての第3情報オブジェクトと、走行経路順で後続する第4情報についての第4オブジェクトとが、それぞれ上記他方の線分オブジェクトに沿って配置されるとともに、第3情報オブジェクトが第4情報オブジェクトよりも下方に表示される。
【0023】
このため、上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、第1情報オブジェクトと第2情報オブジェクトとの関係と同様に、第3情報オブジェクトにより表わされる第3情報が先行する情報であり、第4情報オブジェクトにより表わされる第4情報が後続する情報であることを運転者に対して直感的に認識させることができる。
【0024】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置において、前記第1情報と前記第2情報とは、同種の前記運転関連情報であり、前記第3情報と前記第4情報とは、同種の前記運転関連情報である、としてもよい。
【0025】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、第1情報と第2情報とが同種の情報であるので、第1情報オブジェクトと第2情報オブジェクトとを見た運転者は、走行経路順に同種の情報の推移を直感的に認識することができる。同様に、第3情報と第4情報とも同種の情報であるので、第3情報オブジェクトと第4情報オブジェクトとを見た運転者は、走行経路順に同種の情報の推移を直感的に認識することができる。
【0026】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置において、前記第1情報および前記第2情報は、道路標識情報であり、前記第3情報および前記第4情報は、経路案内情報であり、車両が右ハンドル車である場合には、前記一方の線分オブジェクトが前記右線分オブジェクトで、前記他方の線分オブジェクトが前記左線分オブジェクトであり、前記車両が左ハンドル車である場合には、前記一方の線分オブジェクトが前記左線分オブジェクトで、前記他方の線分オブジェクトが前記右線分オブジェクトである、としてもよい。
【0027】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、車両が右ハンドル車である場合に、道路標識情報を表す第1情報オブジェクトおよび第2情報オブジェクトが画像形成面における右寄りの部分に表示されるので、実際の道路標識の設置方向と画像形成面での第1情報オブジェクトおよび第2情報オブジェクトとの表示位置とを一致させることで、運転者に対して直感的に道路標識情報を認識させることができる。車両が左ハンドル車である場合についても、道路標識情報を表す第1情報オブジェクトおよび第2情報オブジェクトが画像形成面における左寄りの部分に表示されるので、実際の道路標識の設置方向と画像形成面での第1情報オブジェクトおよび第2情報オブジェクトとの表示位置とを一致させることで、運転者に対して直感的に道路標識情報を認識させることができる。
【0028】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置において、前記コントローラは、先行車両の有無、および前記先行車両がある場合には当該先行車両との車間距離に関する第5情報を受け付ける第5情報受付部をさらに有し、前記画像信号生成部は、前記第5情報に基づいて第5画像信号も生成し、前記光処理部は、前記運転席から平面視した場合の前記画像形成面に対して、前記第5画像信号から生成されたオブジェクトであって、前記左線分オブジェクトと前記右線分オブジェクトとの間の位置に配される第5情報オブジェクトも表示するように光出射する、としてもよい。
【0029】
上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、先行車両についての情報を表す第5情報オブジェクトも表示させるので、画像形成面を見た運転者に対して先行車両についての情報も認識させることができる。また、上記態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、第5情報オブジェクトを左線分オブジェクトと右線分オブジェクトとの間の位置に表示させるので、自車両が走行している走行車線における先行車両についての情報を運転者に直感的に認識させることができる。
