(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184374
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】画像表示システム、サーバ、表示デバイス、画像表示方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221206BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092175
(22)【出願日】2021-06-01
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】岸本 健秀
(72)【発明者】
【氏名】平林 智子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】 故人の生前の画像を簡単かつリアルに表示可能とし、故人の供養に適した画像表示システム等を提供する。
【解決手段】 画像表示システム1は、撮影システム2、サーバ3、及び表示システム4がネットワーク5を介して通信接続されて構成される。撮影システム2は登録会員の生前の画像を撮影し、サーバ3にアップロードする。サーバ3は、登録会員の会員情報321や生前画像データ323等を記憶する。生前画像データ323には、生前画像323cが会員ID321aやARトリガ323dと紐づけて記憶されている。表示手段4は、ARトリガ323dとするマーカ42を有するボード43やスクリーン43Aと表示デバイス41とを含む。表示デバイス41は、サーバ3からマーカ42に紐づけられた生前画像323cを取得し、マーカ42を認識するとAR表示(実空間を背景として重ねて表示)する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故人の生前の画像をAR表示のトリガであるARトリガと紐づけて記憶する記憶手段と、
前記ARトリガを認識すると、認識した前記ARトリガに紐づけられた前記生前の画像を前記記憶手段から取得して表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記記憶手段はネットワークを介してアクセス可能なサーバに設けられ、
前記表示手段は、前記ネットワークを介して前記サーバと通信する通信手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
当該画像表示システムを利用するために会員登録処理を行う会員登録手段と、
前記会員登録手段により登録された会員の生存中に前記生前の画像を撮影する撮影手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記会員登録手段により登録された会員に紐づけて閲覧会員としての登録を受け付ける閲覧会員登録手段を更に備え、
前記表示手段は、前記閲覧会員としてログインした表示手段に対して、当該閲覧会員に紐づけられた前記会員の生前の画像を前記記憶手段から読み出して表示することを特徴とする請求項3に記載の画像表示システム。
【請求項5】
1つのARトリガに対して複数の前記会員の生前の画像が紐づけられて記憶され、
前記表示手段は、入力された会員情報に基づいて該当する前記生前の画像を前記記憶手段から読み出して表示することを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の画像表示システム。
【請求項6】
前記ARトリガの設定を受け付ける設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像表示システム。
【請求項7】
前記設定手段は、前記ARトリガの有効期間の設定を受け付け、
前記表示手段は、前記ARトリガの有効期間において、当該ARトリガに紐づけられた前記生前の画像を視聴可能とすることを特徴とする請求項6に記載の画像表示システム。
【請求項8】
前記表示手段は、
前記ARトリガとするマーカを表示したボードと、
前記ボードに表示されたマーカを読取るカメラ及び前記生前の画像を表示するディスプレイを備えた表示デバイスと、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像表示システム。
【請求項9】
前記表示デバイスは、眼鏡型またはゴーグル型のディスプレイを備えた表示デバイスであることを特徴とする請求項8に記載の画像表示システム。
【請求項10】
故人の生前の画像をAR表示のトリガであるARトリガと紐づけて記憶する記憶手段と、
前記ARトリガを認識すると認識した前記ARトリガに紐づけられた前記生前の画像を前記記憶手段から取得して表示する表示手段に対して、前記生前の画像を送信する画像送信手段と、
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項11】
ディスプレイを備えた表示デバイスであって、
サーバと通信接続する通信手段と、
AR表示のトリガであるARトリガを認識する認識手段と、
前記認識手段により前記ARトリガを認識すると、認識した前記ARトリガに紐づけて前記サーバの記憶手段に記憶されている前記故人の生前の画像を取得して前記ディスプレイに表示させる表示手段と、
を備えることを特徴とする表示デバイス。
【請求項12】
サーバが、故人の生前の画像をAR表示のトリガであるARトリガと紐づけて記憶部に記憶するステップと、
表示デバイスが、前記ARトリガを認識すると、認識した前記ARトリガに紐づけられた前記生前の画像を前記サーバの記憶部から取得して表示するステップと、
を含むことを特徴とする画像表示方法。
【請求項13】
コンピュータを、
故人の生前の画像をAR表示のトリガであるARトリガと紐づけて記憶する記憶手段、
前記ARトリガを認識すると認識した前記ARトリガに紐づけられた前記生前の画像を前記記憶手段から取得して表示する表示手段に対して、前記生前の画像を送信する画像送信手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
ディスプレイを備えた表示デバイスを、
サーバと通信接続する通信手段、
AR表示のトリガであるARトリガを認識する認識手段、
前記認識手段により前記ARトリガを認識すると、認識した前記ARトリガに紐づけて前記サーバの記憶部に記憶されている前記故人の生前の画像を取得して前記ディスプレイに表示させる表示手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示システム、サーバ、表示デバイス、画像表示方法、及びプログラムに関し、詳細には、故人の供養に適した映像表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
故人の供養のための映像の表示に関し、例えば特許文献1には、葬儀の祭壇に設置されたスクリーンと、スライド映写装置と、ビデオ映写装置と、これら2種の映写装置を切り替える切替手段とを組み合わせ、スライド映写装置によって葬儀の開始時及び終了時には、遺影の静止画像をスクリーンに映写して葬儀の厳粛な雰囲気を確保し、弔辞のときには故人の生前の活動を撮影したビデオ画像またはスライド画像をスクリーンに映写することによって、参列者の記憶に故人を鮮明に印象付けることができる葬儀方法が開示されている。
【0003】
また、故人が生前に残したデータの管理や配信に関し、特許文献2には、故人と生前からインターネット上のコミュニティ等で親交のあった人々や故人の遺族が、故人が生前残した文書データ、画像データ等の情報を簡易に閲覧可能とするために、死亡情報提供サーバからの死亡情報及び遺言情報管理サーバからの遺言情報に基づいて、情報管理サーバが、故人が生前残した文書データ、画像データ等の情報を、インターネット仏壇用サーバに配信し、インターネット仏壇用サーバが故人の遺族等からの配信要求に応じて、故人が生前残した文書データ、画像データ等の情報を故人の遺族等の端末に配信するインターネット仏壇システムが開示されている。
【0004】
