(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184503
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】電池ケース及び電池ケースの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/224 20210101AFI20221206BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20221206BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20221206BHJP
H01M 50/231 20210101ALI20221206BHJP
【FI】
H01M50/224
H01M50/209
H01M50/227
H01M50/231
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092399
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内海 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】熊坂 悠也
(72)【発明者】
【氏名】長田 俊祐
(72)【発明者】
【氏名】桝村 健人
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AS04
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY10
5H040CC14
5H040CC16
5H040CC20
5H040CC34
5H040JJ02
5H040JJ03
5H040LL01
5H040LL06
(57)【要約】
【課題】電池ケースにおいて、高温環境下において樹脂部が軟化又は溶融した場合に金属板同士が分解されにくくする。
【解決手段】電池ケースは、1又は複数の電池セルを収容するものであって、金属板部と、樹脂部と、を備える。金属板部は、互いに離れて配置され、電池ケースの一部を構成する複数の金属板からなる。樹脂部は、複数の金属板の間に介在して複数の金属板をつなぎ、電池ケースの他の一部を構成している。複数の金属板は、第1の金属板と第2の金属板とを含む。第1及び第2の金属板は、それぞれ、樹脂部を介して互いに重なり合う第1及び第2の重合部を含む。第1の重合部は、フックを有する。第2の重合部は、開口部を有する。フックは、開口部に引っ掛かることで、第1の金属板と第2の金属板とが互いに離れる方向に沿った第1の金属板及び第2の金属板の相対移動を拘束可能に形成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の電池セルを収容する電池ケースであって、
互いに離れて配置され、前記電池ケースの一部を構成する複数の金属板からなる金属板部と、
前記複数の金属板の間に介在して前記複数の金属板をつなぎ、前記電池ケースの他の一部を構成する樹脂部と、
を備え、
前記複数の金属板は、第1の金属板と第2の金属板とを含み、
前記第1及び第2の金属板は、それぞれ、前記樹脂部を介して互いに重なり合う第1及び第2の重合部を含み、
前記第1の重合部は、フックを有し、
前記第2の重合部は、開口部を有し、
前記フックは、前記開口部に引っ掛かることで、前記第1の金属板と前記第2の金属板とが互いに離れる方向に沿った前記第1の金属板及び前記第2の金属板の相対移動を拘束可能に形成されている
ことを特徴とする電池ケース。
【請求項2】
前記1又は複数の電池セルは、積層方向に積層された複数の電池セルの積層体である電池スタックであって、
前記第1の金属板と前記第2の金属板とが互いに離れる前記方向は、前記積層方向と平行な方向である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池ケース。
【請求項3】
前記第1の重合部は、前記フックに形成され、又は前記フックとは別の位置において前記第1の重合部に形成され、前記第2の重合部に向けて突出する接触用突起を有し、
前記第2の重合部は、前記接触用突起と直接接触している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池ケース。
【請求項4】
前記フックは、前記第1の重合部の一部を折り返して形成されている
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の電池ケース。
【請求項5】
1又は複数の電池セルを収容する電池ケースの製造方法であって、
前記電池ケースは、
互いに離れて配置され、前記電池ケースの一部を構成する複数の金属板からなる金属板部と、
前記複数の金属板の間に介在して前記複数の金属板をつなぎ、前記電池ケースの他の一部を構成する樹脂部と、
を含み、
前記複数の金属板は、第1の金属板と第2の金属板とを含み、
前記第1及び第2の金属板は、それぞれ、前記樹脂部を介して互いに重なり合う第1及び第2の重合部を含み、
前記第1の重合部は、フックを有し、
前記第2の重合部は、開口部を有し、
