(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184429
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】物品種類判定方法、および物品種類判定システム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20221206BHJP
B65G 1/04 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
G01B11/24 Z
B65G1/04 541
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092274
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502178001
【氏名又は名称】学校法人梅村学園
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】橋本 学
(72)【発明者】
【氏名】福島 大祐
【テーマコード(参考)】
2F065
3F022
【Fターム(参考)】
2F065AA53
2F065BB05
2F065DD06
2F065FF12
2F065GG04
2F065HH04
2F065RR05
2F065RR08
3F022FF01
3F022JJ09
3F022KK01
3F022KK12
3F022KK14
3F022PP01
3F022PP02
3F022QQ13
(57)【要約】
【課題】物品の種類を正確に判定する。
【解決手段】物品200との距離を三次元的な複数の点データとして取得する検出器140と、物品200の検出面部201の形状的特徴に基づき物品200の種類を判定する物品種類判定装置160とを備え、物品種類判定装置160は、検出面部201の点データを点群として取得する点群取得部151と、点群に基づき検出面部201の相対向する一対の縁部を検出する縁部検出部155と、一対の縁部の間に存在する点群に基づいて、当該縁部に沿う方向に延在する直線形状を抽出する直線形状抽出部156と、直線形状に基づき物品200の種類を判定する種類判定部157と、を備える物品種類判定システム100。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品との距離を三次元的な複数の点データとして取得する検出器を用い、略直方体状の物品における前記検出器と対向する面を含む検出面部の形状的特徴に基づき物品の種類を判定する物品種類判定方法であって、
物品の検出面部の複数箇所の点データを点群として取得する点群取得工程と、
前記点群取得工程において取得された点群に基づき、前記物品の検出面部における相対向する一対の縁部を検出する縁部検出工程と、
前記縁部検出工程により検出された一対の縁部の間に存在する点群に基づいて、当該縁部に沿う方向に延在する直線性を有する直線形状を抽出する直線形状抽出工程と、
前記直線形状抽出工程により抽出された直線形状に基づき前記物品の種類を判定する種類判定工程と、
を含む物品種類判定方法。
【請求項2】
前記縁部検出工程において、
前記点群取得工程において取得された点群に基づき、物品の検出面部の輪郭を検出し、
前記直線形状抽出工程において、
前記縁部検出工程により検出された前記輪郭の内側に存在する点群に基づいて、直線形状を抽出する、
請求項1に記載の物品種類判定方法。
【請求項3】
前記縁部検出工程において、
前記点群取得工程において取得された前記点群を前記検出面部の法線方向に沿う奥行方向に投影し前記奥行方向のデータを階調に変換して示す階調付き投影画像を生成し、生成された前記階調付き投影画像に基づき物品の縁部を検出し、
前記直線形状抽出工程において、
前記階調付き投影画像に基づいて直線形状を抽出する、
請求項1または2に記載の物品種類判定方法。
【請求項4】
前記直線形状抽出工程において、
前記階調付き投影画像に基づいて直線性を有する形状に対応する部分の候補である直線形状候補を抽出し、前記直線形状候補からノイズを除去した後、直線形状を抽出する、
請求項3に記載の物品種類判定方法。
【請求項5】
前記直線形状抽出工程において直線形状が抽出されない場合、前記種類判定工程において、前記物品の検出面部が平坦な表面性状を有する第一種類の物品であると判定し、前記直線形状抽出工程において直線形状が抽出された場合、前記種類判定工程において、前記物品の検出面部が凹凸を有する第二種類の物品であると判定する
請求項1から4のいずれか一項に記載の物品種類判定方法。
【請求項6】
物品との距離を三次元的な複数の点データとして取得する検出器と、
物品の前記検出器と対向する面を含む検出面部の形状的特徴に基づき物品の種類を判定する物品種類判定装置とを備え、
前記物品種類判定装置は、
物品の検出面部の複数箇所の点データを点群として取得する点群取得部と、
前記点群取得部において取得された点群に基づき、前記物品の検出面部の相対向する一対の縁部を検出する縁部検出部と、
前記縁部検出部により検出された一対の縁部の間に存在する点群に基づいて、当該縁部に沿う方向に延在する直線性を有する直線形状を抽出する直線形状抽出部と、
