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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184662
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】油揚げ用又は窯焼き用の衣組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/157 20160101AFI20221206BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20221206BHJP
   A23L 13/00 20160101ALN20221206BHJP
【FI】
A23L7/157
A23L5/10 E
A23L13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021113828
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】502248577
【氏名又は名称】株式会社桜井
(74)【代理人】
【識別番号】713011072
【氏名又は名称】堀内 強美
(72)【発明者】
【氏名】堀内 強美
【テーマコード(参考)】
4B025
4B035
4B042
【Fターム(参考)】
4B025LB06
4B025LB07
4B025LG02
4B025LG44
4B025LP10
4B035LC03
4B035LC06
4B035LE17
4B035LG01
4B035LG35
4B035LG39
4B035LK01
4B035LP02
4B035LP07
4B035LP27
4B042AC05
4B042AC10
4B042AD18
4B042AG03
4B042AH01
4B042AK11
4B042AK12
4B042AP05
(57)【要約】
【課題】新規のフライ等の用いる油揚げ用又は窯焼き用の衣組成物を得る。
【解決手段】エノキと米粉を主成分とするフライ用等の油揚げ用又は窯焼き用の衣組成物であって、とんかつ等のフライ食品、てんぷら、窯焼き用の食品とすることにより、優れた食感の食品が得られる。油揚げ用又は窯焼き用衣組成物(バッター液)は重量%で、エノキ粉末:1に対して米粉:0.2~2、食塩(粉末):0.1~0,2、酢粉末:0.1~0,2よりなる混合物である。この混合物に水を加えてバッター液とする。この油揚げ用又は窯焼き用の衣組成物を、例えば、とんかつの調理に用いると、アレルギー物質を含まない「とんかつ」を調理することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、キノコ粉末:1に対して穀物粉:0.2~2よりなる混合物。
【請求項2】
穀物粉の80%以上をもち米粉とした請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
請求項1または、2のいずれかに記載の混合物に水を加えたバッター液
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はとんかつ等のフライ類等に使用する揚げ用又は窯焼き用の衣組成物、および、ハンバーグ等の食材が使われているつなぎ材に関する。
【背景技術】
【0002】
フライ用等の揚げ用又は窯焼き用の衣組成物については様々な研究がなされている。たとえば、特開2009-291105号公報には、こんにゃくゲルを配合してバッター液を製造する方法が提案されている。また、ハンバーグ等のつなぎ材としては、卵を用いた食材が使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-291105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、とんかつ等に用いる油揚げ用又は窯焼き用のバッター液に、優れた食感、さらには、健康志向にもマッチしたフライ用等の油揚げ用又は窯焼き用のバッター液を作製することを課題とした。また、優れた食感、健康志向にもマッチしたハンバーグ等を作る場合のつなぎ材料を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための、本発明の第1の発明は、重量%で、キノコ粉末:1に対して穀物粉末:0.2~2よりなる混合物である。
第2の発明は第1の発明において穀物粉の80%以上をもち米粉とした混合物。
第3の発明は第1または第2の発明に記載の混合物に水を加えたバッター液
【発明の効果】
【0006】
本発明の混合物より作ったバッター液を用いて調理した食品(とんかつ等)は、従来の油揚げ用又は窯焼き用のバッター液を用いた場合と、同等、またはそれ以上の食感の食品にすることができた。また、本発明のバッター液は、健康志向の方に最適の油揚げ用又は窯焼き用のバッター液でもある。また、その他の成分を加えることにより、独特な風味、食感を持つバッター液にすることができる。
【0007】
本発明のバッター液を用いて調理する場合には、卵を使用していない場合も、優れた食感をもつバッター液が得られる。したがって、卵アレルギーの方にも安全な食品になる。また、小麦粉を使用していない場合は、小麦アレルギーの方に対しても安全な食品になる。本発明の混合物を用いたつなぎ材の場合も同様である。
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のバッター液は、キノコ粉末、穀物粉を主成分とする。キノコにはエノキ、マイタケ等を、穀物粉には、もち米粉、うるち米粉が、特に、もち米紛が優れている。それに加えて、小麦粉、玄米粉等の他の穀物紛、大豆粉末、鶏卵紛等の、様々な種類の野菜、果物、海藻、調味料、乳製品等の粉末を含めることができる。
【0009】
固体成分(粉末)の重量1に対して、適量の水を加えることにより、バッター液、またはつなぎ材とする。水の量は、目的に応じて変化させる。粘度の高いバッター液とする場合は、水を少な目に、逆の場合は、多目にする。このバッター液を用いて調理することにより、食感が優れた、また、健康志向に答えることができる油揚げ又は窯焼き食品を得ることができる。なお、基本成分(キノコ粉末、米粉、塩粉末、酢酸粉)を用いた混合物は、従来のバッター液と異なり、アレルギー成分を含んでいない。つなぎ材の場合も同様である。
【0010】
以下に示す実施例1以下は、豚ロース肉に種々の組成のバッター液をつけて、米糠油中で揚げ物にした後に試食試験に供し、試食者(3~10名)の評価を得た。通常の衣材(バッター液、鶏卵、小麦粉を含む)を用いて作った場合と比較していただいたが、各々の実施例の末尾に示した試食試験結果(末尾の◎、○、△印)は、67%以上の試食者が通常のバッター液を用いたとんかつより高い評価があった場合を◎、50%以上の試食者が通常のバッター液を用いたとんかつより高い評価があった場合を○。従来の衣材(バッター液)を用いた場合と大差がないとした場合を△とした。なお、食感が劣るとした試食者は皆無であった。
