IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-パンツ型使い捨ておむつ 図1
  • 特開-パンツ型使い捨ておむつ 図2
  • 特開-パンツ型使い捨ておむつ 図3
  • 特開-パンツ型使い捨ておむつ 図4
  • 特開-パンツ型使い捨ておむつ 図5
  • 特開-パンツ型使い捨ておむつ 図6
  • 特開-パンツ型使い捨ておむつ 図7
  • 特開-パンツ型使い捨ておむつ 図8
  • 特開-パンツ型使い捨ておむつ 図9
  • 特開-パンツ型使い捨ておむつ 図10
  • 特開-パンツ型使い捨ておむつ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184654
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】パンツ型使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/496 20060101AFI20221206BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A61F13/496 100
A61F13/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092634
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】只井 智浩
(72)【発明者】
【氏名】川口 宏子
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200CA03
3B200DA21
3B200DA27
(57)【要約】
【課題】サイドシール部を引き裂くときの起点となる部位を容易に認識することができるパンツ型使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】腹側部Aの両側部と背側部Bの両側部とが接合されてサイドシール部S、ウエスト開口部WH及びレッグ開口部LHが形成されているパンツ型使い捨ておむつ1であって、外装体3は着色シートを含み、サイドシール部Sに、腹側部Aと背側部Bとが融着した第1融着部41が、縦方向Xに間隔をおいて複数配置されており、第1融着部41を形成しているシートが着色シートを含んでおり、(1)第1融着部41、又は、(2)第1融着部41と、腹側部A若しくは背側部B内のシートどうしを融着し該第1融着部41に最も近い第2融着部43とからなる隣接融着部44であって、周長が最大のものが、縦方向Xにおいて、吸収体23の端縁23aよりも外方に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体と、該吸収体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、
着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを有し、該股下部を通って着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向と直交する横方向を有し、該腹側部の両側部と該背側部の両側部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつであって、
前記外装体は着色シートを含み、
前記サイドシール部に、前記腹側部と前記背側部とが融着した第1融着部が、前記縦方向に間隔をおいて複数配置されており、
前記着色シートが配されている領域に、
(1)第1融着部、又は、
(2)第1融着部と、前記腹側部若しくは前記背側部内のシートどうしを融着し該第1融着部に最も近い第2融着部とからなる隣接融着部
を有し、
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものが、前記縦方向において、前記吸収体の端縁よりも外方に位置している、パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものが存する領域において、2枚以上の前記着色シートが厚み方向において隣接している、請求項1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものが存する領域において、第1融着部を形成するシートに含まれる前記着色シートの枚数が、該第1融着部を形成するシートに含まれる非着色シートの枚数以上である、請求項1又は2に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものは、前記縦方向において、他の第1融着部又は前記隣接融着部よりも外方に位置している、請求項1~3のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項5】
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものの周長は、第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が二番目に大きいものの周長の110%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記外装体は、前記着色シートと、該着色シートの非肌対向面側に配された外層シートとを有し、
前記着色シートの色は、前記外層シートの色よりも、L*a*b*表色系におけるL*値が小さい、請求項1~5のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記外層シートは、白色のシートである、請求項6に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記着色シートは、色材が練り込まれた繊維を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項9】
第1融着部は、前記横方向に間隔をおいて配された複数の小融着部からなる、請求項1~8のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項10】
第1融着部は、前記横方向に間隔をおいて配された複数の小融着部からなり、
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものに含まれる前記小融着部の数は、他の第1融着部又は前記隣接融着部に含まれる前記小融着部の数よりも多い、請求項1~9のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項11】