【発明の効果】
【0030】
上記の各態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、横方向に対して縦方向の高さが低い画像形成面に対して映像を投影しながら、運転者に対して複数のオブジェクトを車両の走行経路順に直感的に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が適用された車両の車室内の構成を示す図である。
【
図2】ヘッドアップディスプレイ装置と画像形成面とを示す模式図である。
【
図3】ヘッドアップディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】案内経路受付部および道路情報受付部の詳細構成を示すブロック図である。
【
図5】画像形成面における各種オブジェクトが表示される領域の配置形態を示す模式図である。
【
図7】画像形成面に表示される各種オブジェクトを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0033】
1.車両100の車室100a内の構成
実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が適用された車両100の車室100a内の構成について、
図1および
図2を用いて説明する。
【0034】
図1に示すように、車両100は、車幅方向の右側にステアリングホイール101が配設された右ハンドル車である。ステアリングホイール101の前方には、ダッシュボード103が配設されており、ダッシュボード103の前端部分から起立する状態でフロントウインドシールド102が配設されている。
【0035】
ステアリングホイール101の後方には、運転席104が配設され、運転席104の左側には、助手席105が配設されている。
【0036】
図1に示すように、フロントウインドシールド102には、運転席104の前方の部分であって、上下方向の下部に画像形成面5が配設されている。
図2に示すように、画像形成面5は、フロントウインドシールド102の内面102a側に設けられている。画像形成面5に対しては、ダッシュボード103内に設けられたヘッドアップディスプレイ装置(以下では、「HUD装置」と記載する。)1から光が出射される。そして、画像形成面5には、運転関連情報を表す画像が表示され、運転者は、画像形成面5に表示された画像を見て運転関連情報を取得することができる。
【0037】
2.HUD装置1の構成
本実施形態に係るHUD装置1の構成について、
図3および
図4を用いて説明する。
【0038】
図3に示すように、HUD装置1は、コントローラ11と光処理部12とを備える。コントローラ11は、MPU/CPU、ASIC、ROM、RAM等を含むマイクロプロセッサと、メモリとを有して構成されている。コントローラ11は、メモリに予め格納されたファームウェア等を実行することにより、運転関連情報についての画像信号を生成して光処理部12に出力する。
【0039】
コントローラ11は、ナビゲーション情報受付部111と、車速情報受付部112と、先行車両情報受付部113と、画像信号生成部116とを有する。ナビゲーション情報受付部111は、ナビゲーションシステム2からの案内経路に関する情報および道路情報の入力を受け付ける。ナビゲーション情報受付部111は、ナビゲーションシステム2からの案内経路に関する情報を受け付ける案内経路受付部114と、ナビゲーションシステム2からの道路情報を受け付ける道路情報受付部115を有する。
【0040】
図4に示すように、ナビゲーションシステム2は、案内経路設定部21と道路情報検出部22とを有する。案内経路設定部21は、入力された目的地へ車両100を導くための案内経路を設定する部位であり、案内経路受付部114に対して直近経路情報INF11と後続経路情報INF12とを出力する。案内経路受付部114は、直近経路情報INF11を受け付ける直近経路情報受付部1141と、後続経路情報INF12を受け付ける後続経路情報受付部1142とを有する。
【0041】
