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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184489
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】管内検査装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/24 20060101AFI20221206BHJP
   B08B 9/027 20060101ALI20221206BHJP
   B08B 9/035 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G02B23/24 A
G02B23/24 B
B08B9/027
B08B9/035
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092373
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】内山 航輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 広都
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 文臣
(72)【発明者】
【氏名】車谷 駿一
【テーマコード(参考)】
2H040
3B116
【Fターム(参考)】
2H040AA02
2H040AA03
2H040DA12
2H040DA15
2H040DA17
2H040DA55
2H040DA57
2H040GA02
3B116AA12
3B116AB54
3B116BB21
3B116BB71
(57)【要約】      (修正有)
【課題】配管に残留水等の残留物がある場合であっても管内の画像を好適に取得可能な管内検査装置を提供する。
【解決手段】配管Z内を推進可能に構成された推進力発生手段40の先頭に、配管内の画像を取得する撮像手段を有する検査ユニット10を備える管内検査装置であって、配管内の残留物を吸引、又は、飛散させる残留物除去手段30を備えた構成とした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管内を推進可能に構成された推進力発生手段の先頭に、配管内の画像を取得する撮像手段を有する検査ユニットを備える管内検査装置であって、
前記配管内の残留物を吸引、又は、飛散させる残留物除去手段を備えたことを特徴とする管内検査装置。
【請求項2】
前記残留物除去手段は、
一端が推進力発生手段とともに移動可能に設けられ、他端が配管外まで延長する管を備え、
前記管の一端側が前記配管内で開口することを特徴とする請求項1に記載の管内検査装置。
【請求項3】
前記管の一端側の開口は、進行方向後方に向けて設けられたことを特徴とする請求項2に記載の管内検査装置。
【請求項4】
前記管の一端側は、前記検査ユニットと前記推進力発生手段の間に開口することを特徴とする請求項2又は請求項3いずれかに記載の管内検査装置。
【請求項5】
前記管は、一端側の端部におもりを備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項4いずれかに記載の管内検査装置。
【請求項6】
前記配管内を進行方向前後に区画する区画手段を備え、
前記区画手段は、前記管の一端側の開口よりも進行方向後方に設けられたことを特徴とする請求項2乃至請求項5いずれかに記載の管内検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内検査装置に関し、特に、検査対象の管内に残留する気体や液体、泥等の固液混合物等の排出可能な管内検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気の供給することにより径方向に膨張するとともに軸方向に収縮し、空気を排出することにより径方向に収縮するとともに軸方向に伸長する膨縮ユニットを複数直列に連結し、連結された膨縮ユニットをミミズの蠕動運動を模倣するように所定の順序で個別に膨張、収縮させることで推進力を生成し、ガス管や上下水道管等の配管内を進行させることで、先端に取り付けたカメラにより管内壁の状態を取得して視認検査を可能とするものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-228658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検査対象の配管には高低差があり、低い部分に残留物がある場合が多い。例えば、上下水道管を検査する場合には低い部分に残留水があり、その部分における管内壁の画像を鮮明に取得できないという問題がある。
そこで、本発明は、上記問題点を解決すべく、配管に残留水等の残留物がある場合であっても管内の画像を好適に取得可能な管内検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための管内検査装置の構成として、配管内を推進可能に構成された推進力発生手段の先頭に、配管内の画像を取得する撮像手段を有する検査ユニットを備える管内検査装置であって、配管内の残留物を吸引、又は、飛散させる残留物除去手段を備えた構成とした。
本構成によれば、検査対象となる配管内の撮像範囲から残留物を除去できるので管内の画像を好適に取得することができる。
また、残留物除去手段は、一端が推進力発生手段とともに移動可能に設けられ、他端が配管外まで延長する管を備え、管の一端側が配管内で開口することにより、残留物を配管外に除去することができる。
また、管の一端側の開口は、進行方向後方に向けて設けられたことにより、残留物を好適に除去することができる。
また、管の一端側は、検査ユニットと推進力発生手段の間に開口することにより、配管内の検査において効率良く残留物を除去することができる。
また、管は、一端側の端部におもりを備えたことにより、配管の下側に溜まる残留物を確実に除去することができ、管内の画像を好適に取得することができる。
また、前記配管内を進行方向前後に区画する区画手段を備え、区画手段は、管の一端側の開口よりも進行方向後方に設けられたを備えたことにより、推進力発生手段の進行に伴い残留物を検査ユニット側に押しやることができるので、配管内の残留物を効率的に吸引、又は、飛散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】管内検査装置の概略構成図である。
図2】検査ユニットの軸方向断面図である。
図3】吸水ユニットの概略図である。
図4】吸水ユニットによる残留水の吸水動作を示す概念図である。
図5】駆動ユニットの軸方向断面図である。
図6】外筒の径方向断面図である。
図7】駆動ユニットの動作状態を示す図である。
図8】連結ユニットの外観図である。
図9】排水補助手段の一例を示す図である
図10】バルブユニットの透視図及び分解斜視図である。
図11】推進動作制御要素の平面図及び軸方向断面図である。
図12】検査部の推進動作を示す図である。
図13】検査部の推進動作を示す図である。
図14】検査部の推進動作を示す図である。
図15】駆動ユニットの他の構成を示す図である。
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態に係る管内検査装置の概略構成図である。図1に示すように、管内検査装置1は、概略 配管Z内を移動可能に構成される検査部2と、配管外に設けられ、検査部2の動作を制御する制御部4とを備える。本実施形態では、配管Zが円筒状のものとして説明するが、配管Zの断面形状については特に限定されない。
検査部2は、検査ユニット10と、吸水ユニット20と、駆動ユニット40と、連結ユニット60と、バルブユニット80とを備え、これらを連結することで各ユニット間に連続する一つの中空空間が形成された管状移動体を構成する。以下の説明では、矢印x1に沿う方向を検査部2の進行方向とし、この進行方向に沿って前側、その逆を後側として方向を特定する。
【0009】
図2は、検査ユニット10の概略構成図である。
