(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184620
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】コンタクトチップ交換装置
(51)【国際特許分類】
B23K 9/26 20060101AFI20221206BHJP
B23K 9/12 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B23K9/26 Z
B23K9/12 331J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092571
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】508107618
【氏名又は名称】株式会社チップマン
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】フィン ヒュー ティン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】溶接トーチのトーチ本体に対してコンタクトチップを着脱可能であるとともに、装置全体をコンパクトな形状にできるコンタクトチップ交換装置を提供する。
【解決手段】チップケース3は、複数のコンタクトチップ10を中心軸が上下方向に延び、且つ、先端が下方に向く姿勢で水平方向に直線状に収容する。往復駆動機構5は、チップケース3をコンタクトチップ10の並設方向に往復移動させてチップ供給空間S2に進入又は退避させる。チップ取出機構6は、チップ供給空間S2に進入した状態のチップケース3からコンタクトチップ10を上方に取り出す。把持回転機構4は、チップ取出機構6により取り出されたコンタクトチップ10を把持して回転させることにより、トーチ本体11にコンタクトチップ10を螺合連結するか、トーチ本体11からコンタクトチップ10を取り外す。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーチ本体に螺合連結されたコンタクトチップを交換するコンタクトチップ交換装置であって、
中心軸が上下方向に延び、且つ、先端が下方に向く前記コンタクトチップを水平方向に直線状に複数並設させた状態で収容可能な収容ケースと、
該収容ケースを前記コンタクトチップの並設方向に往復移動させてチップ供給空間に進入又は退避させる往復駆動機構と、
前記チップ供給空間に進入した状態の前記収容ケースから前記コンタクトチップを上方に取り出すチップ取出機構と、
前記チップ供給空間の上方に配設され、前記チップ取出機構により取り出された前記コンタクトチップを側方から把持解放可能に構成されるとともに、把持した状態で前記中心軸を中心に前記コンタクトチップを回転させて前記トーチ本体に螺合連結するか、或いは、前記トーチ本体から取り外すよう構成された把持回転機構とを備えていることを特徴とするコンタクトチップ交換装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンタクトチップ交換装置において、
前記往復駆動機構は、水平方向に往復移動するスライド部材を備え、
前記収容ケースは、前記スライド部材に着脱可能に構成されていることを特徴とするコンタクトチップ交換装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコンタクトチップ交換装置において、
前記往復駆動機構は、前記スライド部材のスライド方向に延びるピストンロッドが前記スライド部材に接続されたシリンダを備え、前記ピストンロッドのスライド動作により、前記収容ケースを往復移動させていることを特徴とするコンタクトチップ交換装置。
【請求項4】
請求項3に記載のコンタクトチップ交換装置において、
前記シリンダは、前記把持回転機構の側方で、且つ、前記スライド部材の上方に位置していることを特徴とするコンタクトチップ交換装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のコンタクトチップ交換装置において、
前記チップ取出機構は、棒中心線が上下に延び、且つ、上方に向かって伸縮する棒部材を備え、
前記収容ケース上端には、前記コンタクトチップを取出可能な上側開口部が形成される一方、前記収容ケース下端の前記上側開口部に対応する位置には、前記収容ケース内部に連通するとともに、前記収容ケースが前記チップ供給空間に進入した状態で伸長させた前記棒部材が挿通可能な下側開口部が形成されていることを特徴とするコンタクトチップ交換装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のコンタクトチップ交換装置において、
前記チップ取出機構は、前記往復駆動機構に接続され、当該往復駆動機構の往復動作に連動して同方向に往復移動するよう構成されていることを特徴とするコンタクトチップ交換装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のコンタクトチップ交換装置において、
上記把持回転機構は、上下方向に延びる回転軸心が中央に設定された把持作業空間を有し、前記回転軸心周りに複数の嵌合部を等間隔に有する第1回転体と、
