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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184657
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】卓上飛沫遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 5/02 20060101AFI20221206BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20221206BHJP
   A47F 10/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A47G5/02
A47B13/00 Z
A47F10/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092639
(22)【出願日】2021-06-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年4月21日に愛知県議会議事堂にて甲村圭が発明した卓上飛沫遮蔽装置を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】521239510
【氏名又は名称】甲村 圭
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲村 圭
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NQ08
(57)【要約】
【課題】市販のラップを用いて、アクリル板を用いる場合よりもはるかに手軽かつ安価に遮蔽壁を構築することができ、飛沫抑制効果を向上する。
【解決手段】ラップフィルムロール3を略鉛直な第1軸心P1まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第1装着ホルダ10と、第1装着ホルダ10のラップフィルムロール3から繰り出されたラップフィルム2を巻回するロール巻回部材としてのラップ巻取軸28を、略鉛直な第2軸心P2まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第2装着ホルダ20と、を有し、第1装着ホルダ10を卓上の左右方向一方側に配置するとともに第2装着ホルダ20をテーブルTの左右方向他方側に配置し、第1装着ホルダ10のラップフィルムロール3から繰り出されたラップフィルム2を第1装着ホルダ10と第2装着ホルダ20との間に左右方向に架け渡すことで、テーブルTにおける飛沫遮蔽壁Wを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップフィルムを繰り出し可能に巻回したラップフィルムロールを、略鉛直な第1軸心まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第1装着ホルダと、
前記第1装着ホルダの前記ラップフィルムロールから繰り出された前記ラップフィルムを巻回するロール巻回部材を、略鉛直な第2軸心まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第2装着ホルダと、
を有し、
前記第1装着ホルダを卓上の左右方向一方側に配置するとともに前記第2装着ホルダを前記卓上の左右方向他方側に配置し、前記第1装着ホルダの前記ラップフィルムロールから繰り出された前記ラップフィルムを前記第1装着ホルダと前記第2装着ホルダとの間に左右方向に架け渡して、前記卓上における飛沫遮蔽壁を構成した
ことを特徴とする卓上飛沫遮蔽装置。
【請求項2】
請求項1記載の卓上飛沫遮蔽装置において、
前記ロール巻回部材は、
前記第2軸心を挟んで互いに間隔をおいて並列配置された2つの丸棒部材を備え、それら2つの丸棒部材の間に前記ラップフィルムを通した後に前記第2軸心まわりに回転して、当該ラップフィルムを前記2つの丸棒部材全体の外周に巻き付ける
ことを特徴とする卓上飛沫遮蔽装置。
【請求項3】
