(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184492
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ガスレーザ発振器用ターボブロア
(51)【国際特許分類】
F16C 33/66 20060101AFI20221206BHJP
F16C 19/16 20060101ALI20221206BHJP
F16C 35/077 20060101ALI20221206BHJP
F04D 29/063 20060101ALI20221206BHJP
F04D 29/056 20060101ALI20221206BHJP
F16C 37/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F16C33/66 Z
F16C19/16
F16C35/077
F04D29/063
F04D29/056 A
F16C37/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092382
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 聡
(72)【発明者】
【氏名】小山 賢起
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲二
(72)【発明者】
【氏名】竹中 義彰
【テーマコード(参考)】
3H130
3J117
3J701
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB13
3H130AB26
3H130AC01
3H130BA56E
3H130BA56J
3H130DA02Z
3H130DB08Z
3H130DH06Z
3H130EA07E
3H130EA07J
3H130EB01E
3J117AA01
3J117BA10
3J117CA06
3J117EA02
3J117EA03
3J117GA01
3J701AA02
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA77
3J701CA01
3J701CA17
3J701EA63
3J701FA32
3J701GA28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガスレーザ発振器用ターボブロアにおいて転がり軸受の内部にグリス供給する。
【解決手段】ガスレーザ発振器用のターボブロアは、インペラが固定されたシャフト21と、シャフトを収容するハウジングと、ハウジングの軸受ホルダ50に対してシャフトを支持するとともに、グリスで潤滑される軸受部40と、を備える。軸受部は、転がり軸受であって、軸受ホルダに固定された外輪41と、シャフトに固定された内輪42と、外輪と内輪との間に配置された玉43と、を有する。軸受部よりも上側には、上側から軸受部に対してグリスを導入するグリス導入路60が設けられている。軸受部よりも上側には、外輪と内輪との間を下側に延びるガイド部71が設けられている。ガイド部は、軸方向において外輪及び内輪に重なるように延びて、グリス導入路を流れるグリスを外輪と内輪との間に案内する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラが固定されたシャフトと、
前記シャフトを収容するハウジングと、
前記ハウジングに対して前記シャフトを支持するとともに、グリスで潤滑される軸受部と、を備え、
前記軸受部は、転がり軸受であって、
前記ハウジングに固定された外輪と、
前記シャフトに固定された内輪と、
前記外輪と前記内輪との間に配置された転動体と、を有し、
前記シャフトの軸方向における前記軸受部よりも一方側には、前記軸方向の一方側から前記軸受部に対して前記グリスを導入するグリス導入路が設けられており、
前記軸方向における前記軸受部よりも一方側には、前記外輪と前記内輪との間を前記軸方向の他方側に延びるガイド部が設けられており、
前記ガイド部は、前記軸方向において前記外輪及び前記内輪のうちの少なくとも一方に重なるように延びて、前記グリス導入路を流れる前記グリスを前記外輪と前記内輪との間に案内する、ガスレーザ発振器用ターボブロア。
【請求項2】
請求項1に記載のガスレーザ発振器用ターボブロアにおいて、
