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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184669
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】テネリグリプチン含有医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/497 20060101AFI20221206BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 9/24 20060101ALI20221206BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A61K31/497
A61K47/32
A61K47/02
A61K47/22
A61K9/20
A61K9/24
A61P3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021113838
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】306020438
【氏名又は名称】日本ジェネリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松永 沙織
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA37
4C076CC21
4C076DD27
4C076DD29
4C076DD59
4C076EE06
4C076EE12
4C076FF06
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC47
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086NA12
4C086ZC35
(57)【要約】
【課題】 非晶質状態を維持したテネリグリプチン臭化水素酸塩を含有する医薬組成物、類縁物質の増加を抑制したテネリグリプチン臭化水素酸塩を含有する医薬組成物、溶出率低下を抑制したテネリグリプチン臭化水素酸塩を含有する医薬組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩と、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、及び/又はポリビニルアルコールとを含むことを特徴とするテネリグリプチン含有医薬組成物を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩と、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、及び/又はポリビニルアルコールとを含むことを特徴とするテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項2】
非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩と、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、及び/又はポリビニルアルコールとを含む固体分散体である、請求項1記載のテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項3】
更に、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、及び含水二酸化ケイ素からなる群より選択されるいずれかを含む請求項1~2のいずれか一項に記載のテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項4】
非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩と、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体とを含む請求項1~3のいずれか一項に記載のテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項5】
非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩と、ポリビニルアルコールとを含む請求項1~3のいずれか一項に記載のテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項6】
非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩に対して、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、及び/又はポリビニルアルコールとの質量比率が、1:0.05~1:5である請求項1~5のいずれか一項に記載のテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項7】
更に、アスコルビン酸、及び/又はトコフェロールを含む請求項1~6のいずれか一項に記載のテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項8】
非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩に対して、アスコルビン酸との質量比率が、1:0.01~1:0.5である請求項1~7のいずれか一項に記載のテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項9】
非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩に対して、トコフェロールとの質量比率が、1:0.01~1:0.5である請求項1~7のいずれか一項に記載のテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項10】
錠剤である、請求項1~9のいずれかに記載のテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項11】
錠剤が、フィルムコーティング錠である請求項10に記載のテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項12】
錠剤が、口腔内崩壊錠である請求項10に記載のテネリグリプチン含有医薬組成物。
【請求項13】
直接打錠する工程を含むテネリグリプチン含有医薬組成物の製造方法。
【請求項14】
テネリグリプチン含有医薬組成物を収容する包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
テネリグリプチン臭化水素酸塩は、化学名{(2S,4S)-4-[4-(3-Methyl-1-phenyl-1H-pyrazol-5-yl)piperazin-1-yl]pyrrolidin-2-yl}(1,3-thiazolidin-3-yl)methanone hemipentahydrobromideであり、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物を有効成分とする錠剤は2型糖尿病の治療剤であることが知られており、テネリア錠20mg等として販売されている。通常、成人にはテネリグリプチンとして20mgを1日1回経口投与される薬剤である(非特許文献1)。
【0003】
また、特許文献1には、非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩と非晶質維持ポリマーとを含むことを特徴とするテネリグリプチン含有医薬組成物が記載されており、非晶質維持ポリマーとして、セルロース系ポリマー、アクリル系ポリマー及びガラス転移温度が70℃以上であるビニル系ポリマー等も記載されている。
