(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184622
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】材料試験装置、及び材料試験システム
(51)【国際特許分類】
G01N 3/06 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G01N3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092573
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 融
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA01
2G061AB01
2G061BA07
2G061EA01
2G061EA02
2G061EB05
2G061EB07
2G061EC04
(57)【要約】
【課題】引張試験機の状態に応じて、人体の少なくとも一部を検出した際の引張試験機の動作を規制する。
【解決手段】供試体TPを変形させて、供試体TPの機械的特性を測定する引張試験機1であって、引張試験機1の可動部を含む画像Pを生成するカメラ6と、画像Pに基づいて、人体の少なくとも一部を検出する人体検出部812と、引張試験機1の状態STを検出する状態検出部815と、状態検出部815の検出結果に応じて、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出した際の引張試験機1の動作を規制する動作規制部816と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試体を変形させて、前記供試体の機械的特性を測定する材料試験装置であって、
前記材料試験装置の可動部又は前記材料試験装置の近傍を含む画像を生成する撮像部と、
前記画像に基づいて、人体の少なくとも一部を検出する人体検出部と、
前記材料試験装置の状態を検出する状態検出部と、
前記状態検出部の検出結果に応じて、前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した際の前記材料試験装置の動作を規制する動作規制部と、
を備える、材料試験装置。
【請求項2】
前記材料試験装置の状態は、待機状態、準備状態、及び実施状態を含む、請求項1に記載の材料試験装置。
【請求項3】
前記材料試験装置の動作の規制は、前記材料試験装置のアクチュエータの速度の規制、前記アクチュエータの加速度の規制、前記アクチュエータの停止、及び、前記アクチュエータの駆動源の停止のうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は請求項2に記載の材料試験装置。
【請求項4】
前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した場合に、前記撮像部の撮像領域のうちの特定領域において前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定する領域判定部を備え、
前記動作規制部は、前記領域判定部の判定結果に応じて、前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した際の前記材料試験装置の動作を規制する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の材料試験装置。
【請求項5】
前記材料試験装置への進入を禁止する安全扉が閉状態であるか否かを検出する扉検出部を備え、
前記動作規制部は、前記扉検出部の検出結果に応じて、前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した際の前記材料試験装置の動作を規制する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の材料試験装置。
【請求項6】
供試体を変形させて、前記供試体の機械的特性を測定する材料試験装置と、前記材料試験装置と通信可能に接続され、前記材料試験装置の可動部又は前記材料試験装置の近傍を含む画像を生成する撮像装置と、を備える材料試験システムであって、
前記材料試験装置又は前記撮像装置は、
前記画像に基づいて、人体の少なくとも一部を検出する人体検出部、を備え、
前記材料試験装置は、
前記材料試験装置の状態を検出する状態検出部と、
前記状態検出部の検出結果に応じて、前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した際の前記材料試験装置の動作を規制する動作規制部と、
を備える、材料試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料試験装置、及び材料試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
供試体を変形させて、供試体の機械的特性を測定する材料試験機において、ユーザーの安全性を向上する種々の技術が知られている。
例えば、特許文献1に記載の材料試験機は、試験中につかみ具近傍を撮影する撮影手段と、その出力を用いて撮影手段の視野内に移動物体の有無を識別する画像処理手段を設け、移動物体を検知したときに負荷機構の駆動を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の材料試験機では、試験中につかみ具近傍に移動物体があると識別された場合に負荷機構の駆動を停止させるが、人体の少なくとも一部を検出するものではない。
