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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184526
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/06 20090101AFI20221206BHJP
   H04W 4/42 20180101ALI20221206BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20221206BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20221206BHJP
   B61L 23/04 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H04W24/06
H04W4/42
H04B1/04 Z
H04B1/16 Z
B61L23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092433
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】平松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】増田 進二
【テーマコード(参考)】
5K060
5K061
5K067
【Fターム(参考)】
5K060DD01
5K060PP01
5K061HH04
5K067BB05
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】無線通信を行なうために使用される装置に障害が発生しているか否かを判定できない状況の発生を抑制した無線通信システムを提供する。
【解決手段】地上送信装置10は、車両MV1の移動を妨げる状況である異常が発生した場合、無線通信により、当該異常の発生を通知するための処理を行なう。地上送信装置10は、ヘルスチェック信号を送信する送信処理を行なう機能を有する。監視装置30は、地上送信装置10が送信したヘルスチェック信号を受信する機能を有する。無線通信システム1000が地上送信装置10に送信処理を行なわせる処理を行なった場合、中央装置50は、監視装置30によるヘルスチェック信号の受信状況に基づいて、地上送信装置10に障害が発生しているか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の移動を妨げる状況である異常が発生した場合、無線通信により、当該異常の発生を通知するための処理を行なう送信装置を含む無線通信システムであって、
ヘルスチェック信号を送信する送信処理を行なう機能を有する前記送信装置と、
前記送信装置が送信した前記ヘルスチェック信号を受信する機能を有する受信装置と、
前記送信装置に障害が発生しているか否かを判定する機能を有する中央装置とを備え、
前記無線通信システムが前記送信装置に前記送信処理を行なわせる処理を行なった場合、前記中央装置は、前記受信装置による前記ヘルスチェック信号の受信状況に基づいて、当該送信装置に障害が発生しているか否かを判定する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記無線通信システムが前記送信装置に前記送信処理を行なわせる処理を行なった後に、前記受信装置が前記ヘルスチェック信号を受信しない場合、前記中央装置は当該送信装置に障害が発生していると判定する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記送信装置は、前記ヘルスチェック信号を定期的に送信する前記送信処理である定期送信処理を行なう機能を有し、
前記無線通信システムが前記送信装置に前記定期送信処理を行なわせる処理を行なった後に、前記受信装置が前記ヘルスチェック信号を定期的に受信しない場合、前記中央装置は当該送信装置に障害が発生していると判定する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記無線通信システムが前記送信装置に前記送信処理を行なわせる処理を行なった場合、前記中央装置は、前記受信装置による前記ヘルスチェック信号の受信状況に基づいて当該送信装置に障害が発生しているか否かを判定する処理と、当該受信装置による当該ヘルスチェック信号の受信状況に基づいて当該受信装置に障害が発生しているか否かを判定する処理とを行ない、
前記受信装置は、移動自在に構成されており、
前記送信装置は、前記受信装置が当該送信装置に接近している接近状況において当該送信装置が前記ヘルスチェック信号を送信する前記送信処理である接近送信処理を行なう機能を有し、
前記無線通信システムが前記送信装置に前記接近送信処理を行なわせる処理を行なった後に、前記受信装置が前記ヘルスチェック信号を受信しない場合、前記中央装置は、当該送信装置または当該受信装置に障害が発生していると判定する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信により、異常の発生を通知するための処理を行なう無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
踏切内における列車の事故の発生を防止するための無線通信装置(以下、「踏切防護用無線通信装置」という)が開発されている。特許文献1には、踏切防護用無線通信装置としての踏切制御装置が電波の電界強度を使用した処理を行なう構成(以下、「関連構成A」ともいう)が開示されている。
【0003】
関連構成Aでは、踏切内での衝突事故を回避するために、当該踏切内での異常が検知された場合、無線通信装置を含む踏切制御装置が、当該無線通信装置を使用して、列車上の車上無線局へ異常を報知する。
【0004】
関連構成Aの無線通信装置は、他局と通信するための交信用アンテナおよび送受信機を備える。また、無線通信装置は、受信アンテナおよび受信機をさらに備える。無線通信装置は、交信用アンテナから電波を送信している期間において、当該電波を受信アンテナおよび受信機により受信する。これにより、無線通信装置は、受信される電波の電界強度を計測する。関連構成Aの無線通信装置は、電波の計測結果に基づいて、送受信機に故障等の障害が発生しているか否かを判定する。送受信機に故障等の障害が発生している場合、当該無線通信装置は、信号線を介して、外部制御装置に故障検知情報を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-198439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の関連構成Aでは、無線通信装置に含まれる送受信機が、電波を送信する無線通信を行なうための処理を行なう。また、関連構成Aでは、送受信機の動作により送信される電波を、無線通信装置に含まれる受信機が受信する。次に、無線通信装置に含まれる受信電界強度計測部が、送受信機からの計測指示に従って、受信機が受信した電波の電界強度を計測する。次に、無線通信装置に含まれる故障検知部が、計測された電波の電界強度に基づいて、送受信機に障害が発生しているか否かを判定する。
【0007】
上記の構成の無線通信装置では、送受信機に障害が発生していて、当該送受信機が計測指示を受信電界強度計測部へ送信できない場合、電波の電界強度は計測されない。電波の電界強度が計測されない場合、故障検知部が、送受信機に障害が発生しているか否かを判定できない。すなわち、送受信機に障害が発生していて、当該送受信機が計測指示を送信できない場合、当該送受信機に障害が発生しているか否かの判定に使用される電波の電界強度は計測されない。そのため、関連構成Aでは、無線通信を行なうために使用される送受信機に障害が発生しているか否かを判定できない状況が発生する可能性がある。
【0008】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、無線通信を行なうために使用される装置に障害が発生しているか否かを判定できない状況の発生を抑制した無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る無線通信システムは、車両の移動を妨げる状況である異常が発生した場合、無線通信により、当該異常の発生を通知するための処理を行なう送信装置を含む。前記無線通信システムは、ヘルスチェック信号を送信する送信処理を行なう機能を有する前記送信装置と、前記送信装置が送信した前記ヘルスチェック信号を受信する機能を有する受信装置と、前記送信装置に障害が発生しているか否かを判定する機能を有する中央装置とを備え、前記無線通信システムが前記送信装置に前記送信処理を行なわせる処理を行なった場合、前記中央装置は、前記受信装置による前記ヘルスチェック信号の受信状況に基づいて、前記送信装置に障害が発生しているか否かを判定する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、送信装置は、車両の移動を妨げる状況である異常が発生した場合、無線通信により、当該異常の発生を通知するための処理を行なう。送信装置は、ヘルスチェック信号を送信する送信処理を行なう機能を有する。受信装置は、前記送信装置が送信した前記ヘルスチェック信号を受信する機能を有する。無線通信システムが前記送信装置に前記送信処理を行なわせる処理を行なった場合、中央装置は、前記受信装置による前記ヘルスチェック信号の受信状況に基づいて、前記送信装置に障害が発生しているか否かを判定する。
【0011】
これにより、無線通信を行なうために使用される装置に障害が発生しているか否かを判定できない状況の発生を抑制した無線通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る地上送信装置の構成を示すブロック図である。
図3】送信信号のフォーマットの一例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る異常発生信号送信制御処理のフローチャートである。
図5】実施の形態1に係るヘルスチェック信号送信制御処理のフローチャートである。
図6】実施の形態1に係る監視装置の構成を示すブロック図である。
図7】実施の形態1に係るヘルスチェック信号受信制御処理のフローチャートである。
図8】実施の形態2に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図9】実施の形態2に係る地上送信装置の構成を示すブロック図である。
図10】実施の形態2に係るヘルスチェック信号送信制御処理Aのフローチャートである。
図11】実施の形態2に係る車上受信装置の構成を示すブロック図である。
図12】実施の形態2に係る送信信号受信制御処理のフローチャートである。
図13】無線通信システムの特徴的な機能構成を示すブロック図である。
図14】無線通信システムのハードウエア構成の例を示す図である。
図15】処理回路のハードウエア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の図面では、同一の構成要素には同一の符号を付してある。同一の符号が付されている構成要素の名称および機能は同じである。したがって、同一の符号が付されている構成要素の一部についての詳細な説明を省略する場合がある。
【0014】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る無線通信システム1000の構成を示すブロック図である。図1には、無線通信システム1000に含まれない後述の車両MV1も示されている。車両MV1は、例えば、人を輸送するための乗物である。車両MV1は、例えば、列車である。車両MV1は、図示されない線路を走行する。車両MV1は、当該車両MV1内に存在する運転士により操縦される。
【0015】
以下においては、車両MV1の移動を妨げる状況を、「異常A」ともいう。異常Aは、例えば、踏切内で、車が立ち往生しているという状況である。また、異常Aは、例えば、踏切内に、人が存在しているという状況である。踏切は、列車である車両MV1が走行する線路と、道路とが交差する場所である。無線通信システム1000は、例えば、踏切における事故の発生を防止する、踏切防護用のシステムである。
【0016】
無線通信システム1000は、車両検知装置D1、踏切制御装置2、踏切設備3、異常報知装置4、地上送信装置10、車上受信装置20、監視装置30、無線ネットワークN1および中央装置50を備える。地上送信装置10には、送信アンテナAt1が接続されている。車上受信装置20には、受信アンテナAt2が接続されている。監視装置30には、受信アンテナAt3が接続されている。
【0017】
次に、無線通信システム1000に含まれる各構成要素について説明する。踏切設備3、車両検知装置D1、踏切制御装置2、異常報知装置4および地上送信装置10は、地上に設けられている。踏切設備3、車両検知装置D1、踏切制御装置2、異常報知装置4および地上送信装置10は、踏切の近傍に設置されている。
【0018】
踏切設備3は、踏切の設備である。踏切設備3は、警報機と、遮断機とを含む。
【0019】
以下においては、車両MV1が踏切に接近している状況を、「接近状況」ともいう。接近状況は、車両MV1が地上送信装置10に接近している状況でもある。また、以下においては、車両MV1が踏切から離隔している状況を、「離隔状況」ともいう。
【0020】
車両検知装置D1は、車両MV1を検知する機能を有する。車両検知装置D1が車両MV1を検知する車両検知方式は、例えば、軌道回路方式、または、地上子・車上子方式である。車両検知装置D1は、接近状況および離隔状況を検知する機能を有する。車両検知装置D1は、接近状況を検知した場合、当該接近状況を踏切制御装置2に通知する。車両検知装置D1は、離隔状況を検知した場合、当該離隔状況を踏切制御装置2に通知する。
