(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184583
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】配車システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20221206BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20221206BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20221206BHJP
G06Q 10/06 20120101ALI20221206BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20221206BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G08G1/00 Z
G08G1/123 A
G06Q10/06 302
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092526
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 孝典
(72)【発明者】
【氏名】大西 陽一
(72)【発明者】
【氏名】金森 賢治
(72)【発明者】
【氏名】松川 侑資
(72)【発明者】
【氏名】河崎 佳
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 万人
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 恵介
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA14
5H181BB04
5H181BB15
5H181MA07
5H181MA13
5H181MA18
5L049AA13
5L049CC15
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】メンテナンスの予定と配車とを連携させた配車システムを提供する。
【解決手段】自動運転で走行する複数の車両10と、車両10を駐車させると共に前記車両のメンテナンスを行う車両基地82と、車両10の配車を行う運用管理サーバ60と、を備える配車システム100であって、運用管理サーバ60は、車両10のメンテナンス予定を格納したメンテナンス管理データベース64を備え、運用管理サーバ60は、メンテナンス管理データベース64を参照して近々メンテナンスが予定されるメンテナンス予定車両を抽出し、メンテナンス予定車両の運行領域が車両基地82に近い領域となるように配車を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転で走行する複数の車両と、
前記車両を駐車させると共に前記車両のメンテナンスを行う車両基地と、
前記車両の配車を行うサーバと、
前記サーバに接続され、前記車両のメンテナンス予定を格納したメンテナンス管理データベースと、を備える配車システムであって、
前記サーバは、前記メンテナンス管理データベースを参照して所定期間の間にメンテナンスが予定されるメンテナンス予定車両を抽出し、前記メンテナンス予定車両の運行領域が前記車両基地に近い領域となるように配車を行うこと、
を特徴とする配車システム。
【請求項2】
請求項1に記載の配車システムであつて、
前記車両は、カーシェア用車両又は自動運転タクシーであり、
前記サーバに接続され、前記車両のメンテナンス予定と前記車両の使用料金とを関連付けた使用料金データベースを更に備え、
前記サーバは、前記メンテナンス予定車両の使用料金を前記所定期間の間にメンテナンスが予定されていない通常車両の使用料金よりも安くすること、
を特徴とする配車システム。
【請求項3】
請求項2に記載の配車システムであって、
前記使用料金データベースは、前記車両の使用開始からの期間と前記車両の使用料金とを関連付けて格納し、
前記サーバは、使用開始からの期間が長い前記車両の使用料金を使用開始からの期間が短い前記車両の使用料金よりも安くすること、
