(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184418
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ガス供給装置
(51)【国際特許分類】
F17C 5/06 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
F17C5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092257
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三谷 和久
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172AB04
3E172BA01
3E172BD03
3E172DA47
3E172DA90
3E172EA02
3E172EA30
3E172EA46
3E172KA03
3E172KA21
(57)【要約】
【課題】ガス漏洩の検出精度を向上できるガス供給装置を提供する。
【解決手段】ガス供給装置1は、内側ホース101と外側ホース102とを有する二重構造のガス充填ホース10と、内側ホース101と外側ホース102との間の隙間により構成されて該隙間内に漏洩したガスをガス検出センサ7に流通させる漏洩ガス流通路103とを備えている。外側ホース102は金属材料により形成されている。漏洩ガス流通路103は、ガス充填ホース10の長手方向に沿って螺旋状に形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側ホースと外側ホースとを有する二重構造のガス充填ホースと、前記内側ホースと前記外側ホースとの間の隙間により構成されて該隙間内に漏洩したガスをガス検出センサに流通させる漏洩ガス流通路と、を備えるガス供給装置において、
前記外側ホースは、金属材料により形成され、
前記漏洩ガス流通路は、前記ガス充填ホースの長手方向に沿って螺旋状に形成されていることを特徴とするガス供給装置。
【請求項2】
前記外側ホースは、金属管に螺旋絞り加工を施すことにより形成された螺旋状の凸部を有する請求項1に記載のガス供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガス供給装置として、例えば下記特許文献1に記載されるように、内側ホースと外側ホースとを有する二重構造のガス充填ホースを備えたものが知られている。この特許文献1に記載のガス供給装置では、外側ホースの端部をガス検出センサに連通させ、内側ホースから該内側ホースと外側ホースとの隙間に漏洩したガスを検出することにより、ガス充填ホースのガス漏洩を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のガス充填ホースは樹脂材料により形成されることが多いので、ガスの加圧と脱圧の繰り返しや経年劣化などの原因によって、樹脂材料の膨潤などの変化が生じたり、内側ホースと外側ホースとが癒着したりする場合がある。このため、内側ホースと外側ホースとの隙間が減少し、隙間に漏洩したガスがガス検出センサに流れにくくなり、ガス漏洩の検出精度が低下する問題があった。
【0005】
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、ガス漏洩の検出精度を向上できるガス供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るガス供給装置は、内側ホースと外側ホースとを有する二重構造のガス充填ホースと、前記内側ホースと前記外側ホースとの間の隙間により構成されて該隙間内に漏洩したガスをガス検出センサに流通させる漏洩ガス流通路と、を備えるガス供給装置において、前記外側ホースは、金属材料により形成され、前記漏洩ガス流通路は、前記ガス充填ホースの長手方向に沿って螺旋状に形成されていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係るガス供給装置では、外側ホースは金属材料により形成されているので、内側ホースと外側ホースとの間の隙間の減少を抑制し、漏洩ガス流通路を確保することができる。加えて、漏洩ガス流通路はガス充填ホースの長手方向に沿って螺旋状に形成されているので、漏洩ガスのガス検出センサへの流通をスムーズに誘導することができる。その結果、ガス漏洩の検出精度を向上することができる。
【0008】
本発明に係るガス供給装置において、前記外側ホースは、金属管に螺旋絞り加工を施すことにより形成された螺旋状の凸部を有することが好ましい。このようにすれば、螺旋状の漏洩ガス流通路を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガス漏洩の検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るガス供給装置を示す概略構成図である。
【
図2】ガス供給装置のガス充填ホースを示す部分断面図である。
【
図4】ガス充填ホースの変形例を示す部分断面図である。
【
図5】ガス充填ホースの変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係るガス供給装置の実施形態について説明する。ここでは、ガス供給装置を水素ステーションに適用する例を挙げて説明するが、本発明のガス供給装置は、水素ステーションに限定されずに、高圧水素の移送、圧縮天然ガス(CNG:Compressed Natural Gas)の移送、天然ガスの充填、その他の高圧水素などを扱う製造業やエネルギー産業にも適用することができる。
【0012】
図1は実施形態に係るガス供給装置を示す概略構成図である。本実施形態のガス供給装置1は、例えばオンサイト方式を採用した水素ステーションであって、圧縮された水素ガスを燃料電池自動車や燃料電池バスなどの車両Mに充填する(言い換えれば、供給する)ための装置である。
