(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184376
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】美容器具
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092179
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】森本 夏海
(72)【発明者】
【氏名】北村 央
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】大野木 洋子
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ11
4C053JJ24
(57)【要約】
【課題】肌との間に薬剤が保持され、薬剤を介して肌に安定して電気刺激を与えることが可能な美容器具を提供する。
【解決手段】美容器具1は、扁平状の本体部10と、本体部10の厚さ方向Zから見た状態で本体部10の端部に設けられ、外周縁20aが少なくとも一つの凸曲部22及び少なくとも一つの凹曲部26を有するように形成された施術部20とを備えている。美容器具1は、厚さ方向Zから見た状態で施術部20の端部に設けられ、第1電極部31と、第1電極部31から離れた位置に設けられた第2電極部32とを含む電極部30を備えている。そして、少なくとも一つの凹部が、第1電極部31の露出面、第1電極部31の露出面の周囲、第2電極部32の露出面、及び第2電極部32の露出面の周囲からなる群より選択される少なくとも一つに設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状の本体部と、
前記本体部の厚さ方向から見た状態で前記本体部の端部に設けられ、外周縁が少なくとも一つの凸曲部及び少なくとも一つの凹曲部を有するように形成された施術部と、
前記厚さ方向から見た状態で前記施術部の端部に設けられ、第1電極部と、前記第1電極部から離れた位置に設けられた第2電極部とを含む電極部と、
を備え、
少なくとも一つの凹部が、前記第1電極部の露出面、前記第1電極部の露出面の周囲、前記第2電極部の露出面、及び前記第2電極部の露出面の周囲からなる群より選択される少なくとも一つに設けられている、美容器具。
【請求項2】
前記少なくとも一つ凹部は、前記第1電極部の露出面に設けられた第1凹部及び前記第2電極部の露出面に設けられた第2凹部を含み、
前記第1凹部の深さは、前記第1電極部の露出面の外周縁から内側に向かうにつれて深くなるように形成されており、
前記第2凹部の深さは、前記第2電極部の露出面の外周縁から内側に向かうにつれて深くなるように形成されている、請求項1に記載の美容器具。
【請求項3】
前記少なくとも一つ凹部は、前記第1電極部の露出面に設けられた複数の第3凹部、及び前記第2電極部の露出面に設けられた複数の第4凹部を含み、請求項1又は2に記載の美容器具。
【請求項4】
前記第1電極部の露出面の周囲には、前記第1電極部の露出面よりも前記第1電極部の露出面に対して垂直方向外側に突出した第1凸部が設けられており、
前記第2電極部の露出面の周囲には、前記第2電極部の露出面よりも前記第2電極部の露出面に対して垂直方向外側に突出した第2凸部が設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の美容器具。
【請求項5】
前記第1凸部には、前記第1電極部の露出面に垂直な方向から見た状態で一端に切欠部が設けられており、
前記第2凸部には、前記第2電極部の露出面に垂直な方向から見た状態で一端に切欠部が設けられている、請求項4に記載の美容器具。
【請求項6】
前記施術部の少なくとも一部を加熱する加熱部をさらに備え、
前記施術部は、前記少なくとも一つの凸曲部及び前記少なくとも一つの凹曲部が設けられ、金属を含むハウジングを含み、
前記第1凸部及び前記第2凸部は絶縁材料を含んでいる、請求項4又は5に記載の美容器具。
【請求項7】
前記第1電極部の露出面が前記第1電極部の露出面に対して垂直方向に揺動するように前記第1電極部を支持する第1弾性部と、
前記第2電極部の露出面が前記第2電極部の露出面に対して垂直方向に揺動するように前記第2電極部を支持する第2弾性部と、
をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の美容器具。
【請求項8】
前記少なくとも一つの凸曲部は、第1凸曲部と、第2凸曲部と、第3凸曲部とを含み、
前記電極部は前記第2凸曲部の頂部と前記第3凸曲部の頂部との間に設けられており、
前記第2凸曲部の頂部と前記第3凸曲部の頂部との間の距離は、前記第1凸曲部の頂部と前記第2凸曲部の頂部との間の距離よりも長い、請求項1から7のいずれか一項に記載の美容器具。
【請求項9】
前記第1電極部及び前記第2電極部は前記第3凸曲部の頂部よりも前記第2凸曲部の頂部に近い位置に配置されている、請求項8に記載の美容器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、美容器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扁平状の本体と、複数の電極とを備え、肌の美容効果を高めることができる美容器具が知られている。
【0003】
このような美容器具として、特許文献1には、第1電極と、第2電極と、第3電極とを備える美容器具が開示されている。第1電極は、本体の側面に位置している。第2電極は、凹状湾曲部を有する第1縁部に位置して凹状に湾曲した部分を有している。第3電極は、複数の凸状湾曲部を有する第2縁部に位置するとともに、側面視外方に凸状に湾曲した複数の凸状部分を有している。これにより、肌に対して、物理的なマッサージとともに美容効果を発揮する電気刺激を付与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているような電極を備える美容器具によれば、肌に対し、美容効果を発揮する電気刺激を付与することができる。ところで、電気刺激を付与する美容器具を用いる場合、美容器具の電気刺激の効果を向上させるため、ジェルなどの薬剤を肌に塗った状態で肌をマッサージする場合がある。
【0006】