前記腹側部又は前記背側部内のシートどうしを融着し該第1融着部に最も近い第2融着部を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項12】
第2融着部が、前記縦方向に間隔をおいて複数配置されており、
前記縦方向における内方から外方向かって、第2融着部の周長が長くなっている、請求項11に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項13】
第2融着部の一部が第1融着部と重なっている、請求項11又は12に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項14】
隣接融着部を構成する第1融着部の面積は、該隣接融着部を構成する第2融着部の面積よりも大きい、請求項11~13のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項15】
前記外装体は、前記横方向に沿って伸長状態で配された弾性部材を有しており、
前記弾性部材は、前記縦方向において隣り合う第2融着部どうしの間を通るように配されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着用時に着用者の腹側に配される腹側部の両側部と、背側に配される背側部の両側部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつが知られている(特許文献1~3参照)。このようなパンツ型使い捨ておむつは、一般に、使用後にサイドシール部を引き裂くことで、該おむつの着用者から容易に取り外すことができる。パンツ型使い捨ておむつとして、取り外し時のサイドシール部の引き裂き易さ等の観点から、サイドシール部の接合態様等について検討されたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、サイドシール部に、腹側部と背側部とを接合する接合部とともに、外装体を構成する外層シート及び内層シートを融着する融着部とを有するパンツ型使い捨ておむつが記載されている。特許文献1においては、サイドシール部の幅方向における融着部の長さを、該サイドシール部の幅方向の長さに比して短くすることにより、サイドシール部の接合強度と引き裂き易さとを両立できるようにしている。
【0004】
また、おむつの意匠性を向上させたり、おむつが適切に着用されているか否かを容易に判断できるようにしたりすることを目的として、該おむつの外装体の一部を着色することも行われている(特許文献2及び3参照)。
【0005】
特許文献2のパンツ型使い捨ておむつにおいては、おむつのウエスト伸縮部における該おむつの外面を形成する外層シートに、印刷等により着色部が形成されている。特許文献1には、おむつを外層シート側からみたときの着色部の視認状況等に基づき、該おむつが適切に着用されているか否かを判断することができることが記載されている。
【0006】
特許文献3のパンツ型使い捨ておむつにおいては、該おむつの外装体は伸縮領域と非伸縮領域を有し、両領域は着色部を有する不織布を備えている。非伸縮領域においては、外装体に、着色部より色の濃い高密度濃色部が形成されている。特許文献2には、伸縮領域においては外装体が伸縮し色が濃く見えるようになり、非伸縮領域においては高密度濃色部が形成されていることにより色が濃く見えるようになるので、伸縮領域と非伸縮領域とで均一な色合いのカラー化を実現することができ、意匠性が高くなり易いことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2019/123549号公報
【特許文献2】特開2020-89438号公報
【特許文献3】特開2017-217063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サイドシール部の視認性が悪い場合、該サイドシール部を引き裂くときの起点となる部位を認識しにくいことにより、該サイドシール部をどの部位から引き裂けばよいか分からず、該サイドシール部を引き裂くことに手間取ってしまう場合がある。特許文献1~3のパンツ型使い捨ておむつは、サイドシール部の視認性を向上させる観点からの検討はなされておらず、改善の余地があった。
したがって本発明の課題は、サイドシール部を引き裂くときの起点となる部位を容易に認識することができる使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、吸収体と、該吸収体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、
着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを有し、該股下部を通って着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向と直交する横方向を有し、該腹側部の両側部と該背側部の両側部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ使い捨ておむつに関する。
前記外装体は着色シートを含んでいる。
前記サイドシール部に、前記腹側部と前記背側部とが融着した第1融着部が、前記縦方向に間隔をおいて複数配置されている。
前記着色シートが配されている領域に、
(1)第1融着部、又は、
(2)第1融着部と、前記腹側部若しくは前記背側部内のシートどうしを融着し該第1融着部に最も近い第2融着部とからなる隣接融着部
を有する。
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものが、前記縦方向において、前記吸収体の端縁よりも外方に位置している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サイドシール部を引き裂くときの起点となる部位を容易に認識することができるパンツ型使い捨ておむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの腹側部の一部を非肌対向面側からみた平面図である。
図3図3は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの腹側部の一部を肌対向面側からみた平面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線断面図である。
図5図5(a)~(c)は、図6に示すパンツ型使い捨ておむつに係る隣接融着部の変形例を模式的に示す平面図である。
