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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184493
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ダンパ装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/134 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
F16F15/134 D
F16F15/134 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092383
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉川 直孝
(72)【発明者】
【氏名】堺 啓介
(57)【要約】
【課題】ダンパ装置において、低トルク時における捩り特性を高剛性に設定した際の不具合を解消でき、しかも比較的高トルクで走行している場合に回転変動を減衰できるようにする。
【解決手段】この装置は、入力回転体5と、出力回転体6と、弾性連結部7と、を備えている。出力回転体6は、入力回転体5と所定の捩り角度範囲で相対回転可能である。弾性連結部7は、複数の予圧縮されたコイルスプリング24を有し、入力回転体5と出力回転体6とを回転方向に弾性的に連結する。また、弾性連結部7は、入力トルクの大きさが第1領域において複数の剛性を有する多段の第1捩り特性を有し、入力トルクの大きさが前記第1領域を超える第2領域において第2捩り特性を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクが入力される第1回転体と、
前記第1回転体と所定の捩り角度範囲で相対回転可能な第2回転体と、
複数の予圧縮された弾性部材を有し、前記第1回転体と前記第2回転体とを回転方向に弾性的に連結する弾性連結部と、
を備え、
前記弾性連結部は、入力トルクの大きさが第1領域において複数の剛性を有する多段の第1捩り特性を有し、入力トルクの大きさが前記第1領域を超える第2領域において第2捩り特性を有する、
ダンパ装置。
【請求項2】
複数の前記予圧縮された弾性部材は、一方の端面が、前記第1回転体と前記第2回転体とが相対回転する際に、片当たり状態から両当たり状態に移行するように配置されており、
前記第1領域では、入力トルクが大きくなるにしたがって片当たり状態から両当たり状態に移行する弾性部材の数が増え、
前記第2領域では、すべての前記予圧縮された弾性部材が両当たり状態で圧縮される、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
前記第1回転体は、複数の支持部を有し、
前記第2回転体は、前記複数の支持部に対応する位置に複数の収容部を有し、
複数の前記弾性部材は第1弾性部材及び第2弾性部材を有し、前記第1弾性部材及び第2弾性部材は、前記支持部及び前記収容部に予圧縮されて配置されており、
前記第1弾性部材の一方の端面は、入力トルクが0の中立状態では、前記支持部及び前記収容部の一方の円周方向端部に片当たり状態で接触しており、
前記第1弾性部材の一方の端面は、入力トルクが第1トルクのときに片当たり状態から両当たり状態に移行し、
前記第2弾性部材の一方の端面は、入力トルクが前記第1トルクより大きい第2トルクのときに片当たり状態から両当たり状態に移行する、
請求項1又は2に記載のダンパ装置。
【請求項4】
前記第2弾性部材の一方の端面は、前記中立状態では前記第1回転体及び前記第2回転体に接触しておらず、
前記第2弾性部材の一方の端面は、前記第1トルクで片当たり状態を開始する、
請求項3に記載のダンパ装置。
【請求項5】
前記支持部は円周方向に対向する1対の支持面を有し、
前記収容部は円周方向に対向する1対の収容面を有し、
前記1対の支持面及び前記1対の収容面の一方の、円周方向の一方の端面は、径方向外方に向かって開くように傾斜している、
請求項3又は4に記載のダンパ装置。
【請求項6】
複数の前記予圧縮された弾性部材のそれぞれは、第1長さを有する第1弾性部材と、前記第1長さよりも短い第2長さを有する第2弾性部材と、を有し、
前記第1弾性部材の一方の端面は、入力トルクが0の中立状態では、前記支持部及び前記収容部の一方の円周方向端部に片当たり状態で接触しており、
前記第1弾性部材の一方の端面は、入力トルクが第1トルクのときに片当たり状態から両当たり状態に移行し、
前記第2弾性部材の一方の端面は、入力トルクが前記第1トルクより大きい第2トルクのときに片当たり状態から両当たり状態に移行する、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項7】
前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材は、コイルスプリングであり、
前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材の内部に配置されている、
請求項6に記載のダンパ装置。
【請求項8】