前記直線形状抽出部により抽出された直線形状に基づき前記物品の種類を判定する種類判定部と、
を備える物品種類判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略直方体状の物品の種類を判定する、物品種類判定方法、および物品種類判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、物品の種類を示す識別情報を含むRFIDタグを複数の物品に付しておき、そのRFID(Radio Frequency identifier)タグを読み取ることにより物品の種類を判定する技術が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の技術では、予めすべての物品にRFIDタグを貼り付ける必要があり、RFIDタグが貼り付けられていない物品を判定することはできなかった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、物品の表面の凹凸を三次元的に検出した点データを用いて物品の種類を判定する物品種類判定方法、および物品種類判定システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の1つである物品種類判定方法は、物品との距離を三次元的な複数の点データとして取得する検出器を用い、略直方体状の物品の前記検出器と対向する面を含む検出面部の形状的特徴に基づき物品の種類を判定する物品種類判定方法であって、物品の検出面部の複数箇所の点データを点群として取得する点群取得工程と、前記点群取得工程において取得された点群に基づき、前記物品の検出面部の相対向する一対の縁部を検出する縁部検出工程と、前記縁部検出工程により検出された一対の縁部の間に存在する点群に基づいて、当該縁部に沿う方向に延在する直線性を有する直線形状を抽出する直線形状抽出工程と、前記直線形状抽出工程により抽出された直線形状に基づき前記物品の種類を判定する種類判定工程と、を含む。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の他の1つである物品種類判定システムは、物品との距離を三次元的な複数の点データとして取得する検出器と、物品の前記検出器と対向する面を含む検出面部の形状的特徴に基づき物品の種類を判定する物品種類判定装置とを備え、前記物品種類判定装置は、物品の検出面部の複数箇所の点データを点群として取得する点群取得部と、前記点群取得部において取得された点群に基づき、前記物品の検出面部の相対向する一対の縁部を検出する縁部検出部と、前記縁部検出部により検出された一対の縁部の間に存在する点群に基づいて、当該縁部に沿う方向に延在する直線性を有する直線形状を抽出する直線形状抽出部と、前記直線形状抽出部により抽出された直線形状に基づき前記物品の種類を判定する種類判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表面に直線的な凹凸を有する物品とそれ以外の物品とを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】物品種類判定方法が適用される物品種類判定システムを示す斜視図である。
【
図2】物品種類判定システムの移載装置近傍を示す斜視図である。
【
図3】物品種類判定システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】区間検出部の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】区間検出部の工程の各段階における処理状態を示す図である。
【
図6】縁部検出部の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】縁部検出部の工程の各段階における処理状態を示す図である。
【
図8】直線形状抽出部の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】直線形状抽出部の工程の各段階における処理状態を示す図である。
【
図10】物品種類判定部の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る物品種類判定方法、および物品種類判定システムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するために一例を挙示するものであり、本発明を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0011】
また、図面は、本発明を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。
【0012】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本発明に関する任意の構成要素として説明している。
【0013】
図1は、物品種類判定方法が適用される物品種類判定システムを示す斜視図である。
図2は、物品種類判定システムの移載装置130近傍を示す斜視図である。物品種類判定システム100は、ラック110に配置された物品200の種類を判別するシステムであって、検出器140と、物品種類判定装置160(