請求項2記載の卓上飛沫遮蔽装置において、
前記第1装着ホルダと前記第2装着ホルダとの間に架け渡された前記ラップフィルムに対して張力を付与する張力付与部をさらに有する
ことを特徴とする卓上飛沫遮蔽装置。
【請求項4】
請求項3記載の卓上飛沫遮蔽装置において、
前記第1装着ホルダは、
内部に前記ラップフィルムロールを回転可能に略収納する第1カバー部材を備え、
前記第2装着ホルダは、
内部に前記ロール巻回部材を回転可能に略収納する第2カバー部材を備え、
前記張力付与部は、
前記第1カバー部材において開閉可能に備えられ、当該第1カバー部材の内部から外部へ導出される前記ラップフィルムを閉じ状態にて係止する第1開閉扉と、
前記第2カバー部材において開閉可能に備えられ、当該第2カバー部材の外部から内部へ導入される前記ラップフィルムを閉じ状態にて係止する第2開閉扉と、
を含むことを特徴とする卓上飛沫遮蔽装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の卓上飛沫遮蔽装置において、
前記第1装着ホルダ及び前記第2装着ホルダそれぞれの下端部の前記卓上における設置高さを可変に設定可能な高さ調整機構をさらに有する
ことを特徴とする卓上飛沫遮蔽装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の卓上飛沫遮蔽装置において、
前記第1装着ホルダと前記第2装着ホルダとの間に設けられ、当該第1装着ホルダと当該第2装着ホルダとの間に架け渡された前記ラップフィルムを保持する中間ホルダをさらに有する
ことを特徴とする卓上飛沫遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓上飛沫遮蔽装置、特に、飲食店におけるテーブルやカウンタ等に設置することができる卓上飛沫遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、透明のアクリル板からなる正面板と、この正面板の両側縁部にトルク蝶番を用いて回動可能に接続された一対の側板と、を備え、保管時には一対の側板を折り畳み可能とし、使用時には一対の側板を正面板に対して概ね90度開いて平面視略Hの字状として自立可能とした飛沫感染防止用アクリルパーテーションが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3228065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の飛沫感染防止用アクリルパーテーションでは、設置テーブル等に固定しないと不安定であるうえ、例えば、次の来店者が同じテーブルを利用する際にアルコール消毒等をするために消毒液の吹き付けをすることはできるものの、拭き取り清掃までを行うことが困難であった。
【0005】
また、アクリル板は、ある程度の厚さを備えているため、対面者同士の会話の声が遮られてしまい易く、互いにアクリル板に顔を寄せての会話となってしまったり、会話の声が大きくなってしまうなど、飛沫抑制の観点から良好であるとは言い難いという逆効果の要因ともなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、市販のラップを用いて、アクリル板を用いる場合よりもはるかに手軽かつ安価に遮蔽壁を構築することができるうえ、飛沫抑制効果を向上することができる卓上飛沫遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、ラップフィルムを繰り出し可能に巻回したラップフィルムロールを、略鉛直な第1軸心まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第1装着ホルダと、前記第1装着ホルダの前記ラップフィルムロールから繰り出された前記ラップフィルムを巻回するロール巻回部材を、略鉛直な第2軸心まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第2装着ホルダと、を有し、前記第1装着ホルダを卓上の左右方向一方側に配置するとともに前記第2装着ホルダを前記卓上の左右方向他方側に配置し、前記第1装着ホルダの前記ラップフィルムロールから繰り出された前記ラップフィルムを前記第1装着ホルダと前記第2装着ホルダとの間に左右方向に架け渡して、前記卓上における飛沫遮蔽壁を構成したものである。