しかしながら、従来の美容器具では、物理的なマッサージとともに電気刺激を付与した場合、第1縁部又は第2縁部により、薬剤が擦り取られてしまうおそれがある。このような場合、美容器具からの電流を肌に十分に到達させることができず、電気刺激の効果が低減してしまうおそれがある。また、肌の局所的な部分に電気刺激が付与され、電気刺激による痛みが生じやすくなるおそれがある。
【0007】
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、肌との間に薬剤が保持され、薬剤を介して肌に安定して電気刺激を与えることが可能な美容器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様に係る美容器具は、扁平状の本体部と、本体部の厚さ方向から見た状態で本体部の端部に設けられ、外周縁が少なくとも一つの凸曲部及び少なくとも一つの凹曲部を有するように形成された施術部とを備えている。美容器具は、厚さ方向から見た状態で施術部の端部に設けられ、第1電極部と、第1電極部から離れた位置に設けられた第2電極部とを含む電極部を備えている。そして、少なくとも一つの凹部が、第1電極部の露出面、第1電極部の露出面の周囲、第2電極部の露出面、及び第2電極部の露出面の周囲からなる群より選択される少なくとも一つに設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、肌との間に薬剤が保持され、薬剤を介して肌に安定して電気刺激を与えることが可能な美容器具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る美容器具の斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る美容器具の側面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る美容器具の正面図である。
【
図4】施術部を
図3のIV-IV線で切断した断面図である。
【
図7】本開示の他の実施形態に係る第1電極部を示した断面図である。
【
図8】本開示の他の実施形態に係る第2電極部を示した断面図である。
【
図9】本開示の他の実施形態に係る第1電極部を示した正面図である。
【
図10】本開示の他の実施形態に係る第2電極部を示した断面図である。
【
図11】本開示の他の実施形態に係る電極部を示した正面図である。
【
図13】
図11のXIII-XIII線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0012】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
また、以下の実施形態では、本体部10の長辺部10aに略平行な方向を長手方向X又はX方向とする。また、本体部10の厚さ方向を厚さ方向Z又はZ方向とする。そして、長手方向Xに直交するとともに厚さ方向Zに直交する方向を短手方向Y又はY方向とする。
【0014】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図6を用いて、本実施形態に係る美容器具1を説明する。
【0015】
本実施形態に係る美容器具1は、
図1~
図4に示すように、扁平状の本体部10と、施術部20と、電極部30とを備えている。本実施形態に係る美容器具1は、使用者が本体部10を把持した状態で施術部20を肌に当接させて、施術部20を肌上で動かすことにより、肌に物理刺激を付与する。そして、美容器具1は、電極部30を通電させることで肌に電気刺激を付与する。これにより、例えば、顔などの筋肉をEMS(Electrical Muscle Stimulation)トレーニングすることができる。
【0016】
本体部10は、ハウジング11を含んでいる。ハウジング11は、扁平状をしており、本体部10の外郭を形成している。本体部10は、内部に中空部12を有している。中空部12には、制御回路基板や蓄電池等の電気製品が収容されている。中空部12は、外側からハウジング11によって覆われている。
【0017】
本体部10は、美容器具1を使用する際に、使用者が手で把持する把持部として機能する。そして、使用者が本体部10を把持した状態で、使用者自身の肌、又は、使用者以外の被施術者の肌に施術部20を当接させて動かすことで、使用者や被施術者の肌に物理刺激及び電気刺激の少なくともいずれか一方が与えられる。
【0018】
本体部10は、
図2に示すように、Z方向から見た状態で、略台形状となるように形成されている。本体部10は、長辺部10a、短辺部10b、第1斜辺部10c、及び、第2斜辺部10dを有している。そして、略台形状は、長辺部10a、短辺部10b、第1斜辺部10c、及び、第2斜辺部10dによって形成されている。
【0019】
長辺部10aは、
図2に示すように、Z方向から見た状態で、美容器具1の外周縁を形成している。短辺部10bは、施術部20が設けられる側に延在している。第1斜辺部10cは、長辺部10aの一端と短辺部10bの一端とを連結し、施術部20が設けられる側に延在している。第2斜辺部10dは、長辺部10aの他端と短辺部10bの他端とを連結し、美容器具1の外周縁を形成している。
【0020】
ハウジング11は、外面が全体的に丸みを帯びるように形成されている。これにより、外面にエッジが形成されてしまうのを極力抑制することができる。そして、使用者が本体部10を把持した際に、使用者の手にエッジが当たってしまい、使用者の手に余計な刺激を与えてしまうことを抑制することができる。ハウジング11は、例えば、合成樹脂で形成された複数の分割体を継ぎ合わせて形成されてもよい。
【0021】
施術部20は、本体部10の厚さ方向Zから見た状態で本体部10の端部に設けられている。本実施形態では、短辺部10b及び第1斜辺部10cが本体部10の端部10eに相当しており、施術部20は、Z方向から見た状態で、本体部10の短辺部10b及び第1斜辺部10cに設けられている。施術部20は、本体部10に対して樹脂製の支持部15を介して支持されている。
【0022】
施術部20は、ハウジング21を含んでいる。ハウジング21は、施術部20の外郭を形成している。ハウジング21は、例えば、おおよそ一定の厚みで形成された複数の分割体を継ぎ合わせることで、内部に中空部を形成している。ハウジング21は金属製であり、例えば、アルミニウム合金のような金属を含んでいる。
