IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特開-表示装置 図1
  • 特開-表示装置 図2
  • 特開-表示装置 図3
  • 特開-表示装置 図4
  • 特開-表示装置 図5
  • 特開-表示装置 図6A
  • 特開-表示装置 図6B
  • 特開-表示装置 図6C
  • 特開-表示装置 図7
  • 特開-表示装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184421
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G09F9/00 302
G09F9/00 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092263
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハオ イージャ
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435AA07
5G435BB05
5G435BB12
5G435EE03
5G435EE04
5G435EE05
5G435EE13
5G435GG42
5G435HH05
5G435HH18
5G435LL07
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】剛性を有しつつ、衝撃吸収によって表示パネルの損傷を抑制することができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示カバー2やディスプレイ部3および筐体4の裏面側に、下部プレート6と緩衝層7および上部プレート8とによる緩衝構造を備える。このような構造の衝撃構造を備えれば、緩衝層7が弾性もしくは塑性変形することで衝撃を吸収し、ディスプレイ部3等を保護することができる。よって、剛性を有しつつ、衝撃吸収によってディスプレイ部3の損傷を抑制することができる表示装置1とすることが可能となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置あって、
透明部材で構成された表示カバー(2)と、
前記表示カバーのうち表面側と反対側となる裏面側に貼り付けられ、情報表示を行うディスプレイ部(3)と、
前記ディスプレイ部のうち前記表示カバーと反対側となる裏面に対向して配置され、前記表示カバーおよび前記ディスプレイ部と一体化された筐体(4)と、
前記筐体における前記ディスプレイ部と反対側となる裏面に対向配置された下部プレート(6)と、
前記筐体に固定されると共に前記下部プレートに対向配置される上部プレート(8)と、
前記下部プレートと前記上部プレートとの間に備えられ、前記下部プレートと前記上部プレートとに一体化された緩衝部材(7)と、を有している、表示装置。
【請求項2】
前記緩衝部材は、前記下部プレートおよび前記上部プレートよりも剛性の低い薄板部材で構成される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記緩衝部材は、一方向から見た形状がX字状とされたX字状構造とされている、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記緩衝部材は、前記下部プレートに対して傾斜して配置されると共に一方向に沿って設けられた第1傾斜部(7a)と、前記下部プレートに対して前記第1傾斜部と反対方向に傾斜して配置されると共に前記一方向に沿って設けられた第2傾斜部(7b)と、を有し、前記第1傾斜部および前記第2傾斜部とによって前記X字状構造が構成されている、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記緩衝部材は、一方向から見た形状が蛇行状とされたフィン形状構造とされている、請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記緩衝部材は、一方向から見た形状が複数の六角形を敷き詰めたハニカム状構造とされている、請求項2に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示カバーと前記ディスプレイ部および前記筐体の外縁を囲むベゼル(5)を有し、
前記ベゼルは、表示カバーと前記ディスプレイ部および前記筐体の外縁を囲む枠体部(5a)と、前記枠体部における前記表示カバー側の一端から該ベゼルの内側に張り出して、前記筐体における外縁部(4b)の一部を覆うカバー部(5b)と、を備え、