【0021】
踏切制御装置2は、車両検知装置D1からの通知に応じて、踏切設備3を制御する。踏切制御装置2は、車両検知装置D1から接近状況が通知された場合、踏切設備3の警報機を鳴動させるための制御と、踏切設備3の遮断機を下すための制御とを行なう。
【0022】
踏切制御装置2は、車両検知装置D1から離隔状況が通知された場合、踏切設備3の警報機の鳴動を止めるための制御と、遮断機を上げるための制御とを行なう。踏切設備3は、踏切制御装置2による制御に従って、警報機を鳴動させる処理、警報機の鳴動を止める処理、遮断機を下す処理、遮断機を上げる処理等を行なう。
【0023】
以下においては、異常Aが発生した状況を、「異常発生状況」ともいう。異常報知装置4は、異常発生状況を検出し、異常発生状況を報知する異常発生報知処理を行なう。異常報知装置4は、例えば、人が異常Aを視認し、当該人により、図示されない非常ボタンが押されることにより、異常発生状況を検出する。非常ボタンは、例えば、踏切設備3に設けられている。
【0024】
なお、異常報知装置4が、踏切内の障害物を自動で検知する障害物検知装置を利用して、異常発生状況を検出する構成としてもよい。当該構成では、異常報知装置4は、障害物検知装置が踏切内の障害物を検知することにより、異常発生状況を検出する。以下においては、異常Aが発生したことを示す情報を、「異常発生通知」ともいう。
【0025】
異常報知装置4は、異常発生状況を検出した場合、異常発生通知を、地上送信装置10へ送信する。異常発生通知は、車両MV1内の運転士に、異常Aが発生したことを報知するために使用される。
【0026】
地上送信装置10は、詳細は後述するが、踏切において異常Aが発生した場合、無線通信により、異常Aの発生を通知するための処理を行なう。地上送信装置10は、送信アンテナAt1を使用して、無線通信を行なう機能を有する。以下においては、送信の対象となる信号を、「送信信号」ともいう。また、以下においては、異常Aが発生したことを報知するための信号を、「異常発生信号」ともいう。異常発生信号は、送信信号である。
【0027】
以下においては、地上送信装置10が、無線通信により、送信信号を送信する対象となる領域を、「送信対象領域R1」ともいう。送信信号は、例えば、送信アンテナAt1から放射状に送信される。そのため、送信対象領域R1の形状は、例えば、半球である。当該半球の中心の位置は、送信アンテナAt1が存在する位置である。当該半球の半径は、例えば、10メートルから100メートルまでの範囲の長さである。
【0028】
監視装置30および受信アンテナAt3は、送信対象領域R1内に設けられている。また、監視装置30は、送信対象領域R1内の地上に設けられている。また、送信対象領域R1内には、車両MV1が走行する、図示されない線路が設けられている。
【0029】
地上送信装置10は、異常報知装置4から異常発生通知を受信した場合、無線信号である異常発生信号を送信対象領域R1へ送信する送信装置である。
【0030】
以下においては、異常発生信号を送信するための処理を、「異常発生信号送信制御処理」ともいう。異常発生信号送信制御処理は、異常発生信号を送信するためのシーケンスである。異常発生信号送信制御処理は、地上送信装置10により行なわれる。
【0031】
また、地上送信装置10は、無線通信により、ヘルスチェック信号を送信する。本実施の形態では、地上送信装置10は、無線通信により、ヘルスチェック信号を定期的に送信する。ヘルスチェック信号は、地上送信装置10、または、ヘルスチェック信号の送信先の装置に、障害が発生しているか否かを検出するための信号である。ヘルスチェック信号は、送信信号である。
【0032】
地上送信装置10は、異常発生信号の送信タイミングと、ヘルスチェック信号の送信タイミングが同じになった場合、異常発生信号の送信をヘルスチェック信号の送信よりも優先して行なう。
【0033】
以下においては、ヘルスチェック信号を送信するための処理を、「ヘルスチェック信号送信制御処理」ともいう。ヘルスチェック信号送信制御処理は、ヘルスチェック信号を送信するためのシーケンスである。ヘルスチェック信号送信制御処理は、地上送信装置10により行なわれる。ヘルスチェック信号送信制御処理の実行に伴い、後述のヘルスチェック信号送信処理も地上送信装置10により行われる。
【0034】
本実施の形態では、無線通信システム1000が地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理および後述のヘルスチェック信号送信処理を行なわせる処理を行なう。以下においては、地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理およびヘルスチェック信号送信処理を行なわせる処理を、「処理実行制御処理」ともいう。無線通信システム1000は、処理実行制御処理を行なう。
【0035】
処理実行制御処理は、例えば、無線通信システム1000に含まれる構成要素が、処理実行指示を地上送信装置10へ送信する処理である。処理実行指示は、地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理および後述のヘルスチェック信号送信処理を行なわせる指示である。処理実行制御処理は、例えば、無線通信システム1000における、踏切制御装置2または異常報知装置4が、処理実行指示を、地上送信装置10へ送信する処理である。地上送信装置10は、処理実行指示に従って、ヘルスチェック信号送信制御処理および後述のヘルスチェック信号送信処理を行なう。
【0036】
車上受信装置20は、車両MV1に設けられている。車両MV1に設けられている車上受信装置20は、当該車両MV1の移動に伴い、移動する。車上受信装置20は、受信アンテナAt2を使用して、無線通信を行なう機能を有する。前述したように、接近状況は、車両MV1が地上送信装置10に接近している状況である。そのため、接近状況は、車両MV1に設けられている車上受信装置20が、地上送信装置10に接近している状況である。すなわち、接近状況は、車上受信装置20が地上送信装置10の近傍に存在する状況である。接近状況では、車上受信装置20から地上送信装置10までの距離が、例えば、1メートルから100メートルまでの範囲の距離である。前述の離隔状況は、車上受信装置20が、地上送信装置10に接近していない状況である。
【0037】
車両MV1に設けられた車上受信装置20が前述の送信対象領域R1内に存在する場合、当該車上受信装置20は、地上送信装置10が送信する送信信号を受信可能である。車両MV1に設けられた車上受信装置20が前述の送信対象領域R1内に存在する状況は、前述の接近状況である。
【0038】
ここで、接近状況において、地上送信装置10が異常発生信号を送信対象領域R1へ送信したと仮定する。この場合、車上受信装置20は異常発生信号を受信する。車上受信装置20は、異常発生信号を受信した場合、異常発生対応処理を行なう。異常発生対応処理は、車両MV1内の運転士に、異常Aが発生したことを報知するための処理である。異常発生対応処理は、例えば、音、光等を使用した処理である。車上受信装置20には、異常発生対応処理を行なうための構成要素が設けられている。当該構成要素は、例えば、音を出力するスピーカー、光は発するライト等である。
【0039】
異常発生対応処理が行なわれると、車両MV1内の運転士は、異常Aが発生したことを把握する。この場合、当該運転士は、異常Aが発生している踏切に車両MV1が進入することを阻止するために、当該車両MV1を停止させる操作を行なう。
【0040】
ここで、接近状況において、地上送信装置10がヘルスチェック信号を送信対象領域R1へ送信したと仮定する。この場合、車上受信装置20はヘルスチェック信号を受信する。
【0041】
本実施の形態では、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信しても、当該車上受信装置20は特別な処理を行なわない。
【0042】
監視装置30は、地上に設けられている。監視装置30は、受信アンテナAt3を使用して、無線通信を行なう機能を有する。監視装置30は、送信装置である地上送信装置10が送信した送信信号を受信する機能を有する受信装置である。送信信号は、異常発生信号またはヘルスチェック信号である。地上送信装置10が、ヘルスチェック信号を定期的に送信した場合、監視装置30は、ヘルスチェック信号を定期的に受信する。
【0043】
また、監視装置30は、無線通信により、無線ネットワークN1を介して、中央装置50と通信可能である。詳細は後述するが、監視装置30は、必要に応じて、後述の受信NG通知を、無線ネットワークN1を介して、中央装置50へ送信する。
【0044】
中央装置50は、無線通信を行なう機能を有する。中央装置50は、無線通信システム1000における各構成要素を制御する装置である。当該各構成要素は、例えば、監視装置30、地上送信装置10、踏切制御装置2等である。中央装置50は、送信装置である地上送信装置10に障害が発生しているか否かを判定する機能を有する。
【0045】
無線ネットワークN1は、列車無線を使用した列車無線ネットワークである。列車無線は、中央装置50と、運転士が存在する車両MV1に設けられた車上受信装置20との間で、音声通話、データ通信等を実施可能にするためのシステムである。また、無線ネットワークN1は、無線通信システム1000において、中央装置50が、監視装置30と、図示しない列車無線地上送信装置と通信するために使用されるネットワークでもある。列車無線ネットワークである無線ネットワークN1は、既設のネットワークである。
【0046】
次に、地上送信装置10の構成について説明する。図2は、実施の形態1に係る地上送信装置10の構成を示すブロック図である。図2に示されるように、地上送信装置10は、送信信号処理部11、送信無線部12および制御部13を含む。
【0047】
次に、地上送信装置10に含まれる各構成要素について説明する。制御部13は、無線信号を送信するための制御を行なう。制御部13は、送信信号処理部11および送信無線部12を制御する。制御部13は、地上送信装置10に異常発生信号送信制御処理およびヘルスチェック信号送信制御処理を実行させる。
【0048】
制御部13は、送信信号処理部11に対し、送信信号の送信を開始させる制御を行なう。送信信号は、異常発生信号、ヘルスチェック信号等である。また、制御部13は、送信信号処理部11に対し、送信信号の送信を停止させる制御を行なう。
【0049】
また、制御部13は、異常報知装置4が送信した異常発生通知を受信する機能を有する。制御部13が異常発生通知を受信した場合、当該制御部13は、送信信号処理部11に対し、異常発生信号の送信を開始させる制御を行なう。
【0050】
送信信号処理部11は、詳細は後述するが、制御部13の制御に従って、送信信号を生成する。
【0051】
図3は、送信信号のフォーマットの一例を示す図である。図3に示されるように、送信信号は、同期用信号と送信情報とを含む。同期用信号は、送信信号を受信するために使用される信号である。同期用信号は、例えば、周波数同期、シンボル同期、フレーム同期等を行なうために必要な信号を含む。なお、同期用信号に含まれる信号は、上記の信号に限定されない。
【0052】
送信情報は、識別情報と、路線IDと、踏切IDとを含む。識別情報は、例えば、送信信号が、ヘルスチェック信号および異常発生信号のいずれであるかを特定する情報である。識別情報は、例えば、1ビットで表現される。識別情報は、「0」または「1」を示す。識別情報が「0」を示す場合、送信信号は、ヘルスチェック信号である。識別情報が「1」を示す場合、送信信号は、異常発生信号である。
【0053】
路線IDは、車両MV1が走行する路線を特定するIDである。路線IDは、Mビットで表現される。「M」は、1以上の整数である。踏切IDは、踏切を特定するためのIDである。踏切IDは、Nビットで表現される。「N」は、1以上の整数である。
【0054】
なお、送信信号の構成は、図3の構成に限定されない。例えば、送信信号は、路線IDおよび踏切IDの両方または一方を含まなくてもよい。
【0055】
再び、図2を参照して、送信無線部12は、無線通信を行なう機能を有する。送信無線部12は、無線通信により、送信信号を送信する。また、制御部13は、送信無線部12に対し、送信信号の送信を開始させる制御を行なう。また、制御部13は、送信無線部12に対し、送信信号の送信を停止させる制御を行なう。
【0056】
次に、異常発生信号送信制御処理について説明する。図4は、実施の形態1に係る異常発生信号送信制御処理のフローチャートである。異常発生信号送信制御処理では、まず、ステップS2が行なわれる。
【0057】
ステップS2では、制御部13が異常報知装置4から異常発生通知を受信したか否かを判定する。制御部13が異常発生通知を受信していない場合(ステップS2:No)、再度、ステップS2が行なわれる。一方、制御部13が異常発生通知を受信した場合(ステップS2:Yes)、ステップS3に進む。
【0058】
ステップS3では、制御部13が、地上送信装置10に異常発生信号送信処理を開始させる。異常発生信号送信処理は、異常発生信号を送信対象領域R1へ送信する処理である。異常発生信号送信処理は、他の処理とは独立して行なわれる。
【0059】
異常発生信号送信処理では、送信無線部12が異常発生信号を送信対象領域R1へ送信するように、制御部13が送信信号処理部11および当該送信無線部12を制御する。
【0060】
