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特開2022-184543無架橋発泡シートの製造方法及び無架橋発泡シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184543
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】無架橋発泡シートの製造方法及び無架橋発泡シート
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20221206BHJP
   B29C 48/00 20190101ALI20221206BHJP
   B29C 48/10 20190101ALI20221206BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20221206BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
C08J9/12 CES
B29C48/00
B29C48/10
B29C48/08
B29C44/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092466
(22)【出願日】2021-06-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行者:一般社団法人発明推進協会 刊行物:発明推進協会公開技報 公技番号:2021-500659 発行日:令和3年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000131810
【氏名又は名称】株式会社ジェイエスピー
(74)【代理人】
【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】山形 明生
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 聡
(72)【発明者】
【氏名】西本 敬
【テーマコード(参考)】
4F074
4F207
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA20
4F074AA98
4F074AB03
4F074AB05
4F074BA37
4F074BA38
4F074BA95
4F074BC13
4F074CA22
4F074CD08
4F074DA02
4F074DA04
4F074DA12
4F074DA23
4F074DA24
4F074DA33
4F207AA07
4F207AB02
4F207AG01
4F207AG20
4F207AH54
4F207AR06
4F207AR17
4F207AR20
4F207KA01
4F207KA11
4F207KK04
4F207KL88
4F207KM15
4F214AA07
4F214AB02
4F214AG01
4F214AG20
4F214AH54
4F214AR06
4F214AR17
4F214AR20
4F214UA11
4F214UA17
4F214UC04
4F214UN04
4F214UP88
(57)【要約】
【課題】 植物由来ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする、低坪量の無架橋発泡シートを安定して製造することができる無架橋発泡シートの製造方法と、その方法により製造された無架橋発泡シートを提供すること。
【解決手段】 基材樹脂としての低密度ポリエチレンと物理発泡剤とを含む発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡させて、低密度ポリエチレンを基材樹脂とする坪量10g/m以上100g/m以下の無架橋発泡シートを製造する方法であって、低密度ポリエチレンが、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂からなり、植物由来低密度ポリエチレンの融点が100℃以上115℃以下であり、植物由来低密度ポリエチレンの融点と石油由来低密度ポリエチレンの融点との差が5℃以内であり、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの質量比が95:5~5:95であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材樹脂としての低密度ポリエチレンと物理発泡剤とを含む発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡させて、低密度ポリエチレンを基材樹脂とする坪量10g/m以上100g/m以下の無架橋発泡シートを製造する方法であって、
低密度ポリエチレンが、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂からなり、
植物由来低密度ポリエチレンの融点が100℃以上115℃以下であり、
植物由来低密度ポリエチレンの融点と石油由来低密度ポリエチレンの融点との差が5℃以内であり、
