(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184392
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】親局装置、子局装置、および、無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 27/34 20060101AFI20221206BHJP
H04L 1/00 20060101ALI20221206BHJP
H04W 28/04 20090101ALI20221206BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20221206BHJP
H04W 92/12 20090101ALI20221206BHJP
【FI】
H04L27/34
H04L1/00 E
H04W28/04
H04W88/08
H04W92/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092207
(22)【出願日】2021-06-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、総務省 「第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発」に関する委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 裕太
【テーマコード(参考)】
5K014
5K067
【Fターム(参考)】
5K014BA05
5K014DA02
5K014FA03
5K067AA13
5K067EE10
5K067EE37
5K067HH26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フロントホールの伝送効率を向上できる親局装置、子局装置及び無線通信システムを提供する。
【解決手段】親局装置及び子局装置を備える無線基地局を有する無線通信システムにおいて、親局装置は、サブキャリア変調信号を出力する親局信号処理部と、サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、フロントホール(FH)へ送信する光信号にマッピングするFH送信部と、を備える。子局装置は、フロントホールを介して、光信号を受信するFH受信部と、光信号においてマッピングされたサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、サブキャリア変調信号を識別する子局信号処理部と、を備える。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブキャリア変調信号を出力する処理部と、
前記サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、フロントホールへ送信する光信号にマッピングする送信部と、
を備える親局装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記サブキャリア変調信号の前記I成分及び前記Q成分を、それぞれ、前記光信号のI成分及びQ成分としてマッピングする、
請求項1に記載の親局装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記光信号のIQ平面における複数の候補信号点のうち、前記サブキャリア変調信号の前記I成分及び前記Q成分によって表される信号点との関係が所定の関係にある候補信号点を前記光信号に設定する、
請求項1に記載の親局装置。
【請求項4】
前記所定の関係は、前記IQ平面において最も距離が近い関係である、
請求項3に記載の親局装置。
【請求項5】
前記サブキャリア変調信号は、無線伝送区間の無線リソースにマッピングされる信号であり、前記無線伝送区間と前記フロントホールを含む光伝送区間とのうち、前記無線伝送区間に対応する誤り訂正符号化が施される、
請求項1に記載の親局装置。
【請求項6】
前記フロントホールを介して上りの光信号を受信する受信部を備え、
前記処理部は、前記上りの光信号においてマッピングされた上りのサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、前記上りのサブキャリア変調信号を識別する、
請求項1に記載の親局装置。
【請求項7】
フロントホールを介して光信号を受信する受信部と、
前記光信号においてマッピングされたサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、前記サブキャリア変調信号を識別する処理部と、
を備える子局装置。
【請求項8】
前記処理部は、上りのサブキャリア変調信号を出力し、
前記上りのサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、前記フロントホールへ送信する上りの光信号にマッピングする送信部を備える、
請求項7に記載の子局装置。
【請求項9】
親局装置と子局装置とを備え、
前記親局装置は、
サブキャリア変調信号を出力する処理部と、
前記サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、フロントホールへ送信する光信号にマッピングする送信部と、
を備え、
前記子局装置は、
前記フロントホールを介して、前記光信号を受信する受信部と、
前記光信号においてマッピングされた前記サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、前記サブキャリア変調信号を識別する処理部と、
を備える、
無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、親局装置、子局装置、および、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、ユーザ端末(user equipment, UE)との無線通信が可能な地域を柔軟に構築するために、無線基地局を親局装置と子局装置に分割し、子局装置を親局装置と異なる位置に配置する構成を採ることが可能である。
【0003】
例えば、コアネットワークと接続された親局装置は、無線基地局のベースバンド信号処理機能を具備し、親局装置に1つ以上の子局装置が接続される。子局装置は、アナログ変換などの無線処理を行い、UEと無線通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-152990号公報
【特許文献2】国際公開第2013/76901号
【特許文献3】特開2018-170805号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】O-RAN.WG4.CUS.0-v05.00
【非特許文献2】T. TSUBOI, et. al,”Technical Features and Approaches on Optical Access Networks for Various Applications,” IEICE TRANS. COMMUN., VOL.E100 - B, NO.9 SEPTEMBER 2017.
【非特許文献3】奥村,他,”5G実現に向けた高周波数帯・広帯域超多素子アンテナによる高速・低消費電力無線アクセス技術の研究開発,”IEICE総合大会, BP-1-3, 2019
【非特許文献4】小林, 他, “デジタル信号処理と回路技術を融合した 超高速光通信技術”, NTT技術ジャーナル, 2019年3月
【非特許文献5】Common Public Radio Interface (CPRI) Interface Specification V7.0 (2015-10-09)
【非特許文献6】Common Public Radio Interface: eCPRI Interface Specification V2.0 (2019-05-10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、既存の無線通信システム(例えば、無線基地局)においては、親局装置と子局装置との間(フロントホール)の伝送効率に関して検討の余地がある。
【0007】
本開示の非限定的な実施例は、フロントホールの伝送効率を向上できる親局装置、子局装置、および、無線通信システムの提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施例に係る親局装置は、サブキャリア変調信号を出力する処理部と、前記サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、フロントホールへ送信する光信号にマッピングする送信部と、を備える。