送信信号処理部11は、制御部13の制御に従って、信号生成処理を行なう。信号生成処理では、送信信号処理部11が、異常Aの発生を示すデータビットを使用して、異常発生信号を生成する。具体的には、送信信号処理部11は、当該データビットに対し、例えば、誤り訂正符号化処理、変調処理などを行なうことにより、異常発生信号を生成する。生成された異常発生信号は、当該異常発生信号を特定するデータビットを含む。異常発生信号を特定するデータビットは、例えば、前述の識別情報である。なお、異常発生信号の生成方法は、上記の方法と異なる方法であってもよい。
【0061】
送信無線部12は、制御部13の制御に従って、送信信号処理部11が生成した異常発生信号を、無線信号に変換する。具体的には、送信無線部12は、生成された異常発生信号に対し、D/A変換、周波数変換、増幅処理などを行なうことにより、当該異常発生信号を、無線信号として生成する。なお、異常発生信号を無線信号として生成する方法は、上記の方法と異なる方法であってもよい。
【0062】
送信無線部12は、無線信号としての異常発生信号を、送信アンテナAt1を介して、送信対象領域R1へ送信する。
【0063】
以上のように、異常発生信号送信処理では、地上送信装置10の送信無線部12が、異常発生信号を送信対象領域R1へ送信する。前述したように、監視装置30および受信アンテナAt3は、送信対象領域R1内に設けられている。そのため、監視装置30は、異常発生信号を受信することにより、異常Aが発生したことを把握する。
【0064】
地上送信装置10が行なう異常発生信号送信処理は、当該地上送信装置10が、無線通信により、異常Aの発生を監視装置30に通知するための処理でもある。
【0065】
以下においては、異常発生信号送信処理を停止するための指示を、「信号送信停止指示」ともいう。図示されない停止ボタンが人により押された場合、例えば、地上送信装置10の外部の装置が、信号送信停止指示を、地上送信装置10の制御部13へ送信する。当該停止ボタンは、例えば、踏切設備3に設けられている。地上送信装置10の外部の装置は、例えば、異常報知装置4である。
【0066】
異常発生信号送信処理は、地上送信装置10の制御部13が信号送信停止指示を受信するまで、繰り返し行なわれる。すなわち、地上送信装置10が信号送信停止指示を受信するまで、異常発生信号を送信対象領域R1へ送信する処理が繰り返し行なわれる。
【0067】
ステップS4では、制御部13が信号送信停止指示を受信したか否かを判定する。制御部13が信号送信停止指示を受信していない場合(ステップS4:No)、再度、ステップS4が行なわれる。制御部13が信号送信停止指示を受信した場合(ステップS4:Yes)、ステップS5に進む。
【0068】
ステップS5では、制御部13が送信信号処理部11および送信無線部12を制御して、異常発生信号送信処理を停止する。そして、再度、ステップS2が行なわれる。以上のように、異常発生信号送信制御処理は行なわれる。
【0069】
次に、ヘルスチェック信号送信制御処理について説明する。ヘルスチェック信号送信制御処理および後述のヘルスチェック信号送信処理は、無線通信システム1000が前述の処理実行制御処理を行なった場合に、地上送信装置10により行われる。
【0070】
図5は、実施の形態1に係るヘルスチェック信号送信制御処理のフローチャートである。以下においては、ヘルスチェック信号の送信を開始する時刻を、「送信開始時刻」ともいう。ヘルスチェック信号送信制御処理では、まず、ステップS12が行なわれる。
【0071】
ステップS12では、制御部13が、送信開始時刻を設定する。送信開始時刻は、例えば、正時である。制御部13は、ステップS12が開始された時刻に最も近い正時を、送信開始時刻として設定する。例えば、ステップS12が開始された時刻が「10時20分」である場合、制御部13は、正時である「11時00分」を、送信開始時刻として設定する。
【0072】
次に、ステップS13では、制御部13が、現在の時刻が送信開始時刻であるか否かを判定する。現在の時刻が送信開始時刻である場合(ステップS13:Yes)、ステップS14に進む。一方、現在の時刻が送信開始時刻でない場合(ステップS13:No)、再度、ステップS13が行なわれる。
【0073】
ステップS14では、制御部13が、地上送信装置10が異常発生信号を送信中であるか否かを判定する。具体的には、制御部13が、異常発生信号送信処理が行なわれているか否かを判定する。地上送信装置10が異常発生信号を送信中である場合(ステップS14:Yes)、再度、ステップS12が行なわれる。地上送信装置10が異常発生信号を送信中でない場合(ステップS14:No)、ステップS15に進む。
【0074】
ステップS15では、制御部13が、地上送信装置10にヘルスチェック信号送信処理を開始させる。ヘルスチェック信号送信処理は、ヘルスチェック信号を送信対象領域R1へ送信する送信処理である。ヘルスチェック信号送信処理は、他の処理とは独立して行なわれる。
【0075】
また、ヘルスチェック信号送信処理は、地上送信装置10が異常発生信号を送信していない状況において、ヘルスチェック信号送信制御処理の実行に伴い、当該地上送信装置10により行なわれる送信処理である。すなわち、地上送信装置10は、ヘルスチェック信号を送信する送信処理を行なう機能を有する。また、ヘルスチェック信号送信処理は、無線通信システム1000が前述の処理実行制御処理を行なった場合であって、かつ、地上送信装置10が異常発生信号を送信していない場合、当該地上送信装置10により開始される。
【0076】
ヘルスチェック信号送信処理では、送信無線部12がヘルスチェック信号を送信対象領域R1へ送信するように、制御部13が送信信号処理部11および当該送信無線部12を制御する。
【0077】
送信信号処理部11は、制御部13の制御に従って、ヘルスチェック信号を特定するデータビットを使用して、ヘルスチェック信号を生成する。ヘルスチェック信号を生成する処理は、前述した、異常発生信号を生成する処理と同様である。生成されたヘルスチェック信号は、当該ヘルスチェック信号を特定するデータビットを含む。
【0078】
送信無線部12は、制御部13の制御に従って、送信信号処理部11が生成したヘルスチェック信号を無線信号として生成する。ヘルスチェック信号を無線信号として生成する処理は、前述した、異常発生信号を無線信号として生成する処理と同様である。次に、送信無線部12は、無線信号としてのヘルスチェック信号を、送信アンテナAt1を介して、送信対象領域R1へ送信する。
【0079】
以上のように、ヘルスチェック信号送信処理では、送信無線部12が、ヘルスチェック信号を送信対象領域R1へ送信する。
【0080】
次に、ステップS16では、制御部13が、送信停止時刻を設定する。送信停止時刻は、設定された送信開始時刻に、予め定められた送信継続時間を加算した時刻である。送信継続時間は、ヘルスチェック信号の送信を継続する時間である。ここで、送信開始時刻が「11時00分」であり、送信継続時間が「10分」であると仮定する。この場合、送信停止時刻は、「11時10分」である。
【0081】
次に、ステップS17では、制御部13が、現在の時刻が送信停止時刻であるか否かを判定する。現在の時刻が送信停止時刻である場合(ステップS17:Yes)、ステップS18に進む。一方、現在の時刻が送信停止時刻でない場合(ステップS17:No)、再度、ステップS17が行なわれる。
【0082】
ステップS18では、制御部13が送信信号処理部11および送信無線部12を制御して、ヘルスチェック信号送信処理を停止する。そして、再度、ステップS12が行なわれ、次の送信開始時刻が設定される。
【0083】
以上のように、ヘルスチェック信号送信制御処理は行なわれる。ヘルスチェック信号送信制御処理により、ヘルスチェック信号送信処理は、所定時間経過毎に、繰り返し行なわれる。所定時間は、例えば、1時間である。すなわち、地上送信装置10により繰り返し行なわれるヘルスチェック信号送信処理は、ヘルスチェック信号を定期的に送信する定期送信処理である。そのため、地上送信装置10は、定期送信処理を行なう機能を有する。
【0084】
以下においては、地上送信装置10が送信するヘルスチェック信号を受信するための処理を、「ヘルスチェック信号受信制御処理」ともいう。ヘルスチェック信号受信制御処理は、ヘルスチェック信号を受信するためのシーケンスである。ヘルスチェック信号受信制御処理は、監視装置30により行なわれる。
【0085】
次に、監視装置30の構成について説明する。図6は、実施の形態1に係る監視装置30の構成を示すブロック図である。図6に示されるように、監視装置30は、受信無線部31、受信信号処理部32および制御部33を含む。
【0086】
次に、監視装置30に含まれる各構成要素について説明する。制御部33は、詳細は後述するが、受信無線部31および受信信号処理部32を制御する。また、制御部33は、ヘルスチェック信号受信制御処理を行なう。ヘルスチェック信号受信制御処理は、ヘルスチェック信号送信制御処理とほぼ同時に開始される。
【0087】
受信無線部31は、無線通信を行なう機能を有する。受信無線部31は、詳細は後述するが、制御部33の制御に従って、受信アンテナAt3が受信したヘルスチェック信号に対し、各種の信号処理を行なう。
【0088】
受信信号処理部32は、詳細は後述するが、制御部33の制御に従って、受信無線部31により信号処理が行なわれたヘルスチェック信号に対し、各種の処理を行なう。
【0089】
次に、ヘルスチェック信号受信制御処理について説明する。図7は、実施の形態1に係るヘルスチェック信号受信制御処理のフローチャートである。ヘルスチェック信号受信制御処理では、まず、ステップS302が行なわれる。
【0090】
以下においては、ヘルスチェック信号の受信を開始する時刻を、「受信開始時刻」ともいう。受信開始時刻は、例えば、送信開始時刻と同じ時刻である。
【0091】
ステップS302では、制御部33が、受信開始時刻を設定する。受信開始時刻は、例えば、正時である。制御部33は、ステップS302が開始された時刻に最も近い正時を、受信開始時刻として設定する。例えば、ステップS302が開始された時刻が「10時20分」である場合、制御部33は、正時である「11時00分」を、受信開始時刻として設定する。
【0092】
次に、ステップS303では、制御部33が、現在の時刻が受信開始時刻であるか否かを判定する。現在の時刻が受信開始時刻である場合(ステップS303:Yes)、ステップS304に進む。一方、現在の時刻が受信開始時刻でない場合(ステップS303:No)、再度、ステップS303が行なわれる。
【0093】
ステップS304では、制御部33が、ヘルスチェック信号受信処理を開始する。ヘルスチェック信号受信処理は、他の処理とは独立して行なわれる。ヘルスチェック信号受信処理は、監視装置30がヘルスチェック信号を受信するための処理である。
【0094】
ヘルスチェック信号送信処理により地上送信装置10がヘルスチェック信号を送信対象領域R1へ送信した場合、監視装置30の受信アンテナAt3は、ヘルスチェック信号を受信する。
【0095】
以下においては、ヘルスチェック信号の受信に関する処理を、「受信関連処理」ともいう。受信関連処理は、ヘルスチェック信号受信処理に含まれる処理である。ヘルスチェック信号受信処理に含まれる受信関連処理は、受信アンテナAt3がヘルスチェック信号を受信した場合にのみ行なわれる。
【0096】
ヘルスチェック信号受信処理では、受信アンテナAt3がヘルスチェック信号を受信した場合、制御部33が、受信無線部31および受信信号処理部32が受信関連処理を行なうよう、当該受信無線部31および当該受信信号処理部32を制御する。
【0097】
受信関連処理では、受信無線部31は、制御部33の制御に従って、受信アンテナAt3が受信したヘルスチェック信号に対し、各種の信号処理を行なう。当該信号処理は、例えば、増幅処理、周波数変換、フィルタ処理、A/D変換等である。受信無線部31は、信号処理が行なわれたヘルスチェック信号を、受信信号処理部32へ送信する。
【0098】
また、受信関連処理では、受信信号処理部32が、ヘルスチェック信号に含まれる、当該ヘルスチェック信号を特定するデータビットを取得するために、受信無線部31から受信したヘルスチェック信号に対し、復調処理、誤り訂正復号処理などを行なう。これにより、受信信号処理部32は、ヘルスチェック信号からデータビットを取得する。
【0099】
受信信号処理部32は、取得した当該データビットを、制御部33へ送信する。制御部33は、受信した、ヘルスチェック信号を特定するデータビットから、ヘルスチェック信号を受信したことを認識する。以上の受信関連処理により、監視装置30はヘルスチェック信号を受信する。
【0100】
受信アンテナAt3がヘルスチェック信号を受信していない場合、ヘルスチェック信号受信処理に含まれる受信関連処理は行なわれず、監視装置30はヘルスチェック信号を受信しない。
【0101】
次に、ステップS305では、制御部33が、受信停止時刻を設定する。受信停止時刻は、設定された受信開始時刻に、予め定められた受信継続時間を加算した時刻である。受信継続時間は、ヘルスチェック信号の受信を継続する時間である。
【0102】
ここで、受信開始時刻が「11時00分」であり、受信継続時間が「10分」であると仮定する。この場合、受信停止時刻は、「11時10分」である。
【0103】
次に、ステップS306では、監視装置30がヘルスチェック信号を受信したか否かを、制御部33が判定する。監視装置30がヘルスチェック信号を受信した場合(ステップS306:Yes)、ステップS307に進む。一方、監視装置30がヘルスチェック信号を受信していない場合(ステップS306:No)、ステップS308に進む。
【0104】
ステップS307では、制御部33が受信無線部31および受信信号処理部32を制御して、ヘルスチェック信号受信処理を停止する。そして、ステップS302が行なわれる。
