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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184495
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】取っ手部材製造装置
(51)【国際特許分類】
   B31D 1/06 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B31D1/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092387
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】390029779
【氏名又は名称】ニューロング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大柄 和人
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA03
3E075AA05
3E075BA41
3E075BB23
3E075CA02
3E075DA14
3E075DA32
3E075DD02
3E075DE06
3E075DE07
3E075FA07
3E075GA05
(57)【要約】
【課題】長さが異なる複数種類の取っ手紐の脚部に、部品の交換や移動を行うことなく、長さに応じて補強紙への貼り付け部分の境界となる折り返し線を形成することが可能であり、自動的に補強紙を貼り付けることができる取っ手紐製造装置を提供すること。
【解決手段】回転する大シリンダー5の外周面に取っ手紐a,a’を供給し、大シリンダー5の外周面に、取っ手紐a,a’の上端を位置決めする位置決め部50が形成されると共に、取っ手紐a,a’の脚部の裏側に対応して、位置決め部50からの周方向における距離が異なる複数の受け溝52a,52bが形成され、大シリンダー5の外周面に臨んで折り目付けロールが設置され、折り目付けロールの外周に、大シリンダー5の外周面に接近した時、取っ手紐a,a’の脚部を介して複数の受け溝52a,52bのいずれかに挿入されて、折り返し線を形成する折りくせ用メスが設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平紐の両端部を同じ側へ折り曲げて脚部を形成したU字状の取っ手紐と、両側の前記脚部の下端部が貼り付けられた補強紙とを有する取っ手部材を製造する取っ手部材製造装置であって、
回転する大シリンダーの外周面に前記取っ手紐をその脚部を回転方向に沿わせて供給し、前記大シリンダーの外周面に載置された前記取っ手紐の外面に、前記脚部の補強紙に対する貼り付け部を露出させて前記補強紙を供給し、前記取っ手紐の貼り付け部に接着剤を塗布し、前記前記大シリンダーの外周面に載置された前記取っ手紐の脚部に、前記貼り付け部と補強紙との境界に沿って折り返し線を形成し、前記取っ手紐の貼り付け部を前記折り返し線から折り返して前記補強紙の外面に重ねるものであり、
前記大シリンダーの外周面に、前記取っ手紐の上端を位置決めする位置決め部が形成されると共に、前記取っ手紐の脚部の裏側に対応して、前記位置決め部からの周方向における距離が異なる複数の受け溝が前記脚部の幅方向に沿って形成され、前記大シリンダーの外周面に臨んで折り目付けロールが設置され、該折り目付けロールの外周に、前記大シリンダーの外周面に接近した時、前記取っ手紐の脚部を介して前記複数の受け溝のいずれか一つに挿入されて、前記折り返し線を形成する折りくせ用メスが設けられていることを特徴とする取っ手部材製造装置。
【請求項2】
前記大シリンダーの外周面に前記取っ手紐の脚部を係合する紐係合溝が周方向に沿って形成され、該紐係合溝の底面に前記受け溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の取っ手部材製造装置。
【請求項3】
