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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184351
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】車両用メータ装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092143
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 繁行
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 克也
(72)【発明者】
【氏名】前川 光明
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA19
3D344AB01
3D344AD02
3D344AD13
(57)【要約】
【課題】少なくとも車幅方向の中央部分がフラットパネルディスプレイで構成されたメータ表示部を有しながら、運転者の視線をメータ表示部から直上に誘引することができる車両用メータ装置を提供する。
【解決手段】LCDからなるメータ表示部161は、オブジェクト161a~161cを表示可能である。枠体162は、メータ表示部161の外周縁に当接した状態でその周りを囲み、運転席側に向けて延びるように設けられている。枠体162は、メータ表示部161の上方において、左壁部162aと右壁部162bと中央壁部162cとを有する。中央壁部162cは、下側の壁面が、車幅方向の中央部が両脇よりも上凸となるように湾曲し、左壁部との境界である左稜線と右壁部との境界である右稜線との間隔が運転席側へ行くのに従って漸次拡がり、且つ、運転席側へと行くのに従って下方から上方に位置するように傾斜して形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における運転席の前方に配設された車両用メータ装置であって、
少なくとも車幅方向の中央部分がフラットパネルディスプレイで構成された、外部に光を出射するメータ表示部と、
前記メータ表示部の外周縁に当接または近接する状態で当該メータ表示部の外周を囲み、前記外周を囲む部分から前記車両の後方側に向けて延びるように設けられた枠体と、
を備え、
前記枠体における前記メータ表示部の上方に配された部分は、
前記メータ表示部の前記中央部分および当該中央部分の左右近傍の部分に対応する中央壁部と、
前記中央壁部に対して左稜線を挟んで連続し、前記車幅方向の左側に延びる左壁部と、
前記中央壁部に対して右稜線を挟んで連続し、前記車幅方向の右側に延びる右壁部と、
を有し、
前記中央壁部における下側の壁面は、前記車幅方向の中央部が前記左稜線および前記右稜線よりも上凸となるように湾曲し、前記外周を囲む部分から前記車両の後方側へと行くのに従って、前記左稜線と前記右稜線との間隔が漸次拡がるとともに、漸次上方に位置するように傾斜して、形成されている、
車両用メータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用メータ装置において、
前記メータ表示部には、前記枠体の前記中央壁部の下方となる部分に、運転関連情報に係り、上部が円弧形状のオブジェクトが表示され、
前記車両の後方側から前記メータ表示部および前記枠体を見る場合に、前記中央壁部の下側の壁面は、前記オブジェクトの円弧形状を有する部分に沿う形状で形成されている、
車両用メータ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用メータ装置において、
前記左壁部および前記右壁部のそれぞれの下側の壁面は、平板形状である、
車両用メータ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の車両用メータ装置において、
前記メータ表示部は、表示面の全体が前記フラットパネルディスプレイにより構成されている、
車両用メータ装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用メータ装置において、
前記枠体の外縁部に当接された状態で当該枠体の外周を囲み、当該外周を囲む部分から前記車両の後方側に向けて延びるように設けられたメータフードをさらに備える、
車両用メータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用メータ装置に関し、特に、ディスプレイパネルを備えるメータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車速情報やエンジン回転数情報などの情報を運転者に伝達するためのメータ装置が備えられている。多くの車両においては、メータ装置はステアリングホイールの前方に配設されている。運転者は、車両の運転時において、フロントウインドスクリーンを通して前方を注視するとともに、必要に応じてメータ装置に視線を落として各種情報を得る。
【0003】