を特徴とする配車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車システム、特に、車両のメンテナンス予定に基づいて配車を行う配車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のメンテナンスを考慮した車両の運行システムが提案されている。例えば、車両の運行管理において、車両のメンテナンスが必要と判断された際に車両の運行スケジュールの空き時間にメンテナンスを予約することにより、車両の稼働効率が大きく低下することを防止するスケジュール管理システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、車両の利用によるメンテナンス必要度の増加を予測し、必要度が所定の閾値を越えるメンテナンス項目が複数ある車両を利用者に配車することにより、車両の利用後に複数の項目のメンテナンスを行い、車両のメンテナンス回数を低減する車両管理システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-166760号公報
【特許文献2】特開2020-9060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近々メンテナンスが予定されているメンテナンス予定車両は、メンテナンス実行直後の車両と比べて故障の確立が高くなる場合がある。このため、車両の運用においては、車両のメンテナンスの予定を考慮して配車を行う必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、メンテナンスの予定と配車とを連携させた配車システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配車システムは、自動運転で走行する複数の車両と、前記車両を駐車させると共に前記車両のメンテナンスを行う車両基地と、前記車両の配車を行うサーバと、前記サーバに接続され、前記車両のメンテナンス予定を格納したメンテナンス管理データベースと、を備える配車システムであって、前記サーバは、前記メンテナンス管理データベースを参照して所定期間の間にメンテナンスが予定されるメンテナンス予定車両を抽出し、前記メンテナンス予定車両の運行領域が前記車両基地に近い領域となるように配車を行うこと、を特徴とする。
【0008】
これにより、メンテナンス予定車両が故障した場合でも、故障したメンテナンス予定車両を容易に車両基地に帰還させることができる。また、車両基地のスタッフを故障したメンテナンス予定車両まで容易に派遣することができ、メンテナンス予定車両の故障に対して迅速に対応することができる。
【0009】
本発明の配車システムにおいて、前記車両は、カーシェア用車両又は自動運転タクシーであり、前記サーバに接続され、前記車両のメンテナンス予定と前記車両の使用料金とを関連付けた使用料金データベースを更に備え、前記サーバは、前記メンテナンス予定車両の使用料金を前記所定期間の間にメンテナンスが予定されていない通常車両の使用料金よりも安くしてもよい。
【0010】
このように、メンテナンス予定車両の使用料金を安くすることにより、料金の差別化を図ることができる。
【0011】
本発明の配車システムにおいて、前記使用料金データベースは、前記車両の使用開始からの期間と前記車両の使用料金とを関連付けて格納し、前記サーバは、使用開始からの期間が長い前記車両の使用料金を使用開始からの期間が短い前記車両の使用料金よりも安くしてもよい。
【0012】
このように、使用期間が長い車両の使用料金を安くすることにより、料金の差別化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、メンテナンスの予定と配車とを連携させた配車システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態の配車システムの構成を示す概略系統図である。
【
図2】
図1に示す稼働状態データベースのデータ構造を示す図である。
【
図3】
図1に示す利用者データベースのデータ構造を示す図である。
【
図4】
図1に示すメンテナンス管理データベースのデータ構造を示す図である。
【
図5】
図1に示す使用料金データベースのデータ構造を示す図である。
【
図6】実施形態の配車システムに用いられる車両の構成を示す系統図である。
【