前記平紐を折り曲げて前記取っ手紐を形成し、該取っ手紐を前記大シリンダーの外周面に送り込む取っ手紐形成装置を有し、該取っ手紐形成装置が前記大シリンダーと同期して駆動されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の取っ手部材製造装置。
【請求項4】
前記取っ手紐形成装置に向かって帯状平紐を搬送する紐送り装置と、該紐送り装置で搬送される帯状平紐を切断して前記平紐を形成する紐切断装置とが設置され、前記紐送り装置を駆動する駆動源及び前記大シリンダーを駆動する駆動源から独立した切断装置駆動用サーボモータによって前記紐切断装置を駆動することを特徴とする請求項3に記載の取っ手部材製造装置。
【請求項5】
前記大シリンダーの外周面に臨んで、前記取っ手紐の外面に補強紙を供給する補強紙供給ロール、前記取っ手紐の貼り付け部に接着剤を塗布する糊付けロール、前記折り目付けロール、及び、前記取っ手紐の貼り付け部を前記折り返し線から折り返して前記補強紙の外面に重ねる折り返し装置が前記大シリンダーの回転方向下流側に順次設置され、前記大シリンダーの駆動軸に基準ギヤが取り付けられると共に調整ギヤが遊嵌され、前記取っ手紐形成装置の駆動軸が前記基準ギヤに連絡され、前記補強紙供給ロール、糊付けロール、折り目付けロール及び折り返し装置の駆動軸が前記調整ギヤに連絡され、前記基準ギヤに対して前記調整ギヤを周方向に位置調整して固定することにより、前記大シリンダーの外周面に対する前記補強紙供給ロール、糊付けロール、折り目付けロール及び折り返し装置の作用位置を周方向に調整することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の取っ手部材製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平紐をU字状に折り曲げた取っ手紐の両端部を補強紙に貼り付けて成る取っ手部材を製造する取っ手部材製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
角底紙袋の袋口には、取っ手紐の両端部を補強紙に貼り付けて成る取っ手部材を取り付けることが多い。
このような取っ手部材を製造する装置として、例えば、特許文献1に記載されたような把手製造装置がある。
この装置は、半円形状の紐掛部に引っ掛けて連続して蛇行させた把手紐を挟んで上下の帯状台紙を重ね合わせ、次いで、把手紐とともに帯状台紙の幅方向中央を切断して2列に分離させた後、各列の帯状台紙を把手紐の両側で一定間隔に切断し、U字状に折り曲げた取っ手紐の両端部を補強紙に貼り付けた把手とする。
【0003】
上記特許文献1に記載のような装置は、柔軟な把手紐と台紙を貼り合わせることはできるが、扁平な断面形状を有する硬い平紐を把手紐とする場合は、このような装置を使用することはできず、平紐を所定長さに切断してから1本ずつU字状に折り曲げ、それぞれに補強紙を貼り付けていた。
この場合、シリンダーの外周面にU字状の取っ手紐を設置し、シリンダーの回転に伴って、取っ手紐の両側の脚部上に補強紙を、脚部の先端部を露出させて載せてから、露出した脚部に接着剤を塗布し、さらに、シリンダーの外周面に形成された溝に脚部を介して筋付けメスを挿入して、脚部の接着剤塗布部分と補強紙との境界に沿って折り返し線を形成し、この折り返し線から接着剤塗布部分を補強紙上に折り返して重ね、取っ手紐と補強紙とを貼り合わせることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-65045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、紙袋の寸法等によって平紐の幅は異なり、取っ手紐の手を差し込む空間を確保するために、取っ手紐の長さは平紐幅に応じて変化する。長さが異なる複数種類の取っ手紐に補強紙を貼り付けるには、シリンダーに対して取っ手紐を載せる位置を変えたり、シリンダーの部品を移動する等の面倒な操作が必要であった。
