(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184757
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】化粧料用組成物及び化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/86 20060101AFI20221206BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A61K8/86
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081220
(22)【出願日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2021091177
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阪口 幸矢佳
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC692
4C083AD041
4C083AD042
4C083CC33
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】本発明は、髪の水を切る際のすべり性に優れ、乾燥後の髪のべたつきの低減効果に優れた毛髪用化粧料等に用いることができる化粧料組成物及び化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】下記(1)及び(2)を満たすアルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料用組成物:
(1)アルキレンオキシド付加物(A)が、1~6個の水酸基を有する化合物のアルキレンオキシド付加物であり、オキシアルキレン単位として含むオキシプロピレン単位が3個以上連続してなるオキシプロピレン連鎖を有し、オキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子の個数の割合が、イソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子の合計数に対して26%以上である。
(2)アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシアルキレン単位の合計重量割合は、アルキレンオキシド付加物(A)の重量に基づいて10重量%以上である:
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)~(5)を満たすアルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料用組成物:
(1)アルキレンオキシド付加物(A)は、1~6個の水酸基を有する化合物のアルキレンオキシド付加物である:
(2)アルキレンオキシド付加物(A)は、オキシアルキレン単位としてオキシプロピレン単位を含む:
(3)アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシアルキレン単位の合計重量割合は、アルキレンオキシド付加物(A)の重量に基づいて10重量%以上である:
(4)アルキレンオキシド付加物(A)は、オキシプロピレン単位が3個以上連続してなるオキシプロピレン連鎖を有する:
(5)アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子の個数の割合は、イソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子の合計数に対して26%以上である。
【請求項2】
アルキレンオキシド付加物(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.05~1.4である請求項1に記載の化粧料用組成物。
【請求項3】
下記(1)~(5)を満たすアルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料:
(1)アルキレンオキシド付加物(A)は、1~6個の水酸基を有する化合物のアルキレンオキシド付加物である:
(2)アルキレンオキシド付加物(A)は、オキシアルキレン単位としてオキシプロピレン単位を含む:
(3)アルキレンオキシド付加物(A)を有するオキシアルキレン単位の合計重量割合は、アルキレンオキシド付加物(A)の重量に基づいて10重量%以上である:
(4)アルキレンオキシド付加物(A)は、オキシプロピレン単位が3個以上連続してなるオキシプロピレン連鎖を有する:
(5)アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子の個数の割合は、イソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子の合計数に対して26%以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルキレンオキシド付加物を含む化粧料用組成物及び化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキレンオキシド付加物は、化粧料用原料として用いられており、べたつきやごわつきが残らず、さらにすすぎ後の髪の水を切る際のすべり性に優れた毛髪用化粧料として、左右非対称であり、高分子量側に偏った分子量分布のパターンを有する高分子量のアルキレンオキシド付加物を配合した毛髪用化粧料が知られている。(特許文献1参照)
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のアルキレンオキシド付加物を配合した毛髪用化粧料は、髪を乾燥させた後にべたつくという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性に優れ、乾燥後の髪のべたつきの低減効果に優れた毛髪用化粧料等に用いることができる化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、下記(1)~(5)を満たすアルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料用組成物、及び下記(1)~(5)を満たすアルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料である。
(1)アルキレンオキシド付加物(A)は、1~6個の水酸基を有する化合物のアルキレンオキシド付加物である。
(2)アルキレンオキシド付加物(A)は、オキシアルキレン単位としてオキシプロピレン単位を含む。
(3)アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシアルキレン単位の合計重量割合は、アルキレンオキシド付加物(A)の重量に基づいて10重量%以上である。
(4)アルキレンオキシド付加物(A)は、オキシプロピレン単位が3個以上連続してなるオキシプロピレン連鎖を有する。
(5)アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子の個数の割合は、イソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子の合計数に対して26%以上である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の化粧料用組成物は、毛髪用化粧料に配合することで、すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性に優れ、乾燥後の髪のべたつきの低減効果に優れる毛髪用化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳述する。
第一の本願発明である化粧料用組成物は、下記(1)~(5)を満たすアルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料用組成物である。
(1)アルキレンオキシド付加物(A)は、1~6個の水酸基を有する化合物のアルキレンオキシド付加物である:
(2)アルキレンオキシド付加物(A)はオキシアルキレン単位としてオキシプロピレン単位を含む:
(3)アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシアルキレン単位の合計重量割合は、アルキレンオキシド付加物の重量に基づいて10重量%以上である:
(4)アルキレンオキシド付加物(A)は、オキシプロピレン単位が3個以上連続してなるオキシプロピレン連鎖を有する:
(5)アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子の個数の割合は、イソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子の合計数に対して26%以上である。
【0009】
<アルキレンオキシド付加物(A)>
本発明の化粧料用組成物に含まれるアルキレンオキシド付加物(A)は、1~6個の水酸基を有する化合物のアルキレンオキシド付加物であり、1~6個の水酸基を有する化合物から水酸基を除いた残基とオキシアルキレン単位とを有する1~6価のアルコールである。
【0010】
<1~6個の水酸基を有する化合物>
1~6個の水酸基を有する化合物としては、エーテル基を有さない1~6価のアルコール、エーテル基を有する1~6価のアルコール、数平均分子量(以下、Mnと記載する)1000~5000の水酸基変性高分子化合物及び1価又は2価のフェノール類等が挙げられる。
【0011】
エーテル基を有さない1価のアルコールとしては、炭素数1~20の1価脂肪族アルコールが好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、1-ドデカノール、1-トリデカノール、1-テトラデカノール、1-ペンタデカノール、1-ヘキサデカノール、1-ヘプタデカノール、1-オクタデカノール、オレイルアルコール、リノリルアルコール、1-ノナデカノール、1-エイコサノール及びアリルアルコール等が挙げられる。
【0012】
エーテル基を有さない2価のアルコールとしては、炭素数2~8の2価脂肪族アルコールが好ましく、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1、6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール及び1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0013】
