(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184449
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システム
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20221206BHJP
E01H 1/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
E01H1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092307
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510257765
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・エンジニアリング東北
(71)【出願人】
【識別番号】508337204
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・エンジニアリング新潟
(71)【出願人】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】臼井 智徳
(72)【発明者】
【氏名】小山 幸人
(72)【発明者】
【氏名】大沼 千容
(72)【発明者】
【氏名】土田 清央
(72)【発明者】
【氏名】山田 宝良
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康平
【テーマコード(参考)】
2D026
3K339
【Fターム(参考)】
2D026AA00
3K339AA22
3K339AA43
3K339BA09
3K339BA26
3K339CA30
3K339EA01
3K339EA04
3K339EA06
3K339EA10
3K339FA04
3K339GB21
3K339KA03
3K339KA28
3K339MB05
3K339MC28
(57)【要約】
【課題】道路の車線数に応じてセーフティラインの標示幅を変更する操作を、変更時点の判断を含めて人手によらずに自動化することにより、オペレータの負担を軽減して作業の安全性を向上させ得る位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムを提供することを課題とする。
【解決手段】車両の走行車線の後方路面及び隣接車線の路面に幅方向に延びるライン状の光標示であるセーフティライン5を描くように光を照射する投光器A,Bを備えた位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムであって、投光器A,Bによる走行車線2の後方路面へのセーフティライン5の標示幅用照射モードと、走行車線2の後方路面から隣接車線3の路面に跨るセーフティライン5の標示幅用照射モードとが、当該車両の位置情報に基づいて自動切り替え可能にした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行車線の後方路面及び隣接車線の路面に幅方向に延びるライン状の光標示であるセーフティラインを描くように光を照射する投光器を備えた位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムであって、
前記投光器による前記走行車線の後方路面への前記セーフティラインの標示幅用照射モードと、前記走行車線の後方路面から隣接車線の路面に跨る前記セーフティラインの標示幅用照射モードとが、当該車両の位置情報に基づいて自動切り替え可能であることを特徴とする位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システム。
【請求項2】
GPS車載端末と、前記投光器による前記照射モードの切り替え操作を行う操作部とを含み、前記操作部による前記照射モードの切り替え操作は、前記GPS車載端末からの制御信号に基づいて行われる、請求項1に記載の位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システム。
【請求項3】
前記GPS車載端末は、位置情報を取得する位置情報取得部と制御部とを含み、前記制御部は、前記セーフティラインの標示幅切り替え地点をキロポストにヒモ付けて記憶するキロポスト情報記憶部と、前記位置情報取得部から送られてくる位置情報により特定される車両位置を、その都度、前記キロポスト情報記憶部に記憶されている前記標示モード切り替え地点と照合する照合部と、その照合結果に基づき、前記操作部に、前記照射モード切り替えのための制御信号を送信する制御信号送信部とを含む、請求項2に記載の位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システム。
【請求項4】
前記投光器として1車線照射用投光器と2車線照射用投光器が装備される、請求項1乃至3のいずれかに記載の位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システム。
【請求項5】
1車線標示モードの場合に前記1車線照射用投光器が用いられ、2車線標示モードの場合に前記2車線照射用投光器が用いられる、請求項4に記載の位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システム。
【請求項6】
1車線標示モードの場合に前記1車線照射用投光器が用いられ、2車線標示モードの場合に前記1車線照射用投光器と前記2車線照射用投光器の双方が用いられる、請求項4に記載の位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システム。
【請求項7】
