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特開2022-18449喫煙具及び該喫煙具を収容してなる喫煙具入りパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018449
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】喫煙具及び該喫煙具を収容してなる喫煙具入りパッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/10 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
B65D85/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121559
(22)【出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA21
3E068AC02
3E068BB01
3E068CC21
3E068CE05
3E068EE40
(57)【要約】
【課題】衛生面に配慮した簡便な構成の喫煙具(タバコ)を提供すること。
【解決手段】使用時の口元側にフィルター部が設けられてなる柱状の喫煙具であって、前記フィルター部の外周面の、少なくとも、先端から所定長さまでの領域を覆うカバー部材1が、前記フィルター部の外周面の前記領域に接し、かつ、前記外周面に沿って取り外すことが可能な状態に設けられている喫煙具及び該喫煙具を収容してなる喫煙具入りパッケージ。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時の口元側にフィルター部が設けられてなる柱状の喫煙具であって、
前記フィルター部の外周面の、少なくとも、先端から所定長さまでの領域を覆うカバー部材1が、前記フィルター部の外周面の前記領域に接し、かつ、前記外周面に沿って取り外すことが可能な状態に設けられていることを特徴とする喫煙具。
【請求項2】
前記カバー部材1が、前記フィルター部におけるフィルターが露出している端面をも覆う形状を有するものである請求項1に記載の喫煙具。
【請求項3】
さらに、前記口元側と反対側の先端を含む柱状部分の外周面の、少なくとも、先端から所定長さまでの領域を覆うカバー部材2が、前記柱状部分の外周面の前記領域に接し、かつ、前記外周面に沿って取り外すことが可能な状態に設けられている請求項1又は2に記載の喫煙具。
【請求項4】
前記カバー部材2が、前記口元側と反対側の先端を含む柱状部分の端面をも覆う形状を有するものである請求項3に記載の喫煙具。
【請求項5】
前記カバー部材1の所定長さは、前記フィルター部の先端から、前記口元側と反対側の柱状部分の先端までの長さよりも短い請求項1~4のいずれか1項に記載の喫煙具。
【請求項6】
前記カバー部材1とカバー部材2が、一体に形成されている請求項1~4のいずれか1項に記載の喫煙具。
【請求項7】
前記カバー部材1とカバー部材2が、紙類製又はプラスチック製フィルムからなる請求項1~6のいずれか1項に記載の喫煙具。
【請求項8】
フィルター部を上にした状態で、互いに接した状態で複数本の喫煙具が包装容器内に収容されており、前記喫煙具が、請求項1~7のいずれか1項に記載の喫煙具であることを特徴とする喫煙具入りパッケージ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時の口元側にフィルター部が設けられてなる柱状の喫煙具及び該喫煙具を収容してなる喫煙具入りパッケージに関し、詳しくは、例えば、紙巻タバコや加熱式タバコ等の喫煙具に関し、少なくとも前記フィルター部の外周面にカバー部材を設けたことで、口元側に位置するフィルター部の外周面を使用直前までカバー部材で覆われた状態にできるため、衛生面の問題に配慮した喫煙具の提供が可能になる。
【背景技術】
【0002】