検査ユニット10は、検査手段としての撮像手段11及び照明手段12と、撮像手段11及び照明手段12を所定の取付状態で収容するためのヘッド部材としての管状収容部13と、管状収容部13の周囲に設けられる弾性支持部材14とを備える。管状収容部13の前端開口13Aは光透過性を有するカバー15で塞がれている。
【0010】
照明手段12は、カバー15を通して前方を照射可能なように管状収容部13の内部に取り付けられ、撮像手段11が当該カバー15を通して前方を撮像可能なように管状収容部13の内部に取り付けられる。これにより検査部2が検査対象の配管Z内を進行方向に移動する際に、照明手段12で照射される光によって検査ユニット10の前方の配管Z内を照らし、撮像手段11によって検査ユニット10の前方の配管Z内の撮影が可能とされる。
【0011】
弾性支持部材14は、管状収容部13の外周面13aの円周方向に所定の間隔をもって複数設けられる。本実施形態では、管状収容部13の外周面13aの円周方向に周方向に均等な間隔で6箇所に設けられている。
【0012】
弾性支持部材14は、例えば、一定幅、所定長さの平板帯状に成形された弾性を有する板ばね素材を、長手方向の両端が互いに向かい合うようにC字状に変形させて構成される。弾性支持部材14は、向かい合う両端が管状収容部13の軸方向に沿って位置するようにして管状収容部13の外周面13aに固定される。
【0013】
管状収容部13に固定された弾性支持部材14は、管状収容部13の前端13tよりも進行方向前側に突出し、管状収容部13の外周面13aから膨出する部分に所定の弾性が付与された状態とされる。
また、弾性支持部材14の配管Zの内壁面に対向するの表面部分には、配管Zの壁面との摩擦を低減するためのシート等の摩擦低減手段を設けると良い。
【0014】
検査ユニット10は、弾性支持部材14が管状収容部13の前端13tよりも前側に突き出ることにより、例えば、検査部2が配管Z内の屈曲路を通過する際、管状収容部13の前端13tよりも先に当該弾性支持部材14が屈曲路の内壁に衝突するので、検査ユニット10が進路を変えやすくなり、検査部2が配管Z内の屈曲路をスムーズに通過できるようになる。また、配管Z内に障害物(例えば、配管Zの内壁より突出する突起、配管Z内に残留した異物等)が存在する場合でも、当該弾性支持部材14の弾性力によって検査ユニット10を配管Zの中心線側に移動させることができるので、検査部2が配管Z内をスムーズに移動できるようになる。
【0015】
撮像手段11及び照明手段12からは図外のケーブルが延長し、配管Z外に設けられる推進制御装置104、モニター等の表示手段106に接続される。ケーブルは、可撓性を有し、推進制御装置104から撮像手段11及び照明手段12に駆動に必要とされる電力を供給を可能にするとともに、撮像手段11により撮影された画像を表示手段106に出力可能に構成される。
【0016】
検査ユニット10は、管状収容部13の後端に、吸水ユニット20との連結を可能にする連結片16と、連結環17とを備える。連結片16;16及び連結環17は、検査ユニット10に吸水ユニット20を連結するための連結部として機能する。
【0017】
連結片16は、管状収容部13の後端部から該管状収容部13の外周面と連続するように軸方向に沿って後方に延長する板片として管状収容部13と一体に形成される。連結片16は、管状収容部13の円周方向に180度位置ずれした位置、即ち、半径方向に互いに対向するように一対設けられる。
【0018】
各連結片16は、先端側に結合孔16Aを備える。結合孔16Aは、例えば、円孔として設けられる。各連結片16;16に設けられた結合孔16Aは、中心が同軸となるように形成される。
【0019】
連結環17は、例えば、一対の連結片16;16の間で挟持可能な大きさを有する板状の円環として構成される。連結環17は、連結片16;16及び吸水ユニット20との結合を可能とする複数の結合孔17Aを備える。結合孔17Aは、連結環17の円周方向に4つ、均等な間隔で板厚方向に貫通する孔として設けられる。
【0020】
連結環17は、対向する結合孔17A;17Aを連結片16;16に設けられた結合孔16A;16Aに一致させ、重なる結合孔16A;17Aのそれぞれに軸部材18を脱落不能に挿入することで、一対の連結片16;16の間において図中矢印で示すように、管状収容部13に回転自在に取り付けられる。
【0021】
図3は、吸水ユニット20の概略構成図である。図3(a)は、吸水ユニット20の外観斜視図、図3(b),(c)は、ベース体の平面図である。
図3(a)に示すように、吸水ユニット20は、ベース体22と、吸水管30及び排水管32とを備える。
【0022】
ベース体22は、チューブ支持部24と、連結片26とを備える。チューブ支持部24は、軸方向に所定長さ延長する円筒体であって、中央孔28と、その周囲において軸方向に貫通する複数(本実施形態では4つ)の周辺孔29とを備える。中央孔28は、少なくとも検査ユニット10の撮像手段11及び照明手段12に接続されるケーブルが貫通可能な大きさの円孔として形成される。
【0023】
周辺孔29は、吸水管30及び排水管32が貫通可能な大きさの円孔として形成される。本実施形態における周辺孔29は、吸水管30が貫通する吸水管貫通孔29A及び排水管貫通孔29Bを含んで構成される。吸水管貫通孔29A及び排水管貫通孔29Bは、対をなすように隣接して二対設けられる。
【0024】
図3(c)に示すように、吸水管貫通孔29Aはチューブ支持部24の中心軸の周りを円周方向に180°ずれた位置の2箇所、排水管貫通孔29Bはチューブ支持部24の軸心Cの周りを円周方向に180°ずれた位置の2箇所に配置される。
【0025】
連結片26は、チューブ支持部24の軸方向の両側に設けられる。連結片26は、チューブ支持部24の外周面と連続するように軸方向に沿って延長する板片として該チューブ支持部24と一体に形成される。連結片26は、チューブ支持部24の軸方向のそれぞれの側において、互いに対向(チューブ支持部24の円周方向に180度位置ずれ)するように一対設けられる。また、連結片26は、一端側の対に対して他端側の対が90度位置ずれして設けられる。
【0026】
各連結片26は、先端側に結合孔26Aを備える。結合孔26Aは、例えば、円孔として形成される。チューブ支持部24の一端側に設けられた一対の連結片26;26に形成される結合孔26Aは中心が同軸上に位置するように形成され、他端側に設けられた一対の連結片26;26に形成される結合孔26Aは中心が同軸上に位置するように設定される。
【0027】
ベース体22は、検査ユニット10に設けられた連結環17に設けられた結合孔16A;16Aに、一端側の一対の連結片26;26に設けられた結合孔26A;26Aを一致させ、重なる結合孔16A;26Aのそれぞれに図外の軸部材を脱落不能に挿入することで、一対の連結片26;26の間において連結環17に回転自在に取り付けられる。
【0028】
即ち、検査ユニット10の連結片16;16及び連結管17と、吸水ユニット20の連結片26;26とでユニバーサルジョイントと同様な機構を構成することによって、検査ユニット10と吸水ユニット20とが相対的に折れ曲がり自在に連結される。
また、ベース体22は、他端側の一対の連結片26;26を介して駆動ユニット40が接続される。
【0029】
吸水管30及び排水管32は、それぞれ可撓性を有するチューブ等により構成される。吸水管30及び排水管32は、それぞれチューブ支持部24の吸水管貫通孔29A及び排水管貫通孔29Bに進行方向後側から貫通される。吸水管30及び排水管32は、吸水管貫通孔29A及び排水管貫通孔29Bを前側に貫通した一端部が継手34により連結され、一続きの流路を構成する。
【0030】
本実施形態では、継手34には、1つの流路を2つの流路に分岐を可能とするものを継手34として利用した。具体的には、継手34は、3本のチューブを挿入可能とする3つの受穴を有し、1つの受穴に対して逆側に2つの受穴が並列に配置されたものを用いた。そして、1つの受穴には栓を挿入して閉鎖し、並列に配置された2つの受穴には吸水管30及び排水管32に一端部を挿入するようにして利用した。
【0031】