当該第1回転体に対して前記回転軸心を中心に互いに相対回転可能に構成された第2回転体と、
前記各嵌合部にそれぞれ対応する位置に配設され、且つ、前記回転軸心と同方向に延びる回動軸周りに回動可能に前記第2回転体に軸支され、先端に爪部が前記回転軸心を中心とした周方向に離間して一対形成される一方、基部が対応する前記嵌合部に遊嵌する把持体とを備え、
前記第1及び第2回転体が基準位置から一方側に相対的に回転すると、前記嵌合部の前記基部への一方側への押圧動作で前記把持体が一方側に回動して前記一方の爪部が前記把持作業空間に前進して前記コンタクトチップを把持する一方、前記第1及び第2回転体が基準位置から他方側に相対的に回転すると、前記嵌合部の前記基部への他方側への押圧動作で前記把持体が他方側に回動して前記他方の爪部が前記把持作業空間に前進して前記コンタクトチップを把持するよう構成されていることを特徴とするコンタクトチップ交換装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のコンタクトチップ交換装置において、
前記収容ケースの内部には、並設状態の複数の前記コンタクトチップを収容するチップ収容部と、該チップ収容部に収容された並設状態の複数の前記コンタクトチップを前記収容ケースの一端側に押圧する押圧機構とが設けられ、
該押圧機構は、前記チップ収容部の内面に形成された水平方向に延びるガイド溝と、該ガイド溝に案内される押圧部材と、該押圧部材を付勢する付勢部材とを備えていることを特徴とするコンタクトチップ交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク溶接に用いる溶接トーチのトーチ本体の先端部に螺合連結されたコンタクトチップを自動で交換するコンタクトチップ交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1には、アーク溶接用トーチのトーチ本体に螺合連結されたコンタクトチップを自動で交換するコンタクトチップ交換装置が開示されている。該コンタクトチップ交換装置は、平面視で略鍵穴形状をなす装置本体を備え、該装置本体の一側領域には、コンタクトチップをトーチ本体に取り付けるコンタクトチップ取付機構が設けられる一方、装置本体の他側領域には、コンタクトチップをトーチ本体から取り外すコンタクトチップ取外機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のコンタクトチップ交換装置は、コンタクトチップ取付機構とコンタクトチップ取外機構とが別の機構であり、コンタクトチップの取付位置と取外位置とが装置の水平方向において異なる位置に設けられているので、装置が大型化してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、溶接トーチのトーチ本体に対してコンタクトチップを着脱可能であるとともに、装置全体をコンパクトな形状にできるコンタクトチップ交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、コンタクトチップの着脱作業を一つの領域で可能となるよう工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、トーチ本体に螺合連結されたコンタクトチップを交換するコンタクトチップ交換装置において、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、中心軸が上下方向に延び、且つ、先端が下方に向く前記コンタクトチップを水平方向に直線状に複数並設させた状態で収容可能な収容ケースと、該収容ケースを前記コンタクトチップの並設方向に往復移動させてチップ供給空間に進入又は退避させる往復駆動機構と、前記チップ供給空間に進入した状態の前記収容ケースから前記コンタクトチップを上方に取り出すチップ取出機構と、前記チップ供給空間の上方に配設され、前記チップ取出機構により取り出された前記コンタクトチップを側方から把持解放可能に構成されるとともに、把持した状態で前記中心軸を中心に前記コンタクトチップを回転させて前記トーチ本体に螺合連結するか、或いは、前記トーチ本体から取り外すよう構成された把持回転機構とを備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記往復駆動機構は、水平方向に往復移動するスライド部材を備え、前記収容ケースは、前記スライド部材に着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、前記往復駆動機構は、前記スライド部材のスライド方向に延びるピストンロッドが前記スライド部材に接続されたシリンダを備え、前記ピストンロッドのスライド動作により、前記収容ケースを往復移動させていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第3の発明において、前記シリンダは、前記把持回転機構の側方で、且つ、前記スライド部材の上方に位置していることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、前記チップ取出機構は、棒中心線が上下に延び、且つ、上方に向かって伸縮する棒部材を備え、前記収容ケース上端には、前記コンタクトチップを取出可能な上側開口部が形成される一方、前記収容ケース下端の前記上側開口部に対応する位置には、前記収容ケース内部に連通するとともに、前記収容ケースが前記チップ供給空間に進入した状態で伸長させた前記棒部材が挿通可能な下側開口部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、前記チップ取出機構は、前記往復駆動機構に接続され、当該往復駆動機構の往復動作に連動して同方向に往復移動するよう構成されていることを特徴とする。