また、特許文献1には、試験中以外の材料試験機の動作状態において、人体の少なくとも一部を検出した場合の処理については記載されていない。例えば、材料試験機が待機状態、又は、試験準備状態において、人体の少なくとも一部を検出した場合の処理については記載されていない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、材料試験装置の状態に応じて、人体の少なくとも一部を検出した際の材料試験装置の動作を規制する材料試験装置、及び材料試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る材料試験装置は、供試体を変形させて、前記供試体の機械的特性を測定する材料試験装置であって、前記材料試験装置の可動部又は前記材料試験装置の近傍を含む画像を生成する撮像部と、前記画像に基づいて、人体の少なくとも一部を検出する人体検出部と、前記材料試験装置の状態を検出する状態検出部と、前記状態検出部の検出結果に応じて、前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した際の前記材料試験装置の動作を規制する動作規制部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様に係る材料試験システムは、供試体を変形させて、前記供試体の機械的特性を測定する材料試験装置と、前記材料試験装置と通信可能に接続され、前記材料試験装置の可動部又は前記材料試験装置の近傍を含む画像を生成する撮像装置と、を備える材料試験システムであって、前記材料試験装置又は前記撮像装置は、前記画像に基づいて、人体の少なくとも一部を検出する人体検出部、を備え、前記材料試験装置は、前記材料試験装置の状態を検出する状態検出部と、前記状態検出部の検出結果に応じて、前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した際の前記材料試験装置の動作を規制する動作規制部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の態様に係る材料試験装置によれば、材料試験装置の状態に応じて、人体の少なくとも一部を検出した際の材料試験装置の動作を規制する。
したがって、材料試験装置の状態に応じて、人体の少なくとも一部を検出した際の材料試験装置の動作を規制できる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る材料試験システムによれば、材料試験装置の状態に応じて、人体の少なくとも一部を検出した際の材料試験装置の動作を規制する。
したがって、材料試験装置の状態に応じて、人体の少なくとも一部を検出した際の材料試験装置の動作を規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る引張試験機の構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る安全装置の構成の一例を示す平面図である。
【
図3】安全装置の要部の構成の一例を示す図である。
【
図5】第1領域、第2領域及び第3領域の一例を示す画面図である。
【
図6】(A)は、人体が検出された領域、及び引張試験機の状態に応じて決定される動作の規制内容の一例を示す図表である。(B)は、人体が検出された領域、及び安全扉の開閉に応じて決定される動作の規制内容の一例を示す図表である。
【
図7】安全制御装置の制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本実施形態について説明する。
【0012】
[1.引張試験機の構成]
図1は、本実施形態に係る引張試験機1の構成の一例を示す図である。
本実施形態の引張試験機1は、供試体TPに試験力Fを与えて、供試体TPの引張強度、降伏点、伸び、絞りなどの機械的性質を測定する材料試験を行う。試験力Fは、引張力である。
引張試験機1は、試験対象の供試体TPに試験力Fを与えて引張試験を行う試験機本体2と、試験機本体2による引張試験動作を制御する制御ユニット4と、を備える。
引張試験機1は、「材料試験装置」の一例に対応する。
【0013】
試験機本体2は、テーブル26と、このテーブル26上に鉛直方向を向く状態で回転可能に立設された一対のねじ棹28、29と、これらのねじ棹28、29に沿って移動可能なクロスヘッド10と、このクロスヘッド10を移動させて供試体TPに負荷を与える負荷機構12と、ロードセル14と、を備える。ロードセル14は、供試体TPに与えられる引張荷重である試験力Fを測定し、試験力測定信号SG1を出力するセンサである。
【0014】
負荷機構12は、各ねじ棹28、29の下端部に連結されるウォーム減速機16、17と、各ウォーム減速機16、17に連結されるサーボモータ18と、ロータリエンコーダ20と、を備える。ロータリエンコーダ20は、サーボモータ18の回転量を測定し、回転量に応じたパルス数の回転測定信号SG2を制御ユニット4に出力するセンサである。
そして負荷機構12は、ウォーム減速機16、17を介して、一対のねじ棹28、29にサーボモータ18の回転を伝達し、各ねじ棹28、29が同期して回転することによって、クロスヘッド10がねじ棹28、29に沿って昇降する。
サーボモータ18は、「アクチュエータ」の一例に対応する。
【0015】
クロスヘッド10には、供試体TPの上端部を把持する上つかみ具21が付設され、テーブル26には、供試体TPの下端部を把持する下つかみ具22が付設される。試験機本体2は、引張試験の際に、供試体TPの両端部を上つかみ具21及び下つかみ具22によって把持した状態で、制御ユニット4の制御に従って、クロスヘッド10を上昇させることによって、供試体TPに試験力Fを与える。
【0016】
制御ユニット4は、統括制御装置30と、表示装置32と、試験プログラム実行装置34と、を備える。
統括制御装置30は、試験機本体2を中枢的に制御する装置であり、試験機本体2との間で信号を送受信可能に接続される。試験機本体2から受信する信号は、ロードセル14が出力する試験力測定信号SG1、ロータリエンコーダ20が出力する回転測定信号SG2、及び制御や試験に要する適宜の信号等である。