ここで、直近経路情報INF11とは、車両100の走行経路順における現在または直近の案内経路に関する情報(経路案内情報)であって、「第3情報」に該当する。後続経路情報INF12とは、車両100の走行経路順における直近経路情報INF11に後続する案内経路に関する情報(経路案内情報)であって、「第4情報」に該当する。
【0042】
図4に示すように、道路情報検出部22は、車両100が走行予定の経路における道路標識に係る情報(経路案内情報)を検出する部位であり、直近道路情報INF21と後続道路情報INF22とを出力する。道路情報受付部115は、直近道路情報INF21を受け付ける直近道路情報受付部1151と、後続道路情報INF22を受け付ける後続道路情報受付部1152とを有する。
【0043】
直近道路情報INF21とは、車両100の走行経路順における現在または直近の道路標識に関する情報であって、「第1情報」に該当する。後続道路情報INF22とは、車両100の走行経路順における直近道路情報INF21に後続する道路標識に関する情報であって、「第2情報」に該当する。
【0044】
図3に戻って、車速情報受付部112は、車両100に設けられた車速検出部3からの車両100の車速に関する情報の入力を受け付ける。なお、車速検出部3からの車速に関する情報は、車両100のECU(Electronic Contorol Unit)を介して車速情報受付部112に入力される場合もある。
【0045】
先行車両情報受付部113は、車両100に設けられた先行車両を検出するためのデバイス(例えば、レーダ、レーザ、カメラなど)で構成される先行車両検出部4からの先行車両の有無、および先行車両がある場合には自らの車両100と先行車両との車間距離に関する情報の入力を受け付ける。
【0046】
なお、先行車両検出部4から出力される上記情報は、「第5情報」に該当する。
【0047】
画像信号生成部116は、案内経路受付部114、道路情報受付部115、車速情報受付部112、および先行車両情報受付部113で受け付けた上記情報を基づいて、画像信号を生成する。具体的に、画像信号生成部116は、直近経路情報INF11に基づいて直近経路案内画像信号(第3画像信号)を生成し、後続経路情報INF12に基づいて後続経路案内画像信号(第4画像信号)を生成する。また、画像信号生成部116は、直近道路情報INF21に基づいて直近道路標識画像信号(第1画像信号)を生成し、後続道路情報INF22に基づいて後続道路標識画像信号(第2画像信号)を生成する。さらに、画像信号生成部116は、車速情報に基づいて車速画像信号を生成し、先行車両情報に基づいて先行車両画像信号(第5画像信号)を生成する。
【0048】
光処理部12は、変調部121と、光源部122と、出射部123とを有する。変調部121は、画像信号生成部116から送られてきた各画像信号に応じて、光源部122から出射された光を変調して映像光を生成する。
【0049】
光源部122は、LED(Light Emitting Diode)または半導体レーザ素子を含んで構成されており、変調部121に向けて光を出射する。出射部123は、変調部121での変調により生成された映像項を画像形成面5に向けて出射する。なお、出射部123から出射される映像光は、光処理部12に入力される画像信号ごとに画像形成面5での表示領域を規定する。
【0050】
3.画像形成面5における各種オブジェクトが表示される領域の配置形態
画像形成面5における各種オブジェクトが表示される領域の配置形態について、
図5を用いて説明する。
図5は、画像形成面5を運転者の側から平面視した模式図である。
【0051】
図5に示すように、画像形成面5は、横幅Wが高さHに比べて長い横長矩形状を有する。画像形成面5では、光処理部12からの映像光の出射により、横方向(車幅方向)の略中央部分に2条の線分オブジェクトOBJ51,OBJ52が表示される。2条の線分オブジェクトOBJ51,OBJ52については、HUD装置1が駆動している間中、画像形成面5に表示される。
【0052】
線分オブジェクトOBJ51は、線分オブジェクトOBJ52に対して左側に配され、上部から下部へと行くのに従って車幅方向(左右方向)の中央部から左側へと斜め方向に延びる線分オブジェクトである。以下では、線分オブジェクトOBJ51を「左線分オブジェクトOBJ51」と記載する。
【0053】