【0105】
ステップS308では、制御部33が、現在の時刻が受信停止時刻であるか否かを判定する。現在の時刻が受信停止時刻である場合(ステップS308:Yes)、ステップS309に進む。一方、現在の時刻が受信停止時刻でない場合(ステップS308:No)、再度、ステップS306が行なわれる。
【0106】
監視装置30がヘルスチェック信号を受信していない場合、現在の時刻が受信停止時刻になるまで、ステップS306,S308が繰り返し行なわれる。
【0107】
ステップS309では、制御部33が受信無線部31および受信信号処理部32を制御して、ヘルスチェック信号受信処理を停止する。
【0108】
次に、ステップS310では、制御部33が、受信NG通知を、無線ネットワークN1を介して、中央装置50へ送信する。その後、再度、ステップS302が行なわれる。
【0109】
受信NG通知は、受信装置である監視装置30によるヘルスチェック信号の受信状況を示す情報である。具体的には、受信NG通知は、監視装置30がヘルスチェック信号を受信していない状況を示す情報である。
【0110】
以下においては、ヘルスチェック信号の送信に関する障害を、「信号送信障害」ともいう。信号送信障害は、無線通信システム1000が前述の処理実行制御処理を行なった後に、監視装置30がヘルスチェック信号を受信しない状況が発生する障害である。
【0111】
信号送信障害は、例えば、地上送信装置10がヘルスチェック信号を送信できないという障害である。また、信号送信障害は、例えば、地上送信装置10が正常なヘルスチェック信号を送信できないという障害である。中央装置50は、送信装置である地上送信装置10に信号送信障害が発生しているか否かを判定する機能を有する。
【0112】
中央装置50が受信NG通知を受信した場合、当該中央装置50は、監視装置30がヘルスチェック信号を受信していないことを把握する。そのため、中央装置50が受信NG通知を受信した場合、当該中央装置50は地上送信装置10に信号送信障害が発生していると判定する。
【0113】
地上送信装置10に信号送信障害が発生している状況は、例えば、当該地上送信装置10が故障している状況である。また、地上送信装置10に信号送信障害が発生している状況は、例えば、地上送信装置10に含まれる、ヘルスチェック信号を送信するための構成要素が故障している状況である。ヘルスチェック信号を送信するための構成要素は、送信信号処理部11、送信無線部12、制御部13等である。
【0114】
前述したように、地上送信装置10がヘルスチェック信号を送信するヘルスチェック信号送信処理は、無線通信システム1000が前述の処理実行制御処理を行なった場合に、地上送信装置10により開始される。また、前述したように、処理実行制御処理は、地上送信装置10にヘルスチェック信号送信処理を行なわせる処理である。
【0115】
本実施の形態では、無線通信システム1000が処理実行制御処理を行なった場合、中央装置50は、監視装置30によるヘルスチェック信号の受信状況に基づいて、地上送信装置10に信号送信障害が発生しているか否かを判定する。
【0116】
具体的には、無線通信システム1000が処理実行制御処理を行なった後に、受信装置である監視装置30がヘルスチェック信号を受信しない場合、中央装置50は地上送信装置10に信号送信障害が発生していると判定する。
【0117】
また、無線通信システム1000が処理実行制御処理を行なった後に、監視装置30がヘルスチェック信号を受信した場合、中央装置50は地上送信装置10に信号送信障害が発生していないと判定する。
【0118】
ここで、無線通信システム1000における処理の一例を分かりやすくするために、以下の前提Pm1のもとで、異常発生信号送信制御処理、ヘルスチェック信号送信制御処理およびヘルスチェック信号受信制御処理が行なわれる場合の処理について説明する。
【0119】
前提Pm1では、無線通信システム1000が、地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理およびヘルスチェック信号送信処理を行なわせる処理実行制御処理を行なう。また、前提Pm1では、異常Aが発生せず、地上送信装置10は異常発生通知を受信しない。
【0120】
また、前提Pm1では、地上送信装置10に信号送信障害が発生している。また、前提Pm1では、地上送信装置10が、ヘルスチェック信号を送信するヘルスチェック信号送信処理を行なうことができない。また、前提Pm1では、監視装置30が正常に動作している。また、前提Pm1では、監視装置30がヘルスチェック信号受信制御処理を正常に行なう。
【0121】
上記の前提Pm1における処理について説明する。まず、無線通信システム1000が、地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理およびヘルスチェック信号送信処理を行なわせる処理実行制御処理を行なう。しかしながら、信号送信障害が発生している地上送信装置10はヘルスチェック信号送信処理を行なうことができない。
【0122】
そのため、監視装置30は、無線通信システム1000が処理実行制御処理を行なった後に、ヘルスチェック信号を受信しない。前提Pm1におけるヘルスチェック信号受信制御処理では、図7のステップS302からS306,S308,S309,S310が行なわれる。これにより、ステップS310において、監視装置30は、受信NG通知を、中央装置50へ送信する。
【0123】
受信NG通知を受信した中央装置50は、地上送信装置10に信号送信障害が発生していると判定する。これにより、地上送信装置10に信号送信障害が発生していることを検知できるという効果が得られる。
【0124】
以下においては、監視装置30がヘルスチェック信号を受信できないようにする妨害信号が発生している状況を、「妨害信号発生状況」ともいう。妨害信号発生状況では、妨害信号が、例えば、地上送信装置10と監視装置30との間の領域に発生している。
【0125】
次に、妨害信号発生状況における処理について説明する。ここで、妨害信号発生状況において、地上送信装置10は、ヘルスチェック信号を送信するヘルスチェック信号送信処理を正常に行なったと仮定する。また、中央装置50は、地上送信装置10が正常に動作していることを把握していると仮定する。
【0126】
この場合、妨害信号の影響により、監視装置30がヘルスチェック信号を受信できない。そのため、図7のヘルスチェック信号受信制御処理のステップS310において、監視装置30は、受信NG通知を、中央装置50へ送信する。受信NG通知を受信した中央装置50は、妨害信号により、監視装置30がヘルスチェック信号を受信していないと判定する。これにより、中央装置50は、妨害信号により、監視装置30がヘルスチェック信号を受信できない状況を検知できるという効果が得られる。
【0127】
次に、ヘルスチェック信号送信制御処理により、地上送信装置10が、ヘルスチェック信号を定期的に送信する処理を行なった場合における処理について説明する。前述したように、地上送信装置10により繰り返し行なわれるヘルスチェック信号送信処理は、ヘルスチェック信号を定期的に送信する定期送信処理である。
【0128】
本実施の形態では、無線通信システム1000が地上送信装置10に定期送信処理を行なわせる処理実行制御処理を行なった後に、受信装置である監視装置30がヘルスチェック信号を定期的に受信しない場合、中央装置50は地上送信装置10に信号送信障害が発生していると判定する。
【0129】
地上送信装置10がヘルスチェック信号を定期的に送信した場合、監視装置30は、当該ヘルスチェック信号を定期的に受信する。例えば、地上送信装置10が所定時間経過毎にヘルスチェック信号を送信した場合、監視装置30は、当該所定時間経過毎に当該ヘルスチェック信号を受信する。
【0130】
監視装置30は、ヘルスチェック信号を定期的に受信しない場合、ヘルスチェック信号受信制御処理のステップS310において、受信NG通知を、中央装置50へ送信する。例えば、監視装置30が、当該所定時間経過毎に当該ヘルスチェック信号を受信しなくなった場合、当該監視装置30は、受信NG通知を、中央装置50へ送信する(ステップS310)。
【0131】
受信NG通知を受信した中央装置50は、地上送信装置10に信号送信障害が発生していると判定する。これにより、監視装置30がヘルスチェック信号を定期的に受信しない状況が発生することにより、地上送信装置10に信号送信障害が発生していることを検知できる。
【0132】
次に、無線通信システム1000における処理の別の一例を分かりやすくするために、以下の前提Pm2のもとで、異常発生信号送信制御処理、ヘルスチェック信号送信制御処理、ヘルスチェック信号送信処理およびヘルスチェック信号受信制御処理が行なわれる場合の処理について説明する。
【0133】
前提Pm2では、ヘルスチェック信号送信処理が所定時間経過毎に繰り返し行われる。繰り返し行なわれるヘルスチェック信号送信処理は、ヘルスチェック信号を定期的に送信する定期送信処理である。
【0134】
また、前提Pm2では、無線通信システム1000が、地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理、および、定期送信処理であるヘルスチェック信号送信処理を行なわせる処理実行制御処理を行なう。また、前提Pm2では、異常Aが発生せず、地上送信装置10は異常発生通知を受信しない。
【0135】
また、前提Pm2では、地上送信装置10がヘルスチェック信号を送信するヘルスチェック信号送信処理を2回行なった後に、当該地上送信装置10に信号送信障害が発生する。また、前提Pm2では、監視装置30はヘルスチェック信号受信制御処理を正常に行なう。
【0136】
上記の前提Pm2における処理について説明する。まず、無線通信システム1000が、地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理、および、定期送信処理であるヘルスチェック信号送信処理を行なわせる処理実行制御処理を行なう。これにより、地上送信装置10は、ヘルスチェック信号を送信する1回目のヘルスチェック信号送信処理を行なう(ステップS15)。地上送信装置10は、所定時間経過してから、2回目のヘルスチェック信号送信処理を行なう。これにより、監視装置30は、ヘルスチェック信号を定期的に受信する。
【0137】
前提Pm2では、地上送信装置10が2回目のヘルスチェック信号送信処理を行なった後、当該地上送信装置10に信号送信障害が発生する。そのため、地上送信装置10は、3回目のヘルスチェック信号送信処理を行なうことができない。したがって、監視装置30は、ヘルスチェック信号を定期的に受信しない状況が発生する。この場合、監視装置30は、受信NG通知を、中央装置50へ送信する(ステップS310)。
【0138】
すなわち、無線通信システム1000が地上送信装置10に定期送信処理を行なわせる処理実行制御処理を行なった後に、監視装置30がヘルスチェック信号を定期的に受信しない場合、当該監視装置30は、受信NG通知を中央装置50へ送信する。受信NG通知を受信した中央装置50は、地上送信装置10に信号送信障害が発生していると判定する。これにより、監視装置30がヘルスチェック信号を定期的に受信しない状況が発生することにより、地上送信装置10に信号送信障害が発生していることを検知できる。
【0139】
(まとめ)
以上説明したように、本実施の形態によれば、地上送信装置10は、車両MV1の移動を妨げる状況である異常が発生した場合、無線通信により、当該異常の発生を通知するための処理を行なう。地上送信装置10は、ヘルスチェック信号を送信する送信処理を行なう機能を有する。監視装置30は、地上送信装置10が送信したヘルスチェック信号を受信する機能を有する。無線通信システム1000が地上送信装置10に送信処理を行なわせる処理を行なった場合、中央装置50は、監視装置30によるヘルスチェック信号の受信状況に基づいて、地上送信装置10に障害が発生しているか否かを判定する。
【0140】
これにより、無線通信を行なうために使用される装置である地上送信装置10に障害が発生しているか否かを判定できない状況の発生を抑制した無線通信システムを提供することができる。
【0141】
また、本実施の形態によれば、地上送信装置10は、ヘルスチェック信号を定期的に送信する機能を有する。監視装置30がヘルスチェック信号を定期的に受信しない場合、当該監視装置30は、受信NG通知を中央装置50へ送信する。受信NG通知を受信した中央装置50は、地上送信装置10に信号送信障害が発生していると判定する。これにより、監視装置30がヘルスチェック信号を定期的に受信しない状況が発生することにより、地上送信装置10に信号送信障害が発生していることを検知できる。
【0142】
また、本実施の形態によれば、監視装置30がヘルスチェック信号を受信できないようにする妨害信号が発生している妨害信号発生状況において、監視装置30は、受信NG通知を、中央装置50へ送信する。そのため、中央装置50は、妨害信号により、監視装置30がヘルスチェック信号を受信できない状況を検知できるという効果が得られる。
【0143】
本実施の形態では、異常Aが発生し、車上受信装置20が異常発生信号を受信した場合、異常発生対応処理を行なって、運転士が車両MV1を停止させる操作を行なうとしたがこれに限定されない。車両MV1に、当該車両MV1を停止させる機能を有するブレーキ制御装置を設ける構成としてもよい。当該構成では、車上受信装置20にブレーキ制御装置が接続される。当該構成では、車上受信装置20が異常発生信号を受信した場合、ブレーキ制御装置が、自動的に、車両MV1のブレーキを稼働させて、当該車両MV1を停止させる。
【0144】