特許文献1には、ステアリングホイールの前方に配設されたメータ装置と、フロントウインドシールドに画像を投影できるヘッドアップディスプレイ装置と、運転者の視線を検出するための視線検出センサとを備えた車両が開示されている。特許文献1に開示の車両では、運転者の視線が所定時間を超えてメータ装置に向けられていることが検出された場合、メータ装置の表示を停止することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5679449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両走行中の安全性を確保するという観点からは、メータ装置を注視していた運転者の視線を直上に誘引して、フロントウインドシールドを通して車両前方に視線を戻すことが必要である。
【0006】
しかしながら、従来技術に係るメータ装置では、メータ装置に向いていた運転者の視線が、当該メータ装置から横方向に移動してしまう場合が生じ得る。これは、インストルメントパネルにおけるメータ装置の横部分などにはセンターディスプレイ装置や各種インジケータなどが設けられており、運転者の視線がこれらセンターディスプレイ装置や各種インジケータに誘引されるためである。特に、センターディスプレイ装置から出射される光は強いため、夜間走行時などでは運転者の視線がセンターディスプレイ装置に誘引され易い。
【0007】
ここで、従来のメータ装置では、メータニードルを有するアナログ式のメータが採用されていたため、該メータの外周部に光反射性を有するリング部材を配置し、メータ盤面から出射される光をリング部材の上部で運転者に向けて反射させることで、運転者の視線がメータ装置の左右に誘引されるのを抑制して、メータ装置から直上に誘引することが可能であった。
【0008】
しかしながら、近年の車両では、液晶ディスプレイを始めとするフラットパネルディスプレイでメータ表示部が形成されたメータ装置が普及してきている。このようなメータ装置では、走行状況等によって表示部に表示されるオブジェクトが適時に変化するため、アナログ式のメータを用いたメータ装置のように光反射性を有するリング部材を取り付けることができない。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、少なくとも車幅方向の中央部分がフラットパネルディスプレイで構成されたメータ表示部を有しながら、運転者の視線をメータ表示部から直上に誘引することができる車両用メータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る車両用メータ装置は、車両における運転席の前方に配設されたメータ装置である。本態様に係る車両用メータ装置は、メータ表示部と、枠体とを備える。前記メータ表示部は、少なくとも車幅方向の中央部分がフラットパネルディスプレイで構成され、外部に光を出射する。前記枠体は、前記メータ表示部の外周縁に当接または近接する状態で当該メータ表示部の外周を囲み、前記外周を囲む部分から前記車両の後方側に向けて延びるように設けられている。
【0011】
前記枠体における前記メータ表示部の上方に配された部分は、中央壁部と、左壁部と、右壁部とを有する。前記中央壁部は、前記メータ表示部の前記中央部分および当該中央部分の左右近傍の部分に対応する。前記左壁部は、前記中央壁部に対して左稜線を挟んで連続し、前記車幅方向の左側に延びる。前記右壁部は、前記中央壁部に対して右稜線を挟んで連続し、前記車幅方向の右側に延びる。
【0012】
本態様に係る車両用メータ装置において、前記中央壁部における下側の壁面は、前記車幅方向の中央部が前記左稜線および前記右稜線よりも上凸となるように湾曲し、前記外周を囲む部分から前記車両の後方側へと行くのに従って、前記左稜線と前記右稜線との間隔が漸次拡がるとともに、漸次上方に位置するように傾斜して、形成されている。
【0013】
上記態様に係る車両用メータ装置では、メータ表示部の上方となる部分に中央壁部を有する枠体を備える。そして、枠体における中央壁部の下側の壁面が、中央部が上凸となるように湾曲し、運転席側ほど、左稜線と右稜線との間隔が拡がるとともに、上方に位置するように傾斜して形成されている。よって、メータ表示部から出射された光の一部は、中央壁部における下側の壁面に照射され、当該壁面を乱反射することで上記中央部に集光される。その結果、中央壁部の下側の壁面における上記中央部から集光により明るい光が運転者に向けて出射される。
【0014】
従って、上記態様に係る車両用メータ装置では、メータ表示部に表示されるオブジェクト(メータ表示)を注視していた運転者の視線を、上記中央部からの出射光により直上に誘引することができる。
【0015】
上記態様に係る車両用メータ装置において、前記メータ表示部には、前記枠体の前記中央壁部の下方となる部分に運転関連情報に係り、上部が円弧形状のオブジェクトが表示され、前記車両の後方側から前記メータ表示部および前記枠体を見る場合に、前記中央壁部における下側の壁面は、前記オブジェクトの円弧形状を有する部分に沿う形状で形成されている、としてもよい。
