IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エンプラスの特許一覧

<>
  • 特開-光束制御部材および発光装置 図1
  • 特開-光束制御部材および発光装置 図2
  • 特開-光束制御部材および発光装置 図3
  • 特開-光束制御部材および発光装置 図4
  • 特開-光束制御部材および発光装置 図5
  • 特開-光束制御部材および発光装置 図6
  • 特開-光束制御部材および発光装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184681
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】光束制御部材および発光装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/04 20060101AFI20221206BHJP
   B29C 45/27 20060101ALI20221206BHJP
   B29C 33/38 20060101ALI20221206BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20221206BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20221206BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221206BHJP
【FI】
G02B3/04
B29C45/27
B29C33/38
F21V5/00 100
F21V5/04 500
F21V5/00 610
F21V5/00 600
F21V5/00 510
F21Y115:10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178786
(22)【出願日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2021091217
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】立野 秀治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宥佑
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 昌代
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AA36
4F202AH77
4F202CA11
4F202CB01
4F202CN01
4F202CN30
(57)【要約】
【課題】射出成形で光束制御部材が成形される場合に、上型への固着が発生することを抑制できる光束制御部材を提供すること。
【解決手段】光束制御部材は、発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材であって、前記光束制御部材の裏側に配置された裏面と、前記裏面に開口し、第1底面と、前記光束制御部材の中心軸を取り囲むように配置された第1側面とを含む第1凹部と、前記第1底面に開口し、かつ前記中心軸と交わるように配置された第2凹部の内面であって、前記発光素子から出射された光が入射するための入射面と、を有する。前記第1側面は、表側に向かうにつれて前記中心軸から離れるように傾斜している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材であって、
前記光束制御部材の裏側に配置された裏面と、
前記裏面に開口し、第1底面と、前記光束制御部材の中心軸を取り囲むように配置された第1側面とを含む第1凹部と、
前記第1底面に開口し、かつ前記中心軸と交わるように配置された第2凹部の内面であって、前記発光素子から出射された光が入射するための入射面と、
前記中心軸と交わるように前記光束制御部材の表側に配置され、前記入射面で入射した光を外部に出射するための出射面と、
を有し、
前記第1側面は、表側に向かうにつれて前記中心軸から離れるように傾斜している、
光束制御部材。
【請求項2】
前記出射面の外周部は、任意の点における前記出射面に対する法線と、前記発光素子の発光中心から出射され、前記入射面で入射し、前記任意の点で外部に出射された光線とを比較したときに、前記光束制御部材内においては前記法線が前記光線よりも表側に位置するように構成されている、請求項1に記載の光束制御部材。
【請求項3】
前記出射面は平滑面であり、
前記裏面の少なくとも一部は粗面である、
請求項1または2に記載の光束制御部材。
【請求項4】
前記出射面の外周部と前記裏面の外周部との間において側方に突出する鍔部をさらに有し、
前記鍔部は、表側に向かうにつれて前記中心軸に近づくように傾斜する第2側面を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の光束制御部材。
【請求項5】
前記光束制御部材は、シリコーンからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の光束制御部材。
【請求項6】
基板上に配置された発光素子と、
前記発光素子上に配置された、請求項1~5のいずれか一項に記載の光束制御部材と、