表示装置32は、統括制御装置30から入力される信号に基づいて各種情報を表示する装置であり、例えば、統括制御装置30は、引張試験の間、回転測定信号SG2に基づくクロスヘッド10の変位を示す変位計測値XDを表示装置32に表示する。
【0017】
引張試験プログラム実行装置34は、引張試験の試験条件といった各種設定パラメータの設定操作や実行指示操作などのユーザー操作を受け付け、統括制御装置30に出力する機能や、試験力計測値FDのデータを解析する機能などを備えた装置である。
引張試験プログラム実行装置34はコンピュータを備え、このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリデバイスと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージ装置と、統括制御装置30や各種の周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、を備える。そして、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されたコンピュータプログラムである引張試験プログラムを実行することで、上述の各種の機能を実現する。
【0018】
次いで、本実施形態の統括制御装置30について、更に説明する。統括制御装置30は、信号入出力ユニット40と、制御回路ユニット50と、を備える。
信号入出力ユニット40は、試験機本体2との間で信号を送受信する入出力インターフェース回路を構成するものであり、本実施形態では、センサアンプ42と、カウンタ回路43と、サーボアンプ44とを有する。
センサアンプ42は、ロードセル14が出力する試験力測定信号SG1を増幅して制御回路ユニット50に出力する増幅器である。
カウンタ回路43は、ロータリエンコーダ20が出力する回転測定信号SG2のパルス数を計数し、サーボモータ18の回転量、すなわちサーボモータ18の回転によって昇降するクロスヘッド10の変位計測値XDを示す変位測定信号A3を制御回路ユニット50にデジタル信号で出力する。
サーボアンプ44は、制御回路ユニット50の制御に従って、サーボモータ18を制御する装置である。
【0019】
制御回路ユニット50は、通信部51と、フィードバック制御部52を備える。
制御回路ユニット50は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスと、HDDやSSDなどのストレージ装置と、信号入出力ユニット40とのインターフェース回路と、引張試験プログラム実行装置34と通信する通信装置と、表示装置32を制御する表示制御回路と、各種の電子回路と、を備えたコンピュータを備える。また、制御回路ユニット50のプロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶された制御プログラムを実行することで、
図1に示す各機能部を実現する。
また、信号入出力ユニット40のインターフェース回路にはA/D変換器が設けられており、アナログ信号の試験力測定信号SG1がA/D変換器によってデジタル信号に変換される。
なお、制御回路ユニット50は、コンピュータに限らず、ICチップやLSIなどの集積回路といった1又は複数の適宜の回路によって構成されてもよい。
【0020】
通信部51は、試験プログラム実行装置34との間で通信し、試験条件の設定や各種設定パラメータの設定値、引張試験の実行指示や中断指示などを試験プログラム実行装置34から受信する。また、通信部51は、試験力測定信号SG1に基づく試験力計測値FDを適宜のタイミングで試験プログラム実行装置34に送信する。また、通信部51は、回転測定信号SG2に基づく変位計測値XDを適宜のタイミングで試験プログラム実行装置34に送信する。
【0021】
フィードバック制御部52は、試験機本体2のサーボモータ18をフィードバック制御して引張試験を実行する。フィードバック制御部52は、サーボモータ18のフィードバック制御を実行する回路である。
フィードバック制御部52が位置制御を実行する場合には、フィードバック制御部52は、例えば、ロードセル14が出力する試験力計測値FDについて位置制御を実行する。この場合には、フィードバック制御部52は、試験力計測値FDを試験力目標値FTに一致させるように変位計測値XDの指令値dXを演算し、当該指令値dXを示す指令信号A4をサーボアンプ44に出力する。なお、試験力目標値FTは、試験力計測値FDの目標値を示す。
【0022】
[2.安全装置の構成]
図2は、安全装置200の構成の一例を示す平面図である。引張試験機1は、安全装置200を更に備える。
図2に示すように、安全装置200は、カメラ6と、安全扉7と、安全制御装置8とを備える。
【0023】
カメラ6は、安全制御装置8の指示に従って、試験機本体2の可動部を含む画像Pを生成する。試験機本体2の可動部は、例えば、
図1に示す上つかみ具21、下つかみ具22、クロスヘッド10及びねじ棹28、29を含む。
カメラ6は、CCD(Charge Coupled Device)、及び、CMOS(Complementary MOS)等のイメージセンサーを備える。
カメラ6は、「撮像部」の一例に対応する。
【0024】
カメラ6の撮像範囲θは、試験機本体2の可動部又は試験機本体2の近傍を含む。
カメラ6は、引張試験機1によって供試体TPの引張試験の待機状態ST1、準備状態ST2、及び、実施状態ST3において、所定時間ΔT毎に、試験機本体2の可動部又は試験機本体2の近傍を含む画像Pを生成する。所定時間ΔTは、例えば、1/30秒である。換言すれば、カメラ6のフレームレートは、30fpsである。
【0025】
「待機状態ST1」とは、引張試験機1の電源がオンされ、引張試験機1の動作が可能な状態を示す。
「準備状態ST2」とは、ユーザーが、供試体TPを上つかみ具21、及び下つかみ具22に取り付ける等の引張試験の準備を行っている状態を示す。
「実施状態ST3」とは、引張試験機1が供試体TPの引張試験を実施している状態を示す。
【0026】