【0016】
上記態様に係る車両用メータ装置では、枠体における中央壁部が、メータ表示部に表示されるオブジェクトの円弧形状を有する上部に沿う形状で形成されているので、当該オブジェクトの表示に際して出射される光を枠体の中央壁部の下側の壁面に高効率に入射させることができる。よって、上記態様に係る車両用メータ装置では、枠体の中央壁部における上記中央部から明るい光を出射させることができ、運転者の視線を直上に誘引するのに有効である。
【0017】
上記態様に係る車両用メータ装置において、前記左壁部および前記右壁部のそれぞれの下側の壁面は、平板形状である、としてもよい。
【0018】
上記態様に係る車両用メータ装置では、左壁部および右壁部のそれぞれにおける下側の壁面が平板形状であるので、メータ表示部からの光が左壁部および右壁部に入射された場合にも、左壁部や右壁部の下側の壁面で集光し難い。よって、集光による明るい光が左壁部や右壁部から出射されるのを抑制でき、運転者の視線が左上方向や右上方向に誘引されるのを抑制することができる。
【0019】
上記態様に係る車両用メータ装置において、前記メータ表示部は、表示面の全体が前記フラットパネルディスプレイにより構成されている、としてもよい。
【0020】
上記態様に係る車両用メータ装置では、メータ表示部における表示面の全体がフラットパネルディスプレイで構成されているので、車両情報や車両の周辺情報など多くの情報を大きな表示面を通して運転者に認識させるのに有効である。
【0021】
上記態様に係る車両用メータ装置において、前記枠体の外縁部に当接する状態で当該枠体の外周を囲み、当該外周を囲む部分から前記車両の後方側に向けて延びるように設けられたメータフードをさらに備える、としてもよい。
【0022】
上記態様に係る車両用メータ装置では、メータフードをさらに備えるので、車室内からや車外からの光がメータ表示部や枠体などに入射するのを抑制することができ、枠体における上記中央部から出射される光を確実に運転者に認知させることができる。
【発明の効果】
【0023】
上記の各態様に係る車両用メータ装置では、少なくとも車幅方向の中央部分がフラットパネルディスプレイで構成されたメータ表示部を有しながら、運転者の視線をメータ表示部から直上に誘引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る車両用メータ装置が適用された車両の車室内の構成を示す図である。
図2】車両用メータ装置の構成を示す斜視図である。
図3図2のIII-III線断面を示す断面図である。
図4図3に示す枠体をA方向から見た平面図である。
図5】液晶ディスプレイパネルに表示されるメータオブジェクトと枠体における中央壁部との位置関係を示す正面図である。
図6】枠体における中央壁部を斜め下方から見た斜視図である。
図7】液晶ディスプレイパネルに表示されるメータオブジェクトと枠体の中央壁部における出射点との位置関係を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0026】
なお、以下の説明で用いる図において、「Fr」は車両前後方向の前方、「Re」は車両前後方向の後方、「Le」は車幅方向の左方、「Ri」は車幅方向の右方、「Up」は車両上下方向の上方、「Lo」は車両上下方向の下方をそれぞれ示す。
【0027】
1.車両用メータ装置16が適用された車両1の車室1a内の構成
本実施形態に係る車両用メータ装置16が適用された車両1の車室内1aの構成について、図1を用いて説明する。
【0028】
図1に示すように、車両1は、車幅方向の右側にステアリングホイール15が配設された右ハンドル車である。車室1aの前部には、運転席11と助手席12とが配設されている。運転席11は、ステアリングホイール15の後方に配置され、助手席12は、運転席11の左側に配置されている。
【0029】
車室1aにおけるステアリングホイール15よりも前方の部分には、フロントウインドシールド13が配設され、フロントウインドシールド13の下端部分には、インストルメントパネル14が配設されている。インストルメントパネル14には、ステアリングホイール15の前方に車両用メータ装置16が配設され、車幅方向の中央部分にセンターディスプレイ17が配設されている。
【0030】
2.車両用メータ装置16の構成
車両用メータ装置16の構成について、図2および図3を用いて説明する。
【0031】
図2に示すように、車両用メータ装置16は、メータ表示部161と、枠体162と、メータフード163とを備える。メータ表示部161は、表示部の全体がフラットパネルディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)から構成されており、車速情報、エンジン回転情報、水温情報、および燃料情報などの運転関連情報に関するオブジェクトを表示可能となっている。なお、メータ表示部161は、オブジェクトの表示に当たって、外方に光を出射する。
【0032】
枠体162は、メータ表示部161の外縁部に当接する状態で当該メータ表示部161の外周を囲むように設けられている。図3に示すように、枠体162は、メータ表示部161の側から車両1の後方側(運転席11側)に向けて延びる形状を有する。