本発明が解決しようとする課題は、平紐をU字状に折り曲げた長さが異なる複数種類の取っ手紐の脚部に、部品の交換や移動を行うことなく、長さに応じて補強紙への貼り付け部分の境界となる折り返し線を形成することが可能であり、自動的に補強紙を貼り付けることができる取っ手紐製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、平紐の両端部を同じ側へ折り曲げて脚部を形成したU字状の取っ手紐と、両側の前記脚部の下端部が貼り付けられた補強紙とを有する取っ手部材を製造する取っ手部材製造装置に関し、回転する大シリンダーの外周面に前記取っ手紐をその脚部を回転方向に沿わせて供給し、前記大シリンダーの外周面に載置された前記取っ手紐の外面に、前記脚部の補強紙に対する貼り付け部を露出させて前記補強紙を供給し、前記取っ手紐の貼り付け部に接着剤を塗布し、前記前記大シリンダーの外周面に載置された前記取っ手紐の脚部に、前記貼り付け部と補強紙との境界に沿って折り返し線を形成し、前記取っ手紐の貼り付け部を前記折り返し線から折り返して前記補強紙の外面に重ねるものであり、前記大シリンダーの外周面に、前記取っ手紐の上端を位置決めする位置決め部が形成されると共に、前記取っ手紐の脚部の裏側に対応して、前記位置決め部からの周方向における距離が異なる複数の受け溝が前記脚部の幅方向に沿って形成され、前記大シリンダーの外周面に臨んで折り目付けロールが設置され、該折り目付けロールの外周に、前記大シリンダーの外周面に接近した時、前記取っ手紐の脚部を介して前記複数の受け溝のいずれか一つに挿入されて、前記折り返し線を形成する折りくせ用メスが設けられている。
【0007】
望ましくは、前記大シリンダーの外周面に前記取っ手紐の脚部を係合する紐係合溝が周方向に沿って形成され、該紐係合溝の底面に前記受け溝が形成される。
【0008】
望ましくは、前記平紐を折り曲げて前記取っ手紐を形成し、該取っ手紐を前記大シリンダーの外周面に送り込む取っ手紐形成装置を有し、該取っ手紐形成装置が前記大シリンダーと同期して駆動される。
【0009】
この場合、前記取っ手紐形成装置に向かって帯状平紐を搬送する紐送り装置と、該紐送り装置で搬送される帯状平紐を切断して前記平紐を形成する紐切断装置とを設置し、前記紐送り装置を駆動する駆動源及び前記大シリンダーを駆動する駆動源から独立した切断装置駆動用サーボモータによって前記紐切断装置を駆動するとよい。
【0010】
前記大シリンダーの外周面に臨んで、前記取っ手紐の外面に補強紙を供給する補強紙供給ロール、前記取っ手紐の貼り付け部に接着剤を塗布する糊付けロール、前記折り目付けロール、及び、前記取っ手紐の貼り付け部を前記折り返し線から折り返して前記補強紙の外面に重ねる折り返し装置が前記大シリンダーの回転方向下流側に順次設置され、前記大シリンダーの駆動軸に基準ギヤが取り付けられると共に調整ギヤが遊嵌され、前記取っ手紐形成装置の駆動軸が前記基準ギヤに連絡され、前記補強紙供給ロール、糊付けロール、折り目付けロール及び折り返し装置の駆動軸が前記調整ギヤに連絡され、前記基準ギヤに対して前記調整ギヤを周方向に位置調整して固定することにより、前記大シリンダーの外周面に対する前記補強紙供給ロール、糊付けロール、折り目付けロール及び折り返し装置の作用位置を周方向に調整することがある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の取っ手部材製造装置によれば、大シリンダーの外周面に、周方向における距離が異なる複数の受け溝が形成されているので、平紐をU字状に折り曲げた取っ手紐の長さが異なっても、折りくせ用メスを挿入する受け溝を変えることにより、取っ手紐の脚部に補強紙の上端に沿って折り返し線を形成することができ、この折り返し線から脚部を折り返して取っ手紐に重ねることにより、取っ手紐の正確な位置に補強紙を貼り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る取っ手部材の平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る製袋機の側面図である。