前記投光器として1車線照射と2車線照射との切り替えが可能な単一の投光器が装備される、請求項1乃至3のいずれかに記載の位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムに関するものであり、より詳細には、作業者による除雪作業時や凍結防止剤の散布作業時等に、後続車に対し、追い越し禁止等の警告をするために路面に照射標示するセーフティラインの標示幅(照射幅)の自動調整機能を有する位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路等における除雪、凍結防止剤の散布、清掃等の道路保守のために作業車が用いられ、その作業は作業車を走行させつつ行われることが多い。その場合の作業車の走行速度は、通常、一般車両の走行速度よりも低速となるので、追突事故等の防止のために、後続車両のドライバーに作業中であることを報知する必要がある。また、作業の内容によっては、安全のために作業車の追い越しを禁止する必要が生ずる。
【0003】
このような状況に対処するために、特許文献1(特開2020-97324号公報)の発明において、「車両に搭載され、該車両の走行方向後方の路面上に走行車線の幅方向へ沿うライン状の光標示が描かれるように光を照射する車載用道路標示装置であって、前記走行車線の路面、及び該走行車線に隣接する隣接車線の路面へ前記ライン状の光標示が描かれるように光を照射する投光部を備える車載用道路標示装置」が提案され、実用化されている。
【0004】
この装置によると、作業車の走行方向後方の路面上に、走行車線の路面及び隣接車線の路面へライン状の緑色光標示(セーフティライン)を描くことができるため、走行車線及び隣接車線を走行する後続車両のドライバーに対して、作業車が存在することに ついて注意喚起できる。
【0005】
この装置においては、道路が複数車線の場合、セーフティラインの標示幅を変更することで、セーフティラインを作業車が走行している車線のみならず、他の車線にまで延ばして標示することができるが、その標示幅の切り替え作業は、オペレータが切り替えの必要性を判断して手動で行うために、オペレータにとって少なからぬ負担となり、誤操作が発生するおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来のセーフティライン標示装置の場合は、道路の車線数に応じてセーフティラインの標示幅を変更するための切り替え操作は、オペレータが切り替え時を判断して手動で行っていたため、オペレータにとって少なからぬ負担となっており、誤操作が起こるおそれもあった。
【0008】
そこで本発明は、道路の車線数に応じてセーフティラインの標示幅を変更調整する操作を、変更時点の判断を含めて人手によらずに自動化することにより、オペレータの負担を軽減して作業の安全性を向上させ得る位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、車両の走行車線の後方路面及び隣接車線の路面に幅方向に延びるライン状の光標示であるセーフティラインを描くように光を照射する投光器を備えた位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムであって、
前記投光器による前記走行車線の後方路面への前記セーフティラインの標示幅用照射モードと、前記走行車線の後方路面から隣接車線の路面に跨る前記セーフティラインの標示幅用照射モードとが、当該車両の位置情報に基づいて自動切り替え可能であることを特徴とする位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムである。
【0010】
一実施形態においては、GPS車載端末と、前記投光器による前記照射モードの切り替え操作を行う操作部とを含み、前記操作部による前記照射モードの切り替え操作は、前記GPS車載端末からの制御信号に基づいて行われる。
【0011】
一実施形態においては、前記GPS車載端末は、位置情報を取得する位置情報取得部と制御部とを含み、前記制御部は、前記セーフティラインの標示幅切り替え地点をキロポストにヒモ付けて記憶するキロポスト情報記憶部と、前記位置情報取得部から送られてくる位置情報により特定される車両位置を、その都度、前記キロポスト情報記憶部に記憶されている前記標示モード切り替え地点と照合する照合部と、その照合結果に基づき、前記操作部に、前記照射モード切り替えのための制御信号を送信する制御信号送信部とを含む。
【0012】
一実施形態においては、前記投光器として1車線照射用投光器と2車線照射用投光器が装備される。その場合、1車線照射モードの場合に前記1車線照射用投光器が用いられ、2車線照射モードの場合に前記2車線照射用投光器が用いられる。あるいは、1車線照射モードの場合に前記1車線照射用投光器が用いられ、2車線照射モードの場合に前記1車線照射用投光器と前記2車線照射用投光器の双方が用いられる。
【0013】
一実施形態においては、前記投光器として1車線照射と2車線照射との切り替えが可能な単一の投光器が装備される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムは上記のとおりであって、道路の車線数に応じてセーフティラインの標示幅を変更調整するための照射モード切り替え操作を、切り替え操作時点の判断を含めて人手によらず、位置情報とキロポスト情報を利用することで自動化することができるので、オペレータの負担を大いに軽減して、作業の安全性を向上させ得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムの構成を示すイメージ図である。
【
図2】本発明に係る位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムの概略構成図である。
【
図3】本発明に係る位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムの要部の機能ブロック図である。
【
