IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エアバス ヘリコプターズの特許一覧

特開2022-184747少なくとも2つのエンジンを含む回転翼機の操縦を支援するための方法
<>
  • 特開-少なくとも2つのエンジンを含む回転翼機の操縦を支援するための方法 図1
  • 特開-少なくとも2つのエンジンを含む回転翼機の操縦を支援するための方法 図2
  • 特開-少なくとも2つのエンジンを含む回転翼機の操縦を支援するための方法 図3
  • 特開-少なくとも2つのエンジンを含む回転翼機の操縦を支援するための方法 図4
  • 特開-少なくとも2つのエンジンを含む回転翼機の操縦を支援するための方法 図5
  • 特開-少なくとも2つのエンジンを含む回転翼機の操縦を支援するための方法 図6
  • 特開-少なくとも2つのエンジンを含む回転翼機の操縦を支援するための方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184747
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】少なくとも2つのエンジンを含む回転翼機の操縦を支援するための方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 45/00 20060101AFI20221206BHJP
   B64D 27/10 20060101ALI20221206BHJP
   B64D 27/04 20060101ALI20221206BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B64D45/00 Z
B64D27/10
B64D27/04
B64C27/04
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076891
(22)【出願日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】2105645
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】593020038
【氏名又は名称】エアバス ヘリコプターズ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レイノー,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】カルマス,ニコラス
(57)【要約】
【課題】本発明は、少なくとも1つのメインロータにエンジントルクを伝達することができる少なくとも2つのエンジンを含む回転翼機の操縦を支援するための方法(10)に関する。
【解決手段】本支援方法(10)は、回転翼機(1)の現在の位置を周期的に決定するステップ(12)と、現在の位置と決定点との第1の周期的な比較を行うステップ(13)と、エンジン故障を識別するステップ(14)と、回転翼機の現在の位置と接地地点との第2の周期的な比較を行うステップ(15)と、緊急着陸プロファイルを周期的に決定するステップであって、緊急着陸プロファイルは少なくとも第2の周期的な比較(15)の結果に応じて発生されるステップ(16)と、緊急着陸プロファイルに従って回転翼機を操縦するための制御指令を周期的に発生するステップ(17)と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのエンジン(2、3)を含む回転翼機(1)の操縦を支援するための方法(10)であって、故障のない場合、前記エンジンは、少なくとも前記回転翼機(1)を空中に保つ揚力を提供する少なくとも1つのメインロータ(4)にエンジントルクを伝達することができ、前記回転翼機(1)は、前記回転翼機(1)を操縦するための空気力学的部材(5)を備え、
前記支援方法(10)は、
前記回転翼機(1)の現在の位置を周期的に決定するステップ(12)と、
前記現在の位置と決定点(TDP、LDP)との第1の周期的な比較を行うステップであって、前記回転翼機(1)の前記現在の位置が前記決定点(TDP、LDP)の所定の高度未満の現在の高度を有するという判定を可能とするステップ(13)と、
前記少なくとも2つのエンジン(2、3)のうち少なくとも1つのエンジン(2、3)におけるエンジン故障を識別するステップ(14)と、
前記回転翼機(1)の前記現在の位置と接地地点(PP)との第2の周期的な比較を行うステップ(15)と、
緊急着陸プロファイルを周期的に決定するステップであって、前記緊急着陸プロファイルは少なくとも前記第2の周期的な比較(15)の結果に応じて発生され、前記緊急着陸プロファイルの周期的な決定(16)は前記少なくともメインロータ(4)の最小回転速度(NRmin)に応じて行われるステップ(16)と、
前記緊急着陸プロファイルに従って前記空気力学的部材(5)を制御すると共に前記回転翼機(1)を操縦するための制御指令を周期的に発生するステップであって、前記回転翼機(1)の前記現在の位置が前記決定点(TDP、LDP)の前記所定の高度未満の現在の高度を有し、かつ、エンジン故障が識別された(14)場合に実施されるステップ(17)と、を含み、
前記緊急着陸プロファイルの前記周期的な決定(16)は、前記回転翼機(1)の所定の降下率に応じて行われる、方法。
【請求項2】