植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの質量比が95:5~5:95であることを特徴とする無架橋発泡シートの製造方法。
【請求項2】
前記植物由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイトと石油由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイトとの差が2g/10分以内であることを特徴とする請求項1に記載の無架橋発泡シートの製造方法。
【請求項3】
前記植物由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイトが0.1g/10分以上5g/10分以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無架橋発泡シートの製造方法。
【請求項4】
前記無架橋発泡シートの見掛け密度が、10kg/m以上200kg/m以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の無架橋発泡シートの製造方法。
【請求項5】
前記無架橋発泡シートのゲル分率が3%以下(0を含む)であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の無架橋発泡シートの製造方法。
【請求項6】
融点100℃以上115℃以下の植物由来低密度ポリエチレンと、植物由来低密度ポリエチレンとの融点差が5℃以内である石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂を基材樹脂とする坪量10g/m以上100g/m以下の無架橋発泡シートであり、ASTM D 6866により測定される無架橋発泡シートの植物度が5%以上90%以下であることを特徴とする無架橋発泡シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無架橋発泡シートの製造方法及び無架橋発泡シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン系樹脂押出発泡シート(以下単に発泡シートともいう。)は、緩衝性に優れる材料であることから、板状物用間紙、梱包材等の物流用緩衝材等として、種々の分野に利用されている。
【0003】
このようなポリエチレン系樹脂発泡シートは、例えば、次のような押出発泡法により製造される。ポリエチレン系樹脂を気泡調整剤等と共に押出機に供給し、加熱混練して樹脂溶融物とし、該樹脂溶融物に物理発泡剤を圧入し、混練して発泡性樹脂溶融物を形成し、該発泡性樹脂溶融物を環状ダイから大気中に押出発泡して筒状の発泡体を形成し、該筒状の発泡体を引取機により引取りつつ、シート状に切り開くことにより製造される。
【0004】
ポリエチレン系樹脂発泡シートは、通常、化石燃料資源から生産された石油由来ポリエチレンを用いて製造される。
【0005】
一方、近年では、大気中の二酸化炭素量の増加による地球温暖化や、化石燃料資源の枯渇等が懸念されていることから、石油由来ポリエチレンに過度に依存しないポリエチレン系樹脂発泡シートの開発が望まれている。例えば、特許文献1には、サトウキビ等の植物原料から生産された植物由来ポリエチレンと、石油由来ポリエチレンとを用いることで、石油由来ポリエチレンの使用量が低減されたポリエチレン系樹脂発泡シートを製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-155225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような押出発泡法により、低坪量であると共に、架橋剤等により基材樹脂が架橋されていない無架橋のポリエチレン系樹脂発泡シートを製造する場合、通常、円筒状に押出された発泡体を拡幅しつつ、引取機により発泡体を高速で引取ることで、発泡シートが製造される。
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、植物由来ポリエチレンと石油由来ポリエチレンとを用いて、低坪量であると共に、無架橋のポリエチレン系樹脂発泡シートを製造しようとすると、発泡体の引取時に発泡体が破断し、良好なポリエチレン系樹脂発泡シートを得ることが困難であった。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、植物由来ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする、低坪量の無架橋発泡シートを安定して製造することができる無架橋発泡シートの製造方法と、その方法により製造された無架橋発泡シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、以下に示す無架橋発泡シートの製造方法及び無架橋発泡シートが提供される。
[1]本発明の無架橋発泡シートの製造方法は、基材樹脂としての低密度ポリエチレンと物理発泡剤とを含む発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡させて、低密度ポリエチレンを基材樹脂とする坪量10g/m以上100g/m以下の無架橋発泡シートを製造する方法であって、