【0008】
本発明の卓上飛沫遮蔽装置は、第1装着ホルダには、ラップフィルムを繰り出し可能に巻回したラップフィルムロール(以下、単に「ラップ」とも総称する)が略鉛直な第1軸心まわりに回転可能となるように着脱可能に装着される。
【0009】
また、第2装着ホルダには、第1装着ホルダのラップフィルムロールから繰り出されたラップフィルムを巻回するロール巻回部材が略鉛直な第2軸心まわりに回転可能となるように着脱可能に装着されている。
【0010】
さらに、これら第1装着ホルダと第2装着ホルダとを、例えば、テーブル(卓上)の対面する人の間に位置するように、第1装着ホルダを卓上の左右方向一方側に配置するとともに第2装着ホルダを卓上の左右方向他方側に配置し、第1装着ホルダのラップフィルムロールから繰り出されたラップフィルムを第1装着ホルダと第2装着ホルダとの間に左右方向に架け渡すことで、卓上における飛沫遮蔽壁を容易に構成することができる。
【0011】
このように、市販のラップを用いて、アクリル板を用いる場合よりもはるかに手軽かつ安価に遮蔽壁を構築できる。
【0012】
特に、アクリル板では対面する人の声を遮ってしまうために相手方の声が聞こえにくくなってしまうため、会話の声が大きくなってしまったり、互いにアクリル板に顔を寄せて声を聞き取ろうとする結果、飛沫抑制にはかえって逆効果になる場合も多い。これに対し、ラップフィルムは水分を通し難いうえに薄肉であるために会話の声を遮ることがなく、上述したような会話の弊害はない。
【0013】
また、一方側の第1装着ホルダから繰り出したラップフィルムを他方側の第2装着ホルダにおいて巻き取る簡素な構成である。このため、例えば、飲食店や会議のテーブル上で使用する場合、1組の使用者が使用した後は、そのときに露出していた部分を第2装着ホルダに巻き取ることで、新しい未使用の部分が第1装着ホルダから供給される。したがって、アクリル板のように使用後にいちいち飛沫のふき取りや消毒を行う必要がない。
【0014】
また、ラップフィルムを対面者間の左右に張って遮蔽壁を構築するので、第1装着ホルダと第2装着ホルダとの間は自在に設定することができ、例えば、広いテーブルに適用することも狭いテーブルにおいて適用することも簡単にできるうえ、対面だけでなく隣接する人の間に対しても容易に設置が可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、市販のラップを用いて、アクリル板を用いる場合よりもはるかに手軽かつ安価に遮蔽壁を構築することができるうえ、飛沫抑制効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を示し、使用状態の一例の正面図である。
図2】固定部の拡大正面図である。
図3】第1カバー部材(第2カバー部材)の断面図である。
図4】連結部を分割して高さ方向に伸縮可能とした例の第1カバー部材を示し、(A)は第1カバー部材の正面図、(B)は要部の断面図、(C)は第1カバー部材の側面図である。
図5】ラップ巻取軸を示し、(A)は要部の正面図、(B)はラップフィルムの巻き取り例を示す説明図である。
図6】テーブル中央付近において対面する利用者の間に飛沫遮蔽壁を張る場合を示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。
図7】テーブル奥側において対面する利用者の間に飛沫遮蔽壁を張る場合を示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。
図8】テーブル中途部において隣接する利用者間に飛沫遮蔽壁を張る場合を示し、(A)は側面図、(B)は正面図、(C)は平面図である。