図6図6(a)~(c)は、図6に示すパンツ型使い捨ておむつに係る第1融着部及び第2融着部の配置パターンの変形例を模式的に示す平面図である。
図7図7は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの他の実施形態を模式的に示す平面図であり、図2相当図である。
図8図8は、本発明のパンツ型使い捨ておむつに係る第1融着部の変形例を模式的に示す平面図である。
図9図9は、図2及び図7のIX-IX線断面図である。
図10図10は、本発明のパンツ型使い捨ておむつに係るサイドシール部の変形例を模式的に示す断面図であり、図9相当図である。
図11図11(a)及び(b)は、本発明のパンツ型使い捨ておむつに係る第1融着部の他の変形例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
図1に本発明のパンツ型使い捨ておむつの第1実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ(以下、「おむつ」と言う。)1を示す。おむつ1は、図1図3に示すとおり、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Aと、該着用者の背側に配される背側部Bと、該腹側部A及び該背側部Bの間に位置する股下部Cとを有する。またおむつ1は、縦方向X及び該縦方向Xと直交する横方向Yを有する。縦方向Xは、股下部Cを通って着用者の前後方向に対応する方向である。
【0013】
おむつ1は、図1図3に示すとおり、吸収性本体2と、該吸収性本体2の非肌対向面側に配された外装体とを備えている。外装体は、腹側部Aに配される腹側外装体3Aと、背側部Bに配される背側外装体3Bとを含んでいる。おむつ1は、腹側外装体3Aの縦方向Xに沿う両側部3e,3eと、背側外装体3Bの縦方向Xに沿う両側部3f,3fとが接合されて一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WH及び一対のレッグ開口部LH,LHが形成されている。サイドシール部Sは、図2に示すように、腹側外装体3Aと背側外装体3Bとが融着した融着部(以下、「第1融着部」と言う。)41を有する。
【0014】
吸収性本体2は、図2に示すとおり、吸収体23、該吸収体23の肌対向面側に配された表面シート21及び該吸収体23の非肌対向面側に配された裏面シート22を有する。
吸収体23は、吸収性本体2と同様に、おむつ1の縦方向Xに長い形状を有しており、表面シート21と裏面シート22との間に介在配置されている。
第1実施形態においては、図2及び図3に示すように、縦方向Xにおける吸収性本体2の両端部を覆うように、固定用シート34が配されている。固定用シート34は、縦方向Xにおける吸収性本体2の端縁を跨ぐようにはいされている。横方向Yにおける固定用シート34の両端は、サイドシール部Sに位置している。
【0015】
「肌対向面」は、おむつ1又はその構成部材における、おむつ1の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、「非肌対向面」は、おむつ1又はその構成部材における、おむつ1の着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。また「着用時」及び「着用状態」は、おむつ1の適正な着用位置が維持されて着用された状態を指す。
【0016】
外装体は、上述のとおり、腹側外装体3Aと背側外装体3Bとを含んでいる。第1実施形態において、腹側外装体3A及び背側外装体3Bはそれぞれ、おむつ1の外面を形成する外層シート32と、該外層シート32の肌対向面側に配された内層シート31とを有する。第1実施形態において、内層シート31は着色シートである。本明細書において、着色シートは白以外の有色のシートである。
【0017】
腹側外装体3Aにおいて、外層シート32と内層シート31との間には、横方向Yに沿って伸長状態で複数本の弾性部材33が配されている。弾性部材33は、吸収性本体2と重なる領域においては、細かく分断する等の処理が施されて弾性伸縮性を発現しないように配されていてもよい。第1実施形態において、背側外装体3Bは、腹側外装体3Aと背側外装体3Bとは同様の構成を有している。腹側外装体3Aについての説明は、背側外装体3Bについても同様に適用される。
【0018】
腹側外装体3Aは、該腹側外装体2A内のシートどうし、即ち外層シート32及び内層シート31を融着する融着部42を複数有する。外層シート32及び内層シート31を融着する融着部42は、縦方向X及び横方向Yそれぞれに間欠的に配されている。第1実施形態においては、外層シート32と内層シート31との間に伸長状態で配された弾性部材33が収縮することにより、隣り合う融着部42間の外層シート32及び内層シート31が非肌対向面側及び肌対向面側に膨らむように変形して、隣り合う融着部42間に外層シート32又は内層シート31からなる襞が生じるとともに、両シート31,32間に、襞と襞とに周囲を囲まれた中空部が形成される。これにより、第1実施形態のおむつ1は、肌触りに優れる。
本明細書においては、外層シート32及び内層シート31を融着する融着部42のうち、第1融着部41に最も近い融着部を第2融着部43と呼ぶ。なお、図3においては、弾性部材33、第1融着部41及び融着部42の図示を省略している。
【0019】
第1実施形態のおむつ1は、着色シートである内層シート31が配されている領域に、第1融着部41と第2融着部43とを有する。
具体的には、第1融着部41は、図2に示すように、サイドシール部Sにおいて縦方向Xに間隔をおいて複数配置されている。サイドシール部Sは、周長が異なる複数の第1融着部41を有している。具体的には、サイドシール部Sは、相対的に周長が長い第1融着部(以下、「長第1融着部」と言う。)41aと、相対的に周長が短い第1融着部(以下、「短第1融着部」と言う。)41bとを有する。
【0020】
第1実施形態においては、上述のように、サイドシール部Sは第1融着部41を有する。第1融着部41を形成しているシートは着色シートを含んでいる。具体的には、第1融着部41は、図4に示すように、腹側外装体3Aの内層シート31及び外層シート32、並びに背側外装体3Bの内層シート31及び外層シート32が融着されて形成されている。第1実施形態においては、上述のように、腹側外装体3A及び背側外装体3Bの内層シート31が着色シートである。第1融着部41の周縁部51は、該周縁部51の内側に比してシートの繊維密度が高いので、自ずと、着色シートである内層シート31の繊維密度も高い。したがって、第1融着部41の周縁部51は、該第1融着部41の周縁部51の内側やサイドシール部Sにおける第1融着部41以外の部分に比して色が濃く見えるので、サイドシール部Sの視認性を向上させることができる。このように、第1実施形態のおむつ1においては、第1融着部41を形成することで、自ずとサイドシール部の視認性を向上させることができるので、サイドシール部の視認性を向上させることを目的として、例えば該サイドシール部Sに印刷を施す必要がない。