【0014】
第7の発明では、第1から第6のいずれか1つの発明において、上記把持回転機構は、上下方向に延びる回転軸心が中央に設定された把持作業空間を有し、前記回転軸心周りに複数の嵌合部を等間隔に有する第1回転体と、当該第1回転体に対して前記回転軸心を中心に互いに相対回転可能に構成された第2回転体と、前記各嵌合部にそれぞれ対応する位置に配設され、且つ、前記回転軸心と同方向に延びる回動軸周りに回動可能に前記第2回転体に軸支され、先端に爪部が前記回転軸心を中心とした周方向に離間して一対形成される一方、基部が対応する前記嵌合部に遊嵌する把持体とを備え、前記第1及び第2回転体が基準位置から一方側に相対的に回転すると、前記嵌合部の前記基部への一方側への押圧動作で前記把持体が一方側に回動して前記一方の爪部が前記把持作業空間に前進して前記コンタクトチップを把持する一方、前記第1及び第2回転体が基準位置から他方側に相対的に回転すると、前記嵌合部の前記基部への他方側への押圧動作で前記把持体が他方側に回動して前記他方の爪部が前記把持作業空間に前進して前記コンタクトチップを把持するよう構成されていることを特徴とする。
【0015】
第8の発明では、第1から第7のいずれか1つの発明において、前記収容ケースの内部には、並設状態の複数の前記コンタクトチップを収容するチップ収容部と、該チップ収容部に収容された並設状態の複数の前記コンタクトチップを前記収容ケースの一端側に押圧する押圧機構とが設けられ、該押圧機構は、前記チップ収容部の内面に形成された水平方向に延びるガイド溝と、該ガイド溝に案内される押圧部材と、該押圧部材を付勢する付勢部材とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明では、トーチ本体に螺合連結されたコンタクトチップを把持回転機構に接近させて当該把持回転機構により把持し、且つ、コンタクトチップの中心線を中心として一方側に回転させると、トーチ本体からコンタクトチップを取り外すことができる。トーチ本体から取り外したコンタクトチップは、収容ケースがチップ供給空間から退避した状態で把持回転機構における把持状態を解放すると、チップ供給空間を介して下方に落下して廃棄される。一方、往復駆動機構によりチップ供給空間に進入した収容ケースに収容されているコンタクトチップは、チップ取出機構により収容ケースから上方に取り出されるので、把持回転機構により側方から把持し、且つ、当該把持回転機構にトーチ本体を接近させた状態でコンタクトチップの中心線を中心として他方側に回転させると、トーチ本体にコンタクトチップを取り付けることができる。このように、コンタクトチップの取付位置と取外位置とが装置の同じ位置でできるようになるので、装置全体をコンパクトな形状にすることができる。
【0017】
第2の発明では、コンタクトチップの交換作業を繰り返して収容ケースに収容した全てのコンタクトチップが無くなる際、予め用意した予備の収容ケースに簡単に取り換えることができるようになるので、装置に対してコンタクトチップを充填する作業が簡単になり、装置が停止する時間を少なくして効率良く装置を稼働させることができる。
【0018】
第3の発明では、簡単な構造で収容ケースを往復移動させることができるようになり、装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0019】
第4の発明では、往復移動させる駆動源であるシリンダをデッドスペースに配置するようになるので、装置全体をさらにコンパクトにすることができる。
【0020】
第5の発明では、往復駆動機構により収容ケースをチップ供給空間に進入させた状態でチップ取出機構の棒部材を伸長させると、当該棒部材が収容ケースの下側開口部を通過してコンタクトチップを上方に押圧するので、棒部材により押圧されたコンタクトチップが収容ケースの上側開口部から飛び出して把持回転機構に到達するようになる。このように、収容ケースに収容された各コンタクトチップを簡単な機構で順次取り出していくことができる。
【0021】
第6の発明では、把持回転機構からコンタクトチップを落下させて廃棄する際にチップ取出機構を邪魔にならない位置まで移動させることができる。また、収容ケースを往復移動させる往復駆動機構を利用してチップ取出機構を移動させることができるようになり、チップ取出機構を移動させるための専用の駆動源を追加で設ける必要がなくなるので、低コストな装置にすることができる。
【0022】