低密度ポリエチレンが、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂からなり、
植物由来低密度ポリエチレンの融点が100℃以上115℃以下であり、
植物由来低密度ポリエチレンの融点と石油由来低密度ポリエチレンの融点との差が5℃以内であり、
植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの質量比が95:5~5:95であることを特徴とする。
[2]前記1の発明の無架橋発泡シートの製造方法において、植物由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイトと石油由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイトとの差が2g/10分以内であることを特徴とする。
[3]前記1又は2の発明の無架橋発泡シートの製造方法において、前記植物由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイトが0.1g/10分以上5g/10分以下であることを特徴とする。
[4]前記1から3の発明の無架橋発泡シートの製造方法において、前記無架橋発泡シートの見掛け密度が、10kg/m以上200kg/m以下であることを特徴とする。
[5]前記1から4の発明の無架橋発泡シートの製造方法において、前記無架橋発泡シートのゲル分率が3%以下(0を含む)であることを特徴とする。
[6]本発明の無架橋発泡シートは、融点100℃以上115℃以下の植物由来低密度ポリエチレンと、植物由来低密度ポリエチレンとの融点差が5℃以内である石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂を基材樹脂とする坪量10g/m以上100g/m以下の無架橋発泡シートであり、ASTM D 6866により測定される無架橋発泡シートの植物度が5%以上90%以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、植物由来ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする、低坪量の無架橋発泡シートを安定して製造することができる無架橋発泡シートの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の無架橋発泡シート(以下、単に発泡シートともいう。)の製造方法及び無架橋発泡シートについて詳細に説明する。本発明の無架橋発泡シートの製造方法は、基材樹脂としての低密度ポリエチレンと物理発泡剤とを含む発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡させる、低密度ポリエチレンを基材樹脂とする無架橋発泡シートの製造方法であり、前記低密度ポリエチレンが植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂からなるものである。なお、本発明における基材樹脂は、低密度ポリエチレンを主成分として含有する樹脂である。より具体的には、基材樹脂中に含まれる低密度ポリエチレンが、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
【0013】
<ポリエチレン系樹脂>
(植物由来低密度ポリエチレン)
本発明において用いられる植物由来低密度ポリエチレンとしては、バイオ低密度ポリエチレンと呼ばれる、サトウキビ、トウモロコシ、ビート等の植物を原料として製造されたバイオエチレンを重合すること等により製造された低密度ポリエチレンを例示することができる。前記植物由来低密度ポリエチレンは、ASTM D 6866により測定された植物度が80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上の植物由来低密度ポリエチレンを用いることができる。なお、前記植物由来低密度ポリエチレンとしては、長鎖分岐構造を有し、密度が0.910g/cm以上0.930g/cm未満である植物由来の低密度ポリエチレンを好ましく用いることができる。
なお、ASTM D 6866により測定される植物度とは、樹脂中に含まれる天然由来成分の割合を意味し、放射性炭素C14の濃度を測定することにより求められる。
【0014】
本発明で用いる植物由来低密度ポリエチレンの融点は100℃以上115℃以下である。融点が高すぎると、良好な気泡構造を有すると共に、緩衝性に優れる低坪量の発泡シートを得ることが困難となる場合がある。かかる観点から、該融点は113℃以下であることが好ましく、112℃以下であることがより好ましい。また、融点が低すぎる場合にも、良好な気泡構造を有する低坪量の発泡シートを得ることが困難となる場合がある。かかる観点から、該融点は105℃以上であることが好ましく、107℃以上であることがより好ましい。
【0015】
植物由来低密度ポリエチレンの融点及び後述する石油由来低密度ポリエチレンの融点は、JIS K 7121-1987に基づいて測定することができる。該測定においては、JIS K 7121-1987 、3 .試験片の状態調節(2)の条件( 但し、冷却速度10℃/分。)により状態調整した試験片を使用して、10℃/分にて昇温することにより融解ピークを得、得られた融解ピークの頂点の温度を融点とする。なお、融解ピークが2つ以上現れる場合は、最も面積の大きな融解ピークの頂点の温度を融点とする。市販されている、上記範囲の融点を有する植物由来低密度ポリエチレンとしては、例えば、ブラスケム社製のSEB853、SPB681、STN7006等が挙げられる。
