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特開2022-184740圧力トランスミッタ用ダイヤフラムの状態検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184740
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】圧力トランスミッタ用ダイヤフラムの状態検出
(51)【国際特許分類】
   G01L 27/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G01L27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022068776
(22)【出願日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】17/335,198
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521141590
【氏名又は名称】シュナイダー・エレクトリック・システムズ・ユーエスエイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Schneider Electric Systems USA, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ドーア,ティモシー イー
(72)【発明者】
【氏名】オールストロム,ピーター イー
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055CC02
2F055FF45
2F055GG22
2F055HH01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一般に、圧力トランスミッタ内の故障検出装置に関し、特に、ダイヤフラムを利用する圧力トランスミッタ内の故障検出装置を提供する。
【解決手段】圧力トランスミッタ用の材料特性センサは、充填流体に浸漬された感知パターンを含む。圧力トランスミッタは、ダイヤフラムの外面でプロセス流体と接触するように構成されたダイヤフラムを含む。圧力トランスミッタは、ダイヤフラム上のプロセス流体の圧力を感知するように構成された圧力センサをさらに含む。圧力センサとダイヤフラムは、圧力センサのダイヤフラムが、ダイヤフラムの内面で充填流体と接触するように、充填流体が配置されるキャビティを画定する。感知パターンは、キャビティ内の充填流体に浸され、初期時間において、及び圧力トランスミッタの動作中の1回以上の後続時間において、充填流体の電気的特性を測定するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力トランスミッタ用の材料特性センサであって、前記圧力トランスミッタは、ダイヤフラムの外面でプロセス流体と接触するように構成された前記ダイヤフラムを備え、前記圧力トランスミッタは、前記ダイヤフラム上の前記プロセス流体の圧力を感知するように構成された圧力センサをさらに備え、前記材料特性センサが、
充填流体であって、前記圧力センサの前記ダイヤフラムが、前記ダイヤフラムの内面で前記充填流体と接触しており、前記圧力センサ及び前記ダイヤフラムが、その中に前記充填流体が配置されるキャビティを画定する、前記充填流体と、
前記キャビティ内の前記充填流体に浸漬され、初期時間及び前記圧力トランスミッタの動作中の1つ以上の後続時間に、前記充填流体の誘電特性を測定するように構成された感知パターンと、
を備える、材料特性センサ。
【請求項2】
前記充填流体が、非圧縮性流体である、請求項1に記載の材料特性センサ。
【請求項3】
前記充填流体が、前記プロセス流体とは異なる流体であり、前記充填流体及び前記プロセス流体が、異なる誘電特性を有する、請求項1または請求項2に記載の材料特性センサ。
【請求項4】
前記感知パターンが、温度及び圧力の範囲にわたって前記充填流体の電気的特性を測定して、前記電気的特性に関連付けられた充填流体フィンガープリントを作成するように構成され、前記電気的特性が、導電率、抵抗率、漏電、及び誘電率のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の材料特性センサ。
【請求項5】
前記後続時間での前記充填流体の材料特性と、差が閾値を超えるときに初めて測定された前記充填流体フィンガープリントの材料特性との間の前記差に応答して、アラートを生成するためのアラーム回路をさらに備える、請求項4に記載の材料特性センサ。
【請求項6】
前記感知パターンが、
前記充填流体フィンガープリントを作成するために、既知の抵抗を介して前記感知パターンにわたって既知の電圧を印加することによって、前記充填流体の前記電気的特性と、
誘電定数に関連付けられた前記充填流体フィンガープリントを作成するために、既知のコンデンサを介して1つ以上の周波数で前記感知パターンにわたって既知の電圧を印加することによって、前記充填流体の前記誘電定数と、