前記フックは、前記開口部に引っ掛かることで、前記第1の金属板と前記第2の金属板とが互いに離れる方向に沿った前記第1の金属板及び前記第2の金属板の相対移動を拘束可能に形成されており、
前記製造方法は、
前記複数の金属板をプレス成形するプレス成形工程と、
前記プレス成形工程の後に、前記複数の金属板を金型にセットするセット工程と、
前記セット工程においてセットされた前記複数の金属板の間に樹脂を充填して前記樹脂部を成形することによって、前記電池ケースを形成する射出成形工程と、
を備え、
前記プレス成形工程は、前記フックをプレス成形するフック形成工程と、前記開口部をプレス成形する開口部形成工程と、を含む
ことを特徴とする電池ケースの製造方法。
【請求項6】
前記第1の重合部は、前記フックに形成され、又は前記フックとは別の位置において前記第1の重合部に形成され、前記第2の重合部に向けて突出する接触用突起を有し、
前記第2の重合部は、前記接触用突起と直接接触しており、
前記プレス成形工程は、前記接触用突起をプレス成形する突起形成工程を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の電池ケースの製造方法。
【請求項7】
前記製造方法は、
前記プレス成形工程の後であって前記セット工程の前に、前記開口部に前記フックを引っ掛けることによって前記第1の金属板と前記第2の金属板とを仮組みする仮組工程をさらに備える
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の電池ケースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池ケース及び電池ケースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、積層された電池セルを収容する電池ケースが開示されている。この電池ケースは、金属ケース部材と、この金属ケース部材を外側から覆うように設けられた樹脂ケース部材とからなる。金属ケース部材は、1枚の金属板を折り曲げて箱型に形成されている。樹脂ケース部材は、樹脂の射出成形により形成されており、金属ケース部材に固着し一体化してなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電池ケースのように金属板と樹脂部材とを組み合わせて形成される電池ケースにおいて、形状の自由度を高めるために、互いに離れて配置される複数の金属板からなる金属板部と当該複数の金属板をつなぐ樹脂部とを備える構成を採用することが考えられる。しかしながら、このような構成では、高温環境下において樹脂部が軟化又は溶融した場合に金属板同士が分解され、電池セルが四散する恐れがある。
【0005】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、互いに離れて配置される複数の金属板からなる金属板部と当該複数の金属板をつなぐ樹脂部とを備える電池ケースにおいて、高温環境下において樹脂部が軟化又は溶融した場合に金属板同士が分解されにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電池ケースは、1又は複数の電池セルを収容するものであって、金属板部と、樹脂部と、を備える。金属板部は、互いに離れて配置され、電池ケースの一部を構成する複数の金属板からなる。樹脂部は、複数の金属板の間に介在して複数の金属板をつなぎ、電池ケースの他の一部を構成している。複数の金属板は、第1の金属板と第2の金属板とを含む。第1及び第2の金属板は、それぞれ、樹脂部を介して互いに重なり合う第1及び第2の重合部を含む。第1の重合部は、フックを有する。第2の重合部は、開口部を有する。フックは、開口部に引っ掛かることで、第1の金属板と第2の金属板とが互いに離れる方向に沿った第1の金属板及び第2の金属板の相対移動を拘束可能に形成されている。
【0007】
1又は複数の電池セルは、積層方向に積層された複数の電池セルの積層体である電池スタックであってもよい。そして、第1の金属板と第2の金属板とが互いに離れる上記方向は、積層方向と平行な方向であってもよい。
【0008】
第1の重合部は、フックに形成され、又はフックとは別の位置において第1の重合部に形成され、第2の重合部に向けて突出する接触用突起を有してもよい。そして、第2の重合部は、接触用突起と直接接触していてもよい。
【0009】
フックは、第1の重合部の一部を折り返して形成されていてもよい。
【0010】
本開示に係る電池ケースの製造方法は、1又は複数の電池セルを収容する電池ケースを製造する方法である。電池ケースは、互いに離れて配置され電池ケースの一部を構成する複数の金属板からなる金属板部と、複数の金属板の間に介在して複数の金属板をつなぎ、電池ケースの他の一部を構成する樹脂部と、を含む。複数の金属板は、第1の金属板と第2の金属板とを含む。第1及び第2の金属板は、それぞれ、樹脂部を介して互いに重なり合う第1及び第2の重合部を含む。第1の重合部は、フックを有する。第2の重合部は、開口部を有する。フックは、開口部に引っ掛かることで、第1の金属板と第2の金属板とが互いに離れる方向に沿った第1の金属板及び第2の金属板の相対移動を拘束可能に形成されている。
