(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184425
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】エッジ位置検出方法、移載位置決定方法、および物品移載システム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20221206BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01B11/24 A
B65G1/04 541
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092270
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502178001
【氏名又は名称】学校法人梅村学園
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】橋本 学
(72)【発明者】
【氏名】城 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】岡部 将生
(72)【発明者】
【氏名】福島 大祐
【テーマコード(参考)】
2F065
3F022
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA12
2F065AA53
2F065BB15
2F065DD03
2F065FF11
2F065FF67
2F065GG04
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2F065JJ01
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2F065PP22
2F065QQ03
2F065QQ21
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2F065QQ41
2F065QQ45
2F065UU05
3F022FF01
3F022JJ09
3F022KK14
3F022NN01
3F022NN13
3F022QQ13
(57)【要約】
【課題】並んで配置される物品のエッジ位置を正確に検出する。
【解決手段】三次元的測距する検出器140と、複数の物品200を所定の配列方向に並べて保管するラック110と、ラック110との間で物品200を移載する移載装置130と、前記検出器140が取り付けられる搬送装置120と、配列方向に直交する直交方向に沿って延在する物品200のエッジ位置を検出するエッジ位置検出装置150とを備え、エッジ位置検出装置150は、検出面部201の複数箇所の点データを点群として取得する点群取得部151と、点群から配列方向において物品200が存在しない無物品区間を検出する区間検出部152と、無物品区間における基準位置から、配列方向の両側に向かって点データを用いてエッジを探索することで、物品200のエッジ位置を検出するエッジ探索部153と、を備える物品移載システム100。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品との距離を三次元的な複数の点データとして取得する検出器を用い、所定の配列方向に並べて配置された略直方体状の複数の物品について、物品の前記検出器と対向する面を含む検出面部において前記配列方向に直交する直交方向に沿って延在する物品のエッジ位置を検出するエッジ位置検出方法であって、
物品の検出面部の複数箇所の点データを点群として取得する点群取得工程と、
前記点群取得工程において取得された点群から、前記配列方向において物品が存在しない無物品区間を検出する区間検出工程と、
前記無物品区間における基準位置から、前記配列方向の両側に向かって前記点データを用いてエッジを探索することで、物品のエッジ位置を検出するエッジ探索工程と、
を含むエッジ位置検出方法。
【請求項2】
前記区間検出工程において、
前記点群を前記直交方向、又は前記直交方向及び前記配列方向の双方に直交する奥行方向に投影して第一投影画像を生成し、前記第一投影画像に基づき物品が存在しない無物品区間を検出する
請求項1に記載のエッジ位置検出方法。
【請求項3】
前記区間検出工程において、
前記第一投影画像をモフォロジー処理し、モフォロジー処理後の前記第一投影画像に基づき前記配列方向において物品が存在する存在区間を特定し、隣り合う存在区間の間を無物品区間として特定する
請求項2に記載のエッジ位置検出方法。
【請求項4】
前記エッジ探索工程において、
