(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184501
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 35/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B62J35/00 F
B62J35/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092397
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敢
(57)【要約】
【課題】複数の部材を組み立てることにより構成され、ニーグリップに対する剛性が比較的高く、部材同士の接続部分において共振が生じにくいタンクカバーを備えた鞍乗型車両を提供すること。
【解決手段】自動二輪車50のタンクカバー3は、センターカバー10、左サイドカバー20L、および右サイドカバー20Rを組み立てることにより構成されている。センターカバー10は、左サイドカバー20Lに接続された左接続部11Lと、右サイドカバー20Rに接続された右接続部11Rとを有している。センターカバー10は樹脂により形成されている。左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rは金属により形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートと、
前記シートの前方に配置された燃料タンクと、
前記シートの前方に配置され、前記燃料タンクの少なくとも一部を覆うタンクカバーと、を備え、
前記タンクカバーは、センターカバーと、前記センターカバーの左方に配置された左サイドカバーと、前記センターカバーの右方に配置された右サイドカバーと、を有し、
前記左サイドカバーは、前記燃料タンクの左方に位置する左側壁を有し、
前記右サイドカバーは、前記燃料タンクの右方に位置する右側壁を有し、
前記センターカバーは、前記左サイドカバーに接続された左接続部と、前記右サイドカバーに接続された右接続部と、を有し、
前記センターカバーは樹脂により形成され、前記左サイドカバーおよび前記右サイドカバーは金属により形成されている、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記燃料タンクは、タンク上壁と、前記タンク上壁の左方に位置するタンク左側壁と、前記タンク上壁の右方に位置するタンク右側壁と、を有し、
前記センターカバーは、前記タンク上壁の上方に配置された中央上壁を有し、
前記左サイドカバーは、前記左側壁から右方に延び、前記タンク上壁の上方に配置された左上壁を有し、
前記右サイドカバーは、前記右側壁から左方に延び、前記タンク上壁の上方に配置された右上壁を有し、
前記中央上壁は、車両平面視において前記左上壁と重なる第1左縁部と、車両平面視において前記右上壁と重なる第1右縁部と、を有し、
前記左上壁は、車両平面視において前記中央上壁と重なる第2右縁部を有し、
前記右上壁は、車両平面視において前記中央上壁と重なる第2左縁部を有し、
前記センターカバーの前記左接続部は、前記第1左縁部に備えられ、かつ、前記左サイドカバーの前記第2右縁部に接続され、
前記センターカバーの前記右接続部は、前記第1右縁部に備えられ、かつ、右サイドカバーの前記第2左縁部に接続されている、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記センターカバーの前記左接続部と前記左サイドカバーの前記第2右縁部とを締結する下方に延びる第1左ボルトと、
前記センターカバーの前記右接続部と前記右サイドカバーの前記第2左縁部とを締結する下方に延びる第1右ボルトと、を備えている、請求項2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記センターカバーの前記第1左縁部は、車両平面視において前記左サイドカバーの前記第2右縁部と重なり、かつ、前記第2右縁部の上方に配置されており、
前記センターカバーの前記第1右縁部は、車両平面視において前記右サイドカバーの前記第2左縁部と重なり、かつ、前記第2左縁部の上方に配置されている、請求項2または3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記左サイドカバーの前記第2右縁部は、前記センターカバーの前記第1左縁部と接触する第1接触面を有し、
前記右サイドカバーの前記第2左縁部は、前記センターカバーの前記第1右縁部と接触する第2接触面を有し、
前記センターカバーの前記第1左縁部は、前記第1接触面よりも左方に位置し、かつ、車両側面視において前記第1接触面と重なる左端部を有し、
前記センターカバーの前記第1右縁部は、前記第2接触面よりも右方に位置し、かつ、車両側面視において前記第2接触面と重なる右端部を有している、請求項4に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記センターカバーの前記第1左縁部は、前記左接続部よりも左方に位置し、かつ、車両側面視において前記左接続部と重なる左端部を有し、
前記センターカバーの前記第1右縁部は、前記右接続部よりも右方に位置し、かつ、車両側面視において前記右接続部と重なる右端部を有している、請求項4または5に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記タンク上壁に固定されたステーと、
前記左サイドカバーと前記ステーとを締結する下方に延びる第2左ボルトと、
前記右サイドカバーと前記ステーとを締結する下方に延びる第2右ボルトと、
を備えている、請求項4~6のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記第2左ボルトは、前記左サイドカバーの第2右縁部よりも上方に位置するボルト頭部を有し、
前記第2右ボルトは、前記右サイドカバーの第2左縁部よりも上方に位置するボルト頭部を有し、
前記センターカバーの第1左縁部は、前記第2左ボルトの前記ボルト頭部よりも左方に位置し、かつ、車両側面視において前記第2左ボルトの前記ボルト頭部と重なる左端部を有し
前記センターカバーの第1右縁部は、前記第2右ボルトの前記ボルト頭部よりも右方に位置し、かつ、車両側面視において前記第2右ボルトの前記ボルト頭部と重なる右端部を有している、請求項7に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記センターカバーの前記左端部および/または前記右端部は、下方に向けて曲がっている、請求項5、6、または8に記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記左サイドカバーの前記第2右縁部は、前記第2右縁部の右端から左方に延びる第1右部分と、前記第1右部分の左方かつ下方に位置し、左方に延びる第2右部分と、を有し、
前記右サイドカバーの前記第2左縁部は、前記第2左縁部の左端から右方に延びる第1左部分と、前記第1左部分の右方かつ下方に位置し、右方に延びる第2左部分と、を有し、
前記センターカバーの前記第1左縁部は、前記第1右部分よりも左方かつ下方、および、前記第2右部分よりも上方に位置する下端を有し、