図4】本発明に係る位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムの動作の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態につき、添付図面に依拠して説明する。本発明に係る位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムは、
図1に示されるように、作業車1である車両の走行車線2の後方路面及び隣接車線3の路面に幅方向に延びるライン状の光標示であるセーフティライン5を描くように光を照射する投光器A,B(投光器は1台の場合もあり得る)を備えたものであり、その投光器A,Bを備えた作業車1が走行している走行車線2の後方路面への標示幅の照射モード(1車線照射モード、
図1の左側)と、走行車線2の後方路面から隣接車線3の路面に跨る標示幅の照射モード(2車線照射モード、
図1の右側)との切り替えが、当該作業車1の位置情報とキロポスト情報に基づいて、自動的に行なわれることを特徴とする。
【0017】
このようにセーフティライン5の標示幅を切り替えるのは、
図1の左側に示される1車線区間においては、作業車1が走行している走行車線2の後方路面のみ照射してセーフティライン5を標示すれば足り、
図1の右側に示される2車線区間においては、作業車1が走行している走行車線2の後方路面のみならず、隣接車線3の路面にまでセーフティライン5を標示する必要があるからである。また、1車線区間において標示幅を広げると、対向車線4を走行する車両の運転に支障をきたすおそれがあるので、避ける必要がある。
【0018】
図2は、本システムの概略構成を示すもので、そこに示されるように本システムは、投光器A,Bと、GPS車載端末11と、投光器A,Bの照射モード切り替え操作を行う操作部12とを含む。
【0019】
なお、
図1,2には、投光器として1車線照射用投光器Aと2車線照射用投光器Bが装備され、この2つの投光器A,Bを用いて照射モードの切り替えが行われる例が示されているが、照射範囲が変更可能な単一の投光器を用いることとしてもよい。また、2つの投光器A,Bを用いる場合、
図1に示されるように、1車線照射モードの場合に1車線照射用投光器Aのみを用い、2車線照射モードの場合に1車線照射用投光器Aと2車線照射用投光器Bの双方を用いる場合と、1車線照射モードの場合には1車線照射用投光器Aのみを用い、2車線照射モードの場合には2車線照射用投光器Bのみを用いる場合とが考えられる。投光器A,Bとしては、例えば、上記特許文献1の発明における投光器の構成を採用することができる。
【0020】
GPS車載端末11は、GPS衛星10から位置情報を取得する位置情報取得部(GPS受信装置)13と制御部14とを含み、制御部14は、標示幅の切り替え地点をキロポストにヒモ付けて記憶するキロポスト情報記憶部15と、位置情報取得部13から送られてくる位置情報による当該作業車1の位置を、逐次、キロポスト情報記憶部15に記憶されている標示幅の切り替え地点とを照合する照合部16と、その照合結果に基づき、操作部12に、照射モード切り替えのための制御信号を送信する制御信号送信部17とを含む(
図3)。
【0021】
上記構成の本発明に係る位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムの作用に付き、
図4の流れ図を参照しつつ説明する。作業車1のオペレータがGPS車載端末11のスイッチを入れると、GPS受信機能を有する位置情報取得部13が、GPS衛星10からの信号を受けて作業車1の位置情報を取得し(ステップS1)、逐次その位置情報を照合部16に供給する(ステップS2)。照合部16においては、位置情報が供給される都度、その作業車1の所在地点が、標示幅の切り替え地点か否か、即ち、1車線から2車線に移行する地点、あるいは、2車線から1車線に移行する地点か否かについての判断処理がなされる(ステップS3)。
【0022】
上記判断の結果、標示幅の切り替え地点に該当しない場合は位置情報取得ステップに戻り(ステップS3 No)、標示幅の切り替え地点に該当する場合(ステップS3 Yes)は、制御信号送信部17から操作部12に、照射モード切り替えのための制御信号が送信される(ステップS4)。そして、制御信号を受けた操作部12により、照射モードの切り替えが行われる(ステップS5)。この照射モードの切り替えに際し、例えば、切り替え地点の100m手前で、GPS車載端末11において音声と文字により、作業車1のドライバーに照射モード切り替えが行われることを報知するようにしてもよい。
【0023】
上記説明は道路が2車線の場合であるが、3車線以上の道路の場合もあるが、通常、作業者1による作業の影響が出るのは走行車線2と隣接車線3であるので、走行車線2と隣接車線3の後続車両に警告をすれば足りるので、セーフティラインは走行車線2と隣接車線3に標示すれば足りる。もちろん、必要があれば、セーフティラインを第3車線にまで標示するようにすることもできる。その場合は、照射範囲の広い投光器を用い、あるいは、投光器を増設すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係る位置情報に基づいたセーフティライン標示幅自動調整システムは上記のとおりであって、道路の車線数に応じてセーフティラインの標示幅を変更するための照射モード切り替え操作を、切り替え操作時点の判断を含めて人手によらず、位置情報とキロポスト情報を利用することで自動化することができるので、オペレータの負担を大いに軽減して、作業の安全性を向上させ得る効果があり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0025】
1 作業車
2 走行車線
3 隣接車線
4 対向車線
5 セーフティライン
10 GPS衛星
11 GPS車載端末装置
12 操作部
13 位置情報取得部
14 制御部
15 キロポスト情報記憶部
16 照合部
17 制御信号送信部