(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184580
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】複合積層セラミックコンデンサ、複合積層セラミックコンデンサの実装方法、及び、配線基板
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20221206BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
H01G2/06 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092521
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】天満 陽
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC02
5E082AB03
5E082EE01
5E082EE02
5E082EE04
5E082FF05
5E082FG26
(57)【要約】
【課題】等価直列インダクタンスの増大及び静電容量の低下を抑制しつつ、応力による、直列に接続された2個のコンデンサ部の同時破損を防止することが可能な複合積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】複合積層セラミックコンデンサ1は、第1帯状部10Aと第2帯状部10Bとを有し、平面視において略T字状に形成された誘電体素体10と、第1帯状部10Aの長手方向の両側面に形成された一対の第1外部電極11と、第2帯状部10Bの短手方向の両側面に形成された一対の第2外部電極12と、第1帯状部10Aに形成され、第1外部電極11と接続された第1内部電極101と、第2帯状部10Bに形成され、第2外部電極12と接続された第2内部電極102と、略T字状に形成された第3内部電極103とを備え、第1内部電極101及び第2内部電極102と、第3内部電極103とが、誘電体層100を挟んで交互に積層されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層が積層されて構成され、第1帯状部と、該第1帯状部の略中央部において、該第1帯状部と略直角に交わる第2帯状部とを有し、平面視において略T字状に形成された誘電体素体と、
前記誘電体素体の前記第1帯状部の長手方向の両側面に形成された一対の第1外部電極と、
前記誘電体素体の前記第2帯状部の短手方向の両側面に形成された一対の第2外部電極と、
前記第1帯状部に形成され、前記一対の第1外部電極それぞれと接続された第1内部電極と、
前記第1内部電極と同一の層内において、前記第2帯状部に形成され、前記一対の第2外部電極それぞれと接続された第2内部電極と、
前記第1帯状部及び前記第2帯状部に形成され、平面視において略T字状に形成された第3内部電極と、を備え、
前記第1内部電極及び前記第2内部電極と、前記第3内部電極とが、前記誘電体層を挟んで交互に積層されていることを特徴とする複合積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記第2内部電極は、面積が前記第1内部電極の面積と同じになるように、十字架状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の複合積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記第2帯状部の長手方向に沿って応力が作用するように配線基板に実装されることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載された複合積層セラミックコンデンサの実装方法であって、
配線基板に作用する応力の方向を取得する取得ステップと、
前記第2帯状部の長手方向に沿って応力が作用するように、前記複合積層セラミックコンデンサを前記配線基板に配置して実装する実装ステップと、を備えることを特徴とする複合積層セラミックコンデンサの実装方法。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載された複合積層セラミックコンデンサが実装された配線基板であって、