【0021】
第1実施形態において、第2融着部43は、図2に示すように、縦方向Xに間隔をおいて複数配置されている。複数の第2融着部43は周長が同じである。
第2融着部43についても、第1融着部41と同様に、該第2融着部43の周縁部53は、該周縁部53の内側に比してシートの繊維密度が高く、着色シートである内層シート31の繊維密度も高いので、第2融着部43の周縁部53は、該第2融着部43の周縁部53の内側や外装体にける第2融着部43以外の部分に比して色が濃く見える。
【0022】
第1実施形態においては、図2に示すように、第1融着部41と第2融着部43とからなる隣接融着部44が、縦方向Xに複数配されている。隣接融着部44は、第1融着部41と第2融着部43とからなる一組の融着部である。おむつ1は、周長が異なる隣接融着部44を複数有している。具体的には、長第1融着部41aと第2融着部43とからなり相対的に周長が長い隣接融着部(以下、「長隣接融着部」と言う。)44aと、短第1融着部41bと第2融着部43とからなり相対的に周長が短い隣接融着部(以下、「短隣接融着部」と言う。)44bとを有する。隣接融着部44の周長とは、該隣接融着部44を構成する第1融着部41の周長と、該隣接融着部44を構成する第2融着部43の周長とを合計した長さを意味する。
【0023】
おむつ1においては、隣接融着部44であってその周長が最大のもの(以下、「最長隣接融着部」と言う。)44Aが、縦方向Xにおいて、吸収体23の端縁23aよりも外方に位置している。第1実施形態においては、長隣接融着部44aが最長隣接融着部44Aである。最長隣接融着部44Aが上述のような位置関係に配されていることにより、おむつ1は、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を容易に認識することができる。以下、この点について詳述する。
第1融着部41及び第2融着部43は、上述のように、その周縁部の色が相対的に濃くなっている。最長隣接融着部44Aは、他の隣接融着部44に比してその周長が長いので、色が濃い部分である周縁部が長い。そのため、最長隣接融着部44Aは視認性がよい。したがって、第1実施形態のおむつ1は、最長隣接融着部44Aを目印として、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を容易に認識することができる。
【0024】
隣接融着部44について、図5(a)~(c)を参照しながら詳述する。図5(a)には、5つの第1融着部41と、3つの融着部42とが示されている。図5(a)では、5つの第1融着部41をそれぞれ、符号41e,41f,41g,41h,41iで示し、3つの融着部42をそれぞれ符号42e,42f,42gで示す。
第1融着部41eに着目すると、融着部42eが該第1融着部41eに最も近い融着部42eであるので、該融着部42eが第2融着部43eであり、第1融着部41eと第2融着部43eとが隣接融着部44eとなる。
第1融着部41fに着目すると、該第1融着部41fは、最も近い第2融着部43を有していない。融着部42e,42fはそれぞれ、第1融着部41fよりも第1融着部41e,41gに近い。このように、第1融着部41fに最も近い融着部42e,42fが、該第1融着部41fよりも近い第1融着部41e,41gを有する場合、該融着部42e,42fは第2融着部43ではなく、該第1融着部41fは隣接融着部44を形成していない。
第1融着部41h,41iに着目すると、融着部42gは、該第1融着部41h,41iそれぞれから、等距離に位置している。このような場合、融着部42gが、第1融着部41h,41iそれぞれの第2融着部43gである。したがって、第1融着部41hと第2融着部43gとが隣接融着部44hとなり、第1融着部41iと第2融着部43gとが隣接融着部44iとなる。
【0025】
融着部42が第2融着部43であるか否かは、融着部42と第1融着部41との最短距離によって判断することができる。この点について、図5(b)及び(c)を参照しながら詳述する。図5(b)及び(c)には、2つの第1融着部41と、1つの融着部42とが示されている。図5(b)では、2つの第1融着部41をそれぞれ、符号41j,41kで示し、図5(c)では、3つの第1融着部41をそれぞれ符号41m,41nで示す。
図5(b)において、第1融着部41j及び融着部42の距離D1と、第1融着部41k及び融着部42の距離D2とは同じである。したがって、融着部42は、第1融着部41j,41kそれぞれの第2融着部43である。したがって、第1融着部41jと第2融着部43とが隣接融着部44jとなり、第1融着部41kと第2融着部43とが隣接融着部44kとなる。
図5(c)において、第1融着部41m及び融着部42の距離D3は、第1融着部41n及び融着部42の距離D4よりも大きい。したがって、融着部42は、第1融着部41mの第2融着部43であり、第1融着部41nの第2融着部43ではない。したがって、第1融着部41mと第2融着部43とが隣接融着部44mとなり、第1融着部41nは隣接融着部44kを形成していない。
【0026】
第1実施形態においては、第2融着部43を有していることにより、第1融着部41のみを有する場合に比して、隣接融着部44の周長を長くすることができるので、サイドシール部Sの視認性を一層向上させることができ、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができる。
【0027】
第1実施形態においては、図6(a)に示すように、縦方向Xにおける内方から外方に向かって第2融着部43の周長が長くなっていることも好ましい。これにより、縦方向Xの外方側に位置する隣接融着部44の周長が一層長くなり、サイドシール部Sの視認性を一層向上させることができるので、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようになる。第2融着部43の周長は、縦方向Xにおける内方から外方に向かって段階的に長くなっていてもよいし、漸次長くなっていてもよい。
【0028】