図8】実施形態の配車システムの運用管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態の配車システムの運用管理サーバの他の動作を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態の配車システムの運用管理サーバの他の動作を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態の配車システムに用いられる車両の走行制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら実施形態の配車システム100について説明する。実施形態の配車システム100は、所定の運用エリア80の中で、自動運転可能な複数の車両10の配車、運用を行うシステムである。複数の車両10は、運用管理センタ50に設置された運用管理サーバ60からの指令に基づいて自動運転により運用エリア80の中を走行して利用者70を輸送する自動運転タクシーである。運用管理サーバ60と車両10とはそれぞれ無線通信回線45によって接続されている。
【0016】
実施形態の配車システム100では、8台の車両10を運用することとして説明する。8台の車両10をそれぞれ区別する場合には、各車両を車両10a~10hと記載し、8台の車両を区別しない場合には、車両10と記載する。
図1では、3台の車両10f~10hが運用エリア80の中の車両基地82の駐車スペース83に駐車しており、他の5台の車両10a~10eが運用エリア80の中の道路81を走行している状態を示している。また、
図1に示すように、車両基地82には、車両10の整備点検等のメンテナンスを行う建屋84が設けられている。尚、
図1では、車両10aと運用管理サーバ60との接続状態を示し、他の車両10b~車両10hと運用管理サーバ60の接続状態の図示は省略する。
【0017】
運用管理サーバ60は、内部に情報処理を行うCPU66と、動作プログラム、動作データ、データベース等が格納されるメモリ67とで構成されるコンピュータであり、車両10の配車を行う。運用管理サーバ60には、地図情報データベース61、稼働状態データベース62、利用者データベース63、メンテナンス管理データベース64、使用料金データベース65が接続されている。地図情報データベース61は、地図情報を格納しているデータベースである。運用管理サーバ60は、センタ側通信装置68を介して無線通信回線45と接続されている。
【0018】
図2に示すように、稼働状態データベース62は、運用管理サーバ60が運用管理を行う複数の車両10の車両番号と、現在の稼働状態と、利用者70の氏名と、利用者70が乗車した乗車時刻と、乗車地、目的地、到着予定時刻を関連付けて格納したデータベースである。ここで、稼働状態には、乗車中、迎車中、予約実行待、回送中、プール待機中、配車待等の各車両10の稼働状態が格納される。乗車中は、利用者70が車両10に乗車して目的地に向かって移動中であることを示す。迎車中は、利用者70の依頼を受けて乗車地に向けて移動中であることを示す。予約実行待は利用者70の予約を受けて配車され、利用開始時間まで待機している状態を示す。回送中は、利用者70の利用が終了し、車両基地82まで戻る途中であることを示す。プール待機中は、充電が終了し、稼働可能状態で車両基地82の中で待機中であることを示す。配車待は、1つの業務が終了し、次の配車を待っている状態を示す。尚、乗車時刻は、利用者70が現在よりも前に乗車している場合は乗車した時刻、現在より後に乗車予定の場合には、乗車予定時刻が格納される。同様に乗車地には実際に乗車した地点、或いは、乗車予定地点が格納される。乗車予定のない場合には、その項目はブランクとなっている。
【0019】
図3に示すように、利用者データベース63は、車両10を利用する利用者70の利用者ID、氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレスを関連付けて格納したデータベースである。
【0020】
図4に示すように、メンテナンス管理データベース64は、車両10の車両番号と、前回メンテナンス実施日と、次回メンテナンス実施日と、メンテナンス予定車両を示すマークとが関連付けて格納されている。メンテナンス予定車両とは、所定期間の間にメンテナンスが予定されている車両10である。メンテナンス予定車両を示すマークは、現在日付から次回メンテナンス実施日までの日数が、例えば、30日等の所定期間よりも短くなった際に運用管理サーバ60が入力する。マークは、例えば、
図4に示すような〇のマークでもよいし、「M」等の文字でもよいし、「1」等の数字を入力するようにしてもよい。尚、所定期間の間にメンテナンスが予定されていない通常車両の場合には、メンテナンス予定車両を示すマークは入力されず、ブランクとなっている。
【0021】
