(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184566
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ソフトウェア更新システム及びリモコン
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20221206BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20221206BHJP
【FI】
G06F13/00 520B
G06F13/00 530A
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092502
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼溝 将輝
(72)【発明者】
【氏名】八木 政彦
【テーマコード(参考)】
5B084
5B376
【Fターム(参考)】
5B084AA04
5B084AA12
5B084AB16
5B084BA09
5B084BB11
5B084CB03
5B084CB23
5B084DB01
5B084DC02
5B084DC05
5B376AB24
5B376AB31
5B376AB43
5B376CA30
5B376CA75
(57)【要約】
【課題】リモコンと設備機器との間で、設備機器のソフトウェア更新のための情報通信とその他の情報通信とを適切に行うことができるソフトウェア更新システムを提供する。
【解決手段】ソフトウェア更新システムは、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルをリモコン20に一括配信するサーバ側配信部14と、サーバ側配信部14から配信される電子ファイルを記憶するリモコン側記憶部21と、リモコン側記憶部21に記憶された電子ファイルが複数に分割された分割本体用ファイル93のそれぞれを通信ケーブル3を介して設備機器30に順次配信するリモコン側ファイル配信部24と、リモコン側ファイル配信部24が順次配信する複数の分割本体用ファイル93を記憶する本体側記憶部31と、分割本体用ファイル93が記憶される毎に次の分割本体用ファイル93の配信をリモコン側ファイル配信部24に要求する要求部32とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモコンを経由して、当該リモコンと通信ケーブルを介して接続される設備機器で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新システムであって、
前記リモコンとネットワークを介して接続されるサーバに設けられ、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶するサーバ側記憶部と、
前記サーバに設けられ、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを前記ネットワークを介して前記リモコンに一括配信するサーバ側配信部と、
前記リモコンに設けられ、前記サーバ側配信部から配信される、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶するリモコン側記憶部と、
前記リモコン側記憶部に記憶された、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルが複数に分割された分割本体用ファイルのそれぞれを、前記通信ケーブルを介して前記設備機器に順次配信するリモコン側ファイル配信部と、
前記設備機器に設けられ、前記リモコン側ファイル配信部が順次配信する複数の前記分割本体用ファイルを記憶する本体側記憶部と、
前記設備機器に設けられ、前記本体側記憶部に前記分割本体用ファイルが記憶される毎に、次の前記分割本体用ファイルの配信を前記リモコン側ファイル配信部に要求する要求部とを備えるソフトウェア更新システム。
【請求項2】
前記サーバ側記憶部は、前記リモコンで利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶し、
前記サーバ側配信部は、前記リモコンで利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを前記ネットワークを介して前記リモコンに一括配信し、
前記リモコン側記憶部は、前記サーバ側配信部から配信される、前記リモコンで利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶する請求項1に記載のソフトウェア更新システム。
【請求項3】
前記リモコン側記憶部は、仮想的又は物理的に分かれた複数個の記憶領域を有し、一つの前記記憶領域に、前記リモコンで利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶し、別の一つの前記記憶領域に、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶する請求項2に記載のソフトウェア更新システム。
【請求項4】
前記設備機器に設けられ、複数の前記分割本体用ファイルの全てが前記本体側記憶部に記憶された場合、複数の前記分割本体用ファイルの全てを用いて、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを復元する本体側復元部を備える請求項1~3の何れか一項に記載のソフトウェア更新システム。
【請求項5】