を有する、発光装置。
【請求項7】
前記基板から前記第1底面までの高さは、前記基板から前記発光素子の発光面までの高さ以下である、請求項6に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光束制御部材および発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材が知られている。たとえば、特許文献1はこのような光束制御部材を開示している。
【0003】
特許文献1に開示されている光束制御部材は、発光素子から出射された光を入射させる入射面と、入射面から入射した光が出射される出射面とを有する。発光素子からの光は入射面から入り、出射面から出射されることで配光が制御される。光束制御部材は、所望の配光特性を得られるように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-077564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような光束制御部材は、一般に射出成形によって成形される。射出成形では、例えば、出射面等を成形する上型と入射面等を成形する下型との間に形成されたキャビティに光束制御部材の材料が射出されて、所望の形状の光束制御部材が成形される。次に、上型と下型とを離した後、下型に固着した光束制御部材をエジェクターピンで押し出すことで光束制御部材を取り出す。
【0006】
ここで、本来下型に固着すべき光束制御部材が上型に固着してしまうことがある。具体的には、例えば、光束制御部材の出射面が上型に固着する。上型への固着が発生すると、エジェクターピンで光束制御部材を押し出して光束制御部材を下型から取り出すことができなくなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、射出成形で光束制御部材が成形される場合に、上型に光束制御部材が固着することを抑制できる光束制御部材を提供することである。
【0008】
また。本発明の別の目的は、上記の光束制御部材を有する発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光束制御部材は、発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材であって、前記光束制御部材の裏側に配置された裏面と、前記裏面に開口し、第1底面と、前記光束制御部材の中心軸を取り囲むように配置された第1側面とを含む第1凹部と、前記第1底面に開口し、かつ前記中心軸と交わるように配置された第2凹部の内面であって、前記発光素子から出射された光が入射するための入射面と、前記中心軸と交わるように前記光束制御部材の表側に配置され、前記入射面で入射した光を外部に出射するための出射面と、を有し、前記第1側面は、表側に向かうにつれて前記中心軸から離れるように傾斜している。
【0010】
本発明の発光装置は、基板上に配置された発光素子と、前記発光素子上に配置された上記の光束制御部材と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、射出成形で光束制御部材が成形される場合に、上型への固着を抑制できる光束制御部材を提供することができる。
【0012】
また、本発明によれば、上記の光束制御部材を有する発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1Aは発光装置の平面図であり、図1B図1AのB-B線に沿う断面図である。
図2図2A、B、C、Dは、実施の形態に係る光束制御部材を示す図である。
図3図3は、図2Cの部分拡大図である。
図4図4は、光束制御部材とパーティングラインとの関係を示す図である。
図5図5、光束制御部材の出射面の外周部の形状を説明するための図である。
図6図6A、Bは、バリが裏面から突出しないための構造を説明するための図である。
図7図7は、光束制御部材を製造するのに用いることができる射出成形金型の一例の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(発光装置の構成)
図1A、Bは、本発明の実施の形態に係る発光装置100の構成を示す図である。図1Aは、平面図であり、図1Bは、図1AのB-B線に沿う断面図である。
【0016】
図1A、Bに示されるように、発光装置100は、基板210上に配置された発光素子220と、発光素子220上に配置された光束制御部材300とを有する。
【0017】
発光素子220は、発光装置100の光源であり、基板210上に実装されている。発光素子220は、例えば発光ダイオード(LED)である。また、発光素子220の種類は、特に制限されないが、天面から光を出射する発光素子220などが、本実施の形態に係る発光装置100において好適に用いられるが、天面および側面から光を出射する発光素子(例えば、COB型発光ダイオード)も用いることができる。また、本実施の形態において、発光素子220は紫外線を出射する発光ダイオードであり、特にUVC(波長200~280nmの紫外線)を出射する発光ダイオードである。
【0018】