【0009】
本開示の一実施例に係る子局装置は、フロントホールを介して光信号を受信する受信部と、前記光信号においてマッピングされたサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、前記サブキャリア変調信号を識別する処理部と、を備える。
【0010】
本開示の一実施例に係る無線通信システムは、親局装置と子局装置とを備え、前記親局装置は、サブキャリア変調信号を出力する処理部と、前記サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、フロントホールへ送信する光信号にマッピングする送信部と、を備え、前記子局装置は、前記フロントホールを介して、前記光信号を受信する受信部と、前記光信号においてマッピングされた前記サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、前記サブキャリア変調信号を識別する処理部と、を備える。
【0011】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一実施例によれば、フロントホールの伝送効率を向上できる。
【0013】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ディジタルコヒーレント伝送の処理の一例を示す図
【
図2】実施の形態1に係る無線通信システムの構成の第1の例を示す図
【
図3A】
図2に例示した親局信号処理部及びFH送信部の構成の一例を示す図
【
図3B】
図2に例示したFH受信部及び子局信号処理部の構成の一例を示す図
【
図4】直接IQマッピング及び軟判定処理の一例を示す図
【
図5】実施の形態1に係る無線通信システムの構成の第2の例を示す図
【
図6A】
図5に例示した子局信号処理部及びFH送信部の構成の一例を示す図
【
図6B】
図5に例示したFH受信部及び親局信号処理部の構成の一例を示す図
【
図7A】実施の形態2に係る親局信号処理部及びFH送信部の構成の第1の例を示す図
【
図7B】実施の形態2に係るFH受信部及び子局信号処理部の構成の第1の例を示す図
【
図8】IQシンボル候補検出とシンボル判定の例を示す図
【
図9A】実施の形態2に係る子局信号処理部及びFH送信部の構成の第2の例を示す図
【
図9B】実施の形態2に係るFH受信部及び親局信号処理部の構成の第2の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を適宜参照して、実施の形態について説明する。なお、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0016】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0017】
<本開示に至った知見>
既存技術(例えば、特許文献1)において、親局装置はBBU(baseband unit)と称され、子局装置はRRH(remote radio head)と称されることがある。親局装置と子局装置との間の接続には、例えば、同軸ケーブル、UTP(unshielded twisted pair)ケーブル、STP(Shielded twisted pair)ケーブル、あるいは、光ファイバーケーブルといった、有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)が用いられる。このような親局装置と子局装置との間の接続は、「フロントホール接続」、あるいは単に「フロントホール」と称されることがある。
【0018】
例えば、親局装置が、システムの集中制御を行う集約局舎に配置され、子局装置が、アンテナサイトに近い分散局舎に配置されるC-RAN(Centralized - Radio Access Network)と称されるネットワーク構成が知られている。C-RANでは、集約局舎において集中制御を行うことができ、及び、異なる複数の分散局舎において協調動作を行うことによって、干渉を回避できる。
【0019】
フロントホール(FH)の通信方式に関する規定(例えば、非特許文献6)において、親局装置はREC(radio equipment controller)と称され、子局装置はRE(radio equipment)と称される。また、O-RAN(Open-Radio Access Network)を規定する非特許文献1では、親局装置はO-DU(O-RAN Distributed Unit)と称され、子局装置はO-RU(O-RAN Radio Unit)と称される。
【0020】
例えば、特許文献1では、親局装置(例えば、BBU)に対して、複数の子局装置(例えば、RRH)をPON(Passive Optical Network)を用いて接続することでC-RAN構成を実現する方法が開示されている。
【0021】
PONなどの光伝送では、ディジタルコヒーレント伝送が用いられる(非特許文献1参照)。C-RAN構成においても、ディジタルコヒーレント伝送の使用が検討される。
図1は、ディジタルコヒーレント伝送の処理の一例を示す図である。
【0022】
図1には、FHにおけるディジタルコヒーレント伝送の送信側の構成に相当するFH送信部300と、受信側の構成に相当するFH受信部400との構成の例が示される。
【0023】
図1に示すように、親局装置のREマッピング(RE mapping)部2100から出力される64QAM変調のシンボルが、量子化(Quantization)部2101によって量子化される。例えば、64QAM変調のシンボルのI(In-phase)成分とQ(Quadrature-phase)成分とのそれぞれが、16ビットで量子化される。なお、変調シンボルのI成分とQ成分とは、それぞれ、Iサンプル、Qサンプルと称されてもよい。
【0024】
量子化部から出力された量子化ビット列は、符号化(Encoding)部3001によって誤り訂正などの符号化が施される。符号化部3001によって符号化が施されることによって、冗長が付加されたビット列は、変調(Modulation)部3002によって、256QAM変調のシンボルにマッピングされる。
【0025】
電気光(E/O)変換部3003は、マッピングしたシンボルに対して光送信処理(例えば、アップサンプリング、波形整形、予等化、光信号への変換)を行い、光送信処理後の信号を伝送する。光伝送のFH受信部400は、FH送信部300の処理に対応する処理を行い、受信ビット列を出力する。例えば、光電気(O/E)変換部4001は、光受信処理を行い、復調(Demodulation)部4002は、変調部3002に対応する復調を行い、復号(Decoding)部4003は、符号化部3001に対応する復号を行う。受信ビット列は、逆量子化(Dequantization)部5001によって逆量子化され、REマッピング部2100によってマッピングされた64QAM変調のシンボルが得られる。
【0026】
C-RAN構成では、子局装置の数が多くなるほど、FHの通信量(例えば、データトラフィック量)も増大し、FHの通信帯域が逼迫する。
【0027】
例えば、特許文献2では、FHの帯域逼迫に対する対策の一例として、親局装置と子局装置との機能分割を変更することで、FHのデータトラフィックを軽減する方法が開示されている。特許文献2では、子局装置にバッファ、PDCP、RLC、MAC、符号化、変調、リソースマッピング、IFFT、アップコンバージョン、増幅が具備され、親局装置にベアラ終端が具備する構成が示されている。一般に、送信に近い処理に進むほど、ヘッダ及び/又は冗長度が増加するため、データ量は大きくなる。親局装置よりも子局装置に多くの機能を配置することで、親局装置から子局装置へのデータトラフィックは軽減することができる。
【0028】
特許文献3に記載されるように、子局装置に多くの機能を配置することでFHのデータトラフィックの軽減によって、FHの帯域は低減できる。しかしながら、C-RAN構成において、異なる複数の子局装置を協調制御するためには、MACおよびHigh-PHYの機能が親局装置にあることが望ましい。また、MACおよびHigh-PHYの機能を子局装置側に配置して、子局装置間の協調制御をする場合には、子局装置間での制御信号のシグナリングが増大する可能性がある。
【0029】
そこで、本開示の一実施例では、例えば、非特許文献1で規定されるようなインタフェースを用いて、FHの帯域の逼迫を低減するフロントホール伝送方法を提供する。
【0030】
[実施の形態1]
図2は、実施の形態1に係る無線通信システムの構成の第1の例を示す図である。
