(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184513
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】クランプ具、及び、サドル保持方法
(51)【国際特許分類】
F16L 41/12 20060101AFI20221206BHJP
F16L 41/02 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F16L41/12
F16L41/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092416
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 知広
(72)【発明者】
【氏名】今野 実
(72)【発明者】
【氏名】小泉 祐介
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019BA24
3H019BB02
3H019DA03
3H019DA04
3H019DA07
(57)【要約】
【課題】簡易な作業で配管に2個の枝管を設置することが可能なクランプ具、サドル保持方法を提供する。
【解決手段】クランプ具18は、上フランジ14Dと下フランジ16Dを、鉛直方向上側と下側から所定の間隔で挟持する挟持部材30と、上フランジ14Cに鉛直方向上側から当接される上支持部22と、下フランジ16Cに鉛直方向下側から当接される下支持部24と、上支持部22と下支持部24との間隔を狭めることにより上サドル14と下サドル16を配管12の外周面へ押圧させる締結機構と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サドル本体と前記サドル本体に設けられた枝管と前記枝管を挟んで両側に設けられた一対のフランジ、を有する上サドルと下サドルを、配管の外周に沿って互いに対向するように配置した状態で保持するクランプ具であって、
前記上サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた一方側上フランジと、前記下サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた一方側下フランジを、鉛直方向上側と下側から所定間隔を超える間隔の広がりを規制して挟持する挟持部材と、
前記上サドルの前記枝管を挟んで他方側に設けられた他方側上フランジに鉛直方向上側から当接される上支持部と、
前記下サドルの前記枝管を挟んで他方側に設けられた他方側下フランジに鉛直方向下側から当接される下支持部と、
前記上支持部と前記下支持部との間隔を狭めることにより前記上サドルと前記下サドルを前記配管の外周面へ押圧させる締結機構と、
を備えた、クランプ具。
【請求項2】
前記締結機構は、
前記下支持部に固定されて前記下支持部の延在方向と直交する方向に延在する下固定部と、
前記下固定部から前記上支持部側へ延出され、前記下固定部と直交する方向に延在する中間部と、
前記中間部に固定され、前記下固定部と同方向に延在され、前記上支持部を挟んで前記下支持部と反対側に配置され、前記中間部の延在方向と同方向の貫通孔が形成された上固定部と、
を有する本体部材と、
前記貫通孔に挿通されると共に前記上支持部に当接され、締結方向への回転により前記上支持部と前記上固定部との間隔を広げる締結部材と、
を有する、請求項1に記載のクランプ具。
【請求項3】
前記上支持部に設けられ、前記上支持部の前記締結方向への回転を規制する回転規制部、を備えた、請求項2に記載のクランプ具。
【請求項4】
サドル本体と前記サドル本体に設けられた枝管と前記枝管を挟んで両側に一対のフランジを有する上サドルと下サドルを、配管の外周に沿って互いに対向するように配置した状態で保持するサドル保持方法であって、
前記上サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた上フランジと、前記下サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた下フランジを、互いの間隔が所定間隔以上に広がらないように保持し、
前記上サドルの前記枝管を挟んで他方側に設けられた上フランジと、前記下サドルの前記枝管を挟んで他方側に設けられた下フランジを、互いに近づく方向へ移動させて、前記上サドルと前記下サドルを前記配管に保持する、