前記点群を前記直交方向に投影して第二投影画像を生成し、前記第二投影画像に基づきエッジを探索する
請求項1から3のいずれか一項に記載のエッジ位置検出方法。
【請求項5】
前記エッジ探索工程において、
前記第二投影画像に含まれる二つの点データ相互間の前記配列方向の距離に対する前記奥行方向の距離である傾き、または二つの点データ相互間の前記奥行方向の距離に対する前記配列方向の距離である傾きに基づきエッジ位置を検出する
請求項4に記載のエッジ位置検出方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のエッジ位置検出方法により検出された物品のエッジ位置に基づいて、物品の移載位置を決定する移載位置決定工程を含む
移載位置決定方法。
【請求項7】
物品との距離を三次元的な複数の点データとして取得する検出器と、
略直方体状の複数の物品を所定の配列方向に並べて保管するラックと、
前記配列方向に直交する奥行方向において前記ラックに対し物品を移載する移載装置と、
物品を搬送し、前記検出器が取り付けられる搬送装置と、
物品の前記検出器と対向する面を含む検出面部において前記配列方向に直交する直交方向に沿って延在する物品のエッジ位置を検出するエッジ位置検出装置とを備え、
前記エッジ位置検出装置は、
物品の検出面部の複数箇所の点データを点群として取得する点群取得部と、
前記点群取得部において取得された点群から、前記配列方向において物品が存在しない無物品区間を検出する区間検出部と、
前記無物品区間における基準位置から、前記配列方向の両側に向かって前記点データを用いてエッジを探索することで、物品のエッジ位置を検出するエッジ探索部と、
を備える物品移載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の移載位置決定の基準となる物品のエッジ位置検出方法、およびこれを用いた移載位置決定方法、物品移載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、箱状の物品の三次元形状を示す点群から、当該物品のエッジ部分に対応する点群を抽出し、当該点群に基づいて各物品の位置及び姿勢を認識する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが従来の技術では、箱状物品の三次元形状を示す点群から、物品のエッジ部分に対応する点群を直接抽出するため、エッジ位置を高い精度で検出することが困難であった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、物品のエッジの位置を高精度で検出するエッジ位置検出方法、およびこれを用いた移載位置決定方法、物品移載システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の1つであるエッジ位置検出方法は、物品との距離を三次元的な複数の点データとして取得する検出器を用い、所定の配列方向に並べて配置された略直方体状の複数の物品について、物品の前記検出器と対向する面を含む検出面部において前記配列方向に直交する直交方向に沿って延在する物品のエッジ位置を検出するエッジ位置検出方法であって、物品の検出面部の複数箇所の点データを点群として取得する点群取得工程と、前記点群取得工程において取得された点群から、前記配列方向において物品が存在しない無物品区間を検出する区間検出工程と、前記配列方向における前記無物品区間の中間の基準位置から、前記配列方向の両側に向かって前記点データを用いてエッジを探索することで、物品のエッジ位置を検出するエッジ探索工程と、を含む。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の他の1つである移載位置決定方法は、物品との距離を三次元的な複数の点データとして取得する検出器を用い、所定の配列方向に並べて配置された略直方体状の複数の物品について、物品の前記検出器と対向する面を含む検出面部において前記配列方向に直交する直交方向に沿って延在する物品のエッジ位置を検出するエッジ位置検出方法であって、物品の検出面部の複数箇所の点データを点群として取得する点群取得工程と、前記点群取得工程において取得された点群から、前記配列方向において物品が存在しない無物品区間を検出する区間検出工程と、前記配列方向における前記無物品区間の中間の基準位置から、前記配列方向の両側に向かって前記点データを用いてエッジを探索することで、物品のエッジ位置を検出するエッジ探索工程と、を含むエッジ位置検出方法により検出された物品のエッジ位置に基づいて、物品の移載位置を決定する移載位置決定工程を含む。