(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184713
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】輸送用コンテナの温度調節構造および温度調節方法
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20221206BHJP
F25D 16/00 20060101ALI20221206BHJP
F25D 17/04 20060101ALI20221206BHJP
B65D 88/74 20060101ALI20221206BHJP
B65D 88/22 20060101ALI20221206BHJP
B65D 21/02 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
F25D16/00
F25D17/04 302
B65D88/74
B65D88/22 Z
B65D21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035577
(22)【出願日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2021092340
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】杉本 明男
【テーマコード(参考)】
3E006
3E170
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006BA01
3E006CA05
3E006DA03
3E006DB05
3E170AA21
3E170AB21
3E170CA01
3E170QA03
3E170RA01
3E170RA02
3E170RA20
3E170TA01
3E170VA16
3E170VA20
3L045AA04
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA02
3L045KA07
3L045KA08
3L045PA04
3L345AA05
3L345AA17
3L345CC05
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】輸送用コンテナの温度調節構造および温度調節方法において、対流伝熱式の温度調節に比べて温度調節効率を向上させる。
【解決手段】輸送用コンテナ10の温度調節構造は、トラック1に配備された温度調節庫20と、温度調節庫20内に積み込まれ、対象物2を収容可能な箱形状を有し、箱形状を構成する壁の少なくとも一部が金属製の熱伝導部11となっている輸送用コンテナ10と、熱伝導部11に当接して配置され、熱伝導部11を介して対象物2を温度調節する固体伝熱式の熱交換器30,40とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送機械に配備された温度調節庫と、
前記温度調節庫内に積み込まれ、対象物を収容可能な箱形状を有し、前記箱形状を構成する壁の少なくとも一部が金属製の熱伝導部となっている輸送用コンテナと、
前記熱伝導部に当接して配置され、前記熱伝導部を介して前記対象物を温度調節する固体伝熱式の熱交換器と
を備える、輸送用コンテナの温度調節構造。
【請求項2】
前記温度調節庫内は、複数の部屋に区画され、
前記複数の部屋のそれぞれに対して異なる温度の冷媒を用いた前記熱交換器が配置されている、請求項1に記載の輸送用コンテナの温度調節構造。
【請求項3】
前記温度調節庫内は、1つの部屋で構成され、
前記1つの部屋内に異なる温度の冷媒を用いた前記熱交換器が複数配置されている、請求項1に記載の輸送用コンテナの温度調節構造。
【請求項4】
前記輸送用コンテナは、外面である第1の面において断熱性を有する複数の凸部を有している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の輸送用コンテナの温度調節構造。
【請求項5】
前記輸送用コンテナは、前記第1の面と対向する外面である第2の面において前記凸部と相補的な形状を有する複数の凹部を有している、請求項4に記載の輸送用コンテナの温度調節構造。
【請求項6】
前記輸送用コンテナは、前記温度調節庫内において互いに接触して複数積み込まれ、
前記輸送用コンテナ同士が接触する部分の少なくとも一部は、前記熱伝導部となっている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の輸送用コンテナの温度調節構造。
【請求項7】
前記熱伝導部は、アルミニウム合金製である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の輸送用コンテナの温度調節構造。
【請求項8】
前記輸送用コンテナを温度調節する蓄冷材または蓄熱材をさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の輸送用コンテナの温度調節構造。
【請求項9】