製造方法は、プレス成形工程と、セット工程と、射出成形工程と、を備える。プレス成形工程は、複数の金属板をプレス成形する。セット工程は、プレス成形工程の後に、複数の金属板を金型にセットする。射出成形工程は、セット工程においてセットされた複数の金属板の間に樹脂を充填して樹脂部を成形することによって、電池ケースを形成する。プレス成形工程は、フックをプレス成形するフック形成工程と、開口部をプレス成形する開口部形成工程と、を含む。
【0011】
第1の重合部は、フックに形成され、又はフックとは別の位置において第1の重合部に形成され、第2の重合部に向けて突出する接触用突起を有してもよい。第2の重合部は、接触用突起と直接接触していてもよい。そして、プレス成形工程は、接触用突起をプレス成形する突起形成工程を含んでもよい。
【0012】
製造方法は、プレス成形工程の後であってセット工程の前に、開口部にフックを引っ掛けることによって第1の金属板と第2の金属板とを仮組みする仮組工程をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る電池ケースによれば、樹脂部を介して互いに離れて配置された複数の金属板に含まれる第1の金属板及び第2の金属板は、第1の重合部及び第2の重合部をそれぞれ備えている。第1の重合部には、フックが形成され、第2の重合部には、開口部が形成されている。そして、フックは、開口部に引っ掛かることで、第1の金属板と第2の金属板とが互いに離れる方向に沿った第1の金属板及び第2の金属板の相対移動を拘束可能に形成されている。これにより、高温環境下において樹脂部が軟化又は溶融したとしても、第1の金属板と第2の金属板とが分解されにくくすることができる。このため、複数の金属板のうちの隣り合う各対の金属板が第1の金属板と第2の金属板との関係を満たしておれば、上記複数の金属板同士の分解を抑制できる。
【0014】
本開示に係る電池ケースの製造方法によれば、フックと開口部は、プレス成形によって形成される。これにより、プレス成形によって形成される第1の金属板及び第2の金属板に対して、プレス成形を利用したフック形成工程及び開口部形成工程を追加するだけでフックと開口部を形成できる。このため、製造工程の追加を最小限に抑えながら、複数の金属板同士の分解を抑制可能な電池ケースを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1に係る電池ケースを備える電池パックの上面視である。
【
図2】実施の形態1に係る電池ケースの斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係る補助ロック構造を説明するための電池ケースの拡大斜視図である。
【
図7】実施の形態1に係る電池ケースの製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図8】フック及び開口部の形成、及び、金属板のサブアッセンブリ化について説明するための図である。
【
図9】実施の形態1に係る電池ケースの効果を説明するための図である。
【
図10】実施の形態2に係る電池ケースの構成を説明するための斜視断面図である。
【
図11】実施の形態2に係る接触用突起を有するフックの構成を説明するための図である。
【
図12】実施の形態2に係る電池ケースの製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態2の変形例に係る接触構造を伴う補助ロック構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に説明される実施の形態において、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略又は簡略する。また、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る技術思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、本開示に係る技術思想に必ずしも必須のものではない。
【0017】
1.実施の形態1
1-1.電池ケースの構成
図1は、実施の形態1に係る電池ケース10を備える電池パック1の上面視である。電池パック1は、積層された複数の電池セル2の積層体である電池スタック3と、電池スタック3を収容する電池ケース10とを備えている。電池パック1は、電動車両に搭載され、電動車両に電力を供給する。
【0018】
より詳細には、
図1に示す一例では、電池スタック3は、複数の角型の電池セル2とスペーサ(樹脂枠)4とを交互に積層して構成され、かつ、積層方向Dの両側から電池セル2とスペーサ4との集合体を挟むように配置された一対のエンドプレート5を備えている。スペーサ4は、絶縁性の樹脂によって形成され、隣り合う電池セル2の絶縁性を確保するとともに、電池セル2の放熱路として機能する。このような構成を有する電池スタック3は、その両端に位置する一対のエンドプレート5の側から圧縮荷重が加えられた状態で電池ケース10に収容されている。なお、電池ケース10に収容される電池セル2の数は、必ずしも複数でなくてもよく、1つであってもよい。また、本開示に係る「電池ケース」は、2列以上の複数列に並んで配置された電池スタックを収容するように形成されてもよい。
【0019】