のうちの少なくとも1つを測定するように構成されている、請求項4に記載の材料特性センサ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載されている前記材料特性センサを備える、圧力トランスミッタ。
【請求項8】
圧力トランスミッタの変化した状態を検出する方法であって、前記圧力トランスミッタが、ダイヤフラムの外面でプロセス流体と接触するように構成された前記ダイヤフラムを備え、前記圧力トランスミッタが、前記ダイヤフラム上で前記プロセス流体の圧力を感知するように構成された圧力センサをさらに備え、
初期時間において、感知パターンが温度及び圧力の範囲にわたって浸漬されている充填流体の1つ以上の特性を測定することと、
前記充填流体のフィンガープリントを、前記初期時間に測定されたその1つ以上の誘電特性の関数として特徴付けることと、
後続時間において、前記充填流体の前記1つ以上の誘電特性を測定することと、
前記充填流体の電流挙動を、前記後続時間において測定されたその前記1つ以上の特性、圧力及び温度の関数として特徴付けることと、
前記後続時間での前記充填流体の前記電流挙動を前記初期時間での前記充填流体のフィンガープリントと比較して、経時的な前記充填流体の前記1つ以上の特性の変化を検出することと、
前記後続時間での前記充填流体の材料特性と、差が閾値を超えるときに初めて測定された前記充填流体のフィンガープリントの材料特性との前記差に応答して、アラート回路を使用してアラートを生成することと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記充填流体が、前記プロセス流体とは異なる流体であり、前記充填流体と前記プロセス流体が異なる誘電特性を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記感知パターンによって、充填流体フィンガープリントを作成することをさらに含み、前記充填流体フィンガープリントが、既知のコンデンサを介して、1つ以上の周波数で前記感知パターンにわたって既知の電圧の印加を介して、測定された電気的特性と、前記充填流体の誘電定数と、のうちの少なくとも1つに関連付けられている、請求項8または請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、圧力トランスミッタ内の故障検出装置に関し、特に、ダイヤフラムを利用する圧力トランスミッタ内の故障検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサは、信頼性高く動作するために、正確で安定した圧力測定に依存する様々な用途で使用される。それらの用途を監視及び制御するために、圧力センサに依存する産業が増えるにつれ、これらのセンサに対する需要が大幅に増加している。変化する有効性と利便性とともに、多様な圧力センサの設計が存在している。特に、薄い素材でできたダイヤフラムを利用した圧力センサが普及している。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、圧力トランスミッタのダイヤフラムの状態の検出を可能にする。検出された状態は、ダイヤフラムのひび割れ、漏れ、またはその他の損傷に起因する実際のまたは予測されたダイヤフラムの故障を表している可能性がある。
【0004】
一態様では、圧力トランスミッタ用の材料特性センサは、充填流体に浸漬された感知パターンを含む。圧力トランスミッタは、ダイヤフラムの外面でプロセス流体と接触するように構成されたダイヤフラムを含む。圧力トランスミッタは、ダイヤフラム上のプロセス流体の圧力を感知するように構成された圧力センサをさらに含む。圧力センサとダイヤフラムは、圧力センサのダイヤフラムが、ダイヤフラムの内面で充填流体と接触するように、充填流体が配置されるキャビティを画定する。感知パターンは、キャビティ内の充填流体に浸され、初期時間において、及び圧力トランスミッタの動作中の1回以上の後続時間において、充填流体の電気的特性を測定するように構成されている。
【0005】
別の態様では、圧力トランスミッタの変化した状態を検出する方法は、ダイヤフラムの外面でプロセス流体と接触するように構成されたダイヤフラムを備える圧力トランスミッタを利用する。圧力トランスミッタは、ダイヤフラム上のプロセス流体の圧力を感知するように構成された圧力センサでさらに構成されている。本方法は、初期時間において、感知パターンが温度及び圧力の範囲にわたって浸漬される充填流体の1つ以上の特性を測定することを含む。本方法は、初期時間に測定されたその1つ以上の誘電特性の関数として充填流体のフィンガープリントを特徴付けることと、後続時間に充填流体の1つ以上の誘電特性を測定することと、をさらに含む。本方法はまた、後続時間に測定されたその1つ以上の特性、圧力及び温度の関数として、充填流体の電流挙動を特徴付けることと、後続時間における充填流体の電流挙動を初期時間における充填流体のフィンガープリントと比較して、経時的な充填流体の1つ以上の特性の変化を検出することと、後続時間における充填流体の材料特性と、差が閾値を超えたときに初めて測定された充填流体フィンガープリントの材料特性との差に応答して、アラート回路を使用してアラートを生成することと、を含む。