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の他の1つである物品移載システムは、物品との距離を三次元的な複数の点データとして取得する検出器と、略直方体状の複数の物品を所定の配列方向に並べて保管するラックと、前記配列方向に直交する奥行方向において前記ラックに対し物品を移載する移載装置と、物品を搬送し、前記検出器が取り付けられる搬送装置と、物品の前記検出器と対向する面を含む検出面部において前記配列方向に直交する直交方向に沿って延在する物品のエッジ位置を検出するエッジ位置検出装置とを備え、前記エッジ位置検出装置は、物品の検出面部の複数箇所の点データを点群として取得する点群取得部と、前記点群取得部において取得された点群から、前記配列方向において物品が存在しない無物品区間を検出する区間検出部と、前記配列方向における前記無物品区間の中間の基準位置から、前記配列方向の両側に向かって前記点データを用いてエッジを探索することで、物品のエッジ位置を検出するエッジ探索部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い精度で物品のエッジを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】エッジ位置検出方法、および移載位置決定方法が適用される物品移載システムを示す斜視図である。
【
図2】物品移載システムの移載装置130近傍を示す斜視図である。
【
図3】物品移載システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】区間検出部の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】区間検出部の工程の各段階における処理状態を示す図である。
【
図6】エッジ探索部の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】エッジ探索部の工程の各段階における処理状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るエッジ位置検出方法、移載位置決定方法、および物品移載システムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するために一例を挙示するものであり、本発明を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0012】
また、図面は、本発明を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。
【0013】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本発明に関する任意の構成要素として説明している。
【0014】
図1は、エッジ位置検出方法、および移載位置決定方法が適用される物品移載システムを示す斜視図である。
図2は、物品移載システムの移載装置130近傍を示す斜視図である。物品移載システム100は、搬入された物品200を自動的に搬送して物品200の保管位置へ物品200を自動的に移載し、また保管位置から自動的に移載した物品200を搬送することができる装置であり、ラック110と、搬送装置120と、移載装置130と、検出器140と、エッジ位置検出装置150(
図1、
図2において不図示)と、を備えている。
【0015】
物品移載システム100の移載対象である物品200は、略直方体状であれば特に限定されるものではない。略直方体状とは、平坦な矩形の六面で形成される形状を含み、またリブ状、フランジ状の突出、持ち手のような窪みや孔などを備える形状も含むものとして記載している。具体的に物品200としては、段ボール箱、コンテナ、トレー、折りたたみ可能なコンテナなどを例示することができる。
【0016】
ラック110は、搬送装置120が移動する領域に面する物品200の検出面部201が所定の配列方向(図中X軸方向)に沿うように並べて配置された略直方体状の複数の物品200を保管する設備である。本実施の形態の場合、ラック110は、物品200を載置状態で保持する棚板111と、棚板111を支持する支柱112とを備えている。棚板111は、平板状であり物品200を保管する位置は特に限定されない。ラック110は、同一形状の物品200のみを保管してもよく、複数種類の形状の物品200が混在した状態で保管してもよい。なお、図には搬送装置120の移動方向に視て一方の側方にラック110を記載しているが、両側方にラック110が配置されていてもかまわない。
【0017】