吸水管30は、継手34に接続された状態において、他端側(以下、先端側という)が配管Zの下側内壁に達するように長さが設定される。ここで吸水管30の先端側が配管Zの下側内壁に達するとは、吸水管30が座屈することなく、配管Zの残留水を吸水可能な状態をいう。このような状態は、例えば、他端側の開口が配管Zの下側内壁に対向して接触するような状態や、他端側の開口近傍の吸水管30の外周が配管Zの下側内壁に摺接した状態が維持可能であることを言う。
本実施形態では、吸水管30は、先端が検査ユニット10と後述の推進力発生手段8の間に開口するように設定される。
【0032】
図4は、吸水ユニットによる残留水の吸水動作を示す概念図である。
本実施形態では、吸水管30が吸水ユニット20の中心軸C20を挟んで半径方向に対向する位置の2か所に設けられていることから、吸水管30の長さは、図4(a)に示すように配管Z内における吸水ユニット20の中心軸C20が配管Zの中心線Czに一致する高さにあるときに、少なくとも吸水管30の先端側が配管Zの下側内壁に達する前述の状態が維持されるように設定すると良い。
【0033】
これにより、配管Z内において吸水ユニット20が中心軸周りに回転しても、いずれか一方の吸水管30の先端が配管Z内の残留水を可能とされる。
【0034】
また、各吸水管30は、先端側の端部におもり36を備える。吸水管30は、先端側の端部におもり36を備えることにより、吸水管30の先端側の開口を配管Zの下側に位置させることができる。
【0035】
排水管32は、継手34に接続された状態において、他端側が配管Zの外部に達するように長さが設定される。
つまり、排水管32は、継手34を介して接続された吸水管30により、一端側が配管内で開口し、他端側が配管外に開口するように構成される。
なお、排水管32は、必ずしも一本のもので配管Zの外部に達する必要はなく、複数を直列に接続して構成しても良い。
【0036】
排水管32の途中には、ポンプ38が接続される。本実施形態では、吸水ユニット20から排水管32が2本延長するため、排水管32毎にポンプ38を設けても良く、また、排水管32を合流して1つのポンプ38に接続するようにしても良い。
【0037】
ポンプ38は、排水管32と連続する吸水管30の先端に負圧を発生可能なものであれば良い。ポンプ38には、例えば、ベーンポンプ等のロータリーポンプや、バキュームポンプ等を用いることができる。
【0038】
なお、図1において、ポンプ38は、配管Zの外部に設けられているものとして示してあるが、これに限定されない。
ポンプ38は、好ましくは、検査部2と共に配管Z内を移動するように、例えば、検査部2を構成するバルブユニット80の後部や、駆動ユニット40の内部等に配置可能な小型のものを用いると良い。より好ましくは、吸水管30の近傍、例えば、検査部2のうち吸水ユニット20に直接連結される駆動ユニット40の内部や、吸水ユニット20に設けると良い。
【0039】
ポンプ38により汲み上げられた排水は、配管Zの外部に設けられた排水タンクや排水槽等の貯水手段に貯留されるように、排水管32の後端に貯水手段を設けると良い。
【0040】
ポンプ38は、残留水を吸水する位置、即ち、吸水管30の開口に近づく程、吸水力が向上することが実験により確認されており、ポンプ38から貯水手段まで排水管32の長さが長くなっても残留水を排水することができる。つまり、一度に配管Z内を長距離検査することができるようになる。
【0041】
以上、説明したように、本実施形態によれば、管内検査装置1は、吸水ユニット20及びポンプ38により構成される残留物除去手段を備えることにより、検査対象の配管Z内に残留水があった場合でも、残留水を排出が可能となり、当該範囲の鮮明な画像を検査ユニット10により取得することができる。
【0042】
また、吸水ユニット20が、該吸水ユニット20の中心軸C20を挟んで180度位置ずれした位置に吸水管30を2本備えるので、検査の途中において検査部2が中心軸C20周りに回転したとしてもいずれかの吸水管30の開口が配管Zの下側内壁に達するので、吸水ユニット20が中心軸C20周りにどのような姿勢にあっても残留水を吸水することができる。
【0043】
加えて、吸水管30の先端におもり36を備えることにより、吸水管30の先端側の開口を配管Zの下側に位置させることができ、より確実に残留水を吸水し、配管Zの外部に排出することができる。
【0044】
以下、検査部2を構成する他の構成及び制御部4について説明する。
[駆動ユニットについて]
図5は、駆動ユニット40の構成例を示す軸方向断面図である。
駆動ユニット40は、内筒41と、該内筒41の外周を囲み、二重管をなすように設けられる外筒42と、内筒41及び外筒42の各端部に設けられ、内筒41及び外筒42の間に形成される空間を閉塞する一対の端部部材43;43とを備える。
【0045】
内筒41は、軸方向には伸縮を許容し、径方向には非伸縮に構成された筒体からなる。内筒41は、例えば、軸線の曲がりを許容し、内周側や外周側からの圧力により変形しにくい可撓性を有する素材で構成されることが好ましい。内筒41には、例えば、弾性体からなる蛇腹(ベローズ)等の筒体や、コイルばねの外周に非伸縮性及び非通気性に加え可撓性を有するフィルムやシート等を巻きつけて構成した筒体を用いることができる。
本実施形態では、内筒41に、螺旋状の蛇腹構造を有する断面円形状の蛇腹を用いた場合について説明するが、これに限定されない。
【0046】
図6は、図5のA1-A1矢視における外筒42の半径方向の断面を誇張して示した図である。同図に示すように、外筒42は、弾性体より形成される円筒状の筒本体42Aの内部に複数の繊維42Bを備える。
筒本体42Aは、材質としてシリコーンゴム等の合成ゴム、或いは天然ラテックスゴム等の天然ゴム等の弾性を有するとともに非通気性の伸縮自在の素材が好適である。筒本体42Aを形成する素材は、後述する流体室Sへの圧縮空気の給排によってその形状が変化し得る材質であれば如何なる材質であっても良い。
【0047】
繊維42Bは、軸方向に沿って延長し、外筒42が膨張したときに半径方向の膨張に等方性が得られるように、筒本体42Aの円周方向及び半径方向に分布して埋設される。繊維42Bは、例えば、筒本体42Aの軸方向の一端から他端に連続して至る長さを有するものを軸線に沿って延長させて外筒42の壁厚内に配置される。本実施例では、図5に示すように、層状に複数積層して密に内挿される。なお、繊維42Bは、積層せずに単層であっても良い。
【0048】
なお、図5乃至図7に示す繊維42Bの長さや各方向への分布状態は、概念を示すものであって、同図に基づいて繊維42の長さや各方向への分布が限定されるものではない。また、前述の繊維42Bが軸方向に沿って延長とは、繊維42Bの性質上、厳密に軸方向に平行に沿うことを意味するものではなく、軸方向に対して多少の傾斜(交差)を許容する。
【0049】
また、繊維42Bは、筒本体42Aの軸方向の長さ寸法を有するものに限定されず、筒本体42Aの軸方向の長さ寸法よりも短いもの用いて、円周方向、半径方向、そして軸方向に繊維同士が軸方向に互いに重複するように分布させても良い。
【0050】
繊維42Bの素材には、軸方向への伸縮変化の小さい素材が好適である。例えば、繊維42Bの素材には、例えば、アラミド繊維、炭素(カーボン)繊維、ガラス繊維、ナイロン、ポリアミド系繊維やポリオレフィン系繊維、金属繊維等の被伸長性を有するものを適宜選択して用いることができる。繊維に適当なプライマー処理、又は、表面酸化処理を行うことで、接着性を十分に向上させることができるが、好ましくは、ゴムとの接着性に応じて選択すると良い。
【0051】
また、繊維42Bの形態は、フィラメント、ヤーン(スパン・ヤーン及びフィラメント・ヤーン)、ストランド等のいずれの形態でも用いることができ、さらに、撚りをかけずに収束させた無撚繊維、これらの繊維を複数本撚って作成した繊維を用いることも可能である。繊維の種類にもよるが、二種類以上の素材の異なる繊維や形態の異なる繊維を組み合わせても良い。
【0052】
端部部材43は、例えば樹脂や硬質のゴム、金属等により円筒状に形成された筒体として構成される。端部部材43は、内筒41を固定する内筒固定部48と、外筒42を固定する外筒固定部49と、他の駆動ユニット40と連結するための連結ユニット60を取り付けるためのユニット固定部54と、流体室Sへの空気を給排を可能にする給排孔56とを備える。