また、本実施の形態では、監視装置30と中央装置50との間の通信に使用される無線ネットワークN1は、既設の列車無線ネットワークであるとしたがこれに限定されない。無線ネットワークN1は、例えば、携帯電話などの通信に利用される公衆網であってもよい。また、無線ネットワークN1は、例えば、無線通信システムと異なるシステムで使用されるネットワークであってもよい。
【0145】
ところで、関連構成Aの無線通信装置は、受信する電波の電界強度の計測結果に基づいて、送受信機が故障しているか否かを判定する。関連構成Aの無線通信装置は、当該無線通信装置が送信する電波の電界強度が、過大または過小であるという異常を検知できる。しかしながら、関連構成Aの無線通信装置は、電波を復調して、当該電波に含まれるデータビットを取得する処理は行なわない。そのため、関連構成Aでは、変調処理等を行なう構成要素の故障を検知できないという問題がある。
【0146】
本実施の形態では、無線通信により送信された送信信号に対し復調を行ない、データビットを取得する処理が行なわれる。そのため、例えば、当該取得したデータビットが正常なデータビットであるか否かを判定できる。これにより、例えば、変調処理を行なう送信信号処理部11の故障を検知することができる。
【0147】
<実施の形態2>
図8は、実施の形態2に係る無線通信システム1000Aの構成を示すブロック図である。無線通信システム1000Aは、図1の無線通信システム1000と比較して、主に、監視装置30の代わりに地上無線装置17を備える点と、車上無線装置40をさらに備える点とが異なる。無線通信システム1000Aのそれ以外の構成は、無線通信システム1000と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0148】
車上無線装置40には、送受信アンテナAt4が接続されている。地上無線装置17には、送受信アンテナAt7が接続されている。車上無線装置40は、送受信アンテナAt4を使用して、無線通信を行なう機能を有する。
【0149】
地上無線装置17は、前述の送信対象領域R1内に設けられている。また、地上無線装置17は、送信対象領域R1内の地上に設けられている。地上無線装置17は、送受信アンテナAt7を使用して、無線通信を行なう機能を有する。地上無線装置17は、無線ネットワークN1を介して、中央装置50と通信可能である。
【0150】
本実施の形態の車両検知装置D1が車両MV1を検知する車両検知方式は、地上子・車上子方式である。地上子・車上子方式は、踏切の近傍の地上に設置される地上子と、車両に設置される車上子との間で通信を行なう方式である。地上子は、例えば、車両検知装置D1である。車上子は、例えば、車上無線装置40である。地上子・車上子方式は、地上子と車上子との間で通信を行なうことにより、当該地上子および当該車上子の両方が、前述の接近状況および離隔状況を把握することができる方式である。
【0151】
前述したように、車両検知装置D1は、接近状況および離隔状況を検知する機能を有する。前述したように、接近状況は、車両MV1が踏切に接近している状況である。
【0152】
また、接近状況は、車両MV1に設けられている車上受信装置20が、地上送信装置10に接近している状況である。また、接近状況は、地上送信装置10が送信した送信信号を、車上受信装置20の受信アンテナAt2が受信可能な状況である。すなわち、接近状況は、地上送信装置10が送信した送信信号を、車上受信装置20が受信可能な状況である。
【0153】
離隔状況は、車両MV1が踏切から離隔している状況である。また、離隔状況は、車上受信装置20が、地上送信装置10から離隔している状況である。すなわち、離隔状況は、車上受信装置20が、地上送信装置10に接近していない状況である。また、離隔状況は、地上送信装置10が送信した送信信号を、車上受信装置20が受信不可能な状況である。
【0154】
車両検知装置D1は、接近状況を検知した場合、当該接近状況を踏切制御装置2に通知する。また、車両検知装置D1は、接近状況を検知した場合、接近状況を、踏切制御装置2および地上送信装置10を介して、車上無線装置40に通知する。また、車両検知装置D1は、離隔状況を検知した場合、当該離隔状況を踏切制御装置2に通知する。
【0155】
車上無線装置40は、通知された接近状況を、車上受信装置20に通知する。
【0156】
踏切制御装置2は、前述したように、車両検知装置D1からの通知に応じて、踏切設備3を制御する。以下においては、接近状況が発生していることを示す情報を、「車両接近通知」ともいう。また、以下においては、離隔状況が発生していることを示す情報を、「車両離隔通知」ともいう。
【0157】
本実施の形態では、車両検知装置D1が接近状況を検知した場合、踏切制御装置2は、車両接近通知を、地上送信装置10へ送信する。また、車両検知装置D1が接近状況を検知した場合、踏切制御装置2は、車両接近通知を、地上送信装置10を介して、車上無線装置40へ送信する。
【0158】
また、車両検知装置D1が離隔状況を検知した場合、踏切制御装置2は、車両離隔通知を、地上送信装置10へ送信する。また、車両検知装置D1が離隔状況を検知した場合、踏切制御装置2は、車両離隔通知を、地上送信装置10を介して、車上無線装置40へ送信する。
【0159】
異常報知装置4は、異常発生状況を検出した場合、異常発生通知を、地上送信装置10へ送信する。
【0160】
本実施の形態の地上送信装置10は、異常発生信号送信制御処理、および、ヘルスチェック信号送信制御処理Aを行なう。異常発生信号送信制御処理は、図4の異常発生信号送信制御処理である。ヘルスチェック信号送信制御処理Aは、ヘルスチェック信号を送信するための処理である。
【0161】
地上送信装置10は、異常報知装置4から異常発生通知を受信した場合、実施の形態1と同様に、異常発生信号を送信対象領域R1へ送信する。また、本実施の形態では、詳細は後述するが、地上送信装置10が異常報知装置4から異常発生通知を受信しておらず、かつ、当該地上送信装置10が踏切制御装置2から車両接近通知を受信した場合、当該地上送信装置10はヘルスチェック信号を送信する。
【0162】
本実施の形態では、無線通信システム1000Aが地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理Aおよびヘルスチェック信号送信処理を行なわせる処理を行なう。以下においては、地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理Aおよびヘルスチェック信号送信処理を行なわせる処理を、「処理実行制御処理A」ともいう。無線通信システム1000Aは、処理実行制御処理Aを行なう。
【0163】
処理実行制御処理Aは、例えば、無線通信システム1000Aに含まれる構成要素が、処理実行指示Aを地上送信装置10へ送信する処理である。処理実行指示Aは、地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理Aおよびヘルスチェック信号送信処理を行なわせる指示である。処理実行制御処理Aは、例えば、無線通信システム1000Aにおける踏切制御装置2が、処理実行指示Aを地上送信装置10へ送信する処理である。
【0164】
地上送信装置10は、処理実行指示Aに従って、ヘルスチェック信号送信制御処理Aおよびヘルスチェック信号送信処理を行なう。
【0165】
車上受信装置20および車上無線装置40は、車両MV1に設けられている。車両MV1に設けられている車上受信装置20および車上無線装置40は、当該車両MV1の移動に伴い、移動する。すなわち、車上受信装置20および車上無線装置40は、移動自在に構成されている。
【0166】
車上受信装置20は、接近状況において、送信装置である地上送信装置10が送信した送信信号を受信する機能を有する受信装置である。送信信号は、異常発生信号またはヘルスチェック信号である。
【0167】
車上無線装置40は、送受信アンテナAt4を使用して、地上無線装置17と無線通信を行なう。
【0168】
次に、本実施の形態に係る地上送信装置10の構成について説明する。図9は、実施の形態2に係る地上送信装置10の構成を示すブロック図である。図9に示されるように、本実施の形態の地上送信装置10の構成は、図2の地上送信装置10の構成と同じである。以下、本実施の形態の地上送信装置10が行なう処理について、図2の地上送信装置10が行なう処理と異なる点を主に説明する。
【0169】
本実施の形態の地上送信装置10は、踏切制御装置2から車両接近通知を受信する。制御部13は、地上送信装置10に異常発生信号送信制御処理およびヘルスチェック信号送信制御処理Aを実行させる。本実施の形態の地上送信装置10は、実施の形態1の地上送信装置10と同様に、図4の異常発生信号送信制御処理を行なう。
【0170】
制御部13は、異常報知装置4から異常発生通知を受信した場合、異常発生信号を送信するための制御を行なう。また、制御部13は、踏切制御装置2が送信した車両接近通知を受信する機能を有する。制御部13は、踏切制御装置2から車両接近通知を受信した場合、ヘルスチェック信号を送信するための制御を行なう。
【0171】
次に、ヘルスチェック信号送信制御処理Aについて説明する。ヘルスチェック信号送信制御処理Aおよびヘルスチェック信号送信処理は、無線通信システム1000Aが前述の処理実行制御処理Aを行なった場合に、地上送信装置10により行われる。
【0172】
図10は、実施の形態2に係るヘルスチェック信号送信制御処理Aのフローチャートである。図10において、図5のステップ番号と同じステップ番号の処理は、実施の形態1で説明した処理と同様な処理が行われるので詳細な説明は繰り返さない。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0173】
ヘルスチェック信号送信制御処理Aでは、まず、ステップS11が行なわれる。
【0174】
ステップS11では、車両検知装置D1が接近状況を検知したか否かを、制御部13が判定する。具体的には、制御部13が、踏切制御装置2から車両接近通知を受信したか否かを判定する。接近状況が検知された場合(ステップS11:Yes)、ステップS14に進む。接近状況では、地上送信装置10が送信する送信信号を、車両MV1に設けられている車上受信装置20が受信可能である。一方、接近状況が検知されない場合(ステップS11:No)、再度、ステップS11が行なわれる。
【0175】
ステップS14では、制御部13が、実施の形態1と同様に、地上送信装置10が異常発生信号を送信中であるか否かを判定する。具体的には、制御部13が、異常発生信号送信処理が行なわれているか否かを判定する。地上送信装置10が異常発生信号を送信中である場合(ステップS14:Yes)、再度、ステップS11が行なわれる。この場合、ヘルスチェック信号の送信は行なわれない。一方、地上送信装置10が異常発生信号を送信中でない場合(ステップS14:No)、ステップS15に進む。
【0176】
ステップS15では、制御部13が、実施の形態1と同様に、地上送信装置10にヘルスチェック信号送信処理を開始させる。ヘルスチェック信号送信処理は、無線通信システム1000Aが前述の処理実行制御処理Aを行なった場合、地上送信装置10により開始される。
【0177】
ヘルスチェック信号送信処理により、地上送信装置10がヘルスチェック信号を送信対象領域R1へ送信する。この場合、接近状況における車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信する。また、送信対象領域R1内に設けられている地上無線装置17もヘルスチェック信号を受信する。
【0178】
次に、ステップS17Aでは、車両検知装置D1が離隔状況を検知したか否かを、制御部13が判定する。具体的には、制御部13が、踏切制御装置2から車両離隔通知を受信したか否かを判定する。離隔状況は、車両MV1が踏切から離隔している状況である。また、離隔状況は、車上受信装置20が、地上送信装置10から離隔している状況である。離隔状況は、車両MV1が踏切から離れるように、当該車両MV1が移動することにより発生する。
【0179】
離隔状況が検知された場合(ステップS17A:Yes)、ステップS18に進む。一方、離隔状況が検知されない場合(ステップS17A:No)、再度、ステップS17Aが行なわれる。
【0180】
ステップS18では、実施の形態1と同様に、制御部13が送信信号処理部11および送信無線部12を制御して、ヘルスチェック信号送信処理を停止する。以上のように、ヘルスチェック信号送信制御処理Aは行なわれる。
【0181】
ヘルスチェック信号送信制御処理Aにより、地上送信装置10がヘルスチェック信号を送信するヘルスチェック信号送信処理は、接近状況において、行なわれる。接近状況は、受信装置である車上受信装置20が地上送信装置10に接近している状況である。以下においては、接近状況において、地上送信装置10がヘルスチェック信号を送信するヘルスチェック信号送信処理を、「接近送信処理」ともいう。すなわち、地上送信装置10は、接近送信処理を行なう機能を有する。
【0182】
詳細は後述するが、接近状況において、車上受信装置20が、地上送信装置10が送信するヘルスチェック信号を受信できなかった場合、当該車上受信装置20は、受信NG通知を、車上無線装置40、地上無線装置17および無線ネットワークN1を介して、中央装置50へ送信する。受信NG通知は、例えば、データビットで表現される。
【0183】
中央装置50は、詳細は後述するが、接近状況において、車上受信装置20から受信NG通知を受信した場合、地上送信装置10または車上受信装置20に障害が発生していると判定する。
【0184】