前記第1回転体は原動機の部材に連結されるものであり、
前記第1領域は、前記原動機からの入力トルクが0から最大トルクの10%以上70%以下の間のいずれかのトルクまでの範囲の領域であり、
前記第2領域は、入力トルクが前記第1領域を越えた範囲の領域である、
請求項1から6のいずれかに記載のダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌に用いられるクラッチディスク組立体は、フライホイールに押圧されるクラッチディスクと、ダンパ装置と、を有している。ダンパ装置は、クラッチディスクを介してエンジンから伝達されたトルクをトランスミッション側に伝達するとともに、エンジンの回転変動を減衰する。
【0003】
この種のダンパ装置が特許文献1に示されている。特許文献1のダンパ装置は、入力回転体と、出力回転体と、弾性連結部と、を備えている。入力回転体と出力回転体とは、互いに所定の角度範囲で相対回転可能である。弾性連結部は、複数のコイルスプリングを有しており、入力回転体と出力回転体とを回転方向に弾性的に連結する。複数のコイルスプリングは、圧縮された状態で、入力回転体と出力回転体との間に設けられている。
【0004】
そして、この特許文献1のダンパ装置では、エンジンがアイドル状態になるまでの始動時と、エンジンがアイドル状態から停止するまでの間と、において、入力回転体が出力回転体に対して相対的に回転することが制限される。このため、エンジン始動時及びエンジン停止時において、ダンパ装置の共振による振動や騒音が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-133123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のダンパ装置では、入力回転体と出力回転体とを連結するコイルスプリングが、予め圧縮されて装着されている。すなわち、コイルスプリングにはプリロードがかけられている。そして、このコイルスプリングに対するプリロードによって、エンジン始動時及び停止時の低トルクのときに、入力回転体と出力回転体とが捩れないようにしている。
【0007】
ここで、特に小排気量、たとえば、3気筒で排気量が1000cc程度の車両においては、エンジンが低トルクのときには、回転振動の減衰性能を損なわない範囲でダンパ装置の機能を制限することによってドライバビリティを向上させるとともに、エンジンが高トルクであって、ハイギヤで走行している際には、ダンパ装置の機能を発揮させるのが望ましい場合がある。
【0008】
そこで、コイルスプリングに対するプリロードを大きくして捩り特性の1段目を高剛性にしてドライバビリティを向上させ、かつ2段目を1段目よりも低剛性にしてダンパ機能を十分に発揮させることが考えられる。
【0009】
しかし、捩り特性の1段目の剛性を高くしすぎると、ジャダーの発生、NV(騒音、振動)特性の悪化を招くおそれがある。
【0010】
本発明の課題は、ダンパ装置において、低トルク時における捩り特性を高剛性に設定した際の不具合を解消でき、しかも比較的高トルクで走行している場合に回転変動を減衰できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明に係るダンパ装置は、第1回転体と、第2回転体と、弾性連結部と、を備えている。第2回転体は、第1回転体と所定の捩り角度範囲で相対回転可能である。弾性連結部は、複数の予圧縮された弾性部材を有し、第1回転体と第2回転体とを回転方向に弾性的に連結する。また、弾性連結部は、入力トルクの大きさが第1領域において複数の剛性を有する多段の第1捩り特性を有し、入力トルクの大きさが第1領域を超える第2領域において第2捩り特性を有する。
【0012】
ここでは、弾性連結部が、入力トルクが比較的小さい第1領域では、多段の第1捩り特性を有している。このため、各段の剛性を適宜調整することによって、低トルク領域におけるドライバビリティを向上することができるとともに、ジャダーの発生等の不具合を抑えることができる。また、入力トルクが比較的高い第2領域では、第2捩り特性の剛性を低く設定することによって、回転変動を効果的に減衰することができる。
【0013】
(2)好ましくは、複数の予圧縮された弾性部材は、一方の端面が、第1回転体と第2回転体とが相対回転する際に、片当たり状態から両当たり状態に移行するように配置されている。そして、第1領域では、入力トルクが大きくなるにしたがって片当たり状態から両当たり状態に移行する弾性部材の数が増え、第2領域では、すべての予圧縮された弾性部材が両当たり状態で圧縮される。
【0014】
なお、「片当たり状態」とは、弾性部材の端面の径方向内側及び外側の片方のみが、第1回転体及び/又は第2回転体に当接している状態を意味する。また、「両当たり状態」とは、弾性部材の端面の径方向内側及び外側の両方が、第1回転体及び/又は第2回転体に当接している状態を意味する。
【0015】
ここでは、第1領域では、入力トルクが大きくなるにしたがい片当たり状態から両当たり状態に移行する弾性部材の個数が増える。このため、第1領域での捩り特性を容易に多段化することができる。
【0016】