前記所定の降下率は、前記回転翼機(1)の前記現在の高度に応じて変動し得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転翼機(1)の前記現在の高度が200フィート(60.96メートル)以上である場合、所定の降下率は、-1200から-800フィート/分の間(-365.76から-243.84メートル/分の間)の第1の閾値に等しい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記回転翼機(1)の前記現在の高度が100フィート(30.48メートル)以下である場合、前記所定の降下率は、-700から-300フィート/分の間(-213.36から-91.44メートル/分の間)の第2の閾値に等しい、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記回転翼機(1)の前記現在の高度が100から200フィートの間(30.48から60.96メートルの間)である場合、前記所定の降下率は、-1200から-800フィート/分の間(-365.76から-243.84メートル/分の間)の第1の閾値と、-700から-300フィート/分の間(-213.36から-91.44メートル/分の間)の第2の閾値と、の間で線形減少関数に応じて変動する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記最小回転速度(NRmin)は、前記少なくともメインロータ(4)の記憶された公称回転速度(NRnom)の94%から105%の間である所定の固定値である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくともメインロータ(4)は、少なくとも2つの羽根(6)を含み、
前記制御指令は、前記少なくとも2つの羽根(6)の各々のピッチを全体的に変更する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記緊急着陸プロファイルの前記周期的な決定(16)は、地面に対する前記回転翼機(1)の最大縦加速度と、地面に対する前記回転翼機(1)の最大縦前進速度と、に依存する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記回転翼機(1)の前記最大縦加速度は、前記回転翼機(1)の現在の高度と、前記回転翼機(1)が垂直速度ゼロでホバリング飛行フェーズである場合の前記少なくとも2つのエンジンの電力余裕と、の関数として変動し得る、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記最大縦加速度は、0.5から1.5メートル毎秒毎秒(m・s-2)の間である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記最大縦速度は、前記回転翼機(1)の現在の降下率の関数として変動し得る、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記支援方法(10)は、前記現在の位置と前記接地地点(PP)との間の第1の差を表す情報を表示デバイス(30)に表示する少なくとも1つのステップ(18)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記支援方法(10)は、前記現在の位置と障害物を含むゾーンとの間の第2の差を表す情報を表示デバイス(30)に表示する少なくとも1つのステップ(19)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記表示された情報は、前記接地地点に対する及び/又は前記障害物を含むゾーンに対する前記現在の位置の関数として前記回転翼機(1)の方位角位置を表す、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記支援方法は、前記回転翼機(1)の前記現在の高度と前記決定点(TDP、LDP)の前記所定の高度との間の第3の差を表す情報を表示デバイス(30)に表示する少なくとも1つのステップ(20)を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2021年5月31日に出願されたFR2105645号の優先権を主張する。その開示は援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、回転翼機の離陸又は着陸フェーズ中に実施することができる回転翼機の操縦を支援するための方法に関する。
【0003】
[0003] このような回転翼機は、例えば熱機関及び/又は電気エンジンのような少なくとも2つのエンジンを備える。このような支援方法は、回転翼機を操縦するためのカテゴリA手順に従った操作を実行する目的でパイロットを支援することを可能とし得る。このような手順は、具体的には、少なくとも2つのエンジンの性能に対して極めて高い要求を課す離陸又は着陸フェーズから構成され得る。
【背景技術】
【0004】
[0004] このような既知の操縦支援方法は、特に、文献US6527225号及びUS6629023号に記載されており、離陸フェーズ中及び着陸フェーズ中にそれぞれ使用される。
【0005】
[0005] この場合、もしもこれらのフェーズの一方の間にエンジンのうち1つが故障すると、このような支援方法を実施している支援システムは、所定の接地地点に到達するため緊急着陸プロファイルに従うことによって回転翼機の操縦を可能とすることができる。このようなプロファイルは、回転翼機がいかなる場合でも進まなければならない3次元の代替経路を含む。
【0006】
[0006] しかしながら、特定の状況下では、回転翼機がそのような3次元経路を進むことは複雑であるか、又は不可能である場合さえある。更に、回転翼機に搭載された機材の重量に関する制約も、ブレーキとして作用する。
【0007】
[0007] 離陸フェーズ中に回転翼機の操縦を支援するための他の方法も既知であり、文献EP3444696号及びFR2900385号に記載されている。
【0008】
[0008] より具体的には、文献EP3444696号は、回転翼機によってカテゴリA離陸操作を実行するためパイロットに誘導キューを与えるためのシステム及び方法に関する。
【0009】
