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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184549
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20221206BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20221206BHJP
   H01R 4/70 20060101ALI20221206BHJP
   H01R 13/6581 20110101ALI20221206BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
H02G3/04 081
H01B7/00 301
H02G3/04
H01R4/70 F
H01R13/6581
B60R16/02 623U
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092473
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青井 一晃
【テーマコード(参考)】
5E021
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FB07
5E021FB20
5E021FB21
5E021FC19
5E021LA09
5E021LA21
5G309AA01
5G309AA09
5G357DA02
5G357DA03
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD05
5G357DD10
5G357DD14
(57)【要約】
【課題】防水性の低下を抑制しつつ放熱性を向上できるワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス10は、少なくとも1つの電線20と、電線20の端部に設けられるコネクタ30と、を備える。また、ワイヤハーネス10は、電線20の外周を囲む外装シート40を備える。外装シート40は、電線20の外周に巻き付けられている。外装シート40は、外装シート40の外面42の少なくとも一部に撥水性を有する撥水部45を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電線と、
前記電線の端部に設けられるコネクタと、を備えるワイヤハーネスであって、
前記電線の外周を囲む外装シートを備え、
前記外装シートは、前記電線の外周に巻き付けられており、前記外装シートの外面の少なくとも一部に撥水性を有する撥水部を有するワイヤハーネス。
【請求項2】
前記外装シートの前記外面の一部を覆う外装部材を備える請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記外装シートは、前記外面における少なくとも前記外装部材の外部に露出する範囲の全体にわたって前記撥水部を有する請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記外装部材は、前記外装シートの外周を囲む筒状をなし、
前記電線の長さ方向における前記外装シートの端部及び前記コネクタの両者の外周を全周にわたって覆う第1防水部材を備える請求項2または請求項3に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記外装部材は、前記外装シートの外周を囲む筒状をなし、
前記電線の長さ方向における前記外装部材の端部領域の内周面と前記外面との間の隙間を塞ぐ第2防水部材を備える請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記外装部材は、前記外装シートの外周を囲む筒状をなしており、前記電線の長さ方向と交差する方向に沿って前記外装部材の内外に貫通する水抜き部を有する請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記外装シートは、前記外面の全体にわたって前記撥水部を有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記外装シートは、織布もしくは不織布である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項9】
前記外装シートは、樹脂繊維が編み込まれた織布である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項10】
前記外装シートは、複数の網目を有し、
前記撥水部は、前記網目を塞ぐ膜である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項11】
前記外装シートは、エラストマ製のシートである請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項12】
前記コネクタは、前記電線の長さ方向における前記電線の端部領域を内部に保持するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングの外面の少なくとも一部を覆うシールドシェルとを有し、
前記電線の外周を覆い且つ前記シールドシェルに接触する編組部材を備え、
前記外装シートは、前記編組部材の外周に巻き付けられている請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車等の車両に搭載されるワイヤハーネスには、電線と、電線の端部に設けられるコネクタとを備えるものがある。このようなワイヤハーネスには、例えば特許文献1に記載されているように、電線の外周を覆うコルゲートチューブと、コルゲートチューブの端部とコネクタとの間からワイヤハーネスの内部に水が浸入することを抑制するゴムブーツとを更に備えるものがある。ゴムブーツは、コルゲートチューブの外周面に密着することにより、ゴムブーツとコルゲートチューブの外周面との間からワイヤハーネスの内部に水が浸入することを抑制する。また、ゴムブーツは、コネクタの外周面に密着することにより、コネクタとゴムブーツとの間からワイヤハーネスの内部に水が浸入することを抑制する。そして、コルゲートチューブの端部開口部は、ゴムブーツ及びコネクタによって閉塞されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-126982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、コルゲートチューブは、当該コルゲートチューブの内部に配置される電線の外径よりも大きな内径を有するものが使用される。そのため、コルゲートチューブの内周面と電線の外周面との間には空気の層が存在する。従って、電線への通電時に当該電線が発熱した場合、コルゲートチューブの内部には熱がこもりやすい。更に、上記したようにコルゲートチューブの端部開口部がゴムブーツ及びコネクタによって閉塞されていると、コルゲートチューブの内部に更に熱がこもりやすくなる。また、例えばコネクタが接続される電気機器の熱が、当該コネクタを介してワイヤハーネスに伝播される場合には、コルゲートチューブの内部の温度が更に上昇することが懸念される。