図5に示すように使用料金データベース65は、車両番号と、使用開始日と、使用期間と、メンテナンス車両を示すマークと、使用料金係数とを関連付けて格納したものである。メンテナンス車両を示すマークは、運用管理サーバ60がメンテナンス管理データベース64のメンテナンス車両を示すマークを入力する際に、一緒に入力してもよい。使用料金係数は、通常車両の車両10を自動運転タクシーに用いた場合の料金に掛けて、使用料金を低減する係数である。
図5に示す例では、使用期間が0~36ヵ月までは、通常の車両10を自動運転タクシーに用いた場合の料金は基本料金で低減が無く、使用料金係数は、1.0である。36ヵ月を越えると、12ヵ月毎に使用料金係数は、0.1ずつ低減されていく。また、メンテナンス予定車両の場合は、使用料金係数は、更に、0.1だけ低減される。
【0022】
例えば、
図5に示すように、車両番号が1001、1003の車両10の場合、使用期間が36ヵ月以下の通常の車両10なので、使用料金係数は、1.0である。車両番号が1002の車両10の場合は、使用期間が36ヵ月以下であるが、メンテナンス予定車両のため、使用料金係数は、1.0から0.1だけ低減した0.9となっている。また、車両番号1004、1006の車両10は、使用期間がそれぞれ48ヵ月、72ヵ月の通常の車両10であるから、使用料金係数は、それぞれ0.9、0.7となっている。車両番号が1005の車両10の場合には、使用期間が60ヵ月でメンテナンス予定車両であるから通常の車両10の使用料金係数0.8よりも0.1低い0.7となっている。
【0023】
図6、
図7に示すように、車両10は、自動運転可能な電動車両であり、駆動用のモータ11と、モータ11に駆動電力を供給するバッテリ12と、車輪13の舵角を調整する操舵装置14と、車両の走行制御を行う走行制御部21と、車両10の各部の故障診断を行う故障診断部24と、ナビゲーション装置27と、車両側通信装置40と、利用者70が目的地93を入力するタッチパネル30とを備えている。
【0024】
モータ11と、バッテリ12と、操舵装置14とは走行制御部21に接続されている。また、バッテリ12とモータ11との間には、バッテリ12からモータ11に供給される電力の電圧と電流を検出する電圧センサ15と電流センサ16とが取付けられている。また、バッテリ12にはバッテリ12の温度を検出する温度センサ17が取付けられている。また、モータ11と車輪13との間には、車速を検出する車速センサ18と、車輪13の舵角を検出する舵角センサ19とが取付けられている。電圧センサ15と、電流センサ16と、温度センサ17と、車速センサ18と、舵角センサ19とは走行制御部21に接続されている。
【0025】
車両10には、車両10の加速度、角速度を検出する加速度センサ28と角速度センサ29が取付けられている。加速度センサ28と角速度センサ29とはナビゲーション装置27に接続されている。ナビゲーション装置27は、車両側通信装置40を介してGPS衛星90から取得したGPS信号と、加速度センサ28、角速度センサ29から取得した車両10の加速度情報と角速度情報とに基づいて、車両10の現在位置を特定し、車両10の位置情報を走行制御部21に出力する。また、ナビゲーション装置27は、無線通信回線45を介して車両10の現在の位置情報を運用管理センタ50に出力する。
【0026】
走行制御部21は、内部に情報処理を行うCPU22と、CPU22が実行するソフトウェアやプログラムやデータを格納するメモリ23と、を備えるコンピュータである。走行制御部21は、運用管理センタ50から入力された運行指令、又は、タッチパネル30から入力された目的地93と、ナビゲーション装置27から入力された現在の位置情報と、各種のセンサ15~19からの入力データとに基づいて、メモリ23に格納されたソフトウェアをCPU22が実行することにより、モータ11、バッテリ12、操舵装置14を制御し、自動運転で車両10を走行させる。また、走行制御部21は、電圧センサ15と電流センサ16とで検出したバッテリ12からモータ11に出力される電力の電圧、電流と、温度センサ17で検出したバッテリ12の温度に基づいて、バッテリ12の残存容量を算出して車両状態情報として出力する。
【0027】
故障診断部24は、内部に情報処理を行うCPU(図示せず)と、CPUが実行するソフトウェアやプログラムやデータを格納するメモリ(図示せず)とを備えるコンピュータである。故障診断部24は、走行制御部21に接続されており、走行制御部21を介して各センサ15~19の検出した各種のデータを取得し、車両10に故障が発生しているかどうかの自己診断を行う。自己診断の結果、車両10に故障が発生していると判断した場合には、故障診断情報を出力する。