線分オブジェクトOBJ52は、左線分オブジェクトOBJ51に対して右側に間隔を空けて配され、上部から下部へと行くのに従って車幅方向(左右方向)の中央部から右側へと斜め方向に延びる線分オブジェクトである。以下では、線分オブジェクトOBJ52を「右線分オブジェクトOBJ52」と記載する。
【0054】
左線分オブジェクトOBJ51と右線分オブジェクトOBJ52とは、左右方向における互いに間の間隔が上部から下部へと行くのに従って拡がるように表示される。
【0055】
左線分オブジェクトOBJ51と右線分オブジェクトOBJ52との間の領域には、上部に中間上部表示領域53が設定され、下部に中間下部表示領域54が設定されている。中間上部表示領域53には、先行車両検出部4で先行車両が検出された場合に、先行車両画像信号から生成された先行車両オブジェクトが表示される。中間下部表示領域54には、クルーズコントロールにおける設定情報についてのオブジェクトが表示される。
【0056】
左線分オブジェクトOBJ51の左側には、左線分オブジェクトOBJ51に沿うように左側中央表示領域55と左側上部表示領域56とが設定されている。左側中央表示領域55は、左側上部表示領域56よりも下方に設定されている。左側中央表示領域55には、直近経路情報INF11に基づく直近経路案内画像信号から生成された直近経路情報オブジェクトが表示される。左側上部表示領域56には、後続経路情報INF12に基づく後続経路画像信号から生成された後続経路情報オブジェクトが表示される。
【0057】
ここで、左側中央表示領域55のサイズは、左側上部表示領域56のサイズよりも大きく設定されている。
【0058】
右線分オブジェクトOBJ52の右側には、右線分オブジェクトOBJ52に沿うように右側中央表示領域57と右側上部表示領域58とが設定されている。右側中央表示領域57は、右側上部表示領域58よりも下方に設定されている。右側中央表示領域57には、直近道路情報INF21に基づく直近道路標識画像信号から生成された直近道路標識情報オブジェクトが表示される。右側上部表示領域58には、後続道路情報INF22に基づく後続道路標識画像信号から生成された後続道路標識情報オブジェクトが表示される。
【0059】
ここで、右側中央表示領域57のサイズは、右側上部表示領域58のサイズよりも大きく設定されている。
【0060】
右側中央表示領域57の下方には、右側下部表示領域59が設定されている。右側下部表示領域59には、車速検出部3からの車速情報に基づく車速画像信号から生成された車速情報オブジェクトが表示される。運転者は、自車両100の車速を右側下部表示領域59を見ることで確認することができる。
【0061】
左側中央表示領域55の下方には、左側第1下部表示領域60と左側第2下部表示領域61とが設定されている。左側第1下部表示領域60は、左側第2下部表示領域61よりも下方に設定されている。左側第1下部表示領域60には、ナビゲーションシステム2および車速検出部3からの情報に基づく画像信号から生成された車両100が目的地に到着する予定時刻に関するオブジェクトが表示される。左側第2下部表示領域61には、直近経路情報INF11に係る交差点の進行方向に関する情報オブジェクトが表示される。
【0062】
4.画像形成面5への各種オブジェクトOBJ51~OBJ61の表示例
画像形成面5への各種オブジェクトOBJ51~OBJ61の表示例について、
図6および
図7を用いて説明する。
図6は、車両100の走行経路および周囲の状況などを示す模式図であり、
図7は、
図6に示す現在の場所で画像形成面5に表示される各種オブジェクトOBJ51~OBJ61を示す模式図である。
【0063】
図6に示すように、車両100は、片側2車線の道路STR1を直進している(矢印A1)。そして、自らの車両100の前方には、先行車両200が同じ方向に向けて走行している。道路STR1の路肩には、当該道路STR1の制限速度が60km/hであることを示す道路標識が建てられている。車両100には、ナビゲーションシステム2からHUD装置1に対して道路STR1の制限速度が60km/hであるとの情報が送られる。また、車両100に設けられた先行車両検出部4からHUD装置1に対して先行車両200が存在することと、自らの車両100と先行車両200との車間距離に関する情報も送られる。さらに、HUD装置1に対しては、自らの車両100の車速に関する情報も車速検出部3から送られる。