【0005】
従って、上記のようなコルゲートチューブ及びゴムブーツを備えるワイヤハーネスは、防水性は高められているものの、放熱性が低いという問題があった。そこで、放熱性を向上させるためにワイヤハーネスから単純にゴムブーツをなくすことが考えられるが、この場合、防水性が低下してしまう。
【0006】
本開示の目的は、防水性の低下を抑制しつつ放熱性を向上できるワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のワイヤハーネスは、少なくとも1つの電線と、前記電線の端部に設けられるコネクタと、を備えるワイヤハーネスであって、前記電線の外周を囲む外装シートを備え、前記外装シートは、前記電線の外周に巻き付けられており、前記外装シートの外面の少なくとも一部に撥水性を有する撥水部を有するワイヤハーネスである。
【発明の効果】
【0008】
本開示のワイヤハーネスによれば、防水性の低下を抑制しつつ放熱性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの模式図である。
図2図2は、第1実施形態におけるワイヤハーネスを模式的に示す横断面図である。
図3図3は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの一部を模式的に示す縦断面図である。
図4図4は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの一部を模式的に示す縦断面図である。
図5図5は、第2実施形態におけるワイヤハーネスの一部を模式的に示す縦断面図である。
図6図6は、第2実施形態におけるワイヤハーネスの一部を示す模式図である。
図7図7は、変更例におけるワイヤハーネスの一部を模式的に示す断面図である。
図8図8は、変更例におけるワイヤハーネスを模式的に示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]少なくとも1つの電線と、前記電線の端部に設けられるコネクタと、を備えるワイヤハーネスであって、前記電線の外周を囲む外装シートを備え、前記外装シートは、前記電線の外周に巻き付けられており、前記外装シートの外面の少なくとも一部に撥水性を有する撥水部を有するワイヤハーネスである。
【0011】
この構成によれば、外装シートは、電線の外周に巻き付けられている。そのため、外装シートの内面と電線の外周面との間の空間を、例えばコルゲートチューブなどの外装部材の内周面と電線の外周面との間の空間に比べて、小さくできる。従って、外装シートの内面と電線の外周面との間の空気の体積を小さくできるため、外装シートの内部に熱がこもることを抑制できる。そして、外装シートの内面と電線の外周面との距離を、例えばコルゲートチューブなどの外装部材の内周面と電線の外周面との距離に比べて短くできる。そのため、電線への通電時に電線が発熱した場合、電線の熱を外装シートからワイヤハーネスの外部に放散しやすくなる。その結果、ワイヤハーネスの放熱性を向上できる。
【0012】
また、外装シートの外面にある撥水部では水を弾く。そのため、ワイヤハーネスが被水した場合、撥水部に付着した水は落下しやすい。従って、撥水部に付着した水は、ワイヤハーネスの内部に浸入することが抑制される。従って、当該ワイヤハーネスにおける防水性の低下が抑制される。
【0013】
[2]前記外装シートの前記外面の一部を覆う外装部材を備えることが好ましい。
この構成によれば、外装部材によって、電線及び外装シートにおける外装部材の内側に配置される部分を保護できる。
【0014】
[3]前記外装シートは、前記外面における少なくとも前記外装部材の外部に露出する範囲の全体にわたって前記撥水部を有することが好ましい。
この構成によれば、外装シートにおける外装部材の外部に露出した部分のいずれの部位に水がかかっても、当該水がワイヤハーネスの内部に浸入することを抑制できる。従って、当該ワイヤハーネスにおける防水性の低下をより抑制できる。
【0015】
[4]前記外装部材は、前記外装シートの外周を囲む筒状をなし、前記電線の長さ方向における前記外装シートの端部及び前記コネクタの両者の外周を全周にわたって覆う第1防水部材を備えることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、電線の長さ方向における外装シートの端部から当該外装シートの内部に水が浸入することを第1防水部材によって抑制できる。更に、コネクタの内部に水が浸入することを同第1防水部材によって抑制できる。従って、当該ワイヤハーネスにおける防水性の低下を更に抑制できる。
【0017】
[5]前記外装部材は、前記外装シートの外周を囲む筒状をなし、前記電線の長さ方向における前記外装部材の端部領域の内周面と前記外面との間の隙間を塞ぐ第2防水部材を備えることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、電線の長さ方向における外装部材の端部から当該外装部材の内部に水が浸入することを第2防水部材によって抑制できる。従って、当該ワイヤハーネスにおける防水性の低下を一層抑制できる。
【0019】
[6]前記外装部材は、前記外装シートの外周を囲む筒状をなしており、前記電線の長さ方向と交差する方向に沿って前記外装部材の内外に貫通する水抜き部を有することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、外装部材の内部に水が浸入した場合、水抜き部から外装部材の外部に当該水を排出可能になる。また、外装部材によって、電線及び外装シートにおける外装部材の内側に配置される部分を保護できる。
【0021】
[7]前記外装シートは、前記外面の全体にわたって前記撥水部を有することが好ましい。