エーテル基を有さない3価のアルコールとしては、炭素数3~5の3価脂肪族アルコールが好ましく、グリセリン及びトリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0014】
エーテル基を有さない4価のアルコールとしては、炭素数4~14の4価脂肪族アルコールが好ましく、エリスリトール及びペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0015】
エーテル基を有さない5価のアルコールとしては、炭素数5又は6の5価脂肪族アルコールが好ましく、キシリトール等が挙げられる。
【0016】
エーテル基を有さない6価のアルコールとしては、炭素数6~10の6価脂肪族アルコールが好ましく、ソルビトール、イノシトール及びマンニトール等が挙げられる。
【0017】
エーテル基を有する1~6価のアルコールとしては、ジエチレングリコール、ソルビタン、グルコース、ジグリセリン、n-オクチル-β-D-グルコシド、n-デシル-β-D-グルコシド、n-ドデシル-β-D-グルコシド、ジペンタエリスリトール及び前記のエーテル基を有さないアルコール又は水(H2O)に炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加してなる化合物等があげられ、好ましくはポリアルキレングリコール、さらに好ましくはポリプロピレングリコールである。ポリプロピレングリコールとしては、数平均分子量が130~1000のポリプロピレングリコールが好ましい。
【0018】
水酸基変性高分子化合物は、構造中に水酸基を有するように、高分子化合物と他の化合物とを反応させて得られた化合物であり、Mn1000~5000の水酸基変性高分子化合物として好ましいものとしては、水酸基変性ポリオレフィンが挙げられる。水酸基変性ポリオレフィンとしては、ポリオレフィン鎖の両末端に水酸基を導入した両末端水酸基ポリオレフィンであっても、ポリオレフィン鎖の片方の末端にのみ水酸基を導入した片末端水酸基ポリオレフィンであっても、ポリオレフィン鎖の末端以外に水酸基を導入した内部水酸基ポリオレフィンであってもよく、なかでも両末端水酸基ポリオレフィンが好ましい。
両末端水酸基ポリオレフィンとしては、両末端水酸基ポリブタジエン、両末端水酸基水素化ポリブタジエン及び両末端水酸基ポリファルネセン等が挙げられる。
【0019】
両末端水酸基ポリブタジエンは、NISSO-PB G-1000[Mn1400(日本曹達(株)製)、NISSO-PBは日本曹達の登録商標である]、NISSO-PB G-2000[Mn1900(日本曹達(株)製)]、及びNISSO-PB G-3000[Mn3000(日本曹達(株)製)]等として市場から入手することができる。
両末端水素基水素化ポリブタジエンは、NISSO-PB GI-1000[Mn1500(日本曹達(株)製)]、NISSO-PB GI-2000[Mn2000(日本曹達(株)製)]及びNISSO-PB GI-3000[Mn3100(日本曹達(株)製)]等として市場から入手することができる。
【0020】
両末端水酸基ポリファルネセンは、KRASOL F-3000[Mn3000(Cray Valley製)、KRASOLはTotal Petrochemicals Refining USA Inc.の登録商標である]等として市場から入手することができる。
【0021】
1価又は2価のフェノール類としては、炭素数6~15の1価又は2価のフェノール類が好ましく、フェノール、クレゾール、ピロガロ-ル、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノ-ルA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等が挙げられる。
【0022】
Mn1000~5000の水酸基変性高分子化合物のMnは、以下の条件のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定する。
・装置:「WATERS ALLIANCE 2695」[WATERS社製]
・カラム:「GUARDCOLUMN SUPER H-L」(1本)、「TSKGEL SUPERH2000、TSKGEL SUPERH3000、TSKGEL SUPERH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:10mL
・流量:0.6mL/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
【0023】
1~6個の水酸基を有する化合物としては、一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
これらの1~6個の水酸基を有する化合物の内、乾燥後の髪のべたつき感の観点から、好ましくは1~6価のアルコール及びMn1000~5000の水酸基変性高分子化合物であり、さらに好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、両末端水酸基水素化ポリブタジエン及び両末端水酸基ポリファルネセンである。
【0024】
<アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシアルキレン単位>
アルキレンオキシド付加物(A)はオキシアルキレン単位としてオキシプロピレン単位を含む。
本発明においてオキシプロピレン単位は、アルキレンオキシドとして1,2-プロピレンオキシドを用い、1,2-プロピレンオキシドが有する三員環を開環して1~6個の水酸基を有する前記の化合物に付加することで得られる構造であり、三員環の開裂の態様の違いによってオキシ-1-メチルエチレン単位又はオキシ-2-メチルエチレン単位となる。
本発明において、オキシピロピレン単位は、オキシ-1-メチルエチレン単位又はオキシ-2-メチルエチレン単位のいずれかあっても、両方であっても良く、両方である場合にはその比率に制限はない。
アルキレンオキシド付加物(A)を構成する1~6個の水酸基を有する化合物がオキシプロピレン単位を有する場合、1~6個の水酸基を有する化合物が有していたオキシプロピレン単位は、本願発明における、アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシアルキレン単位に含まれる。
【0025】
アルキレンオキシド付加物(A)は、オキシアルキレン単位として、さらにオキシエチレン単位、オキシブチレン単位、又はその両方の単位を含んでいても良い。
オキシエチレン単位は、アルキレンオキシドとしてエチレンオキシドを用い、1~6個の水酸基を有する前記の化合物に付加することで得られる構造である。
オキシブチレン単位は、アルキレンオキシドとして1,2-ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランを用いて1~6個の水酸基を有する前記の化合物に付加することで得られる構造であり、1,2-ブチレンオキシドを用いた場合には、三員環の開裂の態様の違いによってオキシ-1-エチルエチレン単位又はオキシ-2-エチルエチレンとなり、テトラヒドロフランを用いた場合にはオキシ-1,4-ブチレン単位となる。
アルキレンオキシド付加物(A)がオキシブチレン単位を含む場合、オキシブチレン単位はオキシ-1-エチルエチレン単位、オキシ-2-エチルエチレン単位及びオキシ-1,4-ブチレン単位からなる群から選ばれる少なくとも1種であれば良く、2種以上である場合にはその比率に制限はない。
【0026】
アルキレンオキシド付加物(A)としては、オキシアルキレン基がオキシプロピレン単位からなるアルキレンオキシド付加物(A1)、オキシアルキレン基がオキシプロピレン単位及びオキシエチレン単位からなるアルキレンオキシド付加物(A2)、オキシアルキレン基がオキシプロピレン単位及びオキシブチレン単位からなるアルキレンオキシド付加物(A3)、並びにオキシアルキレン基がオキシプロピレン単位、オキシエチレン単位及びオキシブチレン単位からなるアルキレンオキシド付加物(A4)が挙げられ、好ましいものは、オキシアルキレン基がオキシプロピレン単位からなるアルキレンオキシド付加物(A1)、並びにオキシアルキレン基がオキシプロピレン単位及びオキシエチレン単位からなるアルキレンオキシド付加物(A2)であり、オキシアルキレン基がオキシプロピレン単位からなるアルキレンオキシド付加物(A1)がさらに好ましい。
【0027】
本発明の化粧料用組成物に含まれるアルキレンオキシド付加物(A)は、乾燥後の髪のべたつき感の観点から、1分子中にオキシアルキレン単位を好ましくは3~500モル有し、さらに好ましくは5~200モル有する。
アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシアルキレン基のモル数は、アルキレンオキシド付加物(A)製造時のオキシアルキレンの使用量から計算することができ、アルキレンオキシド付加物(A)の1H-NMR及び13C-NMR等からも分析可能である。
【0028】
アルキレンオキシド付加物(A)が、アルキレンオキシド付加物(A2)である場合、オキシプロピレン単位とオキシエチレン単位との合計重量に対するオキシプロピレン単位の重量割合は、すすぎ時の髪の水を切る際のすべり性の観点から、好ましくは40~90重量%、さらに好ましくは50~80重量%である。
【0029】
アルキレンオキシド付加物(A)が、アルキレンオキシド付加物(A3)である場合、オキシプロピレン単位とオキシブチレン単位との合計重量に対するオキシプロピレン単位の重量割合は、乾燥後の髪のべたつき感の観点から、好ましくは50~90重量%、さらに好ましくは60~90重量%である。
【0030】
アルキレンオキシド付加物(A)が、アルキレンオキシド付加物(A4)である場合、オキシプロピレン単位とオキシエチレン単位とオキシブチレン単位との合計重量に対するオキシプロピレン単位の重量割合は、すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性の観点から、好ましくは5~90重量%、さらに好ましくは30~90重量%である。また、オキシプロピレン単位とオキシエチレン単位とオキシブチレン単位との合計重量に対するエチレンオキシド単位の重量割合が、すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性の観点から、好ましくは5~60重量%、さらに好ましくは5~50重量%である。
【0031】
アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシアルキレン単位の合計重量割合は、すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性の観点から、アルキレンオキシド付加物(A)の重量に基づいて10重量%以上であり、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。
【0032】
アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシプロピレン単位の重量割合は、すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性の観点から、アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシアルキレン単位の重量に基づいて、50重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは60重量%以上である。
【0033】
本発明の化粧料用組成物が含むアルキレンオキシド付加物(A)は、オキシプロピレン単位が3個以上連続してなるオキシプロピレン連鎖を含むオキシアルキレン連鎖を有する。
オキシプロプレン単位が3つ連続した構造(3連子ともいう)は、オキシプロプレン単位が有するメチル基の配列様式により、イソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子、シンジオタクチック3連子の3種類に分類される。
前記のイソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子、及びシンジオタクチック3連子は、以下のように定義される。
オキシプロピレン単位が2つ連続した構造において、連続する2つの単位が同じ立体配置をとるものを、メゾ構造を有する2連子(以降「M2連子」と略記する)とし、異なる立体配置をとるものを、ラセモ構造を有する2連子(以降「R2連子」と略記する」)とする。さらに、オキシプロピレン単位の3連子のうち、2つのM2連子が含まれる3連子をイソタクチック3連子と、2つのR2連子が含まれる3連子をシンジオタクチック3連子と、M2連子とR2連子とが含まれる3連子をヘテロタクチック3連子とする。
なお、アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシプロピレン連鎖の立体配置の規則性(タクティシティ又は立体規則性ともいう)は、アルキレンオキシド付加物(A)の結晶構造、結晶化度など高次構造を決定し、アルキレンオキシド付加物(A)の物性に影響を及ぼす構造因子の一つである。
【0034】
本発明の化粧量組成物に含まれるアルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子の個数の割合は、すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性の観点から、イソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子の合計数に対して、26%以上である。
後述する、AlとMgとの複合酸化物(B1)の焼成物及び/又はAlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)の焼成物とを用いて、1~6個の水酸基を有する化合物にアルキレンオキシドを付加する後述の製造方法により、アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子の個数の割合を26%以上にすることができる。
【0035】
オキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子のそれぞれの個数の割合は、Distorsionless Enhancement by Polarization Transfer法(以下、DEPT法と略す)による13C-NMR測定を行い、オキシプロピレン単位に含まれるメチン基の炭素原子に由来する13C-NMR信号の積分値から求める。
DEPT法による13C-NMR測定は、測定対象の化合物の炭素原子に結合する水素原子の個数によって、信号強度のフリップ角(θ)依存性が異なる。
DEPT90°法(θ=90°を与えるパルスを照射するDEPT法)による13C-NMR測定では、測定対象の化合物が有するメチル基の炭素原子(結合する水素原子が3つ)、メチレン基の炭素原子(結合する水素原子が2つ)及び4級炭素(結合する水素原子がない)のピークを消失または大きく減衰させることができる。そのため、測定対象の化合物が有するメチン基の炭素原子(結合する水素原子が1つ)のピークを高感度に検出することが可能となる。
その結果、オキシプロピレン連鎖のタクティシティ(立体規則性)に起因するメチン炭素の13C-NMR信号の違いを高精度に判別することが可能となり、13C-NMR信号の積分値より本発明のアルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子のそれぞれの個数の割合を計算することができる。
【0036】
DEPT90°法による13C-NMR測定の詳細と、アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子のそれぞれの個数の割合の計算方法を以下に具体的に説明する。
【0037】
<13C-NMR試料の調製>
測定試料約40mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.7mLの重水素化溶媒を加え溶解させる。上記重水素化溶媒としては、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
【0038】
<13C-NMR測定>
以下の条件で、DEPT90°法による13C-NMR測定を行う。
・装置 :BRUKER AVANCE III HD400[周波数:100MHz、BRUKER OPTICS(株)製]
・試料温度 :25℃
・積算回数 :256回
【0039】
<3連子の個数の割合の計算>
アルキレンオキシド付加物(A)が有するオキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子のそれぞれの個数の割合は、以下の計算式(1)~(3)で計算される。
・イソタクチック3連子の個数の割合(%) =(d/g)×100 (計算式(1))
・ヘテロタクチック3連子の個数の割合(%) =(e/g)×100 (計算式(2))
・シンジオタクチック3連子の個数の割合(%) =(f/g)×100 (計算式(3))
【0040】
計算式(1)中、dはイソタクチック3連子の中央にあるオキシプロピレン単位に存在するメチン基の炭素原子由来の13C-NMR信号の積分値である。dの13C-NMR信号は、ケミカルシフトが75.4ppm以上75.6ppm未満の範囲に検出される。
計算式(2)中、eはヘテロタクチック3連子の中央にあるオキシプロピレン単位に存在するメチン基の炭素原子由来の13C-NMR信号の積分値である。eの13C-NMR信号は、ケミカルシフトが75.2ppm以上75.4ppm未満の範囲に検出される。
計算式(3)中、fはシンジオタクチック3連子の中央にあるオキシプロピレン単位に存在するメチン基の炭素原子由来の13C-NMR信号の積分値である。fの13C-NMR信号は、ケミカルシフトが75.0ppm以上75.2ppm未満の範囲に検出される。
計算式(1)~(3)中、gはオキシプロピレン連鎖のイソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子のそれぞれの中央にあるオキシプロピレン単位のメチン基の炭素原子由来の13C-NMR信号の積分値の合計値である。
【0041】
本発明の化粧料用組成物が含むアルキレンオキシド付加物(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性の観点から、1.05~1.4であることが好ましい。なお、Mwは重量平均分子量を意味する。
後述する、AlとMgとの複合酸化物(B1)の焼成物及び/又はAlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)の焼成物とを用いて、1~6個の水酸基を有する化合物にアルキレンオキシドを付加する後述の製造方法により、分子量分布(Mw/Mn)を1.05~1.4にすることができる。
【0042】
アルキレンオキシド付加物(A)のMw及びMnは、以下の条件のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定したMw及びMnの値を用いる。
・装置:「WATERS ALLIANCE 2695」[WATERS社製]
・カラム:「GUARDCOLUMN SUPER H-L」(1本)、「TSKGEL SUPERH2000、TSKGEL SUPERH3000、TSKGEL SUPERH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:10mL
・流量:0.6mL/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
【0043】
<アルキレンオキシド付加物(A)の製造方法>
本発明の化粧料用組成物が含むアルキレンオキシド付加物(A)は、AlとMgとの複合酸化物(B1)の焼成物及び/又はAlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)の焼成物の存在下で、1~6個の水酸基を有する前記の化合物に、1,2-プロピレンオキシドを50~200℃の条件で反応させることによって得ることができ、さらにオキシエチレン単位及び/又はオキシブチレン単位を有する場合には、1,2-プロピレンオキシドを反応させる前又は1,2-プロピレンオキシドを反応させた後に、エチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランの付加反応を同様の条件で行うことで得ることができる。
1~6個の水酸基を有する化合物に、1,2-プロピレンオキシドと、必要に応じて用いるエチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランとを付加する反応において、AlとMgとの複合酸化物(B1)の焼成物及びAlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)の焼成物は付加反応の触媒として機能する。