【0064】
車両100は、約450m先の交差点JNC1を左折して道路STR2に入り(矢印A2)、道路STR2における交差点JNC2を左折して道路STR3に入る予定である(矢印A3)。これらの経路案内に関する情報がナビゲーションシステム2からHUD装置1に送られる。
【0065】
なお、HUD装置1に対しては、ナビゲーションシステム2から道路STR2の制限速度が40km/hであるとの情報が送られる。
【0066】
図6に示す例において、矢印A2で示す左折するとの情報が「直近経路情報INF11」に該当し、矢印A3で示す左折するとの情報が「後続経路情報INF12」に該当する。また、道路STR1の制限速度が60km/hであるとの情報が「直近道路情報INF21」に該当し、道路STR2の制限速度が40km/hであるとの情報が「後続道路情報INF22」に該当する。さらに、先行車両検出部4が検出している先行車両200が存在するとの情報、および自らの車両100と先行車両200との車間距離に関する情報が「先行車両情報」に該当する。
【0067】
上記のような状況下において、道路STR1を矢印A1で示すように直進している車両100の画像形成面5には、
図7に示すような各種オブジェクトOBJ51~OBJ61が表示される。具体的には、画像形成面5における左右方向の中央部には、上述のように、左線分オブジェクトOBJ51と右線分オブジェクトOBJ52とが表示される。これらの線分オブジェクトOBJ51,OBJ52は、運転者に対して走行車線の両脇の区画線を想起させる。
【0068】
左線分オブジェクトOBJ51と右線分オブジェクトOBJ52との間の中間上部表示領域53には、先行車両情報オブジェクトOBJ53が表示される。先行車両情報オブジェクトOBJ53は、先行車両200が存在するとの情報、および自らの車両100と先行車両200との車間距離に関する情報を示すオブジェクトであって、「第5情報オブジェクト」に該当する。
【0069】
先行車両情報オブジェクトOBJ53が表示された中間上部表示領域53の下方の中間下部表示領域54には、設定車速情報オブジェクトOBJ54が表示される。設定車速情報オブジェクトOBJ54は、クルーズコントロールの設定速度等の各種設定状況を示すオブジェクトである。
【0070】
左線分オブジェクトOBJ51の左側の左側中央表示領域55には、経路案内情報オブジェクトOBJ55が表示される。経路案内情報オブジェクトOBJ55は、直近経路情報INF11に基づく画像信号から生成されるオブジェクトであって、「第3情報オブジェクト」に該当する。
【0071】
左線分オブジェクトOBJ51の左側であって、左側中央表示領域55の上方の左側上部表示領域56には、経路案内所法オブジェクトOBJ56が表示される。経路案内情報オブジェクトOBJ56は、後続経路情報INF12に基づく画像信号から生成されるオブジェクトであって、「第4情報オブジェクト」に該当する。
【0072】
なお、経路案内情報オブジェクトOBJ55は、経路案内情報オブジェクトOBJ56よりも高さ方向および左右方向でのサイズが大きく設定されている。また、経路案内情報オブジェクトOBJ55および経路案内情報オブジェクトOBJ56は、ともに直線および曲線を含んでおり、経路案内情報オブジェクトOBJ55に含まれる線分の方が、経路案内情報オブジェクトOBJ56よりも太い線幅で構成されている。
【0073】
右線分オブジェクトOBJ52の右側の右側中央表示領域57には、道路標識情報オブジェクトOBJ57が表示される。道路標識情報オブジェクトOBJ57は、直近道路情報INF21に基づく画像信号から生成されるオブジェクトであって、「第1情報オブジェクト」に該当する。
【0074】
右線分オブジェクトOBJ52の右側であて、右側中央表示領域57の上方の右側上部表示領域58には、道路標識情報オブジェクトOBJ58が表示される。道路標識情報オブジェクトOBJ58は、後続道路情報INF22に基づく画像信号から生成されるオブジェクトであって、「第2情報オブジェクト」に該当する。
【0075】