【0016】
また、植物由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイトは、0.1g/10min以上5g/10min以下であることが好ましく、0.2g/10min以上4g/10min以下であることがより好ましい。この範囲であると、低坪量であると共に、幅広い厚みや見掛け密度を有する発泡シートを安定して製造しやすくなる。
前記植物由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイト及び後述する石油由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイトは、JIS K7210-1:2014に従って、温度190℃、荷重2.16kgにて測定される値である。
【0017】
なお、植物由来低密度ポリエチレンとして、複数の種類の植物由来低密度ポリエチレンを用いる場合、発泡シートの製造時における各植物由来低密度ポリエチレンの配合割合で、押出機等により各植物由来低密度ポリエチレンを過度な樹脂の熱劣化が生じない条件で溶融混練した測定用混練物を作製し、該測定用混練物に対して各種測定を行うことで、植物由来低密度ポリエチレンの融点や、メルトフローレイトを求めることができる。
【0018】
(石油由来低密度ポリエチレン)
本発明で用いる石油由来低密度ポリエチレンとしては、ナフサ等の化石燃料を原料として製造される化石燃料資源由来の低密度ポリエチレンを用いることができる。また、石油由来低密度ポリエチレンとしては、従来のポリエチレン系樹脂発泡体の製造に用いられている石油由来低密度ポリエチレンを用いることができる。なお、前記石油由来低密度ポリエチレンとしては、長鎖分岐構造を有し、密度が0.910g/cm以上0.930g/cm未満である石油由来の低密度ポリエチレンを好ましく用いることができる。
【0019】
石油由来低密度ポリエチレンの融点は、100℃以上115℃以下であることが好ましい。この場合、良好な気泡構造を有すると共に、緩衝性に優れる低坪量の発泡シートを安定して得やすくなる。かかる観点から、該融点は113℃以下であることが好ましく、112℃以下であることがより好ましい。また、該融点は、105℃以上であることが好ましく、107℃以上であることがより好ましい。
【0020】
また、石油由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイトは、0.1~5g/10minであることが好ましい。この範囲であると、低坪量であると共に、幅広い厚みや見掛け密度を有する発泡シートを安定して製造しやすくなる。
【0021】
なお、石油由来低密度ポリエチレンとして、複数の種類の石油由来低密度ポリエチレンを用いる場合、発泡シートの製造時における各石油由来低密度ポリエチレンの配合割合で、押出機等により各石油由来低密度ポリエチレンを過度な樹脂の熱劣化が生じない条件で溶融混練した測定用混練物を作製し、該測定用混練物に対して各種測定を行うことで、石油由来低密度ポリエチレンの融点や、メルトフローレイトを求めることができる。
【0022】
本発明における、植物由来低密度ポリエチレンの融点と石油由来低密度ポリエチレンの融点との差は5℃以内である。融点の差が大きすぎると、押出発泡法により、低坪量であると共に、架橋剤等により基材樹脂が架橋されていない無架橋のポリエチレン系樹脂発泡シートを製造しようとすると、発泡体の引取時に発泡体が破断し、発泡シートの製造が困難となる。そのため、低坪量であると共に、所望とする厚みや見掛け密度を有する発泡シートを製造することが困難となる。かかる観点から、前記融点の差は4℃以内であることが好ましく、3℃以内であることがより好ましく、2℃以内であることがさらに好ましい。
【0023】
また、植物由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイトと石油由来低密度ポリエチレンのメルトフローレイトとの差は、2g/10min以内であることが好ましく、1g/10min以内であることがより好ましい。この場合、低坪量であると共に、所望とする見掛け密度を有し、さらに薄厚みの発泡シートを安定して製造しやすくなる。
【0024】
さらに、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの質量比は、95:5~5:95である。この場合、植物由来ポリエチレンを含有すると共に、良好な気泡構造を有する低坪量の発泡シートを安定して製造することができる。植物由来ポリエチレンを含有すると共に、所望とする発泡シートを安定して製造しやすくなる観点から、前記植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの質量比は、60:40~6:94であることが好ましく、50:50~8:92であることがより好ましく、40:60~10:90であることがさらに好ましい。