図2は、実施の形態1に係る電池ケース10の斜視図である。電池ケース10は、略直方体形状を有しており、電池ケース10の天面を構成するアッパーカバー(図示省略)と、底面及び4つの側面を構成するロアケースとによって構成されている。
図2には、電池ケース10における当該ロアケースが表されている。すなわち、ロアケースは、天面が開口した略直方体形状を有している。
【0020】
図2とともに
図3~
図5を参照して電池ケース10(ロアケース)の構成について説明する。電池ケース10(ロアケース)は、金属板部12と、樹脂部14とによって構成されている。
図3は、
図2に示す金属板部12の分解斜視図である。
図4は、
図2中のA-A線断面図である。
図5は、
図2中のB-B線断面図である。
【0021】
図3に示すように、金属板部12は、互いに分離された複数(一例として、3つ)の金属板20、30、及び40からなる。金属板20等の材質は、特に限定されないが、例えば、鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、ステンレス板、又はアルミニウム板である。
【0022】
図2、
図3、及び
図5に示すように、金属板20は、電池ケース10の底面10aを構成する底壁部21と、互いに対向する一対の側面10b及び10cを構成する一対の側壁部22及び23とを備えている。より詳細には、底壁部21、並びに一対の側壁部22及び23は、それぞれ、矩形状の基本形状を有する。そして、一対の側壁部22及び23のそれぞれは、底壁部21から電池ケース10の上方に起立して延びている。また、一対の側壁部22及び23の剛性を高めるために、一対の側壁部22及び23における底壁部21と反対側の端が90度折り曲げられている。これにより、断面L字状のフランジ部22a及び23aがそれぞれ形成されている。
【0023】
図2、
図3、及び
図4に示すように、金属板30は、主に、電池ケース10の側面10dを構成する側壁部31を備えている。より詳細には、側壁部31は、矩形状の基本形状を有する。そして、
図4に示すように、側壁部31は、金属板20の底壁部21から離れているが、底壁部21の側から電池ケース10の上方に起立して延びている。また、側壁部31の剛性を高めるために、側壁部31における底壁部21と反対側の端が2度に渡って90度折り曲げられている。これにより、断面コ字状のフランジ部31aが形成されている。
【0024】
金属板40は、金属板30の側壁部31によって構成される電池ケース10の側面10dに対向する側面10eを構成する側壁部41を備えている。金属板40は、一例として、金属板30と同じ形状を有している。すなわち、金属板40は、フランジ部31aと同じ形状のフランジ部41aを有する。また、金属板40は、後述される貫通孔32、重合部31b、及び突起33と同じ形状の貫通孔42、重合部41b、及び突起43を有する。
【0025】
上述した3つの金属板20、30、及び40は、
図4に示す断面図からも分かるように、
図2に示す電池ケース10(ロアケース)の完成状態においても、直接的には接触し合っておらず、互いに離れて配置されている。
【0026】
そして、これらの金属板20、30、及び40は、樹脂部14によって結合されている。樹脂部14の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂、エポキシなどの熱硬化性樹脂、又は、ガラス繊維強化ポリアミドなどの繊維強化プラスチックである。
図2及び
図4に示すように、樹脂部14は、3つの金属板20、30、及び40の間に介在し、これらの金属板20、30、及び40の間をつないでいる。
【0027】
より詳細には、樹脂部14は、互いに分離されている3つの金属板20、30、及び40を保持するために、次のように形成されている。すなわち、
図4に示すように、金属板20の底壁部21と金属板30の側壁部31との間を離れた状態で保持するために、樹脂部14は、底壁部21と側壁部31との間に介在する介在樹脂部141を備えている。このことは、金属板20と金属板40との関係についても同様である。
【0028】
また、
図2、
図4、及び
図5に示すように、樹脂部14は、電池ケース10の底面10a及び4つ側面10b~10eのそれぞれを対象として、電池ケース10の外側から金属板20、30、及び40のそれぞれを覆う箱形状の部位を有している。
図4及び
図5に示す底壁樹脂部142、並びに、
図2、
図4、及び
図5に表される角筒状の側壁樹脂部143が、ここでいう箱形状の部位に相当する。このような箱形状の部位を有することで、樹脂部14は、上述の電池スタック3に加えられた圧縮荷重の反力、及び、電池ケース10のそれぞれの側面10b~10eに対して電池ケース10の外側から作用する外力を、金属板部12とともに受け持つことができる。なお、電池ケース10を車体に固定するための所定数のブラケット(図示省略)は、例えば、樹脂部14(例えば、側壁樹脂部143)に圧入されたナット(図示省略)に締結される。
【0029】
上述のように、樹脂部14は、電池ケース10の基本骨格をなす金属板部12(金属板20、30、及び40)をつなぐ機能を有するだけでなく、電池ケース10の一部としても機能し、電池ケース10の剛性及び強度の確保に寄与している。なお、