[0009] 飛行管理システムは、パイロットに離陸するよう命令し、次いでコレクティブピッチを増大させ、決定点に向かって低速で横方向の上昇を行うため、サイクリックピッチ制御スティックに横方向制御を与える。
【0010】
[0010] 回転翼機が決定点に到達する前にエンジン故障が発生した場合、離陸手順は中断される。
【0011】
[0011] 更に、システムはパイロットに下降を開始するよう命令し、次いで、許容可能なロータ速度を維持すると共に回転翼機を実質的に水平姿勢に保つためのキューをパイロットに与える。
【発明の概要】
【0012】
[0012] 従って、本発明の目的は、上述の制限を克服するのに役立つ代替的な操縦支援方法を提案することである。このような支援方法は、回転翼機の離陸又は着陸の双方の間に実施され得る。
【0013】
[0013] 従って本発明の1つの目標は、特に、回転翼機の緊急着陸フェーズの実施を保証できるようにすることである。
【0014】
[0014] 従って本発明は、少なくとも2つのエンジンを含む回転翼機の操縦を支援するための方法に関する。故障のない場合、これらのエンジンは、少なくとも回転翼機を空中に保つ揚力を提供する少なくとも1つのメインロータにエンジントルクを伝達することができ、回転翼機は、回転翼機を操縦するための空気力学的部材を備え、支援方法は、
回転翼機の現在の位置を周期的に決定するステップと、
現在の位置と決定点との第1の周期的な比較を行うステップであって、回転翼機の現在の位置が決定点の所定の高度未満の現在の高度を有するという判定を可能とするステップと、
少なくとも2つのエンジンのうち少なくとも1つにおけるエンジン故障を識別するステップと、
回転翼機の現在の位置と接地地点との第2の周期的な比較を行うステップと、
緊急着陸プロファイルを周期的に決定するステップであって、緊急着陸プロファイルは少なくとも第2の周期的な比較の結果に応じて発生され、緊急着陸プロファイルの周期的な決定は少なくとも1つのメインロータの最小回転速度(NRmin)に応じて行われるステップと、
緊急着陸プロファイルに従って空気力学的部材を制御すると共に回転翼機を操縦するための制御指令を周期的に発生するステップであって、回転翼機の現在の位置が決定点の所定の高度未満の現在の高度を有し、かつ、エンジン故障が識別された場合に実施されるステップと、
を含む。
【0015】
[0015] 従って、緊急着陸プロファイルは、進むべき経路とは別個であるが、少なくとも、少なくとも1つのメインロータの現在の回転速度が下回ってはいけない最小回転速度(NRmin)によって、回転翼機の回転翼の揚力を直接管理することを可能とする。
【0016】
[0016] 少なくとも、1又は複数のメインロータの現在の回転速度を最小回転速度(NRmin)以上に保つように、制御指令を発生させる。
【0017】
[0017] また、第1の実施形態によれば、制御指令の周期的な発生は、自動飛行制御システムによって完全に自動的に実行され得る。
【0018】
[0018] 第2の実施形態によれば、制御指令の周期的な発生は、自動飛行制御システムによって部分的に自動的に、回転翼機のパイロットによって部分的に手動で実行され得る。
【0019】
[0019] この場合、1つの可能性に従って、回転翼機の現在の高度が所定の閾値よりも高い場合、制御指令の周期的な発生は、自動飛行制御システムによって自動的に実行され得る。
【0020】
[0020] しかしながら、回転翼機の現在の高度が所定の閾値以下であるか又は所定の閾値以下になった場合、回転翼機のパイロットが手動で制御指令を発生することを可能とするため、自動飛行制御システムは阻止され得る。
【0021】
[0021] 第1の実施形態によれば、現在の位置と決定点との間の第1の周期的な比較は自動的に実行され得る。
【0022】
[0022] 第1の実施形態と両立し得る第2の実施形態によれば、現在の位置と決定点との間の第1の周期的な比較は、回転翼機の乗組員によって実行される手動アクティベーションステップ(manual activation step)に応じて実行され得る。
【0023】
[0023] 本発明によれば、このような方法は、緊急着陸プロファイルの周期的な決定が回転翼機の所定の降下率に応じて生成されるという点で注目に値する。
【0024】
[0024] 言い換えると、緊急着陸プロファイルの発生は、1又は複数のメインロータの現在の回転速度を制御するサブステップと、回転翼機の降下率を制御するサブステップと、を含み得る。1又は複数のメインロータの現在の回転速度を制御するサブステップは、回転翼機の降下率を制御するサブステップよりも優先して実行される。
【0025】
[0025] また、回転翼機の降下率を制御するサブステップは、ロータの羽根のピッチを全体的に(collectively)又はサイクリックに(cyclically)変動させるため、これらの羽根のピッチを制御するレバー又はスティック等の制御部材を作動させるように、回転翼機のパイロット又は自動操縦装置を促すことができる。また、パイロットは、回転翼機を実質的に水平姿勢に保つことは要求されず、特に、必要な場合は回転翼機の機首を上又は下に縦揺れさせ得る(pitch)。
【0026】
[0026] 従って、回転翼機の降下率を制御するこのようなサブステップは、引き続き動作中であるエンジンが消費する電力を抑えながら、ロータを回転させる回転駆動力に寄与し、このためロータを最小回転速度よりも大きく維持することを可能とする。従って、パイロットに、所定の降下率に従うためコレクティブピッチレバーを操作するよう促すと共に、ロータの回転速度を維持するためスロットル制御は操作しないよう促すことができる。
【0027】
[0027] 従って、回転翼機の降下率に応じた緊急着陸プロファイルの発生によって、別のエンジンが故障した場合に引き続き動作中である1又は複数のエンジンに対する要求を制限することができる。
【0028】