【0023】
施術部20は、外周縁20aが少なくとも一つの凸曲部22及び少なくとも一つの凹曲部26を有するように形成されている。具体的には、ハウジング21には、少なくとも一つの凸曲部22及び少なくとも一つの凹曲部26が設けられている。本実施形態では、少なくとも一つの凸曲部22は、第1凸曲部23と、第2凸曲部24と、第3凸曲部25とを含んでいる。また、本実施形態では、少なくとも一つの凹曲部26は、第1凹曲部27と、第2凹曲部28とを含んでいる。
【0024】
ハウジング21を本体部10の端部10eに設けた状態で、Z方向から見た際に、ハウジング21における長辺部10aと第1斜辺部10cとの交点10f側には、第1凸曲部23が形成されている。
【0025】
第1凸曲部23は、Z方向から見た状態で、第1斜辺部10cと交差する方向(ほぼ直交する方向)に突出している。第1凸曲部23には、底部23aから頂部23bを通って底部23cまで滑らかに連続した第1凸状稜線部23dが形成されている。
【0026】
また、ハウジング21を本体部10の端部10eに設けた状態で、Z方向から見た際に、ハウジング21における短辺部10bと第1斜辺部10cとの交点10g側には、第2凸曲部24が形成されている。
【0027】
第2凸曲部24は、Z方向から見た状態で、第1斜辺部10cと交差する方向(ほぼ直交する方向)に突出している。第2凸曲部24には、底部24aから頂部24bを通って底部24cまで滑らかに連続した第2凸状稜線部24dが形成されている。なお、本実施形態では、第2凸曲部24は、第1凸曲部23よりも外側に大きく突出する。
【0028】
そして、第1凸曲部23と第2凸曲部24との間(底部23cと底部24aとの間)には、第1凸曲部23と第2凸曲部24とを滑らかに連結する第1凹曲部27が形成されている。
【0029】
第1凹曲部27は、Z方向から見た状態で、第1斜辺部10cと交差する方向(ほぼ直交する方向)に窪んでいる。第1凹曲部27には、第1凸曲部23の底部23cから頂部27aを通って第2凸曲部24の底部24aまで滑らかに連続した第1凹状稜線部27bが形成されている。
【0030】
また、ハウジング21を本体部10の端部10eに設けた状態で、Z方向から見た際に、ハウジング21における短辺部10bと第2斜辺部10dとの交点10h側に、第3凸曲部25が形成されている。なお、長辺部10aと第2斜辺部10dとの交点10iは、施術部20から離れた位置に形成されている。
【0031】
第3凸曲部25は、Z方向から見た状態で、短辺部10bと交差する方向(ほぼ直交する方向)に突出している。第3凸曲部25には、底部25aから頂部25bを通って底部25cまで滑らかに連続した第3凸状稜線部25dが形成されている。なお、本実施形態では、第3凸曲部25は、第1凸曲部23よりも突出量が小さい。
【0032】
したがって、本実施形態では、第2凸曲部24の突出量(頂部24bから本体部10までの距離)が最も大きく、第3凸曲部25の突出量(頂部25bから本体部10までの距離)が最も小さい。そして、第1凸曲部23の突出量(頂部23bから本体部10までの距離)が、第2凸曲部24の突出量と第3凸曲部25の突出量との中間となっている。
【0033】
このように、3種類の凸曲部を設けることで、肌をマッサージする際に、より最適な凸曲部を肌に当接させることができる。
【0034】
そして、第2凸曲部24と第3凸曲部25との間(底部24cと底部25aとの間)には、第2凸曲部24と第3凸曲部25とを滑らかに連結する第2凹曲部28が形成されている。
【0035】
第2凹曲部28は、Z方向から見た状態で、短辺部10bと交差する方向(ほぼ直交する方向)に窪んでいる。第2凹曲部28には、第2凸曲部24の底部24cから頂部28aを通って第3凸曲部25の底部25aまで滑らかに連続した第2凹状稜線部28bが形成されている。
【0036】
本実施形態では、Z方向から見た状態で、第2凹曲部28の方が、第1凹曲部27よりも緩やかに湾曲している。すなわち、第2凹状稜線部28bの方が、第1凹状稜線部27bよりも曲率が小さい。
【0037】
このように、2種類の凹曲部を設けることで、肌をマッサージする際に、より最適な凸曲部を肌に当接させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、第2凸曲部24の頂部24bと第3凸曲部25の頂部25bとの間の距離は、第1凸曲部23の頂部23bと第2凸曲部24の頂部24bとの間の距離よりも長い。このように少なくとも一つの凸曲部22を形成することによっても、肌をマッサージする際に、より最適な凸曲部を肌に当接させることができる。
【0039】
特に、緩やかに湾曲した第2凹曲部28は、頬、額などのマッサージを行う際に当接させるのに適している。大きく湾曲した第1凹曲部27は、頬側から喉側にかけて当接させた状態で顎部をマッサージするのに適している。
【0040】
なお、本実施形態では、Z方向から見た状態で、外周縁20aが描く曲線の変曲点を底部23c、24a、24c、25aとしている。
【0041】
このように、本実施形態では、ハウジング21は、
図2に示すように、Z方向から見た状態で、小文字の逆yの字に似た形状となるように形成されている。
【0042】
なお、本実施形態では、3つの凸曲部を有するように外周縁20aが形成されている。しかし、凸曲部の数はこれに限らず、1つ又は2つの凸曲部が形成されるようにしてもよいし、4つ以上の凸曲部が形成されるようにしてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、第1凹曲部27と第2凹曲部28とを含む2つの凹曲部を有するように外周縁20aが形成されている。しかし、凹曲部の数はこれに限らず、1つの凹曲部が形成されるようにしてもよいし、3つ以上の凹曲部が形成されるようにしてもよい。
【0044】
また、凸曲部及び凹曲部は、上記例示した箇所に当接させる用途に限定されるものではなく、人体の所望の部位に当接させてマッサージを行うことができる。すなわち、使用者や被施術者の好みに合わせて凸曲部や凹曲部を人体の所望の部位に当接させることが可能である。
【0045】