図2に例示したように、無線通信システムは、例えば、無線基地局1と、端末装置の一例であるUE2と、を備える。無線基地局1及びUE2の数は、それぞれ、2以上であってよい。
【0031】
UE2は、無線基地局1と無線により接続して通信を行う。UE2と無線基地局1との間の無線通信には、上り(uplink, UL)通信及び下り(downlink, DL)通信の少なくとも1つが含まれる。なお、以下では、無線基地局1のDLに着目した構成及び動作の一例について説明する。ULに着目した例については、
図5、
図6A、及び、
図6B)にて後述する。
【0032】
無線基地局1は、例えば、FH13によって相互に接続された親局装置11と子局装置12とを備える。親局装置11は、例えば、BBU、CBBU(centralized baseband unit)、REC、Central site、又は、CU(central unit)と称されてもよい。子局装置12は、例えば、RRH、RE、Distributed site、又は、DU(distributed unit)と称されてもよい。なお、1つの親局装置11は2つ以上の子局装置12と接続することも可能である。また、1つの子局装置12は2つ以上のUE2と接続することも可能である。
【0033】
なお、以下の説明では、親局装置が、親局信号処理部と、FH送信部とを有する例を示すが、本開示はこれに限定されない。例えば、親局信号処理部を含み、FH送信部を含まない構成が、親局装置と称されてもよい。例えば、FH送信部は、親局送信装置と称されてもよい。また、以下の説明では、子局装置が、子局信号処理部と、FH受信部とを有する例を示すが、本開示はこれに限定されない。例えば、子局信号処理部を含み、FH受信部を含まない構成が、子局装置と称されてもよい。例えば、FH受信部は、子局受信装置と称されてもよい。
【0034】
FH13には、例示的に、UTPケーブル、STPケーブル、あるいは、光ファイバーケーブルといった有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)が適用されてよい。有線インタフェースは、例えば、CPRI(common public radio interface)、eCPRI(evolved CPRI)、OBSAI(open base station architecture initiative)、RoE(radio over Ethernet)、RoF(radio over fiber)といった規格あるいは技術に準拠したインタフェースであってよい。なお、「Ethernet」は、登録商標である。
【0035】
<親局装置11>
図2に例示したように、親局装置11は、例えば、親局信号処理部20と、FH送信部30と、を備え、子局装置12は、FH受信部40と、子局信号処理部50と、を備える。
図3Aに、親局信号処理部20及びFH送信部30の構成(DL)の一例を示し、
図3Bに、FH受信部40及び子局信号処理部50の構成(DL)の一例を示す。
【0036】
(親局信号処理部20)
図3Aに例示したように、親局信号処理部20は、例えば、SDAP(service data adaptation protocol)部201、PDCP(packet data convergence protocol)部202、RLC(radio link control)部203、及び、MAC部204を備える。また、親局信号処理部20は、例えば、符号化(encoding)部205、スクランブリング部206、変調(modulation)部207、レイヤマッピング部208、プリコーディング部209、及び、RE(resource element)マッピング部210を備える。
【0037】
これらの各機能部201~210は、
図3Bにより後述する子局信号処理部50における各機能部501及び502と共に、無線基地局1に備えられる複数の基地局機能部の非限定的な一例である。なお、符号化部205、スクランブリング部206、変調部207、レイヤマッピング部208、プリコーディング部209、及び、REマッピング部210は、例えば、上位物理レイヤ(High-PHY)ブロック2001を成す。
【0038】
SDAP部201には、例えば、上位のコアネットワーク(例えば、EPCや5GC)から送られてくる信号(例えば、ユーザーデータ)が入力される。「EPC」は、「evolved packet core」の略記であり、5GCは、「5th generation (5G) core network」の略記である。5Gは、第5世代無線アクセス技術(RAT)を表し、NR(new radio)と表記されることもある。また、5GCは、NGC(next generation core network)と表記されることもある。
【0039】
SDAP部201は、例えば、QoSフローと無線ベアラとのマッピングを行い、上位のコアネットワークから送られてくる信号(例えば、パケット)に、SDAPヘッダを付与してPDCP部202へ出力する。
【0040】
PDCP部202は、SDAP部201の出力に対して、例えば、ユーザーデータの暗号化及びヘッダ圧縮といった処理を行い、PDCP PDU(protocol data unit)をRLC部203へ出力する。
【0041】
RLC部203は、PDCP部202の出力に対して、例えば、エラー検出及びARQ(automatic repeat request)による再送制御といった処理を行い、RLC PDUを出力する。
【0042】
MAC部204は、例えば、HARQ(hybrid automatic repeat request)による再送制御、スケジューリングによって通信機会を割り当てるUE2の決定および無線伝送におけるMCS(modulation and coding scheme)の決定を行い、RLC PDUからMAC PDUを生成してトランスポートブロックを出力する。MCSの決定には、UE2からフィードバックされるCQI(channel quality indicator)が用いられてよい。
【0043】
MAC部204は、例えば、決定したMCSの情報や、無線伝送に使用するリソース(例えば、リソースエレメント(RE))の情報といった制御情報を、後段のHigh-PHYブロック2001に出力する。
【0044】
High-PHYブロック2001において、符号化部205は、例えば、MAC部204から入力されたトランスポートブロックにCRC(cyclic redundancy check)符号を付加してコードブロックに分割する。また、符号化部205は、例えば、コードブロックの符号化およびMCSに対応するレートマッチングを行う。
【0045】
スクランブリング部206は、例えば、符号化部205の出力に対し、スクランブル処理を行う。
【0046】
変調部207は、例えば、スクランブリング部206の出力を、QPSK(quadrature phase shift keying)、16QAM(quadrature amplitude modulation)、64QAM、256QAMといった変調方式によって変調する。
【0047】
レイヤマッピング部208は、例えば、変調部207の出力を複数のレイヤにマッピングする。
【0048】
プリコーディング部209は、例えば、レイヤマッピング部208の出力にプリコーディングを施す。
【0049】
REマッピング部210は、例えば、プリコーディング部209の出力を所定の無線リソース(例えば、RE)にマッピングする。1REは、例えば、1サブキャリア及び1シンボルの無線リソース領域である。1つ又は複数のREによってリソースブロック(RB)が構成されてよい。1つ又は複数のRBは、物理リソースブロック(PRB:physical RB)、サブキャリアグループ(SCG:sub-carrier group)、REグループ(REG:resource element group)、PRBペア、RBペアといった他の用語と可換である。
【0050】
なお、レイヤマッピング部208及びプリコーディング部209は、MIMO(multiple-input and multiple-output)伝送のために用いられるため、MIMO伝送が適用されない場合には省略されてよい。
【0051】
(FH送信部30)
一方、FH送信部30は、
図3Aに例示したように、例えば、正規化(Normalization)部301、直接IQマッピング(Direct IQ mapping)部302、及び、電気光(E/O)変換部303を備える。
【0052】