第7の発明では、第1及び第2回転体が基準位置の状態においてコンタクトチップを把持作業空間に配置した後、第1及び第2回転体を一方側に相対回転させると、各把持体の一方の爪部が把持作業空間に前進してコンタクトチップを把持するとともにその中心線周りの一方側に第1及び第2回転体が回転一体になる一方、第1及び第2回転体が基準位置においてコンタクトチップを把持作業空間に配置した後、第1及び第2回転体を他方側に相対回転させると、各把持体の他方の爪部が把持作業空間に前進してコンタクトチップを把持するとともにその中心線周りの他方側に第1及び第2回転体が回転一体になる。このように、第1及び第2回転体をどちらの方向に相対回転させても、コンタクトチップを把持可能であるとともに、コンタクトチップを把持した状態でその中心線周りに回転させることができるので、把持回転機構の一箇所だけでトーチ本体に対するコンタクトチップの取付作業と取外作業とを行うことができる。
【0023】
第8の発明では、収容ケースからコンタクトチップを1つ取り出した際、押圧部材が付勢部材の付勢力によりガイド溝に案内されながら移動して収容ケース内の各コンタクトチップをその並設方向に押圧するようになる。したがって、収容ケースからコンタクトチップを1つ取り出した後、収容ケース内の各コンタクトチップがすぐに隣同士で隙間無く並ぶようになるので、次のコンタクトチップを供給可能な準備状態に効率良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係るコンタクトチップ交換装置の斜視図である。
【
図2】チップケースを装置本体から取り外した状態を示すコンタクトチップ交換装置の一部断面図である。
【
図6】コンタクトチップをトーチ本体から取り外す直前の状態を示す
図4相当図である。
【
図7】
図6のVII-VII線における断面図である。
【
図8】
図7の後、コンタクトチップをトーチ本体から取り外した直後の状態を示す図である。
【
図9】
図8の後、コンタクトチップをトーチ本体に取り付ける直前の状態を示す図である。
【
図10】
図9の後、コンタクトチップをトーチ本体に取り付けている途中の状態を示す図である。
【
図12】
図10の後、コンタクトチップをトーチ本体に取り付けた直後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るコンタクトチップ交換装置1を示す。該コンタクトチップ交換装置1は、アーク溶接用の溶接トーチ(図示せず)に取り付けられた使用後のコンタクトチップ10を新しいものに自動で交換するものであり、外観がボックス形状なすハウジング20で囲われた装置本体2と、該装置本体2に着脱可能なチップケース3(収容ケース)とを備えている。
【0027】
該チップケース3は、
図2及び
図3に示すように、厚みを有する板状をなしており、長手方向が水平方向に延び、且つ、板面が上下方向に延びる姿勢で使用されるようになっている。
【0028】
チップケース3の内部には、その長手方向一端から中途部に亘って延びるチップ収容部S1が形成され、該チップ収容部S1には、複数のコンタクトチップ10を中心軸が上下方向に延び、且つ、先端が下方に向く姿勢で水平方向に直線状に並設させた状態で収容可能になっている。
【0029】
チップケース3上端面の長手方向一端には、コンタクトチップ10を雄螺子部10aから取出可能な上側開口部3aが形成される一方、チップケース3下端面の上側開口部3aに対応する位置には、チップ収容部S1に連通する下側開口部3bが形成されている。
【0030】
また、チップケース3のチップ収容部S1に対応する内側面の上側領域には、水平方向に直線状に延びる断面凹状をなすガイド溝3cが形成され、該ガイド溝3cは、中心線が水平方向に向く略円柱形状の押圧部材3dを案内可能になっている。
【0031】
チップケース3の長手方向他端側の上側領域には、水平方向に延び、且つ、押圧部材3dが嵌挿可能なバネ収容部3eが形成され、該バネ収容部3eは、チップ収容部S1におけるガイド溝3cに対応する位置に開口している。
【0032】
バネ収容部3eには、コイルバネ3f(付勢部材)が収容され、該コイルバネ3fは押圧部材3dをチップケース3の長手方向一端側に付勢している。
【0033】
そして、ガイド溝3c、押圧部材3d及びコイルバネ3fで本発明の押圧機構12を構成しており、該押圧機構12は、チップ収容部S1に収容された状態の1つ又は複数のコンタクトチップ10をチップケース3の一端側に押圧するようになっている。
【0034】
チップケース3の長手方向他端側の下側領域には、水平方向に延び、且つ、チップケース3の長手方向他端において水平方向に開口する嵌合凹部3gが形成され、該嵌合凹部3gの奥部底面には、チップケース3の外側に連通する開口部3hが形成されている。
【0035】
嵌合凹部3gには、棒中心線が水平方向に向く細棒状をなすロック部材3jが嵌挿されている。
【0036】
ロック部材3jの先端側には、外側方に突出する突起部3kが設けられる一方、ロック部材3jの基端側部分は、ロック部材3jを操作可能に嵌合凹部3gから飛び出している。
【0037】
そして、ロック部材3jを一方側に回転させると、突起部3kが開口部3hを介してチップケース3の下面から下方に飛び出すようになる一方、ロック部材3jを他方側に回転させると、突起部3kが開口部3hを介してチップケース3の内部に入り込むようになっている。
【0038】