【0053】
内筒固定部48は、内筒41の外周を嵌着可能に端部部材43の内周面の一端側に設けられる。本実施形態では、内筒41が螺旋状の蛇腹構造を有するものとしたことから、内筒固定部48は、例えば、当該内筒41の螺旋形状を利用し、内筒41の外周をねじ込み固定可能な螺旋溝として形成される。以下、端部部材43において軸方向に内筒固定部48が設けられた側を内側といい、その逆側を外側という。
【0054】
内筒固定部48を螺旋溝として形成する場合には、内筒41との気密性を考慮し、少なくとも内筒41の外周側において螺旋を描く山部が1ピッチ以上ねじ込まれるようにすると良い。また、内筒固定部48は、例えば、内筒41の外周面が密着するように、しまりばめとなるように形成することで、内筒41との気密性をより向上させることができる。
【0055】
なお、端部部材43への内筒41の固定は、上記実施形態に限定されるものではなく、内筒41の形状等に応じて、内筒41が端部部材43に気密性を有した状態で固定されるように適宜変更すれば良い。
【0056】
外筒固定部49は、端部部材43の外周面に設けられる。外筒固定部49は、内筒固定部48に固定された内筒41の端面よりも所定距離軸方向外側に位置する。外筒固定部49は、端部部材43の外周を軸方向外側に行くにしたがって外径が漸次小径となるように、例えば球面状やテーパー状等に形成される。
【0057】
端部部材43は、例えば、次のように外筒42に固定される。まず、外筒42の端部が、端部部材43の外筒固定部49を軸方向外側に過ぎるように、端部部材43を外筒42に挿入する。次に、挿入された外筒42の外周面にリング状のカシメ部材50を被せる。次に、半円状に形成され、外筒42の外周において環状をなすように互いに組み合わせることで外筒42を外周側から締め付け可能な一対の固定部材52を、カシメ部材50の軸方向外側に固定することで、端部部材43が外筒42に固定される。
【0058】
なお、外筒42への端部部材43の固定は、上記実施形態に限定されるものではなく、外筒42が端部部材43に気密性を有した状態で固定されるものであればいずれの方法であっても良い。
【0059】
このように端部部材43;43に内筒41及び外筒42の両端部が固定されることにより、内筒41の外周面及び外筒42の内周面、端部部材43;43によって囲まれた閉空間としての流体室Sが駆動ユニット40に形成される。
【0060】
ユニット固定部54は、例えば、端部部材43に外筒42が固定された状態において前述の固定部材52よりも軸方向外側に設けられる。ユニット固定部54は、例えば、端部部材43を半径方向に貫通する貫通孔として一対形成される。
【0061】
給排孔56は、本実施形態では、一端が端部部材43の内周面、他端が端部部材43の内側の端面に開口し、端部部材43内を貫通する貫通孔として形成される。端部部材43の内周面に形成される開口には、流体室Sに空気を給排するための図外のチューブが接続される。なお、給排孔56は、内筒固定部48と外筒固定部49との間に形成された流体室Sに、駆動ユニット40の内周側から空気を給排可能に形成されていれば良い。
【0062】
図7は、駆動ユニット40が伸長及び収縮した状態を示す図である。
駆動ユニット40は、流体室Sに空気を供給することにより動作するアクチュエータとして機能し、図7(a)から図7(b)に示すように、軸方向に長さがx1からx2へと収縮するとともに径方向に外径がd1からd2へと拡径する(以下この状態を単に膨張状態という)。
また、流体室Sから空気を排出することにより、図7(b)から図7(a)に示すように、軸方向の長さがx2からx1へと伸長するとともに径方向に外径がd2からd1へと縮径する(以下この状態を単に収縮状態という)。
本実施形態では、駆動ユニット40の作動媒体(流体)を空気として説明するが、これに限定されず、不活性ガス等の他の気体や水等の流体としても良い。この場合、後述の圧縮空気供給装置102は、利用する流体の応じて適宜好適な装置で構成すれば良い。
【0063】
駆動ユニット40は、膨張時に、配管Zの内壁との間で所望の摩擦が得られるように、即ち、膨張時の外径d2が検査対象となる配管Zの内径以上の大きさとなるように各部の寸法が設定される。所望の摩擦とは、例えば、配管Zの鉛直方向に延長する部分において、検査部2が自重によって落下しない程度の力をいい、配管Zを把持している状態をいう。
また、駆動ユニット40における外筒42の筒本体42Aの厚さや内包される繊維42Bの形態については、収縮状態から膨張するとき、膨張状態から収縮するときの応答性を考慮して適宜設定すれば良い。
【0064】
[連結ユニットについて]
図8は、連結ユニット60の外観図である。
連結ユニット60は、駆動ユニット40に固定される一対の筒状固定体61と、筒状固定体61同士を連結する連結環62と、コイルばね63とを備える。
【0065】
筒状固定体61は、筒部64と、連結片65;65とを備える。筒部64は、例えば、端部部材43の外周に摺接しつつ、端部部材43を挿入可能な可能な内径を有する円筒状に形成される。
【0066】
連結片65は、筒部64と一体に設けられ、筒部64の一端側の端部から該筒部64の外周面と連続するように軸方向に沿って後方に延長する板片として形成される。連結片65は、筒部64の円周方向に180度位置ずれした位置、即ち、半径方向に互いに対向し、同一の長さで延長するように一対設けられる。
【0067】
連結片65は、先端側に結合孔65Aを備える。結合孔65Aは、例えば、円孔として設けられる。各連結片65;65に設けられた結合孔65A;65Aは、中心が同軸となるように形成される。
【0068】
また、筒部64は、連結片65が延長する逆側の他端側に、一対の結合孔64A;64Aを備える。一対の結合孔64A;64Aは、筒部64を半径方向に貫通する円孔として形成される。一対の結合孔64A;64Aは、筒状固定体61を駆動ユニット40に固定するときの固定手段を構成する要素の一つとして機能する。
【0069】
連結環62は、筒状固定体61に設けられた連結片65;65の間で挟持可能な外径を有する環状部材として構成される。
連結環62は、2つの筒状固定体61;61との結合を可能とする複数の結合孔62Aを備える。結合孔62Aは、連結環62の円周方向に4つ、均等な間隔で板厚方向に貫通する孔として設けられる。
【0070】
一対の筒状固定体61は、次のように連結環62に取り付けられる。
一方の筒状固定体61を連結片65;65の間で連結環62を挟むように配置し、連結環62の結合孔62A;62Aと、連結片65;65に設けられた結合孔65A;65Aを重ね合わせ、重なる結合孔62A;65のそれぞれに軸部材66を脱落不能に挿入することで、一方の筒状固定体61の連結片65;65の間において連結環62が回転自在に取り付けられる。
また、他方の筒状固定体61を連結片65;65の間で連結環62を挟むように配置し、連結環62の残りの結合孔62A;62Aと、連結片65;65に設けられた結合孔65A;65Aを重ね合わせ、重なる結合孔62A;65のそれぞれに軸部材66を脱落不能に挿入することで、他方の筒状固定体61の連結片65;65の間において連結環62が回転自在に取り付けられる。
これにより、即ち、連結ユニット60は、2つの筒状固定体61と連結環62とを連結したことにより、中空状の所謂ユニバーサルジョイントとして動作可能に構成される。
【0071】
コイルばね63は、図7(a),(b)に示すように、前述のように連結される2つの筒状固定体61;61及び連結環62により形成される内周の中空空間に配置される。コイルばね63は、例えば、外径が連結環62の内周を貫通可能な大きさに設定され、一端側の端部及び他端側の端部が、それぞれ筒状固定体61に設けられる図外のばね着座部に着座するように取り付けられる。
【0072】
上述のように、連結ユニット60は、筒状固定体61;61及び連結環62を環状にすることにより、2つの駆動ユニット40を連結したときに、2つの駆動ユニット40;40の内筒41;41の内側の中空状の空間を一続きに維持できる。これにより、各駆動ユニット40に空気を供給・排気するための後述のチューブ、及びケーブル等の通過を可能とされる。