また特許文献3には、生前メッセージの伝達に関する発明であり、委託者は将来の葬儀で遺族及び参列者に伝えたいメッセージを自己の肉声や画像で記録し、これを生前メッセージとして情報伝達手段を介して受託者に寄託し、受託者は寄託された生前メッセージを記録情報としてデータベースに保管し、委託者の死去情報を得たとき、該委託者の生前メッセージをデータベースから読み出しインターネットを介して特定の葬儀社に送信し、葬儀社はその生前メッセージを葬儀において開示する生前メッセージ管理・開示システムについて記載されている。
【0005】
特許文献4には、通信事業者が提供する電話サービスに加入している特定加入者の意思に基づいて、特定加入者に関する情報(特定加入者の生存中の音声データ及び画像データ、特定加入者が生存中に創作した著作物の音声データ、画像データまたは他のデータ等)をデータベースに記録し、特定加入者の死亡後にその情報を他の特定加入者へ提供する故人情報管理システムについて記載されている。これにより、特定加入者の死亡が確認されたときに、その特定加入者が伝えたいと考えていたメッセージや画像を他の特定加入者へ通知することが可能となる。
【0006】
インターネットを利用する葬儀サービスに関して、特許文献5には、クラウド型の永代供養サービスシステムが開示されている。このシステムでは、生前に利用契約を結んだ会員またはその遺族が端末からアクセス可能なインターネット上の永代供養サイト内に、各会員の個人情報、各会員から提供されたデジタルコンテンツ、死亡後の取り扱いに関する各会員の希望を記した指図データを収容し、これらにもとづいて生成した過去帳及びバーチャル礼拝施設の映像データを収容する。これにより、単にクラウド上で礼拝を行えるだけにとどまらず、死後の運用に関し故人の意思を確実に反映するとともに、故人が残したいと願ったデータを保存し、故人の経歴や業績を安全な状態で拡散して検索エンジンで第三者が検索することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-0243871号公報
【特許文献2】特開2008-009579号公報
【特許文献3】特開2009-032220号公報
【特許文献4】特開2009-038708号公報
【特許文献5】特開2018-081656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したように故人が生前に残したメッセージ(音声や画像)やデータ等を残し、遺族等に提供する技術は多数提案されているものの、遺族等の心に響くような表示の工夫については、改良の余地がある。
【0009】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、故人の生前の画像を簡単かつリアルに表示可能とし、故人の供養に適した画像表示システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために第1の発明は、故人の生前の画像をAR表示のトリガであるARトリガと紐づけて記憶する記憶手段と、前記ARトリガを認識すると、認識した前記ARトリガに紐づけられた前記生前の画像を前記記憶手段から取得して表示する表示手段と、を備えることを特徴とする画像表示システムである。
【0011】
第1の発明の画像表示システムによれば、故人の生前の画像をAR(Augmented
Reality:拡張現実)トリガと紐づけて記憶手段に記憶しておき、表示手段がARトリガを認識すると、認識したARトリガに紐づけられた生前の画像を記憶手段から取得して表示する。これにより、故人の生前の画像が、実空間を背景として拡張現実的に表示されるため、故人を思い出し、心を向けやすくなる。またAR技術を用いて簡単に表示させることができるため、様々な供養の機会に利用でき、供養を習慣づけ、故人を供養する心を保つことも可能となる。また拡張現実的な表示によって故人をより身近に感じることが可能となる。
【0012】
第1の発明において、前記記憶手段はネットワークを介してアクセス可能なサーバに設けられ、前記表示手段は、前記ネットワークを介して前記サーバと通信する通信手段を更に備えることが望ましい。これにより、表示手段はサーバからネットワークを介して故人の生前の画像を取得できるため、利用地域に関わらず画像表示システムを利用できる。
【0013】
当該画像表示システムを利用するために会員登録処理を行う会員登録手段と、
前記会員登録手段により登録された会員の生存中に前記生前の画像を撮影する撮影手段と、を更に備えることが望ましい。予め会員登録を行った会員に対して生前画像の撮影等を含む画像表示システムの利用を可能とするため、画像データの手配や葬儀等における表示手段の準備を円滑に進めることができる。
【0014】
また、前記会員登録手段により登録された会員に紐づけて閲覧会員としての登録を受け付ける閲覧会員登録手段を更に備え、前記表示手段は、前記閲覧会員としてログインした表示手段に対して、当該閲覧会員に紐づけられた前記会員の生前の画像を前記記憶手段から読み出して表示することが望ましい。閲覧会員として登録することにより、故人の生前の画像を見ることが可能となる。
【0015】
1つのARトリガに対して複数の前記会員の生前の画像が紐づけられて記憶され、前記表示手段は、入力された会員情報に基づいて該当する前記生前の画像を前記記憶手段から読み出して表示する。これにより、例えば追悼行事等のように多数の故人を同時に供養する場合において、入力された会員情報(会員ID等)に基づいて生前画像を各表示手段に表示させるため、同じARトリガであっても、各表示手段で異なる生前画像を見ることができる。
【0016】
前記ARトリガの設定を受け付ける設定手段を更に備えることが望ましい。また、前記設定手段は、前記ARトリガの有効期間の設定を受け付け、前記表示手段は、前記ARトリガの有効期間において、当該ARトリガに紐づけられた前記生前の画像を視聴可能とする。これにより、ユーザが所望の対象物等をARトリガとして設定したり、ARトリガに有効期間を設けて、生前画像の表示期間を設定できる。
【0017】
前記表示手段は、前記ARトリガとするマーカを表示したボードと、前記ボードに表示されたマーカを読取るカメラ及び前記生前の画像を表示するディスプレイを備えた表示デバイスと、を備える。これにより表示手段を簡易な構成で提供でき、設置も容易である。また、前記表示デバイスは、眼鏡型またはゴーグル型のディスプレイを備えた表示デバイスを利用して構成できる。
【0018】
第2の発明は、故人の生前の画像をAR表示のトリガであるARトリガと紐づけて記憶する記憶手段と、前記ARトリガを認識すると認識した前記ARトリガに紐づけられた前記生前の画像を前記記憶手段から取得して表示する表示手段に対して、前記生前の画像を送信する画像送信手段と、を備えることを特徴とするサーバである。
【0019】
第2の発明により、故人の生前の画像をARトリガと紐づけて記憶し、表示手段でARトリガを認識すると認識したARトリガに紐づけられた生前の画像を表示手段に送信するサーバを提供できる。
【0020】
第3の発明は、ディスプレイを備えた表示デバイスであって、サーバと通信接続する通信手段と、AR表示のトリガであるARトリガを認識する認識手段と、前記認識手段により前記ARトリガを認識すると、認識した前記ARトリガに紐づけて前記サーバの記憶手段に記憶されている前記故人の生前の画像を取得して前記ディスプレイに表示させる表示手段と、を備えることを特徴とする表示デバイスである。
【0021】
第3の発明により、サーバと通信接続して故人の生前の画像を取得し、ARトリガを認識すると、認識したARトリガに紐づけて記憶されている生前画像をディスプレイに表示させる表示デバイスを提供できる。
【0022】
第4の発明は、サーバが、故人の生前の画像をAR表示のトリガであるARトリガと紐づけて記憶部に記憶するステップと、表示デバイスが、前記ARトリガを認識すると、認識した前記ARトリガに紐づけられた前記生前の画像を前記サーバの記憶部から取得して表示するステップと、を含むことを特徴とする画像表示方法である。
【0023】