電極部30は、厚さ方向Zから見た状態で施術部20の端部に設けられている。電極部30は、第2凸曲部24の頂部24bと、第3凸曲部25の頂部25bとの間に設けられている。より具体的には、電極部30は、第2凸曲部24の頂部24bと、第3凸曲部25の底部25aとの間に設けられている。さらに具体的には、電極部30は、第2凹曲部28に設けられている。電極部30は、第1電極部31と、第1電極部31から離れた位置に設けられた第2電極部32とを含んでいる。本実施形態では、第1電極部31と第2電極部32との間に肌を介して電流を流すことにより、肌に電気刺激を付与することができる。第1電極部31及び第2電極部32は第3凸曲部25の頂部25bよりも第2凸曲部24の頂部24bに近い位置に配置されている。
【0046】
第1電極部31は、第2凸曲部24の頂部24bと、第2凹曲部28の頂部28aとの間に設けられている。第1電極部31は、1枚の金属板により形成されている。第1電極部31は、安全性を向上させる観点から、チタンのような金属を含んでいてもよい。
図5に示すように、第1電極部31は、第1露出部31aと、第1側壁部31bと、第1固定部31cとを含んでいる。
【0047】
第1露出部31aは板状をしている。第1露出部31aは、肌と接し、露出面である外表面と、外表面とは反対側に配置された内表面とを有している。第1露出部31aは、第1露出部31aの露出面に対して垂直方向(短手方向Y)から見て楕円形状をしている。第1側壁部31bは、短手方向Yから見て、第1露出部31aの端部から本体部10に向かって延在しており、楕円筒を形成している。第1固定部31cは、短手方向Yにおいて、第1露出部31aと第1側壁部31bとの交点とは反対側の第1側壁部31bの端部から第1露出部31aと平行に外側に広がるように延在している。第1固定部31cは、バネ受けを介して支持部15と第1絶縁部材35との間に挟持されて固定されている。
【0048】
第2電極部32は、第2凹曲部28の頂部28aと、第3凸曲部25の底部25aとの間に設けられている。第2電極部32は、1枚の金属板により形成されている。第2電極部32は、安全性を向上させる観点から、チタンのような金属を含んでいてもよい。
図6に示すように、第2電極部32は、第2露出部32aと、第2側壁部32bと、第2固定部32cとを含んでいる。
【0049】
第2露出部32aは板状をしている。第2露出部32aは、肌と接し、露出面である外表面と、外表面とは反対側に配置された内表面とを有している。第2露出部32aは、第2露出部32aの露出面に対して垂直方向(短手方向Y)から見て楕円形状をしている。第2側壁部32bは、短手方向Yから見て、第2露出部32aの端部から本体部10に向かって延在しており、楕円筒を形成している。第2固定部32cは、短手方向Yにおいて、第2露出部32aと第2側壁部32bとの交点とは反対側の第2側壁部32bの端部から第2露出部32aと平行に外側に広がるように延在している。第2固定部32cは、バネ受けを介して支持部15と第2絶縁部材36との間に挟持されて固定されている。
【0050】
美容器具1は第1弾性部33を備えていてもよい。第1弾性部33は、第1露出部31aと支持部15との間に設けられている。第1弾性部33は、支持部15と接続されている。また、第1弾性部33は、第1露出部31aの内表面と接している。そして、第1弾性部33は、制御回路基板にある制御回路に電気的に接続されている。本実施形態においては、第1弾性部33は、コイルのような導電性の弾性部材により構成されている。第1露出部31aと第1弾性部33とは、弾性部材の弾性力によって強く接するため、第1露出部31aと制御回路との電気的接続を安定させることができる。
【0051】
美容器具1は第2弾性部34を備えていてもよい。第2弾性部34は、第2露出部32aと支持部15との間に設けられている。第2弾性部34は、支持部15と接続されている。また、第2弾性部34は、第2露出部32aの内表面と接している。そして、第2弾性部34は、制御回路基板にある制御回路に電気的に接続されている。本実施形態においては、第2弾性部34は、コイルのような導電性の弾性部材により構成されている。第2露出部32aと第2弾性部34とは、弾性部材の弾性力によって強く接するため、第2露出部32aと制御回路との電気的接続を安定させることができる。
【0052】
第1電極部31の露出面には、第1凹部31dが設けられている。第1凹部31dの深さは、第1電極部31の露出面に垂直な方向から見た状態で、第1電極部31の露出面の外周縁から内側に向かうにつれて深くなるように形成されている。第1凹部31dは、厚さ方向Zから見た状態で施術部20の端部から内側に向かって窪んでいる。
【0053】
第2電極部32の露出面には、第2凹部32dが設けられている。第2凹部32dの深さは、第2電極部32の露出面に垂直な方向から見た状態で、第2電極部32の露出面の外周縁から内側に向かうにつれて深くなるように形成されている。第2凹部32dは、厚さ方向Zから見た状態で施術部20の端部から内側に向かって窪んでいる。
【0054】
第1凹部31d及び第2凹部32dはジェルなどの薬剤を保持することができる。そのため、電極部30が肌へ接触した際に刺激にムラがなく、安定して肌に電気刺激を与えることができる。したがって、本実施形態に係る美容器具1によれば、マッサージによる効果と電気刺激による効果を同時に施術することができる。
【0055】
薬剤は、水分及び保湿剤を含むジェルなどであってもよい。ジェルが肌と電極との間に配置されることにより、電流を電極部30からジェルの水分を介して効果的に肌へ流すことができる。保湿剤としては、例えばグリセリンが挙げられる。
【0056】
ハウジング21と第1電極部31との間には第1絶縁部材35が設けられている。また、ハウジング21と第2電極部32との間には第2絶縁部材36が設けられている。第1絶縁部材35は第1電極部31の周囲を取り囲んでおり、第2絶縁部材36は第2電極部32の周囲を取り囲んでいる。第1絶縁部材35及び第2絶縁部材36は、Y方向から見て楕円状をしている。第1絶縁部材35及び第2絶縁部材36は樹脂又はエラストマーのような絶縁材料を含んでいる。
【0057】
第1電極部31と第2電極部32とは、短手方向Yから見て、第1絶縁部材35及び第2絶縁部材36によって分離されている。これにより、第1絶縁部材35及び第2絶縁部材36によって第1電極部31及び第2電極部32から金属製のハウジング21に電気が流れることを抑制することができる。