サドル保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクランプ具、及びサドル保持方法に係り、配管に枝管を取り付ける際に用いるクランプ具、及び、クランプ具を用いて枝管を有するサドルを配管へ保持するサドル保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス管に樹脂製の分岐継手を取り付ける場合に、クランプが用いられている。特許文献1では、分岐継手のサドル部を上部クランプで支持すると共に、ガス管を下部クランプで支持し、上部クランプと下部クランプを連結して、分岐継手をガス管に支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガス管から水を抜くためにガス管に水取り用の枝管を付ける場合がある。ガス管の径が比較的大きい場合には、既存の水取り用の枝管を取り付けるのが困難な場合があり、水取り構造を工夫すると共に、水取り用の枝管を取り付けるための治具についても従来と異なる工夫が必要である。
【0005】
特許文献1には、枝管の設けられたサドル部を1個のみ取り付けるためのクランプが開示されているが、同時にガス管の上下に一対のサドルを保持することができない。2個のサドルを取り付けるためには、一方を取り付けた後、他方を取り付けることになり、作業を2回実施する必要がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して成されたものであり、簡易な作業で配管に2個の枝管を設置することが可能なクランプ具、及び、クランプ具を用いて枝管を有するサドルを配管へ保持するサドル保持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係るクランプ具は、サドル本体と前記サドル本体に設けられた枝管と前記枝管を挟んで両側に設けられた一対のフランジ、を有する上サドルと下サドルを、配管の外周に沿って互いに対向するように配置した状態で保持するクランプ具であって、前記上サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた一方側上フランジと、前記下サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた一方側下フランジを、鉛直方向上側と下側から所定間隔を超える間隔の広がりを規制して挟持する挟持部材と、前記上サドルの前記枝管を挟んで他方側に設けられた他方側上フランジに鉛直方向上側から当接される上支持部と、前記下サドルの前記枝管を挟んで他方側に設けられた他方側下フランジに鉛直方向下側から当接される下支持部と、前記上支持部と前記下支持部との間隔を狭めることにより前記上サドルと前記下サドルを前記配管の外周面へ押圧させる締結機構と、を備えている。
【0008】
請求項1に係るクランプ具は、サドル本体とサドル本体に設けられた枝管と枝管を挟んで両側に設けられた一対のフランジを有する上サドルと下サドルを、配管の外周に沿って互いに対向するように配置した状態で保持するものであり、挟持部材、上支持部、下支持部、締結機構、を備えている。
【0009】
挟持部材は、上サドルの一方側上フランジと、下サドルの一方側下フランジを、鉛直方向上側と下側から所定間隔を超える間隔の広がりを規制して挟持する。上支持部は、上サドルの一方側上フランジに鉛直方向上側から当接され、下支持部は、下サドルの一方側下フランジに鉛直方向下側から当接される。このように、上サドルと下サドルへ挟持部材、上支持部、下支持部を配置した後、締結機構で、上支持部と下支持部との間隔を狭めることにより上サドルと下サドルを配管の外周面へ押圧させ、同時に2個のサドルを配管に保持することができる。また、1の締結機構を操作することにより、簡易な作業で配管に2個の枝管を設置することができる。
【0010】
請求項2に係るクランプ具は、前記締結機構は、前記下支持部に固定されて前記下支持部の延在方向と直交する方向に延在する下固定部と、前記下固定部から前記上支持部側へ延出され、前記下固定部と直交する方向に延在する中間部と、前記中間部に固定され、前記下固定部と同方向に延在され、前記上支持部を挟んで前記下支持部と反対側に配置され、前記中間部の延在方向と同方向の貫通孔が形成された上固定部と、を有する本体部材と、前記貫通孔に挿通されると共に前記上支持部に当接され、締結方向への回転により前記上支持部と前記上固定部との間隔を広げる締結部材と、を有する。
【0011】
請求項2に係るクランプ具によれば、締結機構を、下固定部、中間部、上固定部を有する本体部材と、上支持部に形成された貫通孔に挿通されて締結方向への回転により上支持部と上固定部との間隔を広げる締結部材により構成することができる。
【0012】
請求項3に係るクランプ具は、前記上支持部に設けられ、前記上支持部の前記締結方向への回転を規制する回転規制部、を備えている。
【0013】
請求項3に係るクランプ具によれば、回転規制部により上支持部の締結方向への回転が規制されるので、上支持部に当接されつつ締結部材を回転させた時に上支持部の回転が抑えられ、スムーズに締結動作を行うことができる。
【0014】