[0028] 更に、少なくとも2つのエンジンのうち動作中である1又は複数のエンジンによって供給される電力が充分である場合、緊急着陸プロファイルの周期的な決定は、ロータの回転速度ターゲット及び降下率ターゲットの双方を満足させるように発生され得る。
【0029】
[0029] しかしながら、少なくとも2つのエンジンのうち動作中である1又は複数のエンジンによって供給される電力が不充分である場合、緊急着陸プロファイルの周期的な決定は、ロータの回転速度ターゲットのみを満足させるように発生され得る。
【0030】
[0030] 実際には、所定の降下率は回転翼機の現在の高度に応じて変動し得る。
【0031】
[0031] 言い換えると、回転翼機の降下率を制御するサブステップは、回転翼機が位置している高度に応じて、観察される所定の降下率の現在値を変更することを可能とする。実際、回転翼機が地面に近付けば近付くほど、所定の降下率の値は小さくなり得る。
【0032】
[0032] 従って、回転翼機の現在の高度が200フィート(60.96メートル)以上である場合、所定の降下率は、-1200から-800フィート/分の間(-365.76から-243.84メートル/分の間)の第1の閾値に等しくすることができる。
【0033】
[0033] 更に、回転翼機の現在の高度が100フィート(30.48メートル)以下である場合、所定の降下率は、-700から-300フィート/分の間(-213.36から-91.44メートル/分の間)の第2の閾値に等しくすることができる。
【0034】
[0034] 同様に、回転翼機の現在の高度が100から200フィートの間(30.48から60.96メートルの間)である場合、所定の降下率は、-1200から-800フィート/分の間(-365.76から-243.84メートル/分の間)の第1の閾値と、-700から-300フィート/分の間(-213.36から-91.44メートル/分の間)の第2の閾値と、の間で線形減少関数に応じて変動し得る。
【0035】
[0035] 例えば、現在の高度が200フィート(60.96メートル)よりも高い場合、所定の降下率は-1000フィート/分(-304.8メートル/分)の値に選択され、-500フィート/分(-152.4メートル/分)まで線形に減少し、100フィート(30.48メートル)未満の高度ではこの所定値に留まることができる。
【0036】
[0036] 実際には、最小回転速度(NRmin)は、少なくとも1つのメインロータの記憶された公称回転速度(NRnom)の94%~105%の間である所定の固定値とすることができる。
【0037】
[0037] 例えば、公称回転速度(NRnom)は321.6rpm(毎分回転数)とすることができ、最小回転速度(NRmin)はこの値の102%に等しいように、すなわち約328.2rpm(毎分回転数)に選択することができる。
【0038】
[0038] 更に、少なくとも1つのメインロータの公称回転速度(NRnom)は、例えば、回転翼機が一定の速さ及び高度の巡航飛行フェーズを実行することができる回転速度である。また、最小回転速度(NRmin)が公称回転速度(NRnom)よりも大きく選択され得る理由は、このような操縦支援方法が、離陸又は着陸フェーズのような巡航飛行フェーズとは異なる飛行フェーズで実施されるからである。
【0039】
[0039] 有利な点として、少なくとも1つのメインロータは少なくとも2つの羽根を含み、制御指令は、少なくとも2つの羽根の各々のピッチを全体的に変更することができる。
【0040】
[0040] このような制御指令はサーボ制御又は作動筒に伝達され、例えば、羽根のピッチを全体的に変更する少なくとも1つのスワッシュプレートを移動させることができる。羽根のピッチのこの全体的な変更によって、メインロータの回転速度を最小回転速度(NRmin)未満に低下しないように制御すること、及び、回転翼機の降下率を制御すること、の双方が可能となる。
【0041】
[0041] 前出の実施形態と両立し得る本発明の一実施形態によれば、緊急着陸プロファイルの周期的な決定は、地面に対する回転翼機の最大縦加速度(maximum longitudinal acceleration)と、地面に対する回転翼機の最大縦前進速度(maximum longitudinal forward speed)と、に依存し得る。
【0042】
[0042] 言い換えると、緊急着陸プロファイルは、ピッチ軸に関して回転翼機の操縦を制約する。実際、接地地点での安全な着陸を可能とするため、回転翼機は、縦方向速度、すなわち回転翼機の後方ゾーンから前方ゾーンへの方向の速度を低減することが可能でなければならない。また、このような縦方向速度の低減は、空気力学的部材を制御するため制御指令を変更し、回転翼機のピッチ角の変更を可能とすることによって実施される。
【0043】
[0043] 回転翼機のピッチ制御に対するこのような制約は、緊急着陸プロファイルを周期的に決定するステップ中に発生され、回転翼機がこれらの最大縦加速度と最大縦前進速度値を超過することを防ぐ。
【0044】
[0044] 実際、回転翼機の最大縦加速度は、回転翼機の現在の高度と、回転翼機が垂直速度ゼロでホバリング飛行フェーズである場合の少なくとも2つのエンジンの電力余裕と、の関数として変動し得る。
【0045】
[0045] 言い換えると、回転翼機が超過することができない最大縦加速度値は固定でなく、回転翼機の現在の高度と回転翼機がホバリングしている場合の少なくとも2つのエンジンの電力余裕とに応じて経時的に変動し得る。
【0046】
[0046] 例えば、最大縦加速度は0.5~1.5メートル毎秒毎秒(m・s-2)の間であり得る。
【0047】
[0047] より正確には、超過してはならないこの最大縦加速度は、0.75~1メートル毎秒毎秒(m・s-2)の間であり得る。
【0048】
[0048] 同様に、最大縦速度は、回転翼機の現在の降下率の関数として変動し得る。
【0049】
[0049] 従って、超過してはならない最大縦速度閾値は固定でなく、回転翼機の現在の降下率に応じて経時的に変動し得る。