前記センターカバーの前記第1右縁部は、前記第1左部分よりも右方かつ下方、および、前記第2左部分よりも上方に位置する下端を有している、請求項4~9のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記燃料タンクは、前記タンク上壁から上方に延びる筒部を有し、
前記筒部には、上方に開口する給油口が形成され、
前記センターカバーには、前記燃料タンクの前記筒部が挿入された穴が形成されている、請求項2~10のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項12】
前記給油口の中心は、車両中心線の右方または左方に位置している、請求項11に記載の鞍乗型車両。
【請求項13】
前記センターカバーは、単一の樹脂製の部材により形成されている、請求項1~12のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項14】
前記左サイドカバーおよび前記右サイドカバーは、それぞれ単一の金属製の部材により形成され、
車両側面視において、前記左サイドカバーおよび前記右サイドカバーは、前記燃料タンクの全体と重なっている、請求項1~13のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクを覆うタンクカバーを備えた鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料タンクを覆うタンクカバーを備えた鞍乗型車両が知られている。タンクカバーが単一の部材により一体成形される場合、タンクカバーを複雑な形状に形成することは難しい。これに対し、複数の部材を組み立てることによってタンクカバーを形成する場合、複雑な形状のタンクカバーであっても比較的容易に形成することができる。そこで、従来から、複数の部材が組み立てられて成るタンクカバーが知られている。
【0003】
特開2009-161016号公報には、センターカバーと、センターカバーの左方に配置された左サイドカバーと、センターカバーの右方に配置された右サイドカバーとにより構成されるタンクカバーが開示されている。センターカバーは樹脂により一体成形されている。タンクカバーを構成する各部材が樹脂製の場合、各部材の成形は容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タンクカバーがシートの前方に配置された鞍乗型車両の場合、シートに座るライダーは、両脚の膝でタンクカバーを挟む。すなわち、いわゆるニーグリップを行う。その際、タンクカバーはライダーの膝に押さえつけられる。ここで、タンクカバーの強度を高めるために、タンクカバーを構成する各部材を金属により形成することが考えられる。例えば、特開2009-161016号公報に開示されたタンクカバーにおいて、センターカバー、左サイドカバー、および右サイドカバーを金属製とすることが考えられる。
【0006】
燃料タンクはフレームに取り付けられており、タンクカバーは燃料タンクに取り付けられている。鞍乗型車両の走行時、エンジンの回転数によっては、エンジンから発生する固有振動がフレームを経由して燃料タンクに伝達する。これにより、燃料タンクに締結されているタンクカバーが振動する場合がある。センターカバーは左サイドカバーおよび右サイドカバーに接続されている。センターカバーは、左サイドカバーに接続された接続部分および右サイドカバーに接続された接続部分を有する。センターカバー、左サイドカバー、および右サイドカバーが金属製の場合、エンジンから発生する固有振動がタンクカバーに伝達したときに、センターカバーの接続部分において共振が生じ、乗り心地が低下する場合がある。
【0007】
本発明の目的は、複数の部材を組み立てることにより構成され、ニーグリップに対する剛性が比較的高く、部材同士の接続部分において共振が生じにくいタンクカバーを備えた鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示される鞍乗型車両は、シートと、前記シートの前方に配置された燃料タンクと、前記シートの前方に配置され、前記燃料タンクの少なくとも一部を覆うタンクカバーと、を備える。前記タンクカバーは、センターカバーと、前記センターカバーの左方に配置された左サイドカバーと、前記センターカバーの右方に配置された右サイドカバーと、を有している。前記左サイドカバーは、前記燃料タンクの左方に位置する左側壁を有している。前記右サイドカバーは、前記燃料タンクの右方に位置する右側壁を有している。前記センターカバーは、前記左サイドカバーに接続された左接続部と、前記右サイドカバーに接続された右接続部と、を有している。前記センターカバーは樹脂により形成され、前記左サイドカバーおよび前記右サイドカバーは金属により形成されている。
【0009】
上記鞍乗型車両によれば、タンクカバーは、少なくともセンターカバー、左サイドカバー、および右サイドカバーを組み立てることにより構成されている。タンクカバーが複雑な形状であっても、タンクカバーを比較的容易に形成することができる。ニーグリップの際に左側壁および右側壁はライダーの膝に押さえつけられるが、左側壁を有する左サイドカバーおよび右側壁を有する右サイドカバーは金属製である。よって、タンクカバーのニーグリップに対する剛性を高めることができる。一方、左サイドカバーおよび右サイドカバーは金属製であるが、センターカバーは樹脂製である。センターカバーの振動特性と、左サイドカバーおよび右サイドカバーの振動特性とは、比較的大きく異なる。よって、センターカバーの左接続部および右接続部において、共振は生じにくい。
【0010】
前記燃料タンクは、タンク上壁と、前記タンク上壁の左方に位置するタンク左側壁と、前記タンク上壁の右方に位置するタンク右側壁と、を有していてもよい。前記センターカバーは、前記タンク上壁の上方に配置された中央上壁を有していてもよい。前記左サイドカバーは、前記左側壁から右方に延び、前記タンク上壁の上方に配置された左上壁を有していてもよい。前記右サイドカバーは、前記右側壁から左方に延び、前記タンク上壁の上方に配置された右上壁を有していてもよい。前記中央上壁は、車両平面視において前記左上壁と重なる第1左縁部と、車両平面視において前記右上壁と重なる第1右縁部と、を有していてもよい。前記左上壁は、車両平面視において前記中央上壁と重なる第2右縁部を有していてもよい。前記右上壁は、車両平面視において前記中央上壁と重なる第2左縁部を有していてもよい。前記センターカバーの前記左接続部は、前記第1左縁部に備えられ、かつ、前記左サイドカバーの前記第2右縁部に接続されていてもよい。前記センターカバーの前記右接続部は、前記第1右縁部に備えられ、かつ、右サイドカバーの前記第2左縁部に接続されていてもよい。
【0011】
このことにより、センターカバー、左サイドカバー、および右サイドカバーは、比較的容易に形成することができる。また、センターカバー、左サイドカバー、および右サイドカバーを比較的容易に組み立てることができる。
【0012】
前記鞍乗型車両は、前記センターカバーの前記左接続部と前記左サイドカバーの前記第2右縁部とを締結する下方に延びる第1左ボルトと、前記センターカバーの前記右接続部と前記右サイドカバーの前記第2左縁部とを締結する下方に延びる第1右ボルトと、を備えていてもよい。