前記表示カバーは、前記筐体における外縁部の一部に貼り付けられており、
前記枠体部および前記カバー部が前記表示カバーの表面より突き出している、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
前記ベゼルは、前記下部プレートの外縁において該ベゼルの内壁面と連続した一体構造とされている、請求項7に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ディスプレイなどの表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に、ディスプレイ部に相当する表示パネルを備えた携帯端末装置が提案されている。この携帯端末装置では、表示パネルが取付けられたパネルホルダが支持部を介して表示部上側筐体に固定されている。支持部は、自在に撓むことができる衝撃吸収部を有しており、支持部の衝撃吸収部が撓むことで表示パネルへの衝撃を軽減すると共に、筐体からの変形の伝搬を軽減し、表示パネルの損傷などを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-167657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような技術を適用した表示装置では、支持部や衝撃吸収部の弾性変形によって衝撃を吸収するものの、弾性であるため、剛性に欠ける。特に、スマートフォンなどの携帯端末や車載センターインフォメーションディスプレイ(以下、CIDという)など、タッチ機能がある表示装置の場合、ユーザが押下した際にタッチ部に歪みを感じて好ましくない。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、剛性を有しつつ、衝撃吸収によってディスプレイ部の損傷を抑制することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、表示装置あって、表面側に配置される透明部材で構成された表示カバー(2)と、表示カバーのうち表面側と反対側となる裏面側に貼り付けられ、情報表示を行うディスプレイ部(3)と、ディスプレイ部のうち表示カバーと反対側となる裏面に対向して配置され、表示カバーおよびディスプレイ部と一体化された筐体(4)と、筐体におけるディスプレイ部と反対側となる裏面に対向配置された下部プレート(6)と、筐体に固定されると共に下部プレートに対向配置される上部プレート(8)と、下部プレートと上部プレートとの間に備えられ、下部プレートと上部プレートとに一体化された緩衝部材(7)と、を有している。
【0007】
このように、下部プレートと緩衝部材および上部プレートによる緩衝構造を備えるようにしている。このため、緩衝層が弾性もしくは塑性変形することで衝撃を吸収し、ディスプレイ部等を保護することができる。よって、剛性を有しつつ、衝撃吸収によってディスプレイ部の損傷を抑制することができる表示装置とすることが可能となる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の表示装置の正面図である。
図2図1に示す表示装置の背面図である。
図3図1中のIII-III断面図である。
図4】緩衝構造の拡大断面図である。
図5】緩衝層を構成する第1傾斜部および第2傾斜部の配置を示した図である。
図6A】緩衝層を構成する第1傾斜部および第2傾斜部の配置の他の例を示した図である。
図6B】緩衝層を構成する第1傾斜部および第2傾斜部の配置の他の例を示した図である。
図6C】緩衝層を構成する第1傾斜部および第2傾斜部の配置の他の例を示した図である。
図7】他の実施形態で説明する緩衝構造の拡大断面図である。
図8】他の実施形態で説明する緩衝構造の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図4に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態の表示装置1について、図1図4を参照して述べる。本実施形態の表示装置1は、他の被搭載部品に搭載され、これと一体的に使用されると好適である。例えば、表示装置1は、表面側に各種情報やメータなどを表示するディスプレイであり、自動車などの車載用途の場合には、インストルメントパネルなどの内装部品を被搭載部品として搭載され得るが、これに限定されるものではない。