前記グリス導入路における前記グリスが前記ガイド部に案内される部分は、前記軸方向の他方側に向かうに従って、前記軸方向に直交する径方向において前記転動体の中心に近づくように傾斜している、ガスレーザ発振器用ターボブロア。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガスレーザ発振器用ターボブロアにおいて、
前記軸受部よりも前記軸方向の他方側には、前記軸受部を通過した前記グリスを受けるグリス受けが設けられており、
前記グリス受けは、前記シャフトの中心軸回りの周方向における一部にのみ設けられている、ガスレーザ発振器用ターボブロア。
【請求項4】
請求項3に記載のガスレーザ発振器用ターボブロアにおいて、
前記グリス受けにおけるグリス受け面には、凹部が設けられている、ガスレーザ発振器用ターボブロア。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のガスレーザ発振器用ターボブロアにおいて、
前記ハウジングは、ハウジング本体と、前記ハウジング本体に固定された軸受ホルダと、を含み、
前記外輪は、前記軸受ホルダを介して前記ハウジング本体に固定されており、
前記軸受ホルダには、冷却媒体が内部を流れる冷却部が設けられている、ガスレーザ発振器用ターボブロア。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のガスレーザ発振器用ターボブロアにおいて、
前記グリス導入路は、前記シャフトの中心軸回りの周方向において、全周に亘って設けられている、ガスレーザ発振器用ターボブロア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスレーザ発振器用ターボブロアに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスレーザ発振器では、ターボブロアによってレーザガスが循環されており、ターボブロアのシャフトを支持する転がり軸受は、通常、グリスで潤滑される。
【0003】
特許文献1に係るガスレーザ発振器用ターボブロアは、先端にターボ翼を有するシャフトと、シャフトを支持しグリスで潤滑される転がり軸受と、シャフトを回転させるモータと、軸受にグリスを与えるグリス供給器と、を備える。グリス供給器に充填されたグリスは、軸受ホルダに設けられたグリス通路を経由して、転がり軸受に供給される。
【0004】
かかる構成によれば、新しいグリスをグリス供給器によって転がり軸受に対して適宜供給することで、転がり軸受の運転寿命を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係るターボブロアでは、グリスを、転がり軸受の内部、詳細には、外輪と内輪との間に上手く供給できないことがあり、転がり軸受の潤滑状態を、良好に維持することが難しかった。
【0007】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガスレーザ発振器用ターボブロアにおいて、より確実に、転がり軸受の内部にグリスを供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るガスレーザ発振器用ターボブロアは、インペラが固定されたシャフトと、上記シャフトを収容するハウジングと、上記ハウジングに対して上記シャフトを支持するとともに、グリスで潤滑される軸受部と、を備え、上記軸受部は、転がり軸受であって、上記ハウジングに固定された外輪と、上記シャフトに固定された内輪と、上記外輪と上記内輪との間に配置された転動体と、を有し、上記シャフトの軸方向における上記軸受部よりも一方側には、上記軸方向の一方側から上記軸受部に対して上記グリスを導入するグリス導入路が設けられており、上記軸方向における上記軸受部よりも一方側には、上記外輪と上記内輪との間を上記軸方向の他方側に延びるガイド部が設けられており、上記ガイド部は、上記軸方向において上記外輪及び上記内輪のうちの少なくとも一方に重なるように延びて、上記グリス導入路を流れる上記グリスを上記外輪と上記内輪との間に案内する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ガスレーザ発振器用ターボブロアにおいて、より確実に、転がり軸受の内部にグリスを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、レーザ発振器を模式的に示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、ターボブロアを示す正面断面図である。