第4の発明によれば、故人の生前の画像をARトリガと紐づけて記憶部に記憶しておき、表示デバイスがARトリガを認識すると、認識したARトリガに紐づけられた生前の画像をサーバの記憶部から取得して表示する。これにより、故人の生前の画像が、実空間を背景として拡張現実的に表示されるため、故人を思い出し、心を向けやすくなる。またAR技術を用いて簡単に表示させることができるため、様々な供養の機会に利用でき、供養を習慣づけ、故人を供養する心を保つことも可能となる。また拡張現実的な表示によって故人をより身近に感じることが可能となる。
【0024】
第5の発明は、コンピュータを、故人の生前の画像をAR表示のトリガであるARトリガと紐づけて記憶する記憶手段、前記ARトリガを認識すると認識した前記ARトリガに紐づけられた前記生前の画像を前記記憶手段から取得して表示する表示手段に対して、前記生前の画像を送信する画像送信手段、として機能させるためのプログラムである。
【0025】
第5の発明によれば、コンピュータを第2の発明のサーバとして機能させることが可能となる。
【0026】
第6の発明は、ディスプレイを備えた表示デバイスを、サーバと通信接続する通信手段、AR表示のトリガであるARトリガを認識する認識手段、前記認識手段により前記ARトリガを認識すると、認識した前記ARトリガに紐づけて前記サーバの記憶部に記憶されている前記故人の生前の画像を取得して前記ディスプレイに表示させる表示手段、として機能させるためのプログラムである。
【0027】
第6の発明によれば、表示デバイスを第1の発明の画像表示システムにおける表示手段、または第3の発明の表示デバイスとして機能させることが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、故人の生前の画像を簡単かつリアルに表示可能とし、故人の供養に適した画像表示システム等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】撮影システム2のハードウェア構成を示すブロック図
【
図3】サーバ3に記憶される会員情報321のデータ構成を示す図
【
図4】サーバ3に記憶される遺影用画像データ322のデータ構成を示す図
【
図5】サーバ3に記憶される生前画像データ323のデータ構成を示す図
【
図7】表示デバイス41のハードウェア構成を示すブロック図
【
図8】画像表示システム1の制御装置21、サーバ3、及び表示デバイス41の機能構成を示す図
【
図9】閲覧会員321eの情報が紐づけられた会員情報321Aのデータ構成を示す図
【
図10】表示システム4におけるARトリガ323dの例。(a)ボード43に表示された画像42a、枠42bをARトリガ323dとする例、(b)任意の画像(位牌42c)をARトリガ323dとする例
【
図11】スクリーン43Aに表示した枠42dや画像42eをARトリガ323dとする例
【
図12】
図10(a)のボード43における生前画像323cの表示例(見え方)
【
図13】
図11のスクリーン43Aにおける生前画像323cの表示例(見え方)
【
図14】画像表示システム1を用いた葬儀サービスの流れについて説明する図
【
図16】生前画像撮影処理の流れを示すフローチャート
【
図18】第2の実施形態の画像表示システム1を用いたサービスの流れについて説明する図
【
図19】有効期間323eが設定された生前画像データ323の例を示す図
【
図20】第2の実施形態の画像表示システム1の機能構成を示す図
【
図21】第2の実施形態における表示処理の流れを説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0031】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第2の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る画像表示システム1の全体構成を示す図である。画像表示システム1は、サーバ3、及び表示システム4がネットワーク5を介して通信接続されて構成される。また、必要に応じて撮影システム2がネットワーク5を介してサーバ3に通信接続される。
【0032】
撮影システム2は、例えばカメラ22及び制御装置21を含む撮影手段である。撮影システム2は、画像表示システム1を利用する登録会員A(故人)の生前において、登録会員Aの画像(静止画または動画)を撮影する。以下、生前において撮影された画像を生前画像と呼ぶ。撮影対象は、生前に当該画像表示システム1を利用するために会員登録を行った人物とする。
【0033】
カメラ22は、撮影業者(カメラマン)が使用するカメラや、固定的に設置されたカメラである。カメラ22は、登録会員の生前の画像を撮影すると、画像の識別情報である撮影IDを発行し、撮影した画像(静止画または動画)と撮影IDとを制御装置21に送信する。カメラ22と制御装置21との通信接続は、有線または無線のいずれでもよい。
【0034】
制御装置21は、カメラ22で撮影された画像に対して必要に応じて画像処理を行ったり、画像をサーバ3にアップロードしたりする端末(PCやタブレット等)であり、制御部201、記憶部202、通信部203、入力部204、表示部205、周辺機器I/F部206、及びバス209等を備える。なお、制御装置21の機能がカメラ22に含まれる構成、或いは、制御装置21がカメラ22と一体的な構成(カメラ付きタブレット等)としてもよい。
【0035】
制御部201は、CPU(Central
Processing Unit)、ROM(Read
Only Memory)、RAM(Random
Access Memory)等によって構成される。CPUは、記憶部202、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス209を介して接続された各装置を駆動制御する。
【0036】
記憶部202は、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等であり、制御部201が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(Operating System)等が格納される。プログラムに関しては、OSに相当する制御プログラムや、カメラ22からの画像の取得、画像処理、及びサーバ3への画像アップロードを実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。これらの各プログラムコードは、制御部201により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0037】
通信部203は、通信制御装置、通信ポート等を有し、制御装置21とネットワーク5との間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワーク5を介して、サーバ3や他のコンピュータ間との通信制御を行うことが可能である。ネットワーク5は、LAN(Local Area Network)や、より広域に通信接続されたWAN(Wide
Area Network)、またはインターネット等の公衆の通信回線、基地局等を含む。ネットワーク5は有線、無線を問わない。
【0038】
表示部205は、液晶等のディスプレイ装置、或いは、入力部204を兼ねたタッチパネル付ディスプレイ等により実現される。表示部205は、ユーザの操作・選択に係る各種の画面を表示し、画面上のタッチ操作によるユーザの指示入力等を受付ける。入力部204は、上述のタッチパネル、またはキーボード、マウス、及び各種のボタン等により構成され、入力された信号を制御部201に入力する。
【0039】
周辺機器I/F部206は、周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部206を介してカメラ22等の周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
図2の例は、1つのカメラ22が周辺機器I/F部206を介して制御装置21に接続されている例を示しているが、カメラ22は複数でもよい。バス209は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0040】
次に、サーバ3について説明する。サーバ3は、
図1に示すように、画像表示システム1において、会員情報321、遺影用画像データ322、生前画像データ323を記憶、管理するコンピュータである。