前記リモコンに設けられ、前記リモコン側記憶部に記憶された、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の前記分割本体用ファイルに分割するリモコン側分割部を備える請求項1~4の何れか一項に記載のソフトウェア更新システム。
【請求項6】
前記サーバに設けられ、前記サーバ側記憶部に記憶された、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の前記分割本体用ファイルに分割するサーバ側分割部を備え、
前記サーバ側配信部は、複数の前記分割本体用ファイルの全てを前記ネットワークを介して前記リモコンに一括配信する請求項1~4の何れか一項に記載のソフトウェア更新システム。
【請求項7】
同じ施設に設けられる設備機器と通信ケーブルを介して接続され、別の前記施設に設けられるサーバとネットワークを介して接続されるリモコンであって、
前記サーバから配信される、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶するリモコン側記憶部と、
前記リモコン側記憶部に記憶された、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の分割本体用ファイルに分割するリモコン側分割部と、
前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルが複数に分割された前記分割本体用ファイルのそれぞれを、前記通信ケーブルを介して前記設備機器に順次配信するリモコン側ファイル配信部とを備えるリモコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモコンを経由して、当該リモコンと通信ケーブルを介して接続される設備機器で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新システム及びリモコンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅や事業所などの施設において給湯器や燃料電池等の設備機器が設けられてきた。これらの設備機器には、この設備機器の遠隔操作を行うことができるように、リモコンがセットで設けられることがある。設備機器やリモコンには、動作を制御するためにソフトウェアが組み込まれ、適宜、ソフトウェアの更新が行われる。このようなソフトウェアの更新に係る技術として、例えば下記に出典を示す特許文献1-3に記載のものがある。
【0003】
特許文献1には、燃料電池システムが開示されている。この燃料電池システムは、構成装置の制御ソフトウェアの更新中における構成装置の運転形態を制約するように構成されている。
【0004】
特許文献2には、コントローラが開示されている。このコントローラは、第1の領域に記憶されている制御ソフトウェアを実行することによる制御中に、外部から新たな制御ソフトウェアを受信した場合に、新たな制御ソフトウェアを第2の領域に記憶してから、データの出力を停止し、第1の領域に記憶されている制御ソフトウェアから第2の領域に記憶されている制御ソフトウェアに切り替えるリセット処理を実行した後、第2の領域に記憶されている新たな制御ソフトウェアを実行するように構成されている。
【0005】
特許文献3には、燃料電池システムが開示されている。この燃料電池システムは、制御プログラムを記憶する第1領域と更新された制御プログラムを記憶する第2領域とを含むメモリを備え、燃料電池の運転状況に応じて、第1領域に記憶された制御プログラムから第2領域に記憶された制御プログラムに切り替えるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6280778号公報
【特許文献2】特開2018-22367号公報
【特許文献3】特開2018-73546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
設備機器で利用されるソフトウェアを更新する場合、サーバからリモコンに更新用ソフトウェアが配信され、リモコンから設備機器にその更新用ソフトウェアが配信されるという手順になる。尚、リモコンから設備機器に対して更新用ソフトウェアを配信している間は、リモコンと設備機器との間の通信ケーブルがその通信に占有され続けるため、設備機器とリモコン装置との間で他の通信を行うことができないという問題がある。例えば、設備機器で故障などが発生した場合、それに関する故障情報を設備機器からリモコンへ送信しようとしても、リモコンから設備機器に対して更新用ソフトウェアを配信している間は、その故障情報を送信できないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リモコンと設備機器との間で、設備機器のソフトウェア更新のための情報通信とその他の情報通信とを適切に行うことができるソフトウェア更新システム及びリモコンを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るソフトウェア更新システムの特徴構成は、リモコンを経由して、当該リモコンと通信ケーブルを介して接続される設備機器で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新システムであって、
前記リモコンとネットワークを介して接続されるサーバに設けられ、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶するサーバ側記憶部と、