【
図3】
図3は、軸受部の周辺を拡大して示す正面断面図ある。
【
図4】
図4は、軸受部及び軸受ホルダを上側から見た状態で示す平面図である。
【
図5】
図5は、蓋部を下側から見た状態で示す平面図である。
【
図6】
図6は、軸受ホルダ及びグリス受けを軸受部を除いた状態で示す
図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0012】
(ガスレーザ発振器)
図1は、ガスレーザ発振器1を示す。ガスレーザ発振器1は、絶縁部2と、第1放電管3及び第2放電管4と、全反射鏡5と、部分反射鏡6と、ガス循環路7と、第1熱交換器8及び第2熱交換器9と、ターボブロア20と、を備える。
【0013】
絶縁部2は、ガラス等の絶縁体で構成されている。第1放電管3及び第2放電管4は、絶縁部2の長手方向に互いに間隔を空けて、配置されている。絶縁部2及び放電管3,4には、レーザガス(レーザ媒体)が封入されている。レーザガスは、例えば、CO2を含む混合ガスである。
【0014】
各放電管3,4は、高電圧電源10と、一対の第1電極11及び第2電極12と、を含む。第1電極11及び第2電極12は、各放電管3,4の外周上に設けられており、各放電管3,4の長手方向に互いに対向している。第1電極11及び第2電極12には、電源10が接続されている。
【0015】
各放電管3,4において、電源10によって第1電極11及び第2電極12に高電圧が印加されると、第1電極11と第2電極12との間の領域13で、レーザガスが放電する。当該放電によってレーザガス分子が励起して、レーザ光が発せられる。
【0016】
全反射鏡5及び部分反射鏡6は、絶縁部2の両端に配置されている。全反射鏡5は、第1放電管3側に配置されている。部分反射鏡6は、第2放電管4側に配置されている。全反射鏡5及び部分反射鏡6によって、光共振器が構成されている。レーザ光は、全反射鏡5及び部分反射鏡6によって一定レベルまで増幅された後、部分反射鏡6側から外部に出射される。
【0017】
ガス循環路7は、ガス排出路7a、第1ガス導入路7b及び第2ガス導入路7cを含む。ガス排出路7aは、第1放電管3と第2放電管4との間において、絶縁部2に接続されている。ガス排出路7aは、絶縁部2からレーザガスを排出するための通路である。ガス排出路7aには、上流側(絶縁部2側)から順に、第1熱交換器8、ターボブロア20及び第2熱交換器9が設けられている。
【0018】
第1ガス導入路7bは、ガス排出路7aの下流側に接続されており、第1放電管3と全反射鏡5との間において、絶縁部2に接続されている。第2ガス導入路7cは、ガス排出路7aの下流側に接続されており、第2放電管4と部分反射鏡6との間において、絶縁部2に接続されている。第1ガス導入路7b及び第2ガス導入路7cは、ガス排出路7aを介して絶縁部2から排出されたレーザガスを、絶縁部2に再び導入するための通路である。
【0019】
ターボブロア20は、ガスレーザ発振器1において、レーザガスを循環させる。具体的には、ターボブロア20は、絶縁部2におけるレーザガスを、ガス排出路7aを介して吸い込んだ後、当該レーザガスを、ガス導入路7b,7cを介して絶縁部2へ吐出する。レーザガスは、絶縁部2における各放電管3,4で放電する際に温度上昇するが、ガス循環路7(詳細にはガス排出路7a)を通過するときに、第1熱交換器8及び第2熱交換器9によって強制的に冷却される。
【0020】
(ターボブロア)
ガスレーザ発振器1用のターボブロア20について説明する。
図2は、ターボブロア20を示す。ターボブロア20は、シャフト21と、インペラ22と、モータ23と、ハウジング30と、2つの軸受部40,100と、を備える。
【0021】
以下、シャフト21の中心軸Oの延びる方向を、軸方向という。軸方向に直交する方向を、径方向という。シャフト21の中心軸O回りの方向を、周方向という。本実施形態では、軸方向は鉛直方向であり、径方向は水平方向である。インペラ22が位置する軸方向一方側(鉛直方向上側)を、単に上側という場合がある。同様に、モータ23が位置する軸方向他方側(鉛直方向下側)を、単に下側という場合がある。