【0028】
以上の説明では、走行制御部21と故障診断部24とは別々のコンピュータとして説明したが、これに代えて、共通のCPUとメモリとを備える1つのコンピュータの2つの制御ブロックとして構成してもよい。
【0029】
次に
図8を参照しながら配車システム100の動作について説明する。運用エリア80にいる利用者70が、利用者70の携帯端末71を運用管理サーバ60に接続して利用者70のID、メールアドレス、乗車地92、目的地93(
図1参照)、配車時刻等を入力し、車両10の配車を依頼する。運用管理サーバ60は、
図6のステップS101に示すように、利用者70の携帯端末71から車両10の配車依頼を受信したら、利用者データベース63を参照して登録した利用者70であることを確認する。確認できたら、運用管理サーバ60は、
図6のステップS102に進んで、乗車地92、目的地93が車両基地82の近傍にあり、車両10の運行領域が車両基地82の近傍となるかどうかを判断する。ここで、近傍とは、例えば、車両10が故障した場合でも、自力で車両基地82まで帰還可能な範囲、或いは、車両10が故障して走行不能となった場合に、所定の時間、例えば、30分~60分以内に車両基地82の技術者が車両10の停車地まで到達しうるような範囲であればよい。具体的には、車両基地82の周囲10km~20kmの範囲としてもよい。
【0030】
運用管理サーバ60は、
図8のステップS102でYESと判断した場合には、
図8のステップS103に進んで、稼働状態データベース62を参照して乗車地92に近い場所にいる車両10を配車する。この場合、車両10は、メンテナンス予定車両であっても良いし、通常車両であってもよい。
【0031】
一方、運用管理サーバ60は、
図8のステップS102でNOと判断した場合には、
図8のステップS104に進んで、メンテナンス管理データベース64を参照して配車する車両候補の中からメンテナンス予定車両を外して通常車両の車両番号を抽出する。具体的には、メンテナンス管理データベース64のメンテナンス予定車両の欄がブランクとなっている車両10を通常車両として抽出する。そして、運用管理サーバ60は、稼働状態データベース62を参照して抽出した通常車両の中で乗車地92の近傍にいる車両10を配車する。
【0032】
図8のステップS103又はステップS104を終了したら運用管理サーバ60は、
図8のステップS105に進んで、稼働状態データベース62の中の配車された車両10の車両番号の行に利用者70の配車依頼内容を登録する。そして、
図8のステップS106に進んで、依頼内容に応じて乗車地92から目的地93までの走行指令を運行指令として車両10aに送信する。運行指令には、利用者氏名、乗車地92、乗車予定時刻、目的地93(
図1参照)が含まれる。
【0033】
図1に示すように、車両10は、乗車地92に到着して利用者70が車両10aに乗車したら、運用管理サーバ60に稼働状態が乗車中になった信号と、目的地93への到着予定時刻を送信する。運用管理サーバ60は、受信した稼働状態を稼働状態データベース62に登録する。そして、車両10aは、走行経路94に沿って走行して目的地93に到着し、利用者70が降車したら、利用者70の予約した業務が完了し、次の配車待ちの状態となった信号を運用管理サーバ60に送信する。運用管理サーバ60は、受信した稼働状態を稼働状態データベース62に格納する。
【0034】
以上の説明では、利用者70が配車依頼の際に目的地93を入力することとして説明したが、利用者70が車両10aに乗車した後、タッチパネル30から目的地93を入力するようにしてもよい。
【0035】
以上説明したように、実施形態の配車システム100では、メンテナンス予定車両の運行領域が車両基地82に近い領域となるように配車を行うので、メンテナンス予定車両が故障した場合でも、故障したメンテナンス予定車両を容易に車両基地82に帰還させることができる。また、車両基地82のスタッフを故障したメンテナンス予定車両まで容易に派遣することができ、メンテナンス予定車両の故障に対して迅速に対応することができる。
【0036】
次に、
図9を参照しながら運用管理サーバ60の他の動作について説明する。先に
図8を参照して説明した動作と同様の動作には同様の符号を付して簡単に説明する。
図9のステップS101に示す様に、運用管理サーバ60は、利用者70からの配車依頼を受信したら、
図9に示すステップS102に進んで、乗車地92、目的地93が車両基地82の近傍かどうかを判断する。