【0006】
さらに別の態様では、圧力トランスミッタは、ダイヤフラムの外面でプロセス流体と接触するように構成されたダイヤフラムと、ダイヤフラム上のプロセス流体の圧力を感知するように構成された圧力センサと、充填流体と、を備える。圧力センサのダイヤフラムは、ダイヤフラムの内面で充填流体と接触しており、圧力センサとダイヤフラムは、充填流体がその中に配置されるキャビティを画定する。圧力トランスミッタは、キャビティ内の充填流体に浸漬され、初期時間、及び圧力トランスミッタの動作中の1つ以上の後続時間に、充填流体の電気的特性を測定するように構成された感知パターンをさらに備える。
【0007】
本開示の他の目的及び特徴は、部分的に明白であり、部分的に本明細書で指摘されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による圧力トランスミッタの正面図である。
図2図1の線1-1に沿って延在する平面で取られた圧力トランスミッタの断面である。
図3図1の線1-1に沿って延在する平面で取られた圧力トランスミッタのセンサアセンブリの断面である。
図4図3のセンサアセンブリの材料特性センサの感知パターンの上面図である。
図5図1の圧力トランスミッタと共に使用するためのホイートストンブリッジ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
対応する参照番号は、図面全体を通じて対応する部品を示している。
【0010】
図1を参照すると、本開示の一実施形態による圧力トランスミッタ100は、透明カバー114、ユーザディスプレイハウジング104、及びセンサハウジング106の後方に構成されたユーザディスプレイ102(例えば、LDCディスプレイ)を備える。ユーザディスプレイハウジング104は、開口部を有し、そこを通してユーザディスプレイ102を見ることができる。図示した実施形態では、圧力トランスミッタ100は、ウェルヘッドまたはオイルポンプなどの流体源に取り付けられており、流体源は、パイプ内の流体の圧力を測定するためにパイプを介してプロセス流体を供給する。しかしながら、圧力トランスミッタ100は、流体ポンプ用途に制限されていない。圧力トランスミッタ100はまた、産業用途、化学用途、自動車用途、医療用途、消費者用途、住宅用途などで使用されることができる。
【0011】
図2を参照すると、圧力トランスミッタ100の断面は、圧力トランスミッタの内部構成要素を示している。図2に示すように、圧力トランスミッタ100は、ユーザ端子台108、ユーザ端子台ハウジング110、コントローラ112、センサアセンブリ116、及び電子配線118をさらに備える。センサハウジング106は、前部開口部、後部開口部、及び底部開口部を備え、前部開口部は、ユーザディスプレイハウジング104を受け入れるように構成され、後部開口部は、ユーザ端子台ハウジング110を受け入れるように構成され、そして底部開口部は、センサアセンブリ116を受け入れるように構成されている。透明カバー114は、ユーザディスプレイハウジングの開口部とユーザディスプレイ102との間のユーザディスプレイハウジング104内に受け入れられるように構成されている。
【0012】
図3を参照すると、センサアセンブリ116は、チップキャリア120、材料特性センサ122、及びダイヤフラム124をさらに備えている。本開示の一実施形態では、チップキャリア120はセラミック材料でできている。チップキャリア120は、圧力センサ126を支持するようにさらに構成されている。
【0013】
図2及び図3の実施形態では、ダイヤフラム124は、金属材料(例えば、ステンレス鋼、インコネル(登録商標)または他のニッケルクロムベースの超合金、ヘインズ(登録商標)242(登録商標)または他のニッケル-クロム-モリブデン合金、ハステロイ(登録商標)または他のニッケル-モリブデン合金、チタン、またはモネル)でできている。しかしながら、ダイヤフラムは金属材料に限定されない。図2及び図3に示すように圧力トランスミッタ100は、単一のダイヤフラム124を含むが、本開示の態様は、複数のダイヤフラムを有する圧力トランスミッタに適用され得ることが理解されるべきである。
【0014】
図示した実施形態では、ダイヤフラム124は、圧力センサ126及びチップキャリア120から間隔を空けて、ダイヤフラムとチップキャリアとの間にキャビティ130を画定する。充填流体132は、キャビティ130内に配置され、この充填流体は、非圧縮性材料(例えば、シリコーン200DC10または他のシリコーン流体、Fluorinert(商標)FC43または他のフッ素化脂肪族流体、水、またはNeobee N1260TZ)から構成されている。ダイヤフラム124は、ダイヤフラムの内面133で充填流体132と接触している。センサアセンブリ116は、ダイヤフラム124の外面135において、ダイヤフラム124が、プロセス流体134と接触するように構成されるように、ユーザアプリケーションに選択的に取り付け可能である。好ましい実施形態では、充填流体132は、プロセス流体134とは異なる流体であり、充填流体及びプロセス流体は、異なる誘電特性を有する。材料特性センサ122は、感知パターン136からさらに構成されている。材料特性センサ122及びその感知パターン136は、充填流体132に浸漬されるように構成されており、材料特性センサが、導電率、漏電、抵抗率、誘電率、及び誘電定数などの充填流体の電気的特性を測定できるようになっている。図示されるように、感知パターン136を含む材料特性センサ122は、チップキャリア120の表面に配置されている。