この構成によれば、外装シートの外面におけるいずれの部位に水がかかっても、当該水がワイヤハーネスの内部に浸入することを抑制できる。従って、当該ワイヤハーネスにおける防水性の低下をより一層抑制できる。また、外面に部分的に撥水部を有する外装シートに比べて、外面全体に撥水部を有する外装シートは容易に製造される。
【0022】
[8]前記外装シートは、織布もしくは不織布であることが好ましい。
この構成によれば、ワイヤハーネスの配索時に電線が曲げられる場合、外装シートは、電線の形状に追従しやすい。従って、ワイヤハーネスの配索を容易に行うことができる。
【0023】
[9]前記外装シートは、樹脂繊維が編み込まれた織布であることが好ましい。
この構成によれば、外装シートを電線の外周に容易に巻き付けることができる。
[10]前記外装シートは、複数の網目を有し、前記撥水部は、前記網目を塞ぐ膜であることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、外装シートの外面における撥水部がある部分では、同外装シートが網目を有していても、当該撥水部によって網目から外装シートの内側に水が浸入することを抑制できる。
【0025】
[11]前記外装シートは、エラストマ製のシートであることが好ましい。
この構成によれば、外装シートの外面に撥水加工もしくは防水加工などの撥水性を付与する加工を施さなくとも、撥水部を有する外装シートを得ることができる。
【0026】
[12]前記コネクタは、前記電線の長さ方向における前記電線の端部領域を内部に保持するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングの外面の少なくとも一部を覆うシールドシェルとを有し、前記電線の外周を覆い且つ前記シールドシェルに接触する編組部材を備え、前記外装シートは、前記編組部材の外周に巻き付けられていることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、編組部材に水が付着することを外装シートによって抑制できる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各図面において、各部分の寸法比率は、実際のものと、または別の図中のものと異なる場合がある。本明細書における「直交」は、厳密に直交する場合のみではなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交する場合も含まれる。また、本明細書で使用される「筒状」という用語は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されるものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字形のように周方向の一部にギャップを有するものも含む。また、「筒状」の外縁形状には、円形、楕円形、及び、尖った角または丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書の説明で使用される「環状」という用語は、ループを形成する任意の構造、または端部のない連続形状、並びに、全体としてループ形状をなす構造を指すことがある。「環状」の形状には、円形、楕円形、及び尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
<第1実施形態>
以下、ワイヤハーネスの第1実施形態について説明する。
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、例えばハイブリッド車や電気自動車等の車両に搭載される。ワイヤハーネス10は、2個以上の車載機器を電気的に接続する。例えば、ワイヤハーネス10は、2個の車載機器を電気的に接続する。車載機器としては、例えば、高圧バッテリ、インバータ、モータ、電気接続箱などが挙げられる。なお、電気接続箱は、車載機器に対して電力供給及び信号伝達の少なくとも一方を行う機器を収容するものである。電気接続箱としては、例えば、リレーボックス、ヒューズボックス、ジャンクションボックスなどが挙げられる。ワイヤハーネス10は、例えばインバータとモータとを電気的に接続する。
【0029】
ワイヤハーネス10は、少なくとも1つの電線20と、電線20の端部に設けられるコネクタ30と、電線20の外周を覆う外装シート40とを備える。また、ワイヤハーネス10は、電線20の外周を覆う編組部材50を備えてもよい。ワイヤハーネス10は、例えば、2つの電線20を備える。また、ワイヤハーネス10は、例えば2つのコネクタ30を備える。
【0030】
(電線20の構成)
図1及び図2に示すように、各電線20は、導電性を有する芯線21と、芯線21の外周を囲むとともに絶縁性を有する絶縁被覆22とを有する。
【0031】
芯線21としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や、内部が中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。また、芯線21として、例えば撚線、柱状導体、筒状導体のうちの少なくとも2つを組み合わせたものを用いてもよい。芯線21の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
【0032】
絶縁被覆22は、例えば、芯線21の外周を、電線20の中心線L1周りの周方向全周にわたって被覆する。絶縁被覆22は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成される。
【0033】
なお、図中では、電線20の中心線L1を一点鎖線で図示している。中心線L1は、電線20の横断面における中央を通る線である。電線20の長さ方向X1は、電線20の延びる方向であって、中心線L1に沿う方向である。
【0034】
ここで、各電線20において、長さ方向X1における電線20の両端のうち、一方の端部を第1端部23a、他方の端部を第2端部23bとする。
(コネクタ30の構成)
図1に示すように、2つのコネクタ30のうち一方のコネクタ30は、電線20の各々の第1端部23aに設けられる。2つのコネクタ30のうち他方のコネクタ30は、電線20の各々の第2端部23bに設けられる。ここで、第1端部23aに設けられるコネクタ30を第1コネクタ31、第2端部23bに設けられるコネクタ30を第2コネクタ32とする。
【0035】
第1コネクタ31と第2コネクタ32とは例えば同じ構成である。そこで、第1コネクタ31についてのみ構成を説明し、第2コネクタ32の構成の説明を省略する。