(3)好ましくは、第1回転体は、複数の支持部を有し、第2回転体は、複数の支持部に対応する位置に複数の収容部を有している。この場合、複数の弾性部材は第1弾性部材及び第2弾性部材を有し、第1弾性部材及び第2弾性部材は、支持部及び収容部に予圧縮されて配置されている。また、第1弾性部材の一方の端面は、入力トルクが0の中立状態では、支持部及び収容部の一方の円周方向端部に片当たり状態で接触している。
【0017】
そして、第1弾性部材の一方の端面は、入力トルクが第1トルクのときに片当たり状態から両当たり状態に移行する。また、第2弾性部材の一方の端面は、入力トルクが第1トルクより大きい第2トルクのときに片当たり状態から両当たり状態に移行する。
【0018】
(4)好ましくは、第2弾性部材の一方の端面は、中立状態では第1回転体及び第2回転体に接触していない。そして、第2弾性部材の一方の端面は、第1捩り角度で片当たり状態を開始する。
【0019】
(5)好ましくは、支持部は円周方向に対向する1対の支持面を有し、収容部は円周方向に対向する1対の収容面を有している。そして、1対の支持面及び1対の収容面の一方の、円周方向の一方の端面は、径方向外方に向かって開くように傾斜している。これにより、各弾性部材を、作動に伴って片当たり状態から両当たり状態に移行させることができる。
【0020】
(6)好ましくは、複数の予圧縮された弾性部材のそれぞれは、第1長さを有する第1弾性部材と、第1長さよりも短い第2長さを有する第2弾性部材と、を有している。そして、第1弾性部材の一方の端面は、入力トルクが0の中立状態では、支持部及び収容部の一方の円周方向端部に片当たり状態で接触している。また、第1弾性部材の一方の端面は、入力トルクが第1トルクのときに片当たり状態から両当たり状態に移行し、第2弾性部材の一方の端面は、入力トルクが第1トルクより大きい第2トルクのときに片当たり状態から両当たり状態に移行する。
【0021】
(7)好ましくは、第1弾性部材及び第2弾性部材は、コイルスプリングである。そして、第1弾性部材は、第2弾性部材の内部に配置されている。
【0022】
(8)好ましくは、第1回転体は原動機の部材に連結されるものである。そして、第1領域は、原動機からの入力トルクが0から最大トルクの10%以上70%以下の間のいずれかのトルクまでの範囲の領域である。また、第2領域は、入力トルクが第1領域を越えた範囲の領域である。
【0023】
ここでは、第1捩り特性を高剛性にすることにより、入力トルクが第1領域におけるドライバビリティが向上する。また、第2捩り特性を低剛性にすることにより、走行時における原動機の回転変動を効果的に減衰することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のような本発明のダンパ装置では、低トルク時における捩り特性を高剛性に設定した際の不具合を解消でき、しかも比較的高トルクで走行している場合に回転変動を減衰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態によるダンパ装置を有するクラッチディスク組立体の断面図。
図2図1のクラッチディスク組立体の正面図。
図3図2の弾性連結部の模式図。
図4】第1実施形態のダンパ装置の捩り特性線図。
図5】本発明の第2実施形態によるダンパ装置の図2に相当する図。
図6図5の弾性連結部の模式図。
図7】第2実施形態のダンパ装置の捩り特性線図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
-第1実施形態-
[全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態としてのダンパ装置を有するクラッチディスク組立体1の断面図である。また、図2は、その正面図である。クラッチディスク組立体1は、車両のエンジンとトランスミッションとの間に配置される。図1において、O-O線がクラッチディスク組立体1の回転軸である。図1の左側にエンジン及びフライホイール(図示せず)が配置され、図1の右側にトランスミッション(図示せず)が配置される。
【0027】
なお、以下の説明において、軸方向とは、クラッチディスク組立体1の回転軸Oが延びる方向である。また、円周方向とは、回転軸Oを中心とした円の円周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。なお、円周方向とは、回転軸Oを中心とした円の円周方向に完全に一致している必要はなく、例えば、図3に示された窓部及び窓孔を基準とした左右方向も含む概念である。また、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の直径方向に完全に一致している必要はなく、例えば、図3に示された窓部及び窓孔を基準とした上下方向も含む概念である。
【0028】
クラッチディスク組立体1は、クラッチ部2と、ダンパ部3(ダンパ装置の一例)と、を備えている。
【0029】
[クラッチ部2]
クラッチ部2は、図1及び図2に示すように、クッショニングプレート11と、1対の摩擦フェーシング12と、を有している。クッショニングプレート11は、環状部11aと、環状部11aから径方向外方に突出する複数のクッション部11bと、を有している。1対の摩擦フェーシング12は、環状であり、クッション部11bの軸方向両側にリベット13によって固定されている。