前記熱交換器は、前記温度調節庫内において複数段の棚状に配置されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の輸送用コンテナの温度調節構造。
【請求項10】
輸送機械に配備された温度調節庫と、前記温度調節庫内に積み込まれ、対象物を収容可能な箱形状を有し、前記箱形状を構成する壁の少なくとも一部が金属製の熱伝導部となっている輸送用コンテナと、前記対象物を温度調節する熱交換器とを準備し、
前記熱交換器と前記熱伝導部とを当接させ、前記熱交換器によって前記熱伝導部を介して前記対象物を固体伝熱式で温度調節する
ことを含む、輸送用コンテナの温度調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送用コンテナの温度調節構造および温度調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物を温度調節しながら輸送する温度調節輸送車両が知られている。一般に、温度調節輸送車両においては、対象物を樹脂製の輸送用コンテナに収容し、輸送用コンテナをトラックなどの荷室に配備された温度調節庫に積み込んで輸送する。温度調節庫内は、空気調和機によって温度管理され、対象物が温度調節される。
【0003】
例えば特許文献1には、温度調節輸送車両の一例として冷凍および冷蔵庫温度管理車が開示されている。特許文献1の冷凍および冷蔵庫温度管理車では、1枚のみの蓄冷板を利用して冷凍および冷蔵の2室で温度管理を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の冷凍および冷蔵庫温度管理車では、冷却庫内の空気温度を低温に管理する対流伝熱式の冷却構造が採用されている。従って、輸送用コンテナの大きさや数量に依らずに冷却庫内の部屋全体を低温に管理する必要がある。そのため、冷却効率に関して改善の余地がある。
【0006】
本発明は、輸送用コンテナの温度調節構造および温度調節方法において、対流伝熱式の温度調節に比べて温度調節効率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、輸送機械に配備された温度調節庫と、前記温度調節庫内に積み込まれ、対象物を収容可能な箱形状を有し、前記箱形状を構成する壁の少なくとも一部が金属製の熱伝導部となっている輸送用コンテナと、前記熱伝導部に当接して配置され、前記熱伝導部を介して前記対象物を温度調節する固体伝熱式の熱交換器とを備える、輸送用コンテナの温度調節構造を提供する。
【0008】
この構成によれば、熱交換器によって輸送用コンテナを直接温度調節する固体伝熱式の温度調節構造が採用されている。従って、熱交換器において、要求温度の冷媒と輸送用コンテナが熱伝導部を介して熱交換し、輸送用コンテナを温度調節できる。固体伝熱式の温度調節構造では、輸送用コンテナの大きさや数量に応じて必要な温度調節を実現できるため、対流伝熱式の温度調節に比べて温度調節効率を向上させることができる。また、輸送用コンテナにおいて、熱交換器との接触部分には金属製の熱伝導部が設けられている。従って、樹脂などの低い熱伝導率の材質に比べて高い熱交換効率を発揮できる。なお、輸送用コンテナにおいては、熱伝導部以外を含む全体が金属製であってもよい。
【0009】
対流伝熱式で複数の輸送用コンテナを異なる温度に調節する場合には、要求温度ごとに空気の温度を変える必要があるため温度調節庫を仕切壁で区画する必要がある。しかし、固体伝熱式で複数の輸送用コンテナを異なる温度に調節する場合には、温度調節庫内は、仕切壁で区画することなく、1つの部屋の中に異なる温度の冷媒を用いた複数の熱交換器を配置することにより、複数の輸送用コンテナをそれぞれの要求温度に調節することもできる。なお、輸送用コンテナの表面で周囲の空気との対流伝熱も生じるため、温度調節効率をより高める手段として温度調節庫を仕切壁により複数の部屋に区画し、複数の部屋のそれぞれに対して異なる温度の冷媒を用いた熱交換器を複数配置してもよい。
【0010】
これらの構成によれば、様々な要求温度に応じて対象物を温度調節できる。これにより、異なる要求温度の対象物を一度に輸送できる。例えば、温度調節庫は、冷凍、冷蔵、常温および高温の要求温度に応じた複数の部屋に区画されてもよい。
【0011】
前記輸送用コンテナは、外面である第1の面において断熱性を有する複数の凸部を有してもよい。
【0012】
この構成によれば、温度調節機能を有していない任意の面に輸送用コンテナが当接した場合の当該面から輸送用コンテナへの入出熱を抑制できる。例えば、温度調節機能を有していない任意の床面に輸送用コンテナを載置した場合であっても、輸送用コンテナの温度を要求温度に維持できる。
【0013】
前記輸送用コンテナは、前記第1の面と対向する外面である第2の面において前記凸部と相補的な形状を有する複数の凹部を有してもよい。
【0014】
この構成によれば、凹部と凸部を合わせて輸送用コンテナを配置でき、輸送用コンテナの姿勢を安定させることができる。例えば、輸送用コンテナの姿勢を安定して積み上げることができる。
【0015】