【0058】
第1電極部31の周囲には、凹部37が設けられている。凹部37は、第1絶縁部材35とハウジング21によって形成されている。具体的には、凹部37の底部となるハウジング21の外表面が、第1絶縁部材35の外表面の先端よりも低くなっていることにより、凹部37が形成されている。凹部37の深さR1は例えば0.4mmである。また、第2電極部32の周囲には、凹部38が設けられている。凹部38は、第2絶縁部材36とハウジング21によって形成されている。具体的には、凹部38の底部となるハウジング21の外表面が、第2絶縁部材36の外表面の先端よりも低くなっていることにより、凹部38が形成されている。凹部38の深さR2は例えば0.4mmである。凹部37及び凹部38は、ジェルなどの薬剤を保持した液溜まりを形成することができる。凹部37及び凹部38に保持された薬剤は、使用時に電極部30へ均一に供給されることから、電極部30が肌へ接触した際に刺激にムラがなく、安定して肌に電気刺激を与えることができる。
【0059】
美容器具1は、
図4~
図6に示すように、施術部20の少なくとも一部を加熱する加熱部40を備えていてもよい。加熱部40を施術部20に設けることで、使用者の肌に当接する施術部20が加熱部40により温まるので、肌に温感を与えることができる。加熱部40は、ハウジング21の内側に設けられている。具体的には、加熱部40は、ハウジング21と支持部15との間に設けられている。加熱部40は、ハウジング21の内面に加熱部40の加熱面が対向した状態で、支持部15に設置されていてもよい。
【0060】
加熱部40は、全体として薄肉板状であり、加熱部40を設置する部分の形状に合わせてフレキシブルに変形可能であることが望ましい。加熱部40として採用し得る構造としては、特に限定されるものではないが、例えば、シーズヒータを内蔵したシート状ヒータであってもよい。加熱部40は、制御回路基板にある制御回路に電気的に接続されている。
【0061】
加熱部40は、少なくとも一つの凸曲部22の内部に設置される。例えば、加熱部40は、使用者が最も肌に当接させることが多いと想定される第2凸曲部24の内部に設置されることが望ましい。この場合、加熱部40は、少なくとも底部24aの近傍から頂部24bを経由して底部24cの近傍にかけて延伸することになる。
【0062】
なお、
図4に示す例では、加熱部40は、第2凸曲部24の内部に設置されるのみならず、第2凸曲部24から第3凸曲部25にかけて連続して設置されている。この場合、施術部20において加熱部40により加熱される範囲が第2凸曲部24周辺のみならず第3凸曲部25周囲にまで広がる。
【0063】
また、加熱部40は、ハウジング21だけでなく、電極部30を加熱してもよい。この場合、加熱部40によって肌に温感を与えながら電極部30によって肌に電気刺激を付与することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、第1電極部31の露出面に第1凹部31dが設けられ、第2電極部32の露出面に第2凹部32dが設けられている。また、第1電極部31の周囲に凹部37が設けられ、第2電極部32の周囲に凹部38が設けられている。しかしながら、少なくとも一つの凹部が、第1電極部31の露出面、第1電極部31の露出面の周囲、第2電極部32の露出面、及び第2電極部32の露出面の周囲からなる群より選択される少なくとも一つに設けられていればよい。
【0065】
また、本実施形態では、第1電極部31は第1固定部31cによって固定されているが、第1弾性部33は、第1電極部31の露出面が第1電極部31の露出面に対して垂直方向に揺動するように第1電極部31を支持してもよい。これにより、美容器具1を肌に当接させた場合に、第1電極部31が肌に押圧されて押し込まれ、第1電極部31の露出面を底面とする凹部が形成される。凹部には薬剤が保持されることから、肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0066】
また、本実施形態では、第2電極部32は第2固定部32cによって固定されているが、第2弾性部34は、第2電極部32の露出面が第2電極部32の露出面に対して垂直方向に揺動するように第2電極部32を支持してもよい。これにより、美容器具1を肌に当接させた場合に、第2電極部32が肌に押圧されて押し込まれ、第2電極部32の露出面を底面とする凹部が形成される。凹部には薬剤が保持されることから、肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0067】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る美容器具1について
図7及び
図8を用いて説明する。本実施形態に係る美容器具1は、第1実施形態に係る美容器具1に対し、電極部30の形状が異なっている。これ以外は、第1実施形態に係る美容器具1と同じであるため、説明を省略する。
【0068】
具体的には、第1実施形態に係る美容器具1では、第1凹部31dの深さは、第1電極部31の露出面の外周縁から内側に向かうにつれて深くなるように形成されていた。また、第2凹部32dの深さは、第2電極部32の露出面の外周縁から内側に向かうにつれて深くなるように形成されていた。
【0069】
一方、本実施形態に係る美容器具1では、
図7に示すように、複数の第3凹部31eが、第1電極部31の露出面に設けられている。また、
図8に示すように、複数の第4凹部32eが第2電極部32の露出面に設けられている。
【0070】
本実施形態のように、複数の凹部が第1電極部31の露出面及び第2電極部32の露出面に設けられることにより、複数の凹部に薬剤が保持されることから、肌との間に薬剤が保持され、薬剤を介して肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0071】
複数の第3凹部31eの各々及び複数の第4凹部32eの各々の深さ及び開口部の径などは特に限定されない。複数の第3凹部31eの各々の開口部の径は、第1電極部31の露出面の短軸の径よりも小さくてもよい。同様に、複数の第4凹部32eの各々の開口部の径は、第2電極部32の露出面の短軸の径よりも小さくてもよい。なお、ここでいう短軸は、第1電極部31又は第2電極部32の中心を通り、第1電極部31又は第2電極部32の露出面の端部を結ぶそれぞれの最も短い線分を意味する。また、第1電極部31に設けられる第3凹部31eの数、及び、第2電極部32に設けられる第4凹部32eの数は、特に限定されない。