前記サーバに設けられ、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを前記ネットワークを介して前記リモコンに一括配信するサーバ側配信部と、
前記リモコンに設けられ、前記サーバ側配信部から配信される、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶するリモコン側記憶部と、
前記リモコン側記憶部に記憶された、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルが複数に分割された分割本体用ファイルのそれぞれを、前記通信ケーブルを介して前記設備機器に順次配信するリモコン側ファイル配信部と、
前記設備機器に設けられ、前記リモコン側ファイル配信部が順次配信する複数の前記分割本体用ファイルを記憶する本体側記憶部と、
前記設備機器に設けられ、前記本体側記憶部に前記分割本体用ファイルが記憶される毎に、次の前記分割本体用ファイルの配信を前記リモコン側ファイル配信部に要求する要求部とを備える点にある。
ここで、前記リモコン側記憶部は、仮想的又は物理的に分かれた複数個の記憶領域を有し、一つの前記記憶領域に、前記リモコンで利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶し、別の一つの前記記憶領域に、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶することができる。
【0010】
上記特徴構成によれば、リモコン側ファイル配信部は、リモコン側記憶部に記憶された、設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルが複数に分割された分割本体用ファイルのそれぞれを、通信ケーブルを介して設備機器に順次配信する。そして、設備機器に設けられる要求部は、設備機器の本体側記憶部に分割本体用ファイルが記憶される毎に、次の分割本体用ファイルの配信をリモコン側ファイル配信部に要求する。つまり、リモコンと設備機器との間の通信ケーブルが占有されるのは、各分割本体用ファイルの配信が行われている間だけであり、一つの分割本体用ファイルの配信が終了した後、次の分割本体用ファイルの配信が開始されるまでの間には、リモコンと設備機器との間で他の情報通信を行うことができる。
従って、リモコンと設備機器との間で、設備機器のソフトウェア更新のための情報通信とその他の情報通信とを適切に行うことができるソフトウェア更新システムを提供できる。
【0011】
本発明に係るソフトウェア更新システムの別の特徴構成は、前記サーバ側記憶部は、前記リモコンで利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶し、
前記サーバ側配信部は、前記リモコンで利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを前記ネットワークを介して前記リモコンに一括配信し、
前記リモコン側記憶部は、前記サーバ側配信部から配信される、前記リモコンで利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶する点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、設備機器のソフトウェアの更新に加えて、リモコンのソフトウェアの更新も行うことができる。
【0013】
本発明に係るソフトウェア更新システムの更に別の特徴構成は、前記設備機器に設けられ、複数の前記分割本体用ファイルの全てが前記本体側記憶部に記憶された場合、複数の前記分割本体用ファイルの全てを用いて、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを復元する本体側復元部を備える点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、全ての分割本体用ファイルが設備機器に配信された場合、設備機器において更新用ソフトウェアを利用することが可能となる。
【0015】
本発明に係るソフトウェア更新システムの更に別の特徴構成は、前記リモコンに設けられ、前記リモコン側記憶部に記憶された、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の前記分割本体用ファイルに分割するリモコン側分割部を備える点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、リモコンに設けられるリモコン側分割部が、リモコン側記憶部に記憶された、設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の分割本体用ファイルに分割する。つまり、サーバからリモコンへは、設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを、分割されていない状態で配信できる。
【0017】
本発明に係るソフトウェア更新システムの更に別の特徴構成は、前記サーバに設けられ、前記サーバ側記憶部に記憶された、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の前記分割本体用ファイルに分割するサーバ側分割部を備え、