【0041】
会員情報321は、画像表示システム1の利用登録を行った登録会員(ユーザA)に関する情報である。
図3は、会員情報321のデータ構成の例を示す図である。
図3に示すように、会員情報321には、会員ID321a、パスワード321b、会員の個人情報321c、会員の親族等の連絡先情報321d等が格納される。個人情報321cは、画像表示システム1の運営者等が開設するWebサイトや専用のアプリを介して、ユーザAの端末(不図示)とサーバ3の間で行われる会員登録処理において入力されたユーザAの個人情報であり、ユーザAの住所、氏名、生年月日、メールアドレス等である。会員ID321aは、会員登録処理において設定される会員の識別情報である。パスワード321bは画像表示システム1へのログイン時に必要な認証用パスワードである。
【0042】
図4は、遺影用画像データ322のデータ構成の例を示す図である。遺影用画像データ322は、登録会員の遺影として使用される遺影用画像322bを管理するためのデータである。
図4に示すように、遺影用画像データ322には、会員ID322aと撮影ID322bと遺影用画像322cとが紐づけられて記憶される。遺影用画像322cは、登録会員であるユーザAの端末や葬儀業者のカメラ等によって生前に撮影された登録会員の画像であり、サーバ3にアップロードされて記憶部302に記憶される。会員ID322aは、画像表示システム1の会員情報321の会員ID321a(
図3)である。撮影ID322bは、遺影用画像322cを識別する情報であり、撮影時または画像登録時に遺影用画像322c毎に付与される。
【0043】
生前画像データ323は、生前画像323c(静止画または動画)を管理するためのデータである。生前画像323cは、登録会員(ユーザA)の生前に撮影された画像である。生前画像323cは撮影システム2の制御装置21からサーバ3にアップロードされてサーバ3の記憶部302に記憶される。なお、本実施形態では、生前画像323cを葬儀業者等が用意した撮影システム2のカメラ22で撮影される例を説明するが、これに限定されず、登録会員(ユーザA)自身が撮影した画像や、その家族、親族、知人等が撮影し、任意の端末からサーバ3にアップロードした画像でもよい。遺影用画像322cは葬儀等で使用するための静止画の顔写真であるが、生前画像323cは動画や全身の画像でもよく、ユーザAが生前に行っていた活動の様子等としてもよい。
【0044】
図5は、生前画像データ323のデータ構成の例を示す図である。
図5に示すように、生前画像データ323には、会員ID323a、画像ID323b、生前画像323c、ARトリガ323d等が紐づけられて記憶される。会員ID323aは画像表示システム1の会員情報321の会員ID321aである。画像ID323bは、生前画像323cの識別情報であり、生前画像323c毎に付与される。
【0045】
生前画像323cには、AR(Augmented Reality:拡張現実)表示のトリガであるARトリガ323dが紐づけて記憶される。生前画像323cをARトリガ323dと紐づけておけば、拡張現実的な表示を行うことができる。具体的には、例えば、表示デバイス41のカメラ406でマーカ型(画像認識型)のARトリガ323dを認識すると、実空間の中に生前画像323cを重ねて表示させることができる。ARトリガ323dは、単純ではっきりした白黒の図形等のマーカに限定されず、特定の写真やイラスト、文字等としてもよい。また、位置情報(GPS情報)をトリガとする位置認識型のARトリガ323dや、カメラやセンサ等を通じて現実世界の空間(高低差や大きさ、奥行き等)をトリガとする空間認識型のARトリガ323d、特定の三次元の立体物をトリガとする物体認識型(立体認識型)のARトリガ323d、マイク等により得た音声情報をトリガとする音声認識型のARトリガ323d等としてもよい。ARトリガ323dの設定については後述する。
【0046】
生前画像323cは2次元画像に限らず、x、y、z方向の3次元画像空間に描画される3次元画像としてもよい。
【0047】
サーバ3は、表示システム4の表示デバイス41からの要求に応答して、記憶部302に記憶されている生前画像データ323を、表示システム4の表示デバイス41へ送信する。
【0048】
図6は、サーバ3のハードウェア構成を示す図である。
図6に示すように、サーバ3は、例えば制御部301、記憶部302、及び通信部303等をバス309等により接続して構成したコンピュータにより実現できる。但し、これに限ることなく、適宜様々な構成をとることができる。
【0049】
制御部301、記憶部302、通信部303の機能は上述した制御部201、記憶部202、通信部203と略同様である。なお、サーバ3の記憶部302には後述する会員登録処理、生前画像撮影処理、及び表示処理をサーバ3に実行させるためのプログラムが格納される。これらの各処理については後述する。なお、サーバ3は機能毎に複数のコンピュータで構成してもよい。例えば、会員登録用サーバ、画像記憶用サーバ、画像送信用サーバのように複数のコンピュータでサーバ3を構成し、処理を分担するようにしてもよい。
【0050】
次に、表示システム4について説明する。
図1に示す表示システム4は、表示デバイス41と、ARトリガ323dとするマーカ42が印刷または貼付されたボード43等を含む。表示デバイス41は、サーバ3から取得した生前画像323cをユーザが見るために使用するデバイスであり、例えば、スマートグラスやヘッドマウントディスプレイ等と呼ばれる眼鏡型やゴーグル型の表示デバイスでもよいし、タブレット、スマートフォン、PCモニタ等でもよい。本実施形態では、表示デバイス41としてスマートグラスを例に説明する。
【0051】
スマートグラス(表示デバイス41)は、眼鏡のように頭部に装着して使用するウェアラブルデバイスである。スマートグラス(表示デバイス41)は、本体部とディスプレイ(表示部)405とを有し、本体部に制御部401、記憶部402、通信部403、入力部404、カメラ406、マイク407、スピーカ408、及び周辺機器I/F部409、位置情報取得部(GPS)410、センサ411等を有する。ディスプレイ(表示部)405は、透過型のディスプレイを備え、ユーザは実空間を背景としてディスプレイに表示される映像を見ることができる。これにより、ユーザは実空間中に生前画像323cを重ねてみることができる。
【0052】
図7は、表示デバイス41のハードウェア構成を示す図である。
図7に示すように、表示デバイス41は、制御部401、記憶部402、通信部403、入力部404、ディスプレイ(表示部)405、カメラ406、マイク407、スピーカ408、周辺機器I/F部409、位置情報取得部410、センサ411等をバス419により接続して構成される。但し、表示デバイス41の構成はこれに限ることなく、適宜様々な構成をとることができる。例えば各種の操作ボタン等を備えたコントローラ412を周辺機器I/F部409に接続して構成することもできる。
【0053】
制御部401は、CPU、ROM、RAM等により構成される。CPUは、記憶部402、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス419を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部401が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。制御部401は、上記プログラムを読み出して実行することにより、表示デバイス41の各機能部として機能する。
【0054】
具体的には、表示デバイス41の制御部401は、
図8に示すように、ログイン処理部44、画像取得部45、ARトリガ認識部46、画像表示部47等として機能する。各部の詳細については後述する。
【0055】