図1に示すように、ガス供給装置1は、水素を製造する水素製造装置2と、水素を車両Mに充填するためのディスペンサ6と、水素製造装置2とディスペンサ6との間に敷設されたガス供給管路11と、ガス供給管路11に設けられたコンプレッサ3、アキュムレータ4及びプレクーラ5とを備えている。
【0013】
コンプレッサ3は、水素製造装置2から送られた水素を圧縮する。例えばコンプレッサ3は、水素製造装置2から送られた水素を車両Mの車載タンクに充填できる圧力まで昇圧する。アキュムレータ4は、高圧水素を蓄える蓄圧器である。プレクーラ5は、冷媒を循環させることにより、水素を例えば-40℃程度まで冷却する。
【0014】
ディスペンサ6の内部には、ガスの漏洩を検出するためのガス検出センサ7が設けられている。ガス検出センサ7は、制御部12と電気的に接続されており、検出結果を制御部12に送信する。
【0015】
制御部12は、例えば演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、演算のためのプログラムを記録した二次記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、演算経過の保存や一時的な制御変数を保存する一時記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)とを組み合わせてなるマイクロコンピュータにより構成されており、記憶されたプログラムの実行によってガス供給装置1を構成する各機器などの制御を行う。
【0016】
例えば緊急離脱カプラ8(後述する)が外れた信号を受信した場合、制御部12は、警報器13を作動させることでそれを周囲に知らせる。また、ガス検出センサ7からガス漏洩の検出結果を受信した場合、制御部12は、警報器13を作動させるとともに、ガス供給管路11に取り付けられたガス供給弁14を閉弁するように制御する。
【0017】
図1に示すように、ディスペンサ6は、緊急離脱カプラ8を介してガス充填ホース10と接続されている。緊急離脱カプラ8は、ガス充填ホース10に強い引張力が作用した場合等において、そのカップリング部を分離するとともにガス供給を遮断することにより、高圧水素の噴出を防止する。従って、仮に水素ガス充填中に車両Mが発進した場合に、該緊急離脱カプラ8が外れることで、水素ガスの噴出を防止しガス供給装置1の安全性を保つことができる。
【0018】
ガス充填ホース10は、二重構造を有する管であり、その一端が緊急離脱カプラ8と接続され、他端が充填ノズル9と接続されている。充填ノズル9は、車両Mへの水素充填時に車両Mの水素ガスタンクに通じる充填口(図示せず)に接続するものである。
【0019】
以下では、
図2及び
図3を参照してガス充填ホース10を詳細に説明する。
図2はガス供給装置のガス充填ホースを示す部分断面図であり、
図3は
図2のA-A線に沿う断面図である。ガス充填ホース10は、内側ホース101と外側ホース102とを有する二重構造の管である。内側ホース101は、内部に水素が流れる流路が形成される樹脂ホースである。外側ホース102は、金属材料によって形成されており、内側ホース101を囲むようになっている。
【0020】
そして、内側ホース101及び外側ホース102は、間に隙間を有するように配置されている。内側ホース101と外側ホース102との間の隙間は、該隙間内に漏洩したガスをガス検出センサ7に流通させるための漏洩ガス流通路103を構成する。漏洩ガス流通路103の充填ノズル9側の端部は密閉されており、充填ノズル9側とは反対する側の端部は、ガス検出センサ7と接続されている。すなわち、ガス検出センサ7は、内側ホース101と外側ホース102との間の隙間(言い換えれば、漏洩ガス流通路103)に連通している。これによって、仮に水素ガスが内側ホース101のどの部位で漏洩したとしても、漏洩した水素ガスが漏洩ガス流通路103を介してガス検出センサ7に流れるので、漏洩を検出することが可能になる。
【0021】
図2に示すように、漏洩ガス流通路103は、ガス充填ホース10の長手方向に沿って螺旋状に形成されている。
【0022】
本実施形態では、外側ホース102は、金属管に螺旋絞り加工を施してなる金属フレキシブルパイプである。これによって、外側ホース102は、外周面に螺旋状の凸部104を有するようになっている。そして、外側ホース102は、その全長にわたって管壁が略同じとなっている。
【0023】
本実施形態のガス供給装置1では、外側ホース102は金属材料により形成されるので、内側ホース101と外側ホース102との間の隙間の減少を抑制し、漏洩ガス流通路103を確保することができる。加えて、漏洩ガス流通路103はガス充填ホース10の長手方向に沿って螺旋状に形成されているので、漏洩ガスのガス検出センサ7への流通をスムーズに誘導することができる。その結果、ガス漏洩の検出精度を向上することができる。
【0024】
なお、ガス充填ホース10については、上述した内容のほか、様々な変形例も考えられる。
【0025】
例えば
図4に示すように、内側ホース101と外側ホース102との間には、漏洩ガス流通路103の空間を維持するための支柱105が複数設けられている。支柱105は、例えば内側ホース101と一体的に形成されている。また、支柱105は、内側ホース101の全長又は全周にわたって設けられるものでなく、漏洩ガス流通路103の漏洩ガスの流れを阻害しない程度に例えば所定長さ毎に配置されている。このように支柱105を設けることで、漏洩ガス流通路103をより確実に確保することができる。
【0026】
また、
図5に示すように、外側ホース102は平滑な外壁を有しており、その内壁には螺旋状の溝106が形成されている。このようにすれば、螺旋状の漏洩ガス流通路103を容易に形成することができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 ガス供給装置
2 水素製造装置
3 コンプレッサ
4 アキュムレータ
5 プレクーラ
6 ディスペンサ
7 ガス検出センサ
8 緊急離脱カプラ
9 充填ノズル
10 ガス充填ホース
11 ガス供給管路
12 制御部
13 警報器
14 ガス供給弁
101 内側ホース
102 外側ホース
103 漏洩ガス流通路
104 凸部
105 支柱
106 溝