【0013】
このことにより、第1左ボルトを下方に向けて締結することにより、センターカバーと左サイドカバーとを接続することができる。第1右ボルトを下方に向けて締結することにより、センターカバーと右サイドカバーとを接続することができる。センターカバー、左サイドカバー、および右サイドカバーを比較的容易に組み立てることができる。
【0014】
前記センターカバーの前記第1左縁部は、車両平面視において前記左サイドカバーの前記第2右縁部と重なり、かつ、前記第2右縁部の上方に配置されていてもよい。前記センターカバーの前記第1右縁部は、車両平面視において前記右サイドカバーの前記第2左縁部と重なり、かつ、前記第2左縁部の上方に配置されていてもよい。
【0015】
このことにより、樹脂製のセンターカバーの第1左縁部により、金属製の左サイドカバーの第2右縁部を隠すことができる。樹脂製のサイドカバーの第1右縁部により、金属製の右サイドカバーの第2左縁部を隠すことができる。
【0016】
前記左サイドカバーの前記第2右縁部は、前記センターカバーの前記第1左縁部と接触する第1接触面を有していてもよい。前記右サイドカバーの前記第2左縁部は、前記センターカバーの前記第1右縁部と接触する第2接触面を有していてもよい。前記センターカバーの前記第1左縁部は、前記第1接触面よりも左方に位置し、かつ、車両側面視において前記第1接触面と重なる左端部を有していてもよい。前記センターカバーの前記第1右縁部は、前記第2接触面よりも右方に位置し、かつ、車両側面視において前記第2接触面と重なる右端部を有していてもよい。
【0017】
このことにより、第1接触面の左方はセンターカバーの左端部によって隠され、第2接触面の右方はセンターカバーの右端部によって隠される。センターカバーの左端部により、センターカバーの第1左縁部と左サイドカバーの第2右縁部との隙間に埃や水が侵入することを抑制することができる。センターカバーの右端部により、センターカバーの第1右縁部と右サイドカバーの第2左縁部との隙間に埃や水が侵入することを抑制することができる。また、センターカバーと左サイドカバーとの合面である第1接触面、および、センターカバーと右サイドカバーとの合面である第2接触面が側方から視認されないので、見栄えが良い。
【0018】
前記センターカバーの前記第1左縁部は、前記左接続部よりも左方に位置し、かつ、車両側面視において前記左接続部と重なる左端部を有していてもよい。前記センターカバーの前記第1右縁部は、前記右接続部よりも右方に位置し、かつ、車両側面視において前記右接続部と重なる右端部を有していてもよい。
【0019】
このことにより、センターカバーの左接続部の左方はセンターカバーの左端部によって隠され、センターカバーの右接続部の右方はセンターカバーの右端部によって隠される。センターカバーの左端部によって、センターカバーの左接続部の周囲に埃や水が侵入することを抑制することができる。センターカバーの右端部によって、センターカバーの右接続部の周囲に埃や水が侵入することを抑制することができる。また、センターカバーの左接続部および右接続部が側方から視認されないので、見栄えが良い。
【0020】
前記鞍乗型車両は、前記タンク上壁に固定されたステーと、前記左サイドカバーと前記ステーとを締結する下方に延びる第2左ボルトと、前記右サイドカバーと前記ステーとを締結する下方に延びる第2右ボルトと、を備えていてもよい。
【0021】
このことにより、第2左ボルトを締結することにより、燃料タンクに対して左サイドカバーを容易に取り付けることができる。第2右ボルトを締結することにより、燃料タンクに対して右サイドカバーを容易に取り付けることができる。
【0022】
前記第2左ボルトは、前記左サイドカバーの第2右縁部よりも上方に位置するボルト頭部を有していてもよい。前記第2右ボルトは、前記右サイドカバーの第2左縁部よりも上方に位置するボルト頭部を有していてもよい。前記センターカバーの第1左縁部は、前記第2左ボルトの前記ボルト頭部よりも左方に位置し、かつ、車両側面視において前記第2左ボルトの前記ボルト頭部と重なる左端部を有していてもよい。前記センターカバーの第1右縁部は、前記第2右ボルトの前記ボルト頭部よりも右方に位置し、かつ、車両側面視において前記第2右ボルトの前記ボルト頭部と重なる右端部を有していてもよい。
【0023】
このことにより、第2左ボルトのボルト頭部の左方はセンターカバーの左端部によって隠され、第2右ボルトのボルト頭部の右方はセンターカバーの右端部によって隠される。センターカバーの左端部により、第2左ボルトの周囲に埃や水が侵入することを抑制することができる。センターカバーの右端部により、第2右ボルトの周囲に埃や水が侵入することを抑制することができる。また、第2左ボルトおよび第2右ボルトのボルト頭部が側方から視認されないので、見栄えが良い。
【0024】
前記センターカバーの前記左端部および/または前記右端部は、下方に向けて曲がっていてもよい。
【0025】
このようにセンターカバーの左端部が下方に向けて曲がっていることにより、左端部は、左端部よりも右方の領域を隠しやすい。サイドカバーの右端部が下方に向けて曲がっていることにより、右端部は、右端部よりも左方の領域を隠しやすい。なお、センターカバーは樹脂製であるので、下方に向けて曲がった左端部および右端部を比較的容易に形成することができる。
【0026】
前記左サイドカバーの前記第2右縁部は、前記第2右縁部の右端から左方に延びる第1右部分と、前記第1右部分の左方かつ下方に位置し、左方に延びる第2右部分と、を有していてもよい。前記右サイドカバーの前記第2左縁部は、前記第2左縁部の左端から右方に延びる第1左部分と、前記第1左部分の右方かつ下方に位置し、右方に延びる第2左部分と、を有していてもよい。前記センターカバーの前記第1左縁部は、前記第1右部分よりも左方かつ下方、および、前記第2右部分よりも上方に位置する下端を有していてもよい。前記センターカバーの前記第1右縁部は、前記第1左部分よりも右方かつ下方、および、前記第2左部分よりも上方に位置する下端を有していてもよい。
【0027】
このことにより、センターカバーと左サイドカバーとの間、および、センターカバーと右サイドカバーとの間から埃や水が侵入しにくくなる。
【0028】
前記燃料タンクは、前記タンク上壁から上方に延びる筒部を有していてもよい。前記筒部には、上方に開口する給油口が形成されていてもよい。前記センターカバーには、前記燃料タンクの前記筒部が挿入された穴が形成されていてもよい。
【0029】
センターカバーは左サイドカバーおよび右サイドカバーとは別体であり、樹脂製であるので、燃料タンクの筒部に適合した穴を容易に形成することができる。
【0030】
前記給油口の中心は、車両中心線の右方または左方に位置していてもよい。
【0031】
前記センターカバーは、単一の樹脂製の部材により形成されていてもよい。
【0032】
前記左サイドカバーおよび前記右サイドカバーは、それぞれ単一の金属製の部材により形成されていてもよい。車両側面視において、前記左サイドカバーおよび前記右サイドカバーは、前記燃料タンクの全体と重なっていてもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、複数の部材を組み立てることにより構成され、ニーグリップに対する剛性が比較的高く、部材同士の接続部分において共振が生じにくいタンクカバーを備えた鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【