図9】中間ホルダの一例を示し、(A)は中間ホルダの正面図、(B)は独立した第1装着ホルダと第2装着ホルダ及び中間ホルダを用いてL型に飛沫遮蔽壁を張った例の平面図、(C)は、独立した第2装着ホルダと連結した第1装着ホルダ及び中間ホルダとを組み合わせてL型に飛沫遮蔽壁を張った例の平面図、(D)は1ユニット状の第1装着ホルダと第2装着ホルダ及び中間ホルダを用いてL型に飛沫遮蔽壁を張った例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。図1に示すように、卓上飛沫遮蔽装置1は、ラップフィルム2を繰り出し可能に巻回したラップフィルムロール3を、略鉛直な第1軸心P1まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第1装着ホルダ10と、第1装着ホルダ10のラップフィルムロール3から繰り出されたラップフィルム2を巻回するロール巻回部材28を、略鉛直な第2軸心P2まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第2装着ホルダ20と、を有する。
【0018】
これにより、卓上飛沫遮蔽装置1は、第1装着ホルダ10を卓上の左右方向一方側に配置(固定)するとともに第2装着ホルダ20を卓上の左右方向他方側に配置(固定)し、第1装着ホルダ10のラップフィルムロール3から繰り出されたラップフィルム2を第1装着ホルダ10と第2装着ホルダ20との間に左右方向に架け渡して、卓上における飛沫遮蔽壁を構成することができる。
【0019】
このように、卓上飛沫遮蔽装置1は、ラップフィルム2を繰り出し可能に巻回したラップフィルムロール3を、略鉛直な第1軸心P1まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第1装着ホルダ10と、第1装着ホルダ10のラップフィルムロール3から繰り出されたラップフィルム2を巻回するロール巻回部材としてのラップ巻取軸28を、略鉛直な第2軸心P2まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第2装着ホルダ20と、を有し、第1装着ホルダ10をテーブル(卓上)Tの左右方向一方側に配置するとともに第2装着ホルダ20をテーブルTの左右方向他方側に配置し、第1装着ホルダ10のラップフィルムロール3から繰り出されたラップフィルム2を第1装着ホルダ10と第2装着ホルダ20との間に左右方向に架け渡すことで、テーブルTにおける飛沫遮蔽壁Wを構成することができる。
【0020】
第1装着ホルダ10は、テーブルTに固定するための固定部11と、固定部11に設けられた連結部12と、連結部12に装着される第1カバー部材13と、を備える。
【0021】
図2に示すように、固定部11は、一方側(テーブルTに固定する際の内側)に開放する略コの字状の固定ブラケット14と、固定ブラケット14の下面側に昇降可能に設けられて固定ブラケット14の上面側とでテーブルTの天面側と底面側とを矜持する可動部材15と、を備える。
【0022】
可動部材15は、例えば、固定ブラケット14の下面側に昇降可能に設けられた軸状の雄ネジ部材15aと、雄ネジ部材15aの上端に設けられたゴム等の圧接部材15bと、を備えている。これにより、可動部材15は、固定ブラケット14の上面側と下面側とをテーブルTの外側から挿入し、圧接部材15bを上昇させてテーブルTの天面側と底面側とを固定ブラケット14の上面側と圧接部材15bとで挟持することでテーブルTに第1装着ホルダ10を固定することができる。なお、固定ブラケット14は、上面側と底面側との対向間隔が異なるものを複数種類用意することでテーブルTの形状や厚さに対応することが可能となっている。
【0023】
連結部12は、固定ブラケット14の上面側に設けられた角柱状(平板状等でもよい)の起立部16と、起立部16の上端に設けられた連結ブラケット17と、ラップフィルムロール3を引き出し可能に支持するラップ支持軸18と、を備える。
【0024】
連結ブラケット17は、例えば、後述する第1カバー部材13の隣り合った2面を固定する雌ネジ部(例えば、角型ナット)17aが設けられている。
【0025】
第1カバー部材13は、全体として角柱形状を呈しており、図3に示すように、2面が雌ネジ部17aに固定される断面略コの字状の固定カバー部13aと、固定カバー部13aにヒンジ13bを介して開閉可能に保持された回動カバー部13cと、を備える。
【0026】