【0022】
ハウジング30は、シャフト21を内部に収容している。インペラ22は、シャフト21の先端部(上端部)に、回転一体に固定されている。モータ23は、シャフト21を回転させる。モータ23のロータ23aは、シャフト21の軸方向中間部に、回転一体に固定されている。
【0023】
ハウジング30は、インペラハウジング(ハウジング本体)31と、モータハウジング(ハウジング本体)32と、2つの軸受ホルダ50,101と、を含む。インペラハウジング31は、インペラ22を収容している。モータハウジング32は、フランジを有する略筒状であって、ロータ23aを収容している。モータハウジング32の内周部には、ロータ23aに対応するステータ23bが固定されている。
【0024】
レーザガスは、インペラ22が回転すると、吸込口31aを介してインペラハウジング31の内部に軸方向に吸い込まれた後、吐出口31bを介してインペラハウジング31の外部に径方向に吐出される。
【0025】
2つの軸受部40,100は、ハウジング30に対してシャフト21を支持する。2つの軸受部40,100は、モータ23を挟んで軸方向に互いに間隔を空けて配置されている。ここで、モータハウジング32の内周部には、2つの軸受部40,100に対応するように、2つの軸受ホルダ50,101が固定されている。各軸受ホルダ50,101は、中心孔を有する略中空円盤状である。各軸受部40,100は、各軸受ホルダ50,101の内周部に、固定されている。換言すると、各軸受部40,100は、各軸受ホルダ50,101に対してシャフト21を支持する。
【0026】
(軸受部周辺)
上側の軸受部40及びその周辺の構成について、
図3~6を参照しながら、詳細に説明する。
図3は、軸受部40の周辺を拡大して示す。
図4は、軸受部40及び軸受ホルダ50を、上側から見た状態で示す。
図5は、後述する蓋部70を、下側から見た状態で示す。
図6は、軸受ホルダ50及び後述するグリス受け80を、上側から見て且つ軸受部40を除いた状態で示す。
【0027】
図3に示すように、軸受部40は、転がり軸受、詳細には玉軸受(ボールベアリング)で構成されている。軸受部40は、外輪41と、内輪42と、複数の転動体としての玉(ボール)43と、保持器44と、を有する。軸受部40は、グリスで潤滑される。
【0028】
図3に示すように、外輪41は、軸受ホルダ50の内周部に固定されている。換言すると、外輪41は、軸受ホルダ50を介して、モータハウジング32に固定されている。内輪42は、シャフト21に、回転一体に固定されている。玉43は、外輪41と内輪42との間に配置されており、外輪41及び内輪42に対して転動する。保持器44は、隣接する玉43同士の間隔を一定に保つ。
【0029】
図3に示すように、軸受部40の上側(軸方向における軸受部40よりも一方側)には、グリス導入路60が設けられている。グリス導入路60は、上側(軸方向一方側)から軸受部40に対して、グリスを導入(供給)する。グリス導入路60は、第1グリス導入路61と、第2グリス導入路62と、を含む。
【0030】
ここで、
図3に示すように、軸受部40の上側(軸方向における軸受部40よりも一方側)には、円盤状(
図5参照)の蓋部70が設けられている。蓋部70は、軸受ホルダ50の中心孔を上側から覆っている。蓋部70の下面における円環状(
図5参照)のフランジ部70aは、軸受ホルダ50の上面における円環状(
図4参照)のフランジ部50aに接合されている。フランジ部50a,70a同士は、Oリング51でシールされている。
【0031】
図3に示すように、軸受ホルダ50の上面におけるフランジ部50aよりも径方向内側部分50bと、蓋部70の下面におけるフランジ部70aよりも径方向内側部分70bとの間には、隙間が設けられている。第1グリス導入路61は、当該隙間で構成されている。
図4に示すように、第1グリス導入路(隙間)61は、周方向において、全周に亘って設けられている。
図3,4に示すように、第1グリス導入路61は、径方向に延びており、グリスを径方向外側から径方向内側へ流す。
【0032】
図3,4に示すように、軸受ホルダ50の上面には、周方向のほぼ全周に亘って延びる円弧状の溝部53が形成されている。なお、溝部53は、周方向の全周に亘って延びる円環状に形成されてもよい。溝部53には、グリス供給管54が接続されている。グリス供給管54の先は、軸受ホルダ50(ハウジング30)の外部に連通している。グリス供給管54の先には、例えばグリス供給器(図示せず)が接続されている。
