(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184758
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】排気を浄化する排気後処理装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/26 20060101AFI20221206BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20221206BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F01N3/26 F
F01N3/08 B
F01N3/24 L
F01N3/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022081684
(22)【出願日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】21177031.8
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト‐オーヴェ・ワルストロム
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA18
3G091AB04
3G091AB15
3G091BA03
3G091BA14
3G091CA03
3G091CA17
3G091CA27
3G091EA17
3G091FA02
3G091FB02
3G091FC05
3G091HA05
3G091HA36
3G091HA37
3G091HA45
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、排気を浄化する排気後処理装置に関する。
【解決手段】排気後処理装置は、排気の流体通路を提供する流体導管(21)と、流体導管内又はその下流に配置されたSCR触媒と、SCR触媒の上流に配置されて排気を加熱する加熱装置(38)と、を備えている。加熱装置は、電気加熱要素と、電気加熱要素へと排気をガイドする第1の流体通路と、電気加熱要素をバイパスするように排気をガイドする第2の流体通路と、を備え、加熱装置が流体導管に対して取り外し可能に配置されている。本発明はまた、加熱装置及び車両に関する。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気を浄化する排気後処理装置(20,120,220,320)であって、
前記排気の流体通路を提供する流体導管(21)と、
前記流体導管内又はその下流に配置されたSCR触媒(32)と、
前記SCR触媒の上流に配置されて前記排気を加熱する加熱装置(38,138,238,338)であって、電気加熱要素(40,140,240,340)、前記電気加熱要素へと前記排気をガイドする第1の流体通路(26A)、及び前記電気加熱要素をバイパスするように前記排気をガイドする第2の流体通路(26B)を備え、前記流体導管に対して取り外し可能に配置された加熱装置と、
を備えた、排気後処理装置(20,120,220,320)。
【請求項2】
前記加熱装置(38,138,238,338)は、
前記第1の流体通路(26A)及び前記電気発熱要素(40,140,240,340)を含んだ第1の導管部(28A,128A,228A,338A)と、
前記第2の流体通路(26B)を含んだ第2の導管部(28B,128B,228B,328B)と、
を備え、
前記第2の導管部が前記第1の導管部とは異なっている、
請求項1に記載の排気後処理装置(20,120,220,320)。
【請求項3】
前記第1の導管部(28A,128A,228A,328A)及び前記第2の導管部(28B,128B,228B,328B)が同心に配置された、
請求項2に記載の排気後処理装置。
【請求項4】
前記第1の導管部(28A,128A)が前記第2の導管部(28B,128B)を環状に取り囲んでいるか、又は前記第2の導管部(228B,328B)が前記第1の導管部(228A,328A)を環状に取り囲んでいる、
請求項2又は3に記載の排気後処理装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の流体通路(26A,26B)における排気の流れを制御するように構成された少なくとも1つのバルブ(41,241)を更に備えた、
請求項1~4のいずれか1つに記載の排気後処理装置(20,220)。
【請求項6】
前記加熱装置(38)が前記バルブ(41)を備えた、
請求項5に記載の排気後処理装置(20)。
【請求項7】
前記バルブ(41,241)は、排気の流れが前記第1の流体通路(26A)を通過可能にする第1の状態と、排気の流れの少なくとも一部が前記第2の流体通路(26B)を通過可能にする第2の状態と、の間で動作可能である、
請求項5又は6に記載の排気後処理装置(20,220)。
【請求項8】
前記流体導管(21)は、前記SCR触媒(32)の上流に配置された第1の導管フランジ(21A)を備え、
前記加熱装置(38,138,238,338)は、第1の加熱装置フランジ(39A)を備え、
これによって、組み付け状態において、前記第1の導管フランジが前記第1の加熱装置フランジに対して全周に亘って連結され、