【0050】
[0050] 有利な点として、支援方法は、現在の位置と接地地点との間の第1の差を表す情報を表示デバイスに表示する少なくとも1つのステップを含み得る。
【0051】
[0051] このようにこの第1の差を表示することによって、パイロットは、回転翼機の操縦を支援するためのこのような方法の実施を迅速にかつ苦労せずに監視することができる。更に、このような監視は、空気力学的部材を制御するための制御指令が回転翼機の自動操縦システムによって自動的に発生される場合、特に有益である。
【0052】
[0052] このような構成によって、特に、エンジン故障が発生した場合の乗組員の作業負荷を軽減することができる。乗組員は、回転翼機が安全に接地地点に近付いていることを極めて容易にチェックすることができる。
【0053】
[0053] 代替的に又は追加的に、支援方法は、現在の位置と障害物を含むゾーンとの間の第2の差を表す情報を表示デバイスに表示する少なくとも1つのステップを含み得る。
【0054】
[0054] 第1の差について前述したのと同様に、第2の差を表す情報を表示するこのようなステップによって、パイロットは、操縦支援方法の実施を迅速にかつ苦労せずに監視することができる。
【0055】
[0055] 本発明の一実施形態によれば、表示された情報は、接地地点に対する及び/又は障害物を含むゾーンに対する回転翼機の現在の位置の関数として、回転翼機の方位角位置を表すことができる。
【0056】
[0056] また、円形又は楕円形の目盛付きスケールと少なくとも1つの方位情報とを含むコンパスダイアルの斜視図に、扇形セクタが表示される。この扇形セクタの色、形状、及び/又は幅は、第1又は第2の差の値の関数として変更され得る。
【0057】
[0057] 表示された情報を用いて、例えば上述の差のうち一方が所定の閾値未満である場合にアラーム信号を与えることができる。
【0058】
[0058] 例えば、いくつかの所定の閾値を用いて、いくつかのアラームレベルを与えることができる。第1の所定の閾値を超えた場合、例えば色付き扇形セクタをオレンジ色で表示することにより、第1のアラームレベルをパイロットに示すことができる。第1の所定の閾値とは異なる第2の所定の閾値を超えた場合、例えば色付き扇形セクタを赤色で表示することにより、第2のアラームレベルをパイロットに示すことができる。
【0059】
[0059] 前出の実施形態と両立し得る本発明の別の実施形態によれば、方法は、回転翼機の現在の高度と決定点の所定の高度との間の第3の差を表す情報を表示デバイスに表示する少なくとも1つのステップを含み得る。
【0060】
[0060] このような第3の差は、垂直の目盛付きスケールと色付きバーによって表すと有利である。色付きバーの色はこの第3の差の値の関数として変動し得る。
【0061】
[0061] 前述のように、表示された情報を用いて、この第3の差が所定の閾値未満に低下した場合に視覚的なアラーム信号を与えることができる。
【0062】
[0062] 例えば、いくつかの所定の閾値を用いて、いくつかのアラームレベルを想定することができる。
【0063】
[0063] 第1の所定の閾値を超えた場合、例えば、色付きバーは最初の緑色からオレンジ色に変化し得る。第1の所定の閾値とは異なる第2の所定の閾値を超えた場合、赤色の色付きバーを表示することによって、第2のアラームレベルをパイロットに示すことができる。
【0064】
[0064] 更に、この第3の差によって離陸又は着陸決定点を表示することができる。この決定点の位置は色付きバーの端部に対応する。一度この決定点を超えたら、回転翼機のパイロットは、自動化された「周回(GO AROUND)」又は「飛び去る(FLY AWAY)」フェーズを手動で制御することができる。
【0065】
[0065] 離陸中又は着陸中、回転翼機の現在の高度が決定点の高度よりも高い場合、パイロットが作動させたボタンによって周回モードに入ることができる。
【0066】
[0066] パイロットは、エンジン故障の場合であっても常に周回モードに入ることができる。
【0067】
[0067] 離陸フェーズ中、パイロットが周回操作を実行する必要があるか否かを決定できるようにするため、前もってパイロットによって入力され得る離陸決定点が回転翼機の経路と共に表示される。
【0068】
[0068] 離陸時に上昇している場合、回転翼機は、パイロットが周回ボタンをアクティベートさせるまで又はエンジン故障が識別されるまで上昇する。エンジン故障の場合、回転翼機は、離陸した接地地点に自動的に着陸する。
【0069】
[0069] アプローチ中に降下している場合、回転翼機は、エンジン障害又は不調が検出されなければ、既定の3次元経路を進むことによって着陸する。一方、エンジン故障が識別された場合、支援方法は、少なくとも1つのメインロータの最小回転速度(NRmin)に少なくとも応じた、また、場合によっては所定の降下率にも応じた緊急着陸プロファイルに従うように、空気力学的部材を制御すると共に回転翼機を操縦する制御指令の周期的な発生を実施する。
【0070】
[0070] エンジン故障の場合を除いて、パイロットはいつでも周回ボタンを動作させることができる。パイロットの意思決定に役立てるため、3次元着陸経路と共に着陸決定点が表示される。
【0071】
[0071] 前述のように、エンジン故障が識別された場合は3次元経路には進まず、回転翼機は、少なくとも1又は複数のロータの回転速度に応じた、また、場合によっては回転翼機の降下率にも応じた緊急着陸プロファイルに従うよう操縦される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
[0072] 本発明及びその利点は、例示として与えられる以下の実施形態の説明の文脈で、また添付図面を参照して、いっそう詳細に示される。
【0073】
図1】本発明に従った支援方法を実施することができる回転翼機の概略図である。