図7】左サイドカバー、右サイドカバー、および燃料タンクの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、実施形態について説明する。
図1は、鞍乗型車両の一例である自動二輪車50の左側面図である。
【0036】
以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、乗員が乗車せずかつ荷物が載せられていない自動二輪車50が水平面上に直立した状態で停止している場合に、シート1に着座した仮想的な乗員から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図中のF、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。
【0037】
前方とは、車両中心線CL(
図4参照)に沿って水平に前向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。後方とは、車両中心線CLに沿って水平に後向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。左方とは、車両中心線CLに垂直な線に沿って水平に左向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。右方とは、車両中心線CLに垂直な線に沿って水平に右向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。上方とは、鉛直線に沿って上向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。下方とは、鉛直線に沿って下向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。
【0038】
自動二輪車50は、ヘッドパイプ61を有する車体フレーム62と、内燃機関63と、前輪64と、後輪65と、燃料タンク2と、燃料タンク2の少なくとも一部を覆うタンクカバー3と、シート1と、を備えている。
【0039】
ヘッドパイプ61には、ステアリング軸(図示せず)が左右に回転可能に支持されている。ステアリング軸にはハンドルバー66が固定されている。また、ステアリング軸にはフロントフォーク67が接続されている。前輪64はフロントフォーク67に回転可能に支持されている。後輪65はリアアーム68の後端部に回転可能に支持されている。リアアーム68の前端部は、ピボット軸(図示せず)により車体フレーム62に接続されている。リアアーム68は、車体フレーム62に上下に揺動可能に支持されている。内燃機関63は車体フレーム62に支持されている。内燃機関63と後輪65とは、チェーン等の動力伝達部材(図示せず)により連結されている。
【0040】
燃料タンク2、タンクカバー3、およびシート1は、車体フレーム62に支持されている。燃料タンク2およびタンクカバー3は、シート1の前方に配置されている。燃料タンク2およびタンクカバー3は、内燃機関63の上方に配置されている。
【0041】
図2は燃料タンク2の斜視図である。燃料タンク2は、タンク上壁2Uと、タンク上壁2Uの左方に位置するタンク左壁2Lと、タンク上壁2Uの右方に位置するタンク右壁2Rと、タンク上壁2Uの前方に位置するタンク前壁2Fと、タンク上壁2Uの後方に位置するタンク後壁2Bと、を有している。燃料タンク2は、タンク上壁2Uから上方に延びる筒部2Aを有している。筒部2Aには、上方に開口する給油口2aが形成されている。
【0042】
タンク上壁2Uには、ステー4が固定されている。ここでは、タンク上壁2Uに3つのステー4が固定されている。ただし、ステー4の数は3つに限定されない。各ステー4は左右方向に延びている。3つのステー4は前後に並んでいる。
【0043】
図3、
図4、
図5、
図6は、それぞれタンクカバー3の左側面図、平面図、正面図、背面図である。本実施形態に係るタンクカバー3は、複数の部材を組み立てることにより構成されている。
図4に示すように、タンクカバー3は、複数の部材として、センターカバー10と、センターカバー10の左方に配置された左サイドカバー20Lと、センターカバー10の右方に配置された右サイドカバー20Rとを有している。タンクカバー3は、センターカバー10、左サイドカバー20L、および右サイドカバー20Rを組み立てることにより構成されている。
図7は、左サイドカバー20L、右サイドカバー20R、および燃料タンク2の平面図である。
図7は、タンクカバー3からセンターカバー10を取り外したときの状態を表している。
【0044】
図示は省略するが、左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rは、車体フレーム62に設けられたステーに固定されている。左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rは、車体フレーム62に支持されている。左サイドカバー20Lは燃料タンク2の全体の左方を覆っており、右サイドカバー20Rは燃料タンク2の全体の右方を覆っている。車両側面視において、左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rは、燃料タンク2の全体と重なっている(
図1参照)。
【0045】
センターカバー10は樹脂により形成されている。センターカバー10は、複数の樹脂製の部材を組み合わせることによって形成されていてもよいが、本実施形態では、単一の樹脂製の部材により形成されている。センターカバー10は、樹脂により一体成形されている。センターカバー10の具体的材料は特に限定されないが、例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PP(ポリプロピレン)、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)等により形成することができる。左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rは金属により形成されている。左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rの各々は、複数の金属製の部材を組み合わせることによって形成されていてもよいが、本実施形態では、単一の金属製の部材により形成されている。左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rの具体的材料は特に限定されないが、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等により形成することができる。
【0046】
自動二輪車50の走行時に、ライダーはニーグリップを行う。シート1に座るライダーは、自動二輪車50の走行中に、両脚の膝でタンクカバー3を挟み込む。左サイドカバー20Lは、燃料タンク2の左方に位置する左側壁21Lを有する。右サイドカバー20Rは、燃料タンク2の右方に位置する右側壁21Rを有する。ニーグリップの際に、左側壁21Lはライダーの左膝に押さえつけられ、右側壁21Rはライダーの右膝に押さえつけられる。