少なくとも前記第1の導管フランジが前記第1の加熱装置フランジに対して取り外し可能に連結されることによって、前記加熱装置が前記流体導管に対して取り外し可能に配置された、
請求項1~7のいずれか1つに記載の排気後処理装置(20,120,220,320)。
【請求項9】
前記流体導管(21)は、前記第1の導管フランジ(21A)の上流に配置された第2の導管フランジ(21B)を更に備え、
前記加熱装置(38,138,238,338)は、前記第1の加熱装置フランジ(39A)の反対側に配置された第2の加熱装置フランジ(39B)を備え、
これによって、前記組み付け状態において、前記第2の導管フランジが前記第2の加熱装置フランジに対して全周に亘って連結され、
前記第1の導管フランジが前記第1の加熱装置フランジに対して取り外し可能に連結され、かつ前記第2の導管フランジが前記第2の加熱装置フランジに対して取り外し可能に連結されることによって、前記加熱装置が前記流体導管に対して取り外し可能に配置された、
請求項8に記載の排気後処理装置(20,120,220,320)。
【請求項10】
前記加熱装置(38,138,238,338)は、前記第1の加熱装置フランジ(39A)まで延びる周囲導管壁部(39,339)を備え、
前記第1及び第2の流体通路(26A,26B)が前記周囲導管壁部内に収容された、
請求項8又は9に記載の排気後処理装置(20,120,220,320)。
【請求項11】
NOxエミッションを変換する排気後処理装置(20,120,220,320)の加熱装置(38,138,238,338)であって、
前記排気後処理装置は、排気の流体通路を提供する流体導管(21)と、前記流体導管内又はその下流に配置されたSCR触媒(32)と、を備え、
前記加熱装置は、電気加熱要素(40,140,240,340)と、前記電気加熱要素へと前記排気をガイドする第1の流体通路(26A)と、前記電気加熱要素をバイパスするように前記排気をガイドする第2の流体通路(26B)と、を備え、前記加熱装置が前記流体導管に対して取り外し可能に配置されるように構成された、
加熱装置(38,138,238,338)。
【請求項12】
第1の加熱装置フランジ(39A)と、
前記第1の加熱装置フランジの反対側に配置された第2の加熱装置フランジ(39B)と、
を更に備え、
前記第1の加熱装置フランジが前記流体導管の第1の導管フランジ(21A)に対して全周に亘って連結されるとともに、前記第2の加熱装置フランジが前記流体導管の第2の導管フランジ(21B)に対して全周に亘って連結された、
請求項11に記載の加熱装置。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1つに記載の排気後処理装置(20,120,220,320)、又は請求項11又は12に記載の加熱装置(38,138,238,338)を備えた車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気を浄化する排気後処理装置に関する。本発明はさらに、排気後処理装置の加熱装置、排気後処理装置又は加熱装置を備えた車両、並びに排気後処理装置の流体導管に対して加熱装置を組み付け及び/又は取り外す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、一般的に、車両を推進するエンジンを備えている。このエンジンは、例えば、内燃機関の液体燃料若しくは気体燃料、又は電気機械の電力などの様々な手段によって動作することができる。また、車両が内燃機関及び電気機械の両方によって推進される、ハイブリッドの解決策が存在する。
【0003】
エンジンがディーゼルエンジンなどの内燃機関である場合、車両には、エンジンからのエミッションを処理する排気後処理システムEATSが備えられていることが一般的である。ディーゼルエンジンのEATSは、一般的に、ディーゼル酸化触媒DOC、ディーゼルパティキュレートフィルタDPF、及びSCR(Selective Catalytic reduction)触媒を含んでいる。尿素やアンモニアなどの物質を含む還元剤は、SCR触媒の上流に噴射されて、触媒を用いて、NOxとも呼ばれる窒素酸化物を二価窒素N2及び水、場合によっては二酸化炭素CO2(還元剤の選択に依存する)へと変換するのを促進する。浄化された排気、又は少なくともエミッションが減少された排気は、その後、車両のテールパイプを通って、EATS及び車両から排出される。同様なエミッションをもたらすディーゼルエンジンとしての他のタイプのエンジンは、同一又は同様なEATSを利用することができる。
【0004】
政府規制は、車両の燃費を向上させる絶え間のない要求とともに、EATSのより効果的な動作の必要性を伴っている。例えば、EATSは、排気温度が低い場合であっても、急速に加熱されなければならず、非常に低い負荷でも高い変換効率を持っていなければならない。厳しいCO2要求を満たす非常に効率的なエンジンの必要性はまた、SCR触媒の上流に噴射される大量の還元剤を必要とする、排気温度の低下、及びエンジンからのより多くのNOx排出という結果につながる。また、還元剤として尿素を使用した場合、尿素は、加熱されて蒸発してアンモニアに加水分解される必要がある。温度が低いと、EATSの効果を低下させる結晶及び付着物を生成する大きなリスクがある。
【0005】