なお、以下、AlとMgとの複合酸化物(B1)の焼成物及び/又はAlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)の焼成物を焼成物(B´)と記載する場合がある。
【0044】
アルキレンオキシド付加物(A)の製造方法は、AlとMgとの複合酸化物(B1)の焼成物及び/又はAlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)の焼成物と1~6個の水酸基を有する化合物とを含有し、かつ50~200℃である混合物に、1,2-プロピレンオキシドを滴下する工程を有する。
前記の焼成物(B´)と1~6個の水酸基を有する化合物とを含有し、かつ70~160℃である混合物に1,2-プロピレンオキシドを滴下することで、1,2-プロピレンオキシドの付加反応を行うことができる。
また、アルキレンオキシド付加物(A)がさらにオキシエチレン単位及び/又はオキシブチレン単位を有する場合には、エチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランの付加反応を1,2-プロピレンオキシドの付加反応と同様の条件で行うことができる
【0045】
AlとMgとの複合酸化物(B1)は、AlとMgとを有する酸化物であれば、特に限定されないが、好ましいAlとMgとの複合酸化物としては、下記一般式(1)又は(2)で示される化合物等が挙げられる。
〔aMgO・Al2O3・bH2O〕 (1)
〔MgXAlYOZ〕 (2)
【0046】
一般式(1)において、a及びbは、それぞれ独立の正数である。
一般式(2)において、X、Y及びZは、それぞれ独立の正数である。
【0047】
反応性の観点から、一般式(2)において、Yに対するXの比率(X/Y)は0.1以上0.9未満であることが好ましい。
【0048】
AlとMgとの複合酸化物(B1)としては、2.5MgO・Al2O3・nH2O(nは正数)及びMg0.7Al0.3O1.15等が挙げられ、それぞれキョーワード300[協和化学工業(株)製、キョーワードは協和化学工業株式会社の登録商標である]及びKW-2000[協和化学工業(株)製]等として市場から入手することができる。
【0049】
AlとMgとの複合酸化物(B1)の焼成物は、前記AlとMgとの複合酸化物(B1)を空気雰囲気下(好ましくは窒素気流下)、100~1500℃(好ましくは600~900℃)の温度で1~48時間加熱処理する方法等で得ることができる。
【0050】
AlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)としては、AlとMgとを有するハイドロタルサイトであれば、特に限定されないが、好ましいAlとMgとを有するハイドロタルサイトとしては、下記一般式(3)で示される化合物等が挙げられる。
〔Mg1-CAlC(OH)2〕C+〔CO3C/2・DH2O〕C- (3)
【0051】
一般式(3)において、Cは0<C≦0.33を満たす数であり、Dは0<D≦1.0を満たす数である。
【0052】
AlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)としては、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O等が挙げられ、キョーワード500[協和化学工業(株)製]等として市場から入手することができる。
また、AlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)としては、西ドイツ特許公告第1592126号及びヨーロッパ特許公開第0207811号等に記載の既知の鉱物も使用することができる。
【0053】
AlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)の焼成物は、前記AlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)を空気雰囲気下(好ましくは窒素気流下)、100~1500℃(好ましくは600~900℃)の温度で1~48時間加熱処理する方法等で得ることができる。
【0054】
AlとMgとの複合酸化物(B1)の焼成物及びAlとMgとを有するハイドロタルサイト(B2)の焼成物は、それぞれ1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、反応性の観点から、好ましいのはAlとMgとの複合酸化物(B1)の焼成物であり、さらに好ましいのは2.5MgO・Al2O3・nH2O(nは正数)の焼成物及びMg0.7Al0.3O1.15の焼成物である。
【0055】
1~6個の水酸基を有する前記の化合物に1,2-プロピレンオキシドと、必要により用いるエチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランを付加する反応において用いる焼成物(B´)の使用量は特に限定されないが、アルキレンオキシドの付加反応の速度及び焼成物(B´)の濾過効率の観点から、1~6個の水酸基を有する前記の化合物と反応に用いる全てのアルキレンオキシドとの合計重量に対して0.0001~10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.001~1.0重量%である。
【0056】
また、1~6個の水酸基を有する化合物に1,2-プロピレンオキシドと、必要により用いるエチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランを付加する反応系の撹拌を容易にする等の観点から、前記焼成物(B´)と1~6個の水酸基を有する前記の化合物との混合物に溶剤を添加してもよい。
溶剤としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジグリム、トリグリム、1,4-ジオキサン、シクロヘキサン、ヘキサン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、四塩化炭素、N-メチルピロリドン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム及びジアルキルポリプロピレングリコール等が挙げられる。
溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、1~6個の水酸基を有する前記の化合物との混和性、沸点、留去のしやすさの観点から、トルエン及びキシレンが好ましい。
なお、本製造方法で得られたアルキレンオキシド付加物(A)は、溶媒を留去して化粧料用組成物に使用してもよく、留去せずに化粧料用組成物に使用してもよい。
溶剤の含有量は、反応速度等の観点から、1~6個の水酸基を有する前記の化合物と焼成物(B´)と反応に用いる全てのアルキレンオキシドとの合計重量に対して、0~99重量%が好ましく、さらに好ましくは0~90重量%である。
【0057】
アルキレンオキシド付加物(A)の製造方法は、焼成物(B´)と1~6個の水酸基を有する前記の化合物とを含有し、50~200℃である混合物に、1,2-プロピレンオキシドを滴下する工程を有していれば良いが、焼成物(B´)の触媒活性の観点から、1~6個の前記の水酸基を有する化合物とアルキレンオキシドとを反応させる前に、焼成物(B´)と1~6個の水酸基を有する前記の化合物とを反応槽(攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブ等)中で混合し、常圧下(好ましくは減圧下、さらに好ましくは1~6個の水酸基を有する前記の化合物中に窒素バブリングをしながら減圧にして)、反応槽中の温度を80~300℃、好ましくは80~110℃にし、1~4時間で脱水処理を行うことが好ましい。
なお、以下、1,2-プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド及びテトラヒドロフランをそれぞれ、PO、EO、BO及びTHFと略すことがある。
【0058】
アルキレンオキシド付加物(A)のうち、オキシアルキレン基としてオキシプロピレン単位のみを有するアルキレンオキシド付加物(A1)は、焼成物(B´)と1~6個の水酸基を有する前記の化合物との混合物を上記の方法で脱水処理した後、POの付加反応を行うことによって得ることができる。付加反応の反応槽中の温度は50~200℃である。
【0059】
アルキレンオキシド付加物(A)のうち、オキシアルキレン基としてオキシプロピレン単位とオキシエチレン単位とを有するアルキレンオキシド付加物(A2)は、焼成物(B´)と1~6個の水酸基を有する前記の化合物との混合物を上記の方法で脱水処理した後、POの付加反応とEOの付加反応をそれぞれ順不同で行うことによって得ることができる。付加反応の反応槽中の温度はいずれも50~200℃である。
【0060】
アルキレンオキシド付加物(A)のうち、オキシアルキレン基としてオキシプロピレン単位とオキシブチレン単位とを有するアルキレンオキシド付加物(A3)は、焼成物(B´)と1~6個の水酸基を有する前記の化合物との混合物を上記の方法で脱水処理した後、POの付加反応、BOの付加反応及び/又はTHFの付加反応をそれぞれ順不同で行うことによって得ることができる。付加反応の反応槽中の温度はいずれも50~200℃である。
【0061】
アルキレンオキシド付加物(A)のうち、オキシアルキレン基としてオキシプロピレン単位とオキシエチレン単位とオキシブチレン単位とを有するアルキレンオキシド付加物(A4)は、焼成物(B´)と1~6個の水酸基を有する前記の化合物との混合物を上記の方法で脱水処理した後、POの付加反応と、EOの付加反応と、BOの付加反応及び/又はTHFの付加反応をそれぞれ順不同で行うことによって得ることができる。付加反応の反応槽中の温度はいずれも50~200℃である。
【0062】
アルキレンオキシド付加物(A)の製造方法において、PO、EO、BO及びTHFの付加反応は、それぞれを焼成物(B´)と1~6個の水酸基を有する前記の化合物との混合物にPO、EO、BO及びTHFを滴下することで行うことができる。PO、EO、BO及びTHFを滴下する工程における反応槽中の圧力は、1.3~701kPaとなるようにPO、EO、BO及びTHFの滴下量を調整しながら、PO、EO、BO及びTHFを反応させることが好ましい。
【0063】
アルキレンオキシド付加物(A)の製造方法において、PO、EO、BO及びTHFをそれぞれ滴下する時の反応槽中の温度は、アルキレンオキシド付加物(A)の水酸基価及びタクティシティ(立体規則性)等の観点から、50~200℃であり、好ましくは80~180℃である。