表示デバイス41の記憶部402は、例えば、フラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部402には制御部401が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、オペレーティングシステム等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部401により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。また、記憶部402には後述する表示処理を実行するためのプログラムが格納される。表示処理の詳細については後述する。
【0056】
通信部403は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、赤外線、近距離無線通信等の通信装置を有し、ネットワーク5等との通信やBluetooth対応機器との通信、または非接触型ICカード等との通信を制御する。表示デバイス41はネットワーク5を介してサーバ3と通信接続し、生前画像データ323を含む各種のデータを送受信可能である。
【0057】
位置情報取得部410は、GPS(Global Positioning System)のように衛星からの信号によって自デバイスの位置を検出するものとしてもよいし、携帯電話の無線基地局やWifi通信のアクセスポイントからの電波強度等によって自デバイスの位置を検出してもよい。位置情報取得部410は取得した位置情報を制御部401に通知する。
【0058】
センサ411は、例えば9軸センサ(地磁気センサ・加速度センサ・ジャイロセンサ)を含み、表示デバイス41の向いている方角や姿勢(傾きや回転)、動きの情報等を取得する。
【0059】
ディスプレイ405(表示部)は、シースルー方式の表示装置であり、例えば、スマートグラスのディスプレイ部の両眼部にそれぞれ設けられる。ディスプレイ405は、制御部401の制御により入力された表示情報を表示させる。ディスプレイ405の表示は、2D(2次元表示)または3D(立体表示)のいずれでもよい。
【0060】
カメラ406は、表示デバイス41の中央部に配置されるセンターカメラ、及び左右に配置されるステレオカメラを含むものとする。
マイク407は周囲の音声を入力し、制御部401に送信する。スピーカ408は、制御部401から送信された音声を出力する。カメラ406は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary
Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子を用いたカメラであり、動画または静止画を撮影する。本発明では、表示デバイス41のカメラ406はARトリガ323dの認識等に利用される。
【0061】
周辺機器I/F部409は、周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部409を介して周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。表示デバイス41は、周辺機器I/F部409を介してコントローラ412等を接続する。
【0062】
コントローラ412は、タッチパネルディスプレイ、通信I/F、各種ボタン等を有し、タッチパネルの操作またはボタンの操作によりスマートグラス(表示デバイス41)に対する操作指示を入力する。なお、スマートグラス(表示デバイス41)に対する操作指示はコントローラ412からの入力のみならず、マイク407を介した音声指示も可能としてもよい。また、スマートグラス(表示デバイス41)で操作画面等を表示し、カメラ406で手の動き等を認識することにより操作画面等への操作(ジェスチャ操作)を行うようにしてもよい。
【0063】
次に、
図8を参照して、画像表示システム1の機能構成について説明する。
図8に示すように、撮影システム2の制御装置21は、撮影処理部25、画像処理部26、画像アップロード部27を有する。サーバ3は、会員登録部31、画像取得部32、記憶部302、画像送信部34、ARトリガ設定部35等を有する。表示デバイス41は、ログイン処理部44、画像取得部45、記憶部402、ARトリガ認識部46、画像表示部47等を備える。
【0064】
制御装置21の撮影処理部25は、1または複数のカメラ22により登録会員の生前の画像を撮影する。撮影方法は任意であるが、表示システム4における表示方法に応じたものとする。
【0065】
制御装置21の画像処理部26は、撮影処理部25により撮影した画像データを取り込み、生前画像323cを生成する。画像処理部26は撮影された画像データの編集操作を受け付けてムービーの編集を行ったり、背景の透過処理を行ったり、3次元画像等の生成を行ったりする。
【0066】
また、画像処理部26は、生成した生前画像323cとARトリガ323dとの紐づけを行う。ARトリガ323dは、予め定められた所定の図形、画像等をAR表示のトリガとするマーカ型ARトリガとしてもよいし、制御装置21でユーザ等が生成した任意の図形、画像をマーカ型ARトリガとしてもよい。また、その他の情報(位置情報、空間情報、音声情報、立体物情報等)をARトリガ323dとしても設定してもよい。
【0067】
制御装置21の画像アップロード部27は、撮影・生成した生前画像323cをサーバ3にアップロードする。画像アップロード部27は、生前画像323cとともに、会員ID321a(323a)、制御装置21が発行した画像ID323b、及びARトリガ323dを送信する。
【0068】
サーバ3の画像取得部32は、撮影システム2(制御装置21)から送信された生前画像323c、会員ID321a(323a)、画像ID323b、及びARトリガ323dを受信し、記憶部302に生前画像データ323として記憶する。
【0069】
サーバ3の画像送信部34は、表示システム4(の表示デバイス41)からの要求に応答して、該当する生前画像データ323を送信する。
【0070】
サーバ3の会員登録部31は、画像表示システム1の利用者(ユーザA;生前画像323cの被撮影者)の会員登録処理を行う。会員登録部31は、例えば、葬儀業者や画像表示システム1の運営者が運営するWebサイト、またはアプリを介して所定の会員登録用画面を提供し、ユーザAの端末(不図示)から会員登録に必要な情報の入力を受付ける。会員登録用画面においてユーザAの住所、氏名、生年月日、メールアドレス等の個人情報321cや親族の連絡先情報321d等が入力されると、サーバ3の会員登録部31は会員ID321a及びパスワード321bを発行し、入力された情報(個人情報321c、連絡先情報321d等)とともに会員情報321としてサーバ3の記憶部302に記憶する。会員登録が完了すると、会員登録部31は、登録完了通知をユーザAの端末に送信する。また、会員登録部31は、登録会員(ユーザA)に紐づけて閲覧会員(ユーザB)としての登録を受け付ける。閲覧会員は、登録会員(ユーザA)の生前画像323cを閲覧することが許可された会員である。閲覧会員の登録を行うには、例えば、登録会員(ユーザA)の会員ID321a、パスワード321bを入力する。会員登録部31は、閲覧会員ID321eや閲覧用パスワードを発行し、登録会員(ユーザA)の会員情報321と紐づけて登録する。
【0071】
図9は、閲覧会員の情報が紐づけられた会員情報321Aを示す図である。
図9に示すように、登録会員の会員ID321a等と紐づけて、1または複数の閲覧会員ID321eが記憶される。
【0072】
ARトリガ設定部35は、生前画像323cに紐づけるARトリガ323dの設定を受け付ける。ARトリガ323dは、葬儀業者や画像表示システム1の運営者が設定してもよいし、ユーザ(登録会員または閲覧会員)が所望のオブジェクト(図形、任意の画像、コード、音声情報、位置情報、空間情報、物体情報等)をARトリガ323dとして設定してもよい。また、ARトリガ323dが紐づけられていない生前画像323cがアップロードされた際に、サーバ3の制御部301が所定のARトリガ323dを生前画像323cに紐づけてもよい。
【0073】
図10(a)は、ボード43に描かれた画像42a(仏像等の任意の画像)をARトリガ323dとしたり、ボード43の外周に描かれた枠42bをARトリガ323dとする例を示している。
図10(b)は、ユーザ(登録会員または閲覧会員)が所望のオブジェクト(物体)をARトリガ323dとする例を示す図である。