前記サーバ側配信部は、複数の前記分割本体用ファイルの全てを前記ネットワークを介して前記リモコンに一括配信する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、サーバに設けられるサーバ側分割部が、サーバ側記憶部に記憶された、設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の分割本体用ファイルに分割する。つまり、リモコンは、設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の分割本体用ファイルに分割する処理を行わなくてもよい。
【0019】
上記目的を達成するための本発明に係るリモコンの特徴構成は、同じ施設に設けられる設備機器と通信ケーブルを介して接続され、別の前記施設に設けられるサーバとネットワークを介して接続されるリモコンであって、
前記サーバから配信される、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶するリモコン側記憶部と、
前記リモコン側記憶部に記憶された、前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の分割本体用ファイルに分割するリモコン側分割部と、
前記設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルが複数に分割された前記分割本体用ファイルのそれぞれを、前記通信ケーブルを介して前記設備機器に順次配信するリモコン側ファイル配信部とを備える点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、リモコンにおいて、リモコン側分割部は、リモコン側記憶部に記憶された、設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の分割本体用ファイルに分割し、リモコン側ファイル配信部は、複数の分割本体用ファイルのそれぞれを、通信ケーブルを介して設備機器に順次配信する。つまり、リモコンと設備機器との間の通信ケーブルが占有されるのは、各分割本体用ファイルの配信が行われている間だけであり、一つの分割本体用ファイルの配信が終了した後、次の分割本体用ファイルの配信が開始されるまでの間には、リモコンと設備機器との間で他の情報通信を行うことができる。
従って、リモコンと設備機器との間で、設備機器のソフトウェア更新のための情報通信とその他の情報通信とを適切に行うことができるリモコンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態のソフトウェア更新システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第2実施形態のソフトウェア更新システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
本発明に係るソフトウェア更新システムは、リモコン20を経由して、そのリモコン20と通信ケーブル3を介して接続される設備機器30で利用されるソフトウェアを更新するように構成される。以下、本実施形態のソフトウェア更新システム及びリモコン20について説明する。
【0023】
図1は、ソフトウェア更新システムの構成を模式的に示したブロック図である。
図1に示されるように、ソフトウェア更新システムは、サーバ10とリモコン20と設備機器30とを備えて構成される。本実施形態では、リモコン20と設備機器30とは、住宅や事業所などの同一施設に設けられ、サーバ10は、それとは別の施設に設けられる。
【0024】
設備機器30は、例えば施設に設けられる給湯器、コンロ、ファンヒータ、警報器、空調装置、蓄電池、燃料電池等であり、情報の演算処理機能及び記憶機能及び通信機能などを備える。もちろん、設備機器30は、それら以外の設備であっても良い。設備機器30は、本体側記憶部31と要求部32と本体側復元部33とを備え、それらは設備機器30が備える情報の演算処理機能及び記憶機能及び通信機能などを用いて実現される。
【0025】
リモコン20は、例えば設備機器30に付随して設けられる装置であり、情報の演算処理機能及び記憶機能及び通信機能などを備える。リモコン20は、設備機器30を遠隔操作するための操作機器にあたり、設備機器30と通信ケーブル3を介して接続される。この通信ケーブル3は、リモコン20から設備機器30に対して操作指令等を送信するため、設備機器30からリモコン20に対して故障の発生等を報知するためなどの情報通信に利用されることから、後述するインターネット回線による通信よりも低速な通信のみ行うことができるものである。従って、リモコン20と設備機器30との間では、リモコン20と設備機器30との間における操作指令の伝達に支障をきたさないよう大容量の電子ファイルの伝達は行わないように構成される。
【0026】
本実施形態では、リモコン20はリモコン側記憶部21とリモコン側ファイル配信部24とリモコン側分割部25とを備え、それらはリモコン20が備える情報の演算処理機能及び記憶機能及び通信機能などを用いて実現される。尚、説明は省略するが、リモコン20には、利用者が操作する操作受付部、利用者に情報を表示するための表示部などが設けられていてもよい。
【0027】
サーバ10は、情報の演算処理機能及び記憶機能及び通信機能などを備える1台又は複数台のコンピュータを用いて構成される。本実施形態では、サーバ10はサーバ側記憶部11とサーバ側配信部14とを備え、それらはサーバ10が備える情報の演算処理機能及び記憶機能及び通信機能などを用いて実現される。また、サーバ10は、リモコン20と、例えばインターネット回線等のネットワーク2を介して互いに情報通信可能に接続される。
【0028】
以下に、サーバ10とリモコン20と設備機器30との具体的な構成について説明する。
【0029】
〔サーバ10〕