搬送装置120は、物品200を保持して搬送する装置であって、検出器140が取り付けられるものであれば特に限定されるものではない。搬送装置120としては、物品200を保持して床面上を自律的に走行する無軌道の無人搬送車、物品200を保持してレールなどの所定の軌道に沿って走行する有軌道台車などを例示することができる。本実施の形態の場合、搬送装置120は、レール121と、レール121上を走行する台車122と、台車122に起立状に取り付けられ台車122とともに移動するマスト123と、物品200を保持可能でありマスト123に沿って昇降する昇降台124とを備えたいわゆるスタッカクレーンである。
【0018】
移載装置130は、ラック110と搬送装置120の昇降台124との間で物品200を移載する装置であり、水平面内において物品200の配列方向(図中X軸方向)と直交する奥行方向(図中Y軸方向)に物品200を移動させて移載する。移載装置130の種類は、特に限定されるものではなく、例えば物品200の対向する両側面を挟持して移載するもの、物品200の奥側の面、手前側の面などに爪を引っ掛けて物品200を滑らせながら移載するもの、物品200をすくい上げて移載するもの等を例示することができる。
【0019】
本実施の形態の場合、移載装置130は、搬送装置120の昇降台124に取り付けられており、ラック110と昇降台124との間で物品200を移載することができるものとなっている。なお、搬送装置120の両側方にラック110が配置されている場合、移載装置130はいずれの側のラック110に対しても物品200を移載できるように構成される。
【0020】
検出器140は、物品200における検出器140と対向する面を含む検出面部201の複数箇所と検出器140との間の距離を三次元的な複数の点データとして取得するセンサである。検出器140の種類は、特に限定されるものではないが、例えばLiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)センサ、TOF(Time of Flight)カメラなどの三次元測距センサを例示することができる。
【0021】
検出器140が取り付けられる場所は、搬送装置120における一部であれば特に限定されないが、例えば物品200が移載される箇所の近傍に取り付けられると、移載位置と物品200との相対的な位置関係を正確に検出できるため好ましい。本実施の形態の場合、検出器140は、搬送装置120の昇降台124に取り付けられている。物品移載システム100が備える検出器140の個数は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、物品200の配列方向に並ぶ2台の検出器140を備えている。2台の検出器140の距離は、所定の密度以上の点データを取得でき、配列方向におけるラック110に保管される物品200の想定される最長の幅、およびその両側に設定される隣り合う物品200との隙間をカバーする領域を一度に検出できる距離の範囲を含むように設定される。本実施の形態の場合、検出器140は、昇降台124の幅方向(図中X軸方向)の両側部に一台ずつ取り付けられている。つまり、検出器140は、移載装置130によって移載される物品200が通過する領域の両側にそれぞれ配置されている。これにより、物品200が移載される領域とその近傍のラック110に保管される物品200との位置関係を正確に検出することが可能となる。
【0022】
図3は、物品移載システムの機能構成を示すブロック図である。エッジ位置検出装置150は、物品200の検出面部201において配列方向(図中X軸方向)に直交する直交方向に沿って延在する物品200のエッジの搬送装置120に対する位置関係を示すエッジ位置を検出する装置である。エッジ位置検出装置150は、プログラムをプロセッサーに実行させることにより実現される処理部として、点群取得部151と、区間検出部152と、エッジ探索部153と、を備えている。本実施の形態の場合、エッジ位置検出装置150は、移載位置決定部154を備えている。
【0023】
点群取得部151は、物品200の検出面部201における複数箇所の点データを検出器140から点群として取得する。点データのデータ構造は、特に限定されるものではないが、例えば移載装置130に対する相対的な位置関係を示す三次元のデータを含んでいる。本実施の形態の場合、ラック110の棚板111における物品200の配列方向(図中X軸方向)、検出面部201において配列方向に直交する直交方向(図中Z軸方向)、および配列方向と直交方向のいずれにも直交する奥行方向(図中Y軸方向)のデータを備えた直交座標系のデータを含んでいる。
【0024】