請求項4に係るサドル保持方法は、サドル本体と前記サドル本体に設けられた枝管と前記枝管を挟んで両側に一対のフランジを有する上サドルと下サドルを、配管の外周に沿って互いに対向するように配置した状態で保持するサドル保持方法であって、前記上サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた上フランジと、前記下サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた下フランジを、互いの間隔が所定間隔以上に広がらないように保持し、前記上サドルの前記枝管を挟んで他方側に設けられた上フランジと、前記下サドルの前記枝管を挟んで他方側に設けられた下フランジを、互いに近づく方向へ移動させて、前記上サドルと前記した下ルを前記配管に保持するものである。
【0015】
請求項4に係るサドル保持方法では、上サドルと下サドルの一方側の上フランジと下フランジを互いの間隔が所定間隔以上に広がらないように保持している。したがって、他方側の上フランジと下フランジを近づけることにより、一方側の上フランジと下フランジの間隔を所定間隔に維持しつつ、前記上サドルと前記下サドルを前記配管に保持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るクランプ具によれば、簡易な作業で配管に2個の枝管を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態のクランプ具の正面図(軸方向から見た図)であり、上サドルと下サドルを保持する前の状態の図である。
【
図2】本実施形態のクランプ具の正面図(軸方向から見た図)であり、挟持部材を取り付けた状態の図である。
【
図3】本実施形態のクランプ具の正面図(軸方向から見た図)であり、上サドルと下サドルを保持した状態の図である。
【
図4】本実施形態のクランプ具のクランプ本体側からみた側面図であり、上サドルと下サドルを保持した状態の図である。
【
図5】本実施形態のクランプ具の挟持部材からみた側面図であり、上サドルと下サドルを保持した状態の図である。
【
図6】本実施形態のクランプ具で上サドルと下サドル保持した状態を示す斜視図である。
【
図8】本実施形態のクランプ具で配管に取り付けた上サドルと下サドルと枝管を貫通させる治具を示す図である。
【
図9】本実施形態のクランプ具で配管に取り付けた上サドルと下サドルとを用いて水取器を取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1~
図7には、本発明の実施形態に係るクランプ具18、及び、クランプ具18が用いられて取り付けられる枝管取り付け構造10が示されている。クランプ具18は、樹脂製の配管12に上サドル14と下サドル16を保持する用途に用いられる。上サドル14及び下サドル16は、所謂EFサドルであり、配管12の外周面に押圧されつつ不図示の電気配線に通電されることにより、融着される。
【0019】
上サドル14は、サドル本体14A、枝管14B、及び一対の上フランジ14C、14Dを備えている。サドル本体14Aは、内側(凹側)14inが配管12の外周に沿った形状とされ、外側(凸側)14outの面から突出する筒状の枝管14Bが設けられている。枝管14Bの外周には雄ねじが形成されている。
【0020】
枝管14Bを挟んで一方側端部に上フランジ14Cが設けられ、他方側端部に上フランジ14Dが設けられている。上フランジ14C及び上フランジ14Dは、サドル本体14Aを配管12の外周面に沿って配置したときに、配管12の軸方向S(
図4、5参照)に沿って延在するように配置される。なお、「軸方向Sに沿って延在」は、軸方向Sに連続している必要はなく、分割形成されている場合を含んでいる。上フランジ14C及び上フランジ14Dは、軸方向Sから見て、配管12の外周から突出するように形成されている。上フランジ14C及び上フランジ14Dの外側14out側には、後述する上支持面22A、上挟み面32Aが当接されるフランジ面14Eが各々形成されている。
【0021】
下サドル16は、サドル本体16A、枝管16B、及び一対の下フランジ16C、16Dを備えている。サドル本体16Aは、内側(凹側)16inが配管12の外周に沿った形状とされ、外側(凸側)16outから突出する筒状の枝管16Bが設けられている。枝管16Bを挟んで一方側端部に下フランジ16Cが設けられ、他方側端部に下フランジ16Dが設けられている。下フランジ16C及び下フランジ16Dは、サドル本体16Aを配管12の外周面に沿って配置したときに、配管12の軸方向Sに沿って延在するように配置される。下フランジ16C及び下フランジ16Dは、軸方向Sから見て、配管12の外周から突出するように形成されている。下フランジ16C及び下フランジ16Dの外側16out側には、後述する下支持面24A、下挟み面34Aが当接されるフランジ面16Eが各々形成されている。
【0022】
クランプ具18は、クランプ本体20、及び、挟持部材30、を備えている。