前記第2帯状部の長手方向に沿って応力が作用するように、前記複合積層セラミックコンデンサが実装されていることを特徴とする配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合積層セラミックコンデンサ、該複合積層セラミックコンデンサの実装方法、及び、該複合積層セラミックコンデンサが実装された配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気/電子回路において、例えば、平滑コンデンサやバイパスコンデンサなどとして、積層セラミックコンデンサ(MLCC)が広く用いられている。ところで、積層セラミックコンデンサでは、例えば外部電極付近に大きな応力がかかると、クラックによるショートモードでの破損が生じるおそれがある。そのため、積層セラミックコンデンサが電源ラインに使用されている場合(電源-グランド間に挿入されている場合)には、ショートモードでの破損により、過電流が流れるおそれがある。
【0003】
その対策として、例えば、車載用のアプリケーション(電気/電子機器)等では、2個の積層セラミックコンデンサを直列に接続して用いること、又は、2素子直列構造の複合積層セラミックコンデンサを用いることにより、一方の積層セラミックコンデンサが破損したとしても過電流が流れることを防止する構成としたものが知られている。さらに、積層セラミックコンデンサが実装された配線基板(実装基板)にかかる同一方向の応力により、2個の積層セラミックコンデンサが同時に破損すること防ぐため、一方の積層セラミックコンデンサの長手方向と、他方の積層セラミックコンデンサの長手方向とが直交するように(すなわち、一方の積層セラミックコンデンサに対して他方の積層セラミックコンデンサを90°回転させて)実装するという構成も知られている。しかし、このような構成とした場合、積層セラミックコンデンサの静電容量の低下と、等価直列インダクタンス(ESL)の増大(すなわち、電気特性の悪化)を招いてしまう。
【0004】
ここで、特許文献1には、3端子コンデンサを用いて等価直列インダクタンス(ESL)を下げる実装構造が開示されている。より詳細には、チップ素体と、チップ素体の内部に設けられた貫通電極と、貫通電極に対向するように設けられた内部電極と、チップ素体の両端面にそれぞれ設けられ、貫通電極に電気的に接続された第1外部端子および第2外部端子と、チップ素体の側面に設けられ、内部電極に電気的に接続された第3外部端子とを有するコンデンサが、ホット側電極とグランド側電極とを有する回路基板に実装される。
【0005】
また、特許文献2には、高い信頼性(すなわち、直列に接続されたコンデンサ素子のうちの一方に絶縁破壊が生じた場合にも他方のコンデンサ素子によって電気的な絶縁を保つこと)と低ESL化との両立を図る積層セラミックコンデンサ(2素子直列構造の複合積層セラミックコンデンサ)が開示されている。より具体的には、この積層セラミックコンデンサは、所定の積層方向に沿って誘電体層および内部電極層が交互に積層された積層体と、積層体の一対の第1側面に設けられた信号用第1外部電極および信号用第2外部電極と、積層体の一対の第2側面に設けられた接地用外部電極とを備える。内部電極層は、信号用第1外部電極および信号用第2外部電極にのみ接続された信号用内部電極層と、浮遊内部電極層と、接地用外部電極にのみ接続された接地用内部電極層とを含む。信号用内部電極層と浮遊内部電極層とは、上記積層方向に沿って対向配置され、浮遊内部電極層と接地用内部電極層とは、上記積層方向に沿って対向配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-282347号公報
【特許文献2】特開2015-41735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に記載された3端子コンデンサを用いれば、等価直列インダクタンスを下げることはできる。しかしながら、直列に接続された2個の3端子コンデンサ(積層セラミックコンデンサ)の同時破損を防止することは困難である。3端子コンデンサ特有の外部電極配置により、長手方向の両側面及び短手方向の両側面それぞれに外部電極が形成されているため、2個の3端子コンデンサ(積層セラミックコンデンサ)を90°向きを変えて実装したとしても、配線基板に一方向の応力がかかっただけで、いずれかの外部電極付近のセラミックに応力が加わり、同時破損を生じるおそれがある。
【0008】
一方、上述した特許文献2に記載された積層セラミックコンデンサによれば、等価直列インダクタンスの悪化防止と、同時破損の防止を図ることはできる。しかしながら、この積層セラミックコンデンサでは、信号用内部電極と一対の接地用内部電極とが単一の平面上において並んで設けられるため、一対の接地用内部電極の表面積が小さくなり、静電容量が低下する。