近年、タバコによる健康被害の問題を受けて、禁煙の傾向が高まっている。この傾向に呼応して、従来の紙巻タバコに替わって、喫煙の楽しみを与えるものとして、加熱式タバコの開発及び利用が進んでいる。加熱式タバコは、従来の紙巻タバコのように、タバコの葉に火をつけて燃やした際に出る煙を吸うのではなく、タバコの葉に、専用の加熱器具で熱を加え、発生する気体(蒸気)を吸って煙の代替とするものである。本明細書では、内部に加熱要素が設けられている専用の加熱器具のことを電子タバコ本体と呼び、該電子タバコ本体に挿入して使用される、加熱によって気体を発生させる柱状の喫煙具のことを加熱式タバコと呼ぶ。すなわち、電子タバコは、加熱式タバコが本体に挿入されることで、初めてその機能を発揮できるようになる。加熱式タバコは、電子タバコ用の必須部品(カートリッジ)であり、電子タバコ用の消耗品である。
【0003】
上記したタバコの葉を用いている加熱式タバコは、紙巻タバコに比べて、燃やした時に発生するタールの量を格段に低減できるものの、加熱する温度によるが、全くタールが出ないわけではなく、また、タバコの葉を用いているため、問題とされているニコチン成分が全くないともいえない。これに対し、近年、非タバコ植物や、加熱芳香発生物質などを材料に用いた加熱式タバコ用の充填物が種々提案されている(特許文献1、2参照)。加熱式タバコ用の充填物に利用できる材料は無限であるので、加熱式タバコの嗜好品としての可能性は、ますます高まっている。
【0004】
ここで、紙巻タバコの場合は、燃やす必要がある、という機能性が要求されるため、紙巻タバコ製品自体の形状の変化には限界があるものの、近年、紙巻タバコの意匠性は向上しており、従来にない細身なタバコなどが市販されている。一方、加熱式タバコには、加熱式タバコ用の充填物を、30~40℃に加温する低温加熱式と、200℃~350℃程度に加熱する高温加熱式のものがある。例えば、高温加熱式の加熱式タバコには、専用の加熱器具(電子タバコ)の内部に設けられているブレードや針等の加熱要素を、加熱式タバコ用の充填物の部分に刺して、200℃~350℃程度に加熱後、発生するエアロゾル(気体成分)を吸う方式のものがある。これらの加熱式タバコは、充填物が燃えて消失することがないため、従来の紙巻タバコに比べて形状を小型にすることができる。具体的には、より細く、より長さが短いものにすることができ、現状の製品も、そのような形状のものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6371928号公報
【特許文献2】特許第6705042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
嗜好品として、古くより広く喫煙されている紙巻タバコは、通常、20本入りの製品としてパッケージされて販売がされている。そして、一般的なパッケージの包装状態は、下記のように3段階の包装がされており、紙巻タバコを保護している。まず、複数本の紙巻タバコが整然と並べられた状態で、いわゆる銀紙できっちりと包まれている。この際、銀紙は、整然と並べられた円柱体のタバコの両端のところで折畳まれているだけであり、シールはされていない。このようにして銀紙できっちりと包まれている複数本の紙巻タバコは、板紙製等からなるパッケージ内に、緊密な状態で収容されている。最後に、紙巻タバコを入れたパッケージを透明ラップで覆い、ヒートシールして密封した状態にすることで、包装が完了している。通常、この状態にした喫煙具入りパッケージが製品として販売等されている。
【0007】
上記した紙巻タバコに対する包装方法は、たばこ業界で古くより行われているため、近年開発された電子タバコ用の製品である加熱式タバコにおいても、基本的には上記した包装方法が採用されている。
【0008】
先に説明したように、近年の紙巻タバコは、径が5~6mm程度の細身な円柱状の製品も多い。また、電子タバコ用の加熱式タバコの形状は、例えば、径が5~6mm程度、長さが、紙巻タバコよりも短い3~4cm程度の円柱状であり、より小型のものが一般的である。このため、これらの製品を収容した板紙製等のパッケージも小型化している。そして、小型化したパッケージ内には、図7に示したように、銀紙に包まれて、細身の円柱状のタバコが、互いに接触した緊密な状態で収容されている。
【0009】
本発明者は、パッケージ内に収容されたタバコは、上記した状態であるため、タバコを吸う際にタバコを一本取り出そうとすると、極めて取り出しにくいという課題があることを認識した。さらに、本発明者は、このパッケージからのタバコの取り出しの困難性に起因して、使用時に、パッケージの上部に位置するタバコのフィルター部分を、使用者が指で何度も掴み直す動作をしている点に注目した。本発明者は、この点は、近時、大きな問題となっている衛生面の観点から極めて重大な課題であり、この課題を早急に改善し、衛生面に十分な配慮が施されているタバコにする必要があるとの認識をもった。