図4及び
図5に示す例では、樹脂部14は、底面10aの縁部のみを覆っているが、このような例に代え、底壁部21の外側において底面10aの全体を覆っていてもよい。
【0030】
電池ケース10は、金属板20、30、及び40のそれぞれと樹脂部14との固着(結合)をより確実なものとするために、次のような「絡み合い構造」を備えている。ここでいう絡み合い構造とは、接着を用いずに、金属板20等と樹脂部14とを機械的に絡み合わせることで両者の結合を強化するための構造である。
【0031】
具体的には、絡み合い構造は、例えば、金属板20に形成された突起24と、金属板30及び40のそれぞれに形成された貫通孔32及び42との組み合わせによって実現される。
図3に示すように、金属板20は、側壁部31及び41にそれぞれ対応する対向壁部25及び26を備えている。対向壁部25及び26は、側壁部22及び23の一部をそれぞれ折り曲げることによって形成されている。突起24は、これらの対向壁部25及び26に形成されている。突起24は、後述の
図6に良く表されているように、側壁部31又は41の側に向けて突出する円筒形状を有する。そして、突起24は、貫通孔32又は42とは接触せずに当該貫通孔32又は42を貫通している。突起24を含む対向壁部25又は26と、側壁部31又は41との隙間は、樹脂部14で満たされている。このような円筒形状の突起24と貫通孔32及び42とを利用する絡み合い構造によれば、単に金属板20等の平面部分に接するように樹脂部14の壁部が形成されている場合と比べて、金属板20等と樹脂部14とを確実に固着(結合)でき、更には、金属板20と金属板30及び40のそれぞれとを樹脂部14を介してより確実に固着(結合)できる。
【0032】
また、絡み合い構造は、例えば、アーチ形状の突起27、33、及び43によっても実現される。
図3に示すように、突起27は、側壁部22及び23のそれぞれに形成されており、突起33及び43は、側壁部31及び側壁部41のそれぞれに形成されている。ここでいうアーチ形状の突起27、33、及び43は、後述の
図6に表されているように、アーチ部の両端において開口している。これにより、金属板20等と樹脂部14とを良好に絡み合わせることができる。このため、このようなアーチ形状の突起27等を利用した絡み合い構造によっても、単に金属板20等の平面部分に接するように樹脂部14の壁部が形成されている場合と比べて、金属板20、30、及び40のそれぞれと樹脂部14とをより確実に固着(結合)できる。
【0033】
上述のように互いに分離している複数の金属板20等と樹脂部14とを組み合わせて形成される電池ケース10によれば、1枚の金属板を折り曲げて箱型に形成された金属ケース部材と受持部材との組み合わせによって電池ケースを構成する例と比べて、ケース形状の自由度を高めることができる。
【0034】
ここで、電池ケース10のように複数の金属板からなる金属板部が樹脂部を介して結合された基本構成を備える電池ケースでは、各金属板の間は樹脂で固着されているだけである。このため、高温環境下において樹脂部が軟化又は溶融すると、金属板間の接合強度が低下して金属板同士が分解され、電池セルが四散する恐れがある。
【0035】
1-1-1.電池ケースの補助ロック構造
上述の課題に鑑み、本実施形態の電池ケース10は、次のような接触構造を有している。
図6は、実施の形態1に係る補助ロック構造を説明するための電池ケース10の拡大斜視図である。より詳細には、
図6(A)は、側壁部31の側の側壁部22の端部の形状を拡大して示しており、
図6(B)は、
図6(A)中のC-C線断面を含む側壁部22及び31の斜視断面図である。
【0036】
金属板20の側壁部22及び金属板30の側壁部31は、それぞれ、樹脂部14を介して互いに重なり合う重合部22b及び31bを備えている。重合部22bは、フック28を有する。一方、重合部31bは、フック28と対向する位置に、開口部34を有する。開口部34は、フック28が内部をくぐることができる大きさを有する。フック28は、開口部34に引っ掛かることで、金属板20と金属板30とが互いに離れる方向に沿った金属板20及び金属板30の相対移動を拘束可能に形成されている。より具体的には、本実施形態では、ここでいう「金属板20と金属板30とが互いに離れる方向」は、電池スタック3の積層方向Dと平行な方向である。
【0037】
付け加えると、
図6に示す一例では、金属板30側の重合部31bは、フック28を引っ掛けるための開口部44の形成のために金属板30の側壁部31の一部を折り曲げて形成された部位(すなわち、延長された部位)である。重合部31bは、側壁部31の一部を90度折り曲げることによって、樹脂部14で満たされる隙間を重合部22bとの間に有しつつ重合部22bと重ね合わされるように平板状にプレス成形されたものである。
【0038】
また、
図3に示すように、金属板20のもう一方の側壁部23と側壁部31とについても、同様に、樹脂部14を介して互いに重なり合う重合部23b及び31cが設けられている。そして、重合部23bには、重合部22bと同様に、フック28が形成され、重合部31cには、重合部31bと同様に、フック28に対応する開口部34が形成されている。
【0039】
なお、
