(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184360
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】塗装用刷毛具
(51)【国際特許分類】
B05C 1/02 20060101AFI20221206BHJP
B05B 9/01 20060101ALI20221206BHJP
B05B 15/534 20180101ALI20221206BHJP
A46B 11/00 20060101ALI20221206BHJP
A46B 11/02 20060101ALI20221206BHJP
A46B 11/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B05C1/02 101
B05B9/01
B05B15/534
A46B11/00 101
A46B11/02
A46B11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092153
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220642
【氏名又は名称】東京電設サービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521238247
【氏名又は名称】関工商事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505176682
【氏名又は名称】ヨシハタ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598109752
【氏名又は名称】好川産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100221718
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 誠悟
(72)【発明者】
【氏名】宮里 光栄
(72)【発明者】
【氏名】好川 久雄
【テーマコード(参考)】
3B202
4D073
4F033
4F040
【Fターム(参考)】
3B202AA31
3B202AB00
3B202BA03
3B202BB06
3B202EA06
3B202ED05
3B202EE07
3B202EF02
3B202EG00
3B202FA18
3B202FB01
4D073AA01
4D073BB03
4D073CA16
4D073CC13
4F033RA06
4F040AA02
4F040AB04
4F040BA04
4F040CA01
4F040CA02
4F040CA05
4F040CA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ノズル体から噴霧された塗料を刷毛体に接触することなく、塗装対象物に直接吹付けることのできる塗装用刷毛具を提供する。
【解決手段】塗装用刷毛Y1、及びノズル穴を有するノズル体を備える。塗装用刷毛は、植毛端を有し、ノズル体が配置される刷毛保持体1と、多数の毛材を束ねた環状体CYに形成され、ノズル穴を囲んで刷毛保持体に取付けられる刷毛体H1を有する。ノズル体は、ノズル穴から刷毛体内に、噴射角度で塗料を噴霧する。刷毛体は、環状体の外周OUから内周INに向けて段々に、毛材の毛丈が短くなる複数層の刷毛部1A、1B、1Cを有する。各刷毛部は、環状体の外周及び内周の間において、隣接して配置され、噴射角度θの範囲外に位置して、ノズル穴を囲んで配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料用刷毛と、加圧した塗料が流入され、前記塗料を噴射角度で噴霧するノズル穴を有し、前記塗料用刷毛に配置されるノズル体と、を備える塗料用刷毛具であって、
前記塗料用刷毛は、
植毛端を有し、前記ノズル体が配置される刷毛保持体と、
多数の毛材を束ねた環状体に形成され、前記ノズル穴を囲んで前記刷毛保持体に取付けられ、及び前記噴射角度の噴射中心線の方向において、前記各毛材が前記植毛端から毛丈を有して延在される刷毛体と、を備え、
前記ノズル体は、
前記ノズル穴から前記刷毛体内に、前記噴射角度で前記塗料を噴霧し、
前記刷毛体は、
前記環状体の外周及び内周の間において、隣接して配置され、及び複数の毛材を束ねて環状に形成した複数層の刷毛部を有し、前記各刷毛部の間において、前記毛材の毛丈を相異して構成され、
前記各刷毛部は、
前記環状体の外周側で隣接する刷毛部より前記毛材の毛丈を短くして形成され、
前記噴射角度で噴霧される前記塗料の噴射領域外に位置して、前記ノズル穴を囲んで配置される
ことを特徴とする塗料用刷毛具。
【請求項2】
前記ノズル穴は、
前記塗料を前記噴射角度で噴霧する噴射穴部と、
前記噴射穴部から拡径する流入穴部と、を有し、
前記ノズル体は、
前記噴射穴部を前記刷毛体内に向け、及び加圧した塗料を前記流入穴部に流入する噴射位置と、
加圧した塗料を前記噴射穴部に流入し、及び前記塗料を前記流入穴部から噴出する抜き位置にされる
ことを特徴とする請求項1に記載の塗料用刷毛具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射角度で塗料を噴霧するノズル体を塗装用刷毛に配置した塗装用刷毛具に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料を吹付ける技術として、特許文献1は、塗料供給用刷毛装置を開示する。塗料供給等刷毛装置は、刷毛固定基部、ノズル固定用パイプ及び刷毛を備える。刷毛固定基部は、断面略楕円形に形成される。ノズル固定用パイプは、刷毛固定基部に同心にして、刷毛固定基部内に配置される。刷毛は、刷毛固定基部及びノズル固定用パイプの間に植設される。刷毛は、断面略楕円形の環状体に形成される。刷毛及びノズル固定用パイプは、刷毛固定基部内に充填される硬化性樹脂剤によって固定される。