【0010】
したがって、本発明の目的は、衛生面に配慮した簡便な構成の喫煙具(タバコ)を提供することである。本発明の目的は、特に、使用時に、加熱要素を備える電子タバコ本体を用いて加熱する必要があることから、従来の紙巻タバコに比較してタバコのフィルター部分を指で掴む回数が多くなる加熱式タバコに、衛生面の問題に対する細やかな配慮を施すことで、使用の際に、無理のない一連の動作によって衛生面に配慮した喫煙を可能にできる喫煙具(タバコ)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、下記の構成の本発明の喫煙具によって達成される。すなわち、本発明は下記の喫煙具を提供する。
[1]使用時の口元側にフィルター部が設けられてなる柱状の喫煙具であって、
前記フィルター部の外周面の、少なくとも、先端から所定長さまでの領域を覆うカバー部材1が、前記フィルター部の外周面の前記領域に接し、かつ、前記外周面に沿って取り外すことが可能な状態に設けられていることを特徴とする喫煙具。
【0012】
上記した喫煙具の好ましい形態としては、下記の構成が挙げられる。
[2]前記カバー部材1が、前記フィルター部におけるフィルターが露出している端面をも覆う形状を有するものである上記[1]に記載の喫煙具。
[3]さらに、前記口元側と反対側の先端を含む柱状部分の外周面の、少なくとも、先端から所定長さまでの領域を覆うカバー部材2が、前記柱状部分の外周面の前記領域に接し、かつ、前記外周面に沿って取り外すことが可能な状態に設けられている上記[1]又は[2]に記載の喫煙具。
[4]前記カバー部材2が、前記口元側と反対側の先端を含む柱状部分の端面をも覆う形状を有するものである上記[3]に記載の喫煙具。
【0013】
[5]前記カバー部材1の所定長さは、前記フィルター部の先端から、前記口元側と反対側の柱状部分の先端までの長さよりも短い上記[1]~[4]のいずれかに記載の喫煙具。
[6]前記カバー部材1とカバー部材2が、一体に形成されている上記[1]~[4]のいずれかに記載の喫煙具。
[7]前記カバー部材1とカバー部材2が、紙類製又はプラスチック製フィルムからなる上記[1]~[6]のいずれかに記載の喫煙具。
【0014】
本発明は、別の実施形態として下記の喫煙具を収容してなる喫煙具入りパッケージを提供する。
[8]フィルター部を上にした状態で、互いに接した状態で複数本の喫煙具が包装容器内に収容されており、前記喫煙具が、上記[1]~[7]のいずれかに記載の喫煙具であることを特徴とする喫煙具入りパッケージ。
【0015】
本発明の喫煙具の具体的なものとしては、従来からの紙巻タバコや、近年の、タバコの葉又は非タバコ植物を少なくとも含んでなる充填物を加熱して、該充填物から発生する気化成分を、前記フィルター部を介して吸う、電子タバコ用の加熱式タバコなどが挙げられる。加熱式タバコは、電子タバコ内の加熱要素で充填物を加熱する必要があることから、タバコを口にくわえる前にフィルター部分を持つ回数が多くなるため、本発明の技術は、特に加熱式タバコにとって有用な技術である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、衛生面に配慮した、簡便な構成の喫煙具(タバコ)の提供が可能になる。本発明によれば、特に、使用時に電子タバコ本体を用いて加熱する必要があることから、従来の紙巻タバコに比較して、タバコのフィルター部分を指で掴む回数が多くなる電子タバコ用の加熱式タバコを、衛生面の問題に対する細やかな配慮を施した構成としたことで、使用の際に、無理のない一連の動作で、衛生面に配慮した喫煙をすることができる喫煙具(タバコ)の提供が可能になる。また、本発明の好ましい構成によれば、細身の紙巻タバコや、より小型化が進んでいる加熱式タバコ等の喫煙具を複数本収容した喫煙具入りパッケージから、喫煙するためのタバコを取り出す際の取り出し難さの問題を解消することができるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】口元側のフィルター部の外周面にカバー部材1が設けられている、本発明の一例の喫煙具(タバコ)の実施例を説明するための模式図である。