【0025】
なお、本発明の所期の効果を達成できる範囲であれば、本発明で特定する低密度ポリエチレン以外の樹脂やエラストマー等、他の成分を配合してもよい。その場合、他の成分の配合量は、低密度ポリエチレン(植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの合計)100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。
【0026】
<物理発泡剤>
本発明で用いられる物理発泡剤としては、従来のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造に用いられている物理発泡剤を用いることができる。これら物理発泡剤は有機系、無機系のいずれであってもよい。
【0027】
有機系物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2-テトラフロロエタン、1,1-ジフロロエタン等のフッ化炭化水素、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類を用いることができる。
【0028】
無機系物理発泡剤としては、例えば、酸素、窒素、二酸化炭素、空気、水等を用いることができる。これらの物理発泡剤は、2種以上を混合して使用することが可能である。これらのうち、押出発泡性や発泡体の引取安定性に優れる観点から有機系物理発泡剤を用いることが好ましく、ブタンを用いることがより好ましい。ブタンとしては、ノルマルブタン、イソブタン又はこれらの混合物を用いることができる。
【0029】
前記物理発泡剤の添加量は、その種類、目的とする発泡シートの見掛け密度や坪量に応じて調整することができる。例えば、物理発泡剤としてイソブタン30質量%とノルマルブタン70質量%とのブタン混合物等を用いて本発明の発泡シートを得る場合、基材樹脂100質量部に対して、物理発泡剤を3~35質量部添加することが好ましく、5~30質量部添加することがより好ましく、6~25質量部添加することがさらに好ましい。
【0030】
<気泡調整剤>
本発明方法においては、前記低密度ポリエチレンとともに気泡調整剤を用いることができる。気泡調整剤としては、無機粉体や化学発泡剤を用いることができる。無機粉体としては、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウムなどが例示される。化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ヒドラゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、炭酸水素ナトリウム(重曹)や、炭酸水素ナトリウムとクエン酸又はクエン酸一ナトリウム等のクエン酸モノアルカリ金属塩との混合物である重曹-クエン酸系化学発泡剤などが例示される。気泡調整剤の添加量は、基材樹脂100質量部に対して0.1~3質量部であることが好ましく、0.2~2質量部であることがより好ましい。添加量が前記範囲であると、発泡シートの気泡径を所望の範囲に安定して調整しやすくなる。
【0031】
<その他の添加剤>
本発明においては、前記成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、収縮防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤、着色剤等が挙げられる。
【0032】
<無架橋発泡シートの製造方法>
本発明の無架橋発泡シートは、例えば、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂と、気泡調整剤とを押出機に供給し、加熱混練して溶融樹脂組成物とし、該溶融樹脂組成物に物理発泡剤を圧入し、混練して発泡性溶融樹脂組成物を形成し、該発泡性溶融樹脂組成物を環状ダイから大気中に押出発泡して筒状の発泡体を形成し、該筒状の発泡体を引取機により引取りつつ、シート状に切り開くことにより製造される。より具体的には、次のような製造方法により製造される。
【0033】
まず、無架橋発泡シートを形成するための材料である、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂、その他必要に応じて添加される気泡調整剤等の添加剤を押出機に供給して200℃程度で加熱混練して溶融樹脂組成物とする。ついで、この溶融樹脂組成物に物理発泡剤を圧入して更に混練し、押出機内で発泡性溶融樹脂組成物とする。
【0034】
なお、植物由来低密度ポリエチレン及び石油由来低密度ポリエチレンを押出機に供給する方法(押出機に供給される際の、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂の形態)は、本発明の所期の目的を達成できる範囲であれば特に限定されるものではない。例えば、植物由来低密度ポリエチレン及び石油由来低密度ポリエチレンを押出機に別々に供給する方法、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとを混合した混合ポリエチレンを押出機に供給する方法、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとを予め溶融混練した溶融混練物を押出機に供給する方法等が挙げられる。また、発泡シートにおける基材樹脂は、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとが溶融混練されてなる混合樹脂により構成される。