【0072】
また、複数の第3凹部31eは、第1露出部31aの露出面の少なくとも一部に設けられていればよい。具体的には、複数の第3凹部31eは、第1露出部31aの露出面の全体に設けられていてもよく、第1露出部31aの例えば中心部などの一部に設けられていてもよい。同様に、複数の第4凹部32eは、第2電極部32の露出面の少なくとも一部に設けられていればよい。具体的には、複数の第4凹部32eは、第2電極部32の露出面の全体に設けられていてもよく、第2電極部32の例えば中心部などの一部に設けられていてもよい。
【0073】
なお、
図7及び
図8では、第1電極部31の第1露出部31a及び第2電極部32の第2露出部32aが第1実施形態のように、緩やかに湾曲していない。しかしながら、第1電極部31の露出面に複数の第3凹部31eが設けられ、かつ、第1凹部31dの深さは、第1電極部31の露出面の外周縁から内側に向かうにつれて深くなるように形成されていてもよい。同様に、第2電極部32の露出面に複数の第4凹部32eが設けられ、かつ、第2凹部32dの深さは、第2電極部32の露出面の外周縁から内側に向かうにつれて深くなるように形成されていてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、第1電極部31の露出面に複数の第3凹部31eが設けられ、かつ、第2電極部32の露出面に複数の第4凹部32eが設けられている。しかしながら、複数の凹部は、第1電極部31の露出面及び第2電極部32の露出面の少なくともいずれか一方に設けられていればよい。
【0075】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る美容器具1について
図9及び
図10を用いて説明する。本実施形態に係る美容器具1は、第1実施形態に係る美容器具1に対し、第1絶縁部材35及び第2絶縁部材36の形状が異なっている。これ以外は、第1実施形態に係る美容器具1と同じであるため、説明を省略する。
【0076】
具体的には、上記実施形態では、第1電極部31の露出面の縁部と、第1絶縁部材35の外表面とが同一の高さとなるように、第1絶縁部材35がハウジング21に設けられていた。また、上記実施形態では、第2電極部32の露出面の縁部と、第2絶縁部材36の外表面とが同一の高さとなるように、第2絶縁部材36がハウジング21に設けられていた。
【0077】
一方、本実施形態に係る美容器具1では、
図9に示すように、第1電極部31の露出面の周囲には、第1電極部31の露出面よりも第1電極部31の露出面に対して垂直方向外側に突出した第1凸部35aが設けられている。また、
図10に示すように、第2電極部32の露出面の周囲には、第2電極部32の露出面よりも第2電極部32の露出面に対して垂直方向外側に突出した第2凸部36aが設けられている。本実施形態において、第1凸部35aは、第1絶縁部材35によって形成されている。第2凸部36aは、第2絶縁部材36によって形成されている。
【0078】
第1凸部35aが設けられることにより、第1凸部35aが突出した分だけ深さが深くなった第1凹部31dが第1電極部31の露出面上に形成される。また、第2凸部36aが設けられることにより、第2凸部36aが突出した分だけ深さが深くなった第2凹部32dが第2電極部32の露出面上に形成される。
【0079】
なお、第1凸部35aは、
図9に示すように、ハウジング21の外周縁に対して垂直方向にハウジング21の外周縁よりも外側に突出していてもよい。また、第2凸部36aは、
図10に示すように、ハウジング21の外周縁に対して垂直方向にハウジング21の外周縁よりも外側に突出していてもよい。
【0080】
第1凸部35aが設けられることにより、第1凸部35aが突出した分だけ深さが深くなった凹部37が第1電極部31の周囲に設けられる。また、第2凸部36aが設けられることにより、第2凸部36aが突出した分だけ深さが深くなった凹部38が第2電極部32の周囲に設けられる。
【0081】
そのため、これらの凹部に薬剤が保持されることから、肌との間に薬剤が保持され、薬剤を介して肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0082】
図11及び
図12に示すように、第1凸部35aには、第1電極部31の露出面に垂直な方向から見た状態で一端に切欠部35bが設けられていてもよい。また、
図11及び
図13に示すように、第2凸部36aには、第2電極部32の露出面に垂直な方向から見た状態で一端に切欠部36bが設けられていてもよい。これにより、ジェルなどの薬剤を肌に塗った状態で肌をマッサージした際に、薬剤が切欠部35b及び切欠部36bを通って第1電極部31及び第2電極部32の露出面上に移動する。そして、露出面上の薬剤は、第1凸部35a及び第2凸部36aによってせき止められることにより、第1絶縁部材35及び第2絶縁部材36の外側に漏れ出ることが抑制される。そのため、これらの凹部に薬剤を安定して保持することができる。
【0083】
切欠部35bは、厚さ方向Zにおける第1絶縁部材35の端部に設けられていてもよい。また、切欠部36bは、厚さ方向Zにおける第2絶縁部材36の端部に設けられていてもよい。美容器具1は、肌に当接させながら厚さ方向Zに移動することが多いため、上記のような位置に切欠部35b及び切欠部36bを設けることにより、電極部30上に薬剤を保持しやすくなる。
【0084】
第1電極部31に対して切欠部35bが設けられる位置及び第2電極部32に対して切欠部36bが設けられる位置は、同じであってもよく、異なっていてもよい。ただし、これらの位置が同じである場合、美容器具1を肌に当接させながら移動させた際に、切欠部35b及び切欠部36bを介して第1電極部31及び第2電極部32の露出面上に薬剤が保持されやすくなるため好ましい。
【0085】
なお、本実施形態では、第1凸部35a及び第2凸部36aの両方が設けられる例について説明したが、第1凸部35a及び第2凸部36aの少なくともいずれか一方が設けられていてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、第1凸部35aに切欠部35bが設けられ、第2凸部36aに切欠部36bが設けられる例について説明した。しかしながら、切欠部は第1凸部35a及び第2凸部36aの少なくともいずれか一方に設けられていればよい。