【0030】
[ダンパ部3]
ダンパ部3は、入力回転体5(第1回転体の一例)と、出力回転体6(第2回転体の一例)と、弾性連結部7と、ストッパ機構8と、ヒス発生機構9と、を備えている。
【0031】
<入力回転体5>
入力回転体5は、クラッチプレート15とリティニングプレート16とを有している。クラッチプレート15及びリティニングプレート16は、ともに円板状かつ環状の部材であり、互いに対して軸方向に所定の間隔を開けて配置されている。クラッチプレート15はエンジン側に配置され、リティニングプレート16はトランスミッション側に配置されている。そして、両プレート15,16は、4つのストップピン17によって互いに相対回転不能及び軸方向移動不能に固定されている。これにより、クラッチプレート15とリティニングプレート16とは一体回転する。
【0032】
クラッチプレート15及びリティニングプレート16には、それぞれ中心孔が形成されている。また、クラッチプレート15及びリティニングプレート16には、それぞれ4つの窓部151,161(支持部の一例)が円周方向に並べて形成されている。各窓部151,161は同一形状であり、径方向において同じ位置に形成されている。各窓部151,161は概ね円周方向に長く延びている。また、各窓部151,161は、軸方向に貫通した孔と、その孔の外周部及び内周部に形成された縁部と、を有している。
【0033】
ここで、各窓部151,161の円周方向の両端面は、回転中心から各窓部151,161の幅方向の中心を通って延びる直線Lに対して平行である。
【0034】
<出力回転体6>
出力回転体6は、入力回転体5から弾性連結部7を介してトルクが入力され、さらに図示しないトランスミッションの入力シャフトにトルクを出力するための部材である。出力回転体6は、入力回転体5に対して、所定の角度範囲内で相対回転可能であり、ボス20とフランジ21とを有している。
【0035】
ボス20は、筒状に形成されており、クラッチプレート15及びリティニングプレート16の中心孔内に配置されている。ボス20の内周面には、スプライン孔が形成されており、このスプライン孔がトランスミッションの入力シャフトに対してスプライン係合可能である。
【0036】
フランジ21は、概略円板状であり、ボス20の外周面から径方向外方に延びて形成されている。フランジ21は、クラッチプレート15とリティニングプレート16との軸方向間に配置されている。フランジ21には、図2及び図3に示すように、クラッチプレート15及びリティニングプレート16の各窓部151,161に対応する位置に、4つの第1~第4窓孔211~214(収容部の一例)が形成されている。図3は各窓孔211~214と弾性連結部7との関係を示す模式図である。各窓孔211~214は、軸方向に打ち抜かれた孔であり、円周方向に長く延びている。また、4つの窓孔211~214は、径方向において同じ位置に形成されている。
【0037】
図3に示すように、第1窓孔211の第1回転方向側(以下、「R1側」と記載する)の端面であるR1側収容面211aは、開き角度D1を有している。すなわち、第1窓孔211のR1側収容面211aは、径方向内側から外側(以下、単に「内側」、「外側」と記載する場合がある)に向かって開いている。一方で、第1窓孔211の第2回転方向側(以下、「R2側」と記載する)の端面であるR2側収容面211bは、回転軸Oと第1窓孔211の幅方向の中心とを結ぶ直線Lに対して平行である。
【0038】
ここで、開き角度とは、直線Lに対するR1側収容面211aの傾斜角度である。なお、直線Lと、後述するコイルスプリング24の円周方向の端面と、は平行である。したがって、開き角度は、コイルスプリング24の円周方向の端面に対する第1窓孔211のR1側収容面211aの傾斜角度でもある。
【0039】
また、第1~第4窓孔211~214の幅w1,w2,w3,w4(ここでは、内周端部の円周方向の長さ)は、w1<w2<w3<w4となっている。そして、各窓孔212~214のR1側収容面212a,213a,214aは、それぞれ開き角度D2,D3,D4を有している。ここで、D1<D2<D3<D4である。なお、各窓孔212~214のR2側収容面212b~214bは直線Lに対して平行である。
【0040】
<弾性連結部7>
弾性連結部7は、所定の捩り特性を有し、入力回転体5と出力回転体6とを回転方向に弾性的に連結して両回転体5,6の間でトルクを伝達するとともに、エンジンの回転変動を減衰するための機構である。弾性連結部7は、4つのコイルスプリング24(第1弾性部材及び第2弾性部材の一例)を有している。各コイルスプリング24は、入力回転体5の窓部151,161に、予め圧縮された状態で装着されている。また、4つのコイルスプリング24は、すべて同じ自由長Fを有している。そして、窓部151,161の円周方向の幅W0(径方向中央部における幅)に対して、自由長Fは、1.20倍(F=1.20×W0)となっている。
【0041】