本実施形態では、カメラ6のフレームレートは、30fpsであるが、本発明の実施形態はこれに限定されない。
【0027】
安全扉7は、試験機本体2が配置された試験室に、ユーザーが出入りする際に、開閉可能に構成される扉である。安全扉7にはセンサSが配置される。安全扉7が閉状態では、試験機本体2が配置された試験室へのユーザーの進入が禁止される。
センサSは、安全扉7が閉状態であるかを検出する。センサSは、例えば、近接センサ、タッチセンサ等で構成される。
センサSの検出信号は、安全制御装置8に伝送される。
【0028】
安全制御装置8は、
図2に示すように、制御部81と、報知部82と、通信部83と、各種の電子回路と、を備えたパーソナルコンピュータで構成される。
【0029】
制御部81は、安全装置200の動作を制御する。また、制御部81は、制御回路ユニット50と通信可能に構成され、制御回路ユニット50からの指示に従って、カメラ6の動作を制御する。制御部81は、例えば、制御回路ユニット50からの指示に従って、カメラ6の撮影タイミングを決定する。
制御部81は、CPUやMPU等のプロセッサ81Aと、ROMやRAM等のメモリデバイス81Bと、を備える。また、プロセッサ81Aがメモリデバイス81Bに記憶された制御プログラムを実行することで、
図3に示す各機能部を実現する。
【0030】
報知部82は、LCD(liquid crystal display)、回転灯、スピーカ等を備え、外部に種々の情報を報知する。
通信部83は、制御回路ユニット50及びカメラ6と通信する。通信部83は、制御回路ユニット50からの種々の情報を受信する。通信部83は、カメラ6によって生成された画像情報を受信する。
【0031】
なお、安全制御装置8は、パーソナルコンピュータに限らず、ICチップやLSIなどの集積回路といった1つ又は複数の適宜の回路によって構成されてもよい。また、安全制御装置8は、例えば、タブレット端末、又はスマートフォンとして構成されてもよい。
また、安全制御装置8は、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等、プログラムされたハードウェアを備えてもよい。また、安全制御装置8は、SoC(System-on-a-Chip)-FPGAを備えてもよい。
【0032】
[3.安全装置の要部の構成]
図3は、安全装置200の要部の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、安全制御装置8の制御部81は、画像取得部811と、人体検出部812と、領域判定部813と、扉検出部814と、状態検出部815と、動作規制部816と、を備える。具体的には、安全制御装置8の制御部81のプロセッサ81Aが、メモリデバイス81Bに記憶された制御プログラムを実行することで、画像取得部811、人体検出部812、領域判定部813、扉検出部814、状態検出部815、及び動作規制部816として機能する。
【0033】
画像取得部811は、試験機本体2の可動部又は試験機本体2の近傍を含む撮像範囲θをカメラ6に撮像させて、画像Pを生成させて、生成された画像Pを取得する。画像取得部811は、例えば、制御回路ユニット50からの指示に従って、カメラ6に画像Pを生成させる。
また、画像取得部811は、所定時間ΔT毎に、カメラ6に画像Pを生成させる。所定時間ΔTは、例えば、1/30秒である。具体的には、引張試験機1が引張試験の待機状態ST1、準備状態ST2、及び、実施状態ST3において、画像取得部811は、所定時間ΔT毎にカメラ6に画像Pを生成させる。
試験機本体2の近傍は、「材料試験装置の近傍」の一例に対応する。
【0034】
人体検出部812は、画像取得部811が取得した画像Pに基づいて人体の少なくとも一部を検出する。
人体検出部812は、例えば、以下のようにして人体の少なくとも一部を検出する。
予め、機械学習等によって、人体のパーツの画像を学習させ、学習済みモデルMDを生成しておく。
まず、画像PをS個×S個の領域に分割する。S個は、例えば7個である。
次に、S個×S個の各領域において、画像Pを構成する各画素の色情報によって境界線を複数個検出し、学習済みモデルMDを用いて境界内に人体の少なくとも一部を含んでいる信頼度を算出する。
また、S個×S個の各領域において、学習済みモデルMDを用いて、領域内に人体の少なくとも一部を含んでいる確率を算出する。
境界内に人体を含んでいる信頼度と、領域内に人体の少なくとも一部を含んでいる確率とを積算して、信頼度得点を算出し、信頼度得点が閾値を越えると、人体の少なくとも一部を検出したと判定する。
具体的には、後述にて
図4を参照して説明する。
【0035】
なお、本実施形態では、人体検出部812は、学習済みモデルMDを用いて、人体の少なくとも一部を検出するが、これに限定されない。人体検出部812は、例えば、骨格推定によって人体の少なくとも一部を検出してもよい。すなわち、人体検出部812は、各関節の重み付けによって骨格を推定し、人体の少なくとも一部を検出してもよい。
【0036】
領域判定部813は、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出した場合に、カメラ6の撮像領域のうちの特定領域において人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定する。
本実施形態では、領域判定部813は、カメラ6の撮像領域のうちの第1領域AR1において人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定する。また、領域判定部813は、カメラ6の撮像領域のうちの第2領域AR2において人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定する。更に、領域判定部813は、カメラ6の撮像領域のうちの第3領域AR3において人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定する。第1領域AR1、第2領域AR2、及び第3領域AR3については、後述にて