図6に示す例では、重合部22bを含む金属板20が本開示に係る「第1の重合部を含む第1の金属板」の一例に相当し、重合部31b及び31cを含む金属板30が本開示に係る「第2の重合部を含む第2の金属板」の一例に相当している。また、
図6に示す例では、側壁部22及び23のそれぞれの側において、フック28の数は3つであるが、これに代え、1又は2つでもよいし、あるいは4つ以上であってもよい。
【0040】
ここでは説明が簡略化されるが、金属板20と金属板40との間にも同様の補助ロック構造が適用されている。すなわち、
図3に示すように、金属板20の側壁部22及び金属板40の側壁部41は、それぞれ、樹脂部14を介して互いに重なり合う重合部22b及び41bを備えている。そして、側壁部41に近い方の重合部22bには、フック28が形成されており、側壁部41の重合部41bには、フック28に対応する開口部44が形成されている。また、金属板20のもう一方の側壁部23の重合部23bと側壁部41の重合部41cとについても、同様に、フック28と開口部44が設けられている。なお、金属板20と金属板40との関係においては、金属板20及び金属板40が、それぞれ、本開示に係る「第1の金属板」及び「第2の金属板」の他の例に相当している。
【0041】
また、上述した補助ロック構造は、金属板20における側壁部22の側及び側壁部23の側の双方に設けられているが、これに代え、側壁部22及び23のうちの一方の側にのみ設けられていてもよい。また、本開示に係る「フック」は、金属板20の側ではなく、重合部22bと重なり合うために延長された部位である重合部31b及び41bの側に設けられてもよい。そして、それに対応して、本開示に係る「開口部」は、金属板20の重合部22b及び23bの側に設けられてもよい。
【0042】
1-2.電池ケースの製造方法
次に、
図7及び
図8を参照して、本実施形態の電池ケース10の製造方法について説明する。
図7は、実施の形態1に係る電池ケース10の製造方法の手順を示すフローチャートである。より詳細には、
図7は、プレス機によるプレス加工及び射出成形機による射出成形を利用して電池ケース10を製造(形成)する際の主な工程を示している。
図8は、フック28及び開口部34、44の形成、及び、金属板20、30、及び40のサブアッセンブリ化について説明するための図である。
【0043】
まず、打ち抜き工程S1では、プレス機による打ち抜き加工によって、フープ状の金属板から金属板20、30、及び40のそれぞれの元となる金属板(すなわち、金属板20等を展開した平板状の金属板)が形成される。なお、金属板30及び40の貫通孔32及び42は、この打ち抜き工程S1において同時に形成されてもよいし、その後の別の工程において形成されてもよい。
【0044】
次に、折り曲げ工程S2では、打ち抜き工程S1において得られた各金属板の各部をプレス機によって折り曲げることによって、金属板20、30、及び40が個別にプレス成形される。
【0045】
次に、フック形成工程S3では、金属板20(側壁部22及び23のそれぞれ)のフック28がプレス成形される。ここで、
図8(A)及び
図8(B)を参照して、フック28の形成について補足する。重合部22b及び23bのそれぞれに対してプレス成形を施すことによって、
図8(B)に示すように、フック28は、重合部22b又は23bの一部を折り返して形成されている。
【0046】
次に、開口部形成工程S4では、金属板30及び40の開口部34及び44がそれぞれプレス成形される。具体的には、重合部31b、31c、41b、及び41cのそれぞれに対してプレス成形を施すことによって、
図8(C)に示すように開口部34及び44が形成される。なお、開口部44は、打ち抜き工程S1において他の貫通孔32等と同時に形成されてもよい。
【0047】
なお、
図7に示す例では、打ち抜き工程S1、折り曲げ工程S2、フック形成工程S3、及び開口部形成工程S4の組み合わせが、本開示に係る「プレス成形工程」の一例に相当する。
【0048】
次に、仮組工程S5は、上述の「プレス成形工程」の後にセット工程S6に先立って実行される。仮組工程S5では、開口部34及び44のそれぞれにフック28を引っ掛けることによって、金属板20と金属板30及び40のそれぞれとが仮組みされる。具体的には、まず、
図8(D)及び
図8(E)に示すように、フック28を開口部34又は44に通すために、重合部31b等を重合部22b等と重ね合わせながら、開口部34又は44とフック28との位置が合うまで金属板30をスライドさせる。次いで、
図8(F)に示すように、開口部34又は44にフック28を引っ掛ける。これにより、金属板20、30、及び40をサブアッセンブリ化した状態で仮組みすることができる。
【0049】
次に、セット工程S6では、仮組工程S5において仮組みされた金属板20、30、及び40のサブアッセンブリが射出成形機の金型にセットされる。
図8(G)は、このように金型にセットされた状態における金属板20、30、及び40を表している。
【0050】
次に、射出成形工程S7では、セット工程S6においてセットされた金属板20、30、及び40の間に樹脂が射出(充填)され、金属板20、30、及び40に固着した樹脂部14が成形される。その結果、本実施形態の電池ケース10が形成(製造)される。
【0051】
1-3.効果