ハウジング20上面の幅方向一側領域には、ハウジング20の内部に連通する円形状をなす第1貫通孔20aが当該ハウジング20の長手方向一側に形成される一方、ハウジング20上面の幅方向他側領域には、ハウジング20の内部に連通する円形状をなす第2貫通孔20b及び第3貫通孔20cが当該ハウジング20の長手方向に所定の間隔をあけてそれぞれ形成されている。
【0039】
また、ハウジング20の長手方向他側の側面上部には、ハウジング20の内部に連通するスリット形状なすケース取付取出部20dが形成され、該ケース取付取出部20dは、チップケース3の長手方向と直交する断面形状に対応するスリット形状をなしている。
【0040】
ハウジング20の内部には、コンタクトチップ10の取付動作及び取外動作を行うコンタクトチップ交換ユニット2Aと、溶接トーチのトーチ本体11にノズル(図示せず)を着脱するノズル着脱ユニット2Bと、溶接トーチの清掃を行うトーチ清掃ユニット2Cとが設けられ、コンタクトチップ交換ユニット2Aは第1貫通孔20a及びケース取付取出部20dに、ノズル着脱ユニット2Bは第2貫通孔20bに、そして、トーチ清掃ユニット2Cは第3貫通孔20cに対応する位置になっている。
【0041】
コンタクトチップ交換ユニット2Aは、
図4及び
図5に示すように、コンタクトチップ10を把持して回転させる把持回転機構4と、チップケース3を往復移動させる往復駆動機構5と、チップケース3からコンタクトチップ10を取り出すチップ取出機構6とを備えている。
【0042】
往復駆動機構5は、ハウジング20内部のケース取付取出部20dに対応する位置からハウジング20の長手方向に延びる断面略C字状をなすスライド部材51を備え、ケース取付取出部20dを介してチップケース3をハウジング20内部に挿入すると、チップケース3がスライド部材51の内側に入り込むようになっている。
【0043】
スライド部材51におけるケース取付取出部20d側の底面には、スライド部材51の内側と外側とを連通させる連通部51aが形成され、チップケース3をスライド部材51に挿入し、且つ、ロック部材3jを一方側に回転させると突起部3kがチップケース3の下面から飛び出して連通部51aに入り込むことにより、チップケース3がスライド部材51に固定されるようになっている。
【0044】
すなわち、チップケース3をスライド部材51に挿入してロック部材3jを回転操作することにより、チップケース3をスライド部材51に着脱できるようになっている。
【0045】
ハウジング20内部のスライド部材51上方には、両ロッド型のシリンダ52が配設され、該シリンダ52は、ピストンロッド52aがハウジング20の長手方向に延びている。
【0046】
ピストンロッド52aの一端及び他端には、側面視でL字状をなす支持ブラケット53がそれぞれ取り付けられている。各支持ブラケット53は、スライド部材51を吊下げ支持しており、シリンダ52は、各支持ブラケット53を介してスライド部材51に接続されている。
【0047】
そして、スライド部材51に固定されたチップケース3は、
図6及び
図9に示すように、ピストンロッド52aの移動動作により、ハウジング20の長手方向にスライド移動するようになっている。
【0048】
すなわち、往復駆動機構5は、チップケース3をコンタクトチップ10の並設方向に往復移動させることにより、ハウジング20内部の長手方向一側領域に設定されたチップ供給空間S2に進入又は退避させるようになっている。
【0049】
チップ取出機構6は、スライド部材51におけるチップ供給空間S2側の下方に配設され、且つ、往復駆動機構5に接続されていて、当該往復駆動機構5の往復動作に連動して同方向に往復移動するよう構成されている。
【0050】
チップ取出機構6は、棒中心線が上下に延び、且つ、上方に向かって伸縮する棒部材6aを備え、スライド部材51が移動してチップケース3がチップ供給空間S2に進入した状態で棒部材6aを伸長させると、
図10に示すように、棒部材6aがチップケース3の下側開口部3bに挿入されてチップケース3の長手方向一端に位置するコンタクトチップ10を押し上げることにより、当該コンタクトチップ10が上側開口部3aを介してチップケース3の上方に取り出されるようになっている。
【0051】
第1貫通孔20aの下方で、且つ、チップ供給空間S2の上方には、チップ取出機構6により取り出されたコンタクトチップ10を先端が下方を向く姿勢で側方から把持解放可能な把持回転機構4が配設されている。
【0052】
該把持回転機構4は、シリンダ52の側方に位置しており、把持回転機構4の把持作業空間V1は、第1貫通孔20aの真下に設定されている。
【0053】
把持回転機構4は、上下方向に延びる回転軸心C1が把持作業空間V1の中央に設定された従動ギア41(第1回転体)及び回転ディスク42(第2回転体)を備え、従動ギア41は、装置本体2のフレーム部分にベアリングB1を介して軸支されている。
【0054】
従動ギア41及び回転ディスク42は、ベアリングB2を介して回転軸心C1を中心として互いに相対回転可能に構成されている。
【0055】
従動ギア41は、図示しない駆動モータが正転すると、
図7に示すように、駆動ギアを介して一方側(X1方向)に回転する一方、駆動モータが逆転すると、
図11に示すように、駆動ギアを介して他方側(X2方向)に回転するようになっている。
【0056】