塗料供給用刷毛装置は、ノズルをノズル固定用パイプに挿入して固定される。ノズルは、ノズル先端を刷毛内に位置して、塗料を刷毛内に噴射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、刷毛の毛先端側が刷毛内に倒れ込み、ノズル穴から噴射された塗料が倒れ込んだ刷毛に接触して吹付けられることから、塗装対象物に直接、塗料を吹付けて付着する付着率が低下する。
【0005】
本発明は、ノズル穴から噴霧された塗料が刷毛体(各刷毛部)に接触することなく、塗装対象物に対する塗料付着率を向上できる塗装用刷毛具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る請求項1は、塗料用刷毛と、加圧した塗料が流入され、前記塗料を噴射角度で噴霧するノズル穴を有し、前記塗料用刷毛に配置されるノズル体と、を備える塗料用刷毛具であって、前記塗装用刷毛具は、植毛端を有し、前記ノズル体が配置される刷毛保持体と、多数の毛材を束ねた環状体に形成され、前記ノズル穴を囲んで前記刷毛保持体に取付けられ、及び前記噴射角度の噴射中心線の方向において、前記毛材が前記植毛端から毛丈を有して延在される刷毛体と、を備え、前記ノズル体は、前記ノズル穴から前記刷毛体内に、前記噴射角度で前記塗料を噴霧し、前記刷毛体は、前記環状体の外周及び内周の間において、隣接して配置され、及び複数の毛材を束ねて環状に形成した複数層の刷毛部を有し、前記各刷毛部の間において、前記毛材の毛丈を相異して構成され、前記各刷毛部は、前記環状体の外周側で隣接する刷毛部より前記毛材の毛丈を短くして形成され、前記噴射角度で噴霧される前記塗料の噴射領域外に位置して、前記ノズル穴を囲んで配置されることを特徴とする塗料用刷毛具である。
請求項1では、各刷毛部は、噴射角度で噴霧される塗料の噴射領域に位置せず、ノズル穴を囲んで配置される構成も採用できる。
【0007】
本発明に係る請求項1によれば、刷毛体は、環状体の外周から内周に向けて段々に、各毛材の毛丈を短くした複数層(複数段)の刷毛部で構成される。各刷毛部は、ノズル穴から噴射角度で噴霧される塗料の噴射領域外(噴射範囲外)に位置して、ノズル穴を囲んで配置される。ノズル穴から噴射された塗料は、各刷毛部に吹付けられることなく、環状体の外周の刷毛部の毛先端から噴出することができる。複数層の刷毛部は、環状体の外周から内周に向かう従って、各毛材の毛丈を短くして、各毛材の腰を強くしているので、噴射中心線側に向けて倒れることを抑制でき、毛先端側が噴射範囲内に侵入(位置)することなく、噴霧された塗料が付着しない。
これにより、ノズル穴から噴霧される塗料は、刷毛体(各刷毛部)に接触することなく、直接、塗装対象物に吹付けることができ、塗装対象物に対する塗料付着率を向上することが可能となる。
【0008】
本発明に係る請求項2は、請求項1において、前記ノズル穴は、前記塗料を前記噴射角度で噴霧する噴射穴部と、前記噴射穴部から拡径する流入穴部と、を有し、前記ノズル体は、前記噴射穴部を前記刷毛体内に向け、及び加圧した塗料を前記流入穴部に流入する噴射位置と、加圧した塗料を前記噴射穴部に流入し、及び前記塗料を前記流入穴部から噴出する抜き位置にされることを特徴とする請求項1に記載の塗料用刷毛具である。
【0009】
請求項2によれば、ノズル体を噴射位置にすることで、ノズル穴から各刷毛部内に、噴射角度で塗料を噴霧できる。ノズル体を抜き位置にすることで、加圧した塗料を噴射穴部に直接、噴出して、流入穴部から刷毛体内に噴出できる。
これにより、ノズル体の抜き位置において、加圧した塗料を噴射穴部に噴出することで、噴射穴部に付着した硬化塗料等を剥ぎ取って、流入穴部から噴射でき、ノズル穴(噴射穴部)の目詰まりを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ノズル穴から噴霧された塗料を刷毛体(各刷毛部)に接触することなく、塗装対象物に直接、吹付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の塗装用刷毛具を塗装ガンに装着した斜視図である。
【
図2】第1実施形態の塗装用刷毛具を塗装ガンに装着した側面図である。
【
図3】(a)は、
図2のA-A矢視図、(b)は、
図3(a)の一部拡大図である。
【
図4】
図3(a)のB-B矢視断面図であって、ノズル体を噴射位置にした図である。
【
図6】
図3(a)のC-C矢視断面図であって、ノズル体を噴射位置にした図である。
【
図8】
図3(a)のC-C矢視断面図であって、ノズル部を抜き位置にした図である。
【
図9】塗装用刷毛、ノズル体、及び塗装ガンを示す分解斜視図である。
【
図10】塗装用刷毛(3層又は2層)を示す側面図である。
【
図11】塗装用刷毛(3層又は2層)を示す図であって、
図10のD-D矢視図である。
【
図12】塗装用刷毛(3層)を示す図であって、
図10のE-E矢視図である。
【
図15】第2実施形態の塗装用刷毛具を塗装ガンに装着した側面図である。
【
図17】
図16のI-I矢視断面図であって、ノズル体を噴射位置にした図である。
【
図18】
図16のJ-J矢視断面図であって、ノズル体を噴射位置にした図である。
【
図19】塗装用刷毛(2層)を示図であって、
図10のE-E矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1実施形態及び第2実施形態の塗料用刷毛具について、
図1乃至
図21を参照して説明する。
【0013】
第1実施形態の塗装用刷毛具X1について、
図1乃至
図14を参照して説明する。
【0014】
図1乃至
図14において、第1実施形態の塗装用刷毛具X1は、塗装用刷毛Y1(刷毛)、及びノズル体Z(ノズル手段)を備える。
【0015】
塗装用刷毛Y1は、
図1乃至至
図14に示すように、刷毛保持体1、刷毛体H1(刷毛本体)、補強筒部6、及びノズル取付穴NHを備える。
【0016】
刷毛保持体1は、
図1乃至