【0012】
以下、説明を簡略化して理解しやすくするため、便宜的に、図1の紙面左右方向をX方向とし、X方向に直交する紙面上下方向をY方向とする。また、図1の紙面垂直方向、図3で言えば紙面上下方向、つまりXY平面に直交する方向をZ方向とする。また、図1では、断面を示すものではないが、情報表示を行う表示領域R1および外縁領域R2を区別するため、表示領域R1にハッチングを施してある。また、図1図3では、表示装置1についての理解を助けるため、X、Y、Z方向を示している。
【0013】
本実施形態の表示装置1は、図1の紙面手前側が表面側、その反対側を裏面側として、表面側がユーザ側に向けて配置される。
【0014】
図1図4に示すように、表示装置1は、表示カバー2、ディスプレイ部3、筐体4、ベゼル5、下部プレート6、緩衝層7、上部プレート8および制御基板9などを有した構成とされている。表示カバー2とディスプレイ部3とは、オプティカルボンディング層10を介して接着されており、表示カバー2と筐体4とが図示しない接着層を介して接着されている。図3では、ディスプレイ部3および筐体4の間に隙間が空いている図としているが、隙間については撓み量が大きくなりすぎない程度の寸法とするのが好ましい。また、この隙間が無くても良いし、隙間が充填剤などで埋め込まれていても良い。また、ベゼル5、下部プレート6、緩衝層7および上部プレート8は一体となっており、上部プレート8の外縁部においてネジ11を介して筐体4と締結されることにより、これら各部が一体化されている。また、図3に示すように、筐体4や上部プレート8および下部プレート6におけるディスプレイ部3の外側の位置に開口部4a、8a、6aが形成されている。これらの開口部4a、8a、6aには、配線部を構成するフレキシブルプリント回路(以下、FPCという)9aが配置される。
【0015】
なお、ここではベゼル5、下部プレート6、緩衝層7および上部プレート8を一体構造としている。一体構造とする手法については、どのようなものであっても良いが、例えばベゼル5および下部プレート6を一部品の成形体などによって構成し、下部プレート6と緩衝層7との間および緩衝層7と上部プレート8の間を接着などで接続すれば良い。また、これらを金属などで構成するのであれば、溶接による一体構造としても良い。
【0016】
表示カバー2は、表示装置1における表面側に配置される透明部材で、X方向に伸びる二つの長辺と、長辺に対して直交するY方向に伸びる二つの短辺とを有する長方形の平板形状とされ、XY平面に平行な平面形状とされ、Z方向を厚み方向として構成されている。表示カバー2は、例えばカバーガラスによって構成されている。表示カバー2の厚みについては任意であるが、表示装置1をユーザが指などでタッチ操作可能なタッチパネル式ものとする場合には、剛性を確保しつつある程度撓む厚さとされるのが望ましい。
【0017】
なお、図示しないが、表示カバー2の表面もしくは裏面のうちの外縁部、つまりディスプレイ部3の周囲を囲む四角形枠状の領域に加飾印刷部を備えている。この部分によってディスプレイ部3の表示部分以外の構成部分、図1で言えばディスプレイ部3の外縁部およびそれよりも外側を目隠しする長方形枠形状の外縁領域R2が構成されている。
【0018】
ディスプレイ部3は、表示パネルを構成するものであり、XY平面と平行な平板形状とされ、X方向に伸びる2つの長辺と、Y方向に伸びる2つの短辺にて構成される長方形状で構成されている。ディスプレイ部3は、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)や有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの自発光素子によるディスプレイ、もしくは液晶ディスプレイなどで構成されている。
【0019】
ディスプレイ部3は、表示カバー2の裏面側にオプティカルボンディング層10を介して接着されており、表示カバー2と共に撓むことができるようになっている。オプティカルボンディング層10は、光学接着剤、例えばOCA(Optical Clear Adhesiveの略)やOCR(Optical Clear Adhesive Resinの略)で構成される。オプティカルボンディング層10を介して表示カバー2とディスプレイ部3が接着されることで、ディスプレイ部3による表示を阻害することなく、これらの間を高い密着性で接着することが可能となっている。
【0020】