図9は、実施の形態1に係る電池ケース10の効果を説明するための図である。以上説明したように、電池ケース10は、フック28及び開口部34、44を利用した補助ロック構造を備えている。すなわち、樹脂部14を介して互いに離れて配置された金属板20及び金属板30は、重合部22b、23b及び重合部31b、31cをそれぞれ備えている。そして、重合部31b、31cには、開口部34が形成され、重合部22b、23bには、フック28が形成されている。
【0052】
ここで、電池ケース10は、上述のように電池スタック3に加えられた圧縮荷重の反力を受け止めている。
図9に示すように、この反力(電池スタック3から働く力)は、積層方向Dと平行な方向において金属板20と金属板30とを引き離すように電池ケース10(より詳細には、側壁部21側の側面10d及び側壁部41側の側面10e)に作用する。高温環境下において樹脂部14が軟化又は溶融した際、
図9に示すように、フック28は、開口部34に引っ掛かることで、このような反力の作用による金属板20と金属板30の相対移動を拘束することができる。このような補助ロック構造によれば、高温環境下において樹脂部14が軟化又は溶融したとしても、金属板20と金属板30とが分解されにくくすることができる。このことは、金属板20と金属板40との関係についても同様である。これにより、金属板同士の分解に起因して電池セル2が四散することを効果的に抑制できる。
【0053】
また、本実施形態に係る電池ケース10の製造方法によれば、フック28と開口部34及び44は、プレス成形によって形成される。このような手法に代え、フックは、例えば、溶接等の他の手法で金属部材を金属板20に接合することによって形成されてもよい。これに対し、本実施形態の製造方法によれば、プレス成形によって形成される金属板20、30、及び40に対して、プレス成形を利用したフック形成工程S3及び開口部形成工程S4を追加するだけでフック28と開口部34及び44を形成できる。このため、製造工程の追加を最小限に抑えながら、複数の金属板同士の分解を抑制可能な電池ケース10を製造できる。
【0054】
また、本実施形態に係る電池ケース10の製造方法は、仮組工程S5を含んでいる。これにより、プレス形成された金属板20、30、及び40をサブアッセンブリとして一体で運搬できるようになる。このため、プレス形成された金属板20、30、及び40のそれぞれを射出成形機の金型に個別にセットする場合(すなわち、仮組工程なしの場合)と比べて、金型へのセットが容易となる。その結果、製造工数が減るので、電池ケース10の製造コストを下げることができる。
【0055】
2.実施の形態2.
実施の形態2に係る電池ケース50は、「フック」の形状において、実施の形態1に係る電池ケース10と相違している。
図10は、実施の形態2に係る電池ケース50の構成を説明するための斜視断面図である。より詳細には、
図10は、側壁部31側の側壁部22の端部付近における電池ケース50の構成を拡大して示している。
図11は、実施の形態2に係る接触用突起51aを有するフック51の構成を説明するための図である。より詳細には、
図11(A)は、金属板20及び30が射出成形機の金型にセットされた状態を示している。
図11(B)は、樹脂部14の軟化/溶融時の補助ロック状態を示している。
【0056】
図10及び
図11に示すように、側壁部22の重合部22bには、フック28とともにフック51が形成されている。フック51には、側壁部31の重合部31bに向けて突出する接触用突起51aが形成されている。そして、
図11(A)に示す金型セット状態において、金属板30側の重合部31bは、接触用突起51aと直接(すなわち、樹脂部14を介さずに)接触している。このように、金属板20と金属板30は、接触用突起51aを介して(換言すると、接触用突起51aが設けられた部位においてのみ)直接接触している。
【0057】
上述のような接触構造によれば、フック51を利用して、金属板20と金属板30との間の電気的な導通を簡易に形成できるようになる。また、
図10において表されていない側壁部41側の重合部22bにも、
図10に示す例と同様に、フック51が設けられている。これにより、フック51を利用して、金属板20と金属板40との間の電気的な導通を簡易に形成できるようになる。
【0058】
したがって、樹脂部14を介して結合されている(すなわち、互いに離れて配置されている)3つの金属板20、30、及び40の間で、電気的な導通を実現することができる。これにより、これらの3つの金属板20等を等電位にすることが可能となるので、互いに分離された金属板毎にアース線を設ける必要なしにアースを確保できるようになる。すなわち、3つの金属板20等の何れか1つにアース線を接続するだけで、電池ケース50全体のアースをとることが可能となる。
【0059】
また、
図11(B)に示すように、本実施形態のフック51によっても、高温環境下において樹脂部14が軟化又は溶融したとしても、開口部34がフック51に引っ掛かることにより、金属板20と金属板30とが分解されにくくすることができる。このように、フック51は、金属板20と金属板30及び40のそれぞれとの相対移動を拘束する機能とともに、金属板20と金属板30及び40のそれぞれとの間の電気的な導通を確保する機能を備えている。