図3】本発明の実施形態を示す取っ手部材製造装置の側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る紐送り装置を示し、(イ)は正面図、(ロ)は側面図である。
図5】本発明の実施形態に係る紐切断装置を示し、(イ)は正面図、(ロ)は側面図である。
図6】本発明の実施形態に係る大シリンダーの展開図である。
図7】本発明の実施形態に係る大シリンダーの正面図である。
図8】本発明の実施形態に係る基準ギヤ及び調整ギヤの側面図である。
図9】本発明の実施形態に係る製袋機の取っ手部材製造装置を組み込んだ状態を示し、(イ)は側面図、(ロ)は正面図である。
図10】本発明の実施形態に係る製袋機の取っ手部材製造装置を引き出した状態における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る取っ手部材の平面図であり、図2は、実施形態に係る製袋機の側面図であり、図3は、実施形態を示す取っ手部材製造装置の側面図であり、図4は、実施形態に係る平紐送りローラを示し、(イ)は正面図、(ロ)は側面図であり、図5は、実施形態に係る紐切断装置を示し、(イ)は正面図、(ロ)は側面図であり、図6は、実施形態に係る大シリンダーの展開図であり、図7は、大シリンダーの正面図であり、図8は、実施形態に係る基準ギヤ及び調整ギヤの側面図であり、図9及び図10は、実施形態に係る製袋機の取っ手部材製造装置を組み込んだ状態及び引き出した状態を示す。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の取っ手部材製造装置1は、2種類の取っ手部材A,A’を製造することができる。取っ手部材A,A’は、平紐をU字状に折り曲げた取っ手紐a,a’の両側脚部の下端部を補強紙b,b’を貼り付けて成る。
取っ手紐a,a’は、平紐の両端部が同じ方向に直角に折り曲げられ、水平に延びる頂部の両側に同じ長さの脚部が形成されている。
取っ手部材Aの取っ手紐aは、幅10mm、長さ323mmの平紐を折り曲げたものであり、取っ手紐aの両側の脚部間の距離は90mm、脚部の補強紙bに対する貼り付け部a1の長さは35mmである。
取っ手部材A’の取っ手紐a’は、幅18mm、長さ370mmの平紐を折り曲げたものであり、取っ手紐a’の両側の脚部間の距離は90mm、脚部の補強紙bに対する貼り付け部a1’の長さは35mmである。
補強紙b,b’は、幅160~170mm、高さ52mmの長方形である。
【0015】
図2図5に示すように、本実施形態の取っ手部材製造装置1は製袋機Dに組み込まれる。
取っ手部材製造装置1は、帯紙巻回ドラムBから帯紙Cを引き出し、この帯紙Cを図示しない折り畳みロールで幅方向に折り畳んで形成された帯状平紐を送る紐送り装置2と、紐送り装置2で搬送される帯状平紐を切断する紐切断装置3と、紐切断装置3から送り込まれた平紐をU字状に折り曲げて取っ手紐a,a’を形成する取っ手紐形成装置4と、取っ手紐形成装置4から取っ手紐a,a’を受け取って外周面に載せ、回転に伴って取っ手紐a,a’を搬送する大シリンダー5と、大シリンダー5の外周面に臨んで、取っ手紐形成装置4よりも大シリンダー5の回転方向下流側に順次設置された補強紙供給ロール6、糊付けロール7、折り目付けロール8及び折り返し装置9とを備える。
【0016】
図4に示すように、紐送り装置2は、中心軸が平行で、外周面が対向する紐送り駆動ロール20及び紐送り従動ロール21を備える。紐送り駆動ロール20は紐搬送用サーボモータ22によって回転駆動され、紐搬送用サーボモータ22の回転数を数値制御することにより、紐送り駆動ロール20の周速を変更できる。
帯状平紐は紐送り駆動ロール20と紐送り従動ロール21との間を通過し、紐搬送用サーボモータ22の回転数を制御して紐送り駆動ロール20の周速を変更することにより、帯状平紐の搬送速度を調整できる。
【0017】