図1及び図3に示すように、第1コネクタ31は、例えば、各電線20にそれぞれ電気的に接続される端子33と、端子33を保持するコネクタハウジング34と、コネクタハウジング34の外面の少なくとも一部を覆うシールドシェル35とを有する。
【0036】
(端子33の構成)
各端子33の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。各端子33には、各電線20の第1端部23aが電気的に接続される。各電線20における第1端部23aを含む端部領域は、絶縁被覆22が除去されることにより芯線21が露出している。各電線20における第1端部23aを含む端部領域において、芯線21がそれぞれ端子33に電気的に接続される。芯線21は、例えば溶接及び圧着のうちのいずれかの方法で、端子33に電気的に接続される。なお、各端子33は、車載機器が備える異なる相手端子にそれぞれ電気的に接続される。各端子33を介して車載機器と電線20とが電気的に接続される。
【0037】
(コネクタハウジング34の構成)
コネクタハウジング34は、電線20の各々の第1端部23aに設けられる。コネクタハウジング34は、各電線20における第1端部23aを含む端部領域を内部に保持する。このため、コネクタハウジング34の内部には、各電線20の第1端部23aが配置される。また、コネクタハウジング34は、同コネクタハウジング34の内部に各端子33を保持する。そして、コネクタハウジング34は、各端子33と各電線20との接続部分を内部に収容する。各電線20は、例えば長さ方向X1に沿って、コネクタハウジング34から同コネクタハウジング34の外部に突出する。コネクタハウジング34は、例えば絶縁性の樹脂材料で構成される。
【0038】
(シールドシェル35の構成)
シールドシェル35は、例えば、長さ方向X1から見てコネクタハウジング34の外周を全周にわたって囲む環状をなす。また、シールドシェル35は、例えば、長さ方向X1に延びる筒状をなす。シールドシェル35の材料としては、導電性を有する材料が用いられる。例えば、シールドシェル35の材料としては、アルミニウム系の金属材料が用いられる。
【0039】
(編組部材50の構成)
図1図3に示すように、編組部材50は、複数の金属素線が例えば筒状に編み込まれたものである。編組部材50の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。例えば、編組部材50の材料として銅を用いる。編組部材50は、例えば2つの電線20の外周を一括して覆う。また、編組部材50は、例えば、長さ方向X1から見て2つの電線20の外周を全周にわたって囲む。更に、編組部材50は、例えば、各電線20における第1コネクタ31と第2コネクタ32との間の部分を、長さ方向X1の全体にわたって覆う。編組部材50は、電線20の外周面の少なくとも一部に接触してもよい。
【0040】
編組部材50は、第1コネクタ31のシールドシェル35に接触する。即ち、編組部材50は、第1コネクタ31のシールドシェル35に接触する接触部51を有する。接触部51は、例えば、長さ方向X1における編組部材50の両端のうち一方の端部を含む、編組部材50の端部領域である。接触部51は、例えば、シールドシェル35の外周を全周にわたって囲む。そして、例えば、接触部51の内周面がシールドシェル35の外周面に接触する。
【0041】
ワイヤハーネス10は、接触部51を第1コネクタ31のシールドシェル35に固定する締付部材52を備えてもよい。締付部材52は、接触部51の外周に巻き付けられる。また、締付部材52は、接触部51及びシールドシェル35を締め付ける。接触部51は、シールドシェル35の外周面と締付部材52との間に挟み込まれるとともに、シールドシェル35及び締付部材52の両者に接触する。締付部材52としては、例えばステンレスバンドを用いることができる。
【0042】
なお、編組部材50は、第2コネクタ32のシールドシェル35にも同様にして接触する。第2コネクタ32のシールドシェル35には、例えば、長さ方向X1における編組部材50の両端のうち他方の端部を含む、編組部材50の端部領域が接触する。
【0043】
(外装シート40の構成)
図1及び図2に示すように、外装シート40は、シート状の部材で構成されている。外装シート40には、例えば、織布もしくは不織布を用いることができる。例えば、外装シート40として、樹脂繊維が編み込まれた織布を用いることができる。樹脂繊維が編み込まれた織布としては、例えばツイストチューブが挙げられる。ツイストチューブは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)などのPE(ポリエステル)繊維やアラミド繊維などが編み込まれた織布が筒状に丸まっているものである。ツイストチューブは、樹脂繊維が編み込まれた構造であるために、網目を有する。例えば、外装シート40は、ツイストチューブである。
【0044】
外装シート40は、2つの電線20の外周に巻き付けられている。外装シート40は、長さ方向X1から見て、2つの電線20の外周を全周にわたって覆う。外装シート40は、電線20の外周に巻き付けられている状態で、長さ方向X1に延びる筒状をなす。なお、外装シート40は、編組部材50の外周に巻き付けられることにより、編組部材50を介して電線20の外周に巻き付けられている。
【0045】
図1及び図3に示すように、長さ方向X1における外装シート40の長さは、例えば、長さ方向X1における電線20の長さよりも短い。また、長さ方向X1における外装シート40の長さは、例えば、長さ方向X1における編組部材50の長さよりも短い。そして、各電線20及び編組部材50は、長さ方向X1における外装シート40の両端から外装シート40の外部に、長さ方向X1に沿って突出する。
【0046】
ワイヤハーネス10は、長さ方向X1における外装シート40の両端の端部領域を、それぞれ編組部材50に固定するテープ部材61を備えてもよい。テープ部材61は、例えば粘着テープである。テープ部材61は、電線20及び編組部材50に対する外装シート40の位置ずれを抑制する。
【0047】
また、ワイヤハーネス10は、長さ方向X1における外装シート40の少なくとも1箇所に巻き付けられる図示しない固定部材を備えてもよい。固定部材としては、例えば、粘着テープ及び結束バンドなどのうちのいずれかを用いることができる。固定部材は、外装シート40の外径が大きくなるように当該外装シート40が変形して電線20及び編組部材50の少なくとも一方が露出することを抑制する。即ち、外装シート40は、固定部材によって筒状に維持されやすくなる。