【0033】
メータフード163は、枠体162の外周縁に当接する状態で枠体162の外周を囲むように設けられている。そして、図3に示すように、メータフード163は、枠体162の外周を囲む部分から車両1の後方側(運転席11側)に向けて延びる形状を有する。
【0034】
3.枠体162における上部の構造
枠体162における上部の構造について、図4および図5を用いて説明する。なお、図4は、図3の矢印Aの方向に枠体162の上部を見た図である。
【0035】
図4および図5に示すように、枠体162は、メータ表示部161よりも上方に位置する上部に、中央壁部162cと、左壁部162aと、右壁部162bとを有する。中央壁部162cと左壁部162aとは、左稜線Ln1を間に挟んで連続している。また、中央壁部162cと右壁部162bとは、右稜線Ln2を間に挟んで連続している。
【0036】
図5に示すように、左壁部162aおよび右壁部162bのそれぞれは、少なくとも下側の壁面が平板形状で形成されている。これに対して、中央壁部162cにおける下側の壁面は、車幅方向(左右方向)の中央部が左稜線Ln1および右稜線Ln2(図4を参照。)よりも上凸(上向きに凸の形状)となる湾曲形状を有する。
【0037】
図4に示すように、中央壁部162cの下側の壁面を下方から見る場合、当該中央壁部162cの下側の壁面は、内縁部162d(メータ表示部161に当接する側の部分)から外縁部162e(メータフード163が当接する側の部分)に向けて拡がる扇形状を有する。換言すると、中央壁部162cの左右を画定する左稜線Ln1と右稜線Ln2との間隔(左右方向での間隔)は、内縁部162dから外縁部162eへと行くのに従って漸次拡がる形状で形成されている。
【0038】
また、図5に示すように、中央壁部162cの下側の壁部は、車幅方向の中央部において、内縁部162d(図4を参照。)から外縁部162e(図4を参照。)へと行くのに従って漸次に上方に位置するように傾斜して形成されている。
【0039】
さらに、図5に示すように、メータ表示部161には、円形のオブジェクト161a~161cが表示可能である。枠体162の中央壁部162cは、メータ表示部161における幅方向中央領域に表示される円形のオブジェクト161cにおける外周縁161dの上部に沿う形状で形成されている。
【0040】
4.中央壁部162cの下側の壁面での導光
枠体162における中央壁部162cの下側の壁面での導光について、図6および図7を用いて説明する。
【0041】
図6に示すように、メータ表示部161の出射光は、内縁部162dを通り中央壁部162cの下側の壁面に入射される。中央壁部162cの下側の壁面に入射した光は、車幅方向の中央部に向けて集光されて行く(矢印Lm1)。これは、中央壁部162cの下側の壁面が上述のような湾曲形状に形成されているためである。中央部に集光された光は、外縁部162eから車両1の後方に向けて(運転席11に着座する運転者に向けて)出射される(矢印Lm2)。
【0042】
なお、中央壁部162cの左右は、左稜線Ln1および右稜線Ln2で画定されているので、中央壁部162cの下側の壁面に入射した光が左壁部162aや右壁部162bに漏れ出すのが抑制される。
【0043】
図7に示すように、外縁部162eにおける中央部から出射された光は、運転席11に着座する運転者からは、メータ表示部161における中央部分の直上に位置する光点PLmとして認識される。このため、メータ表示部161に表示されるオブジェクト161a~161cを注視していた運転者の視線を、光点PLmを通り直上のフロントウインドシールド13へと誘引することができる(矢印B1,B2)。
【0044】
5.効果
本実施形態に係る車両用メータ装置16では、メータ表示部161の上方となる部分に中央壁部162cを有する枠体162を備える。そして、枠体162における中央壁部162cは、下側の壁面が、中央部が上凸となるように湾曲し、左稜線Ln1と右稜線Ln2との間隔が運転席11側(後方側)ほど拡がり、且つ、運転席11側(後方側)ほど上方に位置するように傾斜して形成されている。よって、メータ表示部161から出射された光の一部は、中央壁部162cにおける下側の壁面に入射され、当該壁面を乱反射することで車幅方向の中央部に集光される。その結果、中央壁部162cの下側の壁面における中央部から集光により明るい光が運転者に向けて出射される。
【0045】
従って、車両用メータ装置16では、メータ表示部161に表示されるオブジェクト161a~161cを注視していた運転者の視線を、中央部からの出射光(光点PLm)により直上に誘引することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る車両用メータ装置16では、枠体162における中央壁部162cの下側の壁面が、メータ表示部161に表示されるオブジェクト161cの円弧形状を有する部分(外周縁161dの上部)に沿う形状で形成されているので、当該オブジェクト161cの表示に際して出射される光を枠体162の中央壁部162cの下側の壁面に高効率に入射させることができる。よって、車両用メータ装置16では、枠体162の中央壁部162cにおける中央部から明るい光を出射させることができ、運転者の視線を直上に誘引するのに有効である。