また第1実施形態においては、図6(b)に示すように、第2融着部43の一部が第1融着部41と重なっていることも好ましい。これにより、特に第2融着部43の一部が第1融着部41と重なった部分の色が濃くなり、サイドシール部Sの視認性を一層向上させることができるので、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようになる。外装体が第2融着部43を複数有する場合、一部が第1融着部41と重なっている第2融着部43は、1つのみであってもよいし、複数の第2融着部43のうちの一部であってもよいし、全ての第2融着部43であってもよい。サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようにする観点からは、一部が第1融着部41と重なっている第2融着部43は、最長隣接融着部44Aを形成している第2融着部43であることが好ましい。
【0029】
また第1実施形態においては、隣接融着部44を構成する第1融着部41の面積S1は、該隣接融着部44を構成する第2融着部43の面積S2よりも大きいことが好ましい。これにより、サイドシール部Sの視認性を一層向上させることができるので、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようになる。この効果を一層顕著にする観点から、前記面積S2に対する前記面積S1の比S1/S2は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上であり、また好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下であり、また好ましくは1.1以上2.0以下、より好ましくは1.2以上1.8以下である。
【0030】
また第1実施形態においては、図6(c)に示すように、隣接融着部44と、隣接融着部44を形成していない第1融着部41とが混在していてもよい。
【0031】
図7には、本発明の第2実施形態に係るおむつ1が示されている。第2実施形態のおむつ1は、第1実施形態のおむつ1と異なり、腹側外装体3A及び背側外装体3Bの外層シート32及び内層シート31が融着されておらず、融着部42を有していない。したがって、第2実施形態のおむつ1は、隣接融着部44を有していない。第2実施形態のおむつ1は、着色シートである内層シート31が配されている領域に第1融着部41を有する。
【0032】
第2実施形態のおむつ1においては、第1融着部41であってその周長が最大のもの(以下、「最長第1融着部」と言う。)41Aが、縦方向Xにおいて、吸収体23の端縁23aよりも外方に位置している。第2実施形態においては、長第1融着部41aが最長第1融着部41Aである。最長第1融着部41Aが上述のような位置に配されていることにより、おむつ1は、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を容易に認識することができる。以下、この点について詳述する。
第1融着部41は、上述のように、その周縁部の色が相対的に濃くなっている。最長第1融着部41Aは、他の第1融着部41に比してその周長が長いので、色が濃い部分である周縁部が長い。そのため、最長第1融着部41Aは視認性が特によい。したがって、第2実施形態のおむつ1は、最長第1融着部41Aを目印として、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を容易に認識することができる。
【0033】
次に、上述した各実施形態に共通する事項について説明する。
第1融着部41は、図8に示すように、横方向Yに間隔を置いて配された小融着部41cからなるのもであってもよい。第1融着部41が複数の小融着部41cからなる場合、第1融着部41の周長は、各小融着部41cの周長の合計である。
【0034】
第1及び第2実施形態において、腹側外装体3A及び背側外装体3Bはそれぞれ、上述のように、着色シートとして内層シート31を有し、サイドシール部Sにおいて両外装体3A,3Bが接合されている。第1及び第2実施形態においては、図9に示すように、最長第1融着部41A又は最長隣接融着部44Aが存する領域Rにおいては、着色シートである内層シート31どうしが厚み方向において隣接している。内層シート31どうしが厚み方向において隣接しているとは、腹側外装体3Aの内層シート31と背側外装体3Bの内層シート31との間に他のシートが介在していないことを意味する。最長第1融着部41A又は最長隣接融着部44Aが存する領域Rにおいて着色シートどうしが直接重なっていることにより、第1融着部41において、着色シートの繊維密度を一層高くすることができるので、第1融着部41の周縁部51の色を一層濃くすることができ、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようになる。この効果を一層顕著にする観点から、最長第1融着部41A又は最長隣接融着部44Aが存する領域Rにおいて直接重なっている着色シートの枚数は、好ましくは2枚以上であり、また好ましくは4枚以下であり、また好ましくは2枚以上4枚以下である。
【0035】
また、第1及び第2実施形態においては、図10に示すように、外層シート32が、縦方向Xにおける内層シート31の端部31aを越えて延出しており、肌対向面側に折り返されていてもよい。図10に示す実施形態においては、外層シート32が着色シートであり、内層シート31は非着色シートである。図10に示す実施形態では、前記領域Rは、縦方向Xにおける内層シート31の端部31aよりも外方の領域R1と、該端部31aよりも内方の領域R2とに分けられる。
【0036】
図10に示す実施形態は、最長第1融着部41A又は最長隣接融着部44Aが存する領域Rにおいて、第1融着部41を形成するシートに含まれる着色シートの枚数が、該第1融着部41を形成するシートに含まれる非着色シートの枚数以上となっている。具体的には、前記領域R1においては、腹側外装体3Aの外層シート32及び該外層シート32の折り返し部分32b、並びに背側外装体3Bの外層シート32及び該外層シート32の折り返し部分32bが重なっている。つまり、前記領域R1においては、着色シートが4枚重なっており、非着色シートは存在していない。また前記領域R2においては、腹側外装体3Aの外層シート32、内層シート31及び該外層シート32の折り返し部分32b、並びに背側外装体3Bの外層シート32、内層シート31及び該外層シート32の折り返し部分32bが重なっている。つまり、前記領域R2においては、着色シートが4枚重なっており、非着色シートが2枚重なっている。
【0037】
前記領域Rにおいて、第1融着部41を形成するシートに含まれる着色シートの枚数を、第1融着部41を形成するシートに含まれる非着色シートの枚数以上とすることにより、第1融着部41の周縁部51の色と、サイドシール部Sにおける第1融着部41以外の部分の色との差を一層大きくすることができるので、サイドシール部Sの視認性を一層向上させ、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようになる。