【0035】
そして、前記発泡性溶融樹脂組成物を押出機の下流側に設けられた環状ダイ内に導入し、環状ダイ先端のリップ部から大気中に押出して、発泡性溶融樹脂組成物を発泡させる。次いで、押出発泡により形成された筒状押出発泡体を、筒状の拡幅装置(マンドレル)にて拡張(ブローアップ)しつつ、マンドレルに沿わせて引取りながら押出方向に沿って切り開くことにより発泡シートを得ることができる。
【0036】
所望とする坪量、平均厚み及び見掛け密度を有する発泡シートを製造するにあたっては、主に、発泡シートの製造時における、発泡シートの引取速度、発泡性溶融樹脂組成物の吐出量、発泡シートのブローアップ比(拡径比)等を調整することにより、所望とする発泡シートを得ることができる。具体的には、坪量が小さく、見掛け密度が低く、平均厚みが薄い発泡シートを製造する場合には、押出機より押出された筒状の発泡体のブローアップ比を2.0以上4.5以下とすることが好ましく、2.1以上4.0以下であることがより好ましい。なお、ブローアップ比は、環状ダイの直径(吐出口径)とマンドレルの直径との比(ブローアップ比:マンドレルの直径/環状ダイのリップ部直径)を意味する。
【0037】
また、押出機より押出された筒状の発泡体の引取速度を10m/分以上120m/分以下、より好ましくは20m/分以上100m/分以下とすることが好ましい。また、押出機のサイズや、得ようとする押出発泡シートの幅方向における長さにもよるが、押出機より押出された発泡性溶融樹脂組成物の吐出量を50kg/hr以上300kg/hr以下、より好ましくは60kg/hr以上260kg/hr以下とすることが好ましい。
【0038】
ここで、発泡性溶融樹脂組成物の吐出量や押出発泡シートのブローアップ比を前記範囲にしつつ、押出発泡シートの製造時における引取速度を大きくして(例えば、10m/分以上120m/分以下の範囲)、低坪量の発泡シートを得ようとする場合、本発明の構成を満足しない植物由来ポリエチレンと石油由来ポリエチレンとの混合樹脂を用いた場合には、押出機から押出された発泡体が引き取られる際に破断が生じ、良好な発泡シートを得ることができない。
一方、本発明の構成を満足する植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂を用いて押出発泡を行うことで、発泡シートを安定して引取ることができるようになり、低坪量の発泡シートを得ることができる。
【0039】
なお、発泡シートの製造において、架橋剤等により架橋されていない無架橋のポリエチレン系樹脂は、架橋されたポリエチレン系樹脂よりも、溶融粘度の温度依存性が大きいため、所望とする発泡倍率に発泡させつつ、低坪量の発泡シートを得ようとした場合に、引取時に発泡シートが破断しやすい。一方、本発明の構成を満足する植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂を用いて押出発泡を行うことで、無架橋の低密度ポリエチレンを基材樹脂としても、低坪量の発泡シートを得ることができる。
【0040】
単層の発泡シートを製造する方法について上述したが、本発明においては、多層の発泡シートを製造することもできる。具体的には、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの混合樹脂からなる低密度ポリエチレンと物理発泡剤とを混練してなる発泡層形成用発泡性溶融樹脂組成物に、ポリエチレン系樹脂を混練してなる樹脂層形成用溶融樹脂組成物を共押出用環状ダイを用いて積層し、該共押出用環状ダイから共押出して形成された筒状の発泡体を引取ることにより、低密度ポリエチレンを基材樹脂とする発泡層(発泡シート)と、該発泡層に積層接着されたポリエチレン系樹脂層とを有する多層発泡シートを製造することができる。
【0041】
この場合、例えば、発泡層形成用押出機の下流側に共押出用環状ダイを取り付けると共に、樹脂層形成用押出機の下流側に該共押出用環状ダイを連結させた装置を用いて共押出することで、筒状の多層発泡体を得、筒状の多層発泡体を、前述したように切り開くことにより多層発泡シートを製造することができる。なお、樹脂層は非発泡状態であっても発泡状態であってもよい。
【0042】
なお、多層発泡シートの各種物性(平均厚み、坪量、見掛け密度)は、前記発泡シートに対する各種物性の測定を、多層発泡シートに対して行うことで求めることができる。
【0043】
緩衝性を維持したまま、コシ強度を高めることができることから、多層発泡シートにおける樹脂層の坪量は、片面当たり1g/m以上20g/m以下であることが好ましく、2g/m以上10g/m以下であることがより好ましい。
なお、樹脂層の坪量は、樹脂層の厚みを、樹脂層を構成する樹脂の密度で乗じ、単位換算することや、多層発泡シート全体の坪量を、発泡層形成用発泡性溶融樹脂組成物と樹脂層形成用溶融樹脂組成物との吐出量の比で配分することにより算出することができる。
【0044】