紐切断装置3は、紐送り装置2の搬送経路において、上記図示しない折り畳みロールよりも下流側に設置される。
図5に示すように、紐切断装置3は、中心軸が平行で、外周面が対向するカッターロール30及びカッター従動ロール31を備える。カッターロール30の外周囲の1か所には刃300が設けられる。
カッターロール30は、取っ手部材製造装置1の他の駆動源から独立した切断装置駆動用サーボモータ32によって回転駆動され、切断装置駆動用サーボモータ32の回転数を数値制御することによりカッターロール30の周速を変更することができる。
帯状平紐は、カッターロール30とカッター従動ロール31との間を通過し、カッターロール30の刃300が帯状平紐と接触する位置に達した時、帯状平紐が切断される。
従って、切断装置駆動用サーボモータ32の回転数を制御してカッターロール30の周速を、紐送り装置2による帯状平紐の搬送速度に対して変更することにより、切断される平紐の長さを変えることができる。
【0018】
取っ手紐形成装置4は、中心軸が平行であり、外周面が接して互いに逆回転する紐受けロール40及び筋付けロール41と、紐受けロール40の下部両側に周方向に沿って配置された一対のガイドレール42とを備える。
紐受けロール40及び筋付けロール41の回転中心は、大シリンダー5、補強紙供給ロール6、糊付けロール7及び折り目付けロール8の回転中心と平行である。
【0019】
紐受けロール40の外周面には、紐切断装置3で切断された平紐が中心軸と平行に送り込まれる。筋付けロール41の外周面の両側には一対のメス410が平紐を斜めに横切るように設けられ、平紐が紐受けロール40と筋付けロール41との間を通過する際に、メス410によって平紐の両端部を折り曲げるための折り曲げ線が形成される。
ガイドレール42は筋付けロール41よりも紐搬送方向の下流側に設けられ、紐受けロール40の外周面に載った平紐の両端部がガイドレール42を通過することにより、平紐が折り曲げ線からU字状に折り曲げられて取っ手紐a,a’が形成される。
また、紐受けロール40の外周面は大シリンダー5の外周面に臨み、紐受けロール40の外周面から大シリンダー5の外周面に取っ手紐a,a’が頂部を先にして受け渡される。
【0020】
図6に示すように、紐受けロール40と逆回転する大シリンダー5の外周面には、取っ手紐a,a’の上端両側部を引っ掛けて位置決めするための4対の位置決め部50が周方向に等間隔で設けられる。
大シリンダー5の外周面において、位置決め部50の外側には、それぞれ取っ手紐a,a’の脚部を嵌合する紐係合溝51が外周囲全長に亘って形成される。紐係合溝51の側縁に沿って幅調整ストリップ51aを嵌合・除去することにより、取っ手紐a,a’の幅に応じて紐係合溝51の幅を変更することができる。
また、各紐係合溝51の底部において、位置決め部50から距離を置いた位置に、それぞれ紐係合溝51の幅方向に沿う第1受け溝52a及び第2受け溝52bが間隔をあけて設けられる。位置決め部50と第1受け溝52aとの距離は、取っ手紐aの上端から補強紙bの上端までの距離に等しく、位置決め部50と第2受け溝52bとの距離は、取っ手紐a’の上端から補強紙b’の上端までの距離に等しい。
取っ手紐a,a’は、上端が位置決め部50に係止して周方向に位置決めされ、脚部が紐係合溝51に嵌合されて確実に第1受け溝52a及び第2受け溝52b上に位置する。
【0021】
補強紙供給ロール6、糊付けロール7及び折り目付けロール8は、大シリンダー5と逆回転し、その外周面は大シリンダー5の外周面と対向している。
補強紙供給ロール6は、補強紙b,b’を大シリンダー5の外周面に載せられた取っ手紐a,a’の外面に、長辺が第1受け溝52a及び第2受け溝52bと平行になるよう、且つ、取っ手紐a,a’の脚部の補強紙b,b’に対する貼り付け部a1,a1’が露出するよう受け渡す。
【0022】
糊付けロール7は、大シリンダー5の両側の紐係合溝51と対応する位置にそれぞれ設置される。糊付けロール7は、側面視で、円の直径に対して対称位置にある2本の平行な弦よりも外側部分を切り欠いた形状であって、糊付けロール7の外周面の円弧部分である糊塗布面70の周長は、取っ手紐a,a’の貼り付け部a1,a1’の長さである35mm程度とする。