図14に示すように、植毛端3Bを有し、ノズル体Zが配置される。刷毛保持体1は、基礎筒部2(内側筒材)、保持筒部3(外側筒材)、閉塞板部4、及び位置決め穴5を有する。
【0017】
基礎筒部2は、
図11乃至
図14に示すように、例えば、断面略楕円形(又は断面楕円形)の筒状体に形成される。基礎筒部2は、一方の筒端2Aから他方の筒端2Bに向けて、基礎筒部2(刷毛保持体1)の筒中心線x(楕円形の中心線)から離間しつつ角度θX(筒傾斜角度)で傾斜して形成される。
【0018】
保持筒部3は、
図10乃至
図14に示すように、例えば、断面略楕円形(又は断面楕円形)の筒状体に形成される。保持筒部3は、基礎筒部2と相似し、基礎筒部2より大きい断面略楕円形(又は断面楕円形)の筒状体に形成される。
保持筒部3は、一方の筒端3Aから他方の筒端3B(植毛端)に向けて、保持筒部3(刷毛保持体1)の筒中心線xから離間しつつ角度θX(筒傾斜角度)で傾斜して形成される。
【0019】
閉塞板部4は、
図10乃至
図14に示すように、基礎筒部2の一方の筒端2Aを閉塞して、基礎筒部2に固定される。閉塞板部4は、例えば、基礎筒部2と一体に形成される。
【0020】
位置決め穴5は、
図11乃至
図14に示すように、円形穴であって、閉塞板部4に形成される。位置決め穴5は、穴中心を基礎筒部2との筒中心線xに位置(一致)して、基礎筒部2と同心に配置される。位置決め穴5は、基礎筒部2(刷毛保持体1)の筒中心線xの方向α(以下、「筒中心線方向α」という)において、閉塞板部4を貫通して、基礎筒部2内に開口される。
【0021】
基礎筒部2(内側筒材)は、
図11乃至
図14に示すように、保持筒部3と同心にして、保持筒部3内に配置される。基礎筒部2は、保持筒部3(外側筒材)の間に環状空間Rを隔てて、保持筒部3内に配置される。基礎筒部2の外周及び保持筒部3の内周の間には、断面略楕円形(又は断面楕円形)の環状空間Rが形成される。
基礎筒部2は、閉塞板部4を保持筒部3の一方の筒端3Aに面一として、保持筒部3内に配置される。
これにより、刷毛保持体1は、基礎筒部2及び保持筒部3によって、断面略楕円形(又は断面楕円形)の二重筒状体に形成される。
保持筒部3において、他方の筒端3Bは、植毛端となる(以下、「植毛端3B」という)。
【0022】
刷毛保持体1は、
図13及び
図14に示すように、基礎筒部2(内側筒材)及び保持筒部3(外側筒材)の間(環状空間R)に、多数(多数本)の毛材g(毛)を挿入し、硬化性樹脂剤Gを充填して、多数の毛材gを保持する。
【0023】
刷毛体H1は、
図7、
図10乃至
図14に示すように、多数(多数本)の毛材g(毛)を束ねた環状体CYに形成される。刷毛体H1は、例えば、多数の毛材gを束ねた断面楕円形(又は断面略楕円形)の環状体CYに形成される。刷毛体H1は、刷毛保持体1(基礎筒部2)の筒中心線xを刷毛中心線として断面楕円形の環状体に形成される。
刷毛体H1において、毛材gは、獣毛等であって、例えば、馬毛である。
【0024】
刷毛体H1は、
図12に示すように、環状体CY(刷毛体H1)の外周OU及び内周INの間において、多数の毛材gでなる毛厚さT(肉厚)を有する。環状体CYにおいて、外周OUは、環状外周(環状外周面)、内周INは、環状内周(環状内周面)となる。
【0025】
刷毛体H1は、
図12乃至
図14に示すように、基礎筒部2を囲んで刷毛保持体1に取付られる。刷毛体H1は、多数の毛材gの一方の毛端側を環状空間R(基礎筒部2及び保持筒部3の間)に密に挿入して、断面楕円形の環状に配置される。多数の毛材gは、環状空間R(基礎筒部2及び保持筒部3の間)に充填される硬化性樹脂剤Gにて、各毛材gの一方の毛端側を一体にして刷毛保持体1(基礎筒部2及び保持筒部3)に取付けられる。
【0026】
刷毛体H1は、
図10、
図13及び
図14に示すように、刷毛保持体1(基礎筒部2)の筒中心線方向αにおいて、各毛材gが植毛端3Bから毛丈を有して延在する。
刷毛体H1(各毛材g)は、植毛端3Bから刷毛保持体1の筒中心線xに離間しつつ角度θB(刷毛角度)で傾斜して形成される。
【0027】
刷毛体H1は、
図12乃至
図14に示すように、環状体CY(刷毛体H1)の外周OU(環状外周面)及び内周IN(環状内周面)の間において、複数の毛材gを束ねて環状に形成した複数層(複数段)の刷毛部1A,1B,1C,…を有する。
各刷毛部1A,1B,1C,…は、環状体CY(刷毛体H1)の外周OU及び内周INの間において、隣接して配置(形成)される。
各刷毛部1A,1B,1C,…は、環状体CYの外周OUから内周INに向けて、第1層目(第1段目)の刷毛部1A,第2層目(第2段目)の刷毛部1B,第3層目(第3段目)の刷毛部1C,…となる。
【0028】
刷毛体H1は、
図14に示すように、各刷毛部1A,1B,1C,…の間において、各毛gの毛丈L1,L2,L3.…を相異して構成される。各刷毛部1A,1B,1C,…の毛丈L1,L2,L3,…は、植毛端3B及び各刷毛部1A,1B,1Cの毛先端1a,1b,1c,…の間の長さである。
各刷毛部1A,1B,1C,…は、
図14に示すように、環状体CYの外周OU側で隣接する刷毛部より各毛材gの毛丈より短くして形成される。
第2層の刷毛部1Bは、環状体CYの外周OU側で隣接する第1層の刷毛部1Aより各毛gの毛丈を短くし(L1>L2)、第3層目の刷毛部1Cは、環状体CYの外周OU側で隣接する第2層目の刷毛部1Bより各毛材gの毛丈を短くして形成される(L1>L2>L3)。
刷毛体H1は、環状体CYの外周OUから内周INに向けて段々に、各毛材gの毛丈L1,L2,L3,…を短くした複数段(複数層)の刷毛部1A,1B,1C,…で構成される。
これにより、各刷毛部1A,1B,1C,…は、環状体CY(刷毛体H1)の外周OUから内周INに向かうに従って、各毛材gの腰を強くし、刷毛保持体1の筒中心線x側(刷毛体H1の内側)に倒れ難くなる。各刷毛部1A,1B,1C,…の各毛材gの腰は、環状体CYの外周OU側で隣接する刷毛部より強くなり、刷毛部1A<刷毛部1B<刷毛部1C<…となる。