光束制御部材300は、発光素子220から出射された光の配光を制御する光学部材であり、基板210上に配置されている。この後説明するように、光束制御部材300は、入射面321および出射面330を有する(図2参照)。本実施の形態では、入射面321および出射面330は、光束制御部材300の中心軸CAに対して回転対称である。光束制御部材300は、光束制御部材300の中心軸CAが発光素子220の光軸LAに一致するように、発光素子220の上に配置されていることが好ましい。ここで、「発光素子220の光軸LA」とは、発光素子220からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。
【0019】
光束制御部材300は、射出成形により形成されている。光束制御部材300の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であれば特に限定されないが、光束制御部材300を損傷させずに下型から離型する観点からはある程度の可撓性を有する材料であることが好ましい。本実施の形態においては、通過させる光はUVCであり、光束制御部材300の材料はシリコーンである。
【0020】
本実施の形態に係る発光装置100は、光束制御部材300の構成に主たる特徴を有する。そこで、光束制御部材300については、別途詳細に説明する。
【0021】
本実施の形態に係る発光装置100では、発光素子220から出射された光は、光束制御部材300により広範囲を照らすように拡げられる。
【0022】
(光束制御部材の構成)
図2Aは本実施の形態に係る光束制御部材300の平面図であり、図2Bは光束制御部材300の底面図であり、図2C図2AのC-C線に沿う断面図であり、図2D図2AのD-D線に沿う断面図である。また、図3図2Cの部分拡大図である。以下、本実施の形態に係る光束制御部材300の構成について説明する。
【0023】
図2A~Dに示されるように、本実施の形態に係る光束制御部材300は、発光素子220から出射された光の配向を制御するための光束制御部材300であって、裏面301と、第1凹部310と、入射面321と、出射面330とを有する。
【0024】
裏面301は、光束制御部材300の裏側の面である。裏面301の形状は、特に限定されない。迷光を低減させる観点からは、裏面301の少なくとも一部は粗面であることが好ましい。本実施の形態では、裏面301の略全面が粗面である。
【0025】
第1凹部310は、図2B、C、Dに示されるように、裏面301に開口する凹部である。図3に示されるように、第1凹部310は、第1底面311と、光束制御部材300の中心軸CAを取り囲むように配置された第1側面312とを含む。
【0026】
第1側面312は、図3に示されるように、光束制御部材300の表側に向かうにつれて中心軸CAから離れるように傾斜する。すなわち、第1凹部310は、逆テーパー形状を有している。第1凹部310が、このように傾斜する第1側面312を有することで、光束制御部材300は、下型に対するアンダーカット部を有することとなる。その結果、上型と下型とを離す際に、成型品(光束制御部材300)が下型に確実に固着し、上型に固着することを抑制することができる。図4を参照しつつ上型への固着が抑制されることを以下に説明する。
【0027】
図4は、上型410と下型420との間のキャビティ内において成形された光束制御部材300を示す。この図では、上型410と下型420との間のパーティングラインPLを示しているが、上型410および下型420のハッチングを省略している。この状態で、成形された光束制御部材300を取り出すために、下型420を上型410から離れるように移動させると、下型420の第1凹部310を成形する部分が、光束制御部材300の第1側面312に引っかかる。これにより、光束制御部材300が下型420に確実に固着し、上型への固着の発生が抑制される。
【0028】
この後、複数のエジェクターピン350を下型420から突き出すことで、光束制御部材300の第1側面312近傍のアンダーカット部を変形させながら、光束制御部材300を下型420から分離する。このように無理抜きを行う観点から、光束制御部材300の材料は、可撓性を有することが好ましい。
【0029】
本実施の形態において、アンダーカット部を形成する第1側面312は、第1凹部310の外周の全周に渡って存在するが、第1側面312の態様は、これに制限されない。たとえば、アンダーカット部を形成する第1側面312は、第1凹部310の外周の一部のみに存在してもよい。この場合、アンダーカット部を形成しない第1側面312(例えば、中心軸CAに平行な面)が、第1凹部310の外周の残部に存在する。
【0030】
第1側面312の傾斜角度は、角度が大きいほど上型への固着を抑制できるが、角度が大きくなると離型しにくくなる(図4参照)。この観点から、第1側面312の角度は、中心軸CAに対して5~15°程度であることが好ましい。なお、本実施の形態において、第1側面312の角度は、中心軸CAに対して10°である。
【0031】
第1底面311の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第1底面311は、光束制御部材300の中心軸CAに垂直な平面である。第1底面311の位置(第1凹部310の深さ)は、発光素子220からの光が第1凹部310の影響を受けないように設定されることが好ましい。すなわち、図1Bに示されるように、基板210から第1底面311までの高さは、基板210から発光素子220の発光面までの高さ以下であることが好ましい。このように第1底面311の高さを設定することで、発光素子220からの光が第1凹部310の影響を受けて迷光となってしまうことを抑制できる。