【0015】
図4に示されるように、図示した実施形態における感知パターン136は、2つの概して櫛形の構造137及び139からなり、90度回転して、水平セグメント138及び垂直セグメント140を有する櫛歯141を画定する。この実施形態では、水平セグメント138は、互いに0.0060インチ間隔を空けており、長さは0.0120インチであり、一方で、感知パターン回路137の幅は、0.0030インチの幅である。この実施形態では、感知パターン136の幅は0.0270インチである。図示した実施形態では、感知パターン回路137と感知パターン136の側縁との間の間隔は0.0060インチであり、一方で、感知パターン136の上端及び下端と感知パターン回路137との間の間隔は0.0230インチである。櫛形構造137及び139は、導電性要素から構成され、共にコンデンサを形成する。充填流体132は、2つの導電性素子間の誘電体として機能し、充填流体132の誘電定数を検出するために、測定された静電容量の変化が使用され得るようになっている。感知パターン136の代替的な実施形態では、歯141は、0.0120インチを超える長さを有する水平セグメント138を有することになる。櫛構造137、139は、結合を有利に最大化するように構成されている。
【0016】
図5は、ホイートストンブリッジ150の形態で圧力トランスミッタ100のさらなる態様を具体化する例示的な回路図を示している。図5に示されるように、ホイートストンブリッジ回路150は、温度ブリッジ152及び圧力ブリッジ154を備える。感知パターン136の代替として、またはその追加として、ホイートストンブリッジ回路150は、ブリッジ回路に電圧が印加されたときの抵抗を判定することによって、充填流体132の材料特性を測定するように構成されている。例えば、ブリッジ回路150は、抵抗を測定するために浮かすことができる。電流は、温度ブリッジ152のピン9に注入され、次いで、電圧は、圧力ブリッジ154のピン9とピン2の間で読み取られる。電圧測定値は、充填流体132の抵抗を示している。同様に、電圧は、充填流体132の抵抗を判定するための単一のブリッジ回路を有する単一の可変トランスミッタの浮動ブリッジ回路を横切って読み取られることができる。この実施形態では、感知パターン136は、ホイートストンブリッジ回路を備える。
【0017】
動作中、圧力トランスミッタ100は、プロセス流体134の圧力を感知するように構成されている。プロセス流体134がプロセスの一部として加圧されると、プロセス流体はダイヤフラム124に力を及ぼす。ダイヤフラム124は、プロセス流体134によって加えられる圧力に応答して偏向することができるように、十分薄くなるように構成されている。ダイヤフラム124の偏向は、非圧縮性充填流体132に力を加え、これが力を圧力センサ126に伝達する。これらの力の伝達の結果として、圧力センサ126は、ダイヤフラム124の外面上のプロセス流体134によって引き起こされる圧力変化を測定する。圧力センサ126は、圧力センサに加えられている力に応答(すなわち、圧電またはひずみゲージ応答)して、電子信号を生成するように構成されている。電気信号は、電気接続118を介して圧力センサ126からコントローラ112に転送される。コントローラ112は、電気信号を受信し、ユーザディスプレイ102に表示される圧力測定値を出力する。さらに、ユーザ端子台108は、圧力トランスミッタ100を外部回路に接続するための入力/出力端部を提供する。
【0018】
圧力トランスミッタ100が、プロセス流体134の圧力を読み取るその機能を実行する一方で、材料特性センサ122は、充填流体132の測定を同時に実行して、充填流体の材料特性を試験する。上述のように、材料特性センサ122は、充填流体132に浸漬される。初期時間(t1)において、材料特性センサ122は、感知パターン136を使用して、充填流体の電気的特性を測定する。本開示の一実施形態では、材料特性センサ122は、充填流体132の導電率、漏電、抵抗率、誘電率、及び誘電定数を測定することができる。しかしながら、この用途は、材料特性センサ122が測定することができる充填流体132の材料特性を制限するように解釈されるべきではない。
【0019】