【0087】
以上、説明したように、本実施形態に係る美容器具1は、扁平状の本体部10と、施術部20と、電極部30とを備えている。施術部20は、本体部10の厚さ方向Zから見た状態で本体部10の端部に設けられ、外周縁20aが少なくとも一つの凸曲部22及び少なくとも一つの凹曲部26を有するように形成されている。電極部30は、厚さ方向Zから見た状態で施術部20の端部に設けられ、第1電極部31と、第1電極部31から離れた位置に設けられた第2電極部32とを含んでいる。少なくとも一つの凹部が、第1電極部31の露出面、第1電極部31の露出面の周囲、第2電極部32の露出面、及び第2電極部32の露出面の周囲からなる群より選択される少なくとも一つに設けられている。
【0088】
これにより、凹部にジェルなどの薬剤を保持することができ、電極部30が肌へ接触した際に刺激にムラがなく、肌に安定して電気刺激を与えることができる。したがって、本実施形態に係る美容器具1によれば、マッサージによる効果と電気刺激による効果を同時に施術することができる。
【0089】
また、本開示のように、少なくとも一つ凹部は、第1電極部31の露出面に設けられた第1凹部31d及び第2電極部32の露出面に設けられた第2凹部32dを含んでいてもよい。第1凹部31dの深さは、第1電極部31の露出面の外周縁から内側に向かうにつれて深くなるように形成されていてもよい。第2凹部32dの深さは、第2電極部32の露出面の外周縁から内側に向かうにつれて深くなるように形成されていてもよい。
【0090】
これにより、第1凹部31d及び第2凹部32dに薬剤を保持することができる。そのため、電極部30が肌へ接触した際に刺激にムラがなく、肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0091】
また、本開示のように、少なくとも一つ凹部は、第1電極部31の露出面に設けられた複数の第3凹部31e、及び第2電極部32の露出面に設けられた複数の第4凹部32eを含んでいてもよい。
【0092】
これにより、第3凹部31e及び第4凹部32eに薬剤を保持することができる。そのため、電極部30が肌へ接触した際に刺激にムラがなく、肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0093】
また、本開示のように、第1電極部31の周囲には、第1電極部31の露出面よりも第1電極部31の露出面に対して垂直方向外側に突出した第1凸部35aが設けられていてもよい。また、第2電極部32の周囲には、第2電極部32の露出面よりも第2電極部32の露出面に対して垂直方向外側に突出した第2凸部36aが設けられていてもよい。
【0094】
これにより、第1電極部31及び第2電極部32の露出面に凹部が形成され、凹部に薬剤を保持することができる。そのため、電極部30が肌へ接触した際に刺激にムラがなく、肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0095】
また、本開示のように、第1凸部35aには、第1電極部31の露出面に垂直な方向から見た状態で一端に切欠部35bが設けられていてもよい。第2凸部36aには、第2電極部32の露出面に垂直な方向から見た状態で一端に切欠部36bが設けられていてもよい。
【0096】
これにより、ジェルなどの薬剤を肌に塗った状態で肌をマッサージした際に、薬剤が切欠部35b及び切欠部36bを通って第1電極部31及び第2電極部32の露出面上に移動する。そして、露出面上の薬剤は、第1凸部35a及び第2凸部36aによってせき止められることにより、第1絶縁部材35及び第2絶縁部材36の外側に漏れ出ることが抑制される。そのため、第1電極部31及び第2電極部32の露出面に凹部が形成され、凹部に薬剤を保持することができる。そのため、電極部30が肌へ接触した際に刺激にムラがなく、肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0097】
また、本開示のように、美容器具1は、施術部20の少なくとも一部を加熱する加熱部40をさらに備えていてもよい。施術部20は、少なくとも一つの凸曲部22及び少なくとも一つの凹曲部26が設けられ、金属を含むハウジング21を含んでいてもよい。第1凸部35a及び第2凸部36aは絶縁材料を含んでいてもよい。
【0098】
これにより、使用者の肌に当接する施術部20が加熱部40により温まるので、肌に温感を与えることができる。そして、第1凸部35a及び第2凸部36aが絶縁部材により形成されているため、施術部20と電極部30との短絡を抑制し、かつ、凹部に薬剤を保持することができる。このように、第1凸部35a及び第2凸部36aが薬剤を保持する役割と短絡を抑制する役割とを兼用するため、美容器具1をコンパクトにすることができる。
【0099】
また、本開示のように、美容器具1は、第1弾性部33と第2弾性部34とをさらに備えていてもよい。第1弾性部33は、第1電極部31の露出面が第1電極部31の露出面に対して垂直方向に揺動するように第1電極部31を支持してもよい。第2弾性部34は、第2電極部32の露出面が第2電極部32の露出面に対して垂直方向に揺動するように第2電極部32を支持してもよい。
【0100】
これにより、第1電極部31及び第2電極部32を押圧することにより、これらの露出面に凹部が形成され、凹部に薬剤を保持することができる。そのため、電極部30が肌へ接触した際に刺激にムラがなく、肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0101】
また、本開示のように、少なくとも一つの凸曲部22は、第1凸曲部23と、第2凸曲部24と、第3凸曲部25とを含んでいてもよい。電極部30は第2凸曲部24の頂部24bと第3凸曲部25の頂部25bとの間に設けられていてもよい。第2凸曲部24の頂部24bと第3凸曲部25の頂部25bとの間の距離は、第1凸曲部23の頂部23bと第2凸曲部24の頂部24bとの間の距離よりも長くてもよい。
【0102】
これにより、頬側から喉側にかけて当接させた状態で顎部に物理的なマッサージを施すとともに電気刺激を付与することができる。