【0033】
図5に示すように、蓋部70の下面には、円環状に(周方向に)延びる凸部で構成されたガイド部71が設けられている。
図3に示すように、ガイド部71は、外輪41と内輪42との間を、下側(軸方向他方側)に延びている。ガイド部71は、軸方向において、外輪41及び内輪42の両方に重なるように延びている。換言すると、ガイド部71の先端部(下端部)71aは、外輪41の上端部41a及び内輪42の上端部42aよりも、下側に位置している。ガイド部71の先端部(下端部)71aは、玉43に臨んでいる。
【0034】
ここで、
図3に示すように、第2グリス導入路62は、第1グリス導入路61の下流側(径方向内側)に接続されている。ガイド部71は、第2グリス導入路62を流れるグリスを、軸受部40の内部、すなわち外輪41と内輪42との間に、案内する。すなわち、第2グリス導入路62は、グリス導入路60におけるグリスがガイド部71に案内される部分である。なお、第2グリス導入路62は、第1グリス導入路61と同様に、周方向において、全周に亘って設けられている。
【0035】
図3に示すように、ガイド部71におけるグリスの案内面(径方向外側面)71bは、テーパ状に形成されており、下側に向かうに従って径方向内側に延びるように傾斜している。同様に、外輪41の上側且つ径方向内側のエッジ部41bも、テーパ状に形成されており、下側に向かうに従って径方向内側に延びるように傾斜している。これによって、第2グリス導入路62は、下側(軸方向他方側)に向かうに従って、径方向において玉43の中心に近づくように(径方向内側に延びるように)傾斜している。
【0036】
図3に示すように、軸受部40よりも下側(軸方向他方側)には、グリス受け80が設けられている。ここで、軸受ホルダ50の下面には、軸方向に延びるブラケット55が固定されている。グリス受け80は、ブラケット55に取り付けられている。グリス受け80は、径方向に延びている。グリス受け80の上面80aは、軸受部40の内部、すなわち外輪41と内輪42との間に、臨んでいる。グリス受け80の上面80aは、軸受部40の内部(外輪41と内輪42との間)を通過したグリスを、受ける(以下、「グリス受け面80a」という)。
【0037】
図6に示すように、グリス受け80は、周方向において全周に亘って設けられるのではなく、周方向における一部にのみ設けられている。詳細には、3つのグリス受け80が、周方向に互いに間隔を空けて、周方向に配列されている。
【0038】
図3,6に示すように、各グリス受け80のグリス受け面80aには、凹部81が設けられている。各凹部81は、周方向に延びている。
【0039】
図2に示すように、軸受ホルダ50の下側には、円環状の冷却部90が直接的に取り付けられている。冷却部90は、上下二つ割り構造であり、上側部材91と下側部材92とで構成されている。冷却部90の内部、詳細には上側部材91と下側部材92との間には、円環状の冷却通路93が形成されている。冷却通路93には、水や空気等の冷却媒体が流れる。
【0040】
(作用効果)
本実施形態では、グリスは、グリス供給器(図示せず)によって、グリス供給管54、溝部53、第1グリス導入路61及び第2グリス導入路62を介して、上側から軸受部40に対して供給される。ここで、
図3に示すように、ガイド部71は、軸方向において外輪41及び内輪42に重なるように、外輪41と内輪42との間を下側に、延びている。これにより、第2グリス導入路62を流れるグリスは、ガイド部71における案内面71bに沿うようにして、軸受部40の内部、すなわち外輪41と内輪42との間に案内される。
【0041】
したがって、ガスレーザ発振器1用のターボブロア20において、より確実に、転がり軸受(軸受部40)の内部にグリスを供給することができる。これにより、軸受部40におけるグリスの潤滑状態を良好にして、軸受部40の運転寿命を延ばすことができる。
【0042】
特にシャフト21が高速回転する場合、玉43の高速回転によってグリスがはじかれやすいので、グリスを軸受部40の内部に供給することが難しい。軸受部40の上側にガイド部71を設けた上記構成は、このようにシャフト21が高速回転する場合に、特に有効である。
【0043】