【0038】
第1及び第2実施形態において、図2及び図6に示すように、最長第1融着部41A又は最長隣接融着部44Aは、縦方向Xにおいて、他の第1融着部41又は隣接融着部44よりも外方に位置していることが好ましい。換言すれば、縦方向Xにおいて最も外方に位置する第1融着部41又は隣接融着部44が、最長第1融着部41A又は最長隣接融着部44Aであることが好ましい。こうすることにより、サイドシール部Sにおける縦方向Xにおける外方側の端部の視認性を一層向上させ、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようになる。
【0039】
第1及び第2実施形態において、最長第1融着部41A又は最長隣接融着部44Aの周長LAは、該最長第1融着部41A又は該最長隣接融着部44Aの次に周長が長い第1融着部41又は隣接融着部44の周長LBの110%以上であることが好ましい。これにより、最長第1融着部41A又は最長隣接融着部44Aの視認性を一層向上させることができるので、サイドシール部Sの視認性を一層向上させ、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようになる。この効果を一層顕著にする観点から、前記周長LAは前記周長LBの好ましくは110%以上、より好ましくは130%以上であり、また好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下であり、また好ましくは110%以上300%以下、より好ましくは130%以上200%以下である。
【0040】
第1及び第2実施形態において、内層シート31及び外層シート32の色は特に制限されない。内層シート31及び外層シート32の色としては、例えば、白色、淡赤色、淡桃色、淡青色、淡緑色等が挙げられる。内層シート31及び外層シート32の色は同じであってもよいし、異なっていてもよい。内層シート31の色と外層シート32の色との組合わせとしては、白色と白色以外の有色の組合わせが好ましい。
【0041】
第1及び第2実施形態において、内層シート31の色は、外層シート32の色よりも暗いことが好ましい。より具体的には、内層シート31の色は、外層シート32の色よりもL*a*b*表色系におけるL*値が小さいことが好ましい。こうすることにより、サイドシール部Sの色と、外装体におけるサイドシール部S間の部分の色との差を一層大きくすることができ、サイドシール部Sの視認性を一層向上させ、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようになる。詳細には、おむつ1を非肌対向面側である外層シート32側から見たときに、外層シート32の色と、第1融着部41及び隣接融着部44の周縁部の色との差が大きくなるので、第1融着部41及び隣接融着部44の視認性が一層向上し、サイドシール部Sの視認性が一層向上する。この効果を一層顕著にする観点から、内層シート31と外層シート32とは前記L*値の差が、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上である。前記L*値は、JIS Z 8729に規定する「L*a*b*表色系」において、は明るさを示す値である。
【0042】
内層シート31の前記L*値は、サイドシール部Sの視認性を一層向上させる観点から、好ましくは60以上、より好ましくは65以上、更に好ましくは70以上であり、また好ましくは90以下、より好ましくは85以下、更に好ましくは80以下であり、また好ましくは60以上90以下、より好ましくは65以上85以下、更に好ましくは70以上80以下である。
【0043】
外層シート32の前記L*値は、サイドシール部Sの視認性を一層向上させる観点から、好ましくは70以上、より好ましくは75以上、更に好ましくは80以上である。
【0044】
サイドシール部Sの視認性が一層向上するという効果を一層顕著にする観点から、内層シート31と外層シート32とは色差が、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、更に好ましくは15以上である。また内層シートの色が濃くなり過ぎることを防ぎ、第1融着部41及び隣接融着部44の周縁部の視認性が低下することを防ぐ観点から、内層シート31と外層シート32とは色差が、50以下であることが好ましく、より好ましくは40以下である。
【0045】
本明細書において、色差は「L*a*b*表色系における色差」であり、以下の方法により測定することができる。斯かる色差は、大きければ大きいほど色の違いを認識できることを意味する。
【0046】
〔色差(ΔE*値)の測定方法〕
色差計としては、エックスライト社製の測色計/濃度計を用いることができる。JIS Z 8729に規定する「L*a*b*表色系」では、L*は明るさを、a*、b*は色の方向を示しており、a*は略赤方向、-a*は略緑方向、b*は略黄色方向、-b*は略青方向を示している。そして、ΔE*は、下記式(1)で求められる値である。
ΔE*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2・・・(1)
ΔL*、Δa*、Δb*は、それぞれ、2色間のL*値、a*値、b*値の差である。例えばΔL*は、ΔL*=L*2-L*1により計算される。
測定の際には、内層シート又は外層シートからサンプルを切り出し、該サンプルを水平な場所にシワや折れ曲がりがないように8枚重ねて載置する。測定対象の内層シート又は外層シートが市販の使い捨ておむつ等の製品に組み込まれている場合、該使い捨ておむつに対して、コールドスプレーを噴霧して、使い捨ておむつの構成部材を接着している接着剤を固化させて、内層シート、外層シートなどの各部材ごとに分解する。
そして、8枚重ねて載置したサンプルの上にセンサーの先端部を押し当てて計測する。内層シート31及び外層シート32のそれぞれについて、この計測を任意の3箇所で行い、その平均値を、それぞれの測定値とする。
【0047】
第1及び第2実施形態において、外層シート32は白色であることが好ましい。サイドシール部Sの色と、外装体におけるサイドシール部S間の部分の色との差を一層大きくすることができ、サイドシール部Sの視認性を一層向上させ、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようになる。
【0048】
第1及び第2実施形態においては、第1融着部41は、上述のように、横方向Yに間隔をおいて配された複数の小融着部41cからなるものであってもよい。