【0073】
また、連結ユニット60は、該連結ユニット60を構成する筒状固定体61;61及び連結環62によって形成される内周空間にコイルばね63を備えることにより、中空状態を維持しつつ、一方の筒状固定体61に対する他方の筒状固定体61の屈曲(ユニバーサルジョイントとしての動作)を許容しつつ、コイルばね63の弾性によりこの屈曲に復元力を付与することができる。
なお、図示していないが、連結ユニット60は、一方の筒状固定体61から他方の筒状固定体61までの外周を覆うカバーが取り付けられる。カバーは、屈曲を妨げず、また、内部に埃や水などの異物の侵入を防ぐことができるもの、例えば、ゴム等のように伸縮性を有するとともに防水性のあるもので構成すると良い。
【0074】
連結ユニット60は、駆動ユニット40に次のように取り付けられる。
一方の筒状固定体61の筒部64に駆動ユニット40の端部部材43を挿入する。そして、筒部64に設けられた結合孔64A;64Aと、端部部材43に設けられたユニット固定部54;54とを重ね合わせ、重なる結合孔64A及びユニット固定部54に図外の軸部材を脱落不能に挿入することで、一方の筒状固定体61に駆動ユニット40が固定される。
同様に、他方の筒状固定体61の筒部64に駆動ユニット40の端部部材43を挿入する。そして、筒部64に設けられた結合孔64A;64Aと、端部部材43に設けられたユニット固定部54;54とを重ね合わせ、重なる結合孔64A及びユニット固定部54に図外の軸部材を脱落不能に挿入することで、他方の筒状固定体61に駆動ユニット40が固定される。
【0075】
これにより、駆動ユニット40同士が屈曲自在に連結されることとなる。
本実施形態では、図1に示すように、7つの駆動ユニット40が6つの連結ユニット60で連結され、検査部2における推進力発生手段8を構成する。推進力発生手段8は、進行方向の先頭と後尾が駆動ユニット40となるように、駆動ユニット40と連結ユニット60とが交互に連結されることで、先頭から後尾まで中空の管状移動体とされる。推進力発生手段8の前側には、前述の吸水ユニット20が連結される。
推進力発生手段8を構成する先頭の駆動ユニット40と、吸水ユニット20との間には、排水補助手段70が設けられる。
【0076】
[排水補助手段について]
図9は、排水補助手段70の一例を示す図である。本実施形態に係る排水補助手段70は、台座71と、繊維群73とを備え、吸水ユニット20による残留水の吸水時の補助を可能に構成される。
【0077】
図9に示すように、台座71は、例えば、端部部材43の外周に沿って取り付け可能となるように、例えば、内周面が端部部材43の外周形状に沿って半円弧状に延長する平板半円部材として構成される。台座71は、端部部材43に取り付けられたときに、円周方向に沿って、軸方向に一定の幅を有するように形成される。
【0078】
繊維群73は、排水補助手段70を平面視したときに、半円状に形成された台座71の内周の中心を中心として、複数の繊維73zが放射状に延長するように台座71の外周面に、例えば、ブラシを形成するように円周方向及び軸方向に所定の密度で植設される。
【0079】
排水補助手段70は、半円状に形成されているため、端部部材43の外周において一周にわたり繊維73zが配置されるように端部部材43の外周に対で取り付けられる。つまり、排水補助手段70は、検査部2において該排水補助手段70が設けられた位置において、配管Zを進行方向前後に区画する区画手段と言うこともできる。排水補助手段70は、吸水管30の先端の開口よりも進行方向後方に設けられていれば良いが、好ましくは、本実施形態のように、吸水管30の先端の開口の近傍にある推進力発生手段8を構成する先頭の駆動ユニット40と吸水ユニット20とを連結する駆動ユニット40の端部部材43の外周や吸水ユニット20の連結片26;26に取り付けると良い。
【0080】
繊維73zが植設される密度は、検査部2が進行し、排水補助手段70が残留水に達したときに、残留水の検査部2への流出を妨げるように設定すると良い。
【0081】
好ましくは、繊維群73を構成する各繊維73zは、例えば、端部部材43の中心軸が配管Zの中心軸と同軸上にあるときに、配管Zの内壁の全周にわたり先端が摺接するように長さを設定すると良い。
【0082】
より好ましくは、繊維群73により、端部部材43の中心軸が配管Zの中心軸と同軸上に位置するように、繊維群73を構成する繊維73zの素材や太さ、及び植設される密度を設定すると良い。
【0083】
なお、繊維群73は、例えば、配管Zの内壁を全周にわたり先端が摺接することに限定されず、少なくとも配管Zの下側内壁に摺接するようにしても良い。
繊維73zの素材には、例えば、ナイロン繊維などのように腰のある弾性を有するものが好ましい。
【0084】
また、排水補助手段70は、繊維群73に限定されず、ゴムや樹脂などの他の部材により構成しても良い。この場合、推進力発生手段8により得られる推進力を妨げないように構成すると良い。
また、排水補助手段70は、上述の円形に限定されず、配管Zの延長方向と直交する断面形状に応じて、軸方向視における外形形状を適宜設定すると良い。
【0085】
[バルブユニットについて]
バルブユニット80は、図1に示すように、推進力発生手段8の進行方向の最後尾に配置される。バルブユニット80は、推進力発生手段8を構成する複数の駆動ユニット40に対し、所定の順序で空気の供給・排出するための装置である。ここでいう所定の順序とは、推進力発生手段8として連結された駆動ユニット40の膨張・収縮が蠕動運動を模して動作することをいう。
【0086】
図10は、バルブユニット80の一実施形態を示す概略構成図である。なお、以下の説明では、バルブユニット80が推進力発生手段8に連結された状態に基づいて方向を特定する。本実施形態に係るバルブユニット80は、外観を構成するケース82と、チューブ接続部84と、推進動作制御要素90とを備える。
【0087】
ケース82は、外観視において円筒状に形成され、駆動ユニット40への空気の給排を制御するための要素が収容されるケース本体部82Aと、空気の給排を制御するための要素へのアクセスを可能にする蓋部82Bと、ケース本体部82Aの軸方向両端に取り付けられるキャップ82C;82Cとを備える。
【0088】
チューブ接続部84は、ケース本体部82Aの前側に形成された端部壁83に設けられる。端部壁83は、前側の壁面83a及び後側の壁面83bがケース本体部82Aの軸線と直交する平面として形成される。チューブ接続部84は、端部壁83を厚さ方向(ケース本体部82Aの軸線)に沿って貫通する複数の孔87により構成される。
【0089】
孔87は、推進力発生手段8を構成する駆動ユニット40の数量分(本実施形態では図1に示すように7つ)設けられる。複数の孔87は、一つのピッチ円Pc上に位置し、円周方向に均等な間隔で配置される。このピッチ円Pcの中心は、ケース本体部82Aの軸線に対してオフセットした位置に設定される。
【0090】
各孔87には、空気の流通を可能とする可撓性を有する図外のチューブの一端が接続される。各孔87に接続されたチューブの他端は、対応する駆動ユニット40に接続される。なお、対応する駆動ユニット40とは、連結された駆動ユニット40が蠕動運動を模して収縮や伸長をする順番によって設定されるものをいう。
【0091】
図11は、推進動作制御要素90の平面図及び軸方向断面図である。
詳細には、図11(a)は、推進動作制御要素90における主要部の平面図、図11(b)は、図11(a)中の矢印k-kにおける軸方向断面図である。
推進動作制御要素90は、駆動ユニット40を伸長状態から収縮、収縮状態の維持、収縮状態から伸長させるための、空気の供給、空気の供給の停止、空気の排出を制御する。本実施形態では、推進動作制御要素90による空気の供給、空気の供給の停止、空気の排出は、回転運動に基づいて制御されるように構成される。
【0092】
図11に示すように、推進動作制御要素90は、軸部91と、流路切替部92とを備える。