電気加熱要素を使用して排気を加熱することで、低温の排気を相殺して、関連する不都合を軽減することができる。しかしながら、EATSへの電気加熱要素の追加は、システムの複雑さを増加し、及び/又は故障の対象となり、メンテナンスや交換が必要なリスクのある構成部品を追加することとなる。また、電気加熱要素による排気の加熱は、一般的に、EATSにおける望ましくない圧力低下を誘発する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、上述した欠点を軽減することを目的とする改善されたEATSが、産業において必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、既知の排気後処理システムに関して、上述の欠点を少なくとも部分的に軽減して、改善された排気後処理装置を提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、排気を浄化する排気後処理装置が提供される。排気後処理装置は、排気の流体通路を提供する流体導管と、流体導管内又はその下流に配置されたSCR触媒と、SCR触媒の上流に配置されて排気を加熱する加熱装置と、を備えている。加熱装置は、電気加熱要素、電気加熱要素へと排気をガイドする第1の流体通路、及び電気加熱要素をバイパスするように排気をガイドする第2の流体通路を備え、流体導管に対して取り外し可能に配置されている。
【0009】
従って、流体導管内の構成部品及び流体通路にアクセスするするために、流体導管から加熱装置を容易に取り外し可能にしつつ、排気温度が低いという欠点は、電気加熱要素によって軽減され、流体導管の圧力低下は、電気加熱要素をバイパスするように排気をガイドする第2の流体通路を利用することによって制限することができる。その結果、少なくとも電気加熱要素並びに第1及び第2の流体通路は、例えば、メンテナンスのためにアクセス可能になる。即ち、加熱装置は、流体導管から取り外し可能に構成され、流体通路内の構成部品及び流体通路は、例えば、メンテナンスのためにアクセスできるようになる。また、電気加熱要素が交換されるか、電気加熱要素が排気後処理システムの外部からのメンテナンスの対象となる場合、電気加熱要素は、加熱装置から取り外すために容易にアクセスすることができる。本発明は、排気後処理装置の性能を向上しつつ、加熱装置の構成部品及び流体通路に容易にアクセス可能な簡単な構成の組み合わせを提供する。従って、流体導管に対して加熱装置が取り外し可能に配置されるので、加熱装置がさらに複雑になることを抑制しつつ、少なくとも電気加熱要素による排気の加熱のために排気のエミッションを高い効率で除去するとともに、少なくとも電気加熱要素をバイパスする第2の流体通路のために圧力低下を低減できる構成を有する、改善された排気後処理装置が提供される。第2の流体通路のために、電気加熱要素を通過させずに、排気の少なくとも一部を加熱装置の上流から加熱装置の下流へとガイドすることができる。
【0010】
加熱装置を通過する排気の流れのために、第1の流体通路及び第2の流体通路において誘発される圧力低下は、排気の同じ流れについて異なっていることを理解されたい。即ち、排気の同じ流れについて、少なくとも第1の流体通路に電気加熱要素があるため、第1の流体通路は、第2の流体通路より大きな圧力低下を誘発する。従って、第2の流体通路は、一般的に、第1の流体通路における電気加熱要素と同じような流れを妨げる電気加熱要素やこれに対応する手段がない。
【0011】
加熱装置が流体導管に対して取り外し可能に配置されるので、加熱装置が流体導管に配置される組み付け状態か、又は加熱装置が流体導管の統合された一部を形成して流体導管と直接流体連通する組み付け状態に配置可能であり、かつ加熱装置が流体導管から取り外されるか切り離された取り外し状態に配置可能である。排気後処理装置の使用中、即ち、NOxエミッションを変換する排気後処理装置を使用するとき、加熱装置は組み付け状態に配置される。取り外し状態は、例えば、加熱装置、又は加熱装置内の任意の構成部品若しくは流体通路のメンテナンス中に使用することができる。
【0012】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、第1の流体通路及び電気加熱要素を含んだ第1の導管部と、第2の流体通路を含んだ第2の導管部と、を備え、第2の導管部が第1の導管部とは異なっている。
【0013】
その結果、第1及び第2の流体通路のそれぞれは、異なる導管部に含まれている。従って、効果的な方法で排気を第1及び第2の流体通路に分けることができ、第1及び第2の流体通路において排気が混合するのを避けることができる。また、加熱装置に第1及び第2の導管部を設けることによって、第1及び第2の導管部は、流体導管から加熱装置を取り外すときに容易にアクセスすることができる。従って、第1及び第2の導管部は、メンテナンスのために容易にアクセスすることができる。
【0014】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1及び第2の導管部は、第1及び第2の流体経路を全周に亘ってそれぞれ取り囲む導管壁を備えていてもよい。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1の導管部及び/又は第2の導管部の導管壁は、少なくとも部分的に屈曲する横断面を画定する。即ち、第1及び/又は第2の導管部の横断面は、少なくとも部分的に屈曲している。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、第1の導管部の全横断面を覆い、これによって、第1の流体通路を通過する排気が電気加熱要素をバイパスすることを回避する。換言すると、電気加熱要素は、第1の導管部の導管壁に対して全周に亘ってかつ密封して取り付けることができる。