以下においては、地上送信装置10が送信する送信信号を受信するための処理を、「送信信号受信制御処理」ともいう。送信信号は、異常発生信号またはヘルスチェック信号である。送信信号受信制御処理は、送信信号を受信するためのシーケンスである。送信信号受信制御処理は、車上受信装置20により行なわれる。
【0185】
次に、車上受信装置20の構成について説明する。図11は、実施の形態2に係る車上受信装置20の構成を示すブロック図である。図11に示されるように、車上受信装置20は、受信無線部21、受信信号処理部22および制御部23を含む。
【0186】
次に、車上受信装置20に含まれる各構成要素について説明する。制御部23は、詳細は後述するが、受信無線部21および受信信号処理部22を制御する。また、制御部23は、送信信号受信制御処理を行なう。
【0187】
受信無線部21は、無線通信を行なう機能を有する。受信無線部21は、詳細は後述するが、制御部23の制御に従って、車上受信装置20の受信アンテナAt2が受信した送信信号に対し、各種の信号処理を行なう。送信信号は、異常発生信号またはヘルスチェック信号である。
【0188】
受信信号処理部22は、詳細は後述するが、制御部23の制御に従って、受信無線部21により信号処理が行なわれたヘルスチェック信号に対し、各種の処理を行なう。
【0189】
送信信号受信制御処理が行なわれている期間には、接近状況判定処理が行なわれる。接近状況判定処理は、送信信号受信制御処理とは独立して行われる。接近状況判定処理は、車上受信装置20が、接近状況の発生を把握するための処理である。以下においては、車両接近通知を、「踏切接近通知」ともいう。踏切接近通知は、接近状況が発生していることを示す情報である。
【0190】
接近状況判定処理では、車両検知装置D1が接近状況を検知した場合、踏切制御装置2は、車両接近通知を、地上送信装置10を介して、車上無線装置40へ送信する。車両接近通知を受信した車上無線装置40は、車両接近通知としての踏切接近通知を、車上受信装置20の制御部23へ送信する。これにより、車上受信装置20の制御部23は、接近状況が発生していることを把握する。
【0191】
また、接近状況判定処理では、車両検知装置D1が離隔状況を検知した場合、踏切制御装置2は、車両離隔通知を、地上送信装置10を介して、車上無線装置40へ送信する。車両離隔通知を受信した車上無線装置40は、当該車両離隔通知を車上受信装置20の制御部23へ送信する。これにより、車上受信装置20の制御部23は、離隔状況が発生していることを把握する。すなわち、制御部23は、接近状況が発生していないことを把握する。
【0192】
なお、踏切制御装置2が地上送信装置10を使用せず、当該踏切制御装置2が車上無線装置40に対し無線通信を行なう機能を有する構成(以下、「変形構成A」ともいう)としてもよい。変形構成Aにおける接近状況判定処理では、車両検知装置D1が接近状況を検知した場合、踏切制御装置2は、無線通信により、車両接近通知を車上無線装置40へ送信する。車両接近通知を受信した車上無線装置40は、車両接近通知としての踏切接近通知を、車上受信装置20の制御部23へ送信する。
【0193】
また、変形構成Aにおける接近状況判定処理では、車両検知装置D1が離隔状況を検知した場合、踏切制御装置2は、無線通信により、車両離隔通知を車上無線装置40へ送信する。車両離隔通知を受信した車上無線装置40は、当該車両離隔通知を車上受信装置20の制御部23へ送信する。
【0194】
次に、送信信号受信制御処理について説明する。図12は、実施の形態2に係る送信信号受信制御処理のフローチャートである。送信信号受信制御処理では、踏切接近フラグおよびヘルスチェック信号受信フラグが使用される。踏切接近フラグおよびヘルスチェック信号受信フラグの各々の状態には、一例として、「ON」および「OFF」が存在する。
【0195】
踏切接近フラグおよびヘルスチェック信号受信フラグは、例えば、制御部23が保持している。なお、踏切接近フラグおよびヘルスチェック信号受信フラグは、車上受信装置20に含まれる、図示しないメモリに記憶されていてもよい。
【0196】
送信信号受信制御処理では、まず、初期設定として、ステップS602,S603が行なわれる。ステップS602では、制御部23が、踏切接近フラグの状態を「OFF」にする。ステップS603では、制御部23が、ヘルスチェック信号受信フラグの状態を「OFF」にする。
【0197】
次に、ステップS604では、制御部23が、信号受信処理を開始する。信号受信処理は、他の処理とは独立して行なわれる。信号受信処理は、地上送信装置10が送信する送信信号を受信するための処理である。送信信号は、異常発生信号またはヘルスチェック信号である。送信信号は、異常発生信号またはヘルスチェック信号を特定するデータビットを含む。
【0198】
以下においては、異常発生信号を特定するデータビットを、「データビットA」ともいう。また、以下においては、ヘルスチェック信号を特定するデータビットを、「データビットC」ともいう。
【0199】
接近状況において、地上送信装置10が送信信号を送信した場合、車上受信装置20の受信アンテナAt2は、当該送信信号を受信する。
【0200】
以下においては、送信信号の受信に関する処理を、「受信関連処理A」ともいう。受信関連処理Aは、信号受信処理に含まれる処理である。信号受信処理に含まれる受信関連処理Aは、車上受信装置20の受信アンテナAt2が送信信号を受信した場合にのみ行なわれる。
【0201】
信号受信処理では、受信アンテナAt2が送信信号を受信した場合、制御部23が、受信無線部21および受信信号処理部22が受信関連処理Aを行なうよう、当該受信無線部21および当該受信信号処理部22を制御する。
【0202】
受信関連処理Aでは、受信無線部21は、制御部23の制御に従って、受信アンテナAt2が受信した送信信号に対し、各種の信号処理を行なう。信号処理は、例えば、増幅処理、周波数変換、フィルタ処理、A/D変換等である。受信無線部21は、信号処理が行なわれた送信信号を、受信信号処理部22へ送信する。
【0203】
また、受信関連処理Aでは、受信信号処理部22が、送信信号に含まれるデータビットを取得するために、受信無線部21から受信した送信信号に対し、復調処理、誤り訂正復号処理などを行なう。これにより、受信信号処理部22は、送信信号からデータビットを取得する。
【0204】
受信信号処理部22は、取得した当該データビットを、制御部23へ送信する。制御部23は、受信したデータビットが、データビットAまたはデータビットCであることを認識することにより、受信した送信信号が、異常発生信号またはヘルスチェック信号であることを認識する。以上の受信関連処理Aにより、車上受信装置20は、異常発生信号またはヘルスチェック信号である送信信号を受信する。
【0205】
受信アンテナAt2が送信信号を受信していない場合、信号受信処理に含まれる受信関連処理Aは行なわれず、車上受信装置20は、異常発生信号またはヘルスチェック信号である送信信号を受信しない。
【0206】
次に、ステップS605では、前述の信号受信処理により車上受信装置20が異常発生信号を受信したか否かを、制御部23が判定する。車上受信装置20が異常発生信号を受信した場合(ステップS605:Yes)、ステップS606に進む。一方、車上受信装置20が異常発生信号を受信していない場合(ステップS605:No)、ステップS607に進む。
【0207】
ステップS606では、異常発生対応処理が行なわれる。異常発生対応処理は、実施の形態1で説明したので詳細な説明は繰り返さない。異常発生対応処理は、車両MV1内の運転士に、異常Aが発生したことを報知するための処理である。ステップS606の終了後、再度、ステップS602が行なわれる。
【0208】
ステップS607では、接近状況が発生しているか否かを、制御部23が判定する。具体的には、制御部23が、前述の接近状況判定処理、または、変形構成Aにおける接近状況判定処理により、車上無線装置40から車両接近通知としての踏切接近通知を受信したか否かを判定する。前述したように、踏切接近通知は、接近状況が発生していることを示す情報である。接近状況が発生している場合(ステップS607:Yes)、ステップS608に進む。一方、接近状況が発生していない場合(ステップS607:No)、ステップS611に進む。
【0209】
ステップS608では、制御部23が、踏切接近フラグの状態を「ON」にする。ステップS608の終了後、ステップS609では、前述の信号受信処理により車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信したか否かを、制御部23が判定する。車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信した場合(ステップS609:Yes)、ステップS610に進む。車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信していない場合(ステップS609:No)、再度、ステップS605が行なわれる。
【0210】
ステップS610では、制御部23が、ヘルスチェック信号受信フラグの状態を「ON」にする。そして、再度、ステップS605が行なわれる。
【0211】
ステップS611では、制御部23が、踏切接近フラグの状態が「ON」であるか否かを判定する。踏切接近フラグの状態が「ON」である場合(ステップS611:Yes)、ステップS612に進む。一方、踏切接近フラグの状態が「ON」でない場合(ステップS611:No)、すなわち、踏切接近フラグの状態が「OFF」である場合、ヘルスチェック信号の受信判定は不要であるため、再度、ステップS605が行なわれる。
【0212】
ステップS612では、制御部23が、ヘルスチェック信号受信フラグの状態が「ON」であるか否かを判定する。ヘルスチェック信号受信フラグの状態が「ON」である場合(ステップS612:Yes)、ステップS614に進む。一方、ヘルスチェック信号受信フラグの状態が「ON」でない場合(ステップS612:No)、すなわち、ヘルスチェック信号受信フラグの状態が「OFF」である場合、ステップS613に進む。
【0213】
ステップS613は、踏切接近フラグの状態が「ON」であり、かつ、ヘルスチェック信号受信フラグの状態が「OFF」である場合に行なわれる。踏切接近フラグの状態が「ON」であり、かつ、ヘルスチェック信号受信フラグの状態が「OFF」である場合は、接近状況において地上送信装置10が送信するヘルスチェック信号を車上受信装置20が受信できなかった場合である。
【0214】
ステップS613では、受信NG通知を送信する受信NG通知送信処理が行なわれる。本実施の形態の受信NG通知は、受信装置である車上受信装置20によるヘルスチェック信号の受信状況を示す情報である。具体的には、本実施の形態の受信NG通知は、接近状況において車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信していない状況を示す情報である。
【0215】
受信NG通知送信処理では、制御部23が、受信NG通知を、車上無線装置40、地上無線装置17および無線ネットワークN1を介して、中央装置50へ送信する。受信NG通知は、例えば、データビットで表現される。
【0216】
具体的には、受信NG通知送信処理では、制御部23が、受信NG通知を、車上無線装置40へ送信する。車上無線装置40は、受信NG通知を、地上無線装置17および無線ネットワークN1を介して、中央装置50へ送信する。受信NG通知送信処理の終了後、ステップS614に進む。
【0217】
以下においては、ヘルスチェック信号の受信に関する障害を、「信号受信障害」ともいう。信号受信障害は、無線通信システム1000Aが地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理A、および、接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なった後に、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信しない状況が発生する障害である。
【0218】
信号受信障害は、例えば、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信できないという障害である。また、信号受信障害は、例えば、車上受信装置20がヘルスチェック信号を正常に受信できないという障害である。
【0219】
前述したように、中央装置50は、送信装置である地上送信装置10に信号送信障害が発生しているか否かを判定する機能を有する。本実施の形態の信号送信障害は、無線通信システム1000Aが地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理A、および、接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なった後に、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信しない状況が発生する障害である。信号送信障害は、例えば、地上送信装置10がヘルスチェック信号を送信できないという障害である。また、信号送信障害は、例えば、地上送信装置10が正常なヘルスチェック信号を送信できないという障害である。
【0220】
また、中央装置50は、受信装置である車上受信装置20に信号受信障害が発生しているか否かを判定する機能を有する。
【0221】
本実施の形態では、無線通信システム1000Aが地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理A、および、ヘルスチェック信号送信処理である接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なった場合、中央装置50は、送信障害判定処理と、受信障害判定処理とを行なう。