軸部91は、軸方向に貫通する中空部91sを有する円柱軸として構成される。軸部91は、ケース本体部82Aに設けられた軸支持部85において回転可能に支持される。軸支持部85は、軸部91が貫通する貫通孔85Aを備える。貫通孔85Aは、中心軸上にピッチ円Pcの中心が位置するように軸支持部85に設けられる。貫通孔85Aは、軸部91の中心軸と該貫通孔85Aの中心軸とが一致した状態で、軸部91が該貫通孔85Aの周面を円周方向に沿って回転可能に構成される。
【0093】
流路切替部92は、外形形状が円形の円板状に構成され、円板状の中心軸と、軸部91の中心軸とが一致するように、軸部91の前端に一体をなすように設けられる。
流路切替部92は、前側端面92aが平面状に形成され、ケース本体部82Aにおける端部壁83の後側の壁面83bと互いに平行状態で対向する平面状に形成される。
【0094】
流路切替部92は、該流路切替部92の中央において中心軸方向に貫通する中央孔94と、前側端面92aに扇状に窪む扇状凹部96と、前側端面92aから後側端面92bへと円弧状に貫通する円弧状貫通部97とを備える。
【0095】
中央孔94は、軸部91の中空部91sと連続し、中空部91sを延長するように、流路切替部92を貫通する円孔として設けられる。
扇状凹部96は、中央孔94を一部に含み、前側端面92aの中心側から径方向外側に向けて扇状に広がるように形成される(図11参照)。扇状凹部96の扇状に広がる範囲は、ケース本体部82Aの端部壁83に設けられた所定の孔87を含むように設定される。本実施形態では、円周方向に連続する2つの孔87を含むように範囲が設定されている。
【0096】
円弧状貫通部97は、チューブ接続部84を構成する孔87のうち、扇状凹部96に重なる孔87を除く、残りの孔87と重なるように、流路切替部92の円周方向に沿う円弧状に形成される(図11参照)。即ち、本実施形態では、円弧状貫通部97は、チューブ接続部84を構成する7つの孔87のうち、扇状凹部96に重なる2つの孔87を除く、残りの5つの孔87と重なるように、流路切替部92の円周方向に沿う円弧状の貫通孔として形成される
【0097】
流路切替部92の外周には、該流路切替部92を回転させるための動力が入力されるギア歯95を備える。ギア歯95は、流路切替部92の外周を全周にわたり設けられ、流路切替部92を一つの歯車として動作させる。
【0098】
軸部91の後端には、後述の圧縮空気供給装置102から延長するチューブが接続されるロータリー継手93が取り付けられる。
ロータリー継手93は、接続されたチューブを非回転とし、流路切替部92及び軸部91の回転を可能とする継手である。つまり、流路切替部92と共に回転する軸部91と、チューブの供回りが防止されている。
【0099】
モーター98は、流路切替部92を回転させる動力源であって、ケース本体部82Aに設けられたモーター収容部86に収容される。モーター98は、流路切替部92の外周に設けられたギア歯95に噛み合う歯車99を回転軸に備える。
モーター収容部86は、モーター98を収容したときに、モーター98の回転軸が推進動作制御要素90の軸部91の中心軸と平行となるように、ケース本体部82Aの軸支持部85に隣接して設けられる。モーター98は、推進制御装置104と電気的に接続され、回転速度などが制御される。
【0100】
モーター98には、例えば、ステッピングモーターやサーボモーター等のように回転角度が制御可能なものや回転速度を制御可能なものや減速ギアを有するギアードモーター等を用いることができる。
【0101】
上記構成によれば、バルブユニット80は、複数の孔87のうち流路切替部92の扇状凹部96が重なることで、この扇状凹部96と重なる孔87にチューブを介して接続された駆動ユニット40の流体室Sと、軸部91の中空部91sとが連通状態となる。したがって、流路切替部92が回転することにより、順次、駆動ユニット40が軸部91の中空部91sと連通することになる。つまり、バルブユニット80は、推進動作制御要素90が回転することで、各駆動ユニット40の流体室Sへの流体の供給、流体の供給の停止、流体室Sからの流体の排気をするための流路を切り替えるロータリー弁(バルブ)である。
【0102】
また、バルブユニット80は、複数の孔87のうち流路切替部92の円弧状貫通部97が重なることで、この円弧状貫通部97と重なる孔87にチューブを介して接続された駆動ユニット40の流体室Sが大気開放状態となる。したがって、流路切替部92が回転することにより、順次、駆動ユニット40の流体室Sが大気開放されることになる。
【0103】
[制御部について]
制御部4は、圧縮空気供給装置102と、推進制御装置104とを備える。
圧縮空気供給装置102は、例えば、コンプレッサー、レギュレーター及び電気的な信号に基づいて動作する開閉弁等により構成することができる。
圧縮空気供給装置102は、コンプレッサーにより生成された圧縮空気を、レギュレーターを通じて所定の圧力に平滑化し、開閉弁を介してバルブユニット80に平滑化された圧縮空気を供給する。
【0104】
推進制御装置104は、例えば、モニター等の表示手段106を備える所謂コンピュータ等により構成することができる。推進制御装置104は、圧縮空気供給装置102を構成する開閉弁、バルブユニット80を構成するモーター98、残留物除去手段を構成するポンプ38と電気的に接続される。
【0105】
推進制御装置104は、開閉弁に対して弁を開閉する信号を出力する。また、推進制御装置104は、モーター98の回転の開始及び停止を制御するとともに、モーター98の回転速度を制御する。また、推進制御装置104は、ポンプ38の駆動の開始及び停止を制御する。
【0106】
図12乃至図14は、検査部2を推進させるときの、駆動ユニット40の状態及びそのときのバルブユニット80を動作させたときのチューブ接続部84の孔87と、流路切替部80の扇状凹部96及び円弧状貫通部97との関係を模式的に示した図である。なお、以下の説明では、連結された駆動ユニット40の位置を特定するために、40A,40B,・・・,40G等として説明する。また、各駆動ユニット40A~40Gと接続される孔87についても、孔87A,孔87B,・・・,87G等として特定する。
【0107】
図12に示すように、扇状凹部96が孔87A;87Bに連通し、円弧状貫通部97が孔87C~87Gに連通すると、圧縮空気供給装置102から駆動ユニット40A;40Bに圧縮空気が供給され、駆動ユニット40A;Bが膨張する。一方、駆動ユニット40C~40Gは、大気圧状態となり収縮状態にある。
【0108】
次に、図13に示すように、モーター98の駆動により推進動作制御要素90が回転し、流路切替部92の扇状凹部96が孔87B;87Cに連通し、円弧状貫通部97が孔87D~87G;87Aに連通すると、駆動ユニット40Bの収縮状態が維持され、圧縮空気供給装置102から駆動ユニット40Cに圧縮空気が供給され、駆動ユニット40Cが膨張する。一方、駆動ユニット40D~40Gは収縮状態が維持され、駆動ユニット40Aは供給された圧縮空気が円弧状貫通部97から排出され、収縮する。
【0109】
さらに、図14に示すように、モーター98の駆動により推進動作制御要素90が回転し、流路切替部92の扇状凹部96が孔87C;87Dに連通し、円弧状貫通部97が孔87E~87G;87A;87Bに連通すると、駆動ユニット40Cの膨張状態が維持され、圧縮空気供給装置102から駆動ユニット40Dに圧縮空気が供給され、駆動ユニット40Dが膨張する。一方、駆動ユニット40E~40G;40Aは、収縮状態が維持され、駆動ユニット40Bは供給された圧縮空気が円弧状貫通部97から排出され、収縮する。
【0110】
このように、モーター98が推進動作制御要素90を回転させて、流路切替部92の扇状凹部96に連通する孔87の位置、及び円弧状貫通部97に連通する孔87の位置を順次ずらし、検査部2を構成する駆動ユニット40の膨張を進行方向に移動させることにより、検査部2に蠕動運動を模した進行波を生じさせ、配管Zを駆動ユニット40に把持させながら移動させることができる。
【0111】
そして、検査部2が配管Z内を移動し、図4(a)に示すように、例えば、検査ユニット10により得られた画像により残留水の存在が確認された場合、推進制御装置104を操作して、ポンプ38に駆動させ、吸水ユニット20を動作させる。これにより、配管Zの下側に位置する吸水管30(1)から残留水を吸水し、配管Zの外部に排出させることができる。