【0009】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、等価直列インダクタンスの悪化(増大)及び静電容量の低下を抑制しつつ、応力による、直列に接続された2個のコンデンサ部の同時破損を防止することが可能な複合積層セラミックコンデンサ、該複合積層セラミックコンデンサの実装方法、及び、該複合積層セラミックコンデンサが実装された配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る複合積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体層が積層されて構成され、第1帯状部と、該第1帯状部の略中央部において、該第1帯状部と略直角に交わる第2帯状部とを有し、平面視において略T字状に形成された誘電体素体と、誘電体素体の第1帯状部の長手方向の両側面に形成された一対の第1外部電極と、誘電体素体の第2帯状部の短手方向の両側面に形成された一対の第2外部電極と、第1帯状部に形成され、一対の第1外部電極それぞれと接続された第1内部電極と、第1内部電極と同一の層内において、第2帯状部に形成され、一対の第2外部電極それぞれと接続された第2内部電極と、第1帯状部及び第2帯状部に形成され、平面視において略T字状に形成された第3内部電極とを備え、第1内部電極及び第2内部電極と、第3内部電極とが、誘電体層を挟んで交互に積層されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る複合積層セラミックコンデンサによれば、第1内部電極と第3内部電極とにより第1のコンデンサ部が形成され、第2内部電極と第3内部電極とにより、第1のコンデンサ部に直列に接続された第2のコンデンサ部が形成される。また、本発明に係る複合積層セラミックコンデンサによれば、一方の第1外部電極から一方の第2外部電極に流れる電流および他方の第1外部電極から他方の第2外部電極に流れる電流それぞれについて、等価直列インダクタンスを低減する方向に相互インダクタンスが働くことにより等価直列インダクタンスが低下する。さらに、電流の経路が多くなるため、より等価直列インダクタンスの低減が促進される。
【0012】
また、上述した特許文献2に記載された積層セラミックコンデンサでは、同一層内(単一平面上)に信号用内部電極と一対の接地用内部電極(すなわち3つの内部電極)を形成する必要があったが、本願発明に係る複合積層セラミックコンデンサでは、同一層内に、第1内部電極と第2内部電極(2つの内部電極)を形成すればよいため、第1内部電極及び第2内部電極それぞれの表面積をより大きくすることができ、静電容量を増大することができる。
【0013】
さらに、本願発明に係る複合積層セラミックコンデンサでは、一対の第1外部電極が誘電体素体の第1帯状部の長手方向の両側面に形成され、一対の第2外部電極が誘電体素体の第2帯状部の短手方向の両側面に形成されているため、配線基板に比較的大きな応力がかかった場合に、第1外部電極近傍に作用する応力の大きさと、第2外部電極近傍に作用する応力の大きさとが異なり、第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部の同時破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、等価直列インダクタンスの悪化(増大)及び静電容量の低下を抑制しつつ、応力による、直列に接続された2個のコンデンサ部の同時破損を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る複合積層セラミックコンデンサの平面図である。
【
図2】実施形態に係る複合積層セラミックコンデンサを構成する第1内部電極、第2内部電極、及び、第3内部電極の構成を示す図である。
【
図3】実施形態に係る複合積層セラミックコンデンサが実装された配線基板の平面図である。
【
図4】実施形態に係る複合積層セラミックコンデンサ(第1外部電極近傍)に作用する応力を、
図3のIV-IV線に沿った断面において見た場合のシミュレーション結果を示す図である。
【
図5】実施形態に係る複合積層セラミックコンデンサ(第2外部電極近傍)に作用する応力を、
図3のV-V線に沿った断面において見た場合のシミュレーション結果を示す図である。
【
図6】実施形態に係る複合積層セラミックコンデンサの等価回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0017】
まず、
図1~3を併せて用いて、実施形態に係る複合積層セラミックコンデンサ1の構成について説明する。
図1は、複合積層セラミックコンデンサ1の平面図である。
図2は、複合積層セラミックコンデンサ1を構成する第1内部電極101、第2内部電極102、及び、第3内部電極103の構成を示す図である。
図3は、複合積層セラミックコンデンサ1が実装された配線基板5の平面図である。
【0018】