【0049】
また第1融着部41が複数の小融着部41cからなる場合、最長第1融着部41A又は最長隣接融着部44Aに含まれる小融着部41cの数は、他の第1融着部41又は隣接融着部44に含まれる小融着部の数よりも多いことが好ましい(図11(b)参照)。これにより、最長第1融着部41A又は最長隣接融着部44Aの視認性が一層向上し、サイドシール部Sの視認性が一層向上するので、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようになる。この効果を一層顕著にする観点から、最長第1融着部41A又は最長隣接融着部44Aに含まれる小融着部41cの数と、他の第1融着部41又は隣接融着部44に含まれる小融着部の数との差は、好ましくは1以上である。
【0050】
また第1及び第2実施形態においては、図2及び図6に示すように、弾性部材33は、縦方向Xにおいて隣り合う第1融着部41どうしの間を通るように配されていることが好ましい。換言すれば、弾性部材33は、第1融着部41と重ならないように配されていることが好ましい。これにより、第1融着部41の色の濃さが低減することを防ぐことができ、サイドシール部Sの視認性を維持することができる。また、同様の観点から、弾性部材33は、第2融着部43同士の間を通るように配されていることも好ましい。換言すれば、弾性部材33は、第2融着部43と重ならないように配されていることも好ましい。
【0051】
次に、おむつ1の構成材料について説明する。
表面シート21としては、液透過性を有するシート、例えば不織布や穿孔フィルムなどを用いることができる。表面シートは、その肌対向面側が凹凸形状になっていてもよい。例えば表面シートの肌対向面側に、散点状に複数の凸部を形成することができる。あるいは、表面シートの肌対向面側に、一方向に延びる畝部と溝部とを交互に形成することができる。そのような目的のために、2枚以上の不織布を用いて表面シート21を形成することもできる。
【0052】
一方、裏面シート22としては、例えば液難透過性のフィルムやスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド積層不織布などを用いることができる。液難透過性のフィルムに、複数の微細孔を設け、該フィルムに水蒸気透過性を付与してもよい。使い捨ておむつの肌触り等を一層良好にする目的で、裏面シートの外面に不織布等の風合いの良好なシートを積層してもよい。
【0053】
吸収体23は、吸収性コアを備えている。吸収性コアは例えばパルプを初めとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸収性ポリマーとの混合積繊体、吸収性ポリマーの堆積体、2枚の吸収性シート間に吸収性ポリマーが担持された積層構造体などから構成される。吸収性コアは、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
【0054】
上述の表面シート21、裏面シート22及び吸収体23に加え、吸収性本体2には、パンツ型使い捨ておむつの具体的な用途に応じ、肌対向面側の長手方向に沿う両側部に、長手方向に沿って延びる防漏カフが配される場合がある。防漏カフは一般に、基端部と自由端とを備えている。防漏カフは、使い捨ておむつの肌対向面側に基端部を有し、肌対向面側から起立している。防漏カフは、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材から構成されている。防漏カフの自由端又はその近傍には、糸ゴム等からなる弾性部材を伸長状態で配してもよい。パンツ使い捨ておむつの着用状態においてこの弾性部材が収縮することによって、防漏カフが着用者の身体に向けて起立するようになり、表面シート上に排泄された液が、表面シート上を伝いパンツ型使い捨ておむつの横方向外方へ漏れ出すことが効果的に阻止される。
【0055】
外層シート32及び内層シート31としては、それぞれ、各種製法による不織布、樹脂製フィルムなどを用いることができ、不織布としては例えば、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。両シート31,32は、それぞれ、単層構造でもよく、2枚以上のシートが積層された積層構造でもよい。また両シート31,32は、それぞれ、横方向Yに伸縮性を有する伸縮性シートでもよく、伸縮性を有さない非伸縮性シートでもよい。
【0056】
着色シートは、色材が練り込まれた繊維を含むことが好ましい。これにより、シートの繊維密度が高い第1融着部41又は第2融着部43の周縁部51,53の色を一層濃くすることができるので、サイドシール部Sの視認性が一層向上し、サイドシール部Sを引き裂くときの起点となる部位を一層容易に認識することができるようになる。色材としては、顔料、染料が挙げられ、これらの中でも顔料が好ましい。
【0057】
以上、本発明のパンツ型使い捨ておむつを、その好ましい実施形態に基づいて説明してきたが、本発明のパンツ型使い捨ておむつは、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明のパンツ型使い捨ておむつは、腹側外装体3Aと背側外装体3Bとが同様の構成を有するものに限られない。腹側外装体3A及び背側外装体3Bのいずれか一方のみが、前述した構成を有していてもよい。
【0058】
また、腹側外装体3A及び背側外装体3Bのいずれか一方又は両方が、外層シート32及び内層シート31を融着する融着部42を有していてもよい。また腹側外装体3A及び背側外装体3Bのいずれか一方又は両方が、第2融着部43を有していてもよい。
【0059】
また、上述した各実施形態において、外装体は、腹側外装体3Aと背側外装体3Bとに分割されていたが、外装体は腹側部A、股下部C及び背側部Bにわたって連続していてもよい。
【0060】
また、上述した各実施形態において、第1融着部41及び第2融着部43は、矩形形状を有していたが、第1融着部41及び第2融着部43の形状はこれに限られず、例えば、円形、楕円形、多角形、星形等であってもよい。
【0061】
本発明は更に以下の付記を開示する。
<1>
吸収体と、該吸収体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、
着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを有し、該股下部を通って着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向と直交する横方向を有し、該腹側部の両側部と該背側部の両側部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつであって、