前記輸送用コンテナは、前記温度調節庫内において互いに接触して複数積み込まれ、前記輸送用コンテナ同士が接触する部分の少なくとも一部は、前記熱伝導部となっていてもよい。
【0016】
この構成によれば、熱交換器からの熱エネルギーが複数の輸送用コンテナ間でも伝達されるため、効率的な温度調節を実現できる。
【0017】
前記熱伝導部は、アルミニウム合金製であってもよい。
【0018】
この構成によれば、アルミニウム合金は他の一般的な金属と比べて高い熱伝導率と低い輻射率を有するため、効率的な温度調節を実現できる。
【0019】
前記輸送用コンテナの温度調節構造は、前記輸送用コンテナを温度調節する蓄冷材または蓄熱材をさらに備えてもよい。
【0020】
この構成によれば、蓄冷材または蓄熱材によって輸送用コンテナを一層温度調節できる。
【0021】
前記熱交換器は、前記温度調節庫内において複数段の棚状に配置されていてもよい。
【0022】
この構成によれば、複数の輸送用コンテナを上下方向に積載する場合に生じ得る上下に隣接する輸送用コンテナ間の熱抵抗を低減ないしなくすことができる。また、上下方向に積載される輸送用コンテナの数を減らすことで、輸送用コンテナを取り出しやすくできる。例えば、各段の熱交換器に対して輸送用コンテナを上下方向に重ねて配置しなければ(即ち1個のみ配置すれば)、輸送用コンテナを容易に取り出すことができる。
【0023】
本発明の第2の態様は、輸送機械に配備された温度調節庫と、前記温度調節庫内に積み込まれ、対象物を収容可能な箱形状を有し、前記箱形状を構成する壁の少なくとも一部が金属製の熱伝導部となっている輸送用コンテナと、前記対象物を温度調節する熱交換器とを準備し、前記熱交換器と前記熱伝導部とを当接させ、前記熱交換器によって前記熱伝導部を介して前記対象物を固体伝熱式で温度調節することを含む、輸送用コンテナの温度調節方法を提供する。
【0024】
この方法によれば、熱交換器によって輸送用コンテナを直接温度調節する固体伝熱式の温度調節方法が採用されている。従って、熱交換器において、要求温度の冷媒と輸送用コンテナが熱伝導部を介して熱交換し、輸送用コンテナを温度調節できる。固体伝熱式の温度調節方法では、輸送用コンテナの大きさや数量に応じて必要な温度調節を実現できるため、対流伝熱式の温度調節に比べて温度調節効率を向上させることができる。また、輸送用コンテナにおいて、熱交換器との接触部分には金属製の熱伝導部が設けられている。従って、樹脂などの低い熱伝導率の材質に比べて高い熱交換効率を発揮できる。なお、輸送用コンテナにおいては、熱伝導部以外を含む全体が金属製であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、固体伝熱式の温度調節構造が採用されているため、対流伝熱式の温度調節に比べて温度調節効率を向上させた輸送用コンテナの温度調節構造および温度調節方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る輸送用コンテナの温度調節構造が採用されたトラックの概略構成図。
【
図3】第1変形例における輸送用コンテナの下方斜視図。
【
図4】第2変形例における輸送用コンテナの上方斜視図。
【
図5】第2変形例における輸送用コンテナの下方斜視図。
【
図6】第3変形例における輸送用コンテナの上方斜視図。
【
図7】第4変形例における輸送用コンテナの下方斜視図。
【
図8】第5変形例における輸送用コンテナの下方斜視図。
【
図9】第6変形例における輸送用コンテナの上方斜視図。
【
図10】第7変形例における輸送用コンテナの破断斜視図。
【
図11】変形例における温度調節庫が配置されたトラックの概略構成図。
【
図12】第1変形例における熱交換器と輸送用コンテナの側面図。
【
図14】
図12の熱交換器の本体部のA-A線に沿った断面の例を示す断面図。
【
図15】
図12の熱交換器の本体部のA-A線に沿った断面の他例を示す断面図。
【
図16】第2変形例における熱交換器が配置された温度調節庫の内部斜視図。
【
図17】第3変形例における熱交換器が配置された温度調節庫の内部断面図。
【
図18】第2実施形態に係る輸送用コンテナの温度調節構造が採用されたトラックの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態として、対象物を温度調節しながら輸送するための輸送用コンテナの温度調節構造について説明する。温度調節構造として、第1実施形態では冷却構造を例示し、第2実施形態では加熱構造を例示する。以下の説明では、上または下などの方向を示す用語を使用する場合があるが、これは輸送用コンテナを輸送機械に積み込んだ状態での方向をいうものとする。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る輸送用コンテナ10の温度調節構造が採用されたトラック1の概略構成図を示している。例えば、トラック1は、各所に位置するフローズンセンター、チルドセンターなどの低温倉庫から全国のコンビニなどの販売先に、冷凍食品、弁当、おにぎり、サンドイッチなどの対象物(本実施形態では冷却対象物)を低温で輸送する。
【0029】