【0047】
図4に示すように、センターカバー10は、燃料タンク2のタンク上壁2Uの上方に配置された中央上壁12を有する。中央上壁12には、燃料タンク2の筒部2Aが挿入された穴10hが形成されている。燃料タンク2の給油口2aには、着脱可能な蓋15が嵌め込まれている。本実施形態では、給油口2aの中心2cは、車両中心線CLからずれている。給油口2aの中心2cは、車両中心線CLの右方に位置している。ただし、特に限定されない。給油口2aの中心2cは、車両中心線CLの左方に位置していてもよい。給油口2aの中心2cは、車両中心線CL上に位置していてもよい。
【0048】
中央上壁12は、車両平面視において左サイドカバー20Lと重なる第1左縁部13Lと、車両平面視において右サイドカバー20Rと重なる第1右縁部13Rとを有している。センターカバー10は、左サイドカバー20Lに接続された複数の左接続部11Lと、右サイドカバー20Rに接続された複数の右接続部11Rとを有している。左接続部11Lは第1左縁部13Lに備えられている。右接続部11Rは第1右縁部13Rに備えられている。
【0049】
図7に示すように、左サイドカバー20Lは、左側壁21Lから右方に延びる左上壁22Lを有している。左上壁22Lは、燃料タンク2のタンク上壁2Uの上方に配置されている。左上壁22Lは、車両平面視においてセンターカバー10の中央上壁12と重なる第2右縁部23Lを有している。
図4に示すように、中央上壁12の第1左縁部13Lは、車両平面視において左上壁22Lの第2右縁部23Lと重なり、かつ、第2右縁部23Lの上方に配置されている。中央上壁12の左接続部11Lは、左上壁22Lの第2右縁部23Lに接続されている。
【0050】
図7に示すように、右サイドカバー20Rは、右側壁21Rから左方に延びる右上壁22Rを有している。右上壁22Rは、燃料タンク2のタンク上壁2Uの上方に配置されている。右上壁22Rは、車両平面視においてセンターカバー10の中央上壁12と重なる第2左縁部23Rを有している。
図4に示すように、中央上壁12の第1右縁部13Rは、車両平面視において右上壁22Rの第2左縁部23Rと重なり、かつ、第2左縁部23Rの上方に配置されている。中央上壁12の右接続部11Rは、右上壁22Rの第2左縁部23Rに接続されている。
【0051】
図4に示すように、センターカバー10は、複数の第1左ボルト31Lにより、左サイドカバー20Lに接続されている。第1左ボルト31Lは、センターカバー10の左接続部11Lと左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lとを締結している。センターカバー10は、複数の第1右ボルト31Rにより、右サイドカバー20Rに接続されている。第1右ボルト31Rは、センターカバー10の右接続部11Rと右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rとを締結している。第1左ボルト31Lおよび第1右ボルト31Rは、下方に延びている。
【0052】
図8は、
図4のVIII-VIII線断面図である。左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lは、センターカバー10の第1左縁部13Lと接触する第1接触面23LSを有している。センターカバー10の左接続部11Lは、左サイドカバー20Lの第1接触面23LSと接触している部分であり、第1左ボルト31Lの周囲の部分である。センターカバー10の第1左縁部13Lは、下方に向けて曲がった左端部13Laを有している。
【0053】
センターカバー10の左端部13Laは、第1接触面23LSよりも左方に位置し、かつ、車両側面視において第1接触面23LSと重なっている(
図3参照)。左端部13Laは、第1接触面23LSの左方を覆っている。左方から見て、左端部13Laは第1接触面23LSを隠している。また、左端部13Laは、左接続部11Lよりも左方に位置し、かつ、車両側面視において左接続部11Lと重なっている。左端部13Laは左接続部11Lの左方を覆っている。左方から見て、左端部13Laは左接続部11Lを隠している。また、左方から見て、左端部13Laは左サイドカバー20Lの右端23Leを隠している。左サイドカバー20Lの右端23Leは、タンクカバー3の外部から視認できないようになっている。
【0054】
左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lは、第2右縁部23Lの右端23Leから左方に延びる第1右部分231Lと、第1右部分231Lの左方かつ下方に位置し、左方に延びる第2右部分232Lとを有している。センターカバー10の第1左縁部13Lの下端13Leは、第1右部分231Lよりも左方かつ下方、および、第2右部分232Lよりも上方に位置している。第1左縁部13Lの下端13Leは、第2右部分232Lから離間している。
【0055】
図9は、
図4のIX-IX線断面図である。
図9に示す断面の構成は、
図8に示す前述の断面の構成と左右対称である。すなわち、右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rは、センターカバー10の第1右縁部13Rと接触する第2接触面23RSを有している。センターカバー10の右接続部11Rは、右サイドカバー20Rの第2接触面23RSと接触している部分であり、第1右ボルト31Rの周囲の部分である。センターカバー10の第1右縁部13Rは、下方に向けて曲がった右端部13Raを有している。
【0056】
センターカバー10の右端部13Raは、第2接触面23RSよりも右方に位置し、かつ、車両側面視において第2接触面23RSと重なっている。右端部13Raは、第2接触面23RSの右方を覆っている。右方から見て、右端部13Raは第2接触面23RSを隠している。また、右端部13Raは、右接続部11Rよりも右方に位置し、かつ、車両側面視において右接続部11Rと重なっている。右端部13Raは右接続部11Rの右方を覆っている。右方から見て、右端部13Raは右接続部11Rを隠している。また、右方から見て、右端部13Raは右サイドカバー20Rの左端23Reを隠している。右サイドカバー20Rの左端23Reは、タンクカバー3の外部から視認できないようになっている。
【0057】
右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rは、第2左縁部23Rの左端23Reから右方に延びる第1左部分231Rと、第1左部分231Rの右方かつ下方に位置し、右方に延びる第2左部分232Rとを有している。センターカバー10の第1右縁部13Rの下端13Reは、第1左部分231Rよりも右方かつ下方、および、第2左部分232Rよりも上方に位置している。第1右縁部13Rの下端13Reは、第2左部分232Rから離間している。
【0058】
左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rは、ステー4を介して燃料タンク2に固定されている。