図1、
図2において不図示)と、を備えている。本実施の形態の場合、物品種類判定システム100は、搬入された物品200を自動的に搬送して物品200の保管位置へ物品200を自動的に移載し、また保管位置から自動的に移載した物品200を搬送することができる装置であり、搬送装置120と、移載装置130と、を備えたいわゆる自動倉庫に組み込まれている。
【0014】
物品種類判定システム100の判定対象である物品200は、略直方体状であれば特に限定されるものではない。略直方体状とは、平坦な矩形の六面で形成される形状を含み、またリブ状、フランジ状の突出、持ち手のような窪みや孔などを備える形状も含むものとして記載している。具体的に物品200としては、段ボール箱、紙箱、木箱など表面に直線的な凹凸の形状を有さない平坦な表面性状を有する第一種類の物品と、コンテナ、トレー、折りたたみ可能なコンテナなど表面に直線的な凹凸の形状を有する表面性状の第二種類の物品と、の二種類の物品が存在する。
【0015】
ラック110は、搬送装置120が移動する領域に面する物品200の検出面部201が所定の配列方向(図中X軸方向)に沿うように並べて配置された略直方体状の複数の物品200を保管する設備である。本実施の形態の場合、ラック110は、物品200を載置状態で保持する棚板111と、棚板111を支持する支柱112とを備えている。棚板111は、平板状であり物品200を保管する位置は特に限定されない。ラック110は、第一種類の物品200と第二種類の物品200とが混在した状態で保管される。なお、図には搬送装置120の移動方向に視て一方の側方にラック110を記載しているが、両側方にラック110が配置されていてもかまわない。
【0016】
搬送装置120は、物品200を保持して搬送する装置であって、検出器140が取り付けられるものであれば特に限定されるものではない。搬送装置120としては、物品200を保持して床面上を自律的に走行する無軌道の無人搬送車、物品200を保持してレールなどの所定の軌道に沿って走行する有軌道台車などを例示することができる。本実施の形態の場合、搬送装置120は、レール121と、レール121上を走行する台車122と、台車122に起立状に取り付けられ台車122とともに移動するマスト123と、物品200を保持可能でありマスト123に沿って昇降する昇降台124とを備えたいわゆるスタッカクレーンである。
【0017】
移載装置130は、ラック110と搬送装置120の昇降台124との間で物品200を移載する装置であり、水平面内において物品200の配列方向(図中X軸方向)と直交する奥行方向(図中Y軸方向)に物品200を移動させて移載する。移載装置130の種類は、特に限定されるものではなく、例えば物品200の対向する両側面を挟持して移載するもの、物品200の奥側の面、手前側の面などに爪を引っ掛けて物品200を滑らせながら移載するもの、物品200をすくい上げて移載するもの等を例示することができる。
【0018】
本実施の形態の場合、移載装置130は、搬送装置120の昇降台124に取り付けられており、ラック110と昇降台124との間で物品200を移載することができるものとなっている。なお、搬送装置120の両側方にラック110が配置されている場合、移載装置130はいずれの側のラック110のいずれに対しても物品200を移載できるように構成される。
【0019】
検出器140は、物品200における検出器140と対向する面を含む検出面部201の複数箇所と検出器140との間の距離を三次元的な複数の点データとして取得するセンサである。検出器140の種類は、特に限定されるものではないが、例えばLiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)センサ、TOF(Time of Flight)カメラなどの三次元測距センサを例示することができる。
【0020】
検出器140が取り付けられる場所は、特に限定されないが、例えば物品200が移載される場所に取り付けられると、移載位置と物品200との相対的な位置関係を正確に検出できるため好ましい。本実施の形態の場合、検出器140は、搬送装置120の昇降台124に取り付けられている。物品種類判定システム100が備える検出器140の個数は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、物品200の配列方向に並ぶ2台の検出器140を備えている。2台の検出器140の距離は、所定の密度以上の点データを取得でき、配列方向におけるラック110に保管される物品200の想定される最長の幅、およびその両側に設定される隣り合う物品200との隙間をカバーする領域を一度に検出できる距離の範囲を含むように設定される。本実施の形態の場合、検出器140は、昇降台124の幅方向(図中X軸方向)の両側に一台ずつ取り付けられている。つまり、検出器140は、移載装置130によって移載される物品200が通過する領域の両側部にそれぞれ配置されている。これにより、物品200が移載される領域とその近傍のラック110に保管される物品200との位置関係を正確に検出することが可能となる。
【0021】