なお、道路標識情報オブジェクトOBJ57は、道路標識情報オブジェクトOBJ58よりも高さ方向および左右方向でのサイズが大きく設定されている。また、道路標識情報オブジェクトOBJ57および道路標識情報オブジェクトOBJ58は、ともに曲線を含んでおり、道路標識情報オブジェクトOBJ57に含まれる線分の方が、道路標識情報オブジェクトOBJ58よりも太い線幅で構成されている。
【0076】
右側中央表示領域57の下方の右側下部表示領域59には、車速情報オブジェクトOBJ59が表示される。車速情報オブジェクトOBJ59は、車速検出部3からの車速情報に基づく画像信号から生成されるオブジェクトである。車速情報オブジェクトOBJ59は、運転者が視認し易いように、設定車速情報オブジェクトOBJ54よりも高さ方向および左右方向でのサイズが大きく設定され、且つ、太い線分で構成されている。
【0077】
左側中央表示領域55の下方の左側第1下部表示領域60には、到着予定時刻情報オブジェクトOBJ60が表示される。到着予定時刻情報オブジェクトOBJ60は、ナビゲーションシステム2および車速検出部3からの情報を基に、車両100が目的地に到着する予定時刻を示すオブジェクトである。
【0078】
左側中央表示領域55と左側第1下部表示領域60との間の左側第2下部表示領域61には、車線情報オブジェクトOBJ61が表示される。車線情報オブジェクトOBJ61は、車両100が直近に左折する予定である交差点JNC1の進行方向に関する情報を示すオブジェクトである。
【0079】
5.効果
本実施形態に係るHUD装置1では、画像形成面5に左線分オブジェクトOBJ51と右線分オブジェクトOBJ52とが表示され、左線分オブジェクトOBJ51と右線分オブジェクトOBJ52とは上部から下部へと行くのに従って互いに間隔が拡がるように表示されるので、運転者に対してはこれらの線分オブジェクトOBJ51,OBJ52により画像形成面5に遠近感をもった走行車線を想起させることができる。
【0080】
また、HUD装置1では、走行経路順で先行する道路標識情報オブジェクトOBJ57と、走行経路順で後続する道路標識情報オブジェクトOBJ58とが、それぞれ右線分オブジェクトOBJ52に沿って配置されるとともに、道路標識情報オブジェクトOBJ57が道路標識情報オブジェクトOBJ58よりも下方に表示される。このため、HUD装置1では、運転者に走行車線を想起させる左線分オブジェクトOBJ51および右線分オブジェクトOBJ52と相まって、道路標識情報オブジェクトOBJ57により表わされる道路情報が先行する情報であり、道路標識情報オブジェクトOBJ58により表わされる道路情報が後続する情報であることを運転者に対して直感的に認識させることができる。
【0081】
従って、本実施形態に係るHUD装置1では、横方向に対して縦方向の高さが低い画像形成面5に対して映像を投影しながら、運転者に対して2つの情報オブジェクト(道路標識情報オブジェクトOBJ57、道路標識情報オブジェクトOBJ58)を車両100の走行経路順に直感的に認識させることができる。
【0082】
本実施形態に係るHUD装置1では、画像形成面5において道路標識情報オブジェクOBJ57トの方が道路標識情報オブジェクトOBJ58よりも高い視認性を有する態様で表示されるようになっているので、運転者に対して相対的に高い視認性を有する道路標識情報オブジェクトOBJ57の方に注意を向けさせることができる。
【0083】
具体的に、本実施形態に係るHUD装置1では、画像形成面5において道路標識情報オブジェクトOBJ57の方が道路標識情報オブジェクトOBJ58よりも高さ方向および横方向に大きなサイズで表示されるようになっているので、運転者に対して大きなサイズの道路標識情報オブジェクトOBJ57の方に注意を向けさせることができる。また、道路標識情報オブジェクトOBJ57を道路標識情報オブジェクトOBJ58よりも大きなサイズとすることにより、運転者に対して、より一層の遠近感を感じさせることができる。
【0084】
また、本実施形態に係るHUD装置1では、画像形成面5において道路標識情報オブジェクトOBJ57の方が道路標識情報オブジェクトOBJ58よりも太い線幅の線分を含むようにしているので、運転者に対して太い線幅の線分を含む道路標識情報オブジェクトOBJ57の方に注意を向けさせることができる。