サーバ側記憶部11は、リモコン20とネットワーク2を介して接続されるサーバ10に設けられ、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶する。加えて、サーバ側記憶部11は、リモコン20で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶する。具体的には、サーバ側記憶部11は、仮想的又は物理的に分かれた本体用ファイル記憶部12及びリモコン用ファイル記憶部13を備える。つまり、サーバ側記憶部11は、仮想的又は物理的に分かれた複数個の記憶領域を有し、一つの記憶領域(即ち、リモコン用ファイル記憶部13)に、リモコン20で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶し、別の一つの記憶領域(即ち、本体用ファイル記憶部12)に、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶する。リモコン用ファイル記憶部13は、リモコン20で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルをリモコン用ファイル91として記憶する。リモコン20で使用される更新用ソフトウェアとは、リモコン20に組み込まれたソフトウェアを更新するソフトウェアである。このような更新用ソフトウェアは電子ファイルの形態でリモコン用ファイル記憶部13に記憶される。リモコン用ファイル91は、例えば数MBのファイルサイズからなる。
【0030】
サーバ10の本体用ファイル記憶部12は、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを本体用ファイル92として記憶する。設備機器30で使用される更新用ソフトウェアとは、設備機器30に組み込まれたソフトウェアを更新するソフトウェアである。このような更新用ソフトウェアは電子ファイルの形態で本体用ファイル記憶部12に記憶される。本体用ファイル92は、例えば数MBのファイルサイズからなる。
【0031】
サーバ側配信部14は、サーバ10に設けられ、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルをネットワーク2を介してリモコン20に一括配信する。加えて、サーバ側配信部14は、リモコン20で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルをネットワーク2を介してリモコン20に一括配信する。具体的には、サーバ側配信部14は本体用ファイル配信部15及びリモコン用ファイル配信部16を備える。そして、サーバ10の本体用ファイル配信部15は、ネットワーク2を介して本体用ファイル92をリモコン20に一括配信する。ネットワーク2とは、リモコン20とサーバ10とが互いに接続される通信形態であって、例えばインターネット回線である。本体用ファイル92は、本体用ファイル記憶部12に記憶されている。ここで、「リモコン20に一括配信する」とは、リモコン20に対して、本体用ファイル92を単一の電子ファイルとして送信することを意味する。従って、本体用ファイル配信部15は、ネットワーク2を通じて、本体用ファイル記憶部12に記憶されている本体用ファイル92を、リモコン20に対して、本体用ファイル92を分割することなく、単一の電子ファイルとしてそのまま送信する。
【0032】
サーバ10のリモコン用ファイル配信部16は、ネットワーク2を介してリモコン用ファイル91をリモコン20に一括配信する。リモコン用ファイル91は、リモコン用ファイル記憶部13に記憶されている。ここで、「リモコン20に一括配信する」とは、リモコン20に対して、リモコン用ファイル91を単一の電子ファイルとして送信することを意味する。従って、リモコン用ファイル配信部16は、ネットワーク2を通じて、リモコン用ファイル記憶部13に記憶されているリモコン用ファイル91を、リモコン20に対して、リモコン用ファイル91を分割することなく、単一の電子ファイルとしてそのまま送信する。
【0033】
〔リモコン20〕
リモコン20は、同じ施設に設けられる設備機器30と通信ケーブル3を介して接続され、別の施設に設けられるサーバ10とネットワーク2を介して接続される。そして、リモコン20は、サーバ10から配信される、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶するリモコン側記憶部21と、リモコン側記憶部21に記憶された、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の分割本体用ファイル93に分割するリモコン側分割部25と、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルが複数に分割された分割本体用ファイル93のそれぞれを、通信ケーブル3を介して設備機器30に順次配信するリモコン側ファイル配信部24とを備える。
【0034】
リモコン側記憶部21は、リモコン20に設けられ、サーバ側配信部14から配信される、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶する。加えて、本実施形態のリモコン側記憶部21は、サーバ側配信部14から配信される、リモコン20で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶する。具体的には、リモコン側記憶部21は、仮想的又は物理的に分かれたリモコン側第1記憶部22及びリモコン側第2記憶部23を備える。そして、リモコン20のリモコン側第1記憶部22は、リモコン用ファイル配信部16から配信されるリモコン用ファイル91を記憶する。