筐体4は、表示カバー2およびディスプレイ部3等を固定する部分であり、ディスプレイ部3のうち表示カバー2と反対側となる裏面に対向して配置されている。筐体4も、X方向に伸びる二つの長辺と、長辺に対して直交するY方向に伸びる二つの短辺とを有する長方形とされ、ディスプレイ部3等に対向配置され、Z方向を厚み方向として構成されている。より詳しくは、筐体4は、外縁部4bが表示カバー2側に突き出しており、外縁部4bよりも内側がディスプレイ部3よりも大きい寸法とされた凹部4cとされることで、凹部4c内にディスプレイ部3を収容する。また、外縁部4bの内側寸法が表示カバー2の外形寸法よりも小さくされていると共に、外側寸法が表示カバー2の外形寸法よりも大きくされており、外縁部4bの先端面に表示カバー2が貼り合わせられている。
【0021】
ベゼル5は、表示装置1の外枠を構成するケースの一部となる部分である。このベゼル5の内側に表示カバー2やディスプレイ部3および筐体4等が配置された状態で筐体4と上部プレート8とをネジ11で締結することで各部が一体化されている。図3に示すように、ベゼル5は、枠体部5aとカバー部5bとを有した構成とされている。
【0022】
枠体部5aは、X方向に伸びる2つの長辺と、Y方向に伸びる2つの短辺とを有した長方形枠体形状とされている。枠体部5aは、表示カバー2よりも一回り大きな寸法とされ、枠体部5aの内側寸法が筐体4の外形寸法と略同等とされている。また、枠体部5aは、X方向に伸びる長辺においても、Y方向に伸びる短辺においても、一定厚みとされているが異なる厚みとされていても良い。また、枠体部5aは、Z方向の寸法も一定とされているが、異なる寸法とされていても良い。枠体部5aのZ方向の厚みは、略表示装置1の厚みとされ、表示カバー2、ディスプレイ部3、筐体4、上部プレート8、緩衝層7および下部プレート6を合わせた厚み分より所定寸法大きくされている。この枠体部5aのうちの表示装置1の表面側の先端がカバー部5bと共に表示カバー2の表面よりも突き出すことで、表示カバー2の端部が保護されている。
【0023】
カバー部5bは、枠体部5aの内壁面からベゼル5の内側に張り出して筐体4の正面側の一部を覆っている。より詳しくは、カバー部5bは、枠体部5aの長辺および短辺それぞれにおいて、枠体部5aにおける表示装置1の表面側の先端から枠体部5aの内側に張り出した構造とされている。ここでは、カバー部5bは、一定幅、つまり枠体部5aからの張り出し量が一定量とされ、内側寸法が表示カバー2の外形寸法と同じもしくはそれよりも大きくされており、カバー部5bが表示カバー2の外縁を囲んだ構造とされている。
【0024】
なお、下部プレート6や緩衝層7および上部プレート8がネジ11を介して筐体4と締結されているため、下部プレート6と一体とされたベゼル5については、カバー部5bと筐体4とを貼り合わせる必要はない。ただし、カバー部5bと筐体4との間を接着剤などで貼り合わせても良い。また、ベゼル5と下部プレート6とを別部材で構成することも可能であり、別部材として更に切り離した構造としても良い。その場合、カバー部5bを筐体4に貼り合わせることで、ベゼル5がディスプレイ部3や筐体4等に一体化されるようにしても良い。
【0025】
下部プレート6は、表示装置1の背面板を構成する筐体の一部を構成している。下部プレート6は、ディスプレイ部3の裏面に対向して配置された平板形状とされ、例えばMg(マグネシウム)やAl(アルミニウム)などの金属のダイカスト成形品もしくは電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)などの金属板、もしくは樹脂などで構成される。本実施形態の場合、下部プレート6がベゼル5と一体成形されることで一体構造とされているが、下部プレート6の外縁においてベゼル5の内壁面と連続させるようにし、この部分で接続することで一体化されていても良い。
【0026】
下部プレート6の厚みについては任意であるが、例えば下部プレート6を金属板で構成する場合には0.6mm程度、樹脂で構成する場合には1~2mm程度の厚みとすると好ましい。
【0027】
下部プレート6のうちネジ11と対応する位置には、開口部6bが形成されている。この開口部6bを通じて、ネジ11の締結が行えるようになっている。また、下部プレート6のうちのディスプレイ部3よりも外側であって、下部プレート6の2つの長辺のうちの下方側の長辺に沿って、直線状に開口部6aが形成されている。上記したように、この開口部6a内にFPC9aが挿通され、下部プレート6の裏面側に備えられる制御基板9とディスプレイ部3との電気的な接続が行われる。このため、開口部6aの幅は、フィルム状とされるFPC9aを挿入できる大きさとされている。そして、開口部6aを通じて制御基板9に備えられる制御装置とディスプレイ部3とが電気的に接続されることにより、制御装置によるディスプレイ部3の駆動が可能となっており、ディスプレイ部3を通じてユーザへの情報提供が可能になっている。