なお、コイルスプリング24の自由長Fは、窓部151,161の幅W0に対して、1.02倍以上1.43倍以下(F=(1.02~1.43)×W0)が好ましい。自由長Fが窓部151,161の幅W0の1.02倍未満の場合は、低トルクでの走行時におけるドライバビリティの向上が低下する。また、自由長Fが窓部151,161の幅W0の1.43倍を超えると、コイルスプリングの作動時における応力が高くなり、コイルスプリングの寿命が低下する。
【0042】
<コイルスプリングと各収容面との関係>
ここで、図3を用いて、入力回転体5と出力回転体6とが互いに相対回転していない中立状態(捩り角度0°)における、コイルスプリング24と各窓孔211~214との接触状態について説明する。
【0043】
第1窓孔211のR1側収容面211aは開き角度D1を有している。したがって、第1窓孔211では、コイルスプリング24のR1側の端面は、内側の一部のみがR1側収容面211aの内側に接触している。すなわち、コイルスプリング24のR1側の端面は、片当たり状態でR1側収容面211aに接触している。一方、第1窓孔211では、コイルスプリング24のR2側の端面は、内側及び外側の両方がR2側収容面211bに接触している。すなわち、コイルスプリング24のR2側の端面は、両当たり状態でR2側収容面211bに接触している。そして、中立状態から両回転体5,6が捩れると、コイルスプリング24のR1側の端面は、片当たり状態から両当たり状態に移行する。
【0044】
第2~第4窓孔212~214においても同様に、R1側の収容面212a~214aは開き角度D2~D4を有しているので、各窓孔212~214のコイルスプリング24は、押圧されるにしたがって、片当たり状態から両当たり状態に移行する。
【0045】
ここで、第2~第4窓孔212~214では、R1側の各収容面212a~214aの内周端部は、それぞれコイルスプリング24と隙間g2~g4を介して離れている。なお、各隙間の大きさは、g2<g3<g4である。
【0046】
これらの隙間g2~g4と開き角度D1~D4との関係は、次のように設定されている。すなわち、まず、第1窓孔211において、コイルスプリング24のR1側端面が片当たり状態から両当たり状態に移行するタイミングで、第2窓孔212においてコイルスプリング24のR1側端面の片当たり状態が開始される。次に、第2窓孔212においてコイルスプリング24のR1側端面が片当たり状態から両当たり状態に移行するタイミングで、第3窓孔213においてコイルスプリング24のR1側端面の片当たり状態が開始される。さらに、第3窓孔213においてコイルスプリング24のR1側端面が片当たり状態から両当たり状態に移行するタイミングで、第4窓孔214においてコイルスプリング24のR1側端面の片当たり状態が開始される。
【0047】
なお、図3では、理解の便宜のために開き角度を実際の角度よりも大きく示している。開き角度については、ダンパ装置が搭載されるエンジンの仕様等によって適宜設定される。
【0048】
<ストッパ機構8>
図2に示すように、フランジ21の外周縁には、円周方向の所定の幅を有する切欠21aが形成されている。この切欠21aを、ストップピン17が軸方向に通過している。この切欠21a及びストップピン17によって、ストッパ機構8が構成されている。すなわち、ストップピン17が切欠21aの円周方向端面に当接することにより、入力回転体5と出力回転体6との相対回転が禁止される。
【0049】
<ヒス発生機構9>
ヒス発生機構9は、入力回転体5と出力回転体6とが相対回転する際に、回転方向の摩擦抵抗であるヒステリシストルクを発生する。ヒス発生機構9は、第1ブッシュ26と、第2ブッシュ27と、コーンスプリング28と、を有している。
【0050】
第1ブッシュ26は、クラッチプレート15の内周部とフランジ21との間に配置されている。第1ブッシュ26は、軸方向に突出する複数の係合突起26aを有している。この係合突起26aが、クラッチプレート15に形成された孔に係合している。このため、第1ブッシュ26は、クラッチプレート15とともに回転し、フランジ21との間で摩擦接触する。
【0051】
第2ブッシュ27は、リティニングプレート16の内周部とフランジ21との間に配置されている。第2ブッシュ27は、軸方向に突出する複数の係合突起27aを有している。この係合突起27aが、リティニングプレート16に形成された孔に係合している。このため、第2ブッシュ27は、リティニングプレート16とともに回転し、フランジ21との間で摩擦接触する。
【0052】
コーンスプリング28は、第2ブッシュ27とリティニングプレート16との間に、圧縮された状態で配置されている。このコーンスプリング28によって、第1ブッシュ26及び第2ブッシュ27は、フランジ21に圧接されている。
【0053】
[動作]
図4に示す捩じり特性線図を用いて、クラッチディスク組立体1の動作について説明する。なお、図4において、Tiは、予圧縮された4つのコイルスプリング24のすべてが、予圧縮された状態から両当たり状態でさらに圧縮されるときの入力トルク(イニシャルトルク)である。
【0054】
エンジンから入力されるトルクが低い状態、具体的には、0(N・m)からイニシャルトルクTiまでの低トルク範囲(第1領域の一例)では、4つのコイルスプリング24が予め圧縮されてプリロードがかけられているために、全体的に比較的高い剛性を示している。
【0055】