固定カバー部13aの開放端側には内側に折り込んだ屈曲部13dが一体に形成されている。同様に、回動カバー部13cの自由端側には外側に向けて屈曲した庇部13eが一体に形成されている。固定カバー部13aと回動カバー部13cとは、開放状態とすることでラップフィルム2の引き出しが可能となっているとともに、屈曲部13dを含む開放端付近と庇部13eを含む開放端付近とが圧接状態で重合することでラップフィルム2のそれ以上の引き出しが阻止されるとともに回動カバー部13cが不測に開放しないようになっている。なお、この固定カバー部13aと回動カバー部13cとが圧接状態で重合することで第1カバー部材13において内部から外部へ導出されるラップフィルム2を閉じ状態にて係止する張力付与部としての第1開閉扉を構成している。
【0027】
なお、回動カバー部13cは、例えば、マグネットの磁力によって固定カバー部13aと回動カバー部13cとの重合状態と不測な開放を阻止するように構成してもよい。
【0028】
なお、起立部16は、異なる高さのものを用いることで高さ対応を可能とすることができる。これに対し、例えば、図4に示すように、インロー方式等で上側起立部16aと下側起立部16bとで分割し、下側起立部16bに第1カバー部材13を固定するための連結ブラケット(図4では図示せず)を設け、上側起立部16aと下側起立部16bとを伸縮・固定可能に構成することで高さ調整可能としてもよい。
【0029】
なお、第1カバー部材13を別途意匠カバー(図示せず)でラップフィルム2の引き出しを可能に覆ってもよい。
【0030】
第2装着ホルダ20は、図1に示すように、テーブルTに固定するための固定部21と、固定部21に設けられた連結部22と、連結部22に装着される第2カバー部材23と、を備える。
【0031】
固定部21は、一方側(テーブルTに固定する際の内側)に開放する略コの字状の固定ブラケット24と、固定ブラケット24の下面側に昇降可能に設けられて固定ブラケット24の上面側とでテーブルTの天面側と底面側とを矜持する可動部材25と、を備える。
【0032】
可動部材25は、例えば、固定ブラケット24の下面側に昇降可能に設けられた軸状の雄ネジ部材25aと、雄ネジ部材25aの上端に設けられたゴム等の圧接部材25bと、を備えている。これにより、可動部材25は、固定ブラケット24の上面側と下面側とをテーブルTの外側から挿入し、圧接部材25bを上昇させてテーブルTの天面側と底面側とを固定ブラケット24の上面側と圧接部材25bとで挟持することでテーブルTに第2装着ホルダ20を固定することができる。なお、固定ブラケット24は、上面側と底面側との対向間隔が異なるものを複数種類用意することでテーブルTの形状や厚さに対応することが可能となっている。
【0033】
連結部22は、固定ブラケット24の上面側に設けられた角柱状(平板状等でもよい)の起立部26と、起立部26の上端に設けられた連結ブラケット27と、ラップフィルムロール3を巻き取り可能に支持するロール巻回部材としてのラップ巻取軸28と、を備える。
【0034】
連結ブラケット27は、例えば、後述する第2カバー部材23の隣り合った2面を固定する雌ネジ(ナット)部27aが設けられている。
【0035】
図5(A)に示すように、ラップ巻取軸28は、固定ブラケット24に固定された軸受部28aと、下端の軸部28bが軸受部28aに挿入され、上端が第2カバー部材23の上端開口を閉成する蓋体部28cに回転可能に支持された2軸の巻取軸部28dと、巻取軸部28dに連結された操作ノブ28eと、を備えている。
【0036】
図5(B)に示すように、第2軸心P2を挟んで互いに間隔をおいて並列配置された2つの丸棒部材からなる巻取軸部28dは、ラップフィルム2の引き出し端部を2つの丸棒部材からなる巻取軸部28dにSの字状に巻き付けた後に第2軸心P2まわりに巻取軸部28dを回転させるることで巻取軸部28dの全体の外周に巻き付けることでラップフィルム2の貼り付き作用と以降のラップフィルム2の巻き取り力とによってラップフィルム2の脱落(剥がれ)を抑制するようになっている。
【0037】
また、ロール巻回部材28に巻回された、使用済のラップフィルム2を取り外す際においては、2本の巻取軸部28dの間にカッターナイフ等の刃を入れることで、巻回された使用済みのラップフィルム2のロール状態を真っ二つに切り分けることで、簡単かつ衛生的に取り外すことができる。