【0011】
高い評価を得た内容は、あっさりしておりもたれない、健康的との意見が多かった。もちろん、食感以外の評価も重要である。エノキ等のキノコ類は食物として優れた点もあることも判断に影響を与えている可能性がある。
【0012】
このバッター液を用いた揚げ物の素材は、もちろん、豚ロース肉に限られるものではない。豚ヒレ肉、その他の獣肉、鶏肉、魚肉に対して用いた場合、あるいは植物性の食材、動物性と植物性の混合食材にも用いることができる。
【0013】
また、揚げ物(フライ食品)の調理方法も、油中で揚げることに限定されるものではない。本発明の混合物を用いたバッター液は、食材にバッター液をつけパン粉をつけて高温空気中で調理する調理方法に用いるすべてのバッター液も対象である。すなわち、高温の空気中で加熱した後、少量の油を吹きかけてつくる揚げ物に類似した食品にも本発明のバッター液を用いるこので、優れた食感が得られる。
【0014】
また、本発明の混合物(および、それを用いた液体)は、肉団子、ハンバーグ等のつなぎ材としてパン粉や乾燥粉末卵白に替えて使用できる。この場合にもアレルギー物質を含まない食品とすることができる。
【実施例0015】
実施例1は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉0g、塩(粉末、以下同様)15g、酢粉末15gの混合物に、水2000gを加えてバッター液とした。バッター液の作成には攪拌を行う。特に塩の粒度が大きい場合は、溶けるようにする。△
【実施例0016】
実施例2は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉20g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2000gを加えてバッター液とした。○
【実施例0017】
実施例3は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉30g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2000gを加えてバッター液とした。○
【実施例0018】
実施例4は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉40g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2000gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0019】
実施例5は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉50g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2000gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0020】
実施例6は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉60g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2000gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0021】
実施例7は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉70g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2000gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0022】
実施例8は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉80g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2000gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0023】
実施例9は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉90g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2500gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0024】
実施例10は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉100g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水3000gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0025】
実施例11は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉70g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水1800gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0026】
実施例12は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉70g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2200gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0027】
実施例13は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉70g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2500gを加えてバッター液とした。◎
なお、実施例7,12,13がすべての実施例中でもっともすぐれた評価(80%以上が美味しいと評価)が得られた。
【実施例0028】