図5を参照して説明する。
第1領域AR1は、「特定領域」の一例に対応する。
【0037】
扉検出部814は、安全扉7が閉状態であるか否かを検出する。扉検出部814は、例えば、センサSからの信号に基づいて、安全扉7が閉状態であるか否かを検出する。
【0038】
状態検出部815は、引張試験機1の状態STを検出する。状態検出部815は、例えば、制御回路ユニット50からの情報に基づいて、引張試験機1の状態STを検出する。引張試験機1の状態STは、待機状態ST1、準備状態ST2、及び、実施状態ST3で構成される。
【0039】
動作規制部816は、状態検出部815の検出結果に応じて、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出した際の引張試験機1の動作を規制する。また、動作規制部816は、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出した場合に、状態検出部815の検出結果に応じて、報知部82に警報を出力させる。
また、動作規制部816は、領域判定部813の判定結果に応じて、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出した際の引張試験機1の動作を規制する。また、動作規制部816は、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出した場合に、領域判定部813の判定結果に応じて、報知部82に警報を出力させる。
更に、動作規制部816は、扉検出部814の検出結果に応じて、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出した際の引張試験機1の動作を規制する。また、動作規制部816は、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出した場合に、扉検出部814の検出結果に応じて、報知部82に警報を出力させる。
動作規制部816の動作の具体例については、後述にて
図6を参照して説明する。
【0040】
本実施形態では、引張試験機1がカメラ6を備える場合について説明するが、これに限定されない。引張試験機1とカメラ6とが通信可能に接続されていればよい。
例えば、材料試験システムが、引張試験機1と、カメラ6を有する撮像装置とを備え、引張試験機1と撮像装置とが、USB(Universal Serial Bus)ケーブル又はLAN(Local Area Network)ケーブルを介して通信可能に接続されてもよい。引張試験機1と撮像装置とが無線通信可能に接続されてもよい。
【0041】
また、材料試験システムが、引張試験機1と、カメラ6を有する撮像装置とを備える場合には、撮像装置が人体検出部812を備えてもよい。すなわち、撮像装置がCPUやMPU等のプロセッサと、ROMやRAM等のメモリデバイスと、を備え、プロセッサがメモリデバイスに記憶された制御プログラムを実行することで、人体検出部812として機能してもよい。また、撮像装置のプロセッサが、領域判定部813として機能してもよい。
【0042】
[4.安全装置の要部の処理の具体例]
図4は、人体検出部812の人体検出方法の一例を示す図である。
なお、本実施形態では、人体検出部812は、予め機械学習等によって、人体のパーツの画像を学習させ、学習済みモデルMDを生成している。
図4の左図に示すように、人体検出部812は、画像PをS個×S個の領域に分割して、画像P1を生成する。S個は、例えば7個である。
【0043】
次に、
図4の中上図に示すように、人体検出部812は、画像P1のS個×S個の各領域において、画像P1を構成する各画素の色情報によって境界線を複数個検出して画像P2を生成する。そして、人体検出部812は、学習済みモデルMDを用いて、検出した境界内に人体の少なくとも一部を含んでいる信頼度を算出する。
また、
図4の中下図に示すように、人体検出部812は、画像P1のS個×S個の各領域において、学習済みモデルMDを用いて、領域内に人体の少なくとも一部を含んでいる確率を算出する。
図4の中下図に示す画像P3では、領域内に人体の少なくとも一部を含んでいる確率が高い程、濃い網掛けを付して示している。例えば、領域P31は、人体の少なくとも一部を含んでいる確率が最も高い領域を示し、領域P32は、人体の少なくとも一部を含んでいる確率が二番目に高い領域を示す。
【0044】
人体検出部812は、
図4の中上図に示す境界内に人体の少なくとも一部を含んでいる信頼度と、
図4の中下図に示す領域内に人体の少なくとも一部を含んでいる確率とを積算して、信頼度得点を算出し、信頼度得点が閾値を越えると、人体の少なくとも一部を検出したと判定する。
図4の右図には、領域P41に人体の少なくとも一部を検出したことを示す画像P4を示す。
【0045】
図5は、第1領域AR1、第2領域AR2及び第3領域AR3の一例を示す画面図である。
図5に示す画像PAは、画像取得部811によって取得された画像Pの一例を示す。
図5に示すように、画像PAは、
図1を参照して説明した供試体TP、上つかみ具21、下つかみ具22、ねじ棹28、29、クロスヘッド10、及びテーブル26の各々に対応する画像を含む。
【0046】
領域判定部813は、人体検出部812が第1領域AR1に人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定し、人体検出部812が第2領域AR2に人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定し、人体検出部812が第3領域AR3に人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定する。
図5に示すように、第1領域AR1は、例えば、供試体TP、上つかみ具21、及び下つかみ具22の各々に対応する画像を含む。すなわち、第1領域AR1は、引張試験機1において引張試験を実施する際に、危険性の最も高い領域である。