複合積層セラミックコンデンサ1は、直線状の第1帯状部10Aと、該第1帯状部10Aの略中央部において、該第1帯状部10Aと略直角に交わる直線状の第2帯状部10Bとを有し、平面視において略T字状に形成された誘電体素体10と、誘電体素体10の第1帯状部10Aの長手方向の両側面(長手方向において互いに対向する面)に形成された一対の第1外部電極11と、誘電体素体10の第2帯状部10Bの短手方向の両側面(短手方向において互いに対向する面)に形成された一対の第2外部電極12とを備えている。
【0019】
誘電体素体10は、直線状の第1帯状部100Aと、該第1帯状部100Aの略中央部において、該第1帯状部100Aと略直角に交わる直線状の第2帯状部100Bとからなり、平面視において略T字状に形成された複数の誘電体層100と、平面視において、第1帯状部10A(100A)に形成された第1内部電極101と、第1内部電極101と同一の層内において、第2帯状部10B(100B)に形成された第2内部電極102と、平面視において、第1帯状部10A(100A)及び第2帯状部10B(100B)に形成された第3内部電極103とを備え、第1内部電極101及び第2内部電極102と、第3内部電極103とが、誘電体層100を挟んで交互に積層されることにより構成されている。
【0020】
誘電体層100は、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3などを主成分とする誘電体セラミックから形成される。なお、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分が添加されていてもよい。
【0021】
第1内部電極101は、帯状かつ薄膜状に形成されている。第2内部電極102は、その面積が第1内部電極101の面積と同じになるように、帯状部と一対の引き出し部とを含む十字架状かつ薄膜状に形成されている。第3内部電極103は、平面視において、誘電体層100よりも一回り小さい略T字状かつ薄膜状に形成されている。第1内部電極101、第2内部電極102、及び、第3内部電極103それぞれは、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Auなどから形成される。
【0022】
第1内部電極101と第3内部電極103とが誘電体層100を挟んで対向して積層されることにより第1のコンデンサ部1Aが形成される。また、第2内部電極102と第3内部電極103とが誘電体層100を挟んで対向して積層されることにより、第1のコンデンサ部1Aに直列に接続された第2のコンデンサ部1Bが形成される(
図6参照)。
【0023】
第1内部電極101は、誘電体素体10の第1帯状部10Aの長手方向の両側面に引き出され、一対の第1外部電極11それぞれと接続されている。第2内部電極102は、誘電体素体10の第2帯状部10Bの短手方向の両側面に引き出され、一対の第2外部電極12それぞれと接続されている。
【0024】
ここで、第1外部電極11、第2外部電極12それぞれは、複数のメッキ層から構成されることが好ましく、例えば、耐はんだ喰われ性を有するニッケルメッキ層と、該ニッケルメッキ層を覆うように形成されるスズメッキ層とを含んで構成される。
【0025】
上述したように構成されることにより、
図6に示されるように、互いに直列に接続された第1のコンデンサ部1Aと第2のコンデンサ部1Bとを備える複合積層セラミックコンデンサ1が形成されるなお、
図6は、複合積層セラミックコンデンサ1の等価回路を示す図である。
【0026】
複合積層セラミックコンデンサ1は、
図3に示されるように、第2帯状部10Bの長手方向に沿って応力が作用するように配線基板5に実装される。その際に、第1外部電極11は、例えば、配線基板5に形成された電源ライン(図示省略)にはんだ付けによって接続され、第2外部電極12はグランドライン(図示省略)にはんだ付けによって接続される。なお、
図3は、複合積層セラミックコンデンサ1が実装された配線基板5の平面図である。
図3に示されるように、例えば、配線基板5の形状が長方形の場合、配線基板5の長手方向が応力の作用する方向となる。
【0027】
複合積層セラミックコンデンサ1を配線基板5に実装する際(又は配線基板5を設計する際)には、まず、配線基板5に作用する応力の方向が取得される(特許請求の範囲に記載の取得ステップに相当)。なお、配線基板5に作用する応力は、例えば、構造解析シミュレーション等により取得(把握)することができる。また、配線基板5に作用する応力の方向を取得(把握)する際には、配線基板5をケース等に取り付ける螺子などの位置や取り付け構造等も考慮される。
【0028】