t1での充填流体132の導電率、漏電、抵抗率、または誘電率を測定するために、充填流体に浸漬されている間、既知の電圧が、既知の抵抗で感知パターン136にわたって印加される。t1での充填流体132の誘電定数を測定するために、電圧が、既知のコンデンサを介して、充填流体に浸漬されている間に1つ以上の周波数で感知パターン136にわたって印加される。感知パターン136は、温度及び圧力の範囲にわたって充填流体132の誘電特性を測定して、t1での誘電特性に関連付けられた充填流体フィンガープリントを作成するように構成されている。t1での温度及び圧力の範囲にわたって充填流体132の1つ以上の材料特性を測定することにより、充填流体のフィンガープリントは、個別の温度及び圧力での特定の特性に関連付けられた値を判定することができる。
【0020】
圧力トランスミッタ100は、経時的に作動することから、ダイヤフラム124に対するプロセス流体134の力、ならびに化学的、機械的、及び/または外部的な要因は、例えば、ダイヤフラム124の最終的な故障の一因となる亀裂または漏洩を引き起こす可能性がある。ダイヤフラムが故障すると、センサ126は、しばらくの間、性能が低下した状態で動作し続けることができる。この低下した性能は、その用途での望ましくない不正確な圧力測定値をもたらす可能性がある。修正されない場合、プロセス流体134の圧力の誤った測定値は、不必要な是正措置、または必要な是正措置の遅延につながる可能性があり、ユーザにとってより高いコストまたは製品の損失を生じることになり得る。
【0021】
ダイヤフラム124が故障すると、充填流体132が、破片によって汚染されるか、またはプロセス流体134と混合される可能性がある。充填流体132が汚染されると、この汚染は、充填流体の測定された材料特性の変化を引き起こす。上述の可能な充填流体のいくつかの一般的な値は、以下に示す表1で見ることができる。
【表1】
【0022】
材料特性センサ122は、圧力トランスミッタ100の動作中の1つ以上の後続時間tnで、充填流体132の材料特性を連続的に測定することによって、これらの変化を測定するように構成されている。材料特性センサ122は、既知の抵抗で感知パターン136にわたって電圧を印加することによって、導電率、漏電、抵抗率、及び/または誘電率を連続的に監視するように構成されている。代替的に、材料特性センサ122は、既知のコンデンサを介して1つ以上の周波数で感知パターン136にわたって、既知の電圧を印加することによって、充填流体132の誘電定数を連続的に監視するように構成されている。材料特性センサ122は、充填流体フィンガープリントを使用して、充填流体132の材料特性(例えば、導電率、抵抗率、誘電率、漏電、または誘電定数)の適切な値が、特定の温度及び圧力にあるかを判定することができる。この値は、次いで材料特性の測定値と比較され、所定の閾値内で値が一致するかどうかを判定する。一実施形態では、圧力トランスミッタ100のコントローラ112は、後続時間tnでの充填流体132の材料特性と、差が閾値を超えたときに初めての時間t1で測定された充填流体フィンガープリントの材料特性との間の差に応答してアラートを生成する。このアラートは、ダイヤフラム124の故障などの何らかの方法で充填流体132が汚染されている可能性があることをユーザに通知し、これにより、ダイヤフラムを交換する必要があることをユーザに通知する。
【0023】
次に、上述のように圧力トランスミッタの変化した状態を検出する例示的な方法を以下に簡単に説明する。圧力トランスミッタ100は、ダイヤフラムの外面でプロセス流体134と接触するように構成されたダイヤフラム124を備える。圧力トランスミッタ100は、ダイヤフラム124上のプロセス流体134の圧力を感知するように構成された圧力センサ126をさらに備える。本方法は、初期時間t1で、充填流体132の1つ以上の特性を測定する第1のステップを含み、そこでは、例えば、ホイートストンブリッジ回路の感知パターン136が、温度及び圧力の範囲にわたって浸漬される。一実施形態では、感知パターン136は、チップキャリア120上に配置され、このチップキャリアは、好ましくは、セラミック材料から作られている。圧力センサは、ダイヤフラム124の外面でプロセス流体134によって引き起こされる圧力の変化を測定する。誘電特性は、導電率、漏電、誘電率、抵抗率、及び誘電定数を含み得るが、これらに限定されていない。t1での充填流体132の導電率、漏電、抵抗率、または誘電率を測定するために、既知の電圧が、既知の抵抗で感知パターン136にわたって印加される。t1での充填流体132の誘電定数を測定するために、電圧が、既知のコンデンサを介して1つ以上の周波数で感知パターン136にわたって印加される。本開示の好ましい実施形態では、充填流体132は、プロセス流体134とは異なる流体であり、充填流体及びプロセス流体は、異なる誘電特性を有する。
【0024】
第2のステップでは、本開示の態様を具体化する方法は、充填流体132のフィンガープリントを初期時間t1で測定された1つ以上の誘電特性の関数として特徴づけることを含む。t1での温度及び圧力の範囲にわたって充填流体132の1つ以上の材料特性を測定することにより、充填流体のフィンガープリントは、個別の温度及び圧力での特定の特性に関連付けられた値を判定することができる。
【0025】