前記外装体は着色シートを含み、
前記サイドシール部に、前記腹側部と前記背側部とが融着した第1融着部が、前記縦方向に間隔をおいて複数配置されており、
前記着色シートが配されている領域に、
(1)第1融着部、又は、
(2)第1融着部と、前記腹側部若しくは前記背側部内のシートどうしを融着し該第1融着部に最も近い第2融着部とからなる隣接融着部
を有し、
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものが、前記縦方向において、前記吸収体の端縁よりも外方に位置している、パンツ型使い捨ておむつ。
【0062】
<2>
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものが存する領域において、2枚以上、好ましくは2枚以上4枚以下の前記着色シートが厚み方向において隣接している、前記<1>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<3>
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものが存する領域において、第1融着部を形成するシートに含まれる前記着色シートの枚数が、該第1融着部を形成するシートに含まれる非着色シートの枚数以上である、前記<1>又は<2>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<4>
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものは、前記縦方向において、他の第1融着部又は前記隣接融着部よりも外方に位置している、前記<1>~<3>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<5>
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものの周長は、第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が二番目に大きいものの周長の110%以上、好ましくは110%以上300%以下、より好ましくは130%以上200%以下である、前記<1>~<4>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【0063】
<6>
前記外装体は、前記着色シートと、該着色シートの非肌対向面側に配された外層シートとを有し、
前記着色シートの色は、前記外層シートの色よりも、L*a*b*表色系におけるL*値が小さい、前記<1>~<5>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<7>
前記外層シートと前記着色シートのL*a*b*表色系におけるL*値の差が、1以上、好ましくは3以上である、前記<6>に記載の吸収性物品。
<8>
前記外層シートは、白色のシートである、前記<7>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<9>
前記着色シートは、色材が練り込まれた繊維を含む、前記<1>~<8>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<10>
前記着色シートは、L*a*b*表色系におけるL*値が60以上90以下、好ましくは65以上85以下、より好ましくは70以上80以下である、前記<9>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【0064】
<11>
第1融着部は、前記横方向に間隔をおいて配された複数の小融着部からなる、前記<1>~<10>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<12>
第1融着部は、前記横方向に間隔をおいて配された複数の小融着部からなり、
第1融着部又は前記隣接融着部であって周長が最大のものに含まれる前記小融着部の数は、他の第1融着部又は前記隣接融着部に含まれる前記小融着部の数よりも多い、前記<1>~<11>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<13>
前記腹側部又は前記背側部内のシートどうしを融着し該第1融着部に最も近い第2融着部を有する、前記<1>~<12>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<14>
第2融着部が、前記縦方向に間隔をおいて複数配置されており、
前記縦方向における内方から外方向かって、第2融着部の周長が長くなっている、前記<13>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<15>
第2融着部の一部が第1融着部と重なっている、前記<13>又は<14>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<16>
隣接融着部を構成する第1融着部の面積は、該隣接融着部を構成する第2融着部の面積よりも大きい、前記<13>~<15>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<17>
前記第2融着部の面積に対する前記第1融着部の面積の比率が、1.1以上2.0以下、好ましくは1.2以上1.8以下である、前記<16>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<18>
前記外装体は、前記横方向に沿って伸長状態で配された弾性部材を有しており、
前記弾性部材は、前記縦方向において隣り合う第2融着部どうしの間を通るように配されている、前記<13>~<17>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【符号の説明】
【0065】
1 パンツ型使い捨ておむつ
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
23吸収体
3A 腹側外装体
3B 背側外装体
31 内層シート
32 外層シート
33 弾性部材
34 固定用シート
41 第1融着部
43 第2融着部
44 隣接融着部
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
S サイドシール部
WH ウエスト開口部
LH レッグ開口部
X 縦方向
Y 横方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11