そして、把握された配線基板5に作用する応力の方向と第2帯状部10Bの長手方向とが一致するように、すなわち、第2帯状部10Bの長手方向に沿って応力が作用するように、複合積層セラミックコンデンサ1の実装方向が決定される。その後、複合積層セラミックコンデンサ1が配線基板5に配置されて実装される(特許請求の範囲に記載の実装ステップに相当)。
【0029】
次に、複合積層セラミックコンデンサ1の同時破損防止効果をシミュレーションにより確認した。その際に、
図3に示されるように、第2帯状部10Bの長手方向に沿って応力が作用するように、複合積層セラミックコンデンサ1を配線基板5に実装した場合を想定してシミュレーションを行った。
【0030】
シミュレーション結果を
図4及び
図5に示す。
図4は、複合積層セラミックコンデンサ1の第1外部電極11近傍に作用する応力を、
図3のIV-IV線に沿った断面において見た場合のシミュレーション結果を示す図である。
図5は、複合積層セラミックコンデンサ1の第2外部電極12近傍に作用する応力を、
図3のV-V線に沿った断面において見た場合のシミュレーション結果を示す図である。
【0031】
図3に示されるように、第2帯状部10Bの長手方向に沿って応力が作用するように、複合積層セラミックコンデンサ1を配線基板5に実装した場合、
図5に示されるように、第2外部電極12近傍のセラミックには比較的大きな応力がかかるものの、
図4に示されるように、第1外部電極11近傍のセラミックには(第2外部電極12近傍と比較して)大きな応力がかからないことが確認された。すなわち、本実施形態によれば、第1のコンデンサ部1Aと第2のコンデンサ部1Bの同時破損を防止可能であることが確認された。
【0032】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、第1内部電極101と第3内部電極103とにより第1のコンデンサ部1Aが形成され、第2内部電極102と第3内部電極103とにより、第1のコンデンサ部1Aに直列に接続された第2のコンデンサ部1Bが形成される。また、本実施形態によれば、一方の第1外部電極11から一方の第2外部電極12に流れる電流(
図1中の一点鎖線参照)および他方の第1外部電極11から他方の第2外部電極12に流れる電流(
図1中の一点鎖線参照)それぞれについて、等価直列インダクタンスを低減する方向に相互インダクタンス(M)が働くことにより、等価直列インダクタンスが低下する。さらに、電流の経路が多くなるため、より等価直列インダクタンスの低減が促進される。
【0033】
また、本実施形態では、同一層内に、第1内部電極101と第2内部電極102(2つの内部電極101、102)を形成すればよいため、第1内部電極101及び第2内部電極102それぞれの表面積をより大きくすることができ、静電容量を増大することができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、一対の第1外部電極11が誘電体素体10の第1帯状部10Aの長手方向の両側面に形成され、一対の第2外部電極12が誘電体素体10の第2帯状部10Bの短手方向の両側面に形成されているため、配線基板5に比較的大きな応力がかかった場合に、第1外部電極11近傍に作用する応力の大きさと、第2外部電極12近傍に作用する応力の大きさとが異なり、第1のコンデンサ部1Aと第2のコンデンサ部1Bの同時破損を防止することができる。
【0035】
その結果、本実施形態によれば、等価直列インダクタンスの悪化(増大)及び静電容量の低下を抑制しつつ、応力による、直列に接続された2個のコンデンサ部1A、1Bの同時破損を防止する(すなわち、電源ラインに過電流が流れることを防止する)ことが可能となる。
【0036】
特に、本実施形態によれば、第2帯状部10Bの長手方向に沿って応力が作用するように、複合積層セラミックコンデンサ1が配線基板5に実装されるため、第2外部電極12近傍に比べて、第1外部電極11近傍のセラミックには大きな応力がかかることが防止され、第1のコンデンサ部1Aと第2のコンデンサ部1Bの同時破損を防止することが可能となる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、複合積層セラミックコンデンサ1は、平面視において略T字状に形成されていればよく、サイズ(大きさ)や厚み等は、要求される要件に応じて任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 複合積層セラミックコンデンサ
1A 第1のコンデンサ
1B 第2のコンデンサ
10 誘電体素体
10A 第1帯状部
10B 第2帯状部
11 第1外部電極
12 第2外部電極
100 誘電体層
100A 第1帯状部
100B 第2帯状部
101 第1内部電極
102 第2内部電極
103 第3内部電極
5 配線基板