【0015】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1の導管部及び第2の導管部は同心に配置されている。
【0016】
その結果、第1及び第2の導管部のコンパクトな構成が提供される。従って、加熱装置内に第1の導管部及び第2の導管部を同心に配置することによって、加熱装置をコンパクトにすることができる。従って、流体導管に対して取り外し可能に配置された加熱装置を有する適切な構成が提供される。
【0017】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1の導管部は、第2の導管部を環状に取り囲むか、第2の導管部は、第1の導管部を環状に取り囲む。
【0018】
その結果、第1及び第2の導管部のコンパクトな構成が提供される。従って、加熱装置内で第1及び第2の導管部を取り囲むことによって、加熱装置をコンパクトにすることができる。従って、流体導管に対して取り外し可能に配置された加熱装置を有する適切な構成が提供される。
【0019】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1及び第2の導管部が隣接している。換言すると、第1又は第2の導管部の導管壁は、第1の流体通路を第2の流体通路から分けられている。
【0020】
第1の導管部が第2の導管部を環状に取り囲む実施形態について、第2の導管部を少なくとも部分的に画定する導管壁は、第2の導管部に対面する内壁面、及び第1の導管部に対面する外壁面を有している。同様に、第2の導管部が第1の導管部を環状に取り囲む実施形態について、第1の導管部を少なくとも部分的に画定する導管壁は、第1の導管部に対面する内壁面、及び第2の導管部に対面する外壁面を有している。
【0021】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第2の導管部は円形又は筒状の横断面を有し、第1の導管部は環状の横断面を有している(即ち、環形状を有している)。従って、第2の導管部の円形の横断面は、第1の導管部の環状の横断面を取り囲むことができる。少なくとも1つの他の例示的な実施形態によれば、第1の導管部は円形又は筒状の横断面を有し、第2の導管部は環状の横断面を有している(即ち、環形状を有している)。従って、第1の導管部の円形の横断面は、第2の導管部の環状の横断面を取り囲むことができる。
【0022】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排気後処理装置は、第1及び第2の流体通路における排気の流れを制御するように構成された、少なくとも1つのバルブを更に備えている。
【0023】
その結果、簡単な方法で、排気の流れが制御されて第1の流体通路と第2の流体通路との間に分けることができる。一般的に、加熱装置が、組み付け状態において、バルブが第1の流体通路及び/又は第2の流体通路への排気の流れを制御するように配置されている。換言すると、バルブは、排気が電気加熱要素を通過する第1の流体通路、及び排気が電気加熱要素をバイパスする第2の流体通路へと排気を向けるかガイドすることによって、排気の流れを制御するように構成されている。
【0024】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、バルブを備えている。
【0025】
その結果、バルブは、第1及び第2の流体通路に近接又は隣接して配置され、従って、第1及び第2の流体通路への排気の流れを効果的に制御することができる。また、取り外し可能に配置された加熱装置に含まれたバルブを有することによって、流体導管から排気装置を取り外すときにバルブに容易にアクセスすることができ、従って、メンテナンス又は交換の対象とすることができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、例えば、第1又は第2の流体通路に統合、例えば、第1又は第2の導管部に統合などをすることによって、バルブが排気装置に統合される。
【0026】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、バルブは、第1の流体通路への排気の流れ、及び/又は第2の流体通路への排気の流れを制御するように構成されている。例えば、バルブは、第1の流体通路への排気の流れを交互に可能にしたり妨げたりすることによって、排気の流れを制御するように構成されていてもよい。付加的に又は代替的に、バルブは、第2の流体通路への排気の流れを可能にしたり妨げたりすることによって、排気の流れを制御するように構成されていてもよい。付加的に又は代替的に、バルブは、第1又は第2の流体通路への排気の流れを可能にする一方、オプションとして、第1又は第2の流体通路の他方への排気の流れを妨げることによって、排気の流れを制御するように構成されていてもよい。オプションとしてかつ付加的に、バルブは、交互に、第1又は第2の流体通路への排気の流れを可能にしたり、同じ第1又は第2の流体通路への排気の流れを妨げたりすることによって、排気の流れを制御するように構成されていてもよい。