図3は、物品種類判定システムの機能構成を示すブロック図である。物品種類判定装置160は、物品200の検出面部201の形状的特徴に基づき物品の種類を判定する装置である。物品種類判定装置160は、プログラムをプロセッサーに実行させることにより実現される処理部として、点群取得部151と、縁部検出部155と、直線形状抽出部156と、種類判定部157を備えている。本実施の形態の場合、物品種類判定装置160は、区間検出部152を備えている。
【0022】
点群取得部151は、物品200の検出面部201における複数箇所の点データを検出器140から点群として取得する。点データのデータ構造は、特に限定されるものではないが、例えば移載装置130に対する相対的な位置関係を示す三次元のデータを含んでいる。本実施の形態の場合、ラック110の棚板111における物品200の配列方向(図中X軸方向)、検出面部201において配列方向に直交する直交方向(図中Z軸方向)、および配列方向と直交方向のいずれにも直交する奥行方向(図中Y軸方向)のデータを備えた直交座標系のデータを含んでいる。
【0023】
本実施の形態の場合、物品種類判定システム100は、配列方向に並ぶ複数の検出器140を備えており、点群取得部151は、検出器140のそれぞれから点群を取得している。隣り合う検出器140は、撮像画角の一部が重複しているため、点群取得部151は、重複している領域に含まれる点データを統計処理し、複数の検出器140の点群を一枚の画像となるように合成している。これにより、配列方向において複数の物品200の検出面部201に関する点データを一枚の画像として処理することが可能となる。なお、複数の検出器140の点群を1枚の画像に合成せず、各検出器140の点群に対応する画像を用いて処理結果を出し、その結果を合成するものであってもよい。
【0024】
区間検出部152は、点群取得部151において取得された点群から配列方向において物品200が存在しない無物品区間を検出する。
図4は、区間検出部の処理の流れを示すフローチャートである。
図5は、区間検出部の工程の各段階における処理状態を示す図である。
【0025】
区間検出部152の処理の流れの例を説明する。まず、区間検出部152は、点群取得部151から取得した点群から所定の領域内に含まれる点データを取り出すトリミング処理を実行する(S101、トリミング工程)。所定の領域は、特に限定されるものではないが、例えばラック110に保管される物品200の最小高さ(直交方向の長さ)の中央位置を含み、所定の高さを有する帯状の領域を例示できる。具体的には、第一閾値未満の直交方向(図中Z軸方向)の値を有する点データを除外し、かつ第二閾値(>第一閾値)より大の直交方向(図中Z軸方向)の値を有する点データを除外する。つまり、第一閾値以上、第二閾値以下の範囲にある点データを抽出する。トリミング工程により所定の高さ範囲のデータにより無物品区間の検出を行うため、ラック110の棚板111による反射などの影響、物品200の表面に設けられるリブ、フランジ、孔などの影響を抑制する事ができ、正確に無物品区間を検出することが可能となる。また、点群のデータ量を抑制して次工程の処理の促進を図ることができる。
【0026】
次に、区間検出部152は、トリミング工程によってトリミングされた点群を奥行方向(移載方向)に投影して
図5の(a)に示す二次元の第一投影画像を生成する(S102、第一投影工程)。具体的には、各点データから奥行方向(図中Y軸方向)のデータを除外することにより二次元の第一投影画像を生成する。ここで、区間検出部152は、トリミング工程によってトリミングされた点群を上下方向に投影して二次元の第一投影画像を生成するものであってもよい。
【0027】
次に、区間検出部152は、第一投影画像に対しモフォロジー処理を実行し、荒い点として存在していた点データの間を補完して
図5の(b)に示すように物品200に対応する部分が一塊(
図5の画像中における白色部分)となるようにデータを変更する(S103、第一モフォロジー工程)。本実施の形態の場合、区間検出部152は、モフォロジー処理として膨張と収縮とを繰り返すクロージング処理を行う。
【0028】
次に、区間検出部152は、物品200が存在している区間を示す存在区間を探索する(S104、存在区間荒探索工程)。本実施の形態の場合、区間検出部152は、第一モフォロジー工程により白色の一塊とみなした部分(
図5の(b)中の白色部分)について、直交方向に対応する画像における上下方向において途切れた部分、欠落した部分を補完して白色の一塊とみなす部分を更新する。存在区間端探索工程を実行すると例えば
図5の(c)の画像の様な状態になる。
【0029】
次に、区間検出部152は、隣り合う白色の一塊の部分の間の区間の配列方向に対応する画像における横方向(図面に向かって左右方向)の黒色部分の距離と所定のギャップ閾値とを比較する(S105)。黒色部分の距離がギャップ閾値以下の場合(S105:Yes)、区間検出部152は、
図5の(d)に示すように、当該ギャップを埋めるように補完して白色の一塊とみなす部分を更新する(S106、ギャップ充填工程)。なお、
図4中に記載される「<=」は小なりイコールを示している。
【0030】
次に、区間検出部152は、ギャップ充填工程において更新された白色の一塊の部分、または存在区間荒探索工程で更新された白色の一塊の部分の配列方向(