【0028】
緩衝層7は、下部プレート6および上部プレート8の間に配置された緩衝部材としての役割を果たし、表示カバー2側から衝撃を受けた際に、表示カバー2やディスプレイ部3および筐体4が破損するよりも先に変形し、衝撃を緩和する役割を果たす。緩衝層7は、下部プレート6および上部プレート8よりも剛性の低い薄板部材で構成され、薄板部材が弾性もしくは塑性変形することで緩衝効果を発揮する。ここでは緩衝層7を下部プレート6と同材料で構成しているが、異なる材料で構成しても良い。緩衝層7の構成材料としては、下部プレート6の構成材料として説明した各種材料を適用することができる。本実施形態の場合、緩衝層7は、下部プレート6および上部プレート8に対して一方向に傾斜させられた第1傾斜部7aと、第1傾斜部7aと反対方向に傾斜させられた第2傾斜部7bとを有している。
【0029】
第1傾斜部7aおよび第2傾斜部7bは、Z方向を高さ方向として下部プレート6および上部プレート8に対して立設されている。そして、図4に示すように、X方向から第1傾斜部7aおよび第2傾斜部7bを見た形状がX字状とされたX字状構造が複数個並んだ状態になっている。このX字状構造の一方の傾斜部分が第1傾斜部7aであり、もう一方の傾斜部分が第2傾斜部7bである。第1傾斜部7aは、下部プレート6に対してY方向の一方、図3で言えば下方向およびZ方向の一方、図3で言えば左方向に向かう方向に傾斜し、上部プレート8に至る傾斜面となっている。第2傾斜部7bは、下部プレート6に対してY方向の他方、図3で言えば上方向およびZ方向の一方、図3で言えば左方向に向かう方向に傾斜し、上部プレート8に至る傾斜面となっている。このため、図3図4に示すように、X方向から見ると、第1傾斜部7aと第2傾斜部7bとが交差して、X字状構造を成す。
【0030】
これら第1傾斜部7aと第2傾斜部7bの下部プレート6や上部プレート8に対して成す角度θについては任意であるが、この角度θが緩衝する際の剛性や緩衝効果を決めるパラメータの1つとなる。例えば、表示カバー2の表面の法線方向からの力を受けたときに対する剛性については、角度θが小さな値になるほど低く、大きな値になるほど高くなる。逆に、緩衝効果は剛性が低いほど高くなるため、角度θが小さな値になるほど高く、大きな値になるほど低くなる。
【0031】
同様に、第1傾斜部7aと第2傾斜部7bの厚みについても任意であるが、緩衝する際の剛性や緩衝効果を決めるパラメータの1つとなり、厚いほど剛性が高く、薄いほど剛性が低くなる。逆に、緩衝効果は剛性が低いほど高くなるため、厚みが厚いほど低く、薄いほど高くなる。また、下部プレート6と上部プレート8との間の距離に相当する緩衝層7の高さについても同様で、高さが低いほど剛性が高く、高さが高いほど剛性が低くなる。逆に、緩衝効果は剛性が低いほど高くなるため、高さが高いほど高く、高さが低いほど低くなる。
【0032】
表示装置1が例えばタッチパネル式とされる場合、ユーザが指などでタッチ操作することを考慮して、剛性を確保しつつある程度撓むようにするのが好ましい。ただし、ユーザのタッチ操作によっては緩衝層7が塑性変形してしまわず、大きな衝撃、例えば車両におけるインパクト衝撃試験の際には、表示カバー2やディスプレイ部3などが割れることなく、緩衝層7が弾性もしくは塑性変形することが必要になる。これらを加味して、角度θや第1傾斜部7aおよび第2傾斜部7bの厚み、高さが決められている。例えば、角度θについては30~70°程度の範囲、厚みはコンマ数ミリ~1コンマ数mm程度の範囲に設定される。緩衝層7の高さは、数mm程度、例えば6mmとされる。緩衝層7の高さについては、表示カバー2やディスプレイ部3および筐体4の重さにもよるが、高いほど緩衝効果を高められるために、表示装置1のZ方向の厚みの1/2以上であると好ましい。
【0033】
本実施形態では、第1傾斜部7aおよび第2傾斜部7bについては、図5に示すようにX方向に直線状に延設されており、筐体4の裏面側、つまりディスプレイ部3と反対側の一面の略全域において、一端から他端に至るように形成してある。つまり、ディスプレイ部3と反対側の一面の略全域において、第1傾斜部7aと第2傾斜部7bが重なって断面X字状構造が構成されるようにしている。なお、図5および以下に説明する図6A図6Cにおいて、細線ハッチングは第1傾斜部7aが配置された場所、太線ハッチングは第2傾斜部7bが配置された場所を示している。