図2図1に示したカバー部材1が、フィルターが露出している端面まで覆う形状を有する例を説明するための模式図である。
図3】本発明の別の一例の喫煙具(タバコ)の実施例の、カバー部材1、カバー部材2の取り得る形態を説明するための模式図である。
図4】本発明の喫煙具が電子タバコ用の加熱式タバコである場合における、一例の形態の電子タバコ本体内の加熱要素で、加熱式タバコ用の充填物を加熱する際の、口元側のフィルター部の状態を説明するための模式図である。
図5】本発明の喫煙具が加熱式タバコである場合における、電子タバコ本体に加熱式タバコを挿入する際の、口元側のフィルター部の状態を説明するための模式図である。
図6】本発明の喫煙具が加熱式タバコである場合における、口元側のフィルター部を喫煙可能な状態にするために手指で行うカバー部材を外す動作を説明するための模式図である。
図7】本発明の喫煙具入りパッケージにおける、複数本の喫煙具がパッケージに緊密に収容されている状態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の喫煙具(タバコ)の好ましい実施の形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
本発明の喫煙具は、図1に示したように、使用時の口元側にフィルター部が設けられてなる柱状の喫煙具(タバコ)10であって、前記フィルター部の外周面の、少なくとも、先端から所定長さまでの領域を覆うカバー部材1が、前記フィルター部の外周面の前記領域に接し、かつ、前記外周面に沿って取り外すことが可能な状態に設けられていることを特徴とする。
【0020】
カバー部材1は、図2に示したように、フィルター部の外周面に加えて、フィルターが露出している端面をも覆う形状を有する形態としてもよい。このようにすれば、衛生面により配慮した製品が得られる。後述するように、カバー部材の形成材料に、例えば、喫煙具の外周面と接触する面が、平滑で滑り易いフィルム状のものを使用することで、上記したいずれの構成とした場合も、図1及び図2に示したように、カバー部材を、外周面に沿って滑らせることで、そのままの形状を保った状態で容易に取り外すことができる。
【0021】
本発明を構成するカバー部材を外周面に沿って取り外す手段は、上記に限定されず、例えば、カバー部材を帯状に巻き取るようにして取り外せる構成にしてもよい。このように構成すると、カバー部材を、巻き取りながら容易に取り外すことができ、また、喫煙具が電子タバコ用の加熱式タバコである場合に、電子タバコ本体の加熱要素が挿入された状態でカバー部材を巻き取る際に、加熱式タバコが電子タバコ本体から抜け落ちてしまうことも防止できる。また、所望の位置にミシン目(不図示)を付与しておくことで、装着されているカバー部材を破って取り外しできるように構成してもよい。これらの構成とすることによっても、カバー部材を容易に取り外すことができる。
【0022】
本発明のカバー部材を喫煙具の外周面に取り付けたことで、例えば、図7に示したように、複数本の喫煙具を緊密な状態で収容して喫煙具入りパッケージの製造が難しくなる、といったことが生じないように、カバー部材の形成材料の厚みは薄いことが好ましい。本発明者の検討によれば、従来より広く用いられている、複数本の喫煙具を収納した板紙製等のパッケージを覆う際に用いられている透明ラップと同程度の厚みであることが好ましい。具体的には、15~50μm程度の厚みのものを使用することが好ましい。
【0023】
本発明の喫煙具を構成するカバー部材は、柱状の喫煙具(タバコ)の口元側に位置するフィルター部の外周面の、少なくとも、先端から所定長さまでの領域を覆う状態に装着される。前記領域としては、特に限定されないが、例えば、図1及び図2に示したように、口元側に位置するフィルター部の全ての外周面を覆うものとすることができる。下記に述べるように、例えば、喫煙具が加熱式タバコである場合に、このような構成とすることが好ましい。すなわち、加熱式タバコの場合は、喫煙具を電子タバコ本体に挿入して加熱する必要があるが、図4に示すように、カバー部材1の構成を、フィルター部の全ての領域を覆う形状にすると、喫煙具10を電子タバコ本体20に挿入した際に、カバー部材1の一部が電子タバコ本体20に一緒に挿入されてしまうことを防ぐことができるというメリットがある。さらに、上記した点に加え、喫煙する際に、喫煙具10を電子タバコ本体20に挿入したまま、カバー部材1を容易に取り外すことができる。