【0004】
しかしながら、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、またはポリビニルアルコールを含む非晶質テネグリプチン含有医薬組成物の記載はない。
【0005】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-070260号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】添付文書「テネリア錠20mg/40mg」、2019年6月改訂(第1版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、非晶質状態を維持したテネリグリプチン臭化水素酸塩を含有する医薬組成物、また類縁物質の増加を抑制したテネリグリプチン臭化水素酸塩を含有する医薬組成物、また溶出率低下を抑制したテネリグリプチン臭化水素酸塩を含有する医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、製剤の構成を検討した結果、特定の添加剤を使用することでテネリグリプチン臭化水素酸塩の非晶化を維持すること、類縁物質の増加を抑制すること、溶出率低下を抑制することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩と、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、及び/又はポリビニルアルコールとを含むことを特徴とするテネリグリプチン含有医薬組成物、
(2)非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩と、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、及び/又はポリビニルアルコールとを含む固体分散体である、前記(1)記載のテネリグリプチン含有医薬組成物、
(3)更に、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、及び含水二酸化ケイ素からなる群より選択されるいずれかを含む前記(1)~(2)のいずれかに記載のテネリグリプチン含有医薬組成物、
(4)非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩と、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体とを含む前記(1)~(3)のいずれかに記載のテネリグリプチン含有医薬組成物、
(5)非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩と、ポリビニルアルコールとを含む前記(1)~(3)のいずれかに記載のテネリグリプチン含有医薬組成物、
(6)非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩に対して、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、及び/又はポリビニルアルコールとの質量比率が、1:0.05~1:5である前記(1)~(5)のいずれかに記載のテネリグリプチン含有医薬組成物、
(7)更に、アスコルビン酸、及び/又はトコフェロールを含む前記(1)~(6)のいずれかに記載のテネリグリプチン含有医薬組成物、
(8)非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩に対して、アスコルビン酸との質量比率が、1:0.01~1:0.5である前記(1)~(7)のいずれかに記載のテネリグリプチン含有医薬組成物、
(9)非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩に対して、トコフェロールとの質量比率が、1:0.01~1:0.5である前記(1)~(7)のいずれかに記載のテネリグリプチン含有医薬組成物、
(10)錠剤である、前記(1)~(9)のいずれかに記載のテネリグリプチン含有医薬組成物、
(11)錠剤が、フィルムコーティング錠である前記(10)に記載のテネリグリプチン含有医薬組成物、
(12)錠剤が、口腔内崩壊錠である前記(10)に記載のテネリグリプチン含有医薬組成物、
(13)直接打錠する工程を含むテネリグリプチン含有医薬組成物の製造方法、
(14)テネリグリプチン含有医薬組成物を収容する包装体、
に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非晶質状態を維持したテネリグリプチン臭化水素酸塩を含有する医薬組成物、または類縁物質の増加を抑制したテネリグリプチン臭化水素酸塩を含有する医薬組成物、または溶出率低下を抑制したテネリグリプチン臭化水素酸塩を含有する医薬組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の25℃、相対湿度75%における、保存開始時及び7日間保存後の粉末X線回折図である。
図2】実施例2の25℃、相対湿度75%における、保存開始時及び7日間保存後の粉末X線回折図である。
図3】比較例1の25℃、相対湿度75%における、保存開始時及び7日間保存後の粉末X線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩と特定の添加剤とを含む医薬組成物及び錠剤に関する。
【0014】
本明細書における非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩とは、特許第4208938号に記載されている、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物結晶由来の回折ピーク(2θ=5.4°±0.2°、13.4°±0.2°、14.4°±0.2°)を実質的に認めない状態であることを意味する。
【0015】
本明細書における非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩は、例えば、粉末X線回折測定法により、確認することができる。また非晶質状態の維持については、例えば、25℃、相対湿度75%RH、7日間保存後のテネリグリプチン臭化水素酸塩含有医薬組成物について、確認する等して評価することができる。
【0016】
以下に、本発明のリナグリプチンを含有する固形医薬組成物に関して説明する。
【0017】
本発明に用いられるテネリグリプチン臭化水素酸塩は、WO02/14271に記載された方法等に従って製造される。
【0018】
本発明に用いられるテネリグリプチン臭化水素酸塩の態様としては、すなわち、医薬組成物に含まれる前、原料(原薬ともいう)として、結晶状態、非晶質状態のいずれであってもよいが、医薬組成物に含まれる場合にあっては、非晶質状態である。
【0019】
非晶質状態は、本発明の目的が達成されるのであれば、いずれの方法で非晶質状態にしてもよく、例えば、非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩を加えることや、結晶状態のテネリグリプチン臭化水素酸塩を固体分散体にすることで非晶質状態にしてもよい。
【0020】
本発明に用いられる非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩の配合割合としては、1医薬組成物あたり、テネリグリプチンとしてある態様として5~40重量%、ある態様として10~30重量%、ある態様として15~20重量%である。
【0021】
本発明に用いられるポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体は、本発明の目的が達成されるものであればいずれであってもよく、例えば、ある態様としてPOVACOAT TypeFが挙げられる。
【0022】