本実施の形態の場合、物品移載システム100は、配列方向に並ぶ複数の検出器140を備えており、点群取得部151は、検出器140のそれぞれから点群を取得している。隣り合う検出器140は、撮像画角の一部が重複しているため、点群取得部151は、重複している領域に含まれる点データを統計処理し、複数の検出器140の点群を一枚の画像となるように合成している。これにより、配列方向において複数の物品200の検出面部201に関する点データを一枚の画像として処理することが可能となる。なお、複数の検出器140の点群を1枚の画像に合成せず、各検出器140の点群に対応する画像を用いて処理結果を出し、その結果を合成するものであってもよい。
【0025】
区間検出部152は、点群取得部151において取得された点群から配列方向において物品200が存在しない無物品区間を検出する。
図4は、区間検出部の処理の流れを示すフローチャートである。
図5は、区間検出部の工程の各段階における処理状態を示す図である。
【0026】
区間検出部152の処理の流れの例を説明する。まず、区間検出部152は、点群取得部151から取得した点群から所定の領域内に含まれる点データを取り出すトリミング処理を実行する(S101、トリミング工程)。所定の領域は、特に限定されるものではないが、例えばラック110に保管される物品200の最小高さ(直交方向の長さ)の中央位置を含み、所定の高さを有する帯状の領域を例示できる。具体的には、第一閾値未満の直交方向(図中Z軸方向)の値を有する点データを除外し、かつ第二閾値(>第一閾値)より大の直交方向(図中Z軸方向)の値を有する点データを除外する。つまり、第一閾値以上、第二閾値以下の範囲にある点データを抽出する。トリミング工程により所定の高さ範囲のデータにより無物品区間の検出を行うため、ラック110の棚板111による反射などの影響、物品200の表面に設けられるリブ、フランジ、孔などの影響を抑制する事ができ、正確に無物品区間を検出することが可能となる。また、点群のデータ量を抑制して次工程の処理の促進を図ることができる。
【0027】
次に、区間検出部152は、トリミング工程によってトリミングされた点群を直交方向(図中Z軸方向)、又は直交方向及び配列方向の双方に直交する奥行方向(本実施の形態の場合奥行方向(移載方向))に投影して
図5の(a)に示す二次元の第一投影画像を生成する(S102、第一投影工程)。具体的には、各点データから奥行方向(図中Y軸方向)のデータを除外することにより二次元の第一投影画像を生成する。ここで、区間検出部152は、トリミング工程によってトリミングされた点群を上下方向に投影して二次元の第一投影画像を生成するものであってもよい。
【0028】
次に、区間検出部152は、第一投影画像に対しモフォロジー処理を実行し、荒い点として存在していた点データの間を補完して
図5の(b)に示すように物品200に対応する部分が一塊(
図5の画像中における白色部分)となるようにデータを変更する(S103、第一モフォロジー工程)。本実施の形態の場合、区間検出部152は、モフォロジー処理として膨張と収縮とを繰り返すクロージング処理を行う。
【0029】
次に、区間検出部152は、物品200が存在している区間を示す存在区間を探索する(S104、存在区間荒探索工程)。本実施の形態の場合、区間検出部152は、第一モフォロジー工程により白色の一塊とみなした部分(
図5の(b)中の白色部分)について、上下方向において途切れた部分、欠落した部分を補完して白色の一塊とみなす部分を更新する。存在区間端探索工程を実行すると例えば
図5の(c)の画像の様な状態になる。
【0030】
次に、区間検出部152は、隣り合う白色の一塊の部分の間の区間の配列方向に対応する画像における横方向(図面に向かって左右方向)の黒色部分の距離と所定のギャップ閾値とを比較する(S105)。黒色部分の距離がギャップ閾値以下の場合(S105:Yes)、区間検出部152は、
図5の(d)に示すように、当該ギャップを埋めるように補完して白色の一塊とみなす部分を更新する(S106、ギャップ充填工程)。なお、
図4中に記載される「<=」は小なりイコールを示している。
【0031】
次に、区間検出部152は、ギャップ充填工程において更新された白色の一塊の部分、または存在区間荒探索工程で更新された白色の一塊の部分の配列方向(
図5中横方向)における一端部から他端部まで(
図5の(d)(e)の逆三角印)を物品200が存在する区間に対応する存在区間として特定する(S107、存在区間特定工程)。また、隣り合う存在区間の間など存在区間以外の区間を無物品区間として特定する。
【0032】
次に、区間検出部152は、無物品区間の配列方向(
図5の横方向)における中間の位置を基準位置(