図2に示すように、上側の軸受部40は、下側の軸受部100に比べて、高温のレーザガスに接するインペラ22の近くに位置する。このため、上側の軸受部40では下側の軸受部100に比べて、グリスが、温度上昇しやすく、劣化しやすい。ガイド部71を設けた上記構成は、インペラ22の近くに位置する上側の軸受部40に適用することが、特に有効である。
【0044】
図3に示すように、第2グリス導入路62が、下側に向かうに従って径方向において玉43の中心に近づくように傾斜しているので、軸受部40の内部における径方向中央部に、詳細には外輪41と内輪42との間における径方向中央位置に、最短経路で、グリスを供給することができる。これにより、グリスを、軸受部40の内部における外輪41側及び内輪42側の両方に、均等に供給する上で有利になる。
【0045】
図3に示すように、軸受部40よりも下側のグリス受け80のグリス受け面80aで、外輪41と内輪42との間を通過したグリスを受けることによって、軸受部40が一定程度シールされる。これにより、軸受部40からのグリスの漏出を、一定程度抑制することができる。また、
図6に示すように、グリス受け80が、周方向において全周に亘って設けられるのではなく、周方向における一部にのみ設けられるので、周方向に隣り合うグリス受け80同士の隙間を介して、古くなった劣化グリスを軸受部40から排出することができる。
【0046】
図3,6に示すように、グリス受け80のグリス受け面80aに凹部81が設けられているので、グリスを凹部81に一時滞留させることができる。これにより、新しいグリスが軸受部40に供給されてから直ぐに排出されてしまうことを抑制して、新しいグリスを軸受部40の潤滑にできるだけ長時間寄与させることができる。
【0047】
図2に示すように、軸受ホルダ50に冷却部90が直接的に取り付けられているので、冷却部90を軸受部40に近づけることができる。これにより、冷却部90の内部を流れる冷却媒体によって、軸受ホルダ50及び軸受部40を介して、グリスを、効果的に冷却することができる。
【0048】
図4に示すように、第1グリス導入路61が、周方向において全周に亘って設けられているので、第1グリス導入路61が周方向における一部にのみ設けられる場合に比較して、第1グリス導入路61の流路面積を大きくすることができる。これにより、第1グリス導入路61の流路抵抗を低減して、第1グリス導入路61おけるグリスの目詰まりを抑制することができる。
【0049】
(その他の実施形態)
以上、本開示を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0050】
ガイド部71は、軸方向において外輪41及び内輪42の両方に重なるように延びる必要はなく、外輪41及び内輪42のうちの少なくとも一方に重なるように延びればよい。
【0051】
軸受部40は、例えば、ころ軸受(ローラベアリング)で構成されてもよい。
【0052】
軸受ホルダ50の内周部における上側のエッジ部を、下側に向かうに従って径方向内側に延びるように、テーパ状に形成してもよい。
【0053】
グリス導入路60及びガイド部71を、軸受部40よりも下側に設けてもよい。
【0054】
本実施形態に係るガイド部71を、下側の軸受部100に適用してよい。この場合、グリス導入路60及びガイド部71を、軸受部100よりも上側に設けてもよく、また軸受部100よりも下側に設けてもよい。
【0055】
軸方向は、鉛直方向ではなく、例えば水平方向でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示は、ガスレーザ発振器用ターボブロアに適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0057】
O 中心軸
1 ガスレーザ発振器
20 ターボブロア
21 シャフト
22 インペラ
30 ハウジング
31 インペラハウジング(ハウジング本体)
32 モータハウジング(ハウジング本体)
40 軸受部
41 外輪
41a 上端部
41b エッジ部
42 内輪
42a 上端部
43 玉(転動体)
50 軸受ホルダ
60 グリス導入路
61 第1グリス導入路
62 第2グリス導入路
70 蓋部
71 ガイド部
71a 先端部(下端部)
71b 案内面
80 グリス受け
80a グリス受け面(上面)
81 凹部
90 冷却部
93 冷却通路