【0032】
第2凹部320は、図2B~Dに示されるように、第1凹部310に開口し、かつ中心軸CAと交わるように配置された凹部である。第2凹部320の内面は、発光素子220から出射された光が入射する入射面321として機能する。
【0033】
入射面321は、発光素子220と対向する位置に形成されている。入射面321は、発光素子220から出射された光の大部分を、その進行方向を制御しつつ光束制御部材300の内部に入射させる。入射面321は、光束制御部材300の中心軸CAと交わり、中心軸CAに対して回転対称(円対称)である。入射面321の形状は、特に限定されず、出射面330と協同して所期の配光を実現できるように設定される。本実施の形態では、入射面321は、中心軸CAから離れるにつれて裏側に向かう形状をしている。
【0034】
出射面330は、入射面321で入射した光を、その進行方向を制御しつつ光束制御部材300の外部に出射させる。出射面330は、光束制御部材300の中心軸CAと交わるように、光束制御部材300の表側に配置される。本実施の形態では、出射面330は、中心軸CAに対して回転対称(円対称)である。出射面330の形状は、特に限定されず、入射面321と協同して所期の配光を実現できるように設定される。また、本実施の形態において、出射面330は平滑面である。
【0035】
本実施の形態における出射面330の外周部331の構成を、図5を参照しつつ説明する。なお、図5では光線を示すためにハッチングを省略している。
【0036】
図5に示されるように、本実施の形態において、出射面330の外周部331は、任意の点Pにおける出射面330に対する法線10と、発光素子220の発光中心から出射され、入射面321で入射し、任意の点Pで外部に出射された光線20とを比較したときに、光束制御部材300内においては法線10が光線20よりも表側に位置する。このように出射面330の外周部331の形状を設定することで、光軸LAに対して大きな角度で発光素子220から出射された光を上向きに屈折させて、光の拡散を低減することができる。このように出射面330の外周部331の形状を設定した場合、外周部331は裏面301(基板210)に対して垂直に近い角度をなす。具体的には、外周部331の裏面301に対する角度は、約80~90°である。このような場合、出射面330が上型に固着しやすくなる傾向にあるが、本実施の形態では、光束制御部材300が前述の第1側面312を有するため、上型への固着が抑制される。
【0037】
また、図3に示されるように、光束制御部材300は、出射面330の外周部と裏面301の外周部との間において側方に突出する鍔部370を有していてもよい。本実施の形態では、鍔部370は、表側に向かうにつれて中心軸CAに近づくように傾斜する第2側面371を有する。図4に示されるように、この第2側面371も、第1側面312と同様に下型に対するアンダーカット部を形成し、上型への固着が発生することを抑制する。
【0038】
図4に示されるように、第2側面371とパーティングラインPLとが近接する場合は、第2側面371は、粗面ではなく平滑面であることが好ましい。すなわち、下型420のうち第2側面371を成形する領域は平滑面であることが好ましい。当該領域が粗面であると、この粗面の凹凸を介して上型410と下型420との隙間に材料が流れ込んでパーティングラインPLに沿うバリが発生しやすくなるが、当該領域を平滑面とすることで、パーティングラインPLに沿ってバリが発生することを抑制することができる。たとえば、光束制御部材300の材料として熱硬化性のシリコーンを用いた場合、硬化前の材料の粘度が低いため、パーティングラインPLに沿うバリが発生しやすくなるが、当該領域を平滑面とすることで、パーティングラインPLに沿うバリの発生を抑制できる。
【0039】
一方で、鍔部370の裏面および光束制御部材300の裏面は、粗面(例えば、シボ加工されている面)であることが好ましい。これらの面が粗面であることで、迷光の発生が抑制され、さらに、接着剤を用いて光束制御部材300を実装するときに表面積を大きくすることができる。
【0040】
図2B図4に示されるように、光束制御部材300は、その裏面301において、エジェクターピン350で押される部分である被押圧部340を有する。また、光束制御部材300が脚部360を有する場合、脚部360がエジェクターピン350によって下から押されてもよい。なお、本実施の形態においては、図2Bに示されるように被押圧部340は6個あり、脚部360は3個であり、エジェクターピン350で押される部分は9個ある。
【0041】
図4からわかるように、エジェクターピン350は、下型420に設けられた貫通孔内を摺動する。そのため、エジェクターピン350と、下型420との間にはわずかに隙間が存在する。ここで、光束制御部材300の材料が上型410と下型420との間のキャビティに入ると、上記の隙間にも材料が入り込みバリが発生するおそれがある。たとえば、光束制御部材300の材料として熱硬化性のシリコーンを用いた場合、硬化前の材料の粘度が低いため、上記隙間に沿うバリが発生しやすい。光束制御部材300の裏面301または脚部360の裏面からバリが突出すると、光束制御部材300を実装するときに邪魔になることがある。