糊付けロール7の糊塗布面70には接着剤が付着され、接着剤を含む糊塗布面70が大シリンダー5の外周面に接触すると、取っ手紐a,a’の脚部の補強紙b,b’から露出した貼り付け部a1,a1’に接着剤が塗布される。
【0023】
折り目付けロール8の外周面の両側において、外周囲の一か所には、第1受け溝52a及び第2受け溝52bと平行な折りくせ用メス80が突設される。
折り目付けロール8が回転して折りくせ用メス80が大シリンダー5の外周面と対向する位置に達すると、折りくせ用メス80は第1受け溝52a及び第2受け溝52bのいずれかに挿入される。この結果、大シリンダー5と折り目付けロール8とで挟まれた取っ手紐a,a’の両側の脚部には、接着剤が塗布された貼り付け部a1,a1’と補強紙b,b’との境界に沿って折り返し線が形成され、折り返し線よりも先端側が大シリンダー5の外周面からやや浮き上がる。
【0024】
折り返し装置9は、大シリンダー5の中心軸と平行な軸を揺動中心として、大シリンダー5の回転方向に沿って往復揺動する揺動アーム90と、揺動アーム90の先端に設けられて大シリンダー5の中心軸と平行に延びる折り返しバー91とを備える。
揺動アーム90の揺動に伴って、折り返しバー91は大シリンダー5の外周面から僅かに離れた位置を最接近点として往復動する。そして、折り返しバー91が大シリンダー5の回転方向上流側から下流側に向かって移動する際に、取っ手紐a,a’の貼り付け部a1,a1’を折り返し線から補強紙b,b’の外面に折り返し、貼り付け部a1,a1’を補強紙b,b’に貼り付ける。
【0025】
大シリンダー5を回転させる駆動軸53は駆動用サーボモータ10(図3)の出力軸に連絡される。駆動用サーボモータ10は、紐搬送用サーボモータ22によって駆動される紐送り装置2と同期して大シリンダー5を回転させる。
図7に示すように、大シリンダー5の駆動軸53には、基準ギヤ54が取り付けられると共に、調整ギヤ55が遊嵌される。
図8に示すように、基準ギヤ54と調整ギヤ55とは重ねて設置され、調整ギヤ55には周方向に長い長孔550が形成される。基準ギヤ54を貫通して調整ギヤ55の長孔550に挿通した固定ボルト551を、長孔550内で摺動させて締め付けることにより、基準ギヤ54と調整ギヤ55の周方向における相対位置を調整して固定することができ、駆動用サーボモータ10が駆動軸53を回動させると、基準ギヤ54と調整ギヤ55は連動して回転する。
【0026】
取っ手紐形成装置4の紐受けロール40及び筋付けロール41の駆動軸は基準ギヤ54に連絡される。
また、補強紙供給ロール6、糊付けロール7、折り目付けロール8、及び、折り返し装置9の揺動アーム90の駆動軸は調整ギヤ55に連絡される。
従って、取っ手紐形成装置4、補強紙供給ロール6、糊付けロール7、折り目付けロール8及び折り返し装置9は大シリンダー5と同期して駆動され、大シリンダー5の外周面に送り込まれた取っ手紐a,a’に補強紙b,b’を貼り付ける。
【0027】
基準ギヤ54と調整ギヤ55の相対位置を変えることにより、調整ギヤ55と補強紙供給ロール6、糊付けロール7、折り目付けロール8、折り返し装置9とを連絡するギヤを交換することなく、基準ギヤ54が固定された大シリンダー5の外周面に対して、補強紙供給ロール6、糊付けロール7、折り目付けロール8及び折り返し装置9の作用位置を周方向に調整できる。
長さ323mmの平紐を折り曲げた取っ手紐aを大シリンダー5の外周面に供給する場合は、基準ギヤ54と調整ギヤ55とを固定する固定ボルト551を長孔550の一端に位置させ、長さ370mmの平紐を折り曲げた取っ手紐a’を大シリンダー5の外周面に供給する場合は、基準ギヤ54と調整ギヤ55とを固定する固定ボルト551を長孔550の他端に位置させる。
【0028】