【0034】
ここで、第1傾斜部7aと第2傾斜部7bを配置する密度についても、緩衝層7の剛性や緩衝効果を決めるパラメータの1つとなる。図5に示す例は、筐体4の裏面側の略全域に、高密度に第1傾斜部7aと第2傾斜部7bを配置しているが、その密度を変えることで、緩衝層7の剛性や緩衝効果を適宜調整できる。このため、必要な剛性や緩衝効果を考慮して密度を設定すれば良い。例えば、図5に示すレイアウトとする場合でも、隣り合う第1傾斜部7aおよび第2傾斜部7bによるX字状構造同士の間隔を変更することで、当該密度を調整できる。ここでは、例えばX字状構造同士の間隔を2mm程度としているが、この間隔を狭めれば密度を大きくでき、広げれば密度を小さくできる。
【0035】
また、第1傾斜部7aと第2傾斜部7bを筐体4の裏面の略全域において一端から他端に至るまで直線状に設けたが、図6Aに示すように分断して破線状に配置しても良い。さらに、図6Bに示すように、第1傾斜部7aと第2傾斜部7bを千鳥状に配置しても良い。さらに、第1傾斜部7aと第2傾斜部7bを必ずしも両方が重なるように配置する必要はなく、図6Cに示すようにそれぞれY方向に複数個配置した列をX方向においてずらしつつ複数列配置し、X方向から見てX字状構造となるようにしても良い。
【0036】
上部プレート8は、筐体4の裏面に固定されると共に下部プレート6に対して対向配置される部材であり、下部プレート6および緩衝層7と一体構造とされ、緩衝層7に接合されており、筐体4の取付け面を構成する板状部材とされている。ここでは上部プレート8を下部プレート6や緩衝層7と同材料で構成しているが、異なる材料で構成しても良い。上部プレート8の構成材料としては、下部プレート6の構成材料として説明した各種材料を適用することができる。上部プレート8は、長方形状とされており、筐体4の裏面とほぼ同一寸法とされていて、ベゼル5の枠体部5aの内周寸法より弱冠小さい寸法とされている。
【0037】
上部プレート8の厚みについては任意であるが、例えば上部プレート8を金属板で構成する場合には0.6mm程度、樹脂で構成する場合には1~2mm程度の厚みとすると好ましい。
【0038】
上部プレート8のうちの四隅などには、ネジ11が挿通される穴8bが形成されている。この穴8bを通じてネジ11が筐体4に締結されることで、筐体4やディスプレイ部3および表示カバー2が上部プレート8に固定されている。また、図2には現れていないが、上部プレート8のうちのディスプレイ部3よりも外側であって、上部プレート8の2つの長辺のうちの下方側の長辺に沿って、直線状に開口部8aが形成されている。この開口部8a内にFPC9aが挿通されている。このため、開口部6bの幅は、フィルム状とされるFPC9aを挿入できる大きさとされている。
【0039】
制御基板9は、ディスプレイ部3を駆動して表示領域R1での情報表示を行わせる制御装置が実装された基板である。ディスプレイ部3と制御装置とがFPC9aを介して電気的に接続されることで、ディスプレイ部3が駆動できるようになっている。
【0040】
このようにして、本実施形態にかかる表示装置1が構成されている。このように構成された表示装置1は、例えば自動車におけるインストルメントパネルなどの内装部品を被搭載部品として搭載される。そして、表示装置1がタッチパネル式とされる場合には、ユーザが表示カバー2を指などでタッチすることで、表示装置1を操作することになる。
【0041】
このような表示装置1を使用するに際し、本実施形態の表示装置1では、下部プレート6と緩衝層7および上部プレート8による緩衝構造を備えるようにしているため、剛性を有しつつ、衝撃吸収によるディスプレイ部3等の損傷を抑制できる。特に、インパクト衝撃試験の際には、車両に急ブレーキを掛けたり、車両を障害物に衝突させたりして、表示装置1への影響を評価することになる。このような大きな衝撃が付与される評価試験においても、緩衝層7が弾性もしくは塑性変形することで衝撃を吸収し、ディスプレイ部3等を保護することができる。よって、剛性を有しつつ、衝撃吸収によってディスプレイ部3の損傷を抑制することができる表示装置1とすることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態の表示装置1では、以下に示す効果を奏することもできる。
【0043】