【0038】
ところで、第1装着ホルダ10と第2装着ホルダ20との間に架け渡されたラップフィルム2に対して張力を付与する張力付与部としては、例えば、ラップフィルムロール3及びラップ巻取軸28の引き出し又は巻き取り方向の回転を阻止する各種ストッパや付勢手段、具体的には、ラップフィルム2を巻き取り方向に付勢するゼンマイ式のばねや各種モータ、ラチェット等を配置することができる。
【0039】
これにより、左右に架け渡されたラップフィルム2(飛沫遮蔽壁W)を緊張状態で張って、確実に遮蔽機能(飛散抑制)を果たすようにすることができる。
【0040】
操作ノブ28eは、利用者等の回転操作(図5(B)の場合で時計回り方向)によって上流側、すなわち、ラップフィルムロール3から引き出されたラップフィルム2の巻き取りが可能となっている。
【0041】
第2カバー部材23は、全体として角柱形状を呈しており、図3に第1カバー部材13の構成を援用して示すように、2面が雌ネジ部27aに固定される断面略コの字状の固定カバー部23aと、固定カバー部23aにヒンジ23bを介して開閉可能に保持された回動カバー部23cと、を備える。
【0042】
固定カバー部23aの開放端側には内側に折り込んだ屈曲部23dが一体に形成されている。同様に、回動カバー部23cの自由端側には外側に向けて屈曲した庇部23eが一体に形成されている。固定カバー部23aと回動カバー部23cとは、開放状態とすることでラップフィルム2の巻き取りが可能となっているとともに、屈曲部23dを含む開放端付近と庇部23eを含む開放端付近とが圧接状態で重合することでラップフィルム2のそれ以上の巻き取り及び巻き戻し(引き出し)が阻止されるとともに回動カバー部23cが不測に開放しないようになっている。なお、この固定カバー部23aと回動カバー部23cとが圧接状態で重合することで第2カバー部材23において外部から内部へ導入されるラップフィルム2を閉じ状態にて係止する張力付与部としての第2開閉扉を構成している。
【0043】
このように、張力付与部としての第1開閉扉(回動カバー部13c)と第2開閉扉(回動カバー部23c)とは、第1カバー部材13において開閉可能に備えられて第1カバー部材13の内部から外部へ導出されるラップフィルム2を閉じ状態にて係止するとともに、第2カバー部材23において開閉可能に備えられて第2カバー部材23の外部から内部へ導入されるラップフィルム2を閉じ状態にて係止することにより、左右に架け渡されたラップフィルム2を手動にてある程度ピンと張らせた後、その緊張状態で第1開閉扉(回動カバー部23c)及び第2開閉扉(回動カバー部23c)を閉じるだけで、特別な動力や付勢具を用いなくても簡易に飛沫遮蔽壁Wにおけるテンションを付与することができる。
【0044】
また、市販のラップを用いて、アクリル板を用いる場合よりもはるかに手軽かつ安価に遮蔽壁を構築できるため、特にアクリル板では対面する人の声を遮ってあまり聞こえず、アクリル板に顔を寄せて聞き取ろうとする結果、飛沫防止にはかえって逆効果になる場合も多いが、ラップであれば声を遮ることはないのでこのような弊害はない。
【0045】
さらに、一方側の第1装着ホルダ10から繰り出したラップフィルム2を他方側の第2装着ホルダ20において巻き取る構成である。このため、例えば飲食店や会議のテーブル上で使用する場合、1組の使用者が使用した後は、そのときに露出していた部分を第2装着ホルダ20に巻き取ることで、新しい未使用の部分が第1装着ホルダ10から供給される。したがって、アクリル板のように使用後にいちいち飛沫のふき取りや消毒を行う必要がない。
【0046】
しかも、ラップを左右に張って遮蔽壁を構築するので、第1装着ホルダ10と第2装着ホルダ20との間は自在に設定することができ、例えば広いテーブルに適用することも狭いテーブルにおいて適用することも簡単にできる。
【0047】
さらに、左右に架け渡されたラップフィルム2を操作ノブ28eを操作して手動にてある程度ピンと張らせた後、その状態で第1開閉扉(回動カバー部13c)及び第2開閉扉(回動カバー部23c)を閉じるだけで、特別な動力や付勢具を用いなくても簡易にテンションを付与することができる。