【0035】
つまり、リモコン側記憶部21は、仮想的又は物理的に分かれた複数個の記憶領域を有し、一つの記憶領域(即ち、リモコン側第1記憶部22)に、リモコン20で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶し、別の一つの記憶領域(即ち、リモコン側第2記憶部23)に、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを記憶する。
【0036】
リモコン20のリモコン側第2記憶部23は、本体用ファイル配信部15から一括配信される本体用ファイル92を記憶する。
【0037】
リモコン20のリモコン側分割部25は、リモコン20に設けられ、リモコン側記憶部21に記憶された、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の分割本体用ファイル93に分割する。具体的には、リモコン側分割部25は、リモコン側第2記憶部23に記憶している本体用ファイル92を所定のサイズに分割した分割本体用ファイル93を作成する。所定のサイズとは、少なくとも本体用ファイル92のファイルサイズよりも小さいファイルサイズである。本体用ファイル92を、このようなファイルサイズに複数に分割した夫々の電子ファイルが、ソフトウェア更新システムでは、分割本体用ファイル93と称される。上述したように本体用ファイル92は例えば数MBのファイルサイズからなるが、分割本体用ファイル93は例えば数kB程度のファイルサイズからなるように分割される。
【0038】
リモコン20のリモコン側ファイル配信部24は、リモコン側記憶部21に記憶された、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルが複数に分割された分割本体用ファイル93のそれぞれを、通信ケーブル3を介して設備機器30に順次配する。具体的には、リモコン20のリモコン側ファイル配信部24は、リモコン側第2記憶部23に記憶された分割本体用ファイル93を、通信ケーブル3を介して設備機器30に送信する。従って、リモコン側ファイル配信部24は、本体用ファイル配信部15から配信され、リモコン側第2記憶部23に記憶されている分割本体用ファイル93を、リモコン20と設備機器30とを互いに接続し、リモコン20から設備機器30に対する操作指令の伝達に利用される、インターネット回線による通信よりも低速な通信のみ行うことができる通信ケーブル3を通じて、設備機器30に送信する。
【0039】
〔設備機器30〕
設備機器30の本体側記憶部31は、設備機器30に設けられ、リモコン側ファイル配信部24が順次配信する複数の分割本体用ファイル93を記憶する。上述したように、リモコン側ファイル配信部24は、リモコン側第2記憶部23に記憶されている分割本体用ファイル93を、通信ケーブル3を通じて送信する。本体側記憶部31は、この分割本体用ファイル93を記憶する。
【0040】
設備機器30の要求部32は、設備機器30に設けられ、本体側記憶部31に分割本体用ファイル93が記憶される毎に、次の分割本体用ファイル93の配信をリモコン側ファイル配信部24に要求する。分割本体用ファイル93は、本体用ファイル配信部15から配信されるが、本体用ファイル配信部15から1つの分割本体用ファイル93が配信されてから、リモコン側第2記憶部23及びリモコン側ファイル配信部24を介して本体側記憶部31に記憶されるまでは、本体用ファイル配信部15から次の分割本体用ファイル93は配信されないように構成されている。例えば、本体側記憶部31に分割本体用ファイル93が記憶されると、記憶されたことを示す情報が要求部32に伝達され、要求部32はこの情報を受けて、通信ケーブル3を介して、リモコン20のリモコン側ファイル配信部24に、次の分割本体用ファイル93の配信を要求する。
【0041】
リモコン20のリモコン側ファイル配信部24は、要求部32から要求を受けると、次の分割本体用ファイル93を、通信ケーブル3を通して上述したように配信する。このような要求と配信を繰り返し行って、全ての分割本体用ファイル93が設備機器30の本体側記憶部31に記憶される。この時、最後の分割本体用ファイル93の配信する際に、最後の分割本体用ファイル93であることを示す情報も配信されるように構成すると良い。また、複数の分割本体用ファイル93を一つの本体用ファイル92に復元する復元用ファイルを送信するように構成しても良い。
【0042】
設備機器30の本体側復元部33は、設備機器30に設けられ、複数の分割本体用ファイル93の全てが本体側記憶部31に記憶された場合、複数の分割本体用ファイル93の全てを用いて、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルとしての本体用ファイル92に復元する。
【0043】
以上のように、本実施形態のソフトウェア更新システムでは、リモコン20と設備機器30との間の通信ケーブル3が占有されるのは、各分割本体用ファイル93の配信が行われている間だけであり、一つの分割本体用ファイル93の配信が終了した後、次の分割本体用ファイル93の配信が開始されるまでの間には、リモコン20と設備機器30との間で他の情報通信を行うことができる。例えば、設備機器30が給湯器の場合、リモコン20から給湯器(設備機器30)へ一つの分割本体用ファイル93の配信が終了した後、リモコン20から次の分割本体用ファイル93の配信が開始されるまでの間で、リモコン20から給湯器(設備機器30)へ、湯の設定温度情報、湯はり命令情報、風呂の追い焚き命令情報などの情報通信を行うことができる。