【0023】
クランプ本体20は、上支持部22、下支持部24、本体部材26、及び、締結部材28を有している。本体部材26はコ字状とされており、中間部26A、下固定部26B、及び上固定部26Cを有している。中間部26Aは、コ字の中間部分を構成している。下固定部26Bは、中間部26Aの一端側から直角に屈曲されてコ字の一端部を構成している。
【0024】
上固定部26Cは、中間部26Aの他端側から直角に屈曲されて延出され、下固定部26Bと同程度の長さとされてコ字の他端部を構成している。上固定部26Cの下固定部26Bと対向する位置には、中間部26Aと平行な方向に貫通孔26Hが形成され、貫通孔26Hの内壁には雌ねじが形成されている。
【0025】
本体部材26のコ字の内側の下固定部26B側には、下支持部24が配置されている。下支持部24は、中間部26A及び下固定部26Bと直交するように延在され、中央部が下固定部26B上に固定されている。下支持部24は、下フランジ16Cよりも長尺とされている。
【0026】
本体部材26のコ字の内側の下支持部24と対向する位置には、上支持部22が配置されている。上支持部22は、中間部26A及び上固定部26Cと直交するように延在され、中央部が上固定部26Cと交差するように配置されている。上支持部22は、上フランジ14Cよりも長尺とされている。
図7に示されるように、上支持部22には、回転規制部材25A、25Bが設けられている。回転規制部材25A、25Bは、ピン形状とされ、上支持部22に形成されたピン孔25Hに圧入されている。ピン孔25Hは、上支持部22の中間部26Aと対向する面の中間部26Aを挟む位置に一対形成されている。回転規制部材25A、25Bは、ピン孔25Hから中間部26Aへ向かって突出され、一対で中間部26Aを挟み込むように配置されている。
【0027】
上支持部22には、貫通孔26Hに対応する位置に、締結部材28の先端が回転可能に取り付けられている。締結部材28は、棒状とされ、外周に雄ねじ28Nが形成されている。締結部材28は貫通孔26Hの雌ねじと螺合されており、一方向に回転させることにより、上支持部22が中間部26Aにガイドされつつ第1下支持部24へ近づく方向へ移動し、逆方向に回転させることにより、回転規制部材25A、25Bが中間部26Aにガイドされつつ下支持部24から離れる方向へ移動する。本体部材26と締結部材28により、締結機構が構成されている。
【0028】
上支持部22には、上フランジ14Cのフランジ面14Eに当接する上支持面22Aが形成されている。上支持面22Aは、上フランジ14Cの延在方向と同方向に延在している。
【0029】
下支持部24には、下フランジ16Cのフランジ面16Eに当接する下支持面24Aが形成されている。下支持面24Aは、下フランジ16Cの延在方向と同方向に延在している。
【0030】
中間部26Aのコ字が見える側面には、位置合わせ目盛り27が設けられている。位置合わせ目盛り27は、配管12の径に応じた上サドル14及び下サドル16を使用して、上フランジ14Cと下フランジ16Cを第1上支持部22と下支持部24で挟持した場合の、上支持面22Aが配置される位置をマークしたものである。位置合わせ目盛り27は、3種類の配管径に対応した位置に設けられている。
【0031】
中間部26Aの幅は、上支持部22及び下支持部24の軸方向Sの長さよりも短く、上支持部22、及び下支持部24は、中間部26Aの外側から見たときに視認可能に配置されている。
【0032】
挟持部材30は、軸方向Sから見てコ字状とされ、上挟み部32、中間連結部36、下挟み部34を備えている。中間連結部36はコ字の中間部分を構成し、上挟み部32と下挟み部34を連結している。上挟み部32は、中間連結部36の上端から直角に屈曲されており、内側(下側)に上挟み面32Aが形成されている。下挟み部34は、中間連結部36の下端から直角に屈曲されており、内側(上側)に上挟み面32Aと平行になる下挟み面36Aが形成されている。上挟み部32、中間連結部36、及び、下挟み部34は、一体的に形成されている。挟持部材30の上挟み面32Aと下挟み面36Aの間隔は、配管12の管径に応じた上サドル14と下サドル16が所望の位置に配置された場合のフランジ面14Eとフランジ面16E間の距離で設定されている。
【0033】
次に、本実施形態のクランプ具18を用いて、配管12に上サドル14と下サドル16を保持する手順について説明する。
【0034】
図2に示すように、まず、配管12の上側に上サドル14を配置し、上サドル14と対向する下側に下サドル16を配置する。次に、上フランジ14Dと下フランジ16Dを挟持部材30で鉛直方向に挟持する。具体的には、上フランジ14Dのフランジ面14Eに上挟み部32の上挟み面32Aを当接させ、下フランジ16Dのフランジ面16Eに下挟み部34の下挟み面34Aを当接させる。このとき、中間連結部36が上フランジ14D、及び下フランジ16Dの軸方向Sの中央に配置されるように調整する。これにより、挟持部材30により、上サドル14と下サドル16の片側が支持されると共に、上サドル14上にクランプ本体20が仮置きされる。