図2】本発明に従った支援方法のステップを示す論理図である。
図3】回転翼機の緊急着陸フェーズを示す側面図である。
図4】本発明に従った支援方法の第1の表示ステップを示す図である。
図5】本発明に従った支援方法の第2の表示ステップを示す図である。
図6】本発明に従った支援方法の第3の表示ステップを示す図である。
図7】本発明に従った支援方法の第4の表示ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
[0073] 図面のうち2つ以上に存在する要素は、各図において同じ参照番号が与えられる。
【0075】
[0074] すでに述べたように、本発明は回転翼機の操縦を支援するための方法に関する。
【0076】
[0075] 図1で示されているように、このような回転翼機1は少なくとも2つのエンジン2、3を含み、故障のない場合、これらのエンジンは、少なくとも回転翼機1を空中に保つ揚力を提供する少なくとも1つのメインロータ4にエンジントルクを伝達することができる。このようなメインロータ4は、回転翼機1を操縦するための空気力学的部材5のうち少なくとも1つを形成する少なくとも2つの羽根6を備える。
【0077】
[0076] 更に、このような回転翼機1は、例えば、回転翼機1を操縦するために使用される羽根6、フラップ、又はフィンのような空気力学的部材5を移動させるためのサーボ制御又は作動筒のようなアクチュエータ34も備える。
【0078】
[0077] これらのアクチュエータ34は、制御ユニット33によって発生した制御指令を受信することができる。制御ユニットは例えば、自動飛行制御システムと呼ばれ、頭字語AFCSによって知られている自動操縦システムの制御ユニットである。
【0079】
[0078] 更に、このような回転翼機1は、有線又は無線手段によって制御ユニット33に接続されたセンサ32も備える。このようなセンサ32は特に、アクチュエータ34に送信された制御指令によって生じた効果を測定して制御ユニット33に送信するため、回転翼機1の位置、速さ、又は加速度を検出するためのセンサ、慣性ユニット、及び風速気圧計システムを含み得る。
【0080】
[0079] また、回転翼機1は、有線又は無線手段によって制御ユニット33及びセンサ32に接続された少なくとも1つのミッションシステム31も含み得る。このようなミッションシステム31は、回転翼機1によって実行されるミッションに関連した飛行制約に応じて、又は操縦の好みに応じて、制御ユニット33のパラメータを設定するように、場合によってはセンサ32のパラメータも設定するように構成されている。
【0081】
[0080] このミッションシステム31は特に、パイロットが緊急着陸プロファイルに関する好みを入力することを可能とするヒューマンマシンインタフェースを含み得る。
【0082】
[0081] 従って、少なくとも2つのエンジン2、3のうち一方が故障した場合、図2に示されているような回転翼機1の操縦を支援するための方法10を実施することができる。
【0083】
[0082] 従って、このような支援方法10は複数のステップを含み、具体的に述べると、任意選択的に、決定点TDP、LDP、及び接地地点PPを決定する予備ステップ11を含む。このような決定点TDP、LDPの決定11は、例えばミッションシステム31によって実施され得る。ミッションシステム31は次いで、決定点TDP、LDP、及び接地地点PPを表す信号を制御ユニット33に送信する。
【0084】
[0083] 決定点は、離陸決定点TDP及び/又は着陸決定点LDPとすることができる。実際、エンジン2、3に故障が発生する飛行フェーズのタイプに応じて、支援方法を実施するためには2つの異なる決定点に関する情報が有用であり得る。
【0085】
[0084] 接地地点PPは、回転翼機1が着陸フェーズにある場合の着陸点であるか、又は、回転翼機1が離陸フェーズにある場合の初期離陸点であり得る。制御ユニット33は、特に回転翼機が発生する操縦指令に応じて、回転翼機が離陸フェーズ又は着陸フェーズのどちらにあるか判定することができる。
【0086】
[0085] 一度この決定ステップ11が実施されたら、回転翼機1はそのミッションを実行又は開始することができる。
【0087】
[0086] 支援方法10は、回転翼機1の現在の位置を周期的に決定するステップ12を含む。回転翼機1のこのような現在の位置は、例えば原点が接地地点である地球基準座標系のような基準座標系において規定される。
【0088】
[0087] このような周期的な決定のステップ12は、センサ32によって、及び/又は、特に衛星測位システムの受信器を含む他のセンサによって、実施され得る。
【0089】
[0088] 従って、センサ32を用いて、回転翼機1の現在の位置を測定し、回転翼機1の現在の位置を表す信号を制御ユニット33に送信することができる。
【0090】
[0089] また、方法10は、現在の位置と決定点TDP、LDPとの第1の周期的な比較を行うステップ13も含む。この第1の周期的な比較13によって、回転翼機1の現在の位置の現在の高度が決定点TDP、LDPの所定の高度未満であることを識別できる。
【0091】
[0090] この第1の周期的な比較13は、回転翼機1の現在の位置を表す信号及び決定点TDP、LDPを表す信号に基づいて、制御ユニット33によって実行され得る。このような制御ユニット33は、現在の高度と決定点TDP、LDPの所定の高度との比較を周期的に行うためのコンピュータ又は比較器を含む処理ユニットを備えている。この第1の周期的な比較13によって、回転翼機1の現在の高度が所定の高度未満であることを識別するサブステップを実施できる。
【0092】