すると、大シリンダー5の外周面に供給された取っ手紐a,a’が、長さ323mmの平紐を折り曲げた取っ手紐aであっても、長さ370mmの平紐を折り曲げた取っ手紐a’であっても、補強紙供給ロール6は、取っ手紐a,a’の外面において、脚部の貼り付け部を露出させた位置に補強紙b,b’を載せ、糊付けロール7は、脚部の貼り付け部に接着剤を塗布し、折り目付けロール8は、折りくせ用メス80が第1受け溝52aは第2受け溝52bに挿入され、脚部の貼り付け部a1,a1’と補強紙b,b’との境界に沿って折り返し線を形成し、折り返し装置9は、貼り付け部a1,a1’を折り返し線から折り返して補強紙b,b’の外面に重ねる。
【0029】
図9に示すように、取っ手部材製造装置1は、一対並設されてフレーム11に搭載され、このフレーム11が製袋機Dに組み込まれる。
フレーム11は、レール12上を摺動して製袋機Dの本体に接離可能であり、袋製造時には、フレーム11を製袋機Bの本体に接近させて、取っ手部材製造装置1をストッパ13により製袋機Dの本体に固定する。そして、取っ手部材製造装置1で作られた取っ手部材A,A’は製袋機Dの本体に送られ、展開した袋用紙の袋口に取り付けられる。
【0030】
紐送り装置2は紐搬送用サーボモータ22で駆動され、紐切断装置3は切断装置駆動用サーボモータ32で駆動され、大シリンダー5の駆動軸53、基準ギヤ54及び調整ギヤ55は駆動用サーボモータ10で駆動され、製袋機Dの駆動源と連結されていないので、ストッパ13を外してフレーム11に設けられたハンドル14を回すと、図10に示すように、フレーム11とともに取っ手部材製造装置1を製袋機Dの本体から引き出すことができる。
取っ手部材製造装置1を製袋機Dの本体から引き出すと、取っ手部材製造装置1の周囲に広いスペースを確保できるので、各サーボモータの周速の調整、基準ギヤ54と調整ギヤ55の位置調整、紐係合溝51への幅調整ストリップ51aの着脱等の作業がしやすい。
【0031】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、以下のようなものも含まれる。
【0032】
取っ手紐を形成する平紐の幅や長さ、貼り付け部の長さ、補強紙の寸法は適宜変更することができる。
【0033】
本実施形態では、大シリンダーの外周面に、位置決め部、第1受け溝及び第2受け溝がそれぞれ4対ずつ形成されているが、これより多く、或いは少なくしてもよい。
【0034】
本実施形態では、周方向に距離をあけて第1受け溝及び第2受け溝が形成されているが、これより多くの受け溝を形成して、3種類以上の長さが異なる取っ手紐に補強紙を貼り付けることもできる。この場合、基準ギヤと調整ギヤとは、受け溝の数に応じた数の調整位置で位置決めできるようにする。
【0035】
本実施形態では、長孔に対して固定ボルトを摺動させることにより、基準ギヤと調整ギヤとの位置調整を行なっているが、その他の構造とすることもできる。例えば、基準ギヤ及び調整ギヤのいずれかに複数のボルト挿通孔を周方向に並べて設けてもよい。
【符号の説明】
【0036】
A,A’ 取っ手部材
a,a’ 取っ手紐
b,b’ 補強紙
B 帯紙巻回ドラム
C 帯紙
D 製袋機
1 取っ手部材製造装置
2 紐送り装置
20 紐送り駆動ロール
21 紐送り従動ロール
22 紐搬送用サーボモータ
3 紐切断装置
30 カッターロール
300 刃
31 カッター従動ロール
32 切断装置駆動用サーボモータ
4 取っ手紐形成装置
40 紐受けロール
41 筋付けロール
42 ガイドレール
5 大シリンダー
50 位置決め部
51 紐係合溝
51a 幅調整ストリップ
52a 第1受け溝
52b 第2受け溝
53 駆動軸
54 基準ギヤ
55 調整ギヤ
550 長孔
551 固定ボルト
6 補強紙供給ロール
7 糊付けロール
70 糊塗布面
8 折り目付けロール
80 折りくせ用メス
9 折り返し装置
90 揺動アーム
91 折り返しバー
10 駆動用サーボモータ
11 フレーム
12 レール
13 ストッパ
14 ハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10