【0024】
上記した構成とした場合、パッケージ内からフィルター部分を持って喫煙具を取り出し(不図示)、図5に示したように、喫煙具10のフィルター部分を持った状態で、喫煙具10を電子タバコ本体20に挿入する動作をするため、これら一連の動作中、喫煙具10のフィルター部分の外周面が、手指で汚染されることがない。そして、図6に示したように、喫煙具10を口にくわえる直前にカバー部材1を外し、その後に喫煙することができるので、喫煙具10の清浄さが喫煙直前まで保たれ、喫煙具10の衛生面を向上させることができる。上記したことから、本発明が目的としている喫煙具の衛生面の向上からは、少なくとも、喫煙具のフィルターの口にくわえる部分の外周面が、手指で汚染されることを防止する必要があるとした観点で、本発明の喫煙具を構成するカバー部材1の長さを決定すればよい。
【0025】
本発明の喫煙具を構成するカバー部材を設ける外周面に沿っての領域は、上記に限定されず、図3(c)に示したように、柱状の喫煙具(タバコ)の口元側の先端から、タバコ葉などが充填されている他端に至る全ての領域を覆うように構成してもよい。また、図3(c)に示した例のように、この際に、口元側のフィルターが露出している端面及び/又は口元側と反対側の先端を含む柱状部分の端面をも覆う構成のカバー部材としてもよい。そして、このような構成とした場合に、カバー部材の形成材料として、耐水性や防湿性に優れる材料や、酸素透過性の低い材料を用いれば、喫煙具(タバコ)の品質保持性を高めることもできる。ここで、カバー部材を、図3(c)に示したような形態にした場合は、図3(d)に示したように、喫煙具の口元側の先端と他端との間の適宜な位置にミシン目3を設けた構成とすることが好ましい。このようにしておけば、例えば、喫煙具を電子タバコ本体に挿入する際に、ミシン目を境に、タバコ葉などが充填されている充填物側に位置しているカバー材料のみを取り外すことが容易にできるようになる。
【0026】
また、本発明の喫煙具は、図3(a)に示した柱状の喫煙具の口元側のカバー部材1に加えて、図3(b)に示したように、口元側の先端と反対側の、タバコ葉などが充填されている充填物側の先端を含む柱状部分の外周面の、少なくとも、先端から所定長さまでの領域を覆うカバー部材2が、前記柱状部分の外周面の前記領域に接し、かつ、前記外周面に沿って取り外すことが可能な状態に設けられている形態としてもよい。このようにすれば、口元側に装着したカバー部材1と、これとは逆側に装着したカバー部材2を、喫煙動作の状況に応じて、それぞれ独立に、外周面に沿って取り外すことができるというメリットがある。また、カバー部材によって覆う領域を、目的に応じて個々に設定できるというメリットもある。
【0027】
本発明の喫煙具を構成するカバー部材の形成材料としては、特に限定されない。例えば、カバー部材を取り外す場合に、図1及び図2に示したような状態でカバー部材1を容易に外せるようにするためには、喫煙具の外周面と接触する面(内側の面)が、ある程度、平滑で滑り易い構成のものを使用することが好ましい。他方の喫煙具を手指で掴む側(外側)の最外表面も、上記と同様に平滑であることが好ましい。このような、最外表面が平滑で滑り易い特性を有するカバー部材を喫煙具に装着させることで、図7に示したように、包装容器内に、複数本の喫煙具が、喫煙具同士が接触して緊密な状態で収納されている喫煙具入りパッケージにおいて、密接に隣り合う各喫煙具の最外表面の滑り性をいずれも良好なものにできるため、この状態でありながら、各喫煙具を、それぞれに容易に動かすことができるので、包装容器内から所望する一本の喫煙具を容易に取り出すことが可能になる。しかし、本発明の喫煙具を構成するカバー部材は、これに限定されず、この最外表面に、例えば、マット状部分を設けるなどの手段で、掴み易い構成にしてもよい。この場合に全面をマット状とする必要はなく、一部をマット状に形成し、手指による掴みやすさと、隣接する喫煙具同士の接触面の滑り易さを両立させる構成とすることが好ましい。
【0028】