[0091] 支援方法10は、少なくとも2つのエンジン2、3のうち少なくとも一方の故障を識別するステップ14を含む。故障を識別するこのようなステップ14は、例えば、FADECの頭字語(「全デジタルエンジン制御(Full Authority Digital Engine Control)」に対応する)で知られるシステム7によって実施され得る。このようなFADECシステム7を用いて、エンジン2、3のうち一方のエンジン故障を識別し、次いでこのエンジン故障の識別14を表す信号を制御ユニット33に送信することができる。
【0093】
[0092] 例えばFADECシステム7は、故障したエンジン2、3、の駆動軸のエンジントルクの低下を測定するセンサ、又は、エンジン2、3の動作障害を測定する圧力センサもしくは温度センサを含み得る。
【0094】
[0093] FADECシステム7は、特に、例えばトルク、圧力、又は温度測定値のようなセンサ測定値を所定の閾値と比較するためのコンピュータ又は比較器を含む処理ユニットを含み得る。測定値が所定の閾値のうち1つを超えた場合、この処理ユニットはエンジン2、3の障害を識別することができる。
【0095】
[0094] 更に、処理方法10は、回転翼機1の現在の位置と接地地点PPとの第2の周期的な比較を行うステップ15を含む。
【0096】
[0095] この第2の周期的な比較15は、処理ユニットを備える制御ユニット33によって実行され得る。この処理ユニットは特に、センサ33によって決定されて送信された現在の位置とミッションシステム31によって決定されて送信された接地地点PPとの比較を周期的に行うためのコンピュータ又は比較器を含む。
【0097】
[0096] 支援方法10は、緊急着陸プロファイルを周期的に決定するステップ16を含む。この緊急着陸プロファイルは、少なくとも第2の周期的な比較ステップ15の結果に応じて発生される。更に、緊急着陸プロファイルを周期的に決定するこのようなステップ16は、少なくとも1つのメインロータ4の最小回転速度NRminに応じて、また、場合によっては回転翼機1の所定の降下率にも応じて、実施される。
【0098】
[0097] 緊急着陸プロファイルを周期的に決定するこのステップ16は、処理ユニットを備える制御ユニット33によって実施できる。この処理ユニットは特に、少なくとも1つのメインロータ4の最小回転速度NRminを周期的に計算し、場合によっては回転翼機1の所定の降下率も周期的に計算するためのコンピュータを含む。
【0099】
[0098] 回転翼機1の所定の降下率のこのような計算は、例えば、メモリに記憶された値の表、1つ以上のパラメータの関数としての変動法則、及び/又は数式を用いることができる。
【0100】
[0099] 支援方法10は、緊急着陸プロファイルに従って空気力学的部材5を制御すると共に回転翼機1を操縦するための制御指令を周期的に発生するステップ17を含む。
【0101】
[0100] 従って、制御指令を周期的に発生するこのようなステップ17は、処理ユニットを備える制御ユニット33によって実施できる。この処理ユニットは特に、メインロータ4の回転速度が最小回転速度NRmin未満に低下していないこと、また、場合によっては、回転翼機1が所定の降下率に正確に従っていることをチェックするため、周期的に計算を実行するためのコンピュータを含む。
【0102】
[0101] また、この制御ユニット33は、利用可能な電力が充分である場合、メインロータ4の回転速度を制御するため、また、場合によっては回転翼機1の降下率も制御するため、空気力学的部材5の制御指令を変更することができる。
【0103】
[0102] 制御指令を周期的に発生するステップ17は、例えば、メインロータ4の羽根6の各々のピッチを全体的に変更することができる。
【0104】
[0103] また、第1の周期的な比較を行うステップ13、故障を識別するステップ14、第2の周期的な比較を行うステップ15、緊急着陸プロファイルを周期的に決定するステップ16、及び制御指令を周期的に発生するステップ17は、いくつかの別個の処理ユニットを備える制御ユニット33によって、又は上述した方法の様々なステップを実施可能とする単一の処理ユニットによって、実施することができる。
【0105】
[0104] あるいは、利用可能な電力が不充分である場合、緊急着陸プロファイルの周期的な決定16は、少なくとも1つのメインロータ4の最小回転速度NRminのみに従い、回転翼機1の所定の降下率には従わない可能性がある。
【0106】
[0105] 更に、緊急着陸プロファイルの周期的な決定16は、制御ユニット33によって、回転翼機1が地面に対する最大縦加速度と地面に対する最大縦前進速度に従うように実施され得る。
【0107】
[0106] 回転翼機1のこのような最大縦加速度は、特に、制御ユニット33によって計算され、センサ32により測定されて送信された回転翼機1の現在の高度と、回転翼機1が垂直速度ゼロでホバリング飛行フェーズである場合の少なくとも2つのエンジンの所定の電力余裕との関数として変動し得る。例えば、そのような電力余裕は制御ユニット33のメモリに記憶され得る。
【0108】
[0107] 例えば、回転翼機1のこの最大縦加速度は0.5から1.5メートル毎秒毎秒(m・s-2)の間であり得る。
【0109】
[0108] また、最大縦速度は回転翼機1の現在の降下率の関数として変動し得る。
【0110】
[0109] 図3で示されているように、エンジン故障が識別された時点14の回転翼機1の高度に応じて、いくつかの緊急着陸プロファイルを発生させることができる。このような緊急着陸プロファイルは、特に、例えばエンジン2、3の故障が識別された時の回転翼機1の現在の位置の関数として、相互に区別され得る。
【0111】
[0110] 従って、所定の降下率は回転翼機1の現在の高度に応じて変動し得る。
【0112】
[0111] 例えば、回転翼機1の現在の高度が200フィート(60.96メートル)以上である場合、所定の降下率は-1200から-800フィート/分の間(-365.76から-243.84メートル/分の間)の第1の閾値に等しくすることができる。
【0113】