PO、EO、BO及びTHFをそれぞれ滴下し、1~6個の水酸基を有する前記の化合物と反応させる時の反応槽中の温度は、50℃よりも低いとアルキレンオキシド付加反応の反応速度の観点から製造プロセス上実用的でなく、反応槽中の温度が200℃を超えるとアルキレンオキシド付加反応の副生成物が増加する問題点がある。
【0064】
アルキレンオキシド付加物(A)の製造方法は、所定量のPO、EO、BO及びTHFをそれぞれ滴下する工程の終了後に、反応槽中の圧力が平衡に達するまで反応槽中の温度を50~200℃に維持する熟成工程を有することが好ましい。
【0065】
アルキレンオキシド付加物(A)の製造方法は、上記のPO、EO、BO及びTHFをそれぞれ滴下する工程並びに必要により行う熟成工程を経て得られたアルキレンオキシド付加物(A)から焼成物(B´)を除去する濾過工程を有することが好ましい。
この際必要により濾過助剤としてケイソウ土系濾過助剤〔昭和化学工業(株)製のラヂオライト#700等、ラヂオライトは昭和化学工業(株)の登録商標である〕を用いることにより、濾過操作に要する時間を短縮することも可能である。
濾過工程は、特開2011-213864号公報等に記載の公知の濾過操作により行うことができる。
【0066】
また、アルキレンオキシド付加物(A)の製造に溶剤を使用していた場合、アルキレンオキシド付加物(A)から溶剤を除去する工程を有することが好ましい。溶剤を除去する方法としては、エバポレーターを用いて溶剤を減圧蒸留する等の公知方法を用いることができる。
【0067】
<化粧料用組成物及び化粧料>
第一の本願発明は、前記アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料用組成物である。
第一の本願発明である化粧料用組成物(以下、本発明の化粧料組成物と記載する)は、化粧料用原料又は化粧料として用いることができる。
なお、アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料は、第二の本願発明であり、化粧料組成物と同じアルキレンオキシド付加物(A)を用いることができ、化粧料に用いる場合に好ましいアルキレンオキシド付加物は化粧料用組成物と同じである。
【0068】
アルキレンオキシド付加物(A)を含む本発明の化粧料用組成物は、シャンプー、コンディショナー、ヘアトリートメント、アウトバストリートメント、ヘアスプレー、ヘアワックス、ヘアムース及び染毛剤等のヘアケア用化粧料用原料又はヘアケア用化粧料として用いることが好ましい。
アルキレンオキシド付加物(A)は、シャンプー、コンディショナー、ヘアトリートメント、アウトバストリートメント、ヘアスプレー、ヘアワックス、ヘアムース及び染毛剤等のヘアケア用化粧料に含有させることで、これらの化粧料に髪の水を切る際のすべり性、乾燥後の髪のべたつきの低減効果を付与することができる。
【0069】
本願第一の発明である化粧料用組成物は、アルキレンオキシド付加物(A)を含むこと以外に制限はなく、化粧料用組成物中に含まれるアルキレンオキシド付加物(A)の含有量は化粧料用組成物の用途に応じて調整することができるが、化粧料用原料して用いる場合には、ハンドリング性、安定性及び輸送コストの観点から、化粧料用組成物中に前記アルキレンオキシド付加物(A)を化粧料用組成物の合計重量に基づいて、好ましいのは50~100重量%であり、さらに好ましいのは100重量%である。
【0070】
また、本願第二の発明である、アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料において、すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性の観点から、化粧料用組成物中に前記アルキレンオキシド付加物(A)を化粧料用組成物の合計重量に基づいて、0.001~10重量%含むことが好ましく、さらに好ましいのは0.5~5重量%であり、特に好ましいのは1~5重量%である。
【0071】
本発明の化粧料用組成物が含んでもよいアルキレンオキシド付加物(A)以外の成分としては、油剤、シリコーン化合物、アルコール類、ゲル化剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤[前記アルキレンオキシド付加物(A)以外の化合物]、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、無機顔料、高分子化合物、キレート剤、pH調整剤、清涼剤、美白剤、保湿剤、紫外線吸収剤、コンディショニング剤、香料及び着色料等の化粧品原料として用いられる公知の化粧料用原料成分等が挙げられる。
【0072】
油剤としては、油脂(アーモンド油、オリーブ油、大豆油、硬化油、ツバキ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヤシ油、牛脂及び豚脂等)、ロウ類(ラノリン、ミツロウ、ホホバ油及びキャンデリラロウ等)、高級脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸及び12-ヒドロキシステアリン酸等)及び炭化水素(セレシン、パラフィン、ミネラルオイル、ワセリン、スクワラン及び流動パラフィン等)が挙げられる。
【0073】
シリコーン化合物としては、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルシロキサン/メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、デカメチルシクロペンタンシロキサン、ジメチルシロキサンメチル(ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン、メチルポリシクロシロキサン、ジメチルシロキサン/メチルステアリルオキシシロキサン共重合体、メチルポリシロキサンエマルジョン、オクタメチルトリシロキサン、環状シリコーン樹脂、高重合メチルポリシロキサン、テトラデカメチルヘキサンシロキサン及びトリメチルシロキシケイ酸等が挙げられる。
【0074】
アルコール類としては、1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セテアリルアルコール、2-デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)及びメデューフォーム種子油等)、2~6価の多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン及びソルビトール等)及びコレステロール等が挙げられる。
【0075】
ゲル化剤としては、グアーガム、デンプン、カルボキシメチルセルロース、アセチルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ジステアルジモニウムヘクトライト、ショ糖パルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、モノベンジリデンソルビトール及びN-ラウロイル-L-グルタミン酸等が挙げられる。
【0076】
アニオン性界面活性剤としては、炭素数8~24の炭化水素系エーテルカルボン酸又はその塩[(ポリ)オキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレンラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8~24の炭化水素系硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン及び(ポリ)オキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等]、炭素数8~24の炭化水素系スルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8~24の炭化水素系リン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等]及びアシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム等]等が挙げられる。
【0077】
アルキレンオキシド付加物(A)以外の公知の化粧料用原料成分であるノニオン性界面活性剤としては、脂肪族系アルコール(炭素数8~24)アルキレンオキシド(炭素数2~8)付加物、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2~8)高級脂肪酸(炭素数8~24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール及びジステアリン酸ポリエチレングリコール等]、多価(2~10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8~24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール及びモノラウリン酸ソルビタン等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2~8)多価(2~10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8~24)エステル[モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン及びポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド等]、脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及び1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2~8)アルキル(炭素数1~22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2~8)アルキル(炭素数8~24)アミノエーテル及びアルキル(炭素数8~24)ジアルキル(炭素数1~6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等であってオキシアルキレン鎖にオキシプロピレン単位からなる3連子を含まない化合物、若しくはオキシアルキレン鎖に含まれるオキシプロピレン連鎖におけるイソタクチック3連子の個数の割合が、イソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子の合計数に対して26%未満の化合物等が挙げられる。
【0078】