図10(b)の例では、登録会員の死後、親族によって位牌42cをARトリガ323dとして設定する例を示している。この場合、閲覧会員は登録会員(故人)の会員ID321aまたは閲覧会員ID321eを用いてサーバ3にログインし、スマートフォンやタブレット等の端末(不図示)で登録したいARトリガ(位牌42c)を撮影し、その画像をサーバ3にアップロードする。ARトリガ設定部35は、登録された画像をARトリガ323dとして会員ID321aに紐づけられた生前画像データ323に紐づけて記憶する。
【0074】
本発明の画像表示システム1を故人宅や親族宅等で利用する場合は、
図10に示すように、供養の際に目にするもの(仏像や仏具等)の画像をARトリガ323dに設定できる。また、葬儀会場等のように広い会場で画像表示システム1を利用する場合は、
図11に示すように大画面やスクリーン43A等に表示した画像やその画像の一部42e、スクリーンの枠42dをARトリガ323dとすれば、大勢の人が一斉に見られるようになる。この場合もARトリガ323dの登録手順は位牌42cの場合と同様である。
【0075】
また、GPS等により得られる位置情報をARトリガ323dとしてもよい。例えば、自宅の位置情報や霊園の位置情報をARトリガ323dとして設定することも可能である。また、音声情報をARトリガ323dとしてもよい。例えば、「こんにちは」等のような特定の発話音声や、リン(鈴/輪)の音データをARトリガ323dとして設定することも可能である。これらの場合も同様に、閲覧会員は登録会員の会員ID321aまたは閲覧会員ID321eを用いてサーバ3にログインし、スマートフォンやタブレット等の端末(不図示)で登録したいARトリガ323dの情報(位置情報、音声情報等)を入力し、入力した位置情報、音声情報等をサーバ3にアップロードする。ARトリガ設定部35は、登録された位置情報や音声情報を会員ID321aに紐づけられた生前画像データ323に紐づけて記憶する。また、一つの生前画像323cについて複数のARトリガ323dを紐づけてもよいし、一つのARトリガ323dに対して複数の生前画像323cを紐づけてもよい。
【0076】
図8の説明に戻る。表示デバイス41のログイン処理部44は、故人(登録会員)の供養を行うユーザB(閲覧会員)が画像表示システム1を利用するためにログイン処理を行う。ログイン処理では、表示デバイス41の入力部404またはコントローラ412からユーザBがユーザAの会員ID321a及びパスワード321bを入力する。或いは表示システム4のボード43やスクリーン43A等にユーザAの会員ID321a及びパスワード321bの情報を含むQRコードを印刷、貼付、または表示しておき、表示デバイス41のカメラ406で読み取る。ログイン処理部44は、入力された、または読み取った会員ID321a及びパスワード321bを用いてサーバ3にアクセスし、サーバ3との間でログイン処理を行う。認証成功するとログイン完了し、画像表示システム1を利用可能となる。ユーザBが閲覧会員の場合は、閲覧会員ID321e及び閲覧用パスワードを用いてサーバ3にログインする。
【0077】
画像取得部45は、ログイン完了すると、サーバ3に対してログイン情報(会員ID321aまたは閲覧会員ID321e)に基づいて該当する生前画像データ323の取得を要求する。サーバ3の画像送信部34から生前画像データ323が送信されると、画像取得部45は生前画像データ323を受信し、記憶部402に記憶する。生前画像データ323には、表示のトリガとするARトリガ323dの情報が紐づけられている。
【0078】
ARトリガ認識部46は、ARトリガ323dの認識を行う。ARトリガ323dが、例えば、
図10(a)に示すように、ボード43等に描かれた図形42bや画像42a等の場合は、表示デバイス41のカメラ406からその図形42bや画像42aが入力されると、ARトリガ認識部46が画像解析を行ってARトリガ323dが入力されたと認識する。
【0079】
画像表示部47は、ARトリガ認識部46によりARトリガ323dの入力を認識すると、記憶部402に記憶されている生前画像323cを取得し、表示部(ディスプレイ)405に表示する。
【0080】
図12は、生前画像323cの見え方の例を示す図である。
図12は、
図10(a)に示すボード43を故人や遺族の自宅等に設置し、表示デバイス41を用いてボード43を見た場合の生前画像323cの見え方を示している。閲覧会員(ユーザB)は、ログイン処理後の表示デバイス41を装着する。表示デバイス41はカメラ406からの入力情報によってボード43のARトリガ323d(画像42a、または枠42b)を認識すると、生前画像323cを表示する。表示デバイス41が眼鏡型やゴーグル型の場合は、透過型のディスプレイ405を透過して見える実空間を背景として生前画像323cを重ねて見ることとなる。つまり、ボード43を背景として生前画像323cを見ることができる。
【0081】
また、
図13は、
図11に示すスクリーン43Aを葬儀会場等に設置し、表示デバイス41を用いてスクリーン43Aを見た場合の生前画像323cの見え方を示している。閲覧会員(ユーザB)は、ログイン処理後の表示デバイス41を装着する。表示デバイス41はカメラ406からの入力情報によってスクリーン43AのARトリガ323d(枠42d、画像42e)を認識すると、生前画像323cを表示する。表示デバイス41が眼鏡型やゴーグル型の場合は、スクリーン43Aを背景として生前画像323cを見ることができる。
【0082】
表示デバイス41は、眼鏡型のデバイス(スマートグラス)に限定されず、カメラ406及びディスプレイ405を備えたタブレットやスマートフォン、PC等を用いることもできる。
【0083】
次に、
図14を参照して、画像表示システム1を用いた葬儀サービスの流れについて説明する。
図14において、実線で示す枠は画像表示システム1を用いる処理工程であり、破線で示す枠は人が行う工程を示している。以下の説明では、ユーザAは画像表示システム1の登録会員であり故人となる人物とし、ユーザBはユーザAの親族等とする。
【0084】
ユーザAは、スマートフォンやPC等を利用して葬儀業者等が提供するWebサイト(葬儀サービスサイト)にアクセスし、会員登録処理を行う(ステップS1)。ユーザAは、住所、氏名、生年月日、メールアドレス等の個人情報321cを葬儀サービスサイト(サーバ3)に送信する。葬儀サービスサイト(サーバ3)は受信した情報を会員情報321として登録し、会員ID321aを発行し、パスワード321bとともにユーザAの端末に送信する(ステップS2)。
【0085】
図15はサーバ3とユーザAの端末(ユーザ端末)との間で実行される会員登録処理の流れの詳細を示すフローチャートである。
図15に示すように、サーバ3の制御部301(会員登録部31)は、ユーザAの端末に対して会員登録用画面を送信し(ステップS101)、会員登録に必要な情報の入力を受付ける。ユーザAの端末は会員登録用画面を表示部に表示する(ステップS102)。ユーザAは、会員登録用画面にユーザAに関する情報(氏名、住所、生年月日、メールアドレス、親族の連絡先等)を入力する(ステップS103)。ユーザ端末は、入力されたユーザに関する情報をサーバ3に送信する(ステップS104)。
【0086】
サーバ3(会員登録部31)は、ユーザAに関する情報を受信すると(ステップS105)、会員ID321aやパスワード321bを発行して受信したユーザに関する情報と紐づけて記憶部302に会員情報321として記憶する(ステップS106)。サーバ3の制御部301は、会員登録完了通知を登録されたメールアドレス宛(ユーザ端末)に送信する(ステップS107)。会員登録完了通知では、会員登録が完了した旨と、会員ID321aやパスワード321b等が通知される。ユーザ端末は会員登録完了通知を受信すると、表示部に表示する(ステップS108)。
【0087】
会員登録が完了すると、ユーザAが葬儀業者の施設に行くか、或いは葬儀業者がユーザAの元を訪れ、遺影用画像322bや生前画像323cの撮影を行う。撮影された遺影用画像322bは、ユーザAの会員ID321a(322a)と紐づけてサーバ3に遺影用画像データ322として保存される。また、生前画像323cも、ユーザAの会員ID321a(323a)と紐づけてサーバ3に生前画像データ323として保存される。(ステップS3)。