図5中横方向)における一端部から他端部まで(
図5の(d)(e)の逆三角印)を物品200が存在する区間に対応する存在区間として特定する(S107、存在区間特定工程)。また、隣り合う存在区間の間など存在区間以外の区間を無物品区間として特定する。
【0031】
次に、区間検出部152は、無物品区間の配列方向(
図5の横方向)における中間の位置を基準位置(
図5の(e)の矢印の位置)として決定する(S108、基準位置決定工程)。基準位置の決定基準は特に限定されるものではないが、例えば、隣り合う存在区間の端部の間の中央の位置を基準位置として決定してもよい。また、所定の第一区間閾値以上の長さの無物品区間が存在する場合(
図5の(e)の左側)、存在区間の端部から所定の距離離れた位置に仮想の存在区間の端部(
図5の(e)の三角印)を設定し、存在区間の端部と仮想的な存在区間の端部との間に基準位置を設定してもかまわない。なお、仮想の存在区間を設ける距離は、第一区間閾値と同等であってもかまわない。また、存在区間の端部に挟まれていない無物品区間であって所定の第二区間閾値以下の無物品区間の場合(
図5の(e)の右側)、画像の端部を基準位置として設定してもかまわない。
【0032】
縁部検出部155は、点群取得部151において取得された点群に基づき、物品200の検出面部201の相対向する少なくとも一対の縁部を検出する。本実施の形態の場合、縁部検出部155は、相互に交差(直交)する二対の縁部を輪郭として検出する。
図6は、縁部検出部の処理の流れを示すフローチャートである。
図7は、縁部検出部の工程の各段階における処理状態を示す図である。なお、
図7の左右方向における中央に示される縦線は、二つの検出器140が対応する領域の境界を示している。
【0033】
縁部検出部155の処理の流れの例を説明する。まず、縁部検出部155は、点群取得部151から取得した点群を検出面部201の法線方向に沿う奥行方向(移載方向)に投影し各点データの奥行方向のデータを二次元平面内の各ドットの階調に変換して
図7の(a)に示す二次元の第二投影画像である階調付き投影画像を生成する(S201、第二投影工程)。本実施の形態の場合、階調付き投影画像は、グレースケールで表されている。
【0034】
次に、縁部検出部155は、階調付き投影画像に対しモフォロジー処理を実行し、点データが欠落している部分などを補完して
図7の(b)に示すような物品200に対応する部分が一塊となるようにデータを変更する(S202、第二モフォロジー工程)。本実施の形態の場合、縁部検出部155は、区間検出部152において検出された存在区間を含む画像全体に、モフォロジー処理として膨張と収縮とを繰り返すクロージング処理を行う。
【0035】
次に、縁部検出部155は、物品200の検出面部201の端縁である対向する一対の縁部を検出する(S203、縁部検出工程)。本実施の形態の場合、縁部検出部155は、存在区間毎に第二モフォロジー工程により一塊とみなした部分(
図7の(b)中の左右方向に並ぶ三つの部分)のそれぞれについて
図7の(c)に示すように階調を除いた二値の画像とし、この二値の画像に基づいて検出面部201の輪郭(
図7の(c)中の矩形で示された部分)をそれぞれ画像解析により検出する。縁部検出部155は、検出された矩形の輪郭の図中の上下方向(直交方向に対応)に延在する一対の線をそれぞれ縁部として検出する。本実施の形態の場合、二つの検出器140から取得した点群のそれぞれについて輪郭を検出しているため、境界を含む存在区間については
図7の(c)に示すように、二つの輪郭が検出される。
【0036】
直線形状抽出部156は、直線形状抽出部156により検出された一対の縁部の間に存在する点群に基づいて、当該縁部に沿う方向に延在する直線性を有する直線形状を画像解析により抽出する。
図8は、直線形状抽出部の処理の流れを示すフローチャートである。
図9は、直線形状抽出部の工程の各段階における処理状態を示す図である。
【0037】
本実施の形態の場合、画像解析により得られた輪郭を数ピクセル(数ミリメートルに対応)分内側になるように輪郭を更新している。
【0038】
本実施の形態の場合、直線形状抽出部156は、第二投影工程(S201)により生成された階調付き投影画像を用いて直線形状を抽出している。また、直線形状抽出部156は、縁部検出部155により決定された輪郭の内側に含まれる点データを用いて直線形状を抽出している。これにより、物品200のエッジ部分を除外して直線形状を探索することができ、エッジ部分に該当する点データによる物品200の種類の誤検出を防止している。
【0039】
直線形状抽出部156の処理の流れを説明する。直線形状抽出部156は、縁部検出部155から階調付き投影画像を取得し、それぞれの輪郭内の階調付き投影画像に対して所定の直線検出アルゴリズムに基づき
図9の(d)に示されるような階調付き投影画像に含まれる直線形状候補を抽出する(S301、直線形状候補抽出工程)。
【0040】
次に、直線形状抽出部156は、抽出された直線形状候補に対しノイズを除去して
図9の(e)に示すような物品200の検出面部201にリブ状に突出する部分に対応する一塊の線状(
図9の(e)の左側の輪郭内における白色部分)となるようにデータを更新する(S302、ノイズ除去工程)。