図示した例の多くでは、本発明の喫煙具を構成するカバー部材の長手方向の長さは、いずれもフィルター側の先端を含むフィルターが設けられている領域のみをカバー部材1により覆ったが、本発明はこれに限定されない。特に、喫煙具が、電子タバコ用の加熱式タバコの場合は、カバー部材1を下記のように構成することが好ましい。加熱式タバコに外周面に被せるカバー部材1の、加熱式タバコの長手方向の長さは、加熱式タバコのフィルター部の先端から、口元側と反対側の柱状部分の先端までの長さよりも短ければよく、より好ましくは、電子タバコ本体に加熱式タバコを挿入する動作に支障をきたすことがない程度の長さであればよい。言い換えると、電子タバコ本体に挿入される領域を挿入領域とした場合、フィルター部の先端から当該挿入領域までの長さであれば任意の長さに設定が可能である。具体的には、加熱式タバコの全長にもよるが、10~25mmが好ましく、より好ましくは15~20mmがよい。図4に示すように、上記の長さでカバー部材を構成すると、電子タバコ本体に加熱式タバコを挿入した際に、カバー部材が一緒に本体内に挿入されてしまうことを防ぐとともに、電子タバコ本体に加熱式タバコを挿入したままの状態で、カバー部材を容易に取り外すことができるからである。また、包装容器内から加熱式タバコを取り外す際に、親指と人差し指で摘まみやすい長さ(面積)となるからである。
【0029】
本発明の喫煙具を構成するカバー部材の具体的な形成材料としては、例えば、普通紙や合成紙、表面処理を施して表面を平滑にした紙類や、プラスチック製フィルム等が好適に使用できる。これらの形成材料は、デザイン性を考慮して模様を有するものであってもよい。また、プラスチック製フィルムとしては、透明或いは半透明或いは不透明なものをいずれも使用することができる。喫煙具の外周面に巻き回した状態で喫煙具の状態を目視できることから、従来のタバコ感を残すためには、透明な材料を用いることが好ましい。カバー部材に、喫煙具(タバコ)のデザイン性を高める目的や、簡単な文字情報を記載する場合は、半透明或いは不透明な材料を用いることが好ましい。
【0030】
本発明の喫煙具を構成するカバー部材の材料に用いる透明なプラスチック製フィルムとしては、例えば、先に説明した板紙製等のパッケージを覆い、ヒートシールしてパッケージが密封した状態にする際に用いられている透明ラップなどを適宜に使用することができる。透明ラップとしては、広範に利用されている、以下に挙げるような延伸ポリプロピレン類が挙げられる。具体的には、ヒートシール性改質延伸ポリプロピレン、アクリル系ヒートシール層被覆ポリプロピレン、同時押出で形成される積層型の多層延伸ポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。積層型の多層延伸ポリプロピレンフィルムとしては、例えば、A層を、溶融ヒートシール性のポリプロピレン/ポリエチレンコポリマーを用いて形成し、B層を、ポリプロピレンの延伸ホモポリマーを用いて形成してなる、ABA層の積層体などが挙げられる。
【0031】
本発明の喫煙具を構成するカバー部材は、円柱状の喫煙具の側面である外周面の所望する領域に、巻き回した状態(緊密に積層された状態)に固定でき、かつ、外周面に沿って取り外すことができるものであればよく、カバー部材に特別の機能を要求するものではない。勿論、防湿性や調湿性などに優れる材料を用いることも好ましい態様である。また、先に挙げたようなヒートシール性を有する材料を用いれば、ヒートシールをすることで、円柱状の喫煙具の外周面にカバー部材を巻き回した状態に容易に固定することができるので、カバー部材の形成が容易にできる。しかし、これに限定されず、例えば、接着剤を用いて、喫煙具の外周面にフィルムを巻き回した状態に固定しても、接着剤層を設けたテープを介して喫煙具の外周面にフィルムを巻き回した状態に固定してもよい。
【0032】
本発明の喫煙具は、例えば、図7に示したように、カバー部材1が装着されているフィルター部を上にした状態で、互いに接した状態で複数本の喫煙具が包装容器内に緊密に収容される。しかし、これに限定されず、本発明の喫煙具を構成する、カバー部材1が装着されているフィルター部と反対側のタバコ葉などの充填物側を上にした状態で、複数本の喫煙具が互いに接した状態で包装容器内に収容させてもよい。このような状態に収容させた場合には、フィルター部側にカバー部材1を装着させたことにより、衛生面に配慮した製品が得られるばかりでなく、充填物側を上にして収容させたことにより、充填物がタバコの箱内にこぼれ落ちるのを防ぐ効果も得られる。このフィルター部と反対側のタバコ葉などの充填物側を上にして収容させた形態の場合は、該充填物側にカバー部材を装着しなくても同様の効果が得られる。勿論、図2(b)に示したように、タバコ葉などの充填物側にカバー部材2を装着させた構成としてもよい。