第1層目の刷毛部1Aを除く各刷毛部1B,1C,…は、環状体CYの外周OU側で隣接する刷毛部を保持して、筒中心線x側への斃れ込みを防止(抑制)する。
【0029】
各刷毛部1A,1B,1C,…の環状外周は、
図13及び
図14に示すように、毛先端1a,1b,1c,…において、断面楕円形の外周長軸A,B,C,…、及び断面楕円形の外周短軸a,b,c,…を有する。各刷毛部1A,1B,1C,…の外周長軸A,B,C,…は、環状体CYの外周OUから内周INに向けて段々に、短くされる(A>B>C>…)。各刷毛部1A,1B,1C,…の外周短軸a,b,c,…は、環状体CYの外周OUから内周INに向けて段々に、短くされる(a>b>c>…)。
第1層目を除く各刷毛部1B,1C,…の外周長軸B,C,…は、環状体CY(刷毛体H1)の外周OU側で隣接する各刷毛部1A,1B,…の断面楕円形の内周長軸となる。第1層目を除く各刷毛部1B,1C,…の外周短軸b,c,…は、環状体CY(刷毛体H1)の外周OU側で隣接する刷毛部1A,1B,1C,…の断面楕円形の内周短軸となる。
環状体CYの外周OU及び内周INの間において、最も内周INに位置する刷毛部の楕円内周(刷毛体H1の内周)は、断面楕円形の内周長軸N、及び断面楕円形の内周短軸nを有する。
これにより、各刷毛部1A,1B,1C,…は、環状体CY(刷毛体H1)の外周OUから内周INに向けて段々に小さくなる断面楕円形の環状体に形成される。
【0030】
補強筒部6は、
図12乃至
図14に示すように、銅等の金属、又は金網で筒状体に形成される。補強筒部6は、例えば、断面略楕円形(又は断面楕円形)の筒状体に形成される。
補強筒部6は、一方の筒端6Aから他方の筒端6Bに向けて、補強筒部6の筒中心線から離間しつつ角度θX(筒傾斜角度)で傾斜して形成される。
補強筒部6は、刷毛体H1及び基礎筒部2(刷毛保持体1)の間(環状空間R)に配置される。補強筒部6は、一方の筒端6Aから刷毛体H1及び基礎筒部2の間に挿入されて、刷毛保持体1に固定される。補強筒部6は、環状体CY(刷毛体H1)の外周OU及び内周INの間において、最も内周INに位置する刷毛部に隣接(接触)して配置される。
補強筒部6は、刷毛保持体1の筒中心線方向αにおいて、基礎筒部2の他方の筒端2Bから刷毛体H1内に延在される。補強筒部6は、最も内周INに位置する刷毛部の毛丈より短くされて、刷毛体H1内に延在される。補強筒部6は、植毛端3Bから筒長さLTを有して延在される(LT<L3)。
これにより、補強筒部6は、最も内周の刷毛部に接触して、刷毛体H1の筒中心線xに向けて倒れることを防止する。
【0031】
ノズル取付穴NHは、
図11、
図13及び
図14に示すように、円形穴であって、刷毛保持体1に形成される。
ノズル取付穴NHは、各刷毛部1A,1B,1C,…の外周長軸A,B,C,…の中心において、刷毛保持体1に配置される。ノズル取付穴NHは、刷毛保持体1の筒中心線xと直交する方向βにおいて、保持筒部3、環状空間Rの硬化性樹脂剤Gを含む各毛材g、及び基礎筒部2を貫通して、基礎筒部2内に開口される。
【0032】
塗料用刷毛Y1において、刷毛体H1は、
図12乃至
図14に示すように、複数層(複数段)であって、例えば、3層(3段)の刷毛部1A,1B,1Cを有して構成する。
刷毛体H1は、環状体CY(刷毛体H1)の外周OUに第1層目(第1段目)の刷毛部1A、環状体CY(刷毛体H1)の内周INに第3層目(第3段目)の刷毛部1Cを有し、第1及び第3層目の刷毛部1A,1Cの間に第2層目(第2段目)の刷毛部1Bを有する。
【0033】
ノズル体Zは、加圧した塗料PWが流入され、流入した塗料PWを噴射角度θで噴霧(噴射)するノズル穴7を有する。ノズル体Zは、刷毛保持体1に配置される。
ノズル体Zは、
図4乃至
図9に示すように、ノズル部8(ノズルチップ)、及びアダプタ9を有する。
【0034】
ノズル部8(ノズルチップ)は、
図3乃至
図9に示すように、例えば、扇形ノズルチップであって、ノズル軸10、ノズルレバー11、及びノズル穴7を有する。
【0035】
ノズル軸10は、鉄、鋼等の金属で円柱に形成される。ノズル軸10は、
図6、
図7及び
図9に示すように、大径軸部12、及び大径軸部12に段差部を有して縮径する小径軸部13を有する。
【0036】
ノズルレバー11は、
図6、
図7及び
図9に示すように、ノズル軸10において、大径軸部12の軸端に取付られる。
【0037】
ノズル穴7は、
図3乃至
図7、及び
図9に示すように、ノズル軸10に形成される。ノズル穴7は、ノズル軸10の軸中心線σと直交する方向において、小径軸部13を貫通して、小径軸部13(ノズル軸10)に形成される。
ノズル穴7は、噴射穴部17、及び噴射穴部17から拡径する流入穴部18を有し、噴射穴部17は、例えば、断面楕円形穴であって、噴射口19にてノズル軸10(小径軸部13)の外周に開口する。流入穴部18は、流入口20にてノズル軸10(小径軸部13)の外周に開口する。
【0038】
ノズル部8(ノズル体Z)は、加圧した塗料PWが流入口20から流入穴部18(ノズル穴7)に流入され、噴射穴部17は、流入した塗料PWを噴射角度θで噴霧(噴射)する。
これにより、ノズル部8(ノズル体Z)は、加圧した塗料PWを噴射穴部17の噴射口19から噴射角度θで噴霧する。
【0039】
アダプタ9は、
図3乃至
図7、及び
図9に示すように、ガイド筒部31、アダプタ本体32及び調整リング33を有する。
【0040】
ガイド筒部31は、
図3乃至
図7、及び
図9に示すように、例えば、円筒状(円筒体)に形成される。ガイド筒部31は、筒中心線δの方向において、ガイド筒部31を貫通するガイド穴34を有する。
【0041】
ガイド穴34は、ガイド筒部31の各筒端31A,31Bに開口する。ガイド穴34は、一方の筒端31A側に雌ネジ部35(雌ネジ穴)を有する。
【0042】
アダプタ本体32は、
図3乃至
図7、及び