【0041】
次に、直線形状抽出部156は、ノイズが除去された直線形状候補から直線形状を抽出する(S203、直線形状抽出工程)。本実施の形態の場合、直線形状抽出部156は、図中の上下方向(直交方向に対応)に延在する一対の縁部と平行、または略平行の直線形状候補を直線形状として抽出する。これにより
図9の(f)に示すような画像となる。なお、本実施の形態の場合、図中の左右方向(配列方向に対応)に延在する一対の縁部と平行、または略平行の直線形状候補も直線形状として抽出している。
【0042】
種類判定部157は、直線形状抽出部156により抽出された直線形状に基づき物品200の種類を判定する。本実施の形態の場合、
図10に示す種類判定工程のフローチャートのように、種類判定部157は、直線形状抽出工程において直線形状が抽出されない場合(S401:No)、物品200の検出面部が平坦な表面性状を有する第一種類の物品であると判定し(S403)、直線形状抽出工程において直線形状が抽出された場合(S401:Yes)、物品200の検出面部が凹凸を有する第二種類の物品であると判定する。最後に種類判定部157は、判定結果を搬送装置120に報知する(S104)。
【0043】
本実施の形態の場合、物品種類判定装置160は、以上の縁部検出工程、直線形状抽出工程、物品種類判定工程を、区間検出部152により分離された各物品存在区間に対して実行し、それぞれの結果を搬送装置120に報知している。
【0044】
以上の実施の形態に係る物品種類判定システム100によれば、物品200の縁部は直線性のある形状を有しているため、当該縁部を除外した上で直線形状を抽出し物品の種類を判定することで、検出面部201が平坦な表面性状を有する第一種類の物品200と、表面にリブなどの凹凸を有する第二種類の物品200とがラック110に混在状態で配列される環境においても物品200の種類を高精度で判定することができる。
【0045】
特に、検出面部201の対向する一対のエッジに沿った直線形状を用いて判定することにより、物品200の種類の判定精度を向上させることができる。
【0046】
また、隣り合う物品200の間における物品200が存在しない区間である無物品区間を検出して点群に対し物品200相互の分離を行った後、各存在区間に対して物品200の種類の判定を行うため、一度に取得した点群に基づき複数の物品200の種類を高速に搬送装置120などに報知することができる。
【0047】
また、二値の投影画像に基づき輪郭を決定し、決定された輪郭内の階調付き投影画像に基づき直線形状を抽出することにより、物品200の縁部を効果的に除外することが可能となる。
【0048】
また、抽出した直線形状候補に対しノイズ処理等を実行したのち直線形状を抽出することにより、点群に多くのノイズが含まれている場合でも物品200の種類の判定に有効な直線形状を抽出することが可能となる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0050】
例えば、上記実施の形態では一対の縁部が平行である場合を説明したが、例えば検出面部201が台形状であって一対の縁部が平行でない場合に物品種類判定方法を適用してもかまわない。この場合、一対の縁部にそう直線形状の傾きは二種類存在する。この場合少なくとも一方の傾きの直線形状に基づき物品200の種類を判定してもかまわない。
【0051】
また、検出面部201の輪郭を検出する場合を説明したが、輪郭を検出することなく一対の縁部に挟まれる点データを用いて物品200の種類を判定してもかまわない。
【0052】
また、検出器140を複数備える場合を例示したが、ラック110の棚板111に連続して三つ並ぶ物品200の中央に位置する物品200の幅に両側に存在する無物品区間の幅を加えた範囲を一度に検出できる1台の検出器140を備えてもかまわない。
【0053】
また、複数の検出器140から得られる点群のそれぞれについて物品200の種類の判定を行ったが、複数の点群を合成して一つの点群とした後、物品200の種類を判定してもかまわない。
【0054】
また、水平方向、および鉛直方向に物品200を二次元的に保管できるラック110を例示したが、ラック110は、搬送台車の走行する方向に沿って一次元的に物品200を保管するものでもかまわない。
【0055】
また、モフォロジー工程や、ノイズの除去処理工程などは省略することが可能である。
【0056】
また、上記実施例では画像全体に対するモフォロジー処理を施す例を示したが、存在区間のそれぞれについてモフォロジー処理をおこなっても同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、物品の種類を判別することが要求される自動倉庫、物流拠点、工場設備などに利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
100 物品種類判定システム
110 ラック
111 棚板
112 支柱
120 搬送装置
121 レール
122 台車
123 マスト
124 昇降台
130 移載装置
140 検出器
151 点群取得部
152 区間検出部
155 縁部検出部
156 直線形状抽出部
157 種類判定部
160 物品種類判定装置
200 物品
201 検出面部