図7に示すように、左サイドカバー20Lは、第2左ボルト32Lによりステー4に接続されている。第2左ボルト32Lは、左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lとステー4とを締結している。右サイドカバー20Rは、第2右ボルト32Rによりステー4に接続されている。第2右ボルト32Rは、右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rとステー4とを締結している。第2左ボルト32Lおよび第2右ボルト32Rは、下方に延びている。
【0059】
図10は、
図4のX-X線断面図である。なお、
図7においても同様の位置にX-X線を表している。第2左ボルト32Lは、左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lよりも上方に位置するボルト頭部32Ltを有している。ここでは、ボルト頭部32Ltは、断面が六角形状に形成されている。センターカバー10の第1左縁部13Lは、下方に向けて曲がった左端部13Lbを有している。左端部13Lbは、ボルト頭部32Ltよりも左方に位置し、かつ、車両側面視においてボルト頭部32Ltと重なっている(
図3参照)。左端部13Lbは、ボルト頭部32Ltの左方を覆っている。
図10に示す断面においても、センターカバー10の第1左縁部13Lの下端13Leは、左サイドカバー20Lの第1右部分231Lよりも左方かつ下方、および、第2右部分232Lよりも上方に位置している。第1左縁部13Lの下端13Leは、第2右部分232Lから離間している。
【0060】
図11は、
図4のXI-XI線断面図である。
図11に示す断面の構成は、
図10に示す前述の断面の構成と左右対称である。すなわち、第2右ボルト32Rは、右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rよりも上方に位置するボルト頭部32Rtを有している。ここでは、ボルト頭部32Rtは、断面が六角形状に形成されている。センターカバー10の第1右縁部13Rは、下方に向けて曲がった右端部13Rbを有している。右端部13Rbは、ボルト頭部32Rtよりも右方に位置し、かつ、車両側面視においてボルト頭部32Rtと重なっている。右端部13Rbは、ボルト頭部32Rtの右方を覆っている。
図11に示す断面においても、センターカバー10の第1右縁部13Rの下端13Reは、右サイドカバー20Rの第1左部分231Rよりも右方かつ下方、および、第2左部分232Rよりも上方に位置している。第1右縁部13Rの下端13Reは、第2左部分232Rから離間している。
【0061】
図5に示すように、センターカバー10は、前述の左接続部11Lおよび右接続部11Rに加えて、左サイドカバー20Lに接続された他の左接続部11LFと、右サイドカバー20Rに接続された他の右接続部11RFとを備えている。左接続部11LFおよび右接続部11RFは、センターカバー10の前壁17に設けられている。左接続部11LFは左サイドカバー20Lに対して、前方から重ねられている。右接続部11RFは右サイドカバー20Rに対して、前方から重ねられている。左接続部11LFと左サイドカバー20Lとは、左ボルト31LFによって接続されている。右接続部11RFと右サイドカバー20Rとは、右ボルト31RFによって接続されている。左ボルト31LFおよび右ボルト31RFは後方に延びている。
【0062】
図6に示すように、センターカバー10は、左サイドカバー20Lに接続された他の左接続部11LBと、右サイドカバー20Rに接続された他の右接続部11RBとを備えている。左接続部11LBおよび右接続部11RBは、センターカバー10の後壁18に設けられている。左接続部11LBは左サイドカバー20Lに対して、後方から重ねられている。右接続部11RBは右サイドカバー20Rに対して、後方から重ねられている。左接続部11LBと左サイドカバー20Lとは、左ボルト31LBによって接続されている。右接続部11RBと右サイドカバー20Rとは、右ボルト31RBによって接続されている。左ボルト31LBおよび右ボルト31RBは前方に延びている。
【0063】
タンクカバー3では、センターカバー10と左サイドカバー20Lとは直接接続され、センターカバー10と右サイドカバー20Rとは直接接続されている。センターカバー10と左サイドカバー20Lとの間に燃料タンク2は介在しておらず、センターカバー10と右サイドカバー20Rとの間に燃料タンク2は介在していない。左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rは、ステー4を介して燃料タンク2に接続されている。センターカバー10は、燃料タンク2に接続されていない。センターカバー10は、左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rを介して燃料タンク2に接続されている。
【0064】
以上が自動二輪車50の構成である。次に、本実施形態に係る自動二輪車50によってもたらされる様々な効果について説明する。
【0065】
自動二輪車50によれば、タンクカバー3は、樹脂製のセンターカバー10と、金属製の左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rとを組み立てることにより形成されている。よって、タンクカバー3が複雑な形状であっても、比較的容易に形成することができる。
【0066】
ライダーがニーグリップを行うと、タンクカバー3の左側壁21Lおよび右側壁21Rはライダーの膝に押さえつけられる。左側壁21Lが備えられた左サイドカバー20Lおよび右側壁21Rが備えられた右サイドカバー20Rは、金属製である。よって、左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rが樹脂製の場合に比べて、ニーグリップに対する剛性を高めることができる。
【0067】
タンクカバー3はセンターカバー10、左サイドカバー20L、および右サイドカバー20Rを組み立てることにより形成されているので、センターカバー10は、左サイドカバー20Lに接続された左接続部11L(
図8参照)と、右サイドカバー20Rに接続された右接続部11R(
図9参照)とを有している。ここで、左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rは金属製であるが、センターカバー10は樹脂製である。左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rの材料と、センターカバー10の材料とは異なっている。そのため、左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rの振動特性と、センターカバー10の振動特性とは、比較的大きく異なる。よって、左サイドカバー20Lとセンターカバー10の左接続部11Lとにおいて、共振は生じにくい。右サイドカバー20Rとセンターカバー10の右接続部11Rとにおいて、共振は生じにくい。
【0068】
したがって、自動二輪車50のタンクカバー3は、複数の部材を組み立てることにより構成され、ニーグリップに対する剛性が比較的高く、部材同士の接続部分において共振が生じにくいタンクカバーとなっている。
【0069】