【0027】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、バルブは、排気の流れが第1の流体通路を通過可能にする第1の状態と、排気の流れの少なくとも一部が第2の流体通路を通過可能にする第2の状態と、の間で動作可能である。
【0028】
その結果、排気は、第1の状態では、電気加熱要素によって加熱することができる一方、第2の状態では、第2の流体通路を通過可能にすることによって排気の流れの少なくとも一部が電気加熱要素をバイパスするので圧力低下が低減する。より詳細には、第1の状態では、バルブは、排気の流れが第1の流体通路に流入することができるように配置され、これによって、第2の流体通路に排気が流入できないかごくわずかの排気が流入できるようになっている。例えば、バルブは、第1の状態では、第2の流体通路への排気の流れを妨げるように構成されていてもよい。その結果、排気の全部又は略全部が第1の流体通路に流入可能になり、従って、電気加熱要素によって加熱することができる。第2の状態では、バルブは、排気の流れの少なくとも一部が第2の流体通路に流入することができるように配置されている。従って、第2の状態では、排気の流れの少なくとも一部が第1の流体通路に流入することができるか、又は少なくとも第1の流体通路への流入が可能になり、これによって、電気加熱要素によって加熱することができる。しかしながら、排気の流れの少なくとも一部が第2の流体通路に流入することができ、これによって電気加熱要素をバイパスするので、排気の全流量が第1の流体通路を通って案内される場合(例えば、第1の状態である場合)と比較して、圧力低下を低減させることができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、バルブは、第2の状態において、第1の流体通路への排気の流れを妨げるように配置されている。その結果、圧力低下をさらに低減させることができる。バルブは、例えば、排気の流れを向かわせることによって、又はこれをガイドすることによって、第1の流体通路及び/又は第2の流体通路への排気の流れを流入可能にするように動作可能である。即ち、バルブは、第1の状態では、第1の流体通路へと排気の流れを向かわせるかガイドするように構成されていてもよく、第2の状態では、第2の流体通路へと排気の流れの少なくとも一部を向かわせるかガイドするように構成されていてもよい。
【0029】
従って、バルブは、第1の状態では、第1の流体通路への排気の流れを可能にする一方、第2の流体通路への排気の流れを妨げ、第2の状態では、第2の流体通路及びオプションとして第1の流体通路への排気の流れを可能にするように構成されていてもよい。
【0030】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、流体導管は、SCR触媒の上流に配置された第1の導管フランジを備え、加熱装置は、第1の加熱装置フランジを備え、これによって、組み付け状態では、第1の導管フランジが第1の加熱装置フランジに対して全周に亘って連結されている。ここで、加熱装置は、少なくとも第1の導管フランジが第1の加熱装置フランジに対して取り外し可能に連結されることによって、流体導管に対して取り外し可能に配置されている。
【0031】
その結果、流体導管に対して加熱装置を取り外し可能に配置する簡単かつ効果的な手段が提供される。例えば、第1の導管フランジは、流体導管の端部にあるフランジであってもよく、従って、加熱装置は、第1の導管フランジ及び第1の加熱装置フランジによって流体導管のそのような端部に取り外し可能に配置、又は取り外し可能に連結することができる。従って、使用中、排気の流れは、加熱装置を介して流体導管に流入する。換言すると、第1の導管フランジは、第1の加熱装置フランジに対して全周に亘って連結可能か、又は第1の導管フランジは、第1の加熱装置フランジに対して全周に亘って連結するように構成されている。
【0032】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、流体導管は、第1の導管フランジの上流に配置された第2の導管フランジを更に備えている。加熱装置は、第1の加熱装置フランジの反対側に配置された第2の加熱装置フランジを更に備え、これによって、組み付け状態では、第2の導管フランジが第2の加熱装置フランジに対して全周に亘って連結されている。加熱装置は、第1の導管フランジが第1の加熱装置フランジに対して取り外し可能に連結され、かつ第2の導管フランジが第2の加熱装置フランジに対して取り外し可能に連結されることによって、流体導管に対して取り外し可能に配置されている。
【0033】