【0085】
また、本実施形態に係るHUD装置1では、経路案内情報オブジェクトOBJ55および経路案内情報オブジェクトOBJ56も画像形成面5に表示させることとしているので、より多くの情報を画像形成面5を介して運転者に認識させることができる。
【0086】
また、HUD装置1では、走行経路順で先行する経路案内情報についての経路案内情報オブジェクトOBJ55と、走行経路順で後続する経路案内情報についての経路案内情報オブジェクトOBJ56とが、それぞれ左線分オブジェクトOBJ51に沿って配置されるとともに、経路案内情報オブジェクトOBJ55が経路案内情報オブジェクトOBJ56よりも下方に表示される。このため、HUD装置1では、経路案内情報オブジェクトOBJ55により表わされる経路案内情報が先行する情報であり、経路案内情報オブジェクトOBJ56により表わされる経路案内情報が後続する情報であることを運転者に対して直感的に認識させることができる。
【0087】
また、本実施形態に係るHUD装置1では、道路標識情報オブジェクトOBJ57により表わされる情報と道路標識情報オブジェクトOBJ58によって表わされる情報とが同種の道路標識に係る情報であるので、道路標識情報オブジェクトOBJ57と道路標識情報オブジェクトOBJ58とを見た運転者は、走行経路順に同種である道路標識情報の推移を直感的に認識することができる。同様に、経路案内情報オブジェクトOBJ55により表わされる情報と経路案内情報オブジェクトOBJ56により表わされる情報も同種の経路案内に係る情報であるので、経路案内情報オブジェクトOBJ55と経路案内情報オブジェクトOBJ56とを見た運転者は、走行経路順に同種の経路案内情報の推移を直感的に認識することができる。
【0088】
また、本実施形態に係るHUD装置1では、車両100が右ハンドル車であり、道路標識情報オブジェクトOBJ57および道路標識情報オブジェクトOBJ58が画像形成面5における右寄りの部分に表示されるので、実際の道路標識の設置方向と画像形成面5での道路標識情報オブジェクトOBJ57および道路標識情報オブジェクトOBJ58との表示位置とを一致させることで、運転者に対して直感的に道路標識情報を認識させることができる。
【0089】
なお、車両が左ハンドル車である場合については、道路標識情報オブジェクトOBJ57および道路標識情報オブジェクトOBJ58を画像形成面5における左寄りの部分に表示されることにすれば、実際の道路標識の設置方向と画像形成面5での道路標識情報オブジェクトOBJ57および道路標識情報オブジェクトOBJ58との表示位置とを一致させることで、運転者に対して直感的に道路標識情報を認識させることができる。
【0090】
また、本実施形態に係るHUD装置1では、先行車両200についての情報を表す先行車両情報オブジェクトOBJ53も表示させるので、画像形成面5を見た運転者に対して先行車両200についての情報も認識させることができる。また、HUD装置1では、先行車両情報オブジェクトOBJ53を左線分オブジェクトOBJ51と右線分オブジェクトOBJ52との間の位置に表示させるので、自らの車両100が走行している走行車線における先行車両200についての情報を運転者に直感的に認識させることができる。
【0091】
以上のように、本実施形態に係るHUD装置1では、横方向に対して縦方向の高さが低い画像形成面5に対して映像を投影しながら、運転者に対して複数のオブジェクトOBJ55~OBJ58を車両100の走行経路順に直感的に認識させることができる。
【0092】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成面5に2つの道路標識情報オブジェクトOBJ57,OBJ58と2つの経路案内情報オブジェクトOBJ55,OBJ56とを表示させることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、画像形成面に直近の道路標識情報に係るオブジェクトと、それに後続する道路標識情報に係るオブジェクトとの2つのオブジェクトだけを表示させるだけでも良いし、逆に、画像形成面に直近の経路案内情報に係るオブジェクトと、それに後続する経路案内情報にっかあるオブジェクトとの2つのオブジェクトだけを表示させることにしてもよい。なお、これらの場合においても、左線分オブジェクトおよび右線分オブジェクトを表示させ、上記のオブジェクトの配置形態については、上記実施形態と同じとすることで、運転者に遠近感をもって情報を認識させるようにすることを要する。