第3のステップでは、本方法は、1つ以上の後続時間tnにおいて、圧力トランスミッタ100の動作中の充填流体132の1つ以上の誘電特性を測定することを含む。第4のステップでは、本方法は、充填流体132の電流挙動を、後続時間に測定されたその1つ以上の特性、圧力、及び温度の関数として特徴づけることを含む。センサアセンブリ116から温度及び圧力のデータを収集することにより、材料特性センサ122は、充填流体フィンガープリントを使用して、充填流体132の材料特性の適切な値(例えば、導電率、抵抗率、誘電率、漏電、または誘電定数)が、特定の温度及び圧力であるべきかを判定することができる。
【0026】
第5のステップでは、本方法は、経時的な充填流体の1つ以上の特性の変化を検出するために、後続時間tnでの充填流体132の電流挙動を初期時間t1での充填流体のフィンガープリントと比較することを含む。この値は、次いで材料特性の測定値と比較され、所定の閾値内で値が一致するかどうかを判定する。
【0027】
第6のステップでは、本方法は、後続時間tnでの充填流体132の材料特性と、差が所定の閾値を超えるときの初期時間t1で測定された充填流体フィンガープリントの材料特性との間の差に応答して、アラート回路を使用してアラートを生成することを含む。このアラートは、ダイヤフラム124の故障などの何らかの方法で充填流体132が汚染されている可能性があることをユーザに通知し、これにより、ダイヤフラムを交換する必要があることをユーザに通知する。
【0028】
本明細書に図示及び説明された本発明の態様の実施形態での、操作の実行または遂行の順序は、別段の指定がない限り、必須ではない。つまり、この操作は、別途指定されない限り、任意の順序で実行されることができ、本発明の態様の実施形態は、本明細書に開示されるものよりも追加的な、またはより少ない操作を含むことができる。例えば、別の操作の前に、それと同時に、またはその後に特定の操作を実行または遂行することは、本発明の態様の範囲内であると考えられる。
【0029】
本発明の態様またはその実施形態の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、1つ以上の要素が存在することを意味することを意図している。「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0030】
例示され、または説明されている図示した構成要素のすべてが必要とはされ得ない。さらに、いくつかの実施態様及び実施形態は、追加の構成要素を含み得る。構成要素の配置及びタイプの変更は、本明細書に記載の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することがなければ行うことができる。追加の、異なる、またはより少ない構成要素が提供され得、構成要素は組み合わせられ得る。代替的に、または追加で、構成要素は、いくつかの構成要素によって実装され得る。
【0031】
上述の説明は、限定ではなく、例として本発明の態様を例示している。この説明は、当業者が本発明の態様を作成及び使用することを可能にし、現在実行するための最良の様式であると考えられるものを含む、本発明の態様のいくつかの実施形態、適合、変形、代替及び使用を説明する。さらに、本発明の態様が、その出願において、以下の説明に記載される、または図面に示される、構成の詳細及び構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明の態様は、他の実施形態も可能であるし、また様々な方法で実践または実施することができる。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的としており、限定的なものとみなされるべきではないと理解されよう。
【0032】
添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を逸脱することなく、修正形態及び変形形態が可能であることは明らかであろう。本発明の範囲を逸脱することなく上記の構成及び方法に様々な変更を加えることができるので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されるべきであることが意図されている。
【0033】
上記を考慮して、本発明の態様のいくつかの利点が達成され、他の有利な結果が達成されることが分かるであろう。
【0034】
要約書と発明の概要は、読者が技術的開示の性質をすばやく確認できるように提供されている。それらは、特許請求の範囲または意味を解釈または制限するために使用されないことを理解した上で提示されている。発明の概要は、詳細な説明でさらに説明されている概念の選択を簡略化された形式で紹介するために提供されている。発明の概要は、特許請求された主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求された主題を判定する際の補助として使用されることも意図されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】