本実施形態によれば、センターカバー10は、燃料タンク2のタンク上壁2Uの上方に配置された中央上壁12を有している。左サイドカバー20Lは、左側壁21Lおよび左上壁22Lを有している。右サイドカバー20Rは、右側壁21Rおよび右上壁22Rを有している。中央上壁12は、車両平面視において左上壁22Lと重なる第1左縁部13Lと、車両平面視において右上壁22Rと重なる第1右縁部13Rとを有している。左上壁22Lは、車両平面視において中央上壁12と重なる第2右縁部23Lを有している。右上壁22Rは、車両平面視において中央上壁12と重なる第2左縁部23Rを有している。センターカバー10の左接続部11Lは、第1左縁部13Lに備えられ、かつ、左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lに接続されている。センターカバー10の右接続部11Rは、第1右縁部13Rに備えられ、かつ、右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rに接続されている。本実施形態によれば、センターカバー10、左サイドカバー20L、および右サイドカバー20Rを比較的容易に形成することができる。また、センターカバー10、左サイドカバー20L、および右サイドカバー20Rを比較的容易に組み立てることができる。
【0070】
本実施形態によれば、センターカバー10の左接続部11Lと左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lとは、下方に延びる第1左ボルト31Lにより接続されている。センターカバー10の右接続部11Rと右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rとは、下方に延びる第1右ボルト31Rにより接続されている。第1左ボルト31Lを下方に向けて締結することにより、センターカバー10と左サイドカバー20Lとを接続することができる。第1右ボルト31Rを下方に向けて締結することにより、センターカバー10と右サイドカバー20Rとを接続することができる。本実施形態によれば、センターカバー10、左サイドカバー20L、および右サイドカバー20Rを比較的容易に組み立てることができる。
【0071】
本実施形態によれば、センターカバー10の第1左縁部13Lは、車両平面視において左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lと重なり、かつ、第2右縁部23Lの上方に配置されている。センターカバー10の第1右縁部13Rは、車両平面視において右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rと重なり、かつ、第2左縁部23Rの上方に配置されている。本実施形態によれば、樹脂製のセンターカバー10の第1左縁部13Lにより、金属製の左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lを隠すことができる。樹脂製のセンターカバー10の第1右縁部13Rにより、金属製の右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rを隠すことができる。
【0072】
本実施形態によれば、
図8に示すように、センターカバー10の第1左縁部13Lの左端部13Laは、左サイドカバー20Lの第1接触面23LSよりも左方に位置し、かつ、車両側面視において第1接触面23LSと重なっている。センターカバー10の第1右縁部13Rの右端部13Reは、右サイドカバー20Rの第2接触面23RSよりも右方に位置し、かつ、車両側面視において第2接触面23RSと重なっている。本実施形態によれば、第1接触面23LSの左方はセンターカバー10の左端部13Laによって隠され、第2接触面23RSの右方はセンターカバー10の右端部13Raによって隠される。センターカバー10の左端部13Laにより、センターカバー10の第1左縁部13Lと左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lとの隙間に埃や水が侵入することを抑制することができる。センターカバー10の右端部13Raにより、センターカバー10の第1右縁部13Rと右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rとの隙間に埃や水が侵入することを抑制することができる。また、センターカバー10と左サイドカバー20Lとの合面である第1接触面23LS、および、センターカバー10と右サイドカバー20Rとの合面である第2接触面23RSが側方から視認されないので、見栄えが良い。
【0073】
本実施形態によれば、
図8に示すように、センターカバー10の第1左縁部13Lの左端部13Laは、左接続部11Lよりも左方に位置し、かつ、車両側面視において左接続部11Lと重なっている。センターカバー10の第1右縁部13Rの右端部13Raは、右接続部11Rよりも右方に位置し、かつ、車両側面視において右接続部11Rと重なっている。本実施形態によれば、センターカバー10の左接続部11Lの左方はセンターカバー10の左端部13Laによって隠され、センターカバー10の右接続部11Rの右方はセンターカバー10の右端部13Raによって隠される。センターカバー10の左端部13Laによって、センターカバー10の左接続部11Lの周囲に埃や水が侵入することを抑制することができる。センターカバー10の右端部13Raによって、センターカバー10の右接続部11Rの周囲に埃や水が侵入することを抑制することができる。また、センターカバー10の左接続部11Lおよび右接続部11Rが側方から視認されないので、見栄えが良い。
【0074】
本実施形態によれば、燃料タンク2のタンク上壁2Uにステー4が固定されている。左サイドカバー20Lは、下方に延びる第2左ボルト32Lにより、ステー4に接続されている。右サイドカバー20Rは、下方に延びる第2右ボルト32Rにより、ステー4に接続されている。本実施形態によれば、第2左ボルト32Lを締結することにより、燃料タンク2に対して左サイドカバー20Lを容易に固定することができる。第2右ボルト32Rを締結することにより、燃料タンク2に対して右サイドカバー20Rを容易に固定することができる。
【0075】
本実施形態によれば、
図10に示すように、センターカバー10の第1左縁部13Lの左端部13Lbは、第2左ボルト32Lのボルト頭部32Ltよりも左方に位置し、かつ、車両側面視においてボルト頭部32Lと重なっている。センターカバー10の第1右縁部13Rの右端部13Rbは、第2右ボルト32Rのボルト頭部32Rtよりも右方に位置し、かつ、車両側面視においてボルト頭部32Rtと重なっている。本実施形態によれば、第2左ボルト32Lのボルト頭部32Ltの左方は、センターカバー10の左端部13Lbによって隠され、第2右ボルト32Rのボルト頭部32Rtの右方は、センターカバー10の右端部13Rbによって隠される。センターカバー10の左端部13Lbにより、第2左ボルト32Lの周囲に埃や水が侵入することを抑制することができる。センターカバー10の右端部13Rbにより、第2右ボルト32Rの周囲に埃や水が侵入することを抑制することができる。また、第2左ボルト32Lおよび第2右ボルト32Rのボルト頭部32Lt,32Rtが側方から視認されないので、見栄えが良い。
【0076】