【0048】
外装シート40の内面41は、編組部材50に接触してもよい。例えば、外装シート40の内面41の全体が編組部材50に接触してもよい。ここで、外装シート40の内面41は、外装シート40が筒状をなしている状態のときに同外装シート40の内側を向く面であって、同外装シート40の内側に露出する面である。一方、外装シート40の外面42は、外装シート40が筒状をなしている状態のときに外装シート40の外側に露出する面である。
【0049】
(外装部材70の構成)
図1に示すように、ワイヤハーネス10は、外装シート40の外面42の一部を覆う外装部材70を更に備えてもよい。ワイヤハーネス10は、外装部材70を1つのみ備えてもよいし、複数備えてもよい。ただし、外装シート40は、外装部材70に覆われることなく外部に露出する部分を有する。即ち、外装シート40は、ワイヤハーネス10の外部に露出する部分を有する。
【0050】
外装部材70は、例えば、ワイヤハーネス10が車両に搭載された状態のときに、外装シート40において、ワイヤハーネス10の周囲に配置される部品が接触する可能性のある部分を覆う。また、外装部材70は、例えば、ワイヤハーネス10が車両の床下を通るように配索される場合に、外装シート40において、車両走行時に飛び石が衝突する可能性のある部分を覆う。
【0051】
外装部材70は、例えば、外装シート40の外周を囲む筒状をなす。外装部材70は、例えば、長さ方向X1から見て外装シート40の外周を全周にわたって囲む筒状のコルゲートチューブである。なお、外装部材70は、コルゲートチューブに限らず、長さ方向X1から見て外装シート40の外周の一部を覆うプロテクタであってもよい。
【0052】
(第1防水部材80の構成)
図1及び図3に示すように、ワイヤハーネス10は、第1防水部材80を更に備えてもよい。ここで、長さ方向X1における外装シート40の両端のうち、一方の端部を第1端部43a、他方の端部を第2端部43bとする。なお、第1端部43aは、第1コネクタ31に近い位置にある。第2端部43bは、第2コネクタ32に近い位置にある。ワイヤハーネス10は、例えば2つの第1防水部材80を備える。一方の第1防水部材80は、第1端部43a及び第1コネクタ31の両者の外周を全周にわたって覆う。他方の第1防水部材80は、第2端部43b及び第2コネクタ32の両者の外周を全周にわたって覆う。
【0053】
2つの第1防水部材80は、例えば同じ構成である。そこで、第1端部43a及び第1コネクタ31を覆う一方の第1防水部材80についてのみ構成を説明し、他方の第1防水部材80の説明を省略する。
【0054】
図3に示すように、第1防水部材80は、第1端部43a及び第1コネクタ31の両者を一括して覆う。第1防水部材80は、長さ方向X1から見て第1コネクタ31及び外装シート40の外周を全周にわたって囲む環状をなしている。また、第1防水部材80は、第1端部81a及び第2端部81bを有し長さ方向X1に沿って第1端部81aから第2端部81bまで連続して延びる筒状をなす。第1端部81aは、長さ方向X1から見て第1コネクタ31の外周を全周にわたって囲む。第2端部81bは、長さ方向X1から見て外装シート40の外周を全周にわたって囲む。
【0055】
長さ方向X1における第1端部81aと第2端部81bとの間には、例えば、第1コネクタ31のシールドシェル35に接触する接触部51と、当該接触部51に巻き付けられる締付部材52とが位置する。そして、例えば、当該接触部51と、当該接触部51に巻き付けられる締付部材52とは、第1防水部材80の内側に位置する。更に、長さ方向X1における第1端部81aと第2端部81bとの間には、例えば、長さ方向X1における編組部材50の両端のうち第1コネクタ31に近い方の端部と、外装シート40の第1端部43aとが位置する。そして、例えば、長さ方向X1における編組部材50の両端のうち第1コネクタ31に近い方の端部と、第1端部43aとは、第1防水部材80の内側に位置する。第1防水部材80は、ワイヤハーネス10における第1防水部材80の内側に位置する部分に水がかかることを抑制する。
【0056】
第1防水部材80は、第1コネクタ31の外周面に全周にわたって密着する第1密着部82を有していてもよい。第1防水部材80は、例えば、第1防水部材80における第1端部81aを含む端部領域に第1密着部82を有する。第1密着部82は、例えば、第1コネクタ31が有するシールドシェル35の外周面に密着する。そして、第1密着部82は、第1コネクタ31の外周面と第1防水部材80の内周面との間から第1防水部材80の内部に水が浸入することを抑制する。
【0057】
また、第1防水部材80は、外装シート40の外面42に全周にわたって密着する第2密着部83を有していてもよい。第1防水部材80は、例えば、第1防水部材80における第2端部81bを含む端部領域に第2密着部83を有する。そして、第2密着部83は、外装シート40の外面42と第1防水部材80の内周面との間から第1防水部材80の内部に水が浸入することを抑制する。
【0058】
第1防水部材80としては、例えばゴムブーツを用いることができる。なお、第1防水部材80としては、ゴムブーツに限らず、粘着テープ、熱収縮チューブなど、水を通さない材料よりなる部材のいずれかを用いることができる。第1防水部材80として粘着テープを用いる場合には、第1コネクタ31の外周面から外装シート40における第1端部43aを含む端部領域まで粘着テープをらせん状に巻き付けることにより当該粘着テープを筒状にする。
【0059】
(第2防水部材90の構成)
図4に示すように、ワイヤハーネス10は、第2防水部材90を更に備えてもよい。ワイヤハーネス10は、例えば2つの第2防水部材90を備える。なお、図4には、2つの第2防水部材90のうち1つのみ図示している。第2防水部材90は、長さ方向X1における外装部材70の両端にそれぞれ配置される。長さ方向X1における外装部材70の端部領域の内周面と、外装シート40の外面42との間には、隙間G1がある。第2防水部材90は、隙間G1を塞ぐ。第2防水部材90は、隙間G1を塞ぐことにより、長さ方向X1における外装部材70の端部領域の内周面と、外装シート40の外面42との間から、外装部材70の内部に水が浸入することを抑制する。
【0060】