【0112】
ポンプ38を駆動させた状態で、検査部2が配管Z内をさらに進行すると、図4(b)に示すように、先頭の駆動ユニット40に取り付けた排水補助手段70が、ダムとなって残留水を進行方向に前方に押しやりながら、吸水管30(1)により吸水し、配管Zの外部に排出しながら進行を継続させることができる。つまり、排水補助手段70が、配管Zを、残留水側に位置する検査ユニット10側と推進力発生手段8側とに区画する区画手段として機能する。
【0113】
このように残留水を排出することにより、残留水の液面を下げることができ、残留水の影響を最小限としながら、配管Zの内部の状態を画像として広い範囲で鮮明に取得することができる。
【0114】
また、本実施形態によれば、吸水ユニット20が上述のように吸水管30を2本備えているので、検査部2が進行している状態において、配管Zの円周方向に回転し、吸水管30(1)が持ち上げられて先端が壁面から離れた状況となっても、代わりに吸水管30(2)が下がり、吸水管30(2)の先端が配管Zの下側の壁面に到達するので、残留水を確実に排出することができ、安定して配管Zの内部の画像を鮮明に取得することができる。
【0115】
図4(c)は、吸水可能な状態にある吸水管30(1)及び排水管32(1)による残留水の排水の流れを鉛直方向上側から平面視した図である。
また、本実施形態によれば、図4(c)に示すように、吸水管30(1),(2)を進行方向前方に延長させ、先端の開口が進行方向後方に向くように配管したことにより、残留水を安定して吸水させることができる。
【0116】
例えば、吸水管30の開口が進行方向前方を向くように、チューブ支持部24の前方に延長させて残留水を吸水させることもできる。しかし、吸水管30を前方に向けて延長した場合、検査部2の前進に伴う配管Zとの摩擦により暴れ、吸水管30の開口の位置が配管Zの壁面に対して安定せず、吸水効率が低下する恐れがある。
【0117】
このことから、図4(c)に示すように、先端の開口が進行方向後方に向くようにチューブ支持部24の後方に吸水管30(1)を延長させ、吸水した残留水を進行方向前方に流した後に排水管32(1)により残留水を排出するように構成すると良い。
【0118】
加えて、前述のように、駆動ユニット40に設けられた排水補助手段70が、ダムとなって残留水を進行方向に前方に押しやることから、押しやられた残留水が吸水管30(1)の開口に強制的に流入するので、吸水管30の開口を前方に向けたときよりも吸水効率を向上させることができる。
【0119】
以上説明したように、本実施形態によれば、管内検査装置1が吸水ユニット20及びポンプ38で構成される残留物除去手段を備えたことにより、残留物の影響を受けにくくなり、従来に比べて配管Z内を全域にわたり鮮明な画像の取得が可能となり、検査精度を向上させることができる。
【0120】
[吸水ユニットの連結される形態について]
なお、上記実施形態では、吸水ユニット20を検査ユニット10と推進力発生手段8との間に設けるものとして説明したが、これに限定されない。
吸水ユニット20は、例えば、推進力発生手段8を構成する駆動ユニット40の間や、推進力発生手段8の最後尾に設けても良く、また、吸水ユニット20を検査ユニット10と推進力発生手段8との間に加えて、推進力発生手段8を構成する駆動ユニット40の間や、推進力発生手段8の最後尾に設けても良い。
吸水ユニット20を駆動ユニット40の間に設ける場合、連結ユニット60を介して駆動ユニット40同士を連結したときのように、吸水ユニット20が駆動ユニット40に対して屈曲可能に連結すると良い。
【0121】
また、吸水ユニット20の数量は、検査部2において1つに限定されず、複数設けても良い。この場合、各吸水ユニット20から延長する排水管32毎にポンプを設けても良く、また、1つのポンプに各吸水ユニット20から延長する排水管32を接続するようにしても良い。
【0122】
排水補助手段70は、吸水ユニット20に対応して設けると良い。例えば、上述のように吸水ユニット20を複数設ける場合、最後尾の吸水ユニット20の吸水管30の先端の開口よりも進行方向後方や、各吸水ユニット20の吸水管30の先端の開口よりも進行方向後方の、各吸水ユニット20に連結された推進ユニット40や連結ユニット60に設けても良い。
【0123】
なお、上記実施形態では、残留物として水として説明したが、水に限定されず、ガス等の気体であっても良い。即ち、上記説明における「水」との記載を「流体」として読み替えれば良い。
【0124】
[残留物除去手段の他の構成]
上記実施形態では、残留物除去手段が、残留物をポンプ38により吸引し、外部に排出するものとして説明したが、例えば、吸水管30及び排水管32を利用して、圧縮空気等の流体を配管Z内に送出(圧送)し、残留物を飛散させるように構成しても良い。即ち、吸水ユニット20を残留物を配管内において飛散させて除去する残留物除去手段として機能させることができる。この場合、圧縮空気は、例えば、制御部4を構成する圧縮空気供給装置102により生成されたものを利用することができる。
【0125】
また、残留物除去手段は、吸水管30及び排水管32による吸引、送出を切り替え可能に構成しても良い。
また、上記実施形態で説明した吸水ユニット20のように、吸水管30及び排水管32が2組設けられている場合、一方を吸水(吸引)、他方を送出するように構成しても良い。つまり、吸水ユニット20に、吸水管30及び排水管32が複数組設けられている場合、いくつかを吸水(吸引)、残りを送出にするように構成しても良い。
【0126】
また、検査部2が吸水ユニット20を複数備える場合には、いくつかのユニットを吸水(吸引)、残りのユニットを送出にするように構成しても良い。
【0127】
[残留物を除去する媒体について]
吸水管30及び排水管32に送出される流体は、圧縮空気に限定されず、他の気体や、水、洗浄液や検査液等の液体等であっても良い。
【0128】
[駆動ユニットの連結に関する他の形態]
また、上記実施形態では、推進力発生手段8は、複数の駆動ユニット40を連結ユニット60を交互連結して構成されるものとして説明したがこれに限定されない。
例えば、推進力発生手段8は、複数の2つ以上の駆動ユニット40おきに連結ユニット60を介して連結しても良く、連結ユニット60を介さずにすべての駆動ユニット40を直接連結するして構成しても良い。この場合、駆動ユニット40同士が連結可能となるように、端部部材43;43を構成したり、連結対象となる駆動ユニット40の同士の端部部材43;43が直接連結可能となるような筒状の連結部材を利用して連結したりすれば良い。
【0129】
[推進力発生手段8の他の構成]
上記実施形態では、推進力発生手段8を構成する駆動ユニット40は、流体室Sに空気を供給することにより、半径方向に膨張するとともに軸方向に収縮し、この状態において流体室Sから空気を排出することにより、半径方向に収縮するとともに軸方向に伸長するアクチュエータとして説明したがこれに限定されない。
【0130】
以下の説明では、上述の流体室Sに空気を供給することにより、半径方向に膨張するとともに軸方向に収縮し、この状態において流体室Sから空気を排出することにより、半径方向に収縮するとともに軸方向に伸長する駆動ユニット40を膨縮アクチュエータ40といい、以下で説明する駆動ユニット40を伸縮アクチュエータ140という。
【0131】
[伸縮アクチュエータについて]
図15は、伸縮アクチュエータ140の構成例を示す軸方向断面図である。
伸縮アクチュエータ140は、外観視において円筒状に形成され、軸方向には伸縮を許容し、径方向には非伸縮に構成される。
【0132】
伸縮アクチュエータ140は、内筒141と、該内筒141の外周を囲み、二重管をなすように設けられる外筒142と、内筒141及び外筒142の各端部に設けられ、内筒141及び外筒142の間に形成される空間を閉塞する一対の端部部材143;143とを備える。
【0133】
内筒141及び外筒142は、それぞれ、軸方向には伸縮を許容し、径方向には非伸縮な筒体として構成される。内筒141及び外筒142は、それぞれ例えば、軸線の曲がりを許容し、内周側や外周側からの圧力により変形しにくい可撓性を有する素材で構成されることが好ましい。
【0134】