トラック1は、輸送機械の一例であり、本開示の温度調節構造はその他の車両または船舶などの任意の輸送機械に適用できる。また、対象物についても特に制限なく、上記したもの以外に温度調節を要する任意の物を対象とし、輸送元や輸送先についても様々であり得る。
【0030】
図1を参照して、トラック1には温度調節庫20が配備されている。温度調節庫20は、トラック1の運転室3の後方に位置している。温度調節庫20は、箱形の外壁21と、箱形の外壁21の内部に配置された仕切壁22を有している。温度調節庫20の内部は、仕切壁22によって複数の部屋(本実施形態では2つの部屋R1,R2)に区画されている。好ましくは、温度調節効率を高めるために、外壁21および仕切壁22は、断熱性能を有している。
【0031】
本実施形態では、対象物の要求温度別に、一方の部屋R1は冷凍用に設けられ、他方の部屋R2は冷蔵用に設けられている。例えば、冷凍用の部屋R1では対象物の要求温度が-20℃程度を対象とし、冷蔵用の部屋R2では5℃程度を対象としてもよい。なお、詳細を図示しないが、仕切壁22を追加して常温用の部屋をさらに設けてもよい。例えば、常温用の部屋では対象物の要求温度が20℃程度を対象としてもよい。また、温度別に対象物を輸送する必要がない場合や要求温度が異なる複数の対象物の温度差が大きくない場合には、仕切壁22を設けることなく、温度調節庫20の内部全体を1つの部屋としてもよい。
【0032】
温度調節庫20内には、複数の輸送用コンテナ10が積み込まれる。温度調節庫20内では、複数の輸送用コンテナ10が水平方向および鉛直方向に互いに接触して積み込まれる。輸送用コンテナ10の詳細については後述する。
【0033】
本開示の温度調節構造は、熱交換器30,40を利用した固体伝熱式である。即ち、熱交換器30,40と輸送用コンテナ10の少なくとも一部が接触し、熱交換器30,40が輸送用コンテナ10を直接的に温度調節(本実施形態では冷却)する。
【0034】
本実施形態では、熱交換器30,40は、例えばプレート式であり、複数の部屋R1,R2のそれぞれに対して設けられている。熱交換器30,40は、温度調節庫20の内部下面に露出してそれぞれ配置されている。熱交換器30,40は、配管31,41(破線で模式的に示す)を介してコンプレッサ32,42とコンデンサ33,43とにそれぞれ流体的に接続されている。配管31,41内には冷媒が流れている。冷媒は、コンプレッサ32,42にて圧縮され、コンデンサ33,43にて液化し、熱交換器30,40にて蒸発する。即ち、熱交換器30,40は、エバポレータとして機能する。このようにして、冷媒は、配管31,41を介して、熱交換器30,40と、コンプレッサ32,42と、コンデンサ33,43との間をそれぞれ循環する。即ち、一般的な冷凍サイクルが構成されている。
【0035】
熱交換器30,40は、温度調節機能を有する温度調節面30a,40aをそれぞれ有している。温度調節面30a,40aは、温度調節庫20の内部下面にて露出するようにそれぞれ配置されている。従って、ユーザは、温度調節面30a,40a上に輸送用コンテナ10を載置することで輸送用コンテナ10を温度調節(本実施形態では冷却)することができる。代替的には、熱交換器30,40の温度調節面30a,40aは、温度調節庫20の内部側面や内部上面などに配置されてもよい。
【0036】
図2は、輸送用コンテナ10の斜視図を示している。
図2では、トラック1の前方がX方向で示され、側方がY方向で示され、上方がZ方向で示されている。これは、以降の図でも同様である。
【0037】
輸送用コンテナ10は、対象物2(破線で模式的に示す)を収容可能な箱形状を有している。例えば、輸送用コンテナ10の外形は、直方体状である。本実施形態では、輸送用コンテナ10は、アルミニウム合金製である。従って、輸送用コンテナ10の外壁全体が、樹脂と比べて高い熱伝導率を有する熱伝導部11となっている。輸送用コンテナ10の熱伝導部11は、熱交換器30,40の温度調節面30a,40a(
図1参照)上に配置され、熱交換器30,40の温度調節面30a,40aから直接温度調節される。特に熱伝導部11には、高い熱伝導率を有するシリコングリスを塗布、または、シリコン系樹脂またはゴム、を貼り付け、介在させてもよい。また本実施形態では、輸送用コンテナ10の外壁全体が熱伝導部11となっているため、輸送用コンテナ10の任意の面を下にして温度調節面30a,40a上に配置できる。代替的には、輸送用コンテナ10の全体ではなく一部を熱伝導部11とし、当該熱伝導部11を熱交換器30,40の温度調節面30a,40a(
図1参照)上に配置してもよい。また、熱伝導部11の材質もアルミニウム合金に限らず、その他の金属であってもよい。
【0038】
また、対象物2を収容するための輸送用コンテナ10の開閉構造は、特に限定されず、任意の構造であり得る。例えば、
図2に示すように、輸送用コンテナ10は、対象物2を収容する本体12と、本体12を閉じる蓋体13とを有してもよい。また、蓋体13が本体12に対してヒンジ14によって軸支されてもよい。また、ヒンジ14や蓋体13は、任意の位置および形状に構成され得る。例えば、