従動ギア41は、
図5に示すように、略リング形状をなしていて、その内周面には、当該従動ギア41の内側面に開口する凹状をなす4つの嵌合部41aが回転軸心C1を中心とした周方向に等間隔に設けられている。
【0057】
回転ディスク42は、従動ギア41の上側と内側とにそれぞれ位置する円盤状をなす上側ディスク42a及び下側ディスク42bを備えている。
【0058】
上側ディスク42aは、略円板形状をなし、その中央には、把持作業空間V1に対応する円形状の上側チップ通過孔42cが形成されている。
【0059】
一方、下側ディスク42bの中央には、把持作業空間V1に対応する円形状の下側チップ連通孔42dが形成されている。
【0060】
上側ディスク42aと従動ギア41との間には、当該上側ディスク42aと従動ギア41との間の抵抗値を高める板バネ(図示せず)が配置されている。
【0061】
従動ギア41の内方で、且つ、上側ディスク42a及び下側ディスク42bの間には、
図5に示すように、平面視で略矢印形状をなす4つの把持体43が配設され、各把持体43は、各嵌合部41aにそれぞれ対応する位置に設けられている。
【0062】
各把持体43の略中央には、挿通孔43aが形成され、当該挿通孔43aには、回転軸心C1と同方向に延びる回動軸43bが挿通されている。
【0063】
回動軸43bの各端部は、上側ディスク42aと下側ディスク42bとにそれぞれ固定され、把持体43は、回動軸43b周りに回動可能に回転ディスク42に軸支されている。
【0064】
把持体43の先端には、一対の爪部43cが把持作業空間V1側に向けて突設され、該各爪部43cは、回転軸心C1を中心とした周方向に離間している。
【0065】
一方、把持体43の基端側中央には、把持作業空間V1の反対側に突出する突起形状の基部43dが設けられ、該基部43dは、対応する嵌合部41aに遊嵌している。
【0066】
そして、
図6に示すように、把持作業空間V1にコンタクトチップ10が配置された状態で駆動モータ(図示せず)を正転させると、
図7に示すように、従動ギア41が回転ディスク42に対して一方側(X1方向)に相対的に回転し、それに連動する嵌合部41aの基部43dへの一方側への押圧動作で把持体43が一方側(Z1方向)に回動して一方の爪部43cが把持作業空間V1に前進してコンタクトチップ10を把持するようになっている。
【0067】
また、各把持体43の一方の爪部43cでコンタクトチップ10を把持する状態において駆動モータ(図示せず)をさらに正転させながらトーチ本体11を接近させると、コンタクトチップ10の雄螺子部10aをトーチ本体11の雌螺子部(図示せず)から螺退させてコンタクトチップ10をトーチ本体11から取り外すようになっている。
【0068】
さらに、コンタクトチップ10をトーチ本体11に取り付けた後、駆動モータ(図示せず)を逆転させると、従動ギア41が回転ディスク42に対して他方側(X2方向)に相対的に回転し、それに連動する嵌合部41aの基部43dへの他方側への押圧動作で把持体43が他方側(Z2方向)に回動して一方の爪部43cが把持作業空間V1から後退してコンタクトチップ10を把持作業空間V1から落下させて破棄するようになっている。
【0069】
一方、
図10に示すように、チップ取出機構6によりチップケース3からコンタクトチップ10が上方に押し上げられて把持作業空間V1に配置された状態において駆動モータ(図示せず)を逆転させると、
図11に示すように、従動ギア41が回転ディスク42に対して他方側(X2方向)に相対的に回転し、それに連動する嵌合部41aの基部43dへの他方側への押圧動作で把持体43が他方側に回動して他方の爪部43cが把持作業空間V1に前進してコンタクトチップ10を把持するようになっている。
【0070】
また、各把持体43の他方の爪部43cでコンタクトチップ10を把持する状態においてトーチ本体11を把持作業空間V1に接近させてコンタクトチップ10の雄螺子部10aにあてがうとともに駆動モータ(図示せず)をさらに逆転させると、コンタクトチップ10の雄螺子部10aがトーチ本体11の雌螺子部(図示せず)に螺進してコンタクトチップ10がトーチ本体11に螺合連結するようになっている。
【0071】
さらに、コンタクトチップ10をトーチ本体11に取り付けた後、各把持体43の他方の爪部43cでコンタクトチップ10を把持する状態で駆動モータ(図示せず)を正転させると、従動ギア41が回転ディスク42に対して一方側(X1方向)に相対的に回転し、それに連動する嵌合部41aの基部43dへの一方側への押圧動作で把持体43が一方側に回動して他方の爪部43cが把持作業空間V1から後退してコンタクトチップ10の把持状態を解除するようになっている。
【0072】
尚、この実施形態におけるノズル着脱ユニット2Bの構造は、図示しないノズルキャップをトーチ本体11に対して回転動作により着脱する以外は把持回転機構4と同様の構造であるので詳細な記載を省略する。また、トーチ清掃ユニット2Cは、この技術分野において従来周知の構造であるので、詳細な説明を割愛する。
【0073】
次に、コンタクトチップ交換装置1を用いたコンタクトチップ10の交換作業について詳述する。
【0074】
まず、
図6に示すように、トーチ本体11に取り付けられた状態の使用済みコンタクトチップ10を移動させて把持回転機構4の把持作業空間V1に上方から配置する。