正規化部301は、REマッピング部210から出力される出力信号(例えば、サブキャリア信号)を正規化する。例えば、正規化部301は、後述する直接IQマッピング部302においてマッピングに用いるシンボル配置の振幅レベルの範囲内に収めるように、正規化レベルを設定し、正規化レベルに基づいて、出力信号を正規化する。なお、REマッピング部210の出力信号の振幅レベルと、直接IQマッピング部302におけるシンボルマッピングの振幅レベルとが揃えられている場合、正規化部301はFH送信部30に備えられなくてもよい。
【0053】
直接IQマッピング部302は、正規化部301から出力される正規化後のサブキャリア信号を、光送信のシンボルに設定する。別言すると、直接IQマッピング部302は、正規化後のサブキャリア信号を、そのまま、光送信のシンボルとして処理を行う。なお、直接IQマッピング部302の処理の例については後述する。
【0054】
電気光変換部303は、例えば、直接IQマッピング部302から出力される信号(シンボル)を電気-光変換して、変換によって得られた光信号をFH13へ送信する。
【0055】
正規化部301、直接IQマッピング部302、及び、電気光変換部303は、FH13へ信号を送信する送信部の非限定的な一例を成す。
【0056】
なお、FH送信部30は、親局信号処理部20から通知される制御情報に基づいて、FHにおける信号送信を制御してもよい。また、後述するFH受信部40は、FH送信部30を介して、親局信号処理部20から通知される制御情報に基づいて、FHにおける信号受信を制御してもよい。親局信号処理部20から通知される制御情報は、例えば、FHの送信方法に関する情報を含む。
【0057】
制御情報の通知方法については、限定されない。例えば、O-RANにて規定されるヘッダの領域を用いて制御情報が通知されてもよい(非特許文献1参照)。例えば、ヘッダ領域のCommon Header Fieldsと称される領域において、FHの送信方法を通知する領域が追加されてよい。追加された領域の中に、FHの誤り訂正の有無を指示する情報(例えば、1ビットのサイズ)、規定された送信モードの中で使用する送信モードを指示する情報(例えば、複数ビット)が含まれてよい。
【0058】
制御情報の通知方法の例として、Common Header Fieldsの既存領域にFHの送信方法を拡張して通知されてもよい。例えば、payloadVersionと称されるペイロードの送信方法を規定する情報を用いて、FHの送信方法が指示されてよい。
【0059】
制御情報の通知方法の例として、Section header fieldsと称される領域にFH送信方法を通知する領域が追加されてもよい。あるいは、ヘッダ領域が拡張され、新規に領域が追加されてもよいし、reserve領域にFH送信方法を通知する領域が追加されてもよい。追加された領域において、FHの誤り訂正の有無を指示する情報(例えば、1ビットのサイズ)、規定された送信モードの中で使用する送信モードを指示する情報(例えば、複数ビット)が含まれてよい。
【0060】
制御情報の通知方法の例として、PRB fieldsにFHの送信方法を通知する領域が追加されてもよい。例えば、PRB fieldsに新規に領域が追加されてもよいし、既存のudCompParamが拡張され、FHの送信方法が通知されてもよい。
【0061】
<子局装置12>
次に、
図3Bを参照して子局装置12の構成(DL)の一例を説明する。
【0062】
(FH受信部40)
図3Bに例示したように、子局装置12において、FH受信部40は、例えば、光電気(O/E)変換部401、等化(Equalization)部402、及び、軟判定(Soft decision)部403を備える。
【0063】
光電気変換部401は、例えば、FH13を伝送されてきた光信号を受光し、電気信号に変換する。
【0064】
等化部402は、光電気変換部401から出力される電気信号に対して、FH13の伝送路の特性に対応した等化処理を行う。
【0065】
軟判定部403は、等化部402から出力される等化処理後の信号の軟判定処理を行う。例えば、軟判定部403は、等化処理後の信号のI成分の振幅レベル及びQ成分の振幅レベルを判定する。
【0066】
光電気変換部401、等化部402、及び、軟判定部403は、FH13から信号を受信する受信部の非限定的な一例を成す。
【0067】
(子局信号処理部50)
子局信号処理部50は、
図3Bに例示したように、例えば、ビームフォーミング部501、IFFT(inverse fast Fourier transform)+CP(cyclic prefix)部502、D/A(digital to analog)変換部503、及び、無線(RF)部504を備える。
【0068】
ビームフォーミング部501及びIFFT+CP部502は、例えば、下位物理レイヤ(Low-PHY)ブロック5001を成す。
【0069】
ビームフォーミング部501は、例えば、FH受信部40の出力に対し、ビーム形成処理を行う。なお、ビームフォーミング部501は、子局装置12においてビームフォーミングを実施しない場合、省略されてよい。或いは、ビームフォーミング形成処理は、親局装置11において実施されても良い。
【0070】
IFFT+CP部502は、例えば、ビームフォーミング部501の出力に対し、IFFTとCPの挿入とを行う。
【0071】
D/A変換部503は、例えば、IFFT+CP部502の出力をデジタル信号からアナログ信号へ変換する。
【0072】
RF部504は、例えば、D/A変換部503の出力に対し、無線周波数へのアップコンバート処理や、増幅処理といった送信RF処理を施す。送信RF処理によって生成された無線信号は、例えば、RF部504に備えられたアンテナ(図示省略)を介して空間へ放射される(例えば、UE2宛に送信される)。
【0073】
<直接IQマッピング及び軟判定処理の例>
図4は、直接IQマッピング及び軟判定処理の一例を示す図である。
図4には、
図3Aに例示したREマッピング部210、
図3Aに例示したFH送信部30、及び、
図3Bに例示したFH受信部40に着目した構成例が、信号の複素平面(IQ平面)における表現例と併せて示される。
【0074】
図4には、REマッピング部210において、無線リソースにマッピングされたシンボルS(サブキャリア信号の一例)が示される。
図4では、例示的に、変調部207において多値変調(例えば、64QAM変調)が行われ、プリコーディング部209においてプリコーディングを施されたシンボルSが示される。なお、i sampleは、シンボルSのI成分(同相成分)を示し、q sampleは、シンボルSのQ成分(直交成分)を示す。
【0075】
直接IQマッピング部302は、REマッピング部210から出力され、正規化部301において正規化されたサブキャリア信号を、直接、光送信のシンボルに設定(あるいは「マッピング」と称してもよい)する。
【0076】
例えば、
図4に例示するように、REマッピング部210から出力されたサブキャリア信号のシンボル(サブキャリアシンボルと称してもよい)Sは、そのI成分及びQ成分が、それぞれ、光送信におけるシンボルのI成分及びQ成分に設定される。なお、サブキャリア信号は、サブキャリア変調信号と称されてもよい。
【0077】
別言すると、シンボルSは、例えば、そのI成分及びQ成分を光領域において有するシンボルにマッピングされる。マッピング後のシンボルSは、電気-光変換され、FH13を介して、FH受信部40へ送信される。
【0078】
このように、シンボルSのI成分及びQ成分を、それぞれ、そのまま光送信のシンボルのI成分及びQ成分にマッピングする「直接IQマッピング」の場合、光送信での多値変調の候補点(例えば、
図1における256QAMの候補点)は存在しないと理解されてよい。別言すると、「直接IQマッピング」では、光送信での多値数に依存しない。REマッピング部210から出力されたシンボルSが、アナログRoF及び/またはコヒーレント伝送と同様に、FH13において伝送される。
【0079】
なお、本実施の形態において、「直接IQマッピング」という用語は、電気領域のシンボルを光領域のシンボルとしてマッピングする処理の過程で他の処理が介在しないことを意味しない。例えば、既述の正規化のような処理がマッピング処理の過程に介在していてもよい。
【0080】
また、シンボルSは、FH13への送信前に符号化(例えば、誤り訂正符号化)を施されなくてもよい。FH伝送において生じ得る誤りは、無線区間(例えば、無線基地局1とUE2との間の区間)に対する誤り訂正処理によって訂正されてよい。
【0081】
例えば、無線区間における誤り訂正能力に応じて、光伝送区間であるFH13における光信号に対して求められる誤り訂正能力を緩和できる。そのため、「直接IQマッピング」の適用によってFH13における伝送誤り率が増大し得るとしても、無線区間での誤り訂正処理によって、無線基地局1とUE2との間の通信品質は保証し易い。したがって、「直接IQマッピング」を用いた光送信において誤り訂正は不要にできる。