両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]及びアミノ酸型両性界面活性剤[β-ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]等が挙げられる。
【0079】
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキル(炭素数1~18)アンモニウム塩[ベヘントリモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド等]及びアルキル(炭素数1~4)硫酸高級脂肪酸アミノアルキル(炭素数2~4)トリアルキル(炭素数1~4)アンモニウム塩[エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]等が挙げられる。
【0080】
無機顔料としては、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック及び二酸化チタン等が挙げられる。
【0081】
高分子化合物としては、天然高分子(グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、デンプン、キサンタンガム、ゼラチン及びコラーゲン等)、半合成高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、可溶性デンプン及びアルギン酸プロピレングリコールエステル等)及び合成高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸エステル共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、カチオン化ポリウレタンポリマー、高重合ポリエチレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等)等が挙げられる。
【0082】
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ポリリン酸、ピロリン酸、グルコン酸、アスコルビン酸及びこれらの塩等が挙げられる。
【0083】
pH調整剤としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、乳酸、コハク酸及びクエン酸等が挙げられる。
【0084】
清涼剤としては、L-メントール及びカンフル等が挙げられる。
【0085】
美白剤としては、アルブチン、コウジ酸、グルタチオン、ハイドロキノン、ハイドロキノンの誘導体、レゾルシン、レゾルシンの誘導体及びグラブレン等が挙げられる。
【0086】
保湿剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム及びコンドロイチン硫酸塩等が挙げられる。
【0087】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体及びウロカニン酸誘導体等が挙げられる。
【0088】
コンディショニング剤としては、Mw500~500万のカチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、シリコーン類、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、タンパク質誘導体、セラミド類、擬似セラミド類、炭素数16~40の脂肪酸及びパンテノール等が挙げられる。
【0089】
香料としては、d-リモネン、β-カリオフィレン、シス-3-ヘキセノール、リナロール、ファルネソール、β-フェニルエチルアルコール、2,6-ノナジエナール、シトラール、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、β-イオノン、l-カルボン、シクロペンタデカノン、リナリルアセテート、ベンジルベンゾエート、γ-ウンデカラクトン、オイゲノール、ローズオキシド、インドール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、オーランチオール、シンナミックアルデヒド、メチルイオノンジャコウ、アニス精油、ケイ皮精油及びジャスミン精油等が挙げられる。
【0090】
着色料としては、青色1号、青色2号、緑色3号及び赤色1号等が挙げられ、化粧料に使用することができるものは、全て使用可能である。
【0091】
本発明の化粧料用組成物が必要に応じて用いることができる公知の化粧料用原料成分の種類とその含有量は、化粧料用組成物の用途に応じて調整することができるが、化粧料用原料として用いる場合、必要に応じて用いる公知の化粧料用原料成分の好ましい含有量は、それぞれ以下の通りである。
油剤、シリコーン化合物、アルコール類、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、無機顔料、高分子化合物及び保湿剤は、アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料の全重量に基づき、好ましいのはそれぞれ50重量%以下、さらに好ましいのは10重量%以下である。
ゲル化剤、キレート剤、美白剤及びコンディショニング剤は、アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料の全重量に基づき、好ましいのはそれぞれ50重量%以下、さらに好ましいのは10重量%以下である。
pH調整剤、清涼剤、紫外線吸収剤、香料及び着色料は、アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料の全重量に基づき、好ましいのはそれぞれ10重量%以下、さらに好ましいのは5重量%以下である。
【0092】
アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料用組成物は、さらに水を含んでも良く、化粧料用組成物中に含まれる水の含有量は化粧料用組成物の用途に応じて適宜選択されるが、化粧料用原料として用いる場合、アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料用組成物の全重量に基づいて、好ましいのは0~50重量%であり、さらに好ましいのは0.01~20重量%である。
【0093】
また、本願第二の発明である化粧料において、必要に応じて用いる公知の化粧料用原料成分の好ましい含有量は、それぞれ以下の通りである。
油剤、シリコーン化合物、アルコール類、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、無機顔料、高分子化合物及び保湿剤は、アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料の全重量に基づき、好ましいのはそれぞれ50重量%以下、さらに好ましいのは40重量%以下である。
ゲル化剤、キレート剤、美白剤及びコンディショニング剤は、アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料の全重量に基づき、好ましいのはそれぞれ30重量%以下、さらに好ましいのは20重量%以下である。
pH調整剤、清涼剤、紫外線吸収剤、香料及び着色料は、アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料の全重量に基づき、好ましいのはそれぞれ30重量%以下、さらに好ましいのは20重量%以下である。
【0094】
本願第二の発明である化粧料において、水の含有量は、アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料の種類に応じて適宜選択されるが、アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料の全重量に基づいて、好ましいのは10~98重量%であり、さらに好ましいのは20~95重量%である。
【0095】
アルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料用組成物及び化粧料は、アルキレンオキシド付加物(A)と、必要に応じて用いる公知の化粧料用原料成分及び水とをホモディスパー等を用いて均一に混合することにより作製することができる。
混合の順序は、特に限定されないが、水を使用する場合は、水に対してアルキレンオキシド付加物(A)及び必要に応じて用いる公知の化粧料用原料成分を加えるとアルキレンオキシド付加物(A)が溶解しやすいので好ましい。
混合時の好ましい温度は、アルキレンオキシド付加物(A)の水への溶解性の観点から、25℃から80℃である。
混合に使用できる攪拌羽根としては、パドル型攪拌羽根又は螺旋型攪拌羽根等が使用できる。
【0096】
本発明のアルキレンオキシド付加物(A)を含む化粧料組成物及び化粧料は、25℃で固状、液状またはペースト状であり、取り扱い易さの観点から好ましいのは液状である。
【実施例0097】
以下実施例、比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部、%は重量%を示す。
【0098】
<製造例1>
(焼成物(B´-1)の合成)
「キョーワード300」〔化学式:2.5MgO・Al2O3・nH2O(nは正数)、協和化学工業(株)製〕を電気炉にて窒素気流下900℃で3時間加熱処理し、焼成物(B´-1)を調製した。
【0099】
<製造例2>
(複合金属シアン化物錯体触媒(X´-1)の合成)
塩化亜鉛2.1gを含む2.0mlの水溶液中に、カリウムヘキサシアノコバルテートK3Co(CN)6を0.84g含む15mlの水溶液を、40℃にて攪拌しながら15分間かけて滴下した。滴下終了後、水16ml、tert-ブチルアルコール16gを加え、70℃に昇温し、1時間攪拌した。室温まで冷却後、濾過操作(1回目濾過)を行い、固体を得た。この固体に、水14ml、tert-ブチルアルコール8.0gを加え、30分間攪拌したのち濾過操作(2回目濾過)を行い、固体を得た。
さらに再度、この固体にtert-ブチルアルコール18.6g、メタノール1.2gを加え、30分間攪拌したのち濾過操作(3回目濾過)を行い、得られた固体を40℃、減圧下で3時間乾燥し、複合金属シアン化物錯体触媒(X´-1)0.7gを得た。
【0100】
<実施例1>
(ポリプロピレングリコール(A-1)を含む化粧料用組成物)
攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、Mn600のポリプロピレングリコール[商品名:ニューポールPP-600、三洋化成工業(株)製、ニューポールは三洋化成(株)の登録商標である]600部(1モル部)と製造例1で得られた焼成物(B´-1)10部を混合し、減圧下(1.3kPa)で、100℃にて1時間脱水を実施した。次いで、反応槽中の温度を175℃に昇温した後、PO400部(6.9モル部)を10時間かけて滴下した。PO滴下後、反応槽中の温度175℃で10時間熟成し、粗ポリプロピレングリコール(E-1)を得た。次いで、反応槽中の温度を90℃に冷却後、濾過助剤であるラヂオライト#700(昭和化学工業(株)製)10部を層状に充填した吸引漏斗で粗ポリプロピレングリコール(E-1)を濾過して、ポリプロピレングリコール(A-1)を含む化粧料用組成物を得た。
得られたポリプロピレングリコール(A-1)について、前記の方法で測定した立体規則性(イソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子の個数の割合)、及び分子量分布(Mw/Mn)、並びに原料の重量から計算したポリプロピレングリコール(A-1)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0101】
<実施例2>
(ポリプロピレングリコール(A-2)を含む化粧料用組成物)
PO400部(6.9モル部)をPO1400部(24.1モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレングリコール(A-2)を含む化粧料用組成物を得た。得られたポリプロピレングリコール(A-2)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びにポリプロピレングリコール(A-2)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0102】
<実施例3>
(ポリプロピレングリコール(A-3)を含む化粧料用組成物)
PO400部(6.9モル部)をPO2400部(41.3モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレングリコール(A-3)を含む化粧料用組成物を得た。得られたポリプロピレングリコール(A-3)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びにポリプロピレングリコール(A-3)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量比割合を表1に記載した。
【0103】
<実施例4>
(ポリプロピレングリコール(A-4)を含む化粧料用組成物)
Mn600のポリプロピレングリコール600部(1モル部)をMn1000のポリプロピレングリコール[商品名:ニューポールPP-1000、三洋化成工業(株)製]1000部(1モル部)に変更し、PO400部(6.9モル部)をPO3000部(51.7モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレングリコール(A-4)を含む化粧料用組成物を得た。得られたポリプロピレングリコール(A-4)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びにポリプロピレングリコール(A-4)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0104】
<実施例5>
(ポリプロピレングリコール(A-5)を含む化粧料用組成物)
Mn600のポリプロピレングリコール600部(1モル部)をn-ブタノールのプロピレンオキシド20モル付加物[商品名:ニューポールLB-285、三洋化成工業(株)製]1234部(1モル部)に変更し、PO400部(6.9モル部)をPO762部(13.2モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A-5)を含む化粧料用組成物を得た。得られたブタノールのプロピレンオキシド付加物(A-5)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びにブタノールのプロピレンオキシド付加物(A-5)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0105】
<実施例6>
(ポリプロピレングリコール(A-6)を含む化粧料用組成物)
Mn600のポリプロピレングリコール600部(1モル部)をn-ブタノールのプロピレンオキシド20モル付加物[商品名:ニューポールLB-285、三洋化成工業(株)製]1234部(1モル部)に変更し、PO400部(6.9モル部)をPO1762部(30.4モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A-6)を含む化粧料用組成物を得た。得られたブタノールのプロピレンオキシド付加物(A-6)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びにブタノールのプロピレンオキシド付加物(A-6)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0106】
<実施例7>
(ポリプロピレングリコール(A-7)を含む化粧料用組成物)
Mn600のポリプロピレングリコール600部(1モル部)をn-ブタノールのプロピレンオキシド20モル付加物[商品名:ニューポールLB-285、三洋化成工業(株)製]1234部(1モル部)に変更し、PO400部(6.9モル部)をPO2762部(47.7モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A-7)を含む化粧料用組成物を得た。得られたブタノールのプロピレンオキシド付加物(A-7)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びにブタノールのプロピレンオキシド付加物(A-7)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0107】
<実施例8>
(ポリプロピレングリコール(A-8)を含む化粧料用組成物)
Mn600のポリプロピレングリコール600部(1モル部)をMn3000のグリセリンのプロピレンオキシド付加物[商品名:ニューポールGP-3000、三洋化成工業(株)製]3000部(1モル部)に変更し、PO400部(6.9モル部)をPO2762部(48.3モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、グリセリンのプロピレンオキシド付加物(A-8)を含む化粧料用組成物を得た。得られたグリセリンのプロピレンオキシド付加物(A-8)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びにグリセリンのプロピレンオキシド付加物(A-8)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0108】
<実施例9>
(ポリプロピレングリコール(A-9)を含む化粧料用組成物)
攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、ペンタエリスリトール5部(0.036モル部)と製造例1で得られた焼成物(B´-1)3部、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する)40部を混合し、減圧下(1.3kPa)で、100℃にて1時間脱水及び脱溶剤を実施した。次いで、反応槽中の温度を90℃に冷却した後、モレキュラーシーブで脱水したDMF30部を加え、PO32部(0.55モル部)を、10時間かけて滴下した後、90℃で5時間熟成し、粗ペンタエリスリトールのプロピレンオキシド付加物(E-9)を含む化粧料用組成物を得た。次いで、濾過助剤であるラヂオライト#700(昭和化学工業(株)製)5部を層状に充填した吸引漏斗で粗ペンタエリスリトールのプロピレンオキシド付加物(E-9)を濾過して、ペンタエリスリトールのプロピレンオキシド付加物(A-9)を含む化粧料用組成物を得た。得られたペンタエリスリトールのプロピレンオキシド付加物(A-9)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びにペンタエリスリトールのプロピレンオキシド付加物(A-9)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0109】
<実施例10>
(ポリプロピレングリコール(A-10)を含む化粧料用組成物)
攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、ソルビトール5部(0.027モル部)と製造例1で得られた焼成物(B´-1)3部、DMF40部を混合し、減圧下(1.3kPa)で、100℃にて1時間脱水及び脱溶剤を実施した。次いで、反応槽中の温度を90℃に冷却した後、モレキュラーシーブで脱水したDMF30部を加え、PO35部(0.6モル部)を、10時間かけて滴下した後、90℃で5時間熟成し、粗ソルビトールのプロピレンオキシド付加物(E-10)を得た。次いで、濾過助剤であるラヂオライト#700(昭和化学工業(株)製)5部を層状に充填した吸引漏斗で粗ソルビトールのプロピレンオキシド付加物(E-10)を濾過した後、減圧下(1.3kPa)で、100℃にて脱溶剤を行い、ソルビトールのプロピレンオキシド付加物(A-10)を含む化粧料用組成物を得た。得られたソルビトールのプロピレンオキシド付加物(A-10)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びにソルビトールのプロピレンオキシド付加物(A-10)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0110】
<実施例11>
(ポリプロピレングリコール(A-11)を含む化粧料用組成物)
Mn600のポリプロピレングリコール600部(1モル部)をMn1500の両末端水酸基水素化ポリブタジエン[商品名:NISSO-PB GI-1000、日本曹達(株)製]1500部(1モル部)に変更し、PO400部(6.9モル部)をPO1000部(17.2モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、両末端水酸基水素化ポリブタジエンのプロピレンオキシド付加物(A-11)を含む化粧料用組成物を得た。得られた両末端水酸基水素化ポリブタジエンのプロピレンオキシド付加物(A-11)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びに両末端水酸基水素化ポリブタジエンのプロピレンオキシド付加物(A-11)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0111】