【0037】
図9のステップS102でYESと判断した場合には、乗車地92、目的地93は車両基地82の近傍で、メンテナンス予定車両、通常車両のいずれの車両10も配車可能なので、運用管理サーバ60は、
図9のステップS201に進んで、稼働状態データベース62と使用料金データベース65とを参照して乗車地92に近い場所にいるメンテナンス車両、通常車両の中から複数種類の配車候補を抽出する。複数種類とは、例えば、メンテナンス予定車両と通常車両の車両種類、使用期間の長短等である。
【0038】
例えば、
図2に示す配車待状態の車両番号1007の通常車両である車両10と、車両番号1008のメンテナンス予定車両である車両10とが乗車地92の近くに位置していた場合、運用管理サーバ60は、この二種類の車両10を配車候補として抽出する。
【0039】
そして、運用管理サーバ60は、
図9のステップS203に進んで使用料金データベース65を参照して使用料金を算出する。車両番号1007の車両10の使用料金係数は、基本の1.0であるが、メンテナンス予定車両である車両番号1008の車両10の使用料金係数は0.9となっているので、車両番号1008の車両10の使用料金は車両番号1007の使用料金よりも10%安い料金となる。そして、運用管理サーバ60は、車両番号と車両10が通常車両かメンテナンス予定車両かの種類区別と各使用料金とを利用者70にメールなどで送信する。そして、運用管理サーバ60は、
図9のステップS204に進んで利用者70から乗車車両の選択結果を受信するまで待機する。そして、利用者70から乗車車両の選択を受信したら
図9のステップS205に進み、利用者70の選択した乗車車両を配車する。そして、運用管理サーバ60は、
図9のステップS206に進んで、稼働状態データベース62の中の配車された車両10の車両番号の行に利用者70の配車依頼内容を登録する。そして、
図9のステップS207に進んで、依頼内容に応じて乗車地92から目的地93までの走行指令を運行指令として車両10aに送信する。
【0040】
一方、運用管理サーバ60は、
図9のステップS102でNOと判断した場合には、メンテナンス予定車両を配車できないので、
図9のステップS202に進んで、稼働状態データベース62と使用料金データベース65とを参照して乗車地92に近い位置にいる通常車両の中から複数種類の配車候補を抽出する。運用管理サーバ60は、例えば、使用期間が36ヵ月以下の通常車両である車両番号1007の車両10と、使用期間が36ヵ月を超える通常車両である車両番号1010の車両10の二種類の車両10を配車候補として抽出する。
【0041】
そして、先に説明したのと同様、
図9のステップS203で各車両10の使用料金を算出し、車両番号と車両10の使用期間と各使用料金とを利用者70にメールなどで送信する。そして、
図9のステップS204、ステップS205に示すように利用者70の選択した乗車車両を配車する。
【0042】
以上説明したように、実施形態の配車システム100では、メンテナンス予定車両である車両10、或いは使用期間の長い車両10の使用料金を安くするので料金の差別化を図ることができる。
【0043】
次に、
図10、
図11を参照しながら、メンテナンス予定車両である車両10に故障が発生した場合の運用管理サーバ60と車両10の走行制御部21との動作について説明する。ここで、故障は、車両基地82までの走行が可能な程度の故障であるとして説明する。
【0044】
車両10の走行制御部21は、利用者70を乗車させて目的地93に向けて車両10aを自動運転走行させている。車両10aの故障診断部24は走行中も車両10aの故障診断を継続している。故障診断部24は、故障発生と判断したら走行制御部21と運用管理サーバ60に故障情報を発信する。故障情報には、故障の発生した箇所、故障の程度、例えば、走行継続可能、あるいは、走行継続不可、速度制限等の走行制限の項目等の情報が含まれる。
【0045】
図10のステップS301に示す様に運用管理サーバ60は、車両10aの故障診断部24から故障情報を受信するまで待機する。そして、故障情報を受信したら、
図10のステップS302に進んで受信した故障情報を分析してすぐに車両10aを車両基地82に帰還させる必要があるかどうか判断する。運用管理サーバ60は、
図10のステップS302でYESと判断した場合には、
図10のステップS303に進み、車両10aのナビゲーション装置27から受信した位置情報と、稼働状態データベース62、メンテナンス管理データベース64を参照して車両10aを停止させて他の車両10bへの乗り換えを行う乗り換え場所の設定と、乗り換え用の車両10bの配車を行う。そして、運用管理サーバ60は、