その結果、流体導管に対して加熱装置を取り外し可能に配置する、さらに他の簡単かつ効果的な手段が提供される。換言すると、加熱装置は、流体導管に取り外し可能に配置されている。従って、加熱装置は、組み付け状態において流体導管に連結されたとき、流体通路の一部を形成することができる。ここで、流体通路は、流体通路の全体、又は排気後処理装置の流体通路を指すことができる。従って、加熱装置の第1及び第2の流体通路は、一般的に、少なくとも流体通路の全体の中のそれぞれのサブ部分を形成する。流体導管は、第1の導管フランジの下流の下流導管部と、第2の導管フランジの上流の上流導管部と、を備えていてもよい。その結果、加熱装置は、流体導管において、上流導管部を下流導管部に流体連通するように取り外し可能に配置されている。従って、加熱装置が流体導管から取り外されたときに、流体導管は、2つの異なる導管部、即ち、上流導管部及び下流導管部に分けられる。上流導管部は、一般的に、第2の導管フランジから上流に延び、下流導管部は、一般的に、第1の導管フランジから下流に延びている。従って、使用中、排気の流れは、上流導管部に流入し、加熱装置並びに第1及び/又は第2の流体通路を介して下流導管部に流入する。換言すると、第2の導管フランジは、第2の加熱装置フランジに対して全周に亘って連結可能であるか、又は第2の導管フランジは、第2の加熱装置フランジに対して全周に亘って連結されるように構成されている。下流導管部は、フレキシブルパイプを備えていてもよい。上流導管部は、ターボチャージャの出口部に流体連結、又はこれに含まれていてもよい。
【0034】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、第1の加熱装置フランジまで延びる周囲導管壁部(an enclosing channel wall portion)を備え、第1及び第2の流体通路が周囲導管壁部に収容されている。
【0035】
従って、加熱装置の構成部品は、周囲導管壁部内に収容され、加熱装置と一体的に容易に取り外すことができる。周囲導管壁部は、加熱装置のケーシング又はハウジングと呼ぶことができる。従って、組み付け状態では、周囲導管壁部は、上流導管部から下流導管部へと延びるか、又は排気を単純に受けてこれを更に流体導管へとガイドする。
【0036】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排気後処理装置は、アンモニアをSCR触媒に供給する液体還元剤を噴射するように構成されたインジェクタを備えている。インジェクタは、SCR触媒の上流に配置されている。一般的に、インジェクタは、加熱装置とSCR触媒との間に配置されている。
【0037】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、SCR触媒は、インジェクタの下流の流体導管に配置されている。代替的に、SCR触媒は、流体導管の下流に配置されている。例えば、流体導管は、SCR触媒で終わるか、又はここから出てもよい。
【0038】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置の電気加熱要素は、組み付け状態で、インジェクタの上流に配置されている。従って、電気加熱要素によって加熱された排気は、噴射された還元剤と出会う前に加熱することができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、組み付け状態において、インジェクタは、加熱装置とSCR触媒との間に配置されている。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、インジェクタは、流体導管に還元剤を噴射するように配置されている。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、インジェクタは、第1の導管フランジの直下、例えば、第1の導管フランジの1~20cm内に配置されている。この距離は、インジェクタと第1の導管フランジとの間の流路経路距離である。
【0039】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、噴射された還元剤を、電気加熱要素を通過する排気の熱によって間接的に加熱するように構成されている。従って、加熱された排気は、電気加熱要素を通過した後に、噴射された還元剤を加熱する。
【0040】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、導管屈曲部として形成されている。
【0041】
その結果、加熱装置を通過する排気は、さらに混合することができ、排気の加熱を改善することができる。また、導管屈曲部として形成された加熱装置内の電気加熱要素を提供することによって、電気加熱要素は、噴射された還元剤からより良く保護することができる。さらに、加熱装置は、上流導管部を下流導管部に連結することができる一方、導管屈曲部は、流体導管の屈曲部又は曲線部を提供する。
【0042】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、第1及び/又は第2の流体通路に配置された混合ユニットを備えている。混合ユニットは、排気の横流れ流又は縦流れ流を生成するように構成されている。好ましくは、混合ユニットは、例えば、第2の導管部の端部、又は加熱装置の端部など、第2の流体通路の端部に配置されて、加熱装置の下流の排気の流れの混合を促進する。その結果、第1の流体通路からの加熱された排気は、有利な方法で、第2の流体通路からの排気と混合することができる。
【0043】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、使用中、噴射された液体還元剤が電気加熱要素と接触しないように配置されている。
【0044】
例えば、電気加熱要素は、噴射された液体還元剤が到達できない距離で、インジェクタの上流に配置されている。他の例によれば、電気加熱要素は、(例えば、上述した導管屈曲部としての)屈曲部の後ろに配置されている。