より詳細には、まず、エンジンからのトルクが0~T1の範囲では、第1窓孔211に収容されたコイルスプリング24が片当たり状態で押圧され始め、入力回転体5に対する出力回転体6の捩り角度が角度d1(トルクT1)になると、片当たり状態から両当たり状態に移行する。また、この捩り角度d1では、第2窓孔212において隙間g2が「0」になり、第2窓孔212のコイルスプリング24のR1側端面が片当たり状態になる。また、第3窓孔213及び第4窓孔214に収容された各コイルスプリング24は、R1側端面と、対応する各収容面213a,214aと、の間に隙間g3,g4があるために押圧されない。
【0056】
以上のように、捩り角度0~d1では、各窓孔211~214におけるコイルスプリング24は以下のような状態になり、図4に示す特性C1となる。
【0057】
・第1窓孔211:片当たり状態→両当たり開始
・第2窓孔212:押圧なし→片当たり開始
・第3窓孔213:押圧なし
・第4窓孔214:押圧なし
【0058】
次に、入力トルクがT1~T2の範囲では、第1窓孔211のコイルスプリング24が両当たり状態で押圧されるとともに、第2窓孔212のコイルスプリング24が片当たり状態で押圧される。そして、捩り角度が角度d2(トルクT2)になると、第2窓孔212のコイルスプリング24は、片当たり状態から両当たり状態に移行する。また、捩り角度d2では、第3窓孔213において隙間g3が「0」になり、第3窓孔213のコイルスプリング24が片当たり状態になる。また、第4窓孔214に収容された各コイルスプリング24は、R1側端面と、対応する各収容面214aと、の間に隙間g4があるために押圧されない。
【0059】
以上のように、捩り角度d1~d2では、各窓孔211~214におけるコイルスプリング24は以下のような状態になり、図4に示す特性C2となる。
【0060】
・第1窓孔211:両当たり状態
・第2窓孔212:片当たり状態→両当たり開始
・第3窓孔213:押圧なし→片当たり開始
・第4窓孔214:押圧なし
【0061】
入力トルクがT2~T3の範囲では、第1窓孔211及び第2窓孔212のコイルスプリング24は両当たり状態で押圧されるとともに、第3窓孔213のコイルスプリング24は片当たり状態で押圧される。そして、捩り角度が角度d3(トルクT3)になると、第3窓孔213のコイルスプリング24は、片当たり状態から両当たり状態に移行する。また、捩り角度d3では、第4窓孔214において隙間g4が「0」となり、第4窓孔214のコイルスプリング24が片当たり状態になる。
【0062】
以上のように、捩り角度d2~d3では、各窓孔211~214におけるコイルスプリング24は以下のような状態になり、図4に示す特性C3となる。
【0063】
・第1窓孔211:両当たり状態
・第2窓孔212:両当たり状態
・第3窓孔213:片当たり状態→両当たり開始
・第4窓孔214:押圧なし→片当たり開始
【0064】
入力トルクがT3~Tiの範囲では、第1窓孔211、第2窓孔212、及び第3窓孔213のコイルスプリング24は両当たり状態で押圧されるとともに、第4窓孔214のコイルスプリング24は片当たり状態で押圧される。そして、捩り角度が角度d4(トルクT4)になると、第4窓孔214のコイルスプリング24は、片当たり状態から両当たり状態に移行する。
【0065】
以上のように、捩り角度d3~d4では、各窓孔211~214におけるコイルスプリング24は以下のような状態になり、図4に示す特性C4となる。
【0066】
・第1窓孔211:両当たり状態
・第2窓孔212:両当たり状態
・第3窓孔213:両当たり状態
・第4窓孔214:片当たり状態→両当たり開始
【0067】
そして、入力トルクがT4からイニシャルトルクTiにいたるまでは、すべてのコイルスプリング24が両当たり状態で押圧される。ただし、前述のように、コイルスプリング24は予圧縮されて装着されているので、入力トルクがイニシャルトルクTiになるまでは、入力回転体5に対して出力回転体6は回転しない。すなわち、捩り角度はd4のままで、図4に示す特性C5となる。
【0068】
次に、エンジンからのトルクがイニシャルトルクTiを超えた高トルク範囲(第2領域の一例)では、すべてのコイルスプリング24は予圧縮された状態からさらに両当たり状態で圧縮され、並列で作動する4つのコイルスプリング24によって設定された剛性の捩り特性C6となる。
【0069】
以上のような捩り特性によって、イニシャルトルクTiまでの比較的低トルクでの走行時には、比較的高い剛性の捩り特性を多段化することによって、低トルク領域におけるドライバビリティを向上することができるとともに、ジャダーの発生等の不具合を抑えることができる。一方、イニシャルトルクTiを超えた領域での走行時には、低剛性の捩り特性によって、効果的にエンジンの回転変動を減衰することができる。
【0070】
-第2実施形態-
[構成]
図5は、本発明の第2実施形態の正面部分図である。この第2実施形態では、第1実施形態と、クラッチプレート15’及びリティニングプレート16’の窓部の形状、フランジ21’の窓孔の形状、及び弾性連結部7’の構成が異なるが、他の構成は同じである。
【0071】