図9に示すように、例えば、円柱体(円軸体)に形成される。アダプタ本体32は、流出穴37、及び複数(一対)の固定板部38,39、及びノズル固定穴40を有する。
【0043】
流出穴37は、
図3乃至
図7、及び
図9に示すように、アダプタ本体32の軸中心線γの方向において、アダプタ本体32を貫通して形成される。流出穴37は、アダプタ本体32の各軸端32A,32Bに開口する。
【0044】
各固定板部38は、
図3乃至
図7、及び
図9に示すように、アダプタ本体32の他方の軸端32Bに形成される。各固定板部38,39は、アダプタ本体32の軸中心線γと直交する方向に間隔を隔てて配置される。各固定板部38,39は、アダプタ本体32の軸中心線γの方向において、相互に平行して、他方の軸端32Bから突出される。各固定板部38,39は、他方の軸端32Bにおいて、相互間に流出穴37を配置して形成される。流出穴37は、各固定板部38,39の間において、アダプタ本体32の他方の軸端32Bに開口する。
【0045】
ノズル固定穴40は、
図3乃至
図5、
図7及び
図9に示すように、各固定板部38,39に形成される。ノズル固定穴40は、アダプタ本体32の軸中心線γと直交する方向において、各固定板部38,39を貫通して形成される。
【0046】
アダプタ9は、各固定板部38,39及びノズル固定穴40を位置決め穴5から基礎筒部2内に突出して刷毛保持体1に配置される。
アダプタ9は、
図3乃至
図7に示すように、アダプタ本体32及び調整リング33をガイド筒部31内(ガイド穴34内)に配置(挿入)して構成される。
アダプタ本体32は、一方の軸端32Aからガイド筒部31のガイド穴34内に挿入され、各固定板部38,39をガイド筒部31の他方の筒端31Bから突出して配置される。
調整リング33は、ガイド筒部31のガイド穴34内に挿入され、アダプタ本体32の一方の軸端32Aに当接して配置される。
【0047】
ノズル体Zにおいて、アダプタ9は、
図3乃至
図7に示すように、各固定板部38,39(一方の筒端31A、一方の軸端32A)からガイド筒部31、アダプタ本体32及び調整リング33を位置決め穴5内に挿入して、刷毛保持体1に配置される。
ガイド筒部31は、位置決め穴5の内周面に当接して、位置決め穴5に挿入される。
【0048】
アダプタ9は、
図3乃至
図7に示すように、ガイド筒部31の他方の筒端31Bから突出する各固定板部38,39をノズル取付穴NHに向け、及びノズル固定穴40をノズル取付穴NHに対向して、位置決め穴5に挿入される。
【0049】
ノズル体Zにおいて、ノズル部8は、
図1乃至
図6に示すように、ノズル取付穴NH及びノズル固定穴40に回転自在に挿入されて、刷毛保持体1に配置される。
ノズル部8は、ノズル軸10の小径軸部13からノズル取付穴NHに挿入され、小径軸部13を各固定板部38,39のノズル固定穴40に圧入して配置される。
【0050】
ノズル部8は、
図6及び
図7に示すように、ノズル軸10の大径軸部12をノズル取付穴NH側からアダプタ本体32に当接する。
これにより、ノズル部8は、ノズル穴7(噴射穴部17及び流入穴部18)を、各固定板部38,39の間に位置して、ノズル穴7をガイド筒部31の流出穴37に連通自在として配置される。
ノズル部8は、噴射穴部17(ノズル穴7)の噴射角度θの噴射中心線εを、刷毛保持体1の筒中心線xに位置(一致)して、刷毛保持体1に配置される。
ノズルレバー11は、刷毛保持体1の外側に配置される。
【0051】
ノズル部8(ノズル体)は、
図4乃至
図7に示すように、噴射穴部17(噴射口19)を刷毛体H1内(植毛端3B)に向けて、刷毛保持体1に配置される。
これにより、ノズル体Z(ノズル部8)は、噴射位置P1に配置される。噴射位置P1は、噴射穴部17(噴射口19)を刷毛体H1内(植毛端3B)に向け、及び加圧した塗料PWを流入穴部18に流入する位置である。
噴射位置P1において、ノズル部8は、
図4乃至
図7に示すように、流入穴部18(流入口20)をアダプタ本体32の流出穴37、及び調整リング33内に連通する。
【0052】
刷毛体H1は、
図4に示すように、噴射角度θの噴射中心線εの方向F(以下、「噴射中心線方向F」という)において、刷毛保持体1の植毛端3Bから各毛材gの毛丈を有して延在される。
各刷毛部1A,1B,1Cは、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1であって、噴射中心線方向Fにおいて、刷毛保持体1の植毛端3Bから各毛材gの毛丈L1,L2,L3を有して延在される。
【0053】
刷毛体H1は、
図4及び
図6に示すように、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、ノズル穴7(噴射穴部17)を囲んで配置される。
各刷毛部1A,1B,1Cは、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、噴射穴部17(噴射口19)を囲んで配置される。各刷毛部1A,1B,1Cは、断面楕円形の中心線(楕円中心線)を噴射中心線εに位置(一致)して、噴射穴部17(噴射口19)を囲んで配置される。
【0054】
ノズル体Z(ノズル部8)は、
図4及び
図6に示すように、噴射位置P1において、例えば、噴射穴部17(噴射口19)から塗料PWを噴射角度θの扇状として、刷毛体H1内(各刷毛部1A,1B,1C内)に噴霧する。噴射穴部17は、
図4に示すように、各刷毛部1A,1B,1Cの長軸A,B,C,Nの方向(長軸の延びる方向)において、噴射角度θの扇状で塗料PWを噴霧する。
噴射穴部17(噴射口19)は、各刷毛部1A,1B,1Cの長軸方向で噴射角度θ(扇状)で塗料PWを刷毛体H1内に噴霧(噴射)し、各刷毛部1A,1B,1Cの短軸a,b,c,nの短軸方向(短軸の延びる方向)において、噴射口19から第1層目(第1段目)の刷毛部1Aに向けて広げて塗料PWを刷毛体H1内に噴霧(噴射)する。
これにより、ノズル穴7は、噴射穴部17(噴射口19)から噴射角度θで噴霧される塗料PWの噴射領域FA(噴射範囲)を形成する。塗料PWは、