図2に示すように、輸送用コンテナ10の上方が開口する構造であってもよいし、これに代えて側方が開閉する構造であってもよい。また、ヒンジ14なしで本体12から蓋体13を取り外しできる構成としてもよい。
【0039】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0040】
熱交換器30,40によって輸送用コンテナ10を直接温度調節(本実施形態では冷却)する固体伝熱式の温度調節構造が採用されている。従って、熱交換器30,40において、低温冷媒と輸送用コンテナ10が熱伝導部を介して熱交換し、輸送用コンテナ10を温度調節できる。固体伝熱式の温度調節構造では、輸送用コンテナ10の大きさや数量に応じて必要な温度調節を実現できるため、対流伝熱式の温度調節に比べて温度調節効率を向上させることができる。また、輸送用コンテナ10において、熱交換器30,40との接触部分には金属製の熱伝導部11が設けられている。詳細には、本実施形態では、輸送用コンテナ10の全体が金属製の熱伝導部11となっている。従って、樹脂などの低い熱伝導率の材質に比べて高い熱交換効率を発揮できる。
【0041】
また、温度調節庫20の内部は、前述のように仕切壁22によって2つの部屋R1,R2に区画されている。2つの部屋R1,R2のそれぞれには、異なる温度の冷媒を用いた熱交換器30,40が配置されている。従って、要求温度に応じて対象物2を温度調節できる。これにより、異なる要求温度の対象物2を一度に輸送できる。
【0042】
また、輸送用コンテナ10は、温度調節庫20内において上下左右に互いに接触して複数積み込まれる。本実施形態では、輸送用コンテナ10の外壁全体がアルミニウム合金製の熱伝導部11となっているため、最下段に配置された輸送用コンテナ10が熱交換器30,40から得た冷エネルギーがその他の輸送用コンテナ10にも効率的に伝達される。よって、複数の輸送用コンテナ10間での固体伝熱式の効率的な温度調節を実現できる。代替的には、輸送用コンテナ10の外壁全体ではなく、輸送用コンテナ10同士が接触する部分の少なくとも一部を熱伝導部11としてもよい。
【0043】
また、輸送用コンテナ10は、アルミニウム合金製である。アルミニウム合金は他の一般的な金属と比べて高い熱伝導率と低い輻射率を有するため、効率的な温度調節を実現できる。
【0044】
(輸送用コンテナの第1変形例)
図3は、第1変形例における輸送用コンテナ10の下方斜視図を示している。
図3では、輸送用コンテナ10の開閉構造に関する図示が省略されている。また、
図4以降においても同様に輸送用コンテナ10の開閉構造に関する図示を省略するものとする。
【0045】
本変形例における輸送用コンテナ10は、下面10a(
図3では上面として図示)において断熱性を有する複数の凸部15を有している。ここで、下面10aは、本発明の第1の面の一例である。複数の凸部15は、本変形例では6つであり、うち1つに符号を付している。複数の凸部15は、樹脂製である。樹脂は、金属に比べて熱伝導率が低く断熱性を有することから複数の凸部15の材質として好ましい。より好ましくは、複数の凸部15は、より高い断熱性を有する発泡樹脂製である。複数の凸部15は、輸送用コンテナ10の下面10aに対して接着剤で貼り付けられている。
図3の例では、複数の凸部15のそれぞれは直方体状であるが、形状は特に限定されない。また、複数の凸部15は、輸送用コンテナ10の側面に設けられてもよい。
【0046】
本変形例によれば、温度調節機能を有していない任意の床面に輸送用コンテナ10を載置した場合に当該床面と輸送用コンテナ10との伝熱を抑制できる。換言すれば、温度調節機能を有していない任意の床面に輸送用コンテナ10を載置した場合であっても、輸送用コンテナ10の温度(即ち対象物2の温度)を要求温度に維持できる。
【0047】
(輸送用コンテナの第2変形例)
図4は、第2変形例における輸送用コンテナ10の下方斜視図を示している。
図5は、第2変形例における輸送用コンテナ10の上方斜視図を示している。
【0048】
本変形例における輸送用コンテナ10は、第1変形例と同様に、下面10a(
図5では上面として図示)において断熱性を有する複数の凸部15を有している。複数の凸部15は、本変形例では9つであり、うち1つに符号を付している(
図5参照)。複数の凸部15は、下面10aをプレス成形により凸形状に成形して構成されている。好ましくは、複数の凸部15は、成形された凸形状の表面に例えば熱伝導率の低い樹脂部材15a(斜線部参照)を貼り付けて構成される。本変形例では、複数の凸部15のそれぞれは、円錐台状である。
【0049】
また、本変形例における輸送用コンテナ10は、上面10bにおいて複数の凸部15と相補的な形状を有する複数の凹部16を有している。ここで、上面10bは、本発明の第2の面の一例である。複数の凹部16は、本変形例では9つであり、うち1つに符号を付している(
図4参照)。即ち、本変形例における複数の凹部16のそれぞれは、円錐台状の窪みである。また、複数の凹部16は、輸送用コンテナ10において複数の凸部15を側面に設けた場合の当該側面に対向する側面に設けられてもよい。