【0103】
また、本開示のように、第1電極部31及び第2電極部32は第3凸曲部25の頂部25bよりも第2凸曲部24の頂部24bに近い位置に配置されていてもよい。
【0104】
これにより、電極部30をフェイスラインに沿って電気刺激を付与する目的の箇所に当接させやすくなり、小顔の使用者に対しても顔の筋肉に適切に電気刺激を付与することができる。そのため、顔の筋肉を効果的にEMSトレーニングすることができる。
【0105】
なお、美容器具1は、縁部で肌をマッサージする扁平状の本体部10と、電気刺激を与える電気刺激部と、電気刺激部又は電気刺激部の近傍に導電用の剤を保持可能な凹部とを備えていてもよい。このような美容器具1であっても、凹部に剤を保持することができ、電極部30が肌へ接触した際に刺激にムラがなく、肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0106】
また、電気刺激部は、1以上の電極部30が設けられていてもよい。これにより、肌に電気刺激を与えることができる。
【0107】
また、電極部30は、電極面にRを持たせていてもよい。このような電極部30も、電極面に薬剤を保持することができる。
【0108】
また、電極部30は、電極面に凹凸形状を持たせてもよい。このような電極部30も、電極面に薬剤を保持することができる。
【0109】
また、電極部30の周囲に凸部が設けられていてもよい。このような凸部が設けられている場合、凸部の近傍に薬剤を保持することができる。
【0110】
また、上記凸部は、電極部30周囲の3辺のみであってもよい。このように凸部が設けられている場合、上記と同様に、凸部が設けられていない部分から薬剤が電極面に移動し、薬剤が凸部によってせき止められる。そのため、電極部30が肌へ接触した際に刺激にムラがなく、肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0111】
また、美容器具1は、本体部10を使って肌をマッサージする時に、肌に温感を与える加熱部を備えていてもよい。これにより、肌に温感を与えることができる。
【0112】
また、肌をマッサージする扁平状の本体部10の縁部は、加熱部40の熱を伝熱可能であるように金属で構成され、電極部30の周囲の凸部が、絶縁性素材で形成されていてもよい。これにより、使用者の肌に当接する金属が加熱部40により温まるので、肌に温感を与えることができる。そして、凸部が絶縁性素材で形成されているため、金属と電極部30との短絡を抑制し、かつ、凹部に薬剤を保持することができる。このように、凸部が薬剤を保持する役割と短絡を抑制する役割とを兼用するため、美容器具1をコンパクトにすることができる。
【0113】
また、電極部30は、弾性部材で支持されていてもよい。これにより、電極部30を押圧することにより、これらの電極面に凹部が形成され、凹部に薬剤を保持することができる。そのため、電極部30が肌へ接触した際に刺激にムラがなく、肌に安定して電気刺激を与えることができる。
【0114】
また、美容器具1は、本体部10を使って肌をマッサージする時に、肌に振動を与える振動部を備えていてもよい。これにより、美容器具1を機械的に振動させることができるので、施術部20を肌に当接させた状態で、使用者が美容器具1を直接動かさなくても、肌に物理刺激を与えることができる。
【0115】
また、美容器具1は、導電用の剤を保持可能な凹部における剤の保持状況を判別することにより、電気刺激を与える程度を制御する電気刺激制御部を備えていてもよい。これにより、剤の保持状況に応じて電気刺激の程度を変更することができるため、使用者に最適な電気刺激を肌に付与することができる。
【0116】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0117】
例えば、上記実施形態では、第1絶縁部材35が第1電極部31の露出面に対し、同一平面以上に突出している例について説明した。しかしながら、少なくとも一つの凹部は、第1絶縁部材35の外表面の先端が、第1電極部31の露出面よりも窪んだ凹部を含んでいてもよい。同様に、第2絶縁部材36が第2電極部32の露出面に対し、同一平面以上に突出している例について説明した。しかしながら、少なくとも一つの凹部は、第2絶縁部材36の外表面の先端が第2電極部32の露出面よりも窪んだ凹部を含んでいてもよい。これにより、第1絶縁部材35及び第2絶縁部材36の少なくともいずれか一方が凹部の底部を形成する。そのため、この凹部にゲルなどの薬剤が保持することができる。
【0118】
また、上記実施形態では、電極部30が第1電極部31及び第2電極部32の2つの電極部を含む例について説明したが、電極部30は3つ以上の複数の電極部を含んでいてもよい。具体的には、電極部30は第1電極部31及び第2電極部32から離れた位置に設けられた第3電極部をさらに含んでいてもよい。第3電極部は、第2凸曲部24の頂部24bよりも第3凸曲部25の頂部25bに近い位置に配置されていてもよい。これにより、第1電極部31と第2電極部32との間の距離よりも、第1電極部31と第3電極部との間の距離が長くなる。そのため、第1電極部31と第3電極部との間に電流を流すことにより、大腿筋のような大きい筋肉にも電気刺激を付与することができる。
【0119】
また、ハウジングやハウジング、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上のように、本開示に係る美容器具は、肌との間に薬剤が保持され、薬剤を介して肌に安定して電気刺激を与えることが可能である。具体的には、美容器具は、業務用及び家庭用の美容器具などに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 美容器具
10 本体部
20 施術部
20a 外周縁
21 ハウジング
22 少なくとも一つの凸曲部
23 第1凸曲部
23b 頂部
24 第2凸曲部
24b 頂部
25 第3凸曲部
25b 頂部
26 少なくとも一つの凹曲部
30 電極部
31 第1電極部
32 第2電極部
31d 第1凹部
32d 第2凹部
31e 第3凹部
32e 第4凹部
33 第1弾性部
34 第2弾性部
35a 第1凸部
36a 第2凸部
35b 切欠部
36b 切欠部
40 加熱部