図4及び
図6に示すように、噴射領域FA(噴射範囲)にて各刷毛部1A,1B,1C内に噴霧される。
【0055】
刷毛体H1において、各刷毛部1A,1B,1Cは、
図4、
図6、
図10乃至
図12に示すように、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、ノズル穴7からか噴射角度θで噴霧される塗料PWの噴射領域FA外(噴射両機FAの外側)に位置して、ノズル穴7(噴射穴部17)を囲んで配置される。
各刷毛部1A,1B,1Cは、
図4及び
図6に示すように、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、内周長軸B,C,N、及び内周短軸b,c,nを、噴射領域FA(噴射範囲)より長くして、噴射両機FAの外側に配置される。
これにより、各刷毛部1A,1B,1Cの環状内周面(楕円形内周面)は、
図4及び
図6に示すように、噴射領域FA(噴射範囲)に間隔(隙間)を隔てて噴射領域FAの外側に位置して、ノズル穴7(噴射穴部17)を囲んで配置される。
各刷毛部1A,1B,1Cは、ノズル穴7(噴射穴部17)から噴射角度θで噴霧される塗料PWの噴射領域FAに位置せずに、ノズル穴7(噴射穴部17)を囲んで配置される。
刷毛保持体1において、基礎筒部2及び補強筒部6は、
図4及び
図6に示すように、環状内周面2C,6Cを噴射領域FA外(噴射領域FAの外側)に位置して配置される。
【0056】
塗装用刷毛具X1は、
図1、
図2、
図4乃至
図7に示すように、例えば、塗装ガンPGに装着される。
【0057】
塗装ガンPGは、
図1乃至
図9に示すように、ガン本体51、ガンノズル部52(ノズル体)、及び操作レバー53(トリガー)を有する。
ガン本体51は、加圧した塗料PWを供給する塗料供給源(図示しない)に接続されて、塗料供給源から加圧した塗料が流入される。
ガンノズル部52は、
図1及び
図2に示すように、ガン本体51に装着(配置)される。ガンノズル部52は、塗料噴出口54を有する。
操作レバー53は、
図1及び
図2に示すように、ガン本体51に回転自在に取付けられる。
塗装ガンPGは、操作レバー53の回転操作(トリガ操作)によって、加圧した塗料PWを塗料噴出口54から噴出する。
【0058】
塗装用刷毛具X1は、
図1、
図2、
図4乃至
図7に示すように、塗装ガンPGのガンノズル部52をガイド筒部31のガイド穴34内に挿入し、ガイド穴34の雌ネジ部35に螺着(螺入)して、ガン本体51(塗装ガンPG)に装着される。ガンノズル部52は、ガイド筒部31のガイド穴34内において、調整リング33に密接される。
塗装用刷毛具X1を塗装ガンPGに装着すると、ノズル穴7(流入穴部18)は、
図4乃至
図7に示すように、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、アダプタ本体32の流出穴37、及び調整リング33内を通して、ガンノズル部52の塗料噴出口54に連通される。
【0059】
ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、塗装ガンPGの操作レバー53を回転操作(トリガ操作)すると、加圧した塗料PWは、ガンノズル部52の塗料噴出口54からアダプタ本体32の流出穴37に噴出される。
アダプタ本体32の流出穴37に噴出した塗料PWは、流入口20からノズル穴7(流入穴部18)に流入し、噴射穴部17(噴射口19)から噴射角度θで刷毛体H1内(植毛端3B)に向けて噴霧される。
ノズル体Z(ノズル部8)において、噴射穴部17は、
図4及び
図6に示すように、噴射口19から噴射角度θで噴霧される塗料PWの噴射領域FAで各刷毛部1A,1B,1C,…内に噴霧する。
各刷毛部1A,1B,1Cを噴射領域FA外に配置しているので、噴射口19から噴霧された塗料PWは、
図4及び
図6に示すように、刷毛保持体1の基礎筒部2の環状内周面2C、及び補強筒部6の環状内周面6Cに吹付けられることなく(接触することなく)、各刷毛部1A,1B,1C内に噴霧される。
各刷毛部1A,1B,1C内において、噴霧された塗料PWは、
図4及び
図6に示すように、各刷毛部1A,1B,1Cに吹付けられることなく(接触することなく)、第1層目(第1段目)の刷毛部1Aの毛先端1aから噴出される。
このとき、各刷毛部1A,1B,1Cは、環状体CYの外周OUから内周INに向かうに従って、各毛材gの毛丈L1,L2,L3を短くして、各毛材gの腰を強くしているので、噴射中心線ε側に向けて倒れることが防止(抑制)される。
これより、各刷毛部1A,1B,1Cの毛先端1a,1b,1c側が、噴射領域FA内(噴射範囲内)に侵入(位置)することなく、噴霧された塗料PWが付着することはない。
【0060】
塗装ガンPGの操作レバー53の回転操作(トリガ操作)を解除し、塗料PWの噴霧を停止して、ノズル部8のノズルレバー11を、角度180度だけ回転する。
ノズル部8において、ノズル軸10(大径軸部12及び小径軸部13)は、
図8に示すように、回転されて、噴射穴部17をアダプタ本体32の流出穴37に連通する。
これにより、ノズル体Z(ノズル部8)は、
図6乃至
図8に示すように、噴射位置P1から抜き位置P2にされる。
抜き位置P2において、ノズル穴7の流入穴部18(流入口20)は、
図8に示すように、刷毛体H1内(植毛端3B)に向けられ、噴射穴部17は、噴射口19からアダプタ本体32の流出穴37に連通される。抜き位置P2において、ノズル穴7の噴射穴部17は、アダプタ本体32の流出穴37、調整リング33内を通して、塗装ガンPGの塗料噴出口54(ガンノズル部52)に連通される。
【0061】
ノズル体Z(ノズル部8)の抜き位置P2において、塗装ガンPGの操作レバー53を回転操作(トリガ操作)すると、加圧した塗料PWは、ガンノズル部52の塗料噴出口54からアダプタ本体32の流出穴37に流出される。流出穴37に流出した塗料PWは、噴射口19から噴射穴部17に噴出され、流入穴部18(流入口20)から刷毛体H1内に噴出される。