【0045】
本発明の第2の態様によれば、NOxエミッションを変換する排気後処理装置の加熱装置が提供される。排気後処理装置は、排気の流体通路を提供する流体導管と、流体導管内又はその下流に配置されたSCR触媒と、を備えている。加熱装置は、電気加熱要素と、電気加熱要素へと排気をガイドする第1の流体通路と、電気加熱要素をバイパスするように排気をガイドする第2の流体通路と、を備えている。加熱装置は、流体導管に対して取り外し可能に配置されるように構成されている。
【0046】
本発明の第2の態様の効果及び特徴は、少なくとも加熱装置との関連において、本発明の第1の態様に関連して上述したものと大部分が類似している。本発明の第1の態様に関連して説明した実施形態は、少なくとも加熱装置との関連において、本発明の第2の態様と大部分両立することができる。従って、例えば、電気加熱装置は、SCR触媒の上流の流体導管に対して取り外し可能に配置することができる。
【0047】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、第1の加熱装置フランジと、第1の加熱装置フランジの反対側に配置された第2の加熱装置フランジと、を更に備えている。第1の加熱装置フランジは、流体導管の第1の導管フランジに対して全周に亘って連結可能であり、第2の加熱装置フランジは、流体導管の第2の導管フランジに対して全周に亘って連結可能である。
【0048】
流体導管の第1及び第2の導管フランジは、本発明の第1の態様を参照して説明済みである。その結果、加熱装置は、流体導管に対して取り外し可能に配置することができる。従って、加熱装置は、組み付け状態において、第1の加熱装置フランジが流体導管の第1の導管フランジに対して全周に亘って連結され、かつ第2の加熱装置フランジが流体導管の第2の導管フランジに対して全周に亘って連結されるように、流体導管に対して配置可能である。また、第1の加熱装置フランジは、流体導管の第1の導管フランジに対して取り外し可能に連結可能であり、かつ第2の加熱装置フランジは、流体導管の第2の導管フランジに対して取り外し可能に連結可能であり、これによって、加熱装置が流体導管に対して取り外し状態に配置可能である。
【0049】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、第1及び第2の流体通路における排気の流れを制御するように構成された、少なくとも1つのバルブを備えている。
【0050】
本発明の第3の態様によれば、NOxエミッションを変換する排気後処理装置の加熱装置が提供される。排気後処理装置は、電気加熱要素と、電気加熱要素へと排気をガイドする第1の流体通路と、電気加熱要素をバイパスするように排気をガイドする第2の流体通路と、を備えている。加熱装置は、流体導管に対して取り外し可能に配置されるように構成されている。
【0051】
本発明の第3の効果及び特徴は、少なくとも加熱装置との関連において、本発明の第1の態様に関連して上述したものと大部分が類似している。本発明の第1の態様に関連して説明した実施形態は、少なくとも加熱装置との関連において、本発明の第3の態様と大部分両立し、そのいくつかの実施形態を以下に説明する。従って、電気加熱装置は、SCR触媒の上流の流体導管に対して取り外し可能に配置することができる。
【0052】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、第1及び第2の流体通路における排気の流れを制御するように構成された、少なくとも1つのバルブを備えている。
【0053】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、第1の加熱装置フランジを備えている。
【0054】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、第1の加熱装置フランジの反対側に配置された第2の加熱装置フランジを更に備えている。
【0055】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、第1の加熱装置フランジと第2の加熱装置フランジとの間で延びる、周囲導管壁部を更に備えている。第1及び第2の流体通路は、周囲導管壁部内に収容されている。
【0056】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、第1の流体通路及び電気加熱要素を含んだ第1の導管部と、第2の流体通路を含んだ第2の導管部と、を備えている。第2の導管部は、第1の導管部とは異なっている。
【0057】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1の導管部及び第2の導管部は、同心に配置されている。
【0058】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1の導管部は、第2の導管部を環状に取り囲んでいるか、又は第2の導管部は、第1の導管部を環状に取り囲んでいる。
【0059】
バルブ、第1及び第2の加熱装置フランジ、周囲導管壁部、第1及び第2の導管部は、本発明の第1の態様に関連して説明した。その実施形態は、本発明の第3の態様の加熱装置に適用可能である。