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体の含有量は、非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩に対して、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体の質量比率がある態様として1:0.05~1:5、ある態様として1:0.1~1:5、ある態様として1:0.1~1:3、ある態様として1:0.5~1:1.5である。
【0023】
本発明に用いられるポリビニルアルコールは、本発明の目的が達成されるものであればいずれであってもよく、例えば、ある態様としてゴーセノールEG-05P、ある態様としてEG-03Pが挙げられる。
【0024】
ポリビニルアルコールの含有量は、非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩に対して、ポリビニルアルコールの質量比率がある態様として1:0.05~1:5、ある態様として1:0.1~1:5、ある態様として1:0.1~1:3、ある態様として1:0.5~1:1.5である。
【0025】
本発明に用いられるケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、及び含水二酸化ケイ素は、本発明の目的が達成されるものであればよい。
【0026】
本発明に用いられるアスコルビン酸は、本発明の目的が達成されるものであればいずれであってもよく、例えば、ある態様としてアスコルビン酸100Mが挙げられる。
【0027】
アスコルビン酸の含有量は、非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩に対して、アスコルビン酸の質量比率がある態様として1:0.01~1:1、ある態様として1:0.01~1:0.5、ある態様として1:0.01~1:0.3である。
【0028】
本発明に用いられるトコフェロールは、本発明の目的が達成されるものであればいずれであってもよい。
【0029】
トコフェロールの含有量は、非晶質のテネリグリプチン臭化水素酸塩に対して、トコフェロールの質量比率がある態様として1:0.01~1:1、ある態様として1:0.01~1:0.5、ある態様として1:0.01~1:0.3である。
【0030】
本発明の医薬組成物には、必要に応じて、更に医薬品添加物を配合することができる。具体的には、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、着色剤、緩衝剤、光安定化剤等が挙げられる。コーティング剤については、特定の添加剤の他、任意の添加剤を追加して使用することもできる。
【0031】
賦形剤としては、例えば、D-マンニトール、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、D-ソルビトール、乳糖、白糖、デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0032】
崩壊剤としては、例えば、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン等が挙げられる。
【0033】
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0034】
結合剤としては、例えば、ヒプロメロース、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
コーティング剤としては、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
【0035】
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0036】
発泡剤としては、例えば、重層等が挙げられる。
【0037】
甘味剤としては、例えば、スクラロース、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。
【0038】
香料としては、例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、メントール等が挙げられる。
【0039】
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用青色3号等が挙げられる。
【0040】
緩衝剤としては、例えば、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン又はその塩類、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸、ホウ酸又はその塩類等が挙げられる。
【0041】
滑沢剤としては、例えば、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0042】
本発明のテネリグリプチン含有医薬組成物には、本発明の所望の効果が達成される範囲で更なる各種医薬品添加物が適宜使用される。
【0043】
本発明のテネリグリプチン含有医薬組成物に配合される上記更なる各種医薬品添加物は、適宜組合せることができる。
【0044】
配合量は、本発明の所望の効果の達成に影響を与えない量であれば特に制限されない。
【0045】
本発明のテネリグリプチン含有医薬組成物には、具体的には、散剤、顆粒、錠剤が含まれる。また、錠剤には口腔内崩壊錠が含まれ、錠剤は、素錠、フィルムコーティング錠のいずれであってもよい。
【0046】
非晶質テネリグリプチン臭化水素酸塩を含む医薬組成物の製造製法としては、固形医薬組成物中に非晶質テネリグリプチン臭化水素酸塩を含めることができる製造方法であればいずれの製造方法でもよく、例えば、錠剤を製造する場合、ある態様として非晶化したテネリグリプチン臭化水素酸塩に添加剤を加え、直打法により錠剤を製造してもよく、ある態様としてテネリグリプチン臭化水素酸塩、添加物を適当な溶媒に溶かし、非晶質テネリグリプチン臭化水素酸塩を含む固体分散体を製造し、該固体分散体と医薬添加剤を混合し打錠することで錠剤としてもよく、ある態様としてテネリグリプチン臭化水素酸塩を適当な溶媒に溶かし、ケイ酸カルシウムや軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などの添加剤を混ぜた後、乾燥させて非晶質テネリグリプチン臭化水素酸塩含有粉末を製剤し、該粉末と医薬添加剤を混合し打錠することで錠剤とすることができる。
【実施例0047】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例0048】
固体分散体(原薬:共重合体=1:3)
テネリグリプチン2.5臭化水素酸塩(10g)、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(30g)を精製水(160g)に溶解させた溶解液を流動層造粒機にて噴霧し固体分散体を得る。
【実施例0049】
固体分散体(原薬:ポリビニルアルコール=1:3)
実施例1のポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合をポリビニルアルコールに変更した以外は、実施例1と同様の操作より、固体分散体を得る。
【0050】
≪比較例1≫非晶質原薬
非晶質状態で入手したテネリグリプチン2.5臭化水素酸塩
【0051】
<試験例>
(保存安定性試験)
実施例1、2で得られたテネリグリプチンの固体分散体、並びに比較例1の原薬を、25℃、相対湿度75%で7日間保存し、粉末X線回折測定法にて、非晶質状態であることを確認した(図1、2)。測定には、粉末X線回折装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-bate、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を下記に示す。
【0052】
【表1】
図1
図2
図3