(1)緩衝構造として、下部プレート6と緩衝層7および上部プレート8を備え、ディスプレイ部3等が固定された筐体4を上部プレート8に固定している。このため、表示カバー2側から衝撃を受けた際に、上部プレート8の広い面積で受けて緩衝層7に伝えることができる。このため、緩衝層7に対して局所的に衝撃を受ける場合と比較して高い緩衝効果を得ることができる。
【0044】
(2)また、緩衝層7を第1傾斜部7aと第2傾斜部7bとによるX字状構造としている。このため、下部プレート6および上部プレート8に対する第1傾斜部7aや第2傾斜部7bの傾斜角度、これらの厚み、配置間隔などによって緩衝層7の剛性と緩衝効果を適宜調整できる。
【0045】
(3)また、上部プレート8と筐体4をネジ11により固定している。このため、衝撃によって緩衝層7が塑性変形した場合、ネジ11を外すことで下部プレート6と緩衝層7および上部プレート8を筐体4などから取り外し、別の交換品に取り替えることができる。したがって、表示カバー2やディスプレイ部3および筐体4などの損傷を抑制しつつ、部品交換によって再び表示装置1を利用することが可能となる。
【0046】
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0047】
例えば、上記実施形態では、表示装置1に備えた緩衝層7を第1傾斜部7aと第2傾斜部7bによって構成すると共に、X字状構造となるようにした。しかしながら、これは緩衝層7の構造の一例を挙げたに過ぎず、他の構造とされていても良い。
【0048】
一例を挙げると、図7に示すように、緩衝層7を一方向から見た形状が蛇行状とされたフィン形状構造とし、下部プレート6および上部プレート8に接合した構造とされていても良い。断面蛇行状の形状についても、折返しの先端が丸まった正弦波状だけでなく、折返の先端が尖った三角波状、先端が平坦面となった台形波など、どのような形状であっても良い。
【0049】
この場合も、緩衝層7の厚みや下部プレート6および上部プレート8に対する傾斜角度、蛇行状に折り返す間隔、高さによって、緩衝層7の剛性や緩衝効果を適宜変更可能である。例えば、緩衝層7の厚みを0.1mm、折り返す間隔については2mm程度とすることができるが、厚みについては厚く、間隔については狭くすれば剛性を高め、緩衝効果を低くすることができる。このため、剛性および緩衝効果を考慮して緩衝層7の厚みや折り返す間隔を設定すれば良い。また、緩衝層7の高さについては、高いほど剛性を低くでき、緩衝効果を高められる。例えば、緩衝層7の高さを6mmとすることができるが、高い緩衝効果を得るためには、表示装置1のZの方向の厚みの1/2以上にすると好ましい。
【0050】
また、図8に示すように、緩衝層7を複数の六角形状が敷き詰められたハニカム状構造とし、下部プレート6および上部プレート8に接合した構造としても良い。例えば、台形状の凹凸を設けた板状部材を複数枚貼り合わせることによってハニカム構造の緩衝層7を形成できる。この場合も、緩衝層7の厚みや高さ、高さ方向における六角形の数、換言すれば六角形の一辺の長さなどによって、緩衝層7の剛性や緩衝効果を適宜変更可能である。例えば、六角形の一辺の長さを2mm程度とすると、緩衝層7の高さが6~7mmとすることができるが、高い緩衝効果を得るためには、表示装置1のZの方向の厚みの1/2以上にすると好ましい。
【0051】
また、上記実施形態では、表示装置1を長方形状とする場合について説明したが、四角形、多角形、円形などであっても良い。つまり、表示カバー2やディスプレイ部3の裏面側に筐体4を対向配置させて一体化した構成に対して、筐体4におけるディスプレイ部3等と反対側の裏面に下部プレート6と緩衝層7および上部プレート8の緩衝構造を備えた構造であれば良い。
【0052】
さらに、上記では、X方向から見た場合の緩衝層7の形状、例えば第1実施形態のようなX字状や図7で示した蛇行状などとなるようにしたが、X方向に限らず、一方向から見た場合の緩衝層7の形状であれば良い。つまり、緩衝層7を構成する各部、例えば第1実施形態であれば第1傾斜部7aや第2傾斜部7bが、X方向に沿って設けられる構造に限らず、他の一方向に沿って設けられていても良い。
【0053】
なお、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
1 表示装置
2 表示カバー
3 ディスプレイ部
4 筐体
5 ベゼル
6 下部プレート
7 緩衝層
8 上部プレート
9 制御基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8