噴射穴部17に噴出した塗料PWは、
図8に示すように、噴射穴部17に付着した硬化塗料PSと共に、流入穴部18内に流出(噴出)され、流入口20から刷毛体H1内(各刷毛部1A,1B,1C,…内)に噴出される。
これにより、ノズル体Z(ノズル部8)の抜き位置P2において、加圧した塗料PWを噴射穴部17に直接、噴出することで、噴射穴部17に付着した硬化塗料PS等を剥ぎ取って、流入穴部18(流入口20)から噴出でき、噴射穴部17(ノズル穴7)の目詰りを防止できる。
【0062】
第2実施形態の塗装用刷毛具について、
図15乃至
図21を参照して説明する。
なお、
図15乃至
図21において、
図1乃至
図14と同一符号は、同一部材、同一構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0063】
図15乃至
図21において、第2実施形態の塗装用刷毛具X2(以下、「塗装用刷毛具X2」という)は、塗装用刷毛具X1に対して、刷毛体H1を2層(2段)の刷毛部1A,1Bを有して構成したもので、その他は、塗装用刷毛具X1を同一構成、同一部材を備える。
【0064】
塗装用刷毛具X2は、
図15乃至
図21に示すように、塗装用刷毛Y2(刷毛)、及びノズル体Zを備える。
【0065】
塗装用刷毛Y2は、
図10、
図19乃至
図21に示すように、刷毛保持体1、刷毛体H1(刷毛本体)、補強筒部6、及びノズル取付穴NHを備える。
【0066】
塗装用刷毛Y2において、刷毛体H1は、
図19乃至
図21に示すように、複数層(複数段)であって、例えば、2層(2段)刷毛部1A,1Bを有して構成する。
塗装用刷毛Y2において、刷毛体H1は、環状体CYの外周OUに第1層目(第1段目)の刷毛部1A、環状体CYの内周INに第2層目(第2段目)の刷毛部1Bを有する。
塗装用刷毛Y2において、刷毛体H1は、
図12乃至
図14で説明した同様に、刷毛保持体1(基礎筒部2及び保持筒部3)に取付けられる(
図20及び
図21参照)。
【0067】
塗装用刷毛具X2において、ノズル体Zは、ノズル部8(ノズルチップ)及びアダプタ9を有し、
図4乃至
図7で説明したと同様に、塗装用刷毛Y2の刷毛保持体1に配置される(
図17及び
図18参照)。
ノズル体Z(ノズル部8)は、
図4乃至
図8で説明したと同様に、噴射位置P1、又は抜き位置P2にされる。
【0068】
塗装用刷毛Y2において、刷毛体H1は、
図21に示すように、噴射中心線方向Fにおいて、刷毛保持体1の植毛端3Bから各毛材gの毛丈を有して延在される。
各刷毛部1A,1Bは、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1であって、噴射中心線方向Fにおいて、刷毛保持体1の植毛端3Bから各毛材gの毛丈L1,L2を有して延在される。
【0069】
塗装用刷毛Y2において、刷毛体H1は、
図16乃至
図18に示すように、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、ノズル穴7(噴射穴部17)を囲んで配置される。
各刷毛部1A,1Bは、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、噴射穴部17(噴射口19)を囲んで配置される。各刷毛部1A,1Bは、断面楕円形の中心線(楕円中心線)を噴射中心線εに位置(一致)して、噴射穴部17(噴射口19)を囲んで配置される。
【0070】
塗装用刷毛具X2において、噴射穴部17(噴射口19)は、
図4乃至
図6で説明したと同様に、ノズル穴7(噴射穴部17)から噴射角度θで噴霧される塗料PWの噴射両機(噴射範囲)を形成して、塗料PWを刷毛体H1内に噴霧する。塗料PWは、
図17及び
図18に示すように、噴射領域PA(噴射範囲)にて各刷毛部1A,1B内に噴霧される。
【0071】
塗装用刷毛具X2の刷毛体H1において、各刷毛部1A,1Bは、
図17及び
図18に示すように、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、噴射角度θで噴霧される塗料PWの噴射領域FA外(噴射範囲外)に位置して、ノズル穴7(噴射穴部17)を囲んで配置される。
各刷毛部1A,1Bは、
図17乃至
図18に示すように、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、内周長軸B,N、及び内周短軸b,nを、噴射領域FA(噴射範囲)より長くして、噴射領域FAの外側に配置される。
これにより、各刷毛部1A,1Bの環状内周面(楕円形内周面)は、
図17及び
図18に示すように、噴射領域FAの外側に位置して、ノズル穴7(噴射穴部17)を囲んで配置される。
各刷毛部1A,1Bは、ノズル穴7(噴射穴部17)から噴射角度θで噴霧される塗料PWの噴射領域FA(噴射領域FA内)に位置せずに、ノズル穴7(噴射穴部17)を囲んで配置される。
塗装用刷毛具X2の刷毛保持体1において、基礎筒部2及び補強筒部6は、
図17及び
図18に示すように、環状内周面2C,6Cを噴射範囲FA外(噴射範囲FAの外側)に位置して配置される。
【0072】
塗装用刷毛具X2は、
図1乃至
図7で説明したと同様に、例えば、塗装ガンPGに装着される(
図15参照)。
【0073】
ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、塗装用PGの操作レバー53を回転操作(トリガ操作)すると、
図4乃至
図7で説明したと同様に、塗料PWは、噴射穴部17(噴射口19)から噴射角度θで刷毛体H1(植毛端3B)に向けて噴霧される。
ノズル体Z(ノズル部8)において、噴射穴部17は、
図17及び
図18に示すように、噴射口19から噴射角度θで噴霧される塗料PWの噴射領域FA(噴射範囲)で各刷毛部1A,1B内に噴霧する。