【0047】
図5に示すように、第2領域AR2は、例えば、第1領域AR1の外側の領域であって、試験機本体2に対応する画像を含む。すなわち、第2領域AR2は、引張試験機1において引張試験を実施する際に、危険性の二番目に高い領域である。
図5に示すように、第3領域AR3は、例えば、第2領域AR2の外側の領域である。すなわち、第3領域AR3は、引張試験機1において引張試験を実施する際に、危険性の最も低い領域である。
【0048】
本実施形態では、領域判定部813が、画像PAを3つの領域に分けて、各領域で人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定するが、これに限定されない。領域判定部813が、画像PAを2つ以上の領域に分けて、各領域で人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定すればよい。例えば、領域判定部813が、画像PAを2つの領域に分けて、各領域で人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定してもよい。また、領域判定部813が、画像PAを4つ以上の領域に分けて、各領域で人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定してもよい。
【0049】
図6(A)は、人体の少なくとも一部が検出された領域、及び引張試験機1の状態に応じて決定される動作の規制内容及び警報の一例を示す図表である。
図6(A)に示す図表の左端欄は、引張試験機1の状態STを示す。状態STは、待機状態ST1、準備状態ST2、及び、実施状態ST3を含む。
左から2番目の欄は、第1条件CA1における動作規制部816の規制内容及び警報を示す。第1条件CA1は、人体検出部812が第1領域AR1に人体の少なくとも一部を検出した場合に対応する。左から3番目の欄は、第2条件CA2における動作規制部816の規制内容及び警報を示す。第2条件CA2は、人体検出部812が第2領域AR2に人体の少なくとも一部を検出した場合に対応する。右端欄は、第3条件CA3における動作規制部816の規制内容及び警報を示す。第3条件CA3は、人体検出部812が第3領域AR3に人体の少なくとも一部を検出した場合に対応する。
【0050】
図6(A)に示すように、待機状態ST1では、第1条件CA1及び第2条件CA2において、動作規制部816は、報知部82に警報を出力させ、第3条件CA3においては、警報を出力しない。警報としては、例えば、回転灯を点灯する。
準備状態ST2では、第1条件CA1及び第2条件CA2において、動作規制部816は、引張試験機1を「安全運転モード」に規制し、報知部82に警報を出力させ、第3条件CA3においては、報知部82に警報を出力させる。
「安全運転モード」では、動作規制部816は、例えば、クロスヘッド10の移動速度を予め設定された最大速度以下に規制し、実施状態ST3に移行することを禁止する。
【0051】
実施状態ST3では、第1条件CA1及び第2条件CA2において、動作規制部816は、引張試験機1の動作を停止させ、報知部82に強い警報を出力させ、第3条件CA3においては、報知部82に警報を出力させる。
強い警報としては、例えば、回転灯を点滅し、スピーカから危険を報知する音声を出力する。
【0052】
図6(A)に示すように、動作規制部816は、引張試験機1の状態ST、及び、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出した領域に応じて、引張試験機1の動作を規制するため、引張試験機1の動作を適正に規制できる。
【0053】
本実施形態では、動作規制部816が、クロスヘッド10の移動速度を予め設定された最大速度以下に規制するが、これに限定されない。動作規制部816が、クロスヘッド10の移動加速度を規制してもよいし、クロスヘッド10の移動を停止してもよいし、サーボモータ18を停止してもよいし、サーボモータ18への電力の供給を停止してもよい。
電力は、「駆動源」の一例に対応する。
【0054】
図6(B)に示す図表の左端欄は、引張試験機1の状態STを示す。状態STは、第1実施状態ST31、及び第2実施状態ST32を含む。第1実施状態ST31は、実施状態ST3において安全扉7が開状態である状態を示し、第2実施状態ST32は、実施状態ST3において安全扉7が閉状態である状態を示す。
左から2番目の欄は、第1条件CA1における動作規制部816の規制内容及び警報を示す。左から3番目の欄は、第2条件CA2における動作規制部816の規制内容及び警報を示す。右端欄は、第3条件CA3における動作規制部816の規制内容及び警報を示す。
【0055】
図6(B)に示すように、第1実施状態ST31では、第1条件CA1及び第2条件CA2において、動作規制部816は、引張試験機1の動作を停止させ、報知部82に強い警報を出力させ、第3条件CA3においては、引張試験機1の動作を停止させ、報知部82に警報を出力させる。
第2実施状態ST32では、第1条件CA1において、動作規制部816は、引張試験機1の動作を停止させ、報知部82に強い警報を出力させ、第2条件CA2において、報知部82に強い警報を出力させ、第3条件CA3においては、報知部82に警報を出力させる。
【0056】
図6(B)に示すように、動作規制部816は、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出した領域、及び、安全扉7が閉状態であるか否かに応じて、引張試験機1の動作を規制するため、引張試験機1の動作を適正に規制できる。
【0057】
[5.安全制御装置8の制御部81の処理]
次に、
図7を参照して、安全制御装置8の制御部81の処理について説明する。
図7は、安全制御装置8の制御部81の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、