図5の(e)の矢印の位置)として決定する(S108、基準位置決定工程)。基準位置の決定基準は特に限定されるものではないが、例えば、隣り合う存在区間の端部の間の中央の位置を基準位置として決定してもよい。また、所定の第一区間閾値以上の長さの無物品区間が存在する場合(
図5の(e)の左側)、存在区間の端部から所定の距離離れた位置に仮想の存在区間の端部(
図5の(e)の三角印)を設定し、存在区間の端部と仮想的な存在区間の端部との間に基準位置を設定してもかまわない。なお、仮想の存在区間を設ける距離は、第一区間閾値と同等であってもかまわない。また、存在区間の端部に挟まれていない無物品区間であって所定の第二区間閾値以下の無物品区間の場合(
図5の(e)の右側)、画像の端部を基準位置として設定してもかまわない。
【0033】
エッジ探索部153は、区間検出部152が決定した基準位置から物品200の配列方向の両側に向かって点群取得部151が取得した点データを用いてエッジを探索することで、物品200のエッジ位置を検出する。
図6は、エッジ探索部の処理の流れを示すフローチャートである。
図7は、エッジ探索部の工程の各段階における処理状態を示す図である。
【0034】
次に、エッジ探索部153の処理の流れの例を説明する。まず、エッジ探索部153は、点群取得部151が取得した点群を直交方向(高さ方向)に投影して
図7の(a)に示す二次元の第二投影画像を生成する(S201、第二投影工程)。なお、エッジ探索部153は、点群取得部151が取得した点群を奥行方向に投影して二次元の第二投影画像を生成し、以下の処理を行うものであってもよい。具体的には、各点データから高さ方向(図中Z軸方向)のデータを除外することにより二次元の第二投影画像を生成する。なお、区間検出部152がトリミング工程にてトリミングした後の点データを用いてもかまわない。
【0035】
次に、エッジ探索部153は、第二投影画像に対しモフォロジー処理を実行し、荒い点として存在していた点データの間を補完して、
図7の(b)に示すような、物品200に対応する部分が一塊の線状(
図7の画像中における白色部分)となるようにデータを変更する(S202、第二モフォロジー工程)。本実施の形態の場合、エッジ探索部153は、区間検出部152と同様、モフォロジー処理として膨張と収縮とを繰り返すクロージング処理を行う。
【0036】
次に、エッジ探索部153は、モフォロジー処理が施された点データからノイズを除去する(S203、ノイズ処理工程)。本実施の形態の場合、エッジ探索部153は、ラベリング処理を行って、一塊の点データを区別する。そして、所定の長さ閾値以下の一塊の点データを削除する。これにより、
図7の(c)に示すような画像となる。
【0037】
次に、エッジ探索部153は、エッジの候補となる点を抽出する(S204、エッジ候補点抽出工程)。エッジ候補点の抽出方法は特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、第二モフォロジー工程により得られる一塊の線状の部分について、奥行方向に関して検出器140に近い側の点データ(図面における下側の点データ)における縁にあたる部分をエッジ候補点として抽出している。
【0038】
次に、エッジ探索部153は、エッジ候補点抽出工程にて抽出された点データに基づき、区間検出部152が決定した基準位置から物品200の配列方向の両側に向かって点データを探索し物品200の直交方向に沿うエッジの位置(
図7の(e)の白色矢印)を検出する(S205、エッジ位置検出工程)。エッジ位置の具体的な検出方法は、限定されるものではないが、本実施の形態の場合、以下の方法によりエッジ位置を検出している。つまり、第二投影画像である
図7の(d)における一塊の線状の部分において、配列方向(
図7の(d)中の横方向)に並ぶ(例えば隣り合う)二つの点データ相互間の配列方向の距離に対する奥行方向(
図7の(d)中の上下方向)の距離である傾き、または二つの点データ相互間の前記奥行方向の距離に対する前記配列方向の距離である傾きを基準位置から遠ざかる方向に向かって順次算出し、隣り合う点データの組の傾きの差分が所定の差分閾値以下になった場合、それらの組の基準位置に最も近い点データの配列方向における位置をエッジ位置として検出している。また、エッジ探索部153は、配列方向において基準位置から両側に向かって点データを探索するが、所定距離探索しても点データが検出できない側、または点データが検出できずに画像の端縁まで到達した側はエッジ位置がないとして処理してもかまわない。
【0039】
以上により、大きく変化する点データの並びをエッジ位置の候補から除外し、安定した点データの端部をエッジ位置として検出することができ、実際の物品200のエッジに対応したエッジ位置を正確に検出することが可能となる。