また、樹脂層は、帯電防止剤を含有する帯電防止層とすることができる。帯電防止剤としては、従来の帯電防止層を有する多層発泡シートの製造で用いられている、公知の高分子型帯電防止剤等を用いることができる。
【0045】
<無架橋発泡シートの物性>
(坪量)
前記の製造方法により製造される本発明の無架橋発泡シートの坪量は、10g/m以上100g/m以下の範囲である。坪量が前記範囲であると、低坪量の無架橋発泡シートとなり、物流用緩衝材等として好適に用いることができる。より軽量な無架橋発泡シートとなる観点からは、坪量は80g/m以下であることが好ましく、60g/m以下であることがより好ましく、50g/m以下であることがさらに好ましい。なお、前記坪量は、所定の寸法(例えば、1000mm×250mm)に切り出した無架橋発泡シートの面積(m)及び質量(g)を測定し、質量(g)を面積(m)で除することで、坪量(g/m)を求めることができる。
【0046】
(見掛け密度)
無架橋発泡シートの見掛け密度は、10kg/m以上200kg/m以下であることが好ましい。無架橋発泡シートの坪量を前記の範囲とするとともに、前記見掛け密度の範囲とすることにより、軽量であるとともに、緩衝性に優れた発泡シートとなり、物流用緩衝材等としてより好適に用いることができる。かかる観点から、見掛け密度は15kg/m以上180kg/m以下であることが好ましく、20kg/m以上150kg/m以下であることがより好ましく、25kg/m以上120kg/m以下であることがさらに好ましい。なお、前記見掛け密度は、無架橋発泡シートの坪量(g/m)を、後述する無架橋発泡シートの平均厚みで割算し、さらに(kg/m)に単位換算することにより求めることができる。
【0047】
(平均厚み)
無架橋発泡シートの平均厚みは、0.05mm以上3mm以下であることが好ましい。無架橋発泡シートの厚みを前記範囲とすることにより、板状物用の間紙等として用いた場合の積載効率を高めることができる。特に、間紙用途に用いる場合、無架橋発泡シートの平均厚みは、1.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい。また、緩衝性を高める観点からは、無架橋発泡シートの平均厚みは、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることが好ましい。
【0048】
なお、前記平均厚みは、無架橋発泡シートの押出方向と直交する幅方向における無架橋発泡シートの全幅について、1cm間隔で厚みの測定を行い、測定された厚みを算術平均することで求めることができる。厚みの測定は、株式会社山文電気製オフライン厚み測定機「TOF-4R」などを使用し測定することができる。なお、前記の測定に使用する無架橋発泡シートは、温度23±5℃、相対湿度50%の条件下で24時間以上状態調整したものを用いることとする。
【0049】
(ゲル分率)
無架橋発泡シートのゲル分率は、3%以下(0を含む)であることが好ましく、2%以下(0を含む)であることがより好ましく、1%以下(0を含む)であることがさらに好ましく、0であることが特に好ましい。この場合、架橋構造が形成されていない無架橋の発泡シートとなり、リサイクル性に優れた発泡シートとなる。前記ゲル分率は以下の方法で測定することができる。
【0050】
まず、発泡シートを約50mg精密に秤量し、130℃のキシレン25mlに3時間浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で濾過して、アセトンで洗浄する。その後、金網上に残留した不溶解分を真空乾燥し、次いで、この不溶解分の質量を精密に秤量し、以下の式に従ってゲル分率を百分率で算出する。
ゲル分率(%)={不溶解分の質量(mg)/秤量した発泡体の質量(mg)}×100
【0051】
(無架橋発泡シートの植物度)
無架橋発泡シートの植物度は、5質量%以上90質量%以下である。植物由来ポリエチレンの含有量を高める観点からは、無架橋発泡シートの植物度は6質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。また、無架橋発泡シートの植物度は60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
【0052】
発泡シートの植物度は、ASTM D 6866により測定することができる。また、発泡シートの製造時に用いられる植物由来低密度ポリエチレンのASTM D 6866により測定される植物度と、発泡シートの基材樹脂中における前記植物由来低密度ポリエチレンの配合割合とから算出することもできる。
【実施例0053】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0054】
実施例、比較例において、以下に示す装置及び原料を用いた。
【0055】
バレル内径90mmの第一押出機と、その下流側に連結したバレル内径120mmの第二押出機とを備えるタンデム式の押出機を用い、該第二押出機の出口に環状ダイを取り付け、環状ダイの下流側に直径350mmのマンドレルが配置された製造装置を用いた。
【0056】
実施例、比較例において使用した樹脂を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