各刷毛部1A,1Bを噴射領域FA外に位置しているので、噴射口19から噴霧された塗料PWは、
図17及び
図18に示すように、刷毛保持体1の基礎筒部2の環状内周面2C、及び保持筒部3の環状内周面6Cに吹付けられることなく(接触することなく)、各刷毛部1A,1B内に噴霧される。
各刷毛部1A,1B内において、噴霧された塗料PWは、
図17及び
図18に示すように、各刷毛部1A,1Bに吹き付けられることなく(接触することなく)、第1層目(第1段目)の刷毛部1Aの毛先端1aから噴出される。
このとき、各刷毛部1A,1Bは、環状体CYの外周OUから内周INに向かうに従って、各毛材gの毛丈L1,L2を短くして、各毛材gの腰を強くしているので、噴射中心線ε側に向けて倒れることが防止(抑制)される。
これにより、各刷毛部1A,1Bの毛先端1a,1b側が、噴射領域FA内(噴射範囲内)に侵入(位置)することなく、噴霧された塗料PWが付着することはない。
【0074】
塗装用刷毛具X1,X2において、刷毛体H1は、3層(3段)又は2層(2段)の刷毛部を有して構成するものに限定されず、複数層(複数段)の刷毛部を有して構成すれば良い。複数層(複数段)の刷毛部1A,1B,1C,…は、ノズル体Z(ノズル部8)の噴射位置P1において、噴射角度θで噴霧される塗料PWの噴射領域FA外(噴射範囲外)に位置して、ノズル穴7(噴射穴部17)を囲んで配置する。
【実施例0075】
本発明に係る塗装用刷毛具の効果について、噴霧試験を実施した。
【0076】
<1>噴霧試験の対象
噴霧試験は、実施例1及び実施例2について実施した。
【0077】
A)実施例1
実施例1は、第1実施形態の塗装用刷毛具X1である。
実施例1において、刷毛体Hは、
図4乃至
図7、
図12乃至
図14に示すように、3層(3段)の刷毛部1A,1B,1Cで構成する。
実施例1の刷毛体H1(長軸及び短軸)は、
図12及び
図14に示すように、A=70mm、B=56mm、C=46mm、N=37.2mm、a=62mm、b=48mm、c=38mm、n=29.2mmとして、断面楕円形(環状)の3層(3段)の各刷毛部1A,1B,1Cを構成した。
実施例1の各刷毛部1A,1B,1C(毛丈)は、
図4及び
図14に示すように、L1=60mm、L2=45mm、L3=30mmとした。
【0078】
B)実施例2
実施例2は、第2実施形態の塗装用刷毛具X2である。
実施例2において、刷毛体H1は、
図16乃至
図21に示すように、2層(2段)の刷毛部1A,1Bで構成する。
実施例2において、刷毛体H1(長軸及び短軸)は、
図17、
図18、
図20及び
図21に示すように、A=70mm、B=46mm、N=34mm、a=62mm、b=38mm、n=30mmとして、断面楕円形(環状)の2層(2段)の各刷毛部1A,1Bを構成した。
実施例2の各刷毛部1A,1B(毛丈)は、
図17及び
図21に示すように、L1=10mm、L2=35mmとした。
【0079】
C)実施例1、及び実施例2において、刷毛保持体1は、
図10及び
図11に示すように、断面楕円形の二重筒体に形成した。基礎筒部2は、筒長さLY=46mm、内周長軸LB=34mm、及び内周短軸Lb=26mmとした。保持筒部3は、筒長さLX=30mmとした。
【0080】
D)実施例1、及び実施例2において、補強筒部6は、
図13及び
図14に示すように、断面楕円形に形成し、筒長さLT=16mm、内周長軸LQ=35.6mm、及び内周短軸Lq=27.6mmとした。
【0081】
E)実施例1及び実施例2において、刷毛体H1は、
図10に示すように、角度θB=8.5度、基礎筒部2、保持筒部3及び補強筒部6の角度θx=3.8度とした。
【0082】
F)実施例1及び実施例2において、ノズル部8は、清和産業株式会社の「扇形ノズルチップ:ターンWチップの1325」を使用した。ターンWチップは、噴射角度θ=22.5度~30度であって、噴射角度θの扇状の噴射範囲を有する。
実施例1及び実施例2において、ターンWチップは、
図4乃至
図7で説明したと同様に、刷毛保持体1に配置した。
【0083】
<2>噴霧試験の方法>
A)噴霧試験は、ターンWチップ(ノズル部)に、塗装ガンを接続して、ターンWチップから刷毛体H1内に、噴射角度θで塗料を塗装対象物に噴霧した。
塗装ガンは、清和産業株式会社の「エアスプレイガン:トップガンTPG-1」を使用した。
塗料は、AGCコーティング株式会社の「ボンフロンプライマー♯630II(登録商標:ボンフロン/BONFLON)」を使用した。
ターンWノズルの噴霧量(吐出量)=570(cc/min)とし、実施例1の噴霧時間T=16.41(秒)、実施例2の噴射時間T=18.93(秒)であった。
塗装対象物は、60(cm)×60(cm)の鉄板を使用した。
B)実施例1及び実施例2において、実際の塗装作業を想定して、塗料の噴射前に刷毛体H1(各刷毛部)の全体に塗料を含浸透して塗布した。
C)実施例1及び実施例2において、塗装対象物(鉄板)の一板面と第1層目(第1段目)の刷毛部1Aの毛先端1aの間に50(cm)の隙間を空けて、塗装対象物(鉄板)に塗装を噴霧した。塗料の噴霧は、塗装対象物(鉄板)の一板面全体に吹付けた。
【0084】
<3>噴霧試験の検証
目視によって、刷毛体H1(各刷毛部)の倒れ、及び刷毛体(各刷毛部)への噴霧された塗料の付着を確認した。
【0085】
<4>噴霧試験の結果(評価)
実施例1、及び実施例2の塗装用刷毛具において、刷毛体(各刷毛部)の倒れは認められなかった。
実施例1、実施例2の塗装用刷毛具において、噴霧された塗料の付着は殆ど認められなかった。
噴霧試験の結果によれば、刷毛部1A,1B,1C(又は1A,1B)は、環状体の外周側で隣接する刷毛部を保持して、刷毛体の内側(噴射中心線ε側)への倒れ込みを抑制する機能を発揮しており、ターンWチップから噴射角度θで噴霧された塗料は、刷毛体(各刷毛部)に接触することなく、直接、塗装対象物(鉄板)に吹付けられたと認められる。
これにより、塗装対象物に対する塗料付着率を向上できることが実証された。