【0040】
移載位置決定部154は、エッジ探索部153によって検出された物品200のエッジ位置に基づいて、搬送装置120がラック110に対し停止し物品200を移載する移載位置を決定する移載位置決定工程を実行する。具体的には、エッジ探索部153が検出するエッジ位置は、搬送装置120に対するラック110に保管された物品200の相対的な位置関係を示しているため、移載位置決定部154は、検出されたエッジ位置に基づき隣り合う物品200の間である無物品区間に移載装置130を挿入してラック110から物品200を搬送装置120に移載できるように搬送装置120の配列方向の停止位置を決定する。また、移載位置決定部154は、ラック110に保管される物品200のとなりに物品200が保管されていない場合、保管されている物品200のエッジ位置から所定の距離で物品200が保管できるように搬送装置120の停止位置を決定する。搬送装置120は、決定された停止位置を取得して搬送装置120の現在位置と比較し位置ずれが存在している場合、停止位置に合致するように配列方向に移動する。
【0041】
以上の実施の形態に係る物品移載システム100によれば、隣り合う物品200の間における物品200が存在しない区間である無物品区間を検出して物品200相互の分離と粗い位置決めを行う工程と、無物品区間に基づいて物品200のエッジ位置の詳細に決定する工程と、の二段階の処理を行うことで、配列方向に並べて配置された複数の物品200それぞれの配列方向におけるエッジ位置を高精度で検出することができる。これにより、物品200を高密度な状態でラック110に保管することが可能となる。
【0042】
また、検出器140から取得した三次元の点データを奥行方向(移載方向)に投影した二次元データに落とした第一投影画像により無物品区間を特定して基準位置を決定し、第一投影画像の投影方向と直交する方向(直交方向)に投影した第二投影画像と決定した基準位置に基づきエッジ位置を詳細に探索することにより、配列方向に対して検出面部201が傾いて保管された物品200、外面部にリブ、フランジ、孔などが設けられた物品200等でも正確に物品200のエッジ位置を検出することが可能となる。
【0043】
また、第一投影画像、第二投影画像に対し、エッジ検出に適したモフォロジー処理、ノイズ処理等を実行することにより、第一投影画像における物品200に対応する点データの塊が存在する範囲を適切に探索することができ、第二投影画像における探索された物品200に対応する点データの塊の存在する範囲に基づいて誤差を抑制して物品200のエッジ位置を検出することが可能となる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0045】
例えば、実施の形態におけるエッジ検出工程では配列方向において隣り合う二つの点データの組の配列方向の距離に対する奥行方向(
図7中の上下方向)の距離である傾きの変化が安定する点データの組に基づきエッジ位置を検出したが、点データの組の奥行方向の距離に対する配列方向の距離である傾きに基づきエッジ位置を検出してもかまわない。
【0046】
また、検出器140を複数備える場合を例示したが、ラック110の棚板111に連続して三つ並ぶ物品200の中央に位置する物品200の幅に両側に存在する無物品区間の幅を加えた範囲を一度に検出できる1台の検出器140を備えてもかまわない。
【0047】
また、鉛直面内において物品200を自在に搬送する搬送装置120を例示したが、搬送装置120は、水平面内において物品200を搬送する有軌道、または無軌道の搬送台車などであってもかまわない。
【0048】
また、水平方向、および鉛直方向に物品200を二次元的に保管できるラック110を例示したが、ラック110は、搬送台車の走行する方向に沿って一次元的に物品200を保管するものでもかまわない。
【0049】
また、点群のトリミング工程や、ノイズの除去処理工程などは省略することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、物品を搬送装置によって搬送し、ラックと搬送装置との間で物品を移載する自動倉庫、物流拠点、工場設備などに利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
100 物品移載システム
110 ラック
111 棚板
112 支柱
120 搬送装置
121 レール
122 台車
123 マスト
124 昇降台
130 移載装置
140 検出器
150 エッジ位置検出装置
151 点群取得部
152 区間検出部
153 エッジ探索部
154 移載位置決定部
200 物品
201 検出面部