【0088】
図16は、生前画像撮影処理の流れを示すフローチャートである。
図16に示すように、葬儀業者は撮影システム2のカメラ22を用いて登録会員(ユーザA)の生前の画像を撮影し(ステップS201)、画像データをカメラ22から制御装置21へ送信する(ステップS202)。
【0089】
制御装置21は各カメラ22から画像データを受信すると(ステップS203)、オペレータ(葬儀業者、画像表示システム1の運営者、または映像編集者)の操作に基づいて画像処理を行う(ステップS204)。ステップS204の画像処理では、制御装置21は、所定の編集アプリケーションを起動し、操作画面を表示し、オペレータの操作を受け付け、ARトリガ323dとする画像を生成したり、画像の背景透過処理を行ったり、3D画像の生成を行ったり、ムービーの作成を行ったりする。そして、生成した生前画像323cに画像ID323bを付与して、登録会員(ユーザA)の会員ID321a(323a)とともにサーバ3にアップロードする(ステップS205)。
【0090】
サーバ3は、撮影システム2の制御装置21から送信された生前画像323c、画像ID323b、会員ID321a(323a)、ARトリガ323dを生前画像データ323として記憶部302に記憶する(ステップS206)。
【0091】
なお、ステップS204の画像処理は、制御装置21で行わずにサーバ3側で行うようにしてもよい。すなわち、葬儀サービスサイト(Webサイト)を介してオペレータの端末に編集アプリケーションや操作画面を提供してもよい。また、カメラ22で撮影した画像(生前画像323c)を、カメラ22から直接サーバ3にアップロードしてもよい。
【0092】
図14の説明に戻る。
ユーザAが亡くなると(ステップS4)、例えば、病院からユーザAの親族であるユーザBの元に連絡が入る(ステップS5)。ユーザBは、連絡を受けると病院へ行く(ステップS6)。ユーザBまたは病院は葬儀業者へ連絡する(ステップS7)。葬儀業者は、サーバ3の会員情報321を参照してユーザAが登録会員であることを確認する(ステップS8)。また、葬儀業者はユーザBの続柄を確認する(ステップS9)。ステップS9は、ユーザBがユーザAの会員情報を利用して画像表示システム1を利用可能なユーザであるかを確認するためである。その後、葬儀業者は、病院から葬儀会場に遺体を運び(ステップS10)、葬儀の会場手配や納棺の手配を開始する(ステップS11)。
【0093】
葬儀業者は、葬儀が始まる前に、葬儀会場に表示システム4を設置する(ステップS12)。
【0094】
親族等(ユーザB)は葬儀会場へ行き(ステップS13)、予定の時刻になると、葬儀が開始される。所定のタイミングになると、ユーザBは表示デバイス41を装着し、ARトリガ323dとなる画像42eまたは枠42dが表示されたスクリーン43Aを見る。表示デバイス41は、表示処理を行って故人の生前画像323cを表示する(ステップS14)。
【0095】
図17は、ステップS14の表示処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、ARトリガ323dであるマーカ42及び眼鏡型の表示デバイス41(スマートグラス)を用いた表示システム4を用いた表示処理について説明する。
【0096】
ユーザBは、表示デバイス41のカメラ406を用いて、スクリーン43A等に表示されている故人(登録会員)の会員ID321a及びパスワード321bの情報を含むQRコード(不図示)などを読み取る(ステップS301)。表示デバイス41の制御部401(ログイン処理部44)は、会員ID321a及びパスワード321bとともにログイン要求をサーバ3に送信する(ステップS302)。サーバ3は受信した会員ID321a及びパスワード321bに基づいて認証処理を行い、認証成功した場合は表示デバイス41のログイン処理を行う(ステップS303)。なお、ステップS301~ステップS303では、ユーザBが閲覧会員として登録済みである場合は、閲覧会員ID321eを用いてログイン処理を行ってもよい。また、故人(登録会員)の閲覧会員として会員登録処理を、表示デバイス41とサーバ3との間で行うようにしてもよい。
【0097】
次に、表示デバイス41の制御部401(画像取得部45)は、サーバ3に生前画像データ323の送信要求を送信する(ステップS304)。サーバ3は、該当する会員ID321a(または閲覧会員ID321e)に紐づけられた生前画像データ323を記憶部302から読み出し(ステップS305)、表示デバイス41に送信する(ステップS306)。表示デバイス41は、生前画像データ323を受信して(ステップS307)、記憶部402に記憶する(ステップS308)。
【0098】
その後、表示デバイス41のカメラ406にマーカ42が写ると、制御部401(ARトリガ認識部46)はARトリガ323d42を認識する(ステップS309)。表示デバイス41の制御部401(画像表示部47)は、生前画像323cをディスプレイ405に表示させる(ステップS310)。
【0099】
例えば、1つのARトリガ323dに対して複数の会員の生前画像323cが紐づけられて記憶されている場合、サーバ3は表示デバイス41から受信したログイン情報(会員ID321aや閲覧会員ID321e)に紐づけられた生前画像323cを記憶部302から読み出して表示デバイス41に送信して表示させる。このため、各表示デバイス41で同じマーカ42(ARトリガ323d)を認識しても、それぞれ異なる故人の生前画像323cを表示できる。多数の故人を弔う追悼行事や合同の墓地等において本画像表示システム1を利用する場合には、それぞれ自分に関係のある故人の生前画像323cを表示デバイス41で見ることができる。
【0100】
以上説明したように、本発明の画像表示システム1によれば、葬儀等で故人の遺影だけでなく生前の画像を表示させることができる。AR技術を用いて生前画像323cを仮想現実的に表示させることができるため、参列者は故人を身近に感じることができ、故人に心を寄せることができる。
【0101】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。故人の供養は葬儀だけでなく、一周忌、3回忌、7回忌、命日等の法事や、お盆やお彼岸等の民俗的、社会的習慣、その他の行事等でも行われる。また、戦没者や大事故、自然災害等の追悼行事が特定の日に行われる。本発明の第2の実施形態では、AR表示の有効期間を設定し、有効期間内にARトリガ323dを表示デバイス41で認識すると、故人の生前画像323cを表示する例について説明する。なお、第2の実施形態の画像表示システム1のハードウェア構成は、第1の実施形態と同様である。以下、同一の各部について同一の符号を付して説明する。
【0102】
図18は、本発明の第2の実施の形態の画像表示システム1を用いたサービスの流れを示す図である。
図18は登録会員の死後において実施される処理を示している。会員登録や生前画像323cの撮影等は、
図14のステップS1~ステップS3や
図15のフローチャートと同様に行われ、サーバ3にユーザA(故人)の会員情報321や生前画像データ323が記憶されているものとする。また、
図18において実線で示す枠は画像表示システム1を用いる処理工程であり、破線で示す枠は人が行う工程を示している。
【0103】
葬儀業者等は、登録会員(ユーザA)の死後、ユーザAの親族等(ユーザB)にユーザAの会員ID323a、パスワード321bを知らせる(ステップS21の(1))。または、ユーザBが閲覧会員となりユーザAの会員情報321とユーザBの閲覧会員ID321eとを紐づける(ステップS21の(2))。
【0104】