図7に示すように、ステップS101において、画像取得部811は、試験機本体2の可動部を含む撮像範囲θをカメラ6に撮像させて画像Pを生成させ、生成された画像Pを取得する。
次に、ステップS103において、人体検出部812は、画像取得部811が取得した画像Pに基づいて人体の少なくとも一部を検出する。
次に、ステップS105において、制御部81は、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定する。
人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出していないと制御部81が判定した場合(ステップS105;NO)には、処理がステップS101に戻る。人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出したと制御部81が判定した場合(ステップS105;YES)には、処理がステップS107に進む。
そして、ステップS107において、領域判定部813は、人体検出部812が人体の少なくとも一部を検出した領域が、カメラ6の撮像領域のうちの第1領域AR1であるか、第2領域AR2であるか、第3領域AR3であるかを判定する。
【0058】
次に、ステップS109において、状態検出部815は、引張試験機1の状態STを検出する。引張試験機1の状態STは、待機状態ST1、準備状態ST2、及び、実施状態ST3で構成される。
次に、ステップS111において、扉検出部814は、安全扉7が閉状態であるか否かを検出する。
次に、ステップS113において、動作規制部816は、状態検出部815の検出結果、領域判定部813の判定結果、及び扉検出部814の検出結果に応じて、引張試験機1の動作を規制する。
次に、ステップS115において、動作規制部816は、状態検出部815の検出結果、領域判定部813の判定結果、及び扉検出部814の検出結果に応じて、報知部82に警報を出力させる。
次に、ステップS117において、制御部81は、引張試験を終了するか否かを判定する。ここで、引張試験を終了するとは、例えば、引張試験機1の電源をオフすることを示す。すなわち、引張試験を終了するとは、引張試験を終了し、所定期間以上、引張試験を実行しないことを示す。所定期間は、例えば、12時間である。
引張試験を終了しないと制御部81が判定した場合(ステップS117;NO)には、処理がステップS101に戻る。引張試験を終了すると制御部81が判定した場合(ステップS117;YES)には、処理が終了する。
【0059】
[7.態様と効果]
上述した実施形態及び変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0060】
(第1項)
一態様に係る歪み材料試験装置は、供試体を変形させて、前記供試体の機械的特性を測定する材料試験装置であって、前記材料試験装置の可動部又は前記材料試験装置の近傍を含む画像を生成する撮像部と、前記画像に基づいて、人体の少なくとも一部を検出する人体検出部と、前記材料試験装置の状態を検出する状態検出部と、前記状態検出部の検出結果に応じて、前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した際の前記材料試験装置の動作を規制する動作規制部と、を備える。
【0061】
第1項に記載の材料試験装置によれば、材料試験装置の状態に応じて、人体検出部が人体の少なくとも一部を検出した際の材料試験装置の動作を規制する。
したがって、材料試験装置の状態に応じて、人体検出部が人体の少なくとも一部を検出した際の材料試験装置の動作を規制できる。
【0062】
(第2項)
第1項に記載の材料試験装置において、前記材料試験装置の状態は、待機状態、準備状態、及び実施状態を含む。
【0063】
第2項に記載の材料試験装置によれば、前記材料試験装置の状態は、待機状態、準備状態、及び実施状態を含む。
したがって、待機状態、準備状態、及び実施状態の各々に応じて、人体検出部が人体の少なくとも一部を検出した際の材料試験装置の動作を規制できる。
【0064】
(第3項)
第1項又は第2項に記載の材料試験装置において、前記材料試験装置の動作の規制は、前記材料試験装置のアクチュエータの速度の規制、前記アクチュエータの加速度の規制、前記アクチュエータの停止、及び、前記アクチュエータの駆動源の停止のうちの少なくとも1つを含む。
【0065】
第3項に記載の材料試験装置によれば、前記材料試験装置の動作の規制は、前記材料試験装置のアクチュエータの速度の規制、前記アクチュエータの加速度の規制、前記アクチュエータの停止、及び、前記アクチュエータの駆動源の停止のうちの少なくとも1つを含む。
よって、材料試験装置の状態に応じて、例えば、材料試験装置のアクチュエータの速度の規制、又は、アクチュエータの停止を実行できる。したがって、人体検出部が人体の少なくとも一部を検出した際の材料試験装置の動作を適正に規制できる。
【0066】
(第4項)
第1項から第3項のいずれか1項に記載の材料試験装置において、前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した場合に、前記撮像部の撮像領域のうちの特定領域において前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出したか否かを判定する領域判定部を備え、前記動作規制部は、前記領域判定部の判定結果に応じて、前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した際の前記材料試験装置の動作を規制する。
【0067】
第4項に記載の材料試験装置によれば、特定領域において人体検出部が人体の少なくとも一部を検出したか否かに応じて、材料試験装置の動作を規制する。
したがって、特定領域において人体検出部が人体の少なくとも一部を検出したか否かに応じて、材料試験装置の動作を適正に規制できる。例えば、特定領域において人体検出部が人体の少なくとも一部を検出した場合においては、特定領域以外の領域において人体検出部が人体の少なくとも一部を検出した場合と比較して、材料試験装置の動作を強く規制できる。