実施例14は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉70g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水3000gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0029】
実施例15は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉80g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2500gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0030】
実施例16は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉90g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2500gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0031】
実施例17は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉100g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2500gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0032】
実施例18は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉120g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水2500gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0033】
実施例19は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉150g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水3000gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0034】
実施例20は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉170g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水3000gを加えてバッター液とした。○
【実施例0035】
実施例21は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉200g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水3000gを加えて、攪拌してバッター液とした。○
【実施例0036】
実施例22は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉250g、塩15g、酢粉末15gの混合物に、水3000gを加えてバッター液とした。△、
【実施例0037】
実施例23、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉70g、塩10g、酢粉末10gの混合物に、水2200gを加えてバッター液とした。◎
【実施例0038】
実施例24は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉70g、塩5g、酢粉末5gの混合物に、水2200gを加えて、攪拌してバッター液とした。○
【実施例0039】
実施例25は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉70g、の混合物に、水2200gを加えて、攪拌してバッター液とした。○
【実施例0040】
実施例26は、重量で、エノキ粉末100g、もち米粉70g、塩20g、酢粉末20gの混合物に、水2200gを加えて、攪拌してバッター液とした。○
【実施例0041】
実施例7、12、13のエノキ粉末の一部(80%以上)、または、すべてをマイタケ粉末に換えたバッター液を用いた場合も、エノキ粉末のみを用いた場合と同様の◎の評価が得られたが、評価は80%未満であった。エノキ粉末の一部(20%未満)をマイタケ粉末に替えた場合は、実施例7、12、13と同様の評価が得られた。
【実施例0042】
実施例7、12、13のもち米粉のすべて、または一部(20%以上)を、うるち米粉に換えたバッター液を用いた場合は○、20%未満の場合は◎であった。
【実施例0043】
実施例7、12、13のもち米粉のすべて、または一部(20%以上)を、小麦粉に換えたバッター液を用いた場合は○、20%未満の場合は◎であった。
【実施例0044】
実施例28のもち米粉、および、うるち米粉の一部(20%以上)を小麦粉に換えたバッター液を用いた場合の評価は○、20%未満の場合は◎であった。
【実施例0045】
実施例12に対して、さらに、キナ粉末20g以下、ナガイモ粉末20g以下、ヤマイモ粉末20g以下、フルーツ等の粉末10g(フルーツ粉末は、カンキツ類粉末、抹茶、コーヒー粉末、ココア粉末である)以下、こしょう粉末5g以下、みそ粉末5g以下、醤油粉末5g以下、卵粉末5g以下、の1種または、2種以上を合計20g以下を加えたバッター液を用いた場合は、評価は◎であった。さらに優れた食感が得られるとした人もあった。
【0046】
本発明のバター液において、小麦粉、および、小麦粉を用いたパン粉を使用しない場合は、アレルギー成分の小麦を含まない油揚げ用又は窯焼き食品を調理することができる。また、卵を持ちない場合は、アレルギー成分の卵を含まないとんかつ、フライ類、てんぷらを調理することができる。なお、本発明のバッター液を用いる場合は、食材にうち粉をすることを省略することが可能である。
【0047】
窯焼き食品とは、パン粉を付けた食品(豚肉等)を高温に保持した釜(加熱炉)中に保持して加熱し、後に油を噴霧して、油分が少なくあっさりした食品である。釜(加熱炉)に保持する時には、高温の雰囲気に触れる面積、釜(加熱炉)の炉壁からの輻射熱を受ける面積が広くなるようにする。例えば、釜(加熱炉)の上部から吊り下げる(空中加熱方式)、垂直に保持した網状部材に沿わせて、または、挟んで垂直に立てた状態で加熱する。
【0048】
本発明のつなぎ材において、小麦粉、および、小麦粉を用いたパン粉を使用しない場合は、アレルギー成分の小麦を含まないハンバーグ、肉団子等の食品を得ることができる。また、卵を持ちない場合は、アレルギー成分の卵を含まないハンバーグ、肉団子等の食品を得ることができる。