サーバ3(葬儀業者や画像表示システム1の運営者)は、ユーザAの生前画像データ323(ARトリガ323d)に有効期間323e(表示可能期間)の設定を行う(ステップS22)。有効期間323eの例としては、例えば、ユーザAの命日、初七日、四十九日、一周忌、三回忌、七回忌、…等のように死亡日から決定される特定の供養日や、新盆やお盆、彼岸等のように民俗的、地域的、習慣的祭祀、行事等の期間、及びその前後の期間が挙げられる。また、戦没者追悼行事や、事故、自然災害等の追悼行事の日を有効期間323eとしてもよい。有効期間323eは、サーバ3がユーザの死亡日や行事の日等に基づいて決定して設定してもよいし、例えば、葬儀業者や画像表示システム1の運営者がPC等の端末からサーバ3にアクセスし、対象とする登録会員の会員ID321aを用いて有効期間設定処理を行ってもよい。サーバ3は、有効期間323eを生前画像323cと紐づけて記憶する。
【0105】
図19は、第2の実施形態における生前画像データ323Aの例を示す図である。
図19に示すように、生前画像データ323Aには、会員ID323a、画像ID323b、生前画像323c、ARトリガ323dと紐づけて、有効期間323eが記憶される。生前画像323cに紐づける有効期間323eは、1期間だけでなく、複数の期間としてもよい。また、ユーザAの生前画像323cが複数記憶されている場合は、生前画像323c毎に有効期間323eを設定してもよい。また、有効期間323e毎に異なるARトリガ323dを設定してもよい。この場合は、例えば、お盆用のARトリガ323d、命日用のARトリガ323dのようにボード43やスクリーン43A等に表記するマーカ42(ARトリガ323d)を有効期間323e毎に使い分けることができる。
【0106】
葬儀業者はユーザBの住所に表示システム4(AR表示用のボード43や表示デバイス41)を配送する(ステップS23)。ユーザBは表示システム4を受け取り、お盆期間等、設定された有効期間323eに所望の場所に設置する(ステップS24)。
【0107】
ユーザBは表示デバイス41からサーバ3にログインする(ステップS25)。ログインは、表示デバイス41にインストールされている専用のアプリを起動して、ユーザAの会員ID321a及びパスワード321bを用いて行ってもよいし、ユーザBが登録した閲覧会員ID321e及び閲覧用パスワードを用いてもよい。ログイン成功すると、表示デバイス41はサーバ3から会員ID321a(閲覧会員ID321e)に紐づけられた生前画像データ323を取得する。表示デバイス41でARトリガ323dを認識し、有効期間323e内であれば、ユーザAの生前画像323cが表示デバイス41により表示される(ステップS26)。
【0108】
図20は第2の実施形態の画像表示システム1の機能構成を示す図である。第1の実施形態と異なる点は、第2の実施形態のサーバ3Aが、有効期間設定部36及び有効期間判定部37を更に備える点である。
【0109】
有効期間設定部36は、ユーザAの死亡日や、死亡日から決定される法事の日、及びユーザAの居住地で習慣的に行われている供養日(お盆期間、彼岸等)に基づいてユーザAの生前画像323cの有効期間323eを決定し、生前画像323cに紐づけて有効期間323eを記憶する。
【0110】
或いは、有効期間設定部36は、葬儀業者等の操作による有効期間323eの設定を受け付けるようにしてもよい。有効期間323eの設定のために、サーバ3Aは、有効期間設定画面(サイト)等のユーザインターフェースを提供することが望ましい。有効期間設定画面(サイト)では、会員ID321aや設定する有効期間323eの入力を受け付ける。ユーザAの生前画像323cが複数ある場合は、生前画像323c毎に有効期間323eを設定してもよい。また、有効期間323e毎に異なるARトリガ323dを設定してもよい。
【0111】
有効期間判定部37は、表示デバイス41から生前画像データ323の送信要求を受けた日時が有効期間設定部36により設定された有効期間323e内であるか否かを判定する。有効期間323e内であれば、ARトリガ323dに紐づけられた生前画像323cが画像送信部34によって表示デバイス41に送信される。
【0112】
図21は、
図18のステップS25~ステップS26の表示処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
【0113】
ユーザBは、第1の実施形態の表示処理(
図17)と同様に、表示デバイス41のカメラ406を用いて、スクリーン43A等に表示されている故人(登録会員)の会員ID321a及びパスワード321bの情報を含むQRコード(不図示)などを読み取る(ステップS401)。表示デバイス41の制御部401(ログイン処理部44)は、会員ID321a及びパスワード321bとともにログイン要求をサーバ3に送信する(ステップS402)。サーバ3は受信した会員ID321a及びパスワード321bに基づいて認証処理を行い、認証成功した場合は表示デバイス41のログイン処理を行う(ステップS403)。なお、ステップS401~ステップS403では、ユーザBが閲覧会員として登録済みである場合は、閲覧会員ID321eを用いてログイン処理を行ってもよい。また、故人(登録会員)の閲覧会員として会員登録処理を、表示デバイス41とサーバ3との間で行うようにしてもよい。
【0114】
次に、表示デバイス41の制御部401(画像取得部45)は、サーバ3に生前画像データ323の送信要求を送信する(ステップS404)。サーバ3の制御部301は、該当する会員ID321aに紐づけられた生前画像データ323を記憶部302から読み出す(ステップS405)。
【0115】
サーバ3の制御部301(有効期間判定部37)は、表示デバイス41から生前画像データ323の送信要求を受けた日時が有効期間設定部36により設定された有効期間323e内であるか否かを判定する(ステップS406)。有効期間323e内ではないと判定された場合は(ステップS406;No)、サーバ3の制御部301は、エラー通知を表示デバイス41に送信する(ステップS407)。表示デバイス41ではエラー通知を表示し、ステップS401に戻る。
【0116】
有効期間323e内であれば(ステップS406;Yes)、サーバ3の制御部301(画像送信部34)は、会員ID321aに紐づけられた生前画像323cを表示デバイス41に送信する。もし、1つの会員ID321aについて複数の生前画像323cが紐づけられている場合は、有効期間323eに該当する生前画像323cだけを送信する(ステップS408)。
【0117】
表示デバイス41は、生前画像データ323を受信して(ステップS409)、記憶部402に記憶する(ステップS410)。
【0118】
その後、表示デバイス41のカメラ406にARトリガ323dであるマーカ42が写ると、制御部401(ARトリガ認識部46)はARトリガ323dを認識する(ステップS411)。表示デバイス41の制御部401(画像表示部47)は、生前画像323cをディスプレイ405に表示させる(ステップS412)。
【0119】
以上説明したように、第2実施形態では、AR表示の有効期間を設定できるので、適切なタイミングでユーザBに故人の供養を行わせることができる。また供養の習慣が身につくようになる。
【0120】
なお、上述の各実施形態における処理の流れや生前画像の表示の仕方等は一例であり、これに限定されない。例えば、表示デバイス41は、ARトリガ323dを認識してからサーバ3に生前画像データ323の送信要求を行うようにしてもよい。また、生前画像323cを表示する際は、立体表示やホログラム表示を行うようにしてもよい。これらの表示方法は、公知の技術(例えば、特開2017-28692の立体映像表示装置や、特開2015-0090408の映像表示装置等)を用いることで実現できる。
【0121】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0122】
1………画像表示システム
2………撮影システム
3………サーバ
4………表示システム
5………ネットワーク
21………制御装置
22………カメラ
25………撮影処理部
26………画像処理部
27………画像アップロード部
31………会員登録部
32………画像取得部
34………画像送信部
35………ARトリガ設定部
41………表示デバイス
42………ARトリガ(マーカ)
43………ボード
43A……スクリーン
44………ログイン処理部
45………画像取得部
46………ARトリガ認識部
47………画像表示部
321……会員情報
322……遺影用画像データ
323……生前画像データ