第2防水部材90としては、例えば、ゴム栓を用いることができる。ゴム栓を第2防水部材90として用いる場合、第2防水部材90は、環状をなすとともに、長さ方向X1における外装部材70の端部領域の内周面と、外装シート40の外面42との間に配置される。そして、当該第2防水部材90の外周面は、長さ方向X1における外装部材70の端部領域の内周面に全周にわたって密着する。更に、当該第2防水部材90の内周面は、外面42に全周にわたって密着する。なお、第2防水部材90としては、ゴム栓に限らず、粘着テープ、ゴムブーツ、熱収縮チューブなど、水を通さない材料よりなる部材のいずれかを用いることができる。
【0061】
(撥水部45の構成)
図1及び図2に示すように、外装シート40は、同外装シート40の外面42の少なくとも一部に撥水性を有する撥水部45を有する。撥水部45では、外面42が水を弾く。外装シート40は、外面42における少なくとも外装部材70の外部に露出する範囲の全体にわたって撥水部45を有してもよい。例えば、外装シート40は、外面42の全体にわたって撥水部45を有する。
【0062】
撥水部45は、外面42において、例えば、外面42に水を弾く機能を付与するフッ素系の撥水剤もしくはシリコン系の防水剤が塗布されている部分である。外面42への撥水剤の塗布は、例えば、撥水スプレーを用いることができる。また、外面42への防水剤の塗布は、例えば、防水スプレーを用いることができる。撥水スプレーもしくは防水スプレーを使用すると、外面42に容易に撥水部45を設けることができる。外面42への撥水剤もしくは防水剤の塗布は、電線20の外周に巻き付けられる前の状態の外装シート40に対して行ってもよいし、電線20の外周に巻き付けられている状態の外装シート40に対して行ってもよい。
【0063】
(第1実施形態の作用)
本実施形態の作用について説明する。
外装シート40は、電線20の外周に巻き付けられる。そのため、外装シート40と電線20の外周面との間の空間を小さくすることができる。例えば、外装シート40を、電線20の外周に配置される編組部材50に接触する状態に配置できる。このため、外装シート40と電線20の外周面との間の空気の層の厚さを薄くできる。また、電線20が通電などにより発熱した場合に、電線20から外装シート40に熱が伝達されやすくなる。
【0064】
また、外装シート40の外面42における撥水部45に水が付着した場合、当該水は、撥水部45の撥水機能により弾かれて落下しやすい。そのため、当該水が外装シート40の内部に浸入することが抑制される。
【0065】
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)ワイヤハーネス10は、少なくとも1つの電線20と、電線20の端部に設けられるコネクタ30と、を備える。また、ワイヤハーネス10は、電線20の外周を囲む外装シート40を備える。外装シート40は、電線20の外周に巻き付けられている。外装シート40は、外装シート40の外面42の少なくとも一部に撥水性を有する撥水部45を有する。
【0066】
この構成によれば、外装シート40は、電線20の外周に巻き付けられている。そのため、外装シート40の内面41と電線20の外周面との間の空間を、例えばコルゲートチューブなどの外装部材の内周面と電線の外周面との間の空間に比べて、小さくできる。従って、外装シート40の内面41と電線20の外周面との間の空気の体積を小さくできるため、外装シート40の内部に熱がこもることを抑制できる。そして、外装シート40の内面41と電線20の外周面との距離を、例えばコルゲートチューブなどの外装部材の内周面と電線の外周面との距離に比べて短くできる。そのため、電線20への通電時に電線20が発熱した場合、電線20の熱を外装シート40からワイヤハーネス10の外部に放散しやすくなる。その結果、ワイヤハーネス10の放熱性を向上できる。
【0067】
また、外装シート40の外面42にある撥水部45では水を弾く。そのため、ワイヤハーネス10が被水した場合、撥水部45に付着した水は落下しやすい。従って、撥水部45に付着した水は、ワイヤハーネス10の内部に浸入することが抑制される。従って、当該ワイヤハーネス10における防水性の低下が抑制される。
【0068】
(1-2)ワイヤハーネス10は、外装シート40の外面42の一部を覆う外装部材70を備える。
この構成によれば、外装部材70によって、電線20及び外装シート40における外装部材70の内側に配置される部分を保護できる。
【0069】
(1-3)外装シート40は、外面42における少なくとも外装部材70の外部に露出する範囲の全体にわたって撥水部45を有する。
この構成によれば、外装シート40における外装部材70の外部に露出した部分のいずれの部位に水がかかっても、当該水がワイヤハーネス10の内部に浸入することを抑制できる。従って、当該ワイヤハーネス10における防水性の低下をより抑制できる。
【0070】
(1-4)外装部材70は、外装シート40の外周を囲む筒状をなす。ワイヤハーネス10は、外装シート40の第1端部43a及び第1コネクタ31の両者の外周を全周にわたって覆う第1防水部材80を備える。ワイヤハーネス10は、外装シート40の第2端部43b及び第2コネクタ32の両者の外周を全周にわたって覆う第1防水部材80を更に備える。
【0071】
この構成によれば、第1端部43aもしくは第2端部43bから外装シート40の内部に水が浸入することを各第1防水部材80によって抑制できる。更に、第1コネクタ31及び第2コネクタ32の内部に水が浸入することを各第1防水部材80によって抑制できる。従って、当該ワイヤハーネス10における防水性の低下を更に抑制できる。
【0072】
また、本実施形態の第1防水部材80は、編組部材50における第1端部43aから外装シート40の外部に露出する部分を内側に収容する。そのため、編組部材50における第1端部43aから外装シート40の外部に露出する部分に水が付着することを抑制できる。更に、本実施形態の第1防水部材80は、接触部51及び締付部材52を内側に収容する。そのため、接触部51及び締付部材52に水が付着することを抑制できる。従って、接触部51とシールドシェル35とが異なる種類の金属であっても、異種金属接触腐食が発生することを抑制できる。同様に、接触部51と締付部材52とが異なる種類の金属であっても、異種金属接触腐食が発生することを抑制できる。
【0073】
(1-5)外装部材70は、外装シート40の外周を囲む筒状をなす。ワイヤハーネス10は、長さ方向X1における外装部材70の端部領域の内周面と外面42との間の隙間G1を塞ぐ第2防水部材90を備える。
【0074】
この構成によれば、長さ方向X1における外装部材70の端部から当該外装部材70の内部に水が浸入することを第2防水部材90によって抑制できる。従って、当該ワイヤハーネス10における防水性の低下を一層抑制できる。