【0222】
具体的には、無線通信システム1000Aが地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理A、および、接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なった場合であって、かつ、中央装置50が、車上受信装置20によるヘルスチェック信号の受信状況を示す受信NG通知を受信した場合、中央装置50は、送信障害判定処理と、受信障害判定処理とを行なう。
【0223】
送信障害判定処理は、受信装置である車上受信装置20によるヘルスチェック信号の受信状況に基づいて地上送信装置10に信号送信障害が発生しているか否かを判定する処理である。受信障害判定処理は、受信装置である車上受信装置20によるヘルスチェック信号の受信状況に基づいて車上受信装置20に信号受信障害が発生しているか否かを判定する処理である。
【0224】
また、本実施の形態では、無線通信システム1000Aが地上送信装置10に接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なった後に、受信装置である車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信しない場合、中央装置50は、当該地上送信装置10または当該車上受信装置20に障害が発生していると判定する。
【0225】
中央装置50が受信NG通知を受信した場合、当該中央装置50は、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信していないことを把握する。そのため、車上受信装置20が正常に信号受信処理を行なっている状況で、中央装置50が受信NG通知を受信した場合、送信障害判定処理により、当該中央装置50は地上送信装置10に信号送信障害が発生していると判定する。
【0226】
また、接近状況において地上送信装置10が正常にヘルスチェック信号送信処理を行なった状況で、中央装置50が受信NG通知を受信した場合、受信障害判定処理により、当該中央装置50は車上受信装置20に信号受信障害が発生していると判定する。
【0227】
車上受信装置20に信号受信障害が発生している状況は、例えば、当該車上受信装置20が故障している状況である。また、車上受信装置20に信号受信障害が発生している状況は、例えば、車上受信装置20に含まれる、ヘルスチェック信号を受信するための構成要素が故障している状況である。ヘルスチェック信号を受信するための構成要素は、受信無線部21、受信信号処理部22、制御部23等である。
【0228】
前述のステップS612の判定においてヘルスチェック信号受信フラグの状態が「ON」であると判定された場合、または、ステップS613の受信NG通知送信処理が終了した場合、ステップS614が行なわれる。
【0229】
ステップS614では、制御部23が、踏切接近フラグの状態を「OFF」にする。次に、ステップS615では、制御部23が、ヘルスチェック信号受信フラグの状態を「OFF」にする。そして、再度、ステップS605が行なわれる。以上のように、送信信号受信制御処理が行なわれる。
【0230】
ここで、無線通信システム1000Aにおける処理の一例を分かりやすくするために、以下の前提Pm3のもとで、異常発生信号送信制御処理、ヘルスチェック信号送信制御処理Aおよび送信信号受信制御処理が行なわれる場合の処理について説明する。
【0231】
前提Pm3では、接近状況が発生する。また、前提Pm3では、無線通信システム1000Aにおいて、地上送信装置10に信号送信障害が発生している状況、または、車上受信装置20に信号受信障害が発生している状況が生じている。また、前提Pm3では、送信信号受信制御処理が行なわれている期間にわたって、接近状況判定処理が行なわれる。
【0232】
また、前提Pm3では、無線通信システム1000Aが地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理A、および、ヘルスチェック信号送信処理である接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なう。また、前提Pm3では、異常Aが発生せず、地上送信装置10は異常発生通知を受信しない。
【0233】
上記の前提Pm3における処理について説明する。まず、無線通信システム1000Aが地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理A、および、ヘルスチェック信号送信処理である接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なう。前述したように、前提Pm3では、無線通信システム1000Aにおいて、地上送信装置10に信号送信障害が発生している状況、または、車上受信装置20に信号受信障害が発生している状況が生じている。
【0234】
そのため、無線通信システム1000Aが地上送信装置10に接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なった後に、受信装置である車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信しない。
【0235】
前提Pm3における送信信号受信制御処理では、図12のステップS604,S605,S607が順に行なわれる。前提Pm3では接近状況が発生するため、ステップS607の後、ステップS608,S609が順に行なわれる。
【0236】
車上受信装置20は、ヘルスチェック信号を受信しない。そのため、ステップS609で「No」と判定され、ヘルスチェック信号受信フラグの状態が「ON」にされることなく、離隔状況が発生するまで、ステップS605,S607,S608,S609が繰り返し行われる。
【0237】
離隔状況が発生すると、ステップS607で「No」と判定され、ステップS611,S612,S613が順に行なわれる。
【0238】
ステップS613では、制御部23が、受信NG通知を、車上無線装置40、地上無線装置17および無線ネットワークN1を介して、中央装置50へ送信する。
【0239】
中央装置50が受信NG通知を受信した場合、当該中央装置50は、送信障害判定処理と受信障害判定処理とを行なう。前提Pm3では、無線通信システム1000Aが地上送信装置10に接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なった後に、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信しない。これにより、中央装置50は、送信障害判定処理および受信障害判定処理により、地上送信装置10または車上受信装置20に障害が発生していると判定する。具体的には、中央装置50は、地上送信装置10に信号送信障害が発生しているという判定、または、車上受信装置20に信号受信障害が発生しているという判定を行なう。
【0240】
次に、無線通信システム1000Aにおける処理の別の一例を分かりやすくするために、以下の前提Pm4のもとで、異常発生信号送信制御処理、ヘルスチェック信号送信制御処理Aおよび送信信号受信制御処理が行なわれる場合の処理について説明する。
【0241】
前提Pm4では、接近状況が発生する。また、前提Pm4では、地上送信装置10に信号送信障害が発生している。また、前提Pm4では、接近状況において、地上送信装置10はヘルスチェック信号送信処理を行なうことができない。また、前提Pm4では、送信信号受信制御処理が行なわれている期間にわたって、前述の変形構成Aにおける接近状況判定処理が行なわれる。
【0242】
また、前提Pm4では、無線通信システム1000Aが地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理A、および、ヘルスチェック信号送信処理である接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なう。
【0243】
また、前提Pm4では、異常Aが発生せず、地上送信装置10は異常発生通知を受信しない。また、前提Pm4では、車上受信装置20が正常に動作している。また、前提Pm4では、車上受信装置20が、送信信号受信制御処理および信号受信処理を正常に行なう。また、前提Pm4では、車上受信装置20が正常に動作していることを中央装置50は把握している。
【0244】
上記の前提Pm4における処理について説明する。まず、無線通信システム1000Aが地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理A、および、ヘルスチェック信号送信処理である接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なう。しかしながら、信号送信障害が発生している地上送信装置10は、接近状況においてヘルスチェック信号送信処理を行なうことができない。
【0245】
そのため、無線通信システム1000Aが地上送信装置10に接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なった後に、受信装置である車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信しない。
【0246】
前提Pm4における送信信号受信制御処理では、図12のステップS604,S605,S607が順に行なわれる。前提Pm4では接近状況が発生するため、ステップS607の後、ステップS608,S609が順に行なわれる。
【0247】
車上受信装置20は、ヘルスチェック信号を受信しない。そのため、ステップS609で「No」と判定され、ヘルスチェック信号受信フラグの状態が「ON」にされることなく、離隔状況が発生するまで、ステップS605,S607,S608,S609が繰り返し行われる。
【0248】
離隔状況が発生すると、ステップS607で「No」と判定され、ステップS611,S612,S613が順に行なわれる。
【0249】
ステップS613では、制御部23が、受信NG通知を、車上無線装置40、地上無線装置17および無線ネットワークN1を介して、中央装置50へ送信する。
【0250】
中央装置50が受信NG通知を受信した場合、当該中央装置50は、送信障害判定処理と受信障害判定処理とを行なう。前提Pm4では、車上受信装置20が正常に信号受信処理を行なっている。また、無線通信システム1000Aが地上送信装置10に接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なった後に、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信しない。これにより、中央装置50は、送信障害判定処理により、地上送信装置10に信号送信障害が発生していると判定する。
【0251】
次に、無線通信システム1000Aにおける処理の別の一例を分かりやすくするために、以下の前提Pm5のもとで、異常発生信号送信制御処理、ヘルスチェック信号送信制御処理、ヘルスチェック信号送信処理およびヘルスチェック信号受信制御処理が行なわれる場合の処理について説明する。
【0252】
前提Pm5では、接近状況が発生する。また、前提Pm5では、地上送信装置10が正常に動作している。また、前提Pm5では、接近状況において、地上送信装置10がヘルスチェック信号送信処理を正常に行なう。また、前提Pm5では、地上送信装置10が正常に動作していることを中央装置50は把握している。
【0253】
また、前提Pm5では、車上受信装置20に信号受信障害が発生しており、当該車上受信装置20は信号受信処理を行なうことができない。前提Pm5において、車上受信装置20に発生している当該信号受信障害は、車上受信装置20の受信無線部21および受信信号処理部22の両方または一方が故障しているという障害である。
【0254】
また、前提Pm5では、送信信号受信制御処理が行なわれている期間にわたって、接近状況判定処理が行なわれる。
【0255】
また、前提Pm5では、無線通信システム1000Aが地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理A、および、ヘルスチェック信号送信処理である接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なう。また、前提Pm5では、異常Aが発生せず、地上送信装置10は異常発生通知を受信しない。
【0256】
上記の前提Pm5における処理について説明する。まず、無線通信システム1000Aが地上送信装置10にヘルスチェック信号送信制御処理A、および、ヘルスチェック信号送信処理である接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なう。これにより、地上送信装置10は、接近状況においてヘルスチェック信号を送信するヘルスチェック信号送信処理である接近送信処理を行なう(ステップS15)。
【0257】
前提Pm5における送信信号受信制御処理では、図12のステップS604,S605,S607が順に行なわれる。前提Pm5では接近状況が発生するため、ステップS607の後、ステップS608,S609が順に行なわれる。
【0258】
前提Pm5では、車上受信装置20に信号受信障害が発生しており、当該車上受信装置20は信号受信処理を行なうことができない。そのため、車上受信装置20は、ヘルスチェック信号を受信しない。したがって、ステップS609で「No」と判定され、ヘルスチェック信号受信フラグの状態が「ON」にされることなく、離隔状況が発生するまで、ステップS605,S607,S608,S609が繰り返し行われる。