図6の模式図を用いて、クラッチプレート15’及びリティニングプレート16’の窓部152,162及びフランジ21’の窓孔225について説明する。各プレート15’16’の4個の窓部152,162は、すべて同じ形状である、また、フランジ21’の4個の窓孔225は、すべて同じ形状である。そして、窓部152,162及び窓孔225は径方向において同じ位置に配置されている。
【0072】
窓孔225は、円周方向の両端面に収容面225a及び凹部225bを有している。収容面225aは、直線Lに対して平行である。また、凹部225bは、収容面225aの径方向の中央部に、円周方向に所定の深さだけ凹んで設けられている。窓部152,162は、窓孔225に対応する位置に配置され、円周方向の両端面に支持面152a,162aを有している。支持面152a,162aは、外開き形状であり、径方向内方から外方に向けて所定の角度で開いて形成されている。
【0073】
弾性連結部7’は、窓孔225に収容され、窓部152,162に支持されている。より詳細には、弾性連結部7’は、窓孔225及び窓部152,162に装着されたコイル径(コイル平均径)の小さいコイルスプリング31(以下、「小スプリング31」と記載する)と、小スプリング31よりコイル径の大きいコイルスプリング32(以下、「大スプリング32」と記載する)と、を有している。小スプリング31は大スプリング32の内周部に収容され、大スプリング32の内部において伸縮が可能である。また、小スプリング31は大スプリング32よりスプリング長さが長い。そして、大スプリング32の両端面は収容面225aに接触し、小スプリング31の両端面は凹部225bの底面に接触している。また、各スプリング31,32は、それぞれ予め圧縮された状態で窓孔225に収容されている。
【0074】
以上のような弾性連結部7’では、入力トルクが0~Ti(図7参照)までの低トルク範囲(第1領域の一例)において、小スプリング31及び大スプリング32は片当たり状態から両当たり状態に移行する。そして、入力トルクがTiになると、予圧縮されたすべてのスプリング31,32がさらに両当たり状態で圧縮される。
【0075】
[動作]
入力回転体5が出力回転体6に対して相対回転していない中立状態では、窓部152,162の支持面152a,162aの内側が、予圧縮された小スプリング31の端面の内側のみに接触している(片当たり状態)。また、支持面152a,162aは大スプリング32の端面に接触していない。
【0076】
そして、出力回転体6に対して入力回転体5が角度d1(トルクT1)だけ回転し、図6の破線L1で示す位置にくると、支持面152a,162aの内側及び外側が小スプリング31の内側及び外側に接触する(両当たり状態)。また、このタイミングで、支持面152a,162aの内側が、予圧縮された大スプリング32の端面の内側のみに接触する(片当たり状態の開始)。そして、捩り角度がd2(トルクT2)になると(図6の一点鎖線L2で示す位置)、支持面152a,162aの内側及び外側が大スプリング32の内側及び外側に接触する(両当たり状態)。
【0077】
次に、入力トルクがT2からイニシャルトルクTiにいたるまでは、大スプリング32は両当たり状態で押圧される。ただし、前述のように、各スプリング31,32は予圧縮されて装着されているので、入力トルクがイニシャルトルクTiになるまでは、入力回転体5に対して出力回転体6は回転しない。すなわち、捩り角度はd2のままである。
【0078】
エンジンからのトルクがイニシャルトルクTiを超えると、すべてのスプリング31,32は予圧縮された状態からさらに両当たり状態で圧縮され、並列で作動する各スプリング31,32によって設定された特性となる。以上の捩り特性を図7に示している。
【0079】
このような第2実施形態では、入力トルクが0~T1(捩り角度0~d1)では、小スプリング31のみが片当たり状態で押圧され、さらにトルクが大きくなってT1~T2(捩り角度d1~d2)の範囲では、小スプリング31は両当たり状態で押圧されるとともに、大スプリング32は片当たり状態で押圧される。また、入力トルクがT2~Tiの範囲では、小スプリング31及び大スプリング32が両当たり状態で押圧されるが、予圧縮によって設定されたイニシャルトルクTiにいたるまでは、両スプリング31,32は圧縮されず、入力回転体5に対して出力回転体6は捩じれない。
【0080】
そして、エンジンからのトルクがイニシャルトルクTiを超えた高トルク範囲では、すべてのスプリング321,32が予圧縮された状態からさらに両当たり状態で圧縮され、図7に示すように、比較的低い剛性の捩り特性となる。
【0081】
この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、イニシャルトルクTiまでの比較的低トルクでの走行時にはドライバビリティを向上できるとともに、ジャダーの発生等の不具合を抑えることができる。一方、イニシャルトルクTiを超えた領域での走行時には、低剛性の捩り特性によって、効果的にエンジンの回転変動を減衰することができる。
【0082】
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0083】
(a)前記第1実施形態では、弾性連結部7を4つのコイルスプリング24によって構成したが、コイルスプリング24の個数はこの例に限定されない。