【0048】
また、第1装着ホルダ10及び第2装着ホルダ20それぞれの下端部の卓上における設置高さを可変に設定可能な高さ調整機構として、インロー方式等で上側起立部16aと下側起立部16bとで分割し、下側起立部16bに第1カバー部材13を固定するための連結ブラケット(図4では図示せず)を設け、上側起立部16aと下側起立部16bとを伸縮・固定可能に構成することで高さ調整可能とすることにより、ユーザの好みや使用態様(会議なのか飲食なのか、食堂なのか居酒屋なのか)等に応じて、飛沫遮蔽壁Wの高さを所望に調整できる。また飛沫遮蔽壁Wの下側に隙間を開けることで、飛沫遮蔽壁W越しに料理皿や書類の授受を円滑に行うことができる。
【0049】
さらに、テーブルTに設置する場合には、一方側(テーブルTに固定する際の内側)に開放する略コの字状の固定ブラケット14を用いていることから、例えば、図6に示すように、テーブルTに対して対面する利用者の間に飛沫遮蔽壁Wを張る場合の他、例えば、図7に示すように、固定ブラケット14の上面側の長さを長くすることでテーブルTの奥側(例えば、カウンターテーブルの客側と調理場側との間)に飛沫遮蔽壁Wを張る場合にも対応が可能となる。
【0050】
また、図8に示すように、一つの固定ブラケット14に第1装着ホルダ10及び第2装着ホルダ20を固定すれば、隣接する利用者間に飛沫遮蔽壁Wを張ることも可能である。
【0051】
ところで、卓上飛沫遮蔽装置1において、図9(A)に示すように、第1装着ホルダ10と第2装着ホルダ20との間に設けられ、当該第1装着ホルダ10と当該第2装着ホルダ20との間に架け渡されたラップフィルム2を保持する棒状の変更軸33を備える中間ホルダ30をさらに設けてもよい。
【0052】
中間ホルダ30は、テーブルTに固定するための固定部31と、固定部31に設けられた連結部32と、連結部32に装着される変更軸33と、を備える。
【0053】
これにより、図9(B)に示すように、独立した第1装着ホルダ10と第2装着ホルダ20及び中間ホルダ30を用いてL型に飛沫遮蔽壁Wを構成したもの、図9(C)に示すように、独立した第2装着ホルダ20(又は第1装着ホルダ10)と連結した第1装着ホルダ10(又は第2装着ホルダ20)及び中間ホルダ30とを組み合わせてL型に飛沫遮蔽壁Wを構成したもの、図9(D)に示すように、1ユニット状の第1装着ホルダ10と第2装着ホルダ20及び中間ホルダ30を用いてL型に飛沫遮蔽壁Wを構成したものなど、多様な配置例を構成することができる。
【0054】
これにより、例えば、第1装着ホルダ10と第2装着ホルダ20との間の距離が比較的遠い場合であっても、その中間に一つ以上の中間ホルダ30を設けてラップフィルム2を保持(例えば、蛇行状に屈曲)させることで、中間でラップフィルム2が弛むのを防止して、遮蔽機能を確実に維持することも可能となる。
【0055】
また、巻取軸部28dは上端側のみを第2装着ホルダ20に支持させる構成でもよい。この場合、第2装着ホルダ20の上方開口端には、内側に突出する複数のフランジ(図示せず)を形成し、このフランジに円盤状の蓋体部28cを載置してロール巻回部材28を回転可能に吊設する。
【符号の説明】
【0056】
1 卓上飛沫遮蔽装置
2 ラップフィルム
3 ラップフィルムロール
10 第1装着ホルダ
11 固定部
12 連結部
13 第1カバー部材
13a 固定カバー部
13b ヒンジ
13c 回動カバー部
13d 屈曲部
13e 庇部
14 固定ブラケット
15 可動部材
15a 雄ネジ部材
15b 圧接部材
16 起立部
16a 上側起立部
16b 下側起立部
17 連結ブラケット
17a 雌ネジ部
18 ラップ支持軸
20 第2装着ホルダ
21 固定部
22 連結部
23 第2カバー部材
23a 固定カバー部
23b ヒンジ
23c 回動カバー部
23d 屈曲部
23e 庇部
24 固定ブラケット
25 可動部材
25a 雄ネジ部材
25b 圧接部材
26 起立部
27 連結ブラケット
27a 雌ネジ部
28 ラップ巻取軸
28a 軸受部
28b 軸部
28c 蓋体部
28d 巻取軸部
28e 操作ノブ
30 中間ホルダ
31 固定部
32 連結部
33 変更軸
P1 第1軸心
P2 第2軸心