センターカバー10の左端部13La,13Lbおよび右端部13Ra,13Rbの形状は限定されないが、本実施形態によれば、左端部13La,13Lbおよび右端部13Ra,13Rbは下方に向けて曲がっている。そのため、左端部13La,13Lbは、左端部13La,13Lbよりも右方の領域を隠しやすい。右端部13Ra,13Rbは、右端部13Ra,13Rbよりも左方の領域を隠しやすい。なお、センターカバー10は樹脂製であるので、下方に向けて曲がった左端部13La,13Lbおよび右端部13Ra,13Rbを比較的容易に形成することができる。
【0077】
本実施形態によれば、
図8および
図10に示すように、左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lは、第2右縁部23Lの右端23Leから左方に延びる第1右部分231Lと、第1右部分231Lの左方かつ下方に位置し、左方に延びる第2右部分232Lとを有している。
図9および
図11に示すように、右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rは、第2左縁部23Rの左端23Reから右方に延びる第1左部分231Rと、第1左部分231Rの右方かつ下方に位置し、右方に延びる第2左部分232Rとを有している。センターカバー10の第1左縁部13Lの下端13Leは、第1右部分231Lよりも左方かつ下方、および、第2右部分232Lよりも上方に位置している。センターカバー10の第1右縁部13Rの下端13Reは、第1左部分231Rよりも右方かつ下方、および、第2左部分232Rよりも上方に位置している。本実施形態によれば、センターカバー10と左サイドカバー20Lとの間、および、センターカバー10と右サイドカバー20Rとの間から埃や水が侵入しにくい。
【0078】
図4に示すように、センターカバー10には、燃料タンク2の筒部2Aが挿入される穴10hが形成されている。センターカバー10は左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rとは別体であり、樹脂製であるので、燃料タンク2の筒部2Aに適合した穴10hを容易に形成することができる。
【0079】
以上、一実施形態について説明したが、前記実施形態は例示に過ぎない。他にも様々な実施形態が可能である。
【0080】
前述のセンターカバー10、左サイドカバー20L、および右サイドカバー20Rの形状は一例に過ぎない。左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rの形状は、互いに左右対称であってもよく、左右対称でなくてもよい。
【0081】
センターカバー10と左サイドカバー20Lとを接続する第1左ボルト31L、または、センターカバー10と右サイドカバー20Rとを接続する第1右ボルト31Rは、下方に延びていなくてもよい。例えば、第1左ボルト31Lおよび第1右ボルト31Rは、側方に延びていてもよい。
【0082】
センターカバー10の第1左縁部13Lは、左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lの下方に配置されていてもよい。センターカバー10の第1右縁部13Rは、右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rの下方に配置されていてもよい。
【0083】
センターカバー10の左端部13Laは、車両側面視において左サイドカバー20Lの第1接触面23LSと重なっていなくてもよい。センターカバー10の右端部13Raは、車両側面視において右サイドカバー20Rの第2接触面23RSと重なっていなくてもよい。
【0084】
センターカバー10の左端部13Laは、車両側面視においてセンターカバー10の左接続部11Lと重なっていなくてもよい。センターカバー10の右端部13Raは、車両側面視においてセンターカバー10の右接続部11Rと重なっていなくてもよい。
【0085】
センターカバー10の左端部13Lbは、車両側面視において第2左ボルト32Lのボルト頭部32Ltと重なっていなくてもよい。センターカバー10の右端部13Rbは、車両側面視において第2右ボルト32Rのボルト頭部32Rtと重なっていなくてもよい。
【0086】
センターカバー10の左端部13Laまたは左端部13Lbは、下方に向けて曲がっていなくてもよい。例えば、センターカバー10の左端部13Laおよび左端部13Lbは、左方かつ下方に真っ直ぐに延びていてもよい。センターカバー10の右端部13Raまたは右端部13Rbは、下方に向けて曲がっていなくてもよい。例えば、センターカバー10の右端部13Raおよび右端部13Rbは、右方かつ下方に真っ直ぐに延びていてもよい。
【0087】
センターカバー10の第1左縁部13Lの下端13Leは、左サイドカバー20Lの第1右部分231Lよりも上方に位置していてもよい。センターカバー10の第1右縁部13Rの下端13Reは、右サイドカバー20Rの第1左部分231Rよりも上方に位置していてもよい。また、左サイドカバー20Lの第2右縁部23Lは、前述の形状の第1右部分231Lおよび第2右部分232Lを有していなくてもよい。右サイドカバー20Rの第2左縁部23Rは、前述の形状の第1左部分231Rおよび第2左部分232Rを有していなくてもよい。
【0088】
左サイドカバー20Lと燃料タンク2とを取り付ける構造、および、右サイドカバー20と燃料タンク2とを取り付ける構造は、特に限定されない。左サイドカバー20Lまたは右サイドカバー20Rは、燃料タンク2に固定されていてもよく、燃料タンク2に固定されていなくてもよい。センターカバー10は、燃料タンク2に固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。
【0089】
車両側面視において、燃料タンク2の一部は、左サイドカバー20Lおよび右サイドカバー20Rと重なっていなくてもよい。
【0090】
鞍乗型車両とは、乗員が跨がって乗車する車両のことである。鞍乗型車両は自動二輪車50に限定されない。鞍乗型車両は、例えば、自動三輪車、ATV(All Terrain vehicle)、スノーモービルであってもよい。
【0091】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0092】
1…シート、2…燃料タンク、2A…筒部、2a…給油口、2U…タンク上壁、2L…タンク左壁、2R…タンク右壁、3…タンクカバー、4…ステー、10…センターカバー、10h…穴、11L…左接続部、11R…右接続部、12…中央上壁、13L…第1左縁部、13R…第1右縁部、13La…左端部、13Lb…左端部、13Ra…右端部、13Rb…右端部、13Le…第1左縁部の下端、13Re…第1右縁部の下端、20L…左サイドカバー、20R…右サイドカバー、21L…左側壁、21R…右側壁、22L…左上壁、22R…右上壁、23L…第2右縁部、23Le…第2右縁部の右端、23R…第2左縁部、23Re…第2左縁部の左端、23LS…第1接触面、23RS…第2接触面、31L…第1左ボルト、31R…第1右ボルト、32L…第2左ボルト、32R…第2右ボルト、50…自動二輪車(鞍乗型車両)、231L…第1右部分、231R…第1左部分、232L…第2右部分、232R…第2左部分