【0075】
(1-6)外装シート40は、外面42の全体にわたって撥水部45を有する。
この構成によれば、外装シート40の外面42におけるいずれの部位に水がかかっても、当該水がワイヤハーネス10の内部に浸入することを抑制できる。従って、当該ワイヤハーネス10における防水性の低下をより一層抑制できる。また、外面42に部分的に撥水部45を有する外装シートに比べて、外面42の全体に撥水部45を有する外装シート40は容易に製造される。
【0076】
(1-7)外装シート40は、織布もしくは不織布である。この構成によれば、ワイヤハーネス10の配索時に電線20が曲げられる場合、外装シート40は、電線20の形状に追従しやすい。従って、ワイヤハーネス10の配索を容易に行うことができる。
【0077】
(1-8)外装シート40は、樹脂繊維が編み込まれた織布である。この構成によれば、外装シート40を電線20の外周に容易に巻き付けることができる。
(1-9)コネクタ30は、長さ方向X1における電線20の端部領域を内部に保持するコネクタハウジング34と、コネクタハウジング34の外面の少なくとも一部を覆うシールドシェル35とを有する。ワイヤハーネス10は、電線20の外周を覆い且つシールドシェル35に接触する編組部材50を備える。外装シート40は、編組部材50の外周に巻き付けられている。
【0078】
この構成によれば、編組部材50に水が付着することを外装シート40によって抑制できる。このため、編組部材50を伝って水が接触部51に至ることを抑制できる。その結果、編組部材50とシールドシェル35とが異なる種類の金属であっても、編組部材50とシールドシェル35との接触部分において異種金属接触腐食が発生することを抑制できる。同様に、編組部材50と締付部材52とが異なる種類の金属であっても、異種金属接触腐食が発生することを抑制できる。従って、編組部材50を構成する金属素線が腐食によって切れることを抑制できるため、編組部材50において電磁シールド性能が低下することを抑制できる。
【0079】
<第2実施形態>
以下、ワイヤハーネスの第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成もしくは対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
(ワイヤハーネス10Aの全体構成)
図6に示すように、第2実施形態のワイヤハーネス10Aは、上記第1実施形態のワイヤハーネス10において、外装シート40に代えて外装シート40Aを備える構成である。
【0081】
(外装シート40Aの構成)
外装シート40Aは、エラストマ製のシートである。エラストマとしては、水を弾く性質を有するものを使用する。そのため、外装シート40Aの外面42は、全体が撥水性を有する。即ち、外装シート40Aは、外面42の全体にわたって撥水部45を有する。
【0082】
外装シート40Aは、例えば編組部材50の上から電線20に巻き付けられている。外装シート40Aは、長さ方向X1から見て、2つの電線20の外周を全周にわたって覆う。外装シート40Aは、電線20の外周に巻き付けられている状態で、長さ方向X1に延びる筒状をなす。長さ方向X1における外装シート40Aの長さは、例えば、長さ方向X1における上記第1実施形態の外装シート40の長さと等しい。外装シート40は、例えばテープ部材61によって編組部材50に固定される。外装シート40Aの内面41は、編組部材50に接触してもよい。例えば、外装シート40Aの内面41全体が編組部材50に接触してもよい。
【0083】
(第2防水部材90Aの構成)
図5に示すように、ワイヤハーネス10Aは、上記第1実施形態の第2防水部材90に代えて第2防水部材90Aを備えてもよい。第2防水部材90Aは、ワイヤハーネス10Aは、例えば2つの第2防水部材90Aを備える。なお、図5には、2つの第2防水部材90Aのうち1つのみ図示している。第2防水部材90Aは、長さ方向X1における外装部材70の両端にそれぞれ配置される。
【0084】
第2防水部材90Aとして、粘着テープを用いてもよい。当該第2防水部材90Aは、長さ方向X1における外装部材70の端部領域の外周面、及び、当該端部領域と長さ方向X1に隣り合う外装シート40Aの外面42に、連続してらせん状に巻き付けられる。そして、第2防水部材90Aは、長さ方向X1に延びる筒状をなす。第2防水部材90Aは、長さ方向X1における外装部材70の端部領域の外周面に全周にわたって密着する。更に、第2防水部材90Aは、外面42に全周にわたって密着する。このように、第2防水部材90Aは、長さ方向X1における外装部材70の端部領域の内周面と、外装シート40Aの外面42との間の隙間G1を塞ぐ。第2防水部材90Aは、隙間G1を塞ぐことにより、長さ方向X1における外装部材70の端部領域の内周面と、外装シート40Aの外面42との間から、外装部材70の内部に水が浸入することを抑制する。
【0085】
本第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の作用を奏する。
本第2実施形態によれば、上記第1実施形態の(1-1)~(1-6),(1-9)と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0086】
(2-1)外装シート40Aは、エラストマ製のシートである。この構成によれば、外装シート40Aの外面42に撥水加工もしくは防水加工などの撥水性を付与する加工を施さなくとも、撥水部45を有する外装シート40Aを得ることができる。
【0087】
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・編組部材50は、複数の金属素線が筒状に編み込まれたもの以外に、複数の金属素線がシート状に編まれたものを用いることもできる。この場合、編組部材50は、電線20の外周に巻き付けられる。また、ワイヤハーネス10,10Aの各々は、編組部材50に代えて、金属箔を備えてもよい。この場合においても、上記第1実施形態の(1-9)と同様の効果を奏することができる。
【0088】
・上記第1実施形態において、ワイヤハーネス10は、編組部材50を備えなくてもよい。この場合、外装シート40の内面41は、電線20の外周面に接触してもよい。即ち、外装シート40は、当該外装シート40の内側に配置される部品であって長さ方向X1と直交する方向に隣り合う部品の外周面に接触してもよい。上記第2実施形態のワイヤハーネス10Aについても同様にしてもよい。
【0089】
・コネクタ30は、シールドシェル35を備えなくてもよい。