図10のステップS304で車両10aに乗り換え場所まで走行して停止し、利用者70を降車させる運行指令を送信する。
【0046】
その後、運用管理サーバ60は、
図10のステップS305で車両10aの走行制御部21から利用者降車信号を受信するまで待機し、利用者降車信号を受信したら、
図10のステップS306に進んで、車両10aに車両基地82に帰還する運行指令を送信する。
【0047】
尚、運用管理サーバ60は、
図10のステップS302でNOと判断した場合には、乗り換え用の車両10bの配車や乗り換え場に停止する運行指定の送信は行わない。
【0048】
一方、
図11のステップS401に示す様に、車両10aの走行制御部21は、故障診断部24から故障情報が入力されるまで待機し、故障情報が入力されたら、
図11のステップS402に進んで運用管理サーバ60から乗り換え場所まで走行して停止し、利用者70を降車させる運行指令を受信するまで待機する。そして、この運行指令を受信したら、走行制御部21は、タッチパネル30のディスプレイ或いは車内に取付けたサイネージ或いはスピーカーに車両10aに故障が発生し、車両10aの乗り換えが必要なことを表示或いはアナウンスし、
図11のステップS403に示す様に、乗り換え場所まで走行して停止し利用者70を降車させる。
【0049】
そして、走行制御部21は、
図11のステップS404で、例えば、着座センサから信号や車室内カメラの映像によって利用者70の降車を確認し、利用者70が降車したら
図11のステップS404でYESと判断して
図11のステップS405に進んで運用管理サーバ60に利用者降車信号を送信する。そして、
図11のステップS406に進んで運用管理サーバ60から車両基地82に帰還する運行指令があるまで待機する。そして、この運行指令を受信したら車両基地82に帰還する。
【0050】
以上の説明では、故障は、車両基地82までの走行が可能な程度の故障であるとして説明したが、車両基地82までの走行が不可能な場合には、運用管理サーバ60は車両基地82のスタッフを故障した車両10の停止位置まで派遣する。
【0051】
以上説明したように、配車システム100は、メンテナンス予定車両が車両基地82に近い領域でのみ運行するように配車を行い、メンテナンス予定車両が故障した場合でも、故障したメンテナンス予定車両を容易に車両基地82に帰還させることができる。また、車両基地82のスタッフを故障したメンテナンス予定車両まで容易に派遣することができ、メンテナンス予定車両の故障に対して迅速に対応することができる。
【0052】
以上の説明では、車両10は、自動運転タクシーに用いられるとして説明したが、これに限らず、カーシェア用車両であってもよい。
【0053】
また、以上の説明では、運用管理サーバ60は、利用者70からの配車依頼に基づいて車両10の配車を行うこととして説明したが、これに限らず、利用者70の配車予約に基づいて車両10の配車を行ってもよい。また、車両10を所定のルートで運行している場合には、運行計画に基づいて車両10の配車を行うようにしてもよい。
【0054】
また、以上の説明では、使用料金データベース65は、車両番号と、使用開始日と、使用期間と、メンテナンス車両を示すマークと、使用料金係数とを関連付けて格納したものであるとして説明したが、これに限らず、使用料金係数に代えて、例えば、時間当たりの使用料、走行距離当たりの使用料を関連付けたデータベースとしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10,10a~10h 車両、11 モータ、12 バッテリ、13 車輪、14 操舵装置、15 電圧センサ、16 電流センサ、17 温度センサ、18 車速センサ、19 舵角センサ、21 走行制御部、22,66 CPU、23,67 メモリ、24 故障診断部、27 ナビゲーション装置、28 加速度センサ、29 角速度センサ、30 タッチパネル、40 車両側通信装置、45 無線通信回線、50 運用管理センタ、60 運用管理サーバ、61 地図情報データベース、62 稼働状態データベース、63 利用者データベース、64 メンテナンス管理データベース、65 使用料金データベース、68 センタ側通信装置、70 利用者、71 携帯端末、80 運用エリア、81 道路、82 車両基地、83 駐車スペース、84 建屋、90 GPS衛星、92 乗車地、93 目的地、94 走行経路、100 配車システム。