【0042】
上記の問題を解決するために、本実施の形態に係る光束制御部材300は、バリ341が裏面301(または脚部360の底面363)から突出することを防ぐ構造を有する。この構造を、図6Aを参照しつつ説明する。図6Aは、裏面301に配置された被押圧部340の断面図である。図6Aに示されるように、本実施の形態では、光束制御部材300の被押圧部340は、裏面301より、光束制御部材300の表側に配置される。具体的には、裏面301に第3凹部342が形成され、この第3凹部342の底面の一部が被押圧部340となる。このようにすることにより、エジェクターピン350と下型420との間の隙間に入り込んだ材料によりバリ341が生じたとしても、バリ341が裏面301よりも裏側に突出することはない。
【0043】
また、光束制御部材300が脚部360を有し、脚部360の裏面(脚部の底面363)をエジェクターピン350で押す場合、脚部360は、バリ341が脚部360の底面363から突出することを防ぐ構造を有することが好ましい。この構造を、図6Bを参照しつつ説明する。図6Bは脚部360の断面図である。図6Bに示されるように、本実施の形態では、脚部360は、脚部360の底面363の周囲に、傾斜面361と、傾斜面361を取り囲む平面362とを有する。すなわち、脚部360の底面363の外周部には、凹部が形成されている。この凹部の底面である平面362上に、エジェクターピン350と下型420との境界が位置する。これにより、バリ341は平面362から突出するように形成されるが、バリ341が脚部360の底面363よりも裏側に突出することはない。なお、この場合、脚部360の裏面(脚部の底面363)、傾斜面361および平面362は、エジェクターピンの先端の面によって成形される。傾斜面361だけでなく平面362も設けることで、エジェクターピン350の先端の外周部を鋭利にしなくて済み、エジェクターピン350を押し出したときに光束制御部材300が傷つくことを抑制できる。
【0044】
(効果)
本実施の形態の光束制御部材300によれば、射出成形で光束制御部材が成形される場合に、上型への固着が発生することを抑制することができる。
【0045】
(射出成形金型の構成)
図7は、光束制御部材300を製造するのに用いることができる射出成形金型400の一例の構成を示す模式図である。図7に示されるように、射出成形金型400は、ノズル380、キャビティ390、固定側取付板430、固定側型板440、可動側型板450、受け板460、エジェクタープレート470、エジェクターピン350、および可動側取付板480を有する。
【0046】
射出成形金型400においては、ノズル380から供給された樹脂がキャビティ390内で成形品(光束制御部材)となる。次に、可動側型板450、受け板460、エジェクタープレート470および可動側取付板480が一体として、固定側型板440から離れるように移動することで、金型が開く。このとき、成形品は可動側型板450のキャビティ390に固着している。次に、エジェクターピン350を保持しているエジェクタープレート470が固定側型440の方向に移動することで、成形品がエジェクターピン350によって可動側型板450から押し出されて、取り出される。
【0047】
ここで、射出成形金型400において用いられる樹脂が熱硬化性樹脂の場合、キャビティ390内の樹脂を硬化させるために加熱する必要がある。エネルギー効率をよくする観点から、射出成形金型400において断熱材(断熱板)を配置してもよい。
【0048】
断熱材(断熱板)の位置は、特に限定されない。断熱材(断熱板)は、例えば、図7のAに示されるように可動側型板450と受け板460との間、図7のBに示されるように受け板460とエジェクタープレート470との間、または図7のCに示されるようにエジェクタープレート470と可動側取付板480との間に配置されればよい。
【0049】
なお、固定側型板440は、上記の上型410(図4参照)に対応し、可動側型板450は下型420(図4参照)に対応する。上型410と、下型420の位置関係は、図4に示されるように、上と下の位置関係に限られない。上型410と下型420の位置関係は、射出成形できる限り特に限定されず、図7に示されるように右と左の位置関係でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば、UVCを照射する発光装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 法線
20 光線
100 発光装置
210 基板
220 発光素子
300 光束制御部材
301 裏面
310 第1凹部
311 第1底面
320 第2凹部
321 入射面
330 出射面
331 外周部
340 被押圧部
341 バリ
342 第3凹部
350 エジェクターピン
360 脚部
361 傾斜面
362 平面
363 脚部の底面
370 鍔部
371 第2側面
380 ノズル
390 キャビティ
400 射出成形金型
410 上型
420 下型
430 固定側取付板
440 固定側型板
450 可動側型板
460 受け板
470 エジェクタープレート
480 可動側取付板
CA 中心軸
LA 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7