<実施例12>
(ポリプロピレングリコール(A-12)を含む化粧料用組成物)
Mn600のポリプロピレングリコール600部(1モル部)をMn3000の両末端水酸基ポリファルネセン[商品名:KRASOL F-3000、Cray Valley製]3000部(1モル部)に変更し、PO400部(6.9モル部)をPO1000部(17.2モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、両末端水酸基ポリファルネセンのプロピレンオキシド付加物(A-12)を含む化粧料用組成物を得た。得られた両末端水酸基ポリファルネセンのプロピレンオキシド付加物(A-12)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びに両末端水酸基ポリファルネセンのプロピレンオキシド付加物(A-12)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0112】
<比較例1>
(n-ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A´-4)を含む化粧料用組成物)
攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、n-ブタノール74部(1モル部)及び製造例2で得られた複合金属シアン化錯体触媒(X´-1)0.2部を混合し、窒素置換した。次いで、反応槽中の温度を110℃へと昇温した後、0.6MPa以下の条件で、PO3016部(52モル部)を、20時間かけて液中添加した。その後、反応槽の温度110℃で10時間熟成し、粗n-ブタノールのプロピレンオキシド付加物(E´-4)を得た。熟成後、反応槽中の温度を80℃に冷却し、1時間減圧(1.3kPa)処理により未反応のPOを除去した後、濾過して、n-ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A´-4)を含む化粧料用組成物を得た。得られたn-ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A´-4)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びにn-ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A´-4)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0113】
<比較例2>
(n-ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A´-5)を含む化粧料用組成物)
PO3016部(52モル部)をPO5220部(90モル部)に変更した以外は比較例1と同様にして、n-ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A´-5)を含む化粧料用組成物を得た。得られたn-ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A´-5)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びにn-ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A´-5)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0114】
<比較例3>
(n-ブタノールのプロピレンオキシド付加物(A´-6)を含む化粧料用組成物)
Mn600のポリプロピレングリコール600部(1モル部)をMn1500の両末端水酸基水素化ポリブタジエン[商品名:NISSO-PB GI-1000、日本曹達(株)製]1500部(1モル部)に変更し、PO400部(6.9モル部)をPO150部(2.6モル部)に変更した以外は実施例1と同様にして、両末端水酸基水素化ポリブタジエンのプロピレンオキシド付加物(A´-6)を含む化粧料用組成物を得た。得られた両末端水酸基水素化ポリブタジエンのプロピレンオキシド付加物(A´-6)について、実施例1と同様に立体規則性及び分子量分布(Mw/Mn)、並びに両末端水酸基水素化ポリブタジエンのプロピレンオキシド付加物(A´-6)に基づくオキシアルキレン単位の合計重量割合を表1に記載した。
【0115】
実施例1~12で得られたアルキレンオキシド付加物(A-1)~(A-12)を含む化粧料用組成物、比較例1~3で得られたアルキレンオキシド付加物(A´-4)~(A´-6)を含む化粧料用組成物に含まれるアルキレンオキシド付加物、及び市場から入手したアルキレンオキシド付加物(A´-1)~(A´-3)について、立体規則性(イソタクチック3連子、ヘテロタクチック3連子及びシンジオタクチック3連子の個数の割合)、分子量分布(Mw/Mn)、アルキレンオキシド付加物に基づくオキシアルキレン単位の合計割合を表1に示す。
なお、市場から入手したアルキレンオキシド付加物(A´-1)~(A´-3)としては、以下のものを用いた。
(A´-1):Mn1000のポリプロピレングリコール[商品名:ニューポールPP-1000、三洋化成工業(株)製]
(A´-2):Mn2000のポリプロピレングリコール[商品名:ニューポールPP-2000、三洋化成工業(株)製]
(A´-3):Mn3000のポリプロピレングリコール[商品名:ニューポールPP-3000、三洋化成工業(株)製]
【0116】
【0117】
(実施例13~24、比較例4~9)
下記ヘアトリートメントの製造方法に記載の操作を行い、実施例13~24にかかる本願発明の化粧料であるヘアトリートメント及び比較例4~9にかかる比較用のヘアトリートメントを調製した。
30~50歳の女性10名からなる専門パネラーが各ヘアトリートメント使用時の「すすぎ時の髪のすべり性」、「すすぎ後の水を切る際のすべり性」、「乾燥後の髪のなめらかさ」及び「乾燥後の髪のべたつき感のなさ」について評価し、結果を表2及び表3に示した。
なお、表2及び表3中、セテアリルアルコールとしては、コノール1668(新日本理化(株)製、コノールは新日本理化(株)の登録商標である)を用い、ベヘントリモニウムクロリドとしては、VARISOFT BT 85 Pellets(Evonik Operations GmbH、VARISOFTはエボニック ゴールドシュミットコーポレーションの登録商標である)を用いた。
【0118】
(ヘアトリートメントの製造方法)
[1]:表2及び表3に記載した重量部のセテアリルアルコール、及びベヘントリモニウムクロリドを80℃に加熱して均一混合した。
[2]:表2及び表3に記載した重量部の水を80℃に加熱し、80℃の水の全量と前記[1]で作製した混合物とを混合撹拌し、乳化物を作製した。その後、乳化物を撹拌しながら、30℃以下になるまで冷却した。
[3]:前記[2]で作製した乳化物に対して、表2及び表3に記載した重量部のアルキレンオキシド付加物(A-1)~(A-12)及び(A´-1)~(A´-6)のいずれかを配合し、均一になるまで撹拌し、ヘアトリートメントを得た。
【0119】
(ヘアトリートメントの評価)
40℃のお湯で十分に髪を濡らした後、10重量%のポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EO2モル付加物)水溶液1gで洗浄し、40℃のお湯で十分にすすいだ。次に作製したヘアトリートメント1gを各パネラーの髪に均一に塗布し、毛髪全体に十分になじませた後、40℃の温水で30秒間すすぎながら、「すすぎ時の髪のすべり性」を評価した。
続いて、ヘアトリートメントをすすいだ後に髪の水を切らせ、「すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性」を評価した。
さらに、ヘアドライヤーで髪を乾燥させ、「乾燥後の髪のなめらかさ」及び「乾燥後の髪のべたつき感のなさ」を評価した。
各評価は1~5点の5段階で評価し、点数が大きいほど評価結果が良好であることを意味する。
【0120】
表2及び表3には、各評価項目の30~50歳の女性10名からなる専門パネラーの合計点を記載した。合計点数が大きいほど「すすぎ時の髪のすべり性」、「すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性」、「乾燥後の髪のなめらかさ」及び「乾燥後の髪のべたつき感のなさ」が良好であることを意味する。
【0121】
【0122】
【0123】
表2の実施例13~24に示す通り、アルキレンオキシド付加物(A-1)~(A-12)を含む本願発明のヘアトリートメントは、表3の比較例4~9のヘアトリートメントと比較して「すすぎ時の髪のすべり性」、「髪の水を切る際のすべり性」、「乾燥後の髪のなめらかさ」及び「乾燥後の髪のべたつき感のなさ」に優れていた。
【0124】
比較例4~6のヘアトリートメントは、含有するアルキレンオキシド付加物が、イソタクチック3連子の個数の割合が26%未満かつ、分子量分布(Mw/Mn)が1.05未満であり、本願発明の化粧料である実施例1~12のヘアトリートメントと比較して、「すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性」が悪かった。
比較例7及び8のヘアトリートメントは、含有するアルキレンオキシド付加物が、イソタクチック3連子の個数の割合が26%未満であり、本願発明の化粧料である実施例1~12のヘアトリートメントと比較して、「すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性」が悪く、また、ヘアドライヤーで髪を乾燥した後の「乾燥後の髪のべたつき感のなさ」が悪かった。
比較例9のヘアトリートメントは、含有するアルキレンオキシド付加物の、オキシアルキレン単位の合計重量割合が、アルキレンオキシド付加物の重量に基づいて10%以下であり、本願発明の化粧料である実施例1~12のヘアトリートメントと比較して、「すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性」が悪く、また「乾燥後の髪のべたつき感のなさ」も悪かった。
本発明の製造方法で得られる本発明のアルキレンオキシド付加物(A)は、毛髪用化粧料に配合することで、すすぎ時の髪のすべり性、すすぎ後の髪の水を切る際のすべり性、乾燥後の髪のなめらかさ、乾燥後の髪のべたつきの低減効果に優れた毛髪用化粧料を提供できることから、化粧料用組成物及び化粧料として好適である。