【0093】
上記実施形態では、左線分オブジェクトOBJ51の左側に表示させるオブジェクトOBJ55,OBJ56を同種の情報に係るオブジェクトとし、右線分オブジェクトOBJ52の右側に表示させるオブジェクトOBJ57,OBJ58を同種の情報に係るオブジェクトとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、直近の運転関連情報に係るオブジェクトを左右の一方の線分オブジェクトの横方向外側に表示させ、後続の運転関連情報(直近の運転関連情報とは異種の情報)に係るオブジェクトを上記オブジェクトの斜め上方に表示させることとしてもよい。
【0094】
上記実施形態では、左線分オブジェクトOBJ51と右線分オブジェクトOBJ52との間に先行車両情報オブジェクトOBJ53を表示させることとしたが、本発明は、先行車両情報オブジェクトの表示が必須ではない。同様に、オブジェクトOBJ59,OBJ60,OBJ61の表示についても必須ではない。
【0095】
上記実施形態では、画像形成面5がフロントウインドシールド102に設けられたフロントウインドシールド投影タイプを一例として採用したが、本発明は、コンバイナータイプを採用することもできる。即ち、フロントウインドシールドと運転者との間に映像を投影するための投影面が設けられてなるタイプとすることもできる。
【0096】
上記実施形態では、道路標識情報および経路案内情報のそれぞれについて、直近の情報と後続の情報とを取得して画像形成面5にオブジェクトOBJ55~OBJ58を表示させることとしたが、本発明は、直近の運転関連情報と後続の運転関連情報との種類に関して、これに限定を受けるものではない。例えば、ハンズフリー運転の可否に係る情報について直近情報と後続情報とを取得して、線分オブジェクトに沿って上下方向に並べて表示させることもできる。
【0097】
上記実施形態では、道路標識情報オブジェクトOBJ57と道路標識情報オブジェクトOBJ58とが重ならないようにし、同様に、経路案内情報オブジェクトOBJ55と経路案内情報オブジェクトOBJ56とが重ならないようにしたが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、直近の情報オブジェクトと後続の情報オブジェクトとの一部同士が重なるように表示することとしてもよい。なお、この場合においては、直近の情報オブジェクトが後続の情報オブジェクトよりも重なりの上側となるようにすることが望ましい。
【0098】
上記では、直近の運転関連情報を表す情報オブジェクトと後続の運転関連情報を表す情報オブジェクトとの間で、色彩を変えることについては言及しなかったが、本発明では、直近の運転関連情報を表す情報オブジェクトと後続の運転関連情報を表す情報オブジェクトとの間で、色彩を変えることにしてもよい。例えば、直近の運転関連情報に係るオブジェクトに関してはカラー表示し、後続の運転関連情報に係るオブジェクトに関してはモノクロ表示することにしてもよい。
【0099】
上記実施形態では、左線分オブジェクトOBJ51および右線分オブジェクトOBJ52のそれぞれを直線で表すこととしたが、本発明では、これら線分オブジェクトを曲線で表すこととしてもよい。この場合において、運転者に対して遠近感を知覚させるために、左線分オブジェクトの曲率中心を当該左線分オブジェクトの左側に配置し、右線分オブジェクトの曲率中心を当該右線分オブジェクトの右側に配置することが望ましい。
【符号の説明】
【0100】
1 ヘッドアップディスプレイ装置
5 画像形成面
11 コントローラ
111 ナビゲーション情報受付部
112 車速情報受付部
114 案内経路受付部
115 道路情報受付部
1141 直近経路情報受付部
1142 後続経路情報受付部
1151 直近道路情報受付部
1152 後続道路情報受付部
OBJ51 左線分オブジェクト(他方の線分オブジェクト)
OBJ52 右線分オブジェクト(一方の線分オブジェクト)
OBJ53~OBJ61 情報オブジェクト