【0068】
(第5項)
第1項から第4項のいずれか1項に記載の材料試験装置において、前記材料試験装置への進入を禁止する安全扉が閉状態であるか否かを検出する扉検出部を備え、前記動作規制部は、前記扉検出部の検出結果に応じて、前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した際の前記材料試験装置の動作を規制する。
【0069】
第5項に記載の材料試験装置によれば、安全扉が閉状態であるか否かに応じて、人体検出部が人体の少なくとも一部を検出した際の材料試験装置の動作を規制する。
したがって、安全扉が閉状態であるか否かに応じて、人体検出部が人体の少なくとも一部を検出した際の材料試験装置の動作を適正に規制できる。例えば、安全扉が開状態である場合には、安全扉が閉状態である場合と比較して、材料試験装置の動作を強く規制できる。
【0070】
(第6項)
一態様に関わる材料試験システムは、供試体を変形させて、前記供試体の機械的特性を測定する材料試験装置と、前記材料試験装置と通信可能に接続され、前記材料試験装置の可動部又は前記材料試験装置の近傍を含む画像を生成する撮像装置と、を備える材料試験システムであって、前記材料試験装置又は前記撮像装置は、前記画像に基づいて、人体の少なくとも一部を検出する人体検出部、を備え、前記材料試験装置は、前記材料試験装置の状態を検出する状態検出部と、前記状態検出部の検出結果に応じて、前記人体検出部が前記人体の少なくとも一部を検出した際の前記材料試験装置の動作を規制する動作規制部と、を備える。
【0071】
第6項に記載の材料試験システムによれば、第1項に記載の材料試験装置と同様の効果を奏する。
【0072】
[8.その他の実施形態]
なお、本実施形態に係る引張試験機1は、あくまでも本発明に係る材料試験装置の態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形および応用が可能である。
例えば、本実施形態では、材料試験装置が引張試験機1である場合について説明したが、これに限定されない。材料試験装置が供試体TPに試験力を付与し、供試体TPを変形させて材料試験を行えばよい。例えば、材料試験装置が、圧縮試験機、曲げ試験機、又はねじり試験機でもよい。また、例えば、材料試験装置が、疲労試験機、又は環境試験機でもよい。
【0073】
また、本実施形態では、引張試験機1の状態STが、待機状態ST1、準備状態ST2、及び実施状態ST3を含むが、引張試験機1の状態STが、少なくとも準備状態ST2及び実施状態ST3を含めばよい。
【0074】
また、本実施形態では、安全制御装置8の制御部81のプロセッサ81Aが、画像取得部811、人体検出部812、領域判定部813、扉検出部814、状態検出部815、及び動作規制部816として機能するが、本実施形態はこれに限定されない。制御回路ユニット50が、画像取得部811、人体検出部812、領域判定部813、扉検出部814、状態検出部815、及び動作規制部816のうちの少なくとも1つとして機能してもよい。例えば、制御回路ユニット50が、画像取得部811、人体検出部812、領域判定部813、扉検出部814、状態検出部815、及び動作規制部816として機能してもよい。
【0075】
また、
図3に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0076】
また、
図7に示すフローチャートの処理単位は、安全制御装置8の制御部81の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。
図7のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって制限されることはなく、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0077】
また、本実施形態では、安全制御装置8が備えるプロセッサ81Aに、制御プログラムを実行させることで、画像取得部811、人体検出部812、領域判定部813、扉検出部814、状態検出部815、及び動作規制部816として機能させる。また、この制御プログラムは、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、記録媒体は、画像処理装置が備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。また、制御プログラムをサーバー装置等に記憶させておき、サーバー装置から安全制御装置8に、制御プログラムをダウンロードしてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 引張試験機(材料試験装置)
2 試験機本体
4 制御ユニット
6 カメラ(撮像部、撮像装置)
10 クロスヘッド(可動部)
12 負荷機構
14 ロードセル
18 サーボモータ(アクチュエータ)
20 ロータリエンコーダ
21 上つかみ具(可動部)
22 下つかみ具(可動部)
26 テーブル
28、29 ねじ棹(可動部)
30 統括制御装置
32 表示装置
34 試験プログラム実行装置
40 信号入出力ユニット
42 センサアンプ
43 カウンタ回路
44 サーボアンプ
50 制御回路ユニット
200 検出装置
8 検出制御装置
81 制御部
81A プロセッサ
81B メモリデバイス
82 報知部
83 通信部
811 画像取得部
812 人体検出部
813 領域判定部
814 扉検出部
815 状態検出部
816 動作規制部
AR1 第1領域(特定領域)
AR2 第2領域
AR3 第3領域
CA1 第1条件
CA2 第2条件
CA3 第3条件
MD 学習済みモデル
P 画像
S センサ
ST 状態
ST1 待機状態
ST2 準備状態
ST3 実施状態
TP 供試体