【0075】
把持作業空間V1に使用済みコンタクトチップ10が配置されると、図示しない駆動モータが正転して従動ギア41が回転ディスク42に対して一方側(X1方向)に相対的に回転する。すると、
図7に示すように、従動ギア41の回転ディスク42に対する一方側への相対的な回転に連動して嵌合部41aが基部43dを一方側に押圧し、その押圧動作で把持体43が一方側(Z1方向)に回動して一方の爪部43cが把持作業空間V1に前進してコンタクトチップ10を把持する。
【0076】
各把持体43がコンタクトチップ10を把持すると、さらに、駆動モータが正転する。すると、コンタクトチップ10が一方側に回転してトーチ本体11から取り外される。
【0077】
しかる後、駆動モータを逆転させることにより、従動ギア41を回転ディスク42に対して他方側に相対的に回転させる。すると、
図8に示すように、従動ギア41の回転ディスク42に対する他方側への相対的な回転に連動して嵌合部41aが基部43dを他方側に押圧し、その押圧動作で把持体43が他方側に回動して一方の爪部43cが把持作業空間V1から後退し、それにより、各把持体43によるコンタクトチップ10の把持状態が解除されてコンタクトチップ10が把持作業空間V1から落下して破棄される。
【0078】
次に、シリンダ52を作動させてピストンロッド52aを一方側にスライドさせる。すると、
図9に示すように、スライド部材51が一方側に移動してチップケース3がチップ供給空間S2に進入する。
【0079】
次いで、チップ取出機構6を作動させて棒部材6aを伸長させる。すると、
図10に示すように、棒部材6aがチップケース3の下側開口部3bからチップケース3の内部に入り込んでチップケース3の長手方向一端に位置する使用前のコンタクトチップ10を押し上げる。すると、コンタクトチップ10が上側開口部3aを介して上方に取り出されて把持作業空間V1に配置される。
【0080】
しかる後、図示しない駆動モータが逆転して従動ギア41が回転ディスク42に対して他方側(X2方向)に相対的に回転する。すると、
図11に示すように、従動ギア41の回転ディスク42に対する他方側への相対的な回転に連動して嵌合部41aが基部43dを他方側に押圧し、その押圧動作で把持体43が他方側(Z2方向)に回動して他方の爪部43cが把持作業空間V1に前進してコンタクトチップ10を把持する。
【0081】
各把持体43によりコンタクトチップ10を把持すると、トーチ本体11を把持作業空間V1に上方から接近させて各把持体43に把持された状態のコンタクトチップ10の雄螺子部10aにあてがった後、さらに、駆動モータを逆転させる。すると、コンタクトチップ10が他方側に回転してトーチ本体11に螺合連結される。
【0082】
しかる後、駆動モータを正転させることにより、従動ギア41を回転ディスク42に対して一方側に相対的に回転させる。すると、
図12に示すように、従動ギア41の回転ディスク42に対する一方側への相対的な回転に連動して嵌合部41aが基部43dを一方側に押圧し、その押圧動作で把持体43が一方側に回動して他方の爪部43cが把持作業空間V1から後退してコンタクトチップ10が各把持体43から解放される。その後、トーチ本体11が上方に移動して当該トーチ本体11に螺合連結されたコンタクトチップ10が把持作業空間V1から退避することにより、コンタクトチップ10の交換作業が終了する。
【0083】
以上より、本発明の実施形態によると、トーチ本体11に螺合連結されたコンタクトチップ10を把持回転機構4に接近させて当該把持回転機構4により把持し、且つ、コンタクトチップ10の中心線を中心として一方側に回転させると、トーチ本体11からコンタクトチップを取り外すことができる。トーチ本体11から取り外したコンタクトチップ10は、チップケース3がチップ供給空間S2から退避した状態で把持回転機構4における把持状態が解放されると、チップ供給空間S2を介して下方に落下して廃棄される。一方、往復駆動機構5によりチップ供給空間S2に進入したチップケース3に収容されているコンタクトチップ10は、チップ取出機構6によりチップケース3から上方に取り出されるので、把持回転機構4により側方から把持し、且つ、当該把持回転機構4にトーチ本体11を接近させた状態でコンタクトチップ10の中心線を中心として他方側に回転させると、トーチ本体11にコンタクトチップ10を取り付けることができる。このように、コンタクトチップ10の取付位置と取外位置とが装置の同じ位置でできるようになるので、コンタクトチップ交換装置1の全体をコンパクトな形状にすることができる。
【0084】
また、チップケース3は、往復駆動機構5のスライド部材51に着脱可能な構成になっているので、コンタクトチップ10の交換作業を繰り返してチップケースに収容した全てのコンタクトチップ10が無くなる際、予め用意した予備のチップケース3に簡単に取り換えることができるようになる。したがって、コンタクトチップ交換装置1に対してコンタクトチップ10を充填する作業が簡単になり、コンタクトチップ交換装置1が停止する時間を少なくして効率良くコンタクトチップ交換装置1を稼働させることができる。
【0085】