【0082】
光送信されたシンボルSは、FH13を介してFH受信部40によって受信される。なお、光送信シンボルSは、例えば、FH13において伝送路の影響(例えば、雑音の影響)を受け得る。FH受信部40では、受信したシンボルが、例えば、光電気変換部401及び等化部402において、それぞれ、光-電気変換及び等化処理された後、軟判定部403において軟判定される。
【0083】
例えば、
図4に示すように、軟判定部403は、受信シンボルSrが、FH送信部30から送信されたサブキャリア信号である、と判定する。軟判定部403は、例えば、受信シンボルSrのI成分及びQ成分を判定する。
【0084】
この場合、受信シンボルSrのI成分及びQ成分をそのままサブキャリア信号のI成分及びQ成分と判定するため、多値変調の信号点配置に基づいた受信シンボルSrの硬判定を行わなくてもよいため、信号の誤判定の影響はない。
【0085】
なお、
図4の例では、プリコーディングが実施される場合を示すが、プリコーディングが実施されなくてもよい。
図4に例示したプリコーディングが実施される場合と同様に、プリコーディングが実施されない場合も、REマッピング部210から出力されたサブキャリア信号のシンボルSのI成分及びQ成分が、それぞれ、光送信におけるシンボルのI成分及びQ成分に設定される。
【0086】
以上、本実施の形態1のDLの構成における親局装置11は、サブキャリア変調信号を出力する親局信号処理部20(処理部の一例)と、サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、FHへ送信する光信号にマッピングするFH送信部30(送信部の一例)と、を備える。また、本実施の形態1のDLの構成における子局装置12は、FHを介して光信号を受信するFH受信部40(受信部の一例)と、光信号においてマッピングされたサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、サブキャリア変調信号を識別する子局信号処理部50(処理部の一例)と、を備える。この構成により、
図4に例示したように、REマッピング部210から出力されるサブキャリア信号を光信号にマッピングするため、例えば、信号の量子化及び符号化を不要にできる。したがって、例えば、量子化及び符号化の適用に伴う冗長ビットの増加を抑制でき、伝送効率を向上できる。
【0087】
また、
図4の例では、FH受信部40において軟判定を行うため、例えば、シンボルの硬判定を用いる場合に比して、生じ得るシンボル判定の誤りを抑制できる。
【0088】
なお、
図3A及び
図3Bには、DLの構成の例を示したが、DLの構成と同様の構成が、ULに適用されてもよい。以下、ULの構成例を示す。
【0089】
図5は、実施の形態1に係る無線通信システムの構成の第2の例を示す図である。
図5に例示したように、UE2から無線基地局1へのUL通信に着目した場合、無線基地局1は、子局装置12において、例えば子局信号処理部60とFH送信部70とを備え、親局装置11において、例えばFH受信部80と親局信号処理部90とを備える。
【0090】
図6Aに、ULに着目した子局装置12(子局信号処理部60及びFH送信部70)の構成の一例を示し、
図6Bに、ULに着目した親局装置11(FH受信部80及び親局信号処理部90)の構成の一例を示す。
【0091】
<子局装置12>
まず、
図6Aを参照して、子局装置12における子局信号処理部60及びFH送信部70の構成の一例について説明する。なお、1つの親局装置11に、2つ以上の子局装置12が接続可能であること、1つの子局装置12が、2つ以上のUE2と接続可能であることは、
図2と同様である。
【0092】
(子局信号処理部60)
図6Aに例示したように、子局信号処理部60は、例えば、RF部601、A/D(analog to digital)変換部602、CP除去(removal)+FFT(first Fourier transform)部603、及び、ビームフォーミング部604を備える。
【0093】
RF部601は、例えば、アンテナを有し、UE2から送信されたULの無線信号をアンテナにて受信し、受信した無線信号に対し、ダウンコンバート処理や、低雑音増幅処理といった受信RF処理を施す。
【0094】
A/D変換部602は、例えば、RF部601の出力(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。
【0095】
CP除去+FFT部603及びビームフォーミング部604は、例えば、下位物理レイヤ(Low-PHY)ブロック6001を成す。
【0096】
CP除去+FFT部603は、例えば、A/D変換部602の出力に対し、FFTとCPの除去とを行う。
【0097】
ビームフォーミング部604は、例えば、CP除去+FFT部603の出力に対し、受信ビームの形成処理を行う。なお、ビームフォーミング部604は、子局装置12においてビームフォーミングを実施しない場合、省略されてよい。
【0098】
(FH送信部70)
一方、FH送信部70は、
図6Aに例示したように、例えば、正規化部701、直接IQマッピング(Direct IQ mapping)部702、及び、電気光(E/O)変換部703を備える。
【0099】
ULに関するFH送信部70の各機能部701~703は、それぞれ、DLに関するFH送信部30の各機能部301~303(
図3A参照)と同等と捉えてよい。
【0100】
例えば、正規化部701には、子局信号処理部60から出力される信号の正規化を行う。例えば、正規化部701は、後述する直接IQマッピング部702においてマッピングに用いるシンボル配置の振幅レベルの範囲内に収めるように、正規化レベルを設定し、正規化レベルに基づいて、出力信号を正規化する。なお、子局信号処理部60の出力信号の振幅レベルと、直接IQマッピング部702におけるシンボルマッピングの振幅レベルとが揃えられている場合、正規化部701はFH送信部70に含まれなくてもよい。
【0101】
直接IQマッピング部702は、直接IQマッピング部302と同様に、正規化部701から出力される正規化後のサブキャリア信号を、光送信のシンボルに設定する。別言すると、直接IQマッピング部702は、正規化後のサブキャリア信号を、そのまま、光送信のシンボルとして処理を行う。
【0102】
電気光変換部703は、例えば、直接IQマッピング部702から出力される信号(シンボル)を電気-光変換して、変換によって得られた光信号をFH13へ送信する。
【0103】
<親局装置11>
次に、
図6Bを参照して、親局装置11におけるFH受信部80及び親局信号処理部90の構成の一例について説明する。
【0104】
(FH受信部80)
図6Bに例示したように、FH受信部80は、例えば、光電気変換部801、等化(Equalization)部802、及び、軟判定(Soft decision)部803を備える。
【0105】
ULに関するFH受信部80の各機能部801~803は、それぞれ、DLに関するFH受信部40の各機能部401~403(
図3B参照)と同等と捉えてよい。
【0106】
例えば、光電気変換部801は、FH13を伝送されてきた光信号を受光し電気信号に変換する。
【0107】
等化部802は、光電気変換部801から出力される電気信号に対して、FH13の伝送路の特性に対応した等化処理を行う。
【0108】
軟判定部803は、等化部802から出力される等化処理後の信号の軟判定処理を行う。例えば、軟判定部803は、等化処理後の信号のI成分の振幅レベル及びQ成分の振幅レベルを判定する。
【0109】
(親局信号処理部90)
一方、親局信号処理部90は、例えば
図6Bに例示したように、REデマッピング部901、レイヤデマッピング部902、復調部903、デスクランブリング部904、及び、復号部905を備える。これらの各機能部901~905は、例えば、上位物理レイヤ(High-PHY)ブロック9001を成す。
【0110】
また、親局信号処理部90は、例えば、MAC部906、RLC部907、PDCP部908、及び、SDAP部909を備える。
【0111】
REデマッピング部901は、無線リソース(例えば、RE)にマッピングされたUL信号をデマッピングする。
【0112】
レイヤデマッピング部902は、例えば、REデマッピング部901の出力においてレイヤごとにマッピングされたUL信号をデマッピングする。なお、レイヤデマッピング部902は、MIMO伝送のために用いられるため、MIMO伝送を適用しない場合には省略されてよい。
【0113】
復調部903は、例えば、レイヤデマッピング部902の出力を、QPSK、16QAM、64QAM、256QAMといった変調方式に対応した復調方式によって復調する。