【0060】
付け加えると、
図10に示す例では、
図6に示す例における3つのフック28のうちの1つが、接触用突起51aを有するフック51に置き換えられている。このような例に代え、上記3つのフック28のうちの2つ又は3つがフック51によって置き換えられてもよい。また、接触用突起51aを利用した上述の接触構造は、金属板20における側壁部22の側に設けられているが、これに代え、もう一方の側壁部23の側に設けられてもよいし、あるいは、双方の側壁部22及び23に設けられてもよい。
【0061】
図12は、実施の形態2に係る電池ケース50の製造方法の手順を示すフローチャートである。
図12に示す製造方法は、フック形成工程S3がフック形成工程S13に置き換えられている点を除き、
図7に示す製造方法と同様である。
【0062】
具体的には、フック形成工程S13は、接触用突起51aをプレス成形する突起形成工程を含む点において、フック形成工程S3(
図7参照)と相違している。このように、本実施形態の電池ケース50の製造方法によれば、接触用突起51aは、プレス成形によって形成される。このような手法に代え、接触用突起は、例えば、溶接等の他の手法で金属部材をフック51に接合することによって形成されてもよい。これに対し、本実施形態の製造方法によれば、プレス成形によって形成されるフック51に対して、プレス成形を利用した突起形成工程を追加するだけで接触用突起51aを有するフック51を形成できる。このため、製造工程の追加を最小限に抑えながら、複数の金属板間の接触を確保可能な電池ケース50を製造できる。
【0063】
図13は、実施の形態2の変形例に係る接触構造を伴う補助ロック構造を説明するための図である。ここでは、金属板20と金属板30との関係を例に挙げて説明するが、以下の内容は、金属板20と金属板40との関係についても同様である。
【0064】
上述したフック51では、接触用突起51aは、フック51に形成されている。これに対し、
図13に示す例における接触用突起52は、フック(例えば、フック28)とは別の位置において重合部22b、23b(第1の重合部)に形成され、重合部31b、31c(第2の重合部)に向けて突出している。
【0065】
そして、重合部31b、31cは、接触用突起52と直接接触している。より詳細には、
図13に示すように、重合部31bが接触用突起52に乗り上げるように、接触用突起52の高さが、重合部22bと重合部31bとの隙間よりも大きくなるように設定されてもよい。これにより、金属板20と金属板30との接触(電気的な導通)を確実に行えるようになる。
【0066】
付け加えると、接触用突起52は、プレス成形によって形成される。接触用突起52は、例えば、上述の絡み合い構造のために金属板20の側壁部22に形成された複数のアーチ形状の突起27と同じ形状(例えば、上述のアーチ形状)を有していてもよい。すなわち、絡み合い構造のための突起が、接触構造における接触用突起を兼ねていてもよい。これにより、接触構造のための専用の突起を形成する必要なしに、複数の金属板間の接触を確保できる。また、重合部22bの一部を隆起させて接触用突起を形成する場合、このようなアーチ形状に代え、接触用突起は、開口(
図6(B)参照)を有さずにエンボス形状を利用して形成されてもよい。
【0067】
3.他の実施の形態
上述した実施の形態1及び2では、3つの金属板20、30、及び40からなる金属板部12が例示された。しかしながら、本開示に係る「金属板部」は、2つ、又は4つ以上の金属板からなるものであってもよい。そして、高温環境下において樹脂部が軟化又は溶融した場合に金属板同士が分解されにくくするために、複数の金属板のうちの隣り合う各対の金属板において本開示に係る「第1の金属板」と「第2の金属板」との関係が満たされるように各金属板が構成されればよい。また、接触用突起を利用して複数の金属板の間で電気的な導通を確保する場合には、複数の金属板のうちの隣り合う各対の金属板において本開示に係る「第1の金属板」と「第2の金属板」との関係が満たされるように各金属板が構成されればよい。
【0068】
また、上述した実施の形態1及び2においては、本開示に係る「第1の金属板と第2の金属板とが互いに離れる方向」の一例として、電池スタック3の「積層方向D」が説明された。しかしながら、本開示に係る「フック」は、複数の金属板の分割の仕方によっては、積層方向に限らず、第1の金属板と第2の金属板とが互いに離れる他の方向に沿った第1の金属板及び第2の金属板の相対移動を拘束可能に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 電池パック
2 電池セル
3 電池スタック
10、50 電池ケース
10a 電池ケースの底面
10b、10c、10d、10e 電池ケースの側面
12 金属板部
14 樹脂部
20、30、40 金属板
21 金属板の底壁部
22、23、31、41 金属板の側壁部
22b、23b 重合部(第1の重合部)
24、27、33、43 突起
25、26 対向壁部
28、51 フック
31b、31c、41b、41c 重合部(第2の重合部)
32、42 貫通孔
34、44 開口部
51a、52 接触用突起
141 介在樹脂部
142 底壁樹脂部
143 側壁樹脂部