・上記第2実施形態の外装シート40Aは、外面42及び内面41の少なくとも一方に複数の凹凸を有していてもよい。このようにすると、ワイヤハーネス10Aの配索時に電線20が曲げられる場合、外装シート40Aは、電線20の形状に追従しやすくなる。従って、ワイヤハーネス10Aの配索を容易に行うことができる。
【0090】
図7に示すように、外装シート40に織布もしくは不織布が用いられる場合、当該外装シート40は、複数の網目101を有する。また、外装シート40に織布及び不織布以外のシート状の材料が用いられる場合においても、当該外装シート40が、複数の網目101を有する場合がある。そこで、上記第1実施形態のワイヤハーネス10において、撥水部45は、網目101を塞ぐ膜であってもよい。このようにすると、外装シート40の外面42における撥水部45がある部分では、同外装シート40が網目101を有していても、当該撥水部45によって網目101から外装シート40の内側に水が浸入することを抑制できる。その結果、ワイヤハーネス10の防水性を高めることができる。
【0091】
図8に示す外装部材70Bを、上記第1実施形態のワイヤハーネス10に備えてもよい。外装部材70Bは、上記第1実施形態の外装部材70に代えてワイヤハーネス10に備えられる。外装部材70Bは、外装シート40の外面42の一部を覆う。外装部材70Bは、外装シート40の外周を囲む筒状をなす。外装部材70Bは、例えば、外装シート40の外周を囲むコルゲートチューブである。外装部材70Bは、長さ方向X1と交差する方向に沿って外装部材70Bの内外に貫通する水抜き部71を有する。水抜き部71は、例えば、長さ方向X1と直交する方向に沿って外装部材70Bの内外に貫通する。水抜き部71は、例えば、長さ方向X1に延びるスリット状をなす。図8においては、長さ方向X1は、紙面垂直方向に該当する。なお、水抜き部71の形状は、スリット状に限らず、例えば孔状など、外装部材70Bの内部から外部に水を排出可能な形状であればよい。このようにすると、外装部材70Bの内部に水が浸入した場合、水抜き部71から外装部材70Bの外部に当該水を排出可能になる。なお、この場合、外装シート40は、少なくとも外装シート40における外装部材70Bの内側に配置される部分の外面42の全体にわたって撥水部45を有することが好ましい。
【0092】
上記第2実施形態のワイヤハーネス10Aにおいても同様に、外装部材70を外装部材70Bに変更してもよい。この場合、ワイヤハーネス10Aは、第2防水部材90を備えなくてもよい。
【0093】
・上記第1実施形態では、外装シート40は、外面42の全体にわたって撥水部45を有する。しかしながら、外装シート40は、外面42の少なくとも一部に撥水部45を有していればよい。例えば、外装シート40は、外面42において、ワイヤハーネス10が車両に搭載されている状態のときに被水する可能性のある部分にのみ撥水部45を有していてもよい。また、例えば、外装シート40は、外面42の一部であって、外面42における外装部材70の外部に露出する範囲を含む部分に撥水部45を有していてもよい。
【0094】
・上記第1実施形態において、ワイヤハーネス10は、第2防水部材90に代えて第2実施形態の第2防水部材90Aを備えてもよい。上記第2実施形態において、ワイヤハーネス10Aは、第2防水部材90Aに代えて上記第1実施形態の第2防水部材90を備えてもよい。
【0095】
・上記第1実施形態において、ワイヤハーネス10は、2つの第2防水部材90のうちいずれか一方の第2防水部材90を備えなくてもよい。また、ワイヤハーネス10は、第2防水部材90を備えなくてもよい。なお、この場合、外装シート40は、少なくとも外装シート40における外装部材70の内側に配置される部分の外面42の全体にわたって撥水部45を有することが好ましい。
【0096】
同様に、上記第2実施形態において、ワイヤハーネス10Aは、2つの第2防水部材90Aのうちいずれか一方の第2防水部材90Aを備えなくても良い。また、ワイヤハーネス10Aは、第2防水部材90Aを備えなくてもよい。
【0097】
・上記第1実施形態において、第1防水部材80の形状を変更してもよい。第1防水部材80は、第1端部43a及び第1コネクタ31の両者の外周を全周にわたって一括して覆う形状であればよい。また、第1防水部材80は、第2端部43b及び第2コネクタ32の両者の外周を全周にわたって一括して覆う形状であればよい。例えば、第1防水部材80は、第2密着部83を有していなくてもよい。この場合、ワイヤハーネス10は、第1端部81aよりも下方に第2端部81bが位置する状態で車両に搭載されることが好ましい。上記第2実施形態についても同様に変更してもよい。
【0098】
・上記第1実施形態において、ワイヤハーネス10は、第1防水部材80を備えなくてもよい。上記第2実施形態のワイヤハーネス10Aについても同様である。
・上記第1実施形態において、ワイヤハーネス10は、外装部材70を備えなくてもよい。上記第2実施形態のワイヤハーネス10Aについても同様である。
【0099】
・上記第1実施形態において、第1コネクタ31と第2コネクタ32とは異なる構成であってもよい。また、ワイヤハーネス10は、第1コネクタ31及び第2コネクタ32のいずれか一方のみを有するものであってもよい。上記第2実施形態においても同様に変更してもよい。
【0100】
・上記第1実施形態のワイヤハーネス10が備える電線20の数は、2つに限らず、1つもしくは3つ以上であってもよい。また、ワイヤハーネス10が備えるコネクタ30の数は、電線20の数やワイヤハーネス10の仕様に応じて適宜変更してよい。
【0101】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0102】
10,10A ワイヤハーネス
20 電線
21 芯線
22 絶縁被覆
23a 第1端部
23b 第2端部
30 コネクタ
31 第1コネクタ(コネクタ)
32 第2コネクタ(コネクタ)
33 端子
34 コネクタハウジング
35 シールドシェル
40,40A 外装シート
41 内面
42 外面
43a 第1端部
43b 第2端部
45 撥水部
50 編組部材
51 接触部
52 締め付け部材
61 テープ部材
70,70B 外装部材
71 水抜き部
80 第1防水部材
81a 第1端部
81b 第2端部
82 第1密着部
83 第2密着部
90,90A 第2防水部材
101 網目
G1 隙間
L1 中心線
X1 長さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8