【実施例0033】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに説明する。勿論、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、下記の構造からなる加熱式タバコのフィルター側に、図1の模式図に示したようなカバー部材1を装着させた。本実施例で用いた加熱式タバコは、径が約6mmで、全長が約45mmの円柱状をしている。具体的には、フィルター部が約18mmで、非タバコ葉植物及び結合剤を含有する充填物が充填されている充填物部分が約12mmであり、該フィルター部と該充填物部分との間に、支持部材が約15mm程度の長さで設けられている。該支持部材は、弾力性を有するシリコーン樹脂で形成されており、長軸方向に貫通した空隙を有する構造のものである。フィルター部と充填物部分との間に支持部材を設けた目的は、加熱式タバコを電子タバコ本体に入れて、その充填物部分に電子タバコ本体の加熱要素が挿入された際に、充填物がフィルター側へ移動するのを防ぎ、かつ、充填物から発生する気化成分を、フィルター部を介して良好な状態で吸えるようにするためのものである。本実施例で用いた加熱式タバコは、フィルター部と支持部材と充填物部分とが、従来の紙巻タバコと同様に、包装材(外紙)で巻かれて、一本の円柱体をなしている。
【0034】
本実施例では、下記のようにして、図1に示したような、フィルター側の先端を含む領域を覆う形態のカバー部材1を調製した。その際に、カバー部材の形成材料に、タバコの箱型などの形状の紙製のパッケージを最終的に覆うための透明ラップとして従来から広く用いられている、包装材の、厚みが20μmの、ヒートシール性を有する延伸ポリプロピレン(OPP)の透明フィルムを用いた。そして、この透明フィルムで、フィルター部の長さとほぼ同じ約18mmの長さの径が約6mm程度の円筒を作製した。より具体的には、下記のようにしてカバー部材1を得た。まず、上記したサイズの円筒状(環状)のフィルムによって、上記したサイズの加熱式タバコのフィルター側の先端を含む領域を覆う状態とするために、幅が約18mmの短冊状のフィルムを用意した。そして、用意した短冊状のフィルムを、喫煙具のフィルター側の先端を含む領域の外周面に、隙間が生じないようにぴったりと巻き回して外周面に積層させた状態とし、その後、短冊状のフィルムの両端部をヒートシールして接合させて、円筒状(環状)のカバー部材を得た。
【0035】
本発明を適用した上記した構成の本実施例によると、以下のような効果がある。すなわち、フィルター側の先端を含む領域を覆う、平滑で滑り易い特性を有するカバー部材1を設けたことにより、複数本の喫煙具を収容した包装容器からの喫煙具の取り出しが容易になり、しかも、口元側に位置するフィルター部の外周面を使用直前までカバー部材で覆われた状態にできるため、衛生面の問題に配慮した喫煙具の提供が可能になる。なお、本実施例のようにフィルター側の先端を含む領域のみをカバー部材1により覆うことで、電子タバコ本体に加熱式タバコを挿入する動作に支障をきたすことなく、スムーズな喫煙に繋がることができる。
【0036】
以上、本発明を適用した実施例を説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではない。上記の実施例では、用意した短冊状のフィルムを、喫煙具のフィルター側の先端を含む領域の外周面(外紙の面)に、隙間が生じないようにぴったりと巻き回して積層する状態とし、その後、短冊状のフィルムの両端部をヒートシールして接合させて、円筒状(環状)のカバー部材1を得たが、カバー部材1は、例えば、フィルターを覆う外紙に対してカバー部材を取り外し容易に積層してもよい。具体的には、外紙にカバー部材を積層するにあたり、接着剤を、例えば、点接着のように部分的に塗布することで、カバー部材を取り外し容易とすることも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1:フィルター部側のカバー部材
2:タバコ側又はタバコ用充填物側のカバー部材
3:ミシン目
10:喫煙具(タバコ)
20:電子タバコ本体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7