【0114】
デスクランブリング部904は、例えば、復調部903の出力に対し、スクランブリングを解くためのデスクランブル処理を行う。
【0115】
復号部905は、例えば、デスクランブリング部904の出力を復号する。
【0116】
MAC部906は、例えば、UL信号のMAC PDUからRLC PDUを生成してRLC部907へ出力する。
【0117】
RLC部907は、例えば、MAC部906の出力に対して、例えば、エラー検出及びARQによる再送制御といった処理を行い、PDCP PDUを出力する。
【0118】
PDCP部908は、RLC部907の出力に対して、例えば、暗号化されているユーザーデータの復号化及びヘッダ解凍といった処理を行い、SDAP PDUをSDAP部909へ出力する。
【0119】
SDAP部909は、例えば、QoSフローと無線ベアラとのマッピングを行い、PDCP部908の出力からSDAPヘッダを除去して上位のコアネットワークへ送信する。
【0120】
なお、FH受信部80は、親局信号処理部90から通知される制御情報に基づいて、FHにおける信号受信を制御してもよい。また、FH送信部70は、親局信号処理部90から通知される制御情報に基づいて、FHにおける信号送信を制御してもよい。なお、親局信号処理部90から通知される制御情報の一例については、DLについて上述した親局信号処理部20から通知される制御情報と同様であってもよい。
【0121】
以上、本実施の形態1のULの構成における子局装置12は、サブキャリア変調信号を出力する子局信号処理部60と、サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、FHへ送信する光信号にマッピングするFH送信部70と、を備える。また、本実施の形態1のULの構成における親局装置11は、FHを介して光信号を受信するFH受信部80と、光信号においてマッピングされたサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、サブキャリア変調信号を識別する親局信号処理部90と、を備える。このようなULでの構成によって、
図3A、
図3Bに示したDLの構成と同等あるいは同様の作用効果が得られる。
【0122】
[実施の形態2]
次に、
図7A及び
図7Bを参照して実施の形態2のDLの構成例について説明する。なお、
図7A、
図7Bにおいて、
図3A、
図3Bと同様の構成については同一の付番を付し、説明を省略する場合がある。実施の形態2では、実施の形態1と比較して、FH送信部及びFH受信部の構成が異なる。なお、システム構成例は、
図2と同一でよい。また、1つの親局装置11に、2つ以上の子局装置12が接続可能であること、1つの子局装置12が、2つ以上のUE2と接続可能であることも、実施の形態1と同様である。
【0123】
実施の形態2において、FH送信部30Aは、
図7Aに例示したように、例えば、正規化(Normalization)部301、IQシンボル候補検出(IQ symbol candidate detection)部304、及び、電気光(E/O)変換部303を備える。
【0124】
IQシンボル候補検出部304は、例えば、正規化部301から出力される正規化後のサブキャリア信号に基づいて、光送信においてマッピングするシンボルの候補を検出する。例えば、光送信において多値変調(例えば、256QAM変調)が使用される場合、IQシンボル候補検出部304は、IQ平面の信号点配置において多値変調の次数に応じた数(例えば、256)の候補信号点のうち、サブキャリア信号のI成分及びQ成分によって示される信号点との関係が所定の関係である候補信号点を、光送信における信号点(例えば、シンボル)に決定してよい。例えば、所定の関係は、IQ平面において最も近いという関係である。この所定の関係を用いる場合、光送信における信号点は、多値変調の次数に応じた数の候補信号点のうち、サブキャリア信号のI成分及びQ成分によって示される信号点に最も近い候補信号点であってよい。なお、IQシンボル候補検出部304の処理の例については後述する。
【0125】
実施の形態2において、FH受信部40Aは、
図7Bに例示したように、例えば、光電気(O/E)変換部401、等化(Equalization)部402、及び、シンボル判定(Symbol decision)部404を備えてよい。
【0126】
シンボル判定部404は、例えば、等化部402から出力される等化処理後の信号のシンボルを判定する。例えば、光送信において256QAM変調が使用される場合、シンボル判定部404は、256QAMの候補信号点のうち、等化処理後のI成分及びQ成分によって示される信号との関係が所定の関係である候補信号点を判定する。所定の関係は、例えば、IQシンボル候補検出部304と同様である。
【0127】
<IQシンボル候補検出とシンボル判定の例>
図8は、IQシンボル候補検出とシンボル判定の一例を示す図である。
図8には、
図7Aに例示したREマッピング部210、
図7Aに例示したFH送信部30A、及び、
図7Bに例示したFH受信部40Aに着目した構成例が、信号のIQ平面における表現例と併せて示される。
【0128】
図8には、REマッピング部210において、無線リソースにマッピングされたシンボルS(サブキャリア信号の一例)が示される。
図4では、例示的に、変調部207において64QAM変調が行われ、プリコーディング部209においてプリコーディングが施されたシンボルSが示される。なお、i sampleは、シンボルSのI成分を示し、q sampleは、シンボルSのQ成分を示す。
【0129】
IQシンボル候補検出部204は、REマッピング部210から出力され、正規化部301において正規化されたサブキャリア信号に基づいて、候補信号点の中から、光送信においてマッピングするシンボルの候補を検出する。
図8では、一例として、光送信において多値変調(例えば、256QAM変調)が使用される。
図8に例示するように、シンボルSが、REマッピング部210から出力された場合、256QAMの候補信号点の中でシンボルSに最も近いシンボルTが、光送信のシンボルに設定される。シンボルTは、電気-光変換され、FH13を介して、FH受信部40Aへ送信される。
【0130】
また、シンボルTは、FH13への送信前に、FH伝送のための符号化(例えば、誤り訂正符号化)を施されなくてもよい。FH伝送において生じ得る誤りは、無線区間(例えば、無線基地局1とUE2との間の区間)に対する誤り訂正処理によって訂正されてよい。
【0131】
例えば、無線区間における誤り訂正能力に応じて、光伝送区間であるFH13における光信号に対して求められる誤り訂正能力を緩和できる。そのため、FH伝送のための符号化が施されないことによって、FH13における伝送誤り率が増大し得るとしても、無線区間での誤り訂正処理によって、無線基地局1とUE2との間の通信品質は保証し易い。
【0132】
光送信されたシンボルTは、FH13を介してFH受信部40Aによって受信される。なお、光送信シンボルTは、例えば、FH13において伝送路の影響(例えば、雑音の影響)を受け得る。FH受信部40Aでは、受信したシンボルが、例えば、光電気変換部401及び等化部402において、それぞれ、光-電気変換及び等化処理された後、シンボル判定部404において、シンボルが判定される。
【0133】
例えば、
図8に示すように、256QAMの候補信号点のうち、受信シンボルTrに最も近いシンボルTxが、FH送信部30Aから送信されたシンボル(例えば、サブキャリア変調信号)である、と判定される。
【0134】
なお、
図8の例では、プリコーディングが実施される場合を示すが、プリコーディングが実施されなくてもよい。
図8に例示したプリコーディングが実施される場合と同様に、プリコーディングが実施されない場合も、REマッピング部210から出力されたサブキャリア信号のシンボルSのI成分及びQ成分に基づいて、光送信におけるシンボルが決定される。
【0135】
以上、本実施の形態2のDLの構成における親局装置11は、サブキャリア変調信号を出力する親局信号処理部20(処理部の一例)と、サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、FHへ送信する光信号にマッピングするFH送信部30A(送信部の一例)と、を備える。また、本実施の形態2のDLの構成における子局装置12は、FHを介して光信号を受信するFH受信部40A(受信部の一例)と、光信号においてマッピングされたサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、サブキャリア変調信号を識別する子局信号処理部50(処理部の一例)と、を備える。この構成により、