【0050】
輸送用コンテナ10を上下に並べて配置する場合、複数の凸部15が複数の凹部16に収まるように配置する。このとき、一方の輸送用コンテナ10の上面10bと、他方の輸送用コンテナ10の下面10aとが接触し、熱交換器30,40とで熱エネルギーの交換が行われる。
【0051】
本変形例によれば、複数の凹部16と複数の凸部15を合わせて輸送用コンテナ10を積み上げることで、輸送用コンテナ10の姿勢を安定させることができる。なお、温度調節面30a,40aは、複数の凸部15と相補的な形状の複数の凹部または複数の溝(複数の凹部16と同様の形状)を有してもよい。
【0052】
(輸送用コンテナの第3変形例)
図6は、第3変形例における輸送用コンテナ10の上方斜視図を示している。
【0053】
本変形例における輸送用コンテナ10は、第1,2変形例と同様に、下面10aにおいて断熱性を有する複数(本変形例では3つ)の凸部15を有している。複数の凸部15は、下面10aをプレス成形により長尺の凸形状(突条)に成形して構成されている。好ましくは、複数の凸部15は、成形された突条の表面に熱伝導率の低い樹脂部材15a(斜線部参照)を貼り付けて構成される。
【0054】
また、本変形例における輸送用コンテナ10は、複数の凸部15と相補的な形状を有する複数(本変形例では3つ)の凹部16を上面10bに有している。複数の凹部16のそれぞれは、上面10bにおいて溝状に構成されている。
【0055】
輸送用コンテナ10を上下に並べて配置する際には、複数の凸部15が複数の凹部16に収まるように配置する。このとき複数の凸部15は、複数の凹部16内で摺動可能となっている。従って、輸送用コンテナ10を積み上げる作業が容易となり得る。
【0056】
(輸送用コンテナの第4変形例)
図7は、第4変形例における輸送用コンテナ10の下方斜視図を示している。
【0057】
本変形例における輸送用コンテナ10は、第3変形例における複数の凸部15が下方(
図7では上方として図示)に向かって先細る形状を有している。
【0058】
本変形例によれば、複数の凸部15の接地面積を減少させることができる。従って、温度調節性能を有していない任意の床面に輸送用コンテナ10を載置した場合の床面との熱伝導を低減できる。
【0059】
(輸送用コンテナの第5変形例)
図8は、第5変形例における輸送用コンテナ10の下方斜視図を示している。
【0060】
本変形例における輸送用コンテナ10は、
図7に示す第4変形例と同様に複数の凸部15が下方(
図8では上方として図示)に向かって先細る形状を有している。
【0061】
また、本変形例では、輸送用コンテナ10の複数の凹部16が複数の凸部15と相補的な形状を有している。即ち、複数の凹部16もまた下方(
図8では上方として図示)に向かって先細る形状を有している。
【0062】
本変形例によれば、複数の凸部15と複数の凹部16の接触面積を増加させることができ、熱伝導効率を高めることができる。
【0063】
(輸送用コンテナの第6変形例)
図9は、第6変形例における輸送用コンテナ10の上方斜視図を示している。
【0064】
本変形例における輸送用コンテナ10の下面10aには、第3変形例と同じ複数の凸部15が形成されている。また、上面10bには格子状に凹部16が設けられている。
【0065】
輸送用コンテナ10を上下に並べて配置する際には、複数の凸部15が格子状の凹部16に収まるように配置する。このとき複数の凸部15は、格子状の凹部16内で摺動可能である。従って、輸送用コンテナ10を積み上げる作業が容易となり得る。
【0066】
図10は、第7変形例における輸送用コンテナ10の破断斜視図を示している。
【0067】
本変形例における輸送用コンテナ10の下面10aには、第3変形例と同じ複数の凸部15が形成されている。複数の凸部15の内部には、温度調節用の蓄冷材17が配置されている。蓄冷材17は、要求温度に応じて様々な温度調節性能のものを使用できる。また、複数の凸部15の表面には、例えば熱伝導率の低い樹脂部材15a(斜線部参照)が貼り付けられている。
【0068】
本変形例によれば、蓄冷材17によって輸送用コンテナ10を一層温度調節できる。また、特に複数の凸部15内に蓄冷材17を配置するとともに複数の凸部15の表面に樹脂部材15a(斜線部参照)貼り付けているため、温度調節性能を有していない任意の床面に輸送用コンテナ10を載置した場合の床面からの入熱量を低減できる。なお、蓄冷材17の配置は、複数の凸部15内に特に限定されず、輸送用コンテナ10を温度調節可能な任意の位置であり得る。
【0069】
(温度調節庫の変形例)
図11は、変形例における温度調節庫20が採用されたトラック1の概略構成図を示している。
【0070】
本変形例では、上記実施形態における仕切壁22(
図1参照)が省略されている。即ち、温度調節庫20内は、1つの部屋R3で構成されている。1つの部屋R3内には、異なる温度の冷媒を用いた熱交換器30,40が配置されている。
【0071】
本変形例によれば、異なる要求温度の対象物を輸送する場合に温度調節庫20を仕切壁で区画する必要がある対流伝熱式と異なり、固体伝熱式の温度調節構造が採用されているため、複数の部屋に区画せずに、異なる要求温度の対象物を一度に輸送できる。