T テーブル(卓上)
W 飛沫遮蔽壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップフィルムを繰り出し可能に巻回したラップフィルムロールを、略鉛直な第1軸心まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第1装着ホルダと、
前記第1装着ホルダの前記ラップフィルムロールから繰り出された前記ラップフィルムを巻回するロール巻回部材を、略鉛直な第2軸心まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第2装着ホルダと、
を有し、
前記第1装着ホルダを卓上の左右方向一方側に配置するとともに前記第2装着ホルダを前記卓上の左右方向他方側に配置し、前記第1装着ホルダの前記ラップフィルムロールから繰り出された前記ラップフィルムを前記第1装着ホルダと前記第2装着ホルダとの間に左右方向に架け渡して、前記卓上における飛沫遮蔽壁を構成した卓上飛沫遮蔽装置において、
前記ロール巻回部材は、
前記第2軸心を挟んで互いに間隔をおいて並列配置された2つの丸棒部材を備え、それら2つの丸棒部材の間に前記ラップフィルムを通した後に前記第2軸心まわりに回転して、当該ラップフィルムを前記2つの丸棒部材全体の外周に巻き付ける
ことを特徴とする卓上飛沫遮蔽装置
【請求項2】
請求項1記載の卓上飛沫遮蔽装置において、
前記第1装着ホルダと前記第2装着ホルダとの間に架け渡された前記ラップフィルムに対して張力を付与する張力付与部をさらに有する
ことを特徴とする卓上飛沫遮蔽装置。
【請求項3】
請求項2記載の卓上飛沫遮蔽装置において、
前記第1装着ホルダは、
内部に前記ラップフィルムロールを回転可能に略収納する第1カバー部材を備え、
前記第2装着ホルダは、
内部に前記ロール巻回部材を回転可能に略収納する第2カバー部材を備え、
前記張力付与部は、
前記第1カバー部材において開閉可能に備えられ、当該第1カバー部材の内部から外部へ導出される前記ラップフィルムを閉じ状態にて係止する第1開閉扉と、
前記第2カバー部材において開閉可能に備えられ、当該第2カバー部材の外部から内部へ導入される前記ラップフィルムを閉じ状態にて係止する第2開閉扉と、
を含むことを特徴とする卓上飛沫遮蔽装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の卓上飛沫遮蔽装置において、
前記第1装着ホルダ及び前記第2装着ホルダそれぞれの下端部の前記卓上における設置高さを可変に設定可能な高さ調整機構をさらに有する
ことを特徴とする卓上飛沫遮蔽装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の卓上飛沫遮蔽装置において、
前記第1装着ホルダと前記第2装着ホルダとの間に設けられ、当該第1装着ホルダと当該第2装着ホルダとの間に架け渡された前記ラップフィルムを保持する中間ホルダをさらに有する
ことを特徴とする卓上飛沫遮蔽装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、ラップフィルムを繰り出し可能に巻回したラップフィルムロールを、略鉛直な第1軸心まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第1装着ホルダと、前記第1装着ホルダの前記ラップフィルムロールから繰り出された前記ラップフィルムを巻回するロール巻回部材を、略鉛直な第2軸心まわりに回転可能となるように着脱可能に装着する第2装着ホルダと、を有し、前記第1装着ホルダを卓上の左右方向一方側に配置するとともに前記第2装着ホルダを前記卓上の左右方向他方側に配置し、前記第1装着ホルダの前記ラップフィルムロールから繰り出された前記ラップフィルムを前記第1装着ホルダと前記第2装着ホルダとの間に左右方向に架け渡して、前記卓上における飛沫遮蔽壁を構成したものにおいて、前記ロール巻回部材は、前記第2軸心を挟んで互いに間隔をおいて並列配置された2つの丸棒部材を備え、それら2つの丸棒部材の間に前記ラップフィルムを通した後に前記第2軸心まわりに回転して、当該ラップフィルムを前記2つの丸棒部材全体の外周に巻き付けるものである。