【0044】
<第2実施形態>
第2実施形態のソフトウェア更新システムは、本体用ファイル92をサーバ10で分割する点で上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態のソフトウェア更新システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0045】
本実施形態のサーバ10は、サーバ側記憶部11とサーバ側配信部14とサーバ側分割部17とを備える。
【0046】
サーバ側分割部17は、サーバ10に設けられ、サーバ側記憶部11に記憶された、設備機器30で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを複数の分割本体用ファイル93に分割する。具体的には、サーバ側分割部17は、本体用ファイル記憶部12に記憶している本体用ファイル92を所定のサイズに分割した分割本体用ファイル93を作成する。所定のサイズとは、少なくとも本体用ファイル92のファイルサイズよりも小さいファイルサイズである。作成された複数の分割本体用ファイル93は、本体用ファイル記憶部12に記憶される。
【0047】
サーバ10のサーバ側配信部14としての本体用ファイル配信部15は、複数の分割本体用ファイル93の全てをネットワーク2を介してリモコン20に一括配信する。ここで、「リモコン20に一括配信する」とは、リモコン20に対して、複数の分割本体用ファイル93の全てを単一の電子ファイルとして送信することを意味する。従って、本体用ファイル配信部15は、ネットワーク2を通じて、本体用ファイル記憶部12に記憶されている複数の分割本体用ファイル93の全てを、リモコン20に対して、単一の電子ファイルとして送信する。そして、リモコン20のリモコン側第2記憶部23は、本体用ファイル配信部15から配信される分割本体用ファイル93を記憶する。
【0048】
本実施形態でのリモコン20から設備機器30への分割本体用ファイル93の配信については上記実施形態と同じである。
【0049】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、設備機器30に通信ケーブル3を介して接続されるリモコン20が1つである場合の例を挙げて説明した。例えば、1つの設備機器30に対して、複数のリモコン20が設けられる場合もある。具体的には、設備機器30が給湯器である場合に、キッチン及び浴室の夫々にリモコン20が設けられることがある。係る場合、ソフトウェア更新システムは、キッチンのリモコン20に対して更新用ソフトウェアを構成するリモコン用ファイル91を配信すると共に、浴室のリモコン20に対しても更新用ソフトウェアを構成するリモコン用ファイル91を配信するように構成することが可能である。係る場合、夫々の更新用ソフトウェアは、互いに異なるものであっても良いし、互いに同じものであっても良い。また、キッチンのリモコン20と浴室のリモコン20とは、
図3に示されるように、設備機器30からの通信ケーブル3を所定の位置で分岐して接続されるように構成することも可能であるし、
図4に示されるように、キッチンのリモコン20と浴室のリモコン20と設備機器30とが、所謂デイジーチェーン型で接続されるように構成しても良い。
【0050】
上記実施形態では、リモコン20がネットワーク2を介してサーバ10に接続されるとして説明したが、設備機器30がネットワーク2を介してサーバ10に接続されるように構成することも可能である。
【0051】
上記実施形態では、本体側記憶部31に本体用ファイル92を分割した全ての分割本体用ファイル93が記憶された場合に、本体用ファイル92に復元するとして説明したが、本体用ファイル92への復元は自動で行っても良いし、ユーザの操作(例えばリモコン20操作)に応じて復元するように構成しても良い。
【0052】
上記実施形態では、リモコン側第1記憶部22にリモコン用ファイル91を記憶している状態で、リモコン側第2記憶部23への分割本体用ファイル93の記憶及び当該分割本体用ファイル93の設備機器30への送信が行われ、サーバ10からリモコン20に対する当該リモコン20で利用される更新用ソフトウェアの配信と、サーバ10からリモコン20を介した設備機器30に対する当該設備機器30で利用される更新用ソフトウェアの配信とを同時に行うことが可能であるとして説明したが、サーバ10からリモコン20に対する当該リモコン20で利用される更新用ソフトウェアの配信と、サーバ10からリモコン20を介した設備機器30に対する当該設備機器30で利用される更新用ソフトウェアの配信とは互いにバッチ処理で行うように構成することも可能である。
【0053】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、リモコンと設備機器との間で、設備機器のソフトウェア更新のための情報通信とその他の情報通信とを適切に行うことができるソフトウェア更新システム及びリモコンに利用できる。
【符号の説明】
【0055】
2 ネットワーク
3 通信ケーブル
10 サーバ
11 サーバ側記憶部
12 本体用ファイル記憶部
13 リモコン用ファイル記憶部
14 サーバ側配信部
15 本体用ファイル配信部
16 リモコン用ファイル配信部
17 サーバ側分割部
20 リモコン
21 リモコン側記憶部
22 リモコン側第1記憶部
23 リモコン側第2記憶部
24 リモコン側ファイル配信部
25 リモコン側分割部
30 設備機器
31 本体側記憶部
32 要求部
33 本体側復元部