【0072】
(熱交換器の第1変形例)
図12は、第1変形例における熱交換器30と輸送用コンテナ10の側面図を示している。本変形例では、熱交換器30を例に説明するが、熱交換器40についても同じ構造を採用し得る。
【0073】
本変形例では、熱交換器30は、温度調節庫20(
図1参照)内において複数段の棚状に配置されている。図示の例では、3つの熱交換器30が、3段の棚状に配置されているが、2段または4段以上の棚状に配置されてもよい。なお、本変形例においても温度調節面30aは、複数の凸部15(
図3~10参照)と相補的な形状の複数の凹部または複数の溝を有してもよい。
【0074】
図示の例では、各熱交換器30に上下方向に1個かつ前後方向に4個の輸送用コンテナ10が載置されている。輸送用コンテナ10の配置数や配置態様は特に限定されないが、各熱交換器30上で輸送用コンテナ10を上下方向に重ねて配置しない(即ち1個のみ配置する)ことが好ましい。
【0075】
図13は、
図12の熱交換器30の斜視図を示している。
図13では、冷媒の流れを破線矢印で模式的に示している。図示を明瞭にするために、冷媒の流れは、主に上段の熱交換器30について示しているが、中段および下段の熱交換器30についても同様である。
【0076】
各熱交換器30は、例えば同じプレート式である。下段の熱交換器30は、温度調節庫20(
図1参照)の内部下面に露出して配置されている。本変形例では、各熱交換器30は、本体部30bと、ヘッダ30cと、脚部30dとを有している。
【0077】
本体部30bは内部に冷媒流路を画定し(破線矢印参照)、上面が温度調節面30aとなっている。本体部30bは、例えば平面視矩形の扁平な部材である。本変形例では、本体部30bは、アルミニウム合金製の押出成形品である。
【0078】
図14,15は、
図12の熱交換器30の本体部30bのA-A線に沿った断面の例および他例をそれぞれ示す断面図である。
【0079】
図示の例のように、本体部30bは、冷媒が流れる複数の矩形(
図14参照)や複数の三角形(
図15参照)の流路断面を有している。ただし、本体部30bの断面形状は、特に限定されず、任意の形状であり得る。
【0080】
ヘッダ30cは、本体部30bの両端に取り付けられた管状部材であり、内部に冷媒流路を画定している(
図13の破線矢印参照)。本変形例では、ヘッダ30cは、左右方向に延びる四角筒状であり、本体部30bの前後方向の両端において本体部30bに溶接されている。従って、本体部30bとヘッダ30cとの接続部において冷媒が漏出しないようにされている。
【0081】
脚部30dは、ヘッダ30cの両端に取り付けられた管状部材であり、内部に冷媒流路を画定している(
図13の破線矢印参照)。本変形例では、脚部30dは、上下方向に延びる四角筒状であり、ヘッダ30cの左右方向の両端においてヘッダ30cに溶接されている。従って、ヘッダ30cと脚部30dとの接続部において冷媒が漏出しないようにされている。脚部30dは、3段の熱交換器30に共通して設けられ、ヘッダ30cを上下方向に支持している。図示手前の2本の脚部30dにおいて冷媒が上向きに流れ、図示奥の2本の脚部30dにおいて冷媒が下向きに流れる(
図13の破線矢印参照)。ただし、冷媒の流れ方は特に限定されず、例えば図示手前の2本の脚部30dのうちの1本のみにおいて冷媒が上向きに流れ、図示奥の2本の脚部30dのうちの1本のみにおいて冷媒が下向きに流れるようにしてもよい。
【0082】
本変形例によれば、複数の輸送用コンテナ10を上下方向に積載する場合に生じ得る上下に隣接する輸送用コンテナ10間の熱抵抗を低減ないしなくすことができる。また、上下方向に積載される輸送用コンテナ10の数を減らすことで、輸送用コンテナ10を取り出しやすくできる。例えば、各段の熱交換器30に対して輸送用コンテナ10を上下方向に重ねて配置しなければ(即ち1個のみ配置すれば)、輸送用コンテナ10を容易に取り出すことができる。
【0083】
(熱交換器の第2変形例)
図16は、第2変形例における熱交換器30が配置された温度調節庫20の内部斜視図を示している。
【0084】
本変形例では、第1変形例の熱交換器30の脚部30dが温度調節庫20を構成する外壁21に埋め込まれている。従って、脚部30dが温度調節庫20の内部空間を圧迫することなく温度調節庫20の内部空間を有効活用できる。
【0085】
(熱交換器の第3変形例)
図17は、第3変形例における熱交換器30が配置された温度調節庫20の内部断面図を示している。
図17では、上段の熱交換器30が示されているが、中断および下段の熱交換器30についても同様である。また、冷媒の流れを破線矢印で模式的に示している。
【0086】
本変形例では、第1変形例の熱交換器30の本体部30bがU字形をしている。U字形の中央空間CSは、ユーザが移動できるように設けられたスペースである。中央空間CSによって、輸送用コンテナ10が容易に出し入れ可能となっている。
【0087】
(第2実施形態)