また、以下の物理発泡剤、気泡調整剤を使用した。
(物理発泡剤)
混合ブタン(ノルマルブタン70mol%とイソブタン30mol%との混合物):ジクシス株式会社製
(気泡調整剤)
化学発泡剤:大日精化工業株式会社製 ファインセルマスターPO217K
【0059】
植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとを表2、表3に示す種類及び割合で配合した合計100質量部の低密度ポリエチレンと、前記気泡調整剤1質量部とを前記第一押出機に供給し、加熱、溶融、混練して溶融樹脂組成物とし、次いで該溶融樹脂組成物に表2、表3に示す配合量の物理発泡剤を圧入し、加熱混練し、温度を約200℃に調整して、実施例1~11、比較例1~5の発泡性溶融樹脂組成物とした。
【0060】
該発泡性溶融樹脂組成物を、第一押出機の下流側に連結した直径120mmの第二押出機に移送し、冷却して樹脂温度111℃の発泡性溶融樹脂組成物とした。この発泡性溶融樹脂組成物を、90kg/hrの吐出量で、環状ダイのダイリップから大気中に押出し、発泡させて筒状発泡体を形成した。この筒状発泡体を直径350mmの筒状拡幅装置(マンドレル)にて拡幅比3.8で拡幅しながら、表2、表3に示す引取速度で、表2、表3に示す坪量となるよう引取機で引き取り、さらに筒状発泡体を押出方向に沿って切り開くことにより、幅約1mの表2に示す実施例1~11のポリエチレン系樹脂押出発泡シートを得た。その後、得られた発泡シートの平均厚み、坪量、見掛け密度、ゲル分率、植物度、独立気泡率を以下の手順で測定した。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
(平均厚み)
発泡シートの平均厚みは、株式会社山文電気製オフライン厚み測定機TOF-4Rを使用して測定した。まず発泡シート全幅について、1cm間隔で厚みの測定を行った。測定された発泡シート厚みを算術平均することにより、平均厚みを求めた。尚、前記の測定に使用する発泡シートは、温度23±5℃、相対湿度50%の条件下で24時間状態調整したものを用いた。
【0064】
(坪量)
まず、発泡シート全幅×押出方向長さ250mmの矩形状の試験片を切り出し、該試験片の質量(g)を測定した。測定された質量を該試験片の面積で割り算し、1m当たりの発泡シートの質量(g)に換算し、これを発泡シートの坪量(g/m)とした。
【0065】
(見掛け密度)
発泡シートの見掛け密度は、前記方法により求めた発泡シートの坪量(g/m)を、前記により求めた発泡シートの平均厚みで割り算し、単位換算して求めた。
【0066】
(ゲル分率)
ゲル分率は、まず、発泡シートを約50mg精密に秤量し、130℃のキシレン25mlに3時間浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で濾過して、アセトンで洗浄した。その後、金網上に残留した不溶解分を真空乾燥し、次いで、この不溶解分の質量を精密に秤量し、以下の式に従ってゲル分率を百分率で算出した。
ゲル分率(%)={不溶解分の質量(mg)/秤量した発泡体の質量(mg)}×100
【0067】
(植物度)
発泡シートの製造時に用いられた植物由来低密度ポリエチレンのASTE D 6866により測定された植物度と、製造時において配合された該植物由来低密度ポリエチレンの配合割合(発泡シートの基材樹脂中における植物由来ポリエチレンの配合割合)とから、発泡シートの植物度を算出した。
【0068】
(独立気泡率)
独立気泡率(%)を、ASTM D 2856-70に記載されている手順Cに準拠し、以下のとおり求めた。無架橋発泡シートから適宜の寸法に切り出した試験片を用い、東芝ベックマン株式会社製の空気比較式比重計930型等を使用して測定される試験片の実体積(独立気泡の体積と樹脂部分の体積との和):Vx(cm)から、下記式(1)により独立気泡率(%)を算出した。
独立気泡率(%)=(Vx-W/ρ)×100/(Va-W/ρ)・・・(1)
ただし、前記式中の、Va、W、ρは以下のとおりである。
Va:測定に使用した試験片の見掛け体積(cm
W:試験片の質量(g)
ρ:試験片を構成する樹脂組成物の密度(g/cm
【0069】
なお、樹脂組成物の密度ρ(g/cm)は、試験片の質量w(g)及び測定に使用した試験片を加熱プレスにより気泡を脱泡させてから冷却する操作を行い、得られたサンプルの体積(cm)から求めた。また、発泡シートを複数枚重ねることで見掛け体積が概ね20cmとなるように調整した試験片を用いて独立気泡率を測定した。
【0070】
植物由来ポリエチレンと石油由来ポリエチレンとの融点の差が、本発明で規定する範囲(5℃以内)から外れた比較例1~5においては、坪量が30g/mとなるような発泡シートを製造しようとすると、製造時に発泡シートが切断してしまい、低坪量の無架橋発泡シートを製造することができなかった。
【0071】
これに対して、植物由来低密度ポリエチレンの融点、植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンの融点との差、及び植物由来低密度ポリエチレンと石油由来低密度ポリエチレンとの質量比を本願発明の規定内とした実施例1~11では、所望の坪量、見掛け密度、厚みを有する無架橋発泡シートを製造することができた。