【0084】
(b)前記第1実施形態では、4つのコイルスプリング24を予圧縮して装着したが、例えば4つのコイルスプリングのうちの2つを予圧縮して装着し、残りの2つのコイルスプリングを予圧縮せずに装着するようにしてもよい。
【0085】
(c)前記各実施形態では、本発明をクラッチディスク組立体に適用したが、別の動力伝達装置のダンパ装置としても本発明を同様に適用することができる。
【0086】
(d)各窓部及び窓孔の少なくとも一方に、コイルスプリングの端面を受けるスプリングシートを配置し、このスプリングシートの受け面を、前記実施形態のような形状にしてもよい。
【0087】
(e)前記実施形態では、弾性連結部において、収容面を外開きにし、支持面をスプリングの端面と平行にしたが、これらは逆にしてもよい。すなわち、収容面をスプリングの端面と平行にし、支持面を外開きにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 クラッチディスク組立体
3 ダンパ部(ダンパ装置)
5 入力回転体(第1回転体)
6 出力回転体(第2回転体)
7,7’ 弾性連結部
15 クラッチプレート(第1回転体)
151,152,161,162 窓部(支持部)
152a,162a 支持面
16 リティニングプレート(第1回転体)
211,212,213,214 収容部
211a~214a,211b~214b 収容面
24 コイルスプリング(第1弾性体、第2弾性体)
31 小スプリング(第1弾性体)
32 大スプリング(第2弾性体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
記第2弾性部材の一方の端面は、前記第1トルクで片当たり状態を開始する、
請求項3に記載のダンパ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
(4)好ましくは、第2弾性部材の一方の端面は、第1トルクで片当たり状態を開始する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
なお、以下の説明において、軸方向とは、クラッチディスク組立体1の回転軸Oが延びる方向である。また、円周方向とは、回転軸Oを中心とした円の円周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。なお、円周方向とは、回転軸Oを中心とした円の円周方向に完全に一致している必要はなく、例えば、図3の上部に示された窓部及び窓孔を基準とした左右方向も含む概念である。また、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の直径方向に完全に一致している必要はなく、例えば、図3の上部に示された窓部及び窓孔を基準とした上下方向も含む概念である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
入力トルクがT3~T4の範囲では、第1窓孔211、第2窓孔212、及び第3窓孔213のコイルスプリング24は両当たり状態で押圧されるとともに、第4窓孔214のコイルスプリング24は片当たり状態で押圧される。そして、捩り角度が角度d4(トルクT4)になると、第4窓孔214のコイルスプリング24は、片当たり状態から両当たり状態に移行する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
前記第1回転体は、複数の支持部を有し、
前記第2回転体は、前記複数の支持部に対応する位置に複数の収容部を有し、
複数の前記予圧縮された弾性部材のそれぞれは、前記支持部及び前記収容部に予圧縮されて配置されており、第1長さを有する第1弾性部材と、前記第1長さよりも短い第2長さを有する第2弾性部材と、を有し、
前記第1弾性部材の一方の端面は、入力トルクが0の中立状態では、前記支持部及び前記収容部の一方の円周方向端部に片当たり状態で接触しており、
前記第1弾性部材の一方の端面は、入力トルクが第1トルクのときに片当たり状態から両当たり状態に移行し、
前記第2弾性部材の一方の端面は、入力トルクが前記第1トルクより大きい第2トルクのときに片当たり状態から両当たり状態に移行する、
請求項1に記載のダンパ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態によるダンパ装置を有するクラッチディスク組立体の断面図。
図2図1のクラッチディスク組立体の正面図。
図3図2の弾性連結部の模式図。
図4】第1実施形態のダンパ装置の捩り特性線図。
図5】本発明の第2実施形態によるクラッチディスク組立体図2に相当する図。
図6図5の弾性連結部の模式図。
図7】第2実施形態のダンパ装置の捩り特性線図。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
そして、エンジンからのトルクがイニシャルトルクTiを超えた高トルク範囲では、すべてのスプリング31,32が予圧縮された状態からさらに両当たり状態で圧縮され、図7に示すように、比較的低い剛性の捩り特性となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1