図18は、第2実施形態に係る輸送用コンテナ10の温度調節構造が採用されたトラック1の概略構成図を示している。例えば、トラック1は、対象物(本実施形態では加熱対象物)2を高温で輸送する。なお、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する場合がある。
【0088】
本実施形態においても、トラック1は、輸送機械の一例であり、本開示の温度調節構造はその他の車両または船舶などの任意の輸送機械に適用できる。また、対象物2についても特に制限なく、温度調節を要する任意の物を対象とし、輸送元や輸送先についても様々であり得る。
【0089】
本実施形態では、対象物2の要求温度別に、一方の部屋R1は高温の加熱用に設けられ、他方の部屋R2は一方の部屋よりもさらに高温の加熱用に設けられている。なお、詳細を図示しないが、仕切壁22を追加して常温用の部屋をさらに設けてもよい。また、温度別に対象物2を輸送する必要がない場合や要求温度が異なる複数の対象物の温度差が大きくない場合には、仕切壁22を設けることなく、温度調節庫20の内部全体を1つの部屋としてもよい。
【0090】
温度調節庫20内には、複数の輸送用コンテナ10が積み込まれる。温度調節庫20内では、複数の輸送用コンテナ10が水平方向および鉛直方向に互いに接触して積み込まれる。なお、輸送用コンテナ10は、第1実施形態と同じである。
【0091】
本開示の温度調節構造は、熱交換器30,40を利用した固体伝熱式である。即ち、熱交換器30,40と輸送用コンテナ10の少なくとも一部が接触し、熱交換器30,40が輸送用コンテナ10を直接的に温度調節(本実施形態では加熱)する。
【0092】
本実施形態では、熱交換器30,40は、例えばプレート式であり、複数の部屋R1,R2のそれぞれに対して設けられている。熱交換器30,40は、温度調節庫20の内部下面に露出してそれぞれ配置されている。熱交換器30,40は、配管31,41(破線で模式的に示す)を介してコンプレッサ32,42とエバポレータ34,44とにそれぞれ流体的に接続されている。配管31,41内には冷媒が流れている。冷媒は、コンプレッサ32,42にて圧縮され、熱交換器30,40にて凝縮するとともに対象物2を加熱し、エバポレータ34,44にて蒸発する。即ち、本実施形態では、熱交換器30,40は、コンデンサとして機能する。このようにして、冷媒は、配管31,41を介して、コンプレッサ32,42と、熱交換器30,40と、エバポレータ34,44との間をそれぞれ循環する。
【0093】
熱交換器30,40は、温度調節機能を有する温度調節面30a,40aをそれぞれ有している。温度調節面30a,40aは、温度調節庫20の内部下面にて露出するようにそれぞれ配置されている。従って、ユーザは、温度調節面30a,40a上に輸送用コンテナ10を載置することで輸送用コンテナ10を温度調節(本実施形態では加熱)することができる。代替的には、熱交換器30,40の温度調節面30a,40aは、温度調節庫20の内部側面や内部上面などに配置されてもよい。
【0094】
図2~10に示す輸送用コンテナ10の構造、
図11に示す温度調節庫20の構造、および
図12~17に示す熱交換器30の構造は、本実施形態においても適用可能である。これにより、熱エネルギーが複数の輸送用コンテナ10の間で効率的に伝達される。なお、
図10における冷却用の蓄冷材17は加熱用の蓄熱材17に置換される。
【0095】
以上より、本発明の具体的な実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、個々の実施形態の内容を適宜組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。即ち、冷却構造と加熱構造の両方を有する温度調節構造を設けてもよい。
【0096】
上記実施形態では、輸送用コンテナ10の概ね全体がアルミニウム合金製であるが、熱交換器30,40との接触部分および輸送用コンテナ10同士が接触する部分の少なくとも一部が熱伝導部11として金属製(例えばアルミニウム合金製)であってもよい。また、輸送用コンテナ10は、要求温度維持の観点から、熱伝導部11以外の外表面には断熱材や蓄冷材または蓄熱材を有していてもよい。上記実施形態の固体伝熱式の温度調節構造に加えて、温度調節庫20内を対流伝熱式で温度調節する空気調和機を設けてもよい。即ち、対流伝熱式と固体伝熱式の両方の温度調節構造が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 トラック
2 対象物
3 運転室
10 輸送用コンテナ
10a 下面(第1の面)
10b 上面(第2の面)
11 熱伝導部
12 本体
13 蓋体
14 ヒンジ
15 凸部
15a 樹脂部材
16 凹部
17 蓄冷材(蓄熱材)
20 温度調節庫
21 外壁
22 仕切壁
30 熱交換器
30a 温度調節面
30b 本体部
30c ヘッダ
30d 脚部
31 配管
32 コンプレッサ
33 コンデンサ
34 エバポレータ
40 熱交換器
40a 温度調節面
41 冷媒配管
42 コンプレッサ
43 コンデンサ
44 エバポレータ
R1,R2,R3 部屋
CS 中央空間