図8に例示したように、REマッピング部210から出力されるサブキャリア信号を光信号にマッピングするため、例えば、信号の量子化及び符号化を不要にできる。したがって、例えば、量子化及び符号化の適用に伴う冗長ビットの増加を抑制でき、伝送効率を向上できる。
【0136】
また、本実施の形態2では、
図8に例示するように、光送信に用いる信号点配置に基づいて、シンボル判定を行うため、雑音の耐性を向上できる。
【0137】
また、本実施の形態2では、光送信に用いる信号点配置に基づいて、光送信のシンボルマッピングおよびシンボル判定を行うため、既存の光送信の送信装置及び受信装置を使用してシステムを構成できる。
【0138】
また、
図8の例では、FH受信部40Aにおいて、シンボルの硬判定を行うため、FH送信部30Aから送信されたシンボルを復元できる。
【0139】
なお、
図7A及び
図7Bには、DLの構成の例を示したが、DLの構成と同様の構成が、ULに適用されてもよい。以下、ULの構成例を示す。
【0140】
実施の形態2におけるULのシステム構成例は、実施の形態1の
図5に示した構成例と同一でよい。また、1つの親局装置11に、2つ以上の子局装置12が接続可能であること、1つの子局装置12が、2つ以上のUE2と接続可能であることは、実施の形態1と同様である。
【0141】
図9Aに、ULに着目した子局装置12(子局信号処理部60及びFH送信部70A)の構成の一例を示し、
図9Bに、ULに着目した親局装置11(FH受信部80A及び親局信号処理部90)の構成の一例を示す。なお、
図9A、
図9Bにおいて、
図6A、
図6Bと同様の構成については、同一の付番を付し、説明を省略する場合がある。
【0142】
実施の形態2において、FH送信部70Aは、
図9Aに例示したように、例えば、正規化部701、IQシンボル候補検出部704、及び、電気光(E/O)変換部703を備える。
【0143】
IQシンボル候補検出部704は、正規化部701から出力される正規化後のサブキャリア信号に基づいて、候補の中から、光送信のシンボルを検出する。例えば、光送信において256QAM変調が使用される場合、IQシンボル候補検出部704は、256QAMの候補点を示すIQ平面の信号点配置において、サブキャリア信号に最も近い候補点を、送信シンボルに決定する。
【0144】
実施の形態2において、FH受信部80Aは、
図9Bに例示したように、例えば、光電気変換部801、等化(Equalization)部802、及び、シンボル判定(Symbol decision)部804を備える。
【0145】
シンボル判定部804は、等化部802から出力される等化処理後の信号のシンボルを判定する。例えば、光送信において256QAM変調が使用される場合、シンボル判定部804は、256QAMの候補点を示すIQ平面の信号点配置において、サブキャリア信号に最も近い候補点を、受信シンボルである、と判定する。
【0146】
以上、本実施の形態2のULの構成における子局装置12は、サブキャリア変調信号を出力する子局信号処理部60と、サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、FHへ送信する光信号にマッピングするFH送信部70Aと、を備える。また、本実施の形態2のULの構成における親局装置11は、FHを介して光信号を受信するFH受信部80Aと、光信号においてマッピングされたサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、サブキャリア変調信号を識別する親局信号処理部90と、を備える。このようなULでの構成によって、
図7A、
図7Bに示したDLの構成と同等あるいは同様の作用効果が得られる。
【0147】
なお、実施の形態1に示した構成と、実施の形態2に示した構成とは、組み合わせて用いられてもよい。
【0148】
例えば、DLの構成において、実施の形態1に示したFH送信部30と、実施の形態2に示したFH受信部40Aとが組み合わせられてもよい。この場合、FH送信部30の直接IQマッピング部302によってマッピングされたシンボルが、FH受信部40Aによって受信され、FH受信部40Aのシンボル判定部404によって受信されたシンボルに最も近いシンボルが、候補点の中から判定される。
【0149】
例えば、DLの構成において、実施の形態2に示したFH送信部30Aと、実施の形態1に示したFH受信部40とが組み合わせられてもよい。この場合、FH送信部30AのIQシンボル候補検出部304によってマッピングされたシンボルが、FH受信部40によって受信され、FH受信部40の軟判定部403によって受信されたシンボルが判定される。
【0150】
また、実施の形態1と実施の形態2とにおいて、DLの構成とULの構成とを別に示したが、DLの構成とULの構成とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。
【0151】
また、上述した実施の形態1、2に関して、親局装置11において、DLの親局信号処理部20とULの親局信号処理部90とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。
【0152】
同様に、親局装置11において、DLのFH送信部30(又は30A)とULのFH受信部80(又は80A)とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。また、FH送信部30(又は30A)とFH受信部80(又は80A)とは、例えば、DL及びULに共用のFH送受信装置又はFH通信装置として一体化されてもよい。
【0153】
子局装置12についても、同様に、DLのFH受信部40(又は40A)とULのFH送信部70(又は70A)とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。また、FH受信部40(又は40A)とFH送信部70(又は70A)とは、例えば、DLとULとに共用のFH送受信装置又はFH通信装置として一体化されてもよい。
【0154】
また、DLの子局信号処理部50とULの子局信号処理部60とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。
【0155】
また、親局装置11において、DLの親局信号処理部20、及び、ULの親局信号処理部90の少なくとも1つは、論理的なスライスによって構成されてもよい。
【0156】
同様に、子局装置12において、DLの子局信号処理部50、及び、ULの子局信号処理部60の少なくとも1つは、論理的なスライスによって構成されてもよい。
【0157】
親局装置11及び子局装置12の少なくとも1つが、論理的なスライスによって構成されてもよい。
【0158】
また、上述した実施の形態1、2では、親局装置11と子局装置12との1対1の接続関係に着目して説明を行ったが、親局装置11と子局装置12との接続関係は、1対多の関係であってよい。
【0159】
上述した実施の形態1~2において使用した「・・・部」という表記は、物理的なエレメントを意味する場合、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。これに対し、論理的なエレメントを意味する場合、「・・・部」という表記は、例えば、既述のとおり「スライス」に置換されてよい。
【0160】
例えば、DLに関して、実施の形態1における親局信号処理部20(
図3A参照)と、実施の形態2における親局信号処理部20(
図7A参照)と、が1つの親局装置11に備えられてもよい。また、DLに関して、実施の形態1における子局信号処理部50(
図3B参照)と、実施の形態1における子局信号処理部50(
図7B参照)と、が1つの親局装置11に備えられてもよい。
【0161】
同様に、ULに関して、実施の形態1における子局信号処理部60(
図6A参照)と、実施の形態2における子局信号処理部60(
図9A参照)とが1つの子局装置12に備えられてよい。また、ULに関して、実施の形態1における親局信号処理部90(
図6B参照)と、実施の形態2における親局信号処理部90(
図9B)とが1つの親局装置11に備えられてよい。
【0162】
また、実施の形態1、2では、機能分割点が1つ(別言すると、機能分割構成が、親局装置11と子局装置12との2つ)のケースについて説明したが、機能分割点は2つ以上であってもよい。例えば、複数の基地局機能部が、2つの機能分割点によってCU、DU及びRU(radio unit)の3つに分割配置されてもよい。
【0163】