内筒141及び外筒142は、例えば、コイルばね141A;142Aと、被覆体141B:142Bとで構成することができる。なお、内筒141及び外筒142は、弾性体からなる蛇腹(ベローズ)を用いても良い。
【0135】
コイルばね141A;142Aには、それぞれ引っ張りばねが用いられる。外筒142を構成するコイルばね142Aは、内筒141を構成するコイルばね141Aの外径寸法よりも大径とされる。
【0136】
被覆体141B:142Bは、気密性及び可撓性を有する非伸縮性の素材を筒状に形成して構成される。被覆体141B:142Bは、コイルばね141A;142Aの外周に沿って囲繞するように設けられたときに、コイルばね141A;142Aの伸縮動作を妨げないように形成すると良い。被覆体141B:142Bは、コイルばね141A;142Aの伸長時を考慮し、コイルばね141A;142Aの自然長の長さよりも長く形成される。被覆体141B:142Bには、例えば、ビニールやアルミ箔等のフィルムやシートを筒状に形成したものを利用することができる。
【0137】
端部部材143;143は、内筒141の外周と外筒142の内周との間に形成される空間を、内筒141及び外筒142の両端部において閉塞可能な、概略円筒状の筒体として構成される。
【0138】
端部部材143;143は、一端側に内筒141を取り付けるための内筒固定部143Aと、外周に外筒142を取り付けるための外筒固定部143Bとを備え、他端側にユニット固定部146を備える。
【0139】
内筒固定部143Aは、例えば、コイルばね141Aのらせん形状を利用してコイルばね141Aの外周に被覆体142Bが設けられた状態で、内筒141の内周側がねじ込み可能に形成され、内筒141が端部部材143から脱落不能に取り付けられる。内筒141は、例えば、コイルばね141Aの外周を囲繞する被覆体141Bを外周側から非伸縮性のひも状の括り部材で内筒141の外周に対して締め付けることで気密状態とされる。
【0140】
外筒固定部143Bは、内筒固定部143Aよりも軸方向外側に設けられる。
外筒固定部143Bは、例えば、コイルばね142Aのらせん形状を利用してコイルばね142Aの外周に被覆体142Bが設けられた状態で、外筒142の内周側がねじ込み可能に形成され、外筒142が端部部材143から脱落不能に取り付けられる。外筒142は、例えば、コイルばね142Aの外周を囲繞する被覆体142Bを外周側から非伸縮性のひも状の括り部材で外筒142の外周に対して締め付けることで気密状態とされる。
【0141】
このように端部部材143;143に内筒141及び外筒142の両端部が固定されることにより、内筒141の外周面及び外筒142の内周面、端部部材143;143によって囲まれた閉空間としての流体室Vが伸縮アクチュエータ140に形成される。
【0142】
一方の端部部材143には、流体室Vへの空気の給排を可能にするための孔145が設けられている。図15では、孔145は、端部部材143において内筒固定部143A及び外筒固定部143Bとの間に設定された半径方向の肉厚部分を軸方向に貫通して設けられている。なお、孔145は、端部部材143において、流体室Vに空気を給排可能であれば特にその形成方法は限定されない。
この孔145には、バルブユニット80から延長するチューブが接続される。そして、流体室Vへの空気の供給・停止、及び流体室Vからの空気の排出がバルブユニット80の動作により制御可能とされる。
【0143】
ユニット固定部146は、端部部材143を半径方向に貫通する貫通孔として各端部部材143において一対設けられる。端部部材143において、ユニット固定部146が設けられる軸方向の所定の範囲は、例えば、連結ユニット60の筒状固定体61の内周に挿入可能な外径で形成される。また、ユニット固定部146は、例えば、上述の連結ユニット60の筒状固定体61に設けられた一対の結合孔64A;64Aに対応するように形成される。これにより、端部部材43が、連結ユニット60に対して固定可能とされる。
【0144】
上記構成の伸縮アクチュエータ140は、孔145を介して流体室Vに空気が供給されると、図15(b)に示すように、内筒141及び外筒142を構成するコイルばね141A;142Aの付勢力に対抗しながら軸方向へのみ伸長する。また、流体室Vに供給された空気が孔145を介して排出されると、図15(c)に示すように、内筒141及び外筒142を構成するコイルばね141A;142Aの復元力により軸方向に収縮する。つまり、伸縮アクチュエータ140は、流体室Vへの空気の供給、又は、流体室Vからの排出により、軸方向にのみ伸縮するアクチュエータとして機能する。
【0145】
そして、例えば、伸縮アクチュエータ140と膨縮アクチュエータ40とを連結ユニット60を介して交互に連結して推進力発生手段8を構成しても良い。
この場合、膨縮アクチュエータ40を膨張させて配管Zを把持させて推進力発生手段8を配管Zに固定する。次に、推進力発生手段8を構成する他の膨縮アクチュエータ40が進行方向前方に移動するように、伸縮アクチュエータ140を伸長或いは収縮させる。次に、進行方向前方に移動した膨縮アクチュエータ40を膨張させて配管Zを把持させ、配管Zに固定した後に、前の行程で膨張していた膨縮アクチュエータ40を収縮させる。次に、伸縮アクチュエータ140を伸長或いは収縮させて、膨張状態にある膨縮アクチュエータ40を除く他の膨縮アクチュエータ40を進行方向前方に移動させる。これらの行程を繰り返すことで、推進力発生手段8が配管Z内を進行させることができる。
【0146】
なお、推進力発生手段8を構成する伸縮アクチュエータ140及び膨縮アクチュエータ40の連結は、交互に限定されず、蠕動運動を模した動作により推進力が得られるように適宜構成すれば良い。
【0147】
また、推進力発生手段の構成及び動作は、上記実施形態に限定されるものではなく、膨縮アクチュエータ(駆動ユニット)40が配管の内壁を把持しながら、蠕動運動を模すように推進力が得られるものであれば良い。
【0148】
また、上記実施形態で説明したように動作する膨縮アクチュエータ40や伸縮アクチュエータ140は、流体の給排により動作するものに限定されない。膨縮アクチュエータ40は、例えば、モーターの回転やソレノイドの往復動作を駆動とし、リンク機構等の機構を介在させて、機械的な動作によって半径方向に膨張するときに軸方向に収縮可能とされたものであっても良い。また、伸縮アクチュエータ140は、例えば、モーターの回転やソレノイドの往復動作を駆動とし、リンク機構等の機構を介在させて、機械的な動作によって軸方向に伸縮可能とされたものであっても良い。なお、このように機械的に膨縮アクチュエータ40や伸縮アクチュエータ140が動作するように構成した場合であっても、排水管32や検査ユニット10に延長するケーブルや、各膨縮アクチュエータ40や伸縮アクチュエータ140に電力を供給するケーブルが貫通可能となるように、それぞれ中空状とすると良い。
【0149】
また、推進力発生手段8は、上記実施形態で説明したように、蠕動運動を模して推進力を生じさせるものに限定されない。例えば、車輪や無限軌道等により配管Z内を移動可能としてものであっても良い。即ち、推進力発生手段8は、配管Z内を移動(推進)可能に構成されたものであれば良い。
【0150】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に何ら限定されることはなく、実施形態を組み合わせて多様な変更、改良を行い得ることが当業者において明らかである。また、そのような多様な変更、改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0151】
1 管内検査装置、2 検査部、4 制御部、8 推進力発生手段、
10 検査ユニット、20 吸水ユニット、30 吸水管、32 排水管、
36 おもり、38 ポンプ、40 駆動ユニット、
60 連結ユニット、70 排水補助手段、80 バルブユニット。
図1
図2
図3
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図5
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