【0259】
離隔状況が発生すると、ステップS607で「No」と判定され、ステップS611,S612,S613が順に行なわれる。
【0260】
ステップS613では、制御部23が、受信NG通知を、車上無線装置40、地上無線装置17および無線ネットワークN1を介して、中央装置50へ送信する。
【0261】
中央装置50が受信NG通知を受信した場合、当該中央装置50は、送信障害判定処理と受信障害判定処理とを行なう。前提Pm5では、接近状況において、地上送信装置10がヘルスチェック信号送信処理を正常に行なう。また、無線通信システム1000Aが地上送信装置10に接近送信処理を行なわせる処理実行制御処理Aを行なった後に、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信しない。これにより、中央装置50は、受信障害判定処理により、車上受信装置20に信号受信障害が発生していると判定する。
【0262】
以下においては、接近状況において、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信できないようにする妨害信号が発生する状況を、「妨害信号発生状況A」ともいう。妨害信号発生状況Aでは、接近状況において、妨害信号が、例えば、地上送信装置10と車上受信装置20との間の領域に発生する。
【0263】
次に、妨害信号発生状況Aにおける処理について説明する。ここで、妨害信号発生状況Aおよび接近状況において、地上送信装置10が、ヘルスチェック信号を送信するヘルスチェック信号送信処理を正常に行なったと仮定する。また、妨害信号発生状況Aおよび接近状況において、車上受信装置20が、送信信号受信制御処理および信号受信処理を正常に行なったと仮定する。また、中央装置50は、地上送信装置10および車上受信装置20が正常に動作していることを把握していると仮定する。
【0264】
この場合、妨害信号の影響により、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信できない。そのため、図12の送信信号受信制御処理のステップS613において、車上受信装置20の制御部23は、受信NG通知を、車上無線装置40、地上無線装置17および無線ネットワークN1を介して、中央装置50へ送信する。
【0265】
受信NG通知を受信した中央装置50は、妨害信号により、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信していないと判定する。これにより、中央装置50は、妨害信号により、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信できない状況を検知できるという効果が得られる。
【0266】
(まとめ)
以上説明したように、本実施の形態によれば、車上受信装置20が設けられている車両MV1が踏切に接近している接近状況において、送信装置である地上送信装置10がヘルスチェック信号送信処理を行なう。車上受信装置20は、接近状況において、地上送信装置10が送信したヘルスチェック信号を受信する機能を有する。接近状況において、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信しなかった場合、制御部23が、受信NG通知を、車上無線装置40、地上無線装置17および無線ネットワークN1を介して、中央装置50へ送信する。
【0267】
これにより、中央装置50は、地上送信装置10に信号送信障害が発生しているという判定、または、車上受信装置20に信号受信障害が発生しているという判定を行なう。そのため、地上送信装置10に信号送信障害が発生していること、または、車上受信装置20に信号受信障害が発生していることを検知できるという効果が得られる。
【0268】
また、本実施の形態によれば、接近状況において、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信できないようにする妨害信号が発生する妨害信号発生状況Aにおいて、車上受信装置20の制御部23は、受信NG通知を、車上無線装置40、地上無線装置17および無線ネットワークN1を介して、中央装置50へ送信する。そのため、中央装置50は、妨害信号により、車上受信装置20がヘルスチェック信号を受信できない状況を検知できるという効果が得られる。
【0269】
ところで、関連構成Aの無線通信装置は、電波を送信する無線通信を行なうための処理を行なう装置である送受信機に障害が発生しているか否かを判定することができる。しかしながら、関連構成Aの無線通信装置は、無線通信により信号を受信する装置に、当該信号の受信障害が発生していることは判定できない。
【0270】
一方、本実施の形態では、無線通信によりヘルスチェック信号を受信する車上受信装置20に信号受信障害が発生しているという判定を行なうことができる。そのため、無線通信により信号を受信する装置に、信号の受信障害が発生していることを判定できるという効果が得られる。
【0271】
(機能ブロック図)
以下においては、本技術に係る無線通信システムを、「無線通信システムHs1」ともいう。無線通信システムHs1は、無線通信システム1000および無線通信システム1000Aのいずれかである。
【0272】
図13は、無線通信システムHs1の特徴的な機能構成を示すブロック図である。つまり、図13は、無線通信システムHs1が有する機能のうち、本技術に関わる主要な機能を示すブロック図である。
【0273】
無線通信システムHs1は、車両の移動を妨げる状況である異常が発生した場合、無線通信により、当該異常の発生を通知するための処理を行なう送信装置BL1を含む。送信装置BL1は、地上送信装置10に相当する。
【0274】
無線通信システムHs1は、送信装置BL1と、受信装置BL2と、中央装置BL3とを備える。送信装置BL1は、ヘルスチェック信号を送信する送信処理を行なう機能を有する。受信装置BL2は、送信装置BL1が送信した前記ヘルスチェック信号を受信する機能を有する。受信装置BL2は、監視装置30または車上受信装置20に相当する。
【0275】
中央装置BL3は、送信装置BL1に障害が発生しているか否かを判定する機能を有する。中央装置BL3は、中央装置50に相当する。
【0276】
無線通信システムHs1が送信装置BL1に前記送信処理を行なわせる処理を行なった場合、中央装置BL3は、受信装置BL2による前記ヘルスチェック信号の受信状況に基づいて、送信装置BL1に障害が発生しているか否かを判定する。
【0277】
(無線通信システムのハードウエア構成例)
以下においては、無線通信システムHs1に含まれる、本技術に関わる主要な装置を、「主要装置」ともいう。無線通信システムHs1は、3台の主要装置を含む。例えば、実施の形態1に係る3台の主要装置は、それぞれ、地上送信装置10、監視装置30および中央装置50に相当する。また、例えば、実施の形態2に係る3台の主要装置は、それぞれ、地上送信装置10、車上受信装置20および中央装置50に相当する。
【0278】
図14は、無線通信システムHs1のハードウエア構成の例を示す図である。無線通信システムHs1に含まれる3台の主要装置の機能は、それぞれ、3つの処理回路70により実現される。
【0279】
以下においては、3つの処理回路70を、それぞれ、処理回路70a,70b,70cと表現する。処理回路70aは、送信装置である地上送信装置10に相当する。処理回路70aは、車両の移動を妨げる状況である異常が発生した場合、無線通信により、当該異常の発生を通知するための処理を行なう。また、処理回路70aは、ヘルスチェック信号を送信する送信処理を行なう機能を有する。
【0280】
処理回路70bは、受信装置である監視装置30または車上受信装置20に相当する。処理回路70bは、処理回路70aが送信した前記ヘルスチェック信号を受信する機能を有する。
【0281】
処理回路70cは、中央装置50に相当する。無線通信システムHs1が処理回路70aに前記送信処理を行なわせる処理を行なった場合、処理回路70cは、処理回路70bによる前記ヘルスチェック信号の受信状況に基づいて、処理回路70aに障害が発生しているか否かを判定する。
【0282】
処理回路70a,70b,70cのいずれかである処理回路70は、専用のハードウエアであってよい。また、処理回路70は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサを用いて構成されていてもよい。当該プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等である。
【0283】
以下においては、処理回路70が専用のハードウエアである状況を、「状況St1」ともいう。また、以下においては、処理回路70が、プロセッサを用いて構成される状況を、「状況St2」ともいう。
【0284】
状況St1では、処理回路70は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0285】
図15は、処理回路70a,70b,70cのいずれかである処理回路70が、プロセッサを用いて構成される状況St2における、当該処理回路70のハードウエア構成の例を示す図である。図15の構成は、図14の各処理回路70を、プロセッサ71およびメモリ72で実現した構成である。
【0286】
状況St2では、無線通信システムHs1に含まれる3台の主要装置の各々の機能は、ソフトウエアAにより実現される。ソフトウエアAは、ソフトウエアまたはファームウエアである。また、ソフトウエアAは、ソフトウエアとファームウエアとの組み合わせで構成されてもよい。ソフトウエアAはプログラムとして記述され、メモリ72に格納される。
【0287】
また、状況St2では、プロセッサ71が、メモリ72に記憶されたプログラムを読み出して、当該プログラムを実行することにより、無線通信システムHs1に含まれる3台の主要装置の各々の機能は実現される。また、当該プログラムは、3台の主要装置の各々が行う処理の手順、当該処理を実行する方法等をコンピュータに実行させるものでもある。
【0288】
ここで、メモリ72は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリである。また、メモリ72は、例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。また、メモリ72は、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0289】
以上のように、無線通信システムHs1は、ハードウエアまたはソフトウエアAによって、上述の各機能を実現することができる。
【0290】
また、本技術は、無線通信システムHs1が備える特徴的な構成部の動作をステップとする装置障害判定方法として実現してもよい。また、本技術は、そのような装置障害判定方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現してもよい。
【0291】
また、本技術は、そのようなプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現されてもよい。また、当該プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して配信されてもよい。
【0292】
(その他の変形例)
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【0293】
例えば、無線通信システム1000または無線通信システム1000Aは、図で示される全ての構成要素を含まなくてもよい。すなわち、無線通信システム1000または無線通信システム1000Aは、本技術の効果を実現できる最小限の構成要素のみを含めばよい。
【0294】
また、例えば、車両MV1は、列車に限定されない。車両MV1は、例えば、自動車であってもよい。
【0295】
また、例えば、無線通信システム1000または無線通信システム1000Aは、踏切における事故の発生を防止するシステムに限定されない。無線通信システム1000または無線通信システム1000Aは、例えば、車両MV1に関する不具合の発生を抑制するシステムであってもよい。
【0296】
また、例えば、図4図5図7図10および図12の処理は、本技術の効果を実現できる最小限のステップのみを含めばよい。例えば、図5のヘルスチェック信号送信制御処理において、「送信開始時刻」および「送信停止時刻」を使用しない構成としてもよい。当該構成が適用されたヘルスチェック信号送信制御処理では、ステップS12,S13,S16,S17は行なわれない。また、当該構成では、ステップS15が開始されてから所定時間経過後に、ステップS18が行なわれる。当該所定時間は、例えば、1分から10分までの範囲の時間である。
【0297】
また、例えば、図7のヘルスチェック信号受信制御処理において、「受信開始時刻」および「受信停止時刻」を使用しない構成としてもよい。当該構成が適用されたヘルスチェック信号受信制御処理では、ステップS302,S303,S305,S308は行なわれない。また、当該構成では、ステップS304が開始されてから所定時間経過後に、ステップS309が行なわれる。当該所定時間は、例えば、1分から10分までの範囲の時間である。
【符号の説明】
【0298】
10 地上送信装置、17 地上無線装置、20 車上受信装置、30 監視装置、40 車上無線装置、50,BL3 中央装置、70,70a,70b,70c 処理回路、1000,1000A,Hs1 無線通信システム、BL1 送信装置、BL2 受信装置、MV1 車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15