なお、実施の形態1、2のDLの構成では、周波数軸に並ぶ無線リソース(例えば、RE)にマッピングされるサブキャリア信号をFHにて伝送し、子局装置において、サブキャリア信号のIFFT処理を施すことによって、OFDM信号が得られる構成例を示した。別言すると、実施の形態1、2のDLの構成では、親局装置と子局装置との間の機能分割において、REへのマッピングを行う機能が親局装置に含まれ、IFFT処理を行う機能が子局装置に含まれる。この機能分割に基づく構成例によって、FHにおいて重畳される雑音による帯域外輻射の影響をIFFT処理によって低減できる。
【0164】
また、実施の形態1、2のULの構成では、子局装置において、OFDM信号に対するFFT処理を施すことによって、サブキャリア信号が得られ、サブキャリア信号がFHにて伝送される。親局装置では、伝送されたサブキャリア信号のデマッピング処理が実行される。別言すると、実施の形態1、2のULの構成では、親局装置と子局装置との間の機能分割において、デマッピング処理を行う機能が親局装置に含まれ、FFT処理を行う機能が子局装置に含まれる。この機能分割に基づく構成例によって、FHにおいて重畳される雑音による帯域外輻射の影響をFFT処理及びデマッピング処理によって低減できる。
【0165】
また、実施の形態1、2では、FH伝送に対する誤り訂正符号化処理が実行されないが、FH伝送において生じ得る誤りは、無線区間(例えば、無線基地局1とUE2との間の区間)に対する誤り訂正符号化処理によって訂正されてよい。無線区間に対する誤り訂正符号化処理は、例えば、DLにおいては、
図3A、
図7Aにおける符号化部205によって実行される。また、無線区間に対する誤り訂正符号化の復号処理は、ULにおいては、
図6B,
図9Bにおける復号部905によって実行される。
【0166】
なお、この場合、無線区間に対する誤り訂正符号化処理は、FHにおける伝送特性に応じて設定されてよい。
【0167】
例えば、符号化率が高い(別言すると、冗長度が低い)ほど、伝送効率は高くなるが誤り訂正能力は低くなる傾向にあり、逆に、符号化率が低い(別言すると、冗長度が高い)ほど、伝送効率は低くなるが誤り訂正能力は高くなる傾向にある。
【0168】
そのため、例えば、無線区間の伝送特性とFHにおける伝送特性に応じて、符号化率が設定されてよい。例えば、DLにおいては、符号化部205において使用する符号化率が無線区間の伝送特性とFHにおける伝送特性に応じて設定されてよい。また、ULにおいては、UE2が使用する符号化率が無線区間の伝送特性とFHにおける伝送特性に応じて設定されてよい。例えば、ULにおいては、無線基地局1が、UE2が使用する符号化率を設定し、設定した符号化率を示す制御情報をUE2に通知してもよい。
【0169】
また、FH区間にて送信または受信される光信号には、親局装置と子局装置との間の伝送制御に関わる情報が含まれる場合がある。例えば、この伝送制御に関わる情報に対しては、FH伝送に対する誤り訂正符号化処理が実行されてもよい。
【0170】
例えば、eCPRIの場合、信号のペイロード部には、例えば、親局装置あるいは子局装置において信号処理された無線伝送信号(例えば、PDSCHやPDCCHの信号)が含まれる。「PDSCH」は、「physical downlink shared channel」の略記であり、「PDCCH」は、「physical downlink control channel」の略記である。無線伝送信号は、送信側で誤り訂正処理が行われる。
【0171】
無線区間伝送のために親局装置において信号のペイロード部に誤り訂正が実施される場合、FH伝送区間においてペイロード部に誤りが生じたとしても、無線受信側(例えば、ダウンリンクにおけるUE)において誤り訂正が可能である。
【0172】
一方、信号のヘッダ部には、例えば、親局装置と子局装置との間の伝送制御に関わる情報が含まれ得る。例えば、複数の子局装置に対応した複数の宛先情報がヘッダ部に含まれることがある。
【0173】
ヘッダ部に誤りが生じた場合、当該ヘッダ部が付与されたペイロード部は、受信側において復元に失敗して破棄され得る。そのため、ヘッダ部は、ペイロード部に比して、重要度が高く、また、高い誤り耐性が望まれる。そのため、ヘッダ部においては、FH伝送に対する誤り訂正符号化処理が実行され、ペイロード部に相当するサブキャリア信号に対しては、FH伝送に対する誤り訂正符号化処理が実行されずに、上述した実施の形態1及び/又は実施の形態2の伝送方法が適用されてもよい。
【0174】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
【0175】
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0176】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0177】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0178】
[本開示のまとめ]
本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置は、サブキャリア変調信号を出力する処理部と、前記サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、フロントホールへ送信する光信号にマッピングする送信部と、を備える。
【0179】
本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置において、前記送信部は、前記サブキャリア変調信号の前記I成分及び前記Q成分を、それぞれ、前記光信号のI成分及びQ成分としてマッピングする。
【0180】
本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置において、前記送信部は、前記光信号のIQ平面における複数の候補信号点のうち、前記サブキャリア変調信号の前記I成分及び前記Q成分によって表される信号点との関係が所定の関係にある候補信号点を前記光信号に設定する。
【0181】
本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置において、前記所定の関係は、前記IQ平面において最も距離が近い関係である。
【0182】
本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置において、前記サブキャリア変調信号は、無線伝送区間の無線リソースにマッピングされる信号であり、前記無線伝送区間と前記フロントホールを含む光伝送区間とのうち、前記無線伝送区間に対応する誤り訂正符号化が施される。
【0183】
本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置において、前記フロントホールを介して上りの光信号を受信する受信部を備え、前記処理部は、前記上りの光信号においてマッピングされた上りのサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、前記上りのサブキャリア変調信号を識別する。
【0184】
本開示の非限定的な一実施例に係る子局装置は、フロントホールを介して光信号を受信する受信部と、前記光信号においてマッピングされたサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、前記サブキャリア変調信号を識別する処理部と、を備える。
【0185】
本開示の非限定的な一実施例に係る子局装置において、前記処理部は、上りのサブキャリア変調信号を出力し、前記上りのサブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、前記フロントホールへ送信する上りの光信号にマッピングする送信部を備える。
【0186】
本開示の非限定的な一実施例に係る無線通信システムは、親局装置と子局装置とを備え、前記親局装置は、サブキャリア変調信号を出力する処理部と、前記サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分を、フロントホールへ送信する光信号にマッピングする送信部と、を備え、前記子局装置は、前記フロントホールを介して、前記光信号を受信する受信部と、前記光信号においてマッピングされた前記サブキャリア変調信号のI成分及びQ成分に基づいて、前記サブキャリア変調信号を識別する処理部と、を備える。
【産業上の利用可能性】
【0187】
本開示は、例えば、無線通信システムに好適である。
【符号の説明】
【0188】
1 無線基地局
2 UE
11 親局装置
12 子局装置
13 フロントホール(FH)
20,90 親局信号処理部
30,30A,70,70A FH送信部
40,40A,80,80A FH受信部
50,60 子局信号処理部