[0112] 一方、回転翼機1の現在の高度が100フィート(30.48メートル)以下である場合、所定の降下率は、-700から-300フィート/分の間(-213.36から-91.44メートル/分の間)の第2の閾値に等しくすることができる。
【0114】
[0113] 回転翼機の現在の高度が100から200フィートの間(30.48から60.96メートルの間)である場合、所定の降下率は、-1200から-800フィート/分の間(-365.76から-243.84メートル/分の間)のこの第1の閾値と、-700から-300フィート/分の間(-213.36から-91.44メートル/分の間)のこの第2の閾値と、の間で線形減少関数に応じて変動し得る。
【0115】
[0114] 従って、制御ユニット33は、この第1の閾値及びこの第2の閾値を記憶するためのメモリも含み得る。制御ユニット33は、有線又は無線手段によって、ラジオゾンデ等の回転翼機1の現在の高度を測定するためのセンサに接続されている。このため、制御ユニット33は、回転翼機1の現在の高度に応じて緊急着陸プロファイルの降下率を適合するように構成されている。
【0116】
[0115] 1つの有利な例によれば、最小回転速度NRminは、少なくとも1つのメインロータ4の公称回転速度NRnomの94%~105%の間である所定の固定値とすることができる。このようにして、このような最小回転速度NRminは処理ユニットのメモリに記憶することができる。
【0117】
[0116] 更に、縦方向に向けた縦方向安全マージンSM1、SM2を用いて、回転翼機1の背後の後方ゾーンに位置する障害物との衝突を回避することができる。このような縦方向安全マージンSM1、SM2は、例えば30メートル(約98フィート)とすればよい。
【0118】
[0117] 同様に、垂直方向に向けた垂直方向安全マージンM1を用いて、回転翼機1の下の下方ゾーンに位置する障害物との衝突を回避することができる。このような垂直方向安全マージンM1は、例えば10メートル(約35フィート)とすればよい。
【0119】
[0118] 図2で示されているように、支援方法10は、回転翼機1のパイロットが支援方法10の正確な動作を迅速に監視することを可能とする表示ステップ18、19、20も含み得る。
【0120】
[0119] 図4及び図5で示されているように、この表示ステップ18は表示デバイス30によって実施され、現在の位置と接地地点PPとの間の第1の差を表す情報を表示することができる。
【0121】
[0120] 現在の位置は、ここでは第1のキュー42、52によって表示デバイス30上に示されている。接地地点PPは第2のキューによって示され、H形41、51の中央に接地地点PPがある。
【0122】
[0121] 第1の差は、第1のキュー42、52が第2のキュー又はH形41、51から離れている距離によって表すことができる。H形は、例えばヘリポート等のヘリコプター離着陸場を表す。
【0123】
[0122] 図4で示されているように、支援方法10は、純粋に垂直方向の離陸フェーズを実行することを可能とする。この場合、H形は第1のキュー42の中央に留まっているが、回転翼機1の高度が上がるにつれてHは徐々に小さくなり、後に緊急着陸プロファイルが実施された場合は再び大きくなる。
【0124】
[0123] 図5によると、支援方法10は、図3にも示されているように、離陸フェーズを逆方向に実行することを可能とする。この場合、回転翼機1の高度が上がるにつれてH形51は第1のキュー52から離れる方へ移動する。
【0125】
[0124] 図6及び図7で示されているように、表示デバイス30における表示ステップ19は、現在の位置と障害物を含むゾーンとの間の第2の差を表す情報を表示することを可能とする。
【0126】
[0125] 表示された情報は、前述の接地地点PPに対する及び/又は前述の障害物を含むゾーンに対する回転翼機の現在の位置の関数として、回転翼機の方位角位置を表す。
【0127】
[0126] 次いで、円形又は楕円形の目盛付きスケールと少なくとも1つの方位情報とを含むコンパスダイアル63、73の斜視図に、扇形セクタ60、70を表示する。この扇形セクタ60、70の色、形状、及び/又は幅は、第1又は第2の差の値の関数として変更され得る。
【0128】
[0127] 表示された情報を用いて、例えば上述の差のうち一方が所定の閾値未満である場合にアラーム信号を与えることができる。
【0129】
[0128] 例えば、いくつかの所定の閾値を用いていくつかのアラームレベルを与えることができる。図6で示されているように、第1の所定の閾値を超えた場合、例えば色付き扇形セクタ60をオレンジ色で及び/又は第1の厚さで表示することにより、第1のアラームレベルをパイロットに示すことができる。図7で示されているように、第1の所定の閾値とは異なる第2の所定の閾値を超えた場合、例えば色付き扇形セクタ70を赤色で及び/又は第1の厚さよりも大きい第2の厚さで表示することにより、第2のアラームレベルをパイロットに示すことができる。
【0130】
[0129] 図4及び図5で示されているように、表示ステップ20は、回転翼機1の現在の高度と決定点TDP、LDPの所定の高度との間の第3の差を表す情報を表示デバイス30に表示することを可能とする。
【0131】
[0130] このような第3の差は、ここでは、決定点TDPの所定の高度と回転翼機1の現在の高度との間に延出している色付きバー40、50によって表される。
【0132】
[0131] 当然、本発明は、その実施に関して多くの変形を行うことができる。いくつかの実施形態について上述したが、全ての可能な実施形態を排他的に識別することを想定していないことは容易に理解されるはずである。当然、本発明の範囲から逸脱することなく、記載されている手段のいずれかを同等の手段で置き換えることを想定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】