【0035】
このとき、クランプ本体20の中間部26Aが上フランジ14Cの軸方向Sの中央に配置されるように調整する。また、中間部26Aが下フランジ16Cの軸方向Sの中央に配置されるように調整する。
【0036】
次に、締結部材28を貫通孔26Hの雌ねじに螺合させつつ回転させて、上支持部22と下支持部24とを近づける。上支持部22は、回転規制部材25A、25Bが中間部26Aに当接することにより、締結部材28の回転に追従せずに回転が規制されて、中間部26Aに沿って移動する。このとき、上フランジ14Dと下フランジ16Dは、上サドル14と下サドル16は、配管12に仮保持される。このとき、配管12の軸方向Sから見える位置合わせ用目盛り27を確認し、対応する配管12の径に応じたマーク位置より若干上側に上支持部22が配置されるようにする。また、上サドル14の上フランジ14Cと下サドル16の下フランジ16C、が平行に配置されているか否かを側方から確認し、両者が平行に配置されるように、上サドル14、下サドル16の位置を調整する。
【0037】
調整した状態で、締結部材28をさらに回転させて、上支持部22と下支持部24とを近づけて、配管12の軸方向Sから見える位置合わせ用目盛り27の対応する配管12の径に応じたマーク位置に、上支持部22の上支持面22Aが配置されるようにする。これにより、上サドル14と下サドル16が配管12に押圧された状態で保持され。そして、上サドル14と下サドル16に通電して加熱し、上サドル14と下サドル16を配管12に融着する。これにより、上サドル14と下サドル16とを、枝管14Bと枝管16Bの軸が同軸となるように位置合わせした状態で、配管12に固定することができる。
【0038】
上サドル14と下サドル16を配管12に融着した後、締結部材28の締結を緩めてクランプ本体20を取り外すと共に、挟持部材30を取り外して、クランプ具18を上サドル14及び下サドル16から取り外す。
【0039】
その後、治具60を用いて配管12の穿孔を行う。
図8に示されるように、治具60は、軸部66、カッター部62、及び保持部64を有している。軸部66は円筒棒状とされ、先端に円筒状のカッター部62が取り付けられている。保持部64は、枝管14Bの外周と係合可能とされた螺合部64A及び、軸部66を挿通する挿通部64Bを有している。軸部66は、挿通部64Bに挿通されており、カッター部62は保持部64の螺合部64A側に配置されている。
【0040】
治具60を用いて穿孔する際には、保持部64を、枝管14Bの外周と螺合させ、軸部66を回転させつつカッター部62を下へ移動させて、配管12の上部を穿孔し孔H1を形成する。この穿孔後に治具60の軸部66内から穿孔時の切片を取り除く。その後、再度軸部66を回転させつつカッター部62を下へ移動させて、配管12の下壁における枝管16Bに対応する部分を穿孔し孔H2を形成する(
図9参照)。
【0041】
本実施形態では、上サドル14の枝管14Bの軸と下サドル16の枝管16Bの軸とが、同軸となるように軸合わせされているので、治具60を用いて、枝管14Bと枝管16Bに対応する配管12の壁に、適切に穿孔を行うことができる。
【0042】
穿孔後に、枝管14Bに蓋15を取り付けて開口を塞ぐと共に、枝管16Bに
図9に示す水抜き管50を連結させる。なお、水抜き管50は、下サドル16を配管12に取り付ける前に、予め枝管16Bに連結させておいてもよい。
【0043】
本実施形態のクランプ具18を用いることにより、簡易な作業で配管に上サドル14及び下サドル16の両方を同時に保持することができる。これにより、簡易に2個の枝管14B、16Bを配管12に設置することができる。
【0044】
また、クランプ具18の取り付け作業として、まず上フランジ14Dと下フランジ16Dを挟持部材30で挟持し、その後にクランプ本体20の締結部材28を操作して締結を行うので、1つの操作により簡易に上サドル14と下サドル16を配管12に保持することができる。
【0045】
また、本実施形態のクランプ具18のクランプ本体20は、回転規制部材25A、25Bにより、締結部材28を回転させる際にも回転が規制されるので、締結動作をスムーズに行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
12 配管
14 上サドル
14A サドル本体
14B 枝管
14C、14D 上フランジ
16 下サドル
16A サドル本体
16B 枝管
16C、16D 下フランジ
18 クランプ具
20 クランプ本体
22 上支持部
24 下支持部
25A、25B 回転規制部材
26 本体部材
26A 中間部
26B 下固定部
26C 上固定部
26H 貫通孔
28 締結部材
30 挟持部材