また、スライド部材51の往復動作をシリンダ52により行っているので、簡単な構造でチップケース3を往復移動させることができるようになり、コンタクトチップ交換装置1の製造コストを低く抑えることができる。
【0086】
また、チップケース3を往復移動させる駆動源であるシリンダ52は、把持回転機構4の側方で、且つ、スライド部材51の上方のデッドスペースに配置されているので、コンタクトチップ交換装置1の全体をさらにコンパクトにすることができる。
【0087】
また、往復駆動機構5によりチップケース3をチップ供給空間S2に進入させた状態でチップ取出機構6の棒部材6aを伸長させると、当該棒部材6aがチップケース3の下側開口部3bを通過してコンタクトチップ10を上方に押圧するので、棒部材6aにより押圧されたコンタクトチップ10がチップケース3の上側開口部3aから飛び出して把持回転機構4に到達するようになる。このように、チップケース3に収容された各コンタクトチップ10を簡単な機構で順次取り出していくことができる。
【0088】
また、チップ取出機構6が、往復駆動機構5の往復動作に連動して同方向に往復移動するので、把持回転機構4からコンタクトチップ10を落下させて廃棄する際にチップ取出機構6を邪魔にならない位置まで移動させることができる。また、チップケース3を往復移動させる往復駆動機構5を利用してチップ取出機構6を移動させることができるようになり、チップ取出機構6を移動させるための専用の駆動源を追加で設ける必要がなくなるので、低コストなコンタクトチップ交換装置1にすることができる。
【0089】
また、従動ギア41及び回転ディスク42が基準位置の状態においてコンタクトチップ10を把持作業空間V1に配置した後、従動ギア41及び回転ディスク42を一方側に相対回転させると、各把持体43の一方の爪部43cが把持作業空間V1に前進してコンタクトチップ10を把持するとともにその中心線周りの一方側に従動ギア41及び回転ディスク42が回転一体になる一方、従動ギア41及び回転ディスク42が基準位置においてコンタクトチップ10を把持作業空間V1に配置した後、従動ギア41及び回転ディスク42を他方側に相対回転させると、各把持体43の他方の爪部43cが把持作業空間V1に前進してコンタクトチップ10を把持するとともにその中心線周りの他方側に従動ギア41及び回転ディスク42が回転一体になる。このように、従動ギア41及び回転ディスク42をどちらの方向に相対回転させても、コンタクトチップ10を把持可能であるとともに、コンタクトチップ10を把持した状態でその中心線周りに回転させることができるので、把持回転機構4の一箇所だけでトーチ本体11に対するコンタクトチップ10の取付作業と取外作業とを行うことができる。
【0090】
また、チップケース3からコンタクトチップ10を1つ取り出した際、押圧部材3dがコイルバネ3fの付勢力によりガイド溝3cに案内されながら移動してチップケース3内の各コンタクトチップ10をその並設方向に押圧するようになる。したがって、チップケース3からコンタクトチップ10を1つ取り出した後、チップケース3内の各コンタクトチップ10がすぐに隣同士で隙間無く並ぶようになるので、次のコンタクトチップ10を供給可能な準備状態に効率良くすることができる。
【0091】
尚、本発明の実施形態では、往復駆動機構5によるチップケース3の往復移動をシリンダ52により行っているが、その他の機構で往復移動させてもよく、例えば、ラックアンドピニオン機構等により往復移動させるようにしてもよい。
【0092】
また、本発明の実施形態では、チップ取出機構6の棒部材6aを伸長させてチップケース3内のコンタクトチップ10を押し出すことによりコンタクトチップ10をチップケース3から取り出しているが、その他の方法で取り出す構造であってもよく、例えば、チップケース3内のコンタクトチップ10を掴んで引っ張りだすことにより取り出すような構造のものであってもよい。
【0093】
また、チップ取出機構6は、往復駆動機構5の往復動作に連動して動作するようになっているが、往復駆動機構5の駆動源とは別の駆動源を用意してその駆動源により往復駆動機構5とは同期せずに動作するようにしてもよい。
【0094】
また、本発明の実施形態では、チップケース3内においてコンタクトチップ10を押圧する付勢力を発生させる付勢部材としてコイルバネ3fを用いたが、その他の付勢部材であってもよく、例えば、ゴム部材やシリンダ等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、アーク溶接に用いる溶接トーチのトーチ本体の先端部に螺合連結されたコンタクトチップを自動で交換するコンタクトチップ交換装置に適している。
【符号の説明】
【0096】
1 コンタクトチップ交換装置
3 チップケース(収容ケース)
3a 上側開口部
3b 下側開口部
3c ガイド溝
3d 押圧部材
3f コイルバネ(付勢部材)
4 把持回転機構
5 往復駆動機構
6 チップ取出機構
6a 棒部材
10 コンタクトチップ
10a 雄螺子部
11 トーチ本体
12 押圧機構
41 従動ギア(第1回転体)
41a 嵌合部
42 回転ディスク(第2回転体)
43 把持体
43c 爪部
43d 基部
51 スライド部材
52 シリンダ
52a ピストンロッド
C1 回転軸心
S1 チップ収容部
S2 チップ供給空間