【0047】
また、本実施形態に係る車両用メータ装置16では、左壁部162aおよび右壁部162bのそれぞれにおける下側の壁面が平板形状で形成されているので、メータ表示部161からの光が左壁部162aおよび右壁部162bの各下側の壁面に入射された場合にも、左壁部162aや右壁部162bの下側の壁面で集光し難い。よって、集光による明るい光が左壁部162aや右壁部162bから出射されるのを抑制でき、運転者の視線が左右方向(例えば、インストルメントパネル14に設けられたセンタディオスプレイ17)に誘引されるのを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る車両用メータ装置16では、メータ表示部161における表示面の全体が液晶ディスプレイ(フラットパネルディスプレイ)で構成されているので、車両情報や車両の周辺情報など多くの情報を大きな表示面を通して運転者に認識させるのに有効である。
【0049】
また、本実施形態に係る車両用メータ装置16では、メータフード163をさらに備えるので、車室1a内からや車外からの光がメータ表示部161や枠体162などに入射するのを抑制することができ、枠体162の下側の壁面における中央部から出射される光を確実に運転者に認知させることができる。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る車両用メータ装置16では、少なくとも車幅方向の中央部分が液晶ディスプレイで構成されたメータ表示部161を有しながら、運転者の視線をメータ表示部161から直上に誘引することができる。
【0051】
[変形例]
上記実施形態では、メータ表示部161における表示面の全体が液晶ディスプレイ(LCD)で構成されていることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。メータ表示部における少なくとも中央部分フラットパネルディスプレイで構成されていればよく、左右の部分にメータニードルを有するアナログ式のメータを備えた構成を採用することも可能である。
【0052】
また、上記実施形態では、メータ表示部161に3つの円形のオブジェクト161a~161cが表示される例を示したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。矩形状のオブジェクトや、三角形状および長円形状のオブジェクトや、文字オブジェクトや、経路案内情報オブジェクトなどが表示されることとしてもよい。さらに、上部だけが円弧形状の半円形状のオブジェクトが表示されることとしてもよい。また、車両の状況に応じてメータ表示部に表示されるオブジェクトが適時に変化するようにしてもよい。
【0053】
上記実施形態では、メータ表示部161が液晶ディスプレイ(LCD)で構成されていることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、有機ELディスプレイや無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイなどを採用することも可能である。
【0054】
上記実施形態では、右ハンドル車である車両1に車両用メータ装置16を適用することとしたが、本発明は、左ハンドル車に車両用メータ装置を適用することも可能である。
【0055】
上記実施形態では、ヘッドアップディスプレイ装置(HUD装置)の有無については特に言及しなかったが、本発明は、HUD装置を備えていてもよい。この場合、車両用メータ装置16の枠体162における光点PLmからの光によって誘引された運転者の視線を、HUD装置からの出射光を用いてさらに上方へと誘引することも可能である。
【0056】
上記実施形態では、メータ表示部161に表示されるオブジェクト161cの外周縁161dに沿う形状で枠体162の中央壁部162cが形成されてなる構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。枠体における中央壁部の下側の壁面が、上凸の湾曲形状となっていればよく、必ずしもメータ表示部に表示されるオブジェクトの外周縁に沿っている必要はない。
【0057】
上記実施形態では、車両用メータ装置16がメータフード163を備えた構成を採用したが、本発明では、必ずしもメータフードを備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 車両
11 運転席
14 インストルメントパネル
16 車両用メータ装置
161 メータ表示部
161a~161c オブジェクト
162 枠体
162a 左壁部
162b 右壁部
162c 中央壁部
163 メータフード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7