【0060】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様による排気後処理装置、又は本発明の第2若しくは第3の態様による加熱装置を備えた車両が提供される。
【0061】
本発明の第4の態様の効果及び特徴は、本発明の第1及び第2の態様に関連して上述したものと大部分類似している。本発明の第1の態様に関連して説明した実施形態は、本発明の第4の実施形態と大部分両立できる。
【0062】
本発明の第5の態様によれば、NOxエミッションを変換する排気後処理装置の流体導管に対して加熱装置を組み付け及び/又は取り外す方法が提供される。排気後処理装置は、排気の流体通路を提供する流体導管と、流体導管内又はその下流に配置されたSCR触媒と、オプションとしてSCR触媒にアンモニアを供給する液体還元剤を噴射するように構成されたインジェクタと、を備えている。インジェクタは、SCR触媒の上流に配置されている。加熱装置は、電気加熱要素と、電気加熱要素へと排気をガイドする第1の流体通路と、電気加熱要素をバイパスするように排気をガイドする第2の流体通路と、を備えている。加熱装置は、流体導管に対して取り外し可能の連結可能である。この方法は、加熱装置がSCR触媒の上流に配置されて、排気の流れが第1及び/又は第2の流体通路を介して加熱装置を通過するように制御することができるように、流体導管に対して加熱装置を組み付けること、及び/又は流体導管から加熱装置を取り外すこと、を含んでいる。
【0063】
その結果、加熱装置を流体導管に対して容易に連結することができ、及び/又は加熱装置を流体導管から容易に取り外すことができる。従って、加熱装置は、流体導管に対して組み付けることができ、これを使用して、第1の流体通路における排気の流れを加熱する電気加熱要素によって排気が低温であるという欠点を軽減するとともに、電気加熱要素をバイパスするように排気をガイドする第2の流体通路を利用することによって、流体導管における圧力低下を制限することができる。また、加熱装置を容易に取り外して、加熱装置内の構成部品及び流体通路にアクセスすることができる。その結果、少なくとも電気加熱要素並びに第1及び第2の流体通路は、例えば、メンテナンスのためにアクセス可能になる。即ち、加熱装置を流体導管から取り外して、その中の構成部品及び流体通路を、例えば、メンテナンスのためにアクセス可能にすることができる。本発明は、加熱装置を組み付けた後の排気後処理装置の性能を向上させつつ、加熱装置を取り外した後に加熱装置の構成部品及び流体通路に容易にアクセスできる簡単な構成の組み合わせを提供する。従って、流体導管に対して加熱装置が取り外し可能に配置されて組み付け及び取り外しの対象となるので、加熱装置がさらに複雑になることを抑制しつつ、少なくとも電気加熱要素による排気の加熱のために排気のエミッションを高い効率で除去するとともに、少なくとも電気加熱要素をバイパスする第2の流体通路のために圧力低下を低減できる構成を有する、改善された排気後処理装置が提供される。
【0064】
本発明の第5の態様の効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関連して上述したものと大部分類似している。本発明の第1の態様に関連して説明した実施形態は、少なくとも排気後処理装置の関連において、本発明の第5の態様と大部分両立している。
【0065】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、この方法は、本発明の第1の態様に従って排気後処理装置で実行される。
【0066】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、流体導管は、SCR触媒の上流に配置された第1の導管フランジを備え、加熱装置は、第1の加熱装置フランジを備えている。流体通路に対して加熱装置を組み付けるステップは、第1の導管フランジを第1の加熱装置フランジに対して全周に亘って連結することを含み、及び/又は取り外すステップは、第1の加熱装置フランジから第1の導管フランジを切り離すことを含んでいる。
【0067】
その結果、流体導管に対して加熱装置を組み付け及び取り外す簡単かつ効果的な手段が提供される。例えば、第1の導管フランジは、流体導管の端部にあるフランジであってもよく、従って、加熱装置は、第1の導管フランジ及び第1の加熱装置フランジによって、そのような流体導管の端部に対して組み付け、取り外し可能に配置、又は取り外し可能に連結することができる。従って、使用中、排気は、加熱装置を介して流体導管に流入する。
【0068】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、流体導管は、第1の導管フランジの上流に配置された第2の導管フランジを更に備えている。加熱装置は、第1の加熱装置フランジの反対側に配置された第2の加熱装置フランジを更に備えている。流体導管に対して加熱装置を組み付けるステップは、第1の加熱装置フランジに対して第1の導管フランジを全周に亘って連結することと、第2の加熱装置フランジに対して第2の導管フランジを全周に亘って連結することと、を含み、及び/又は取り外すステップは、第1の加熱装置フランジから第1の導管部を切り離すことと、第2の加熱装置フランジから第2の導管フランジを切り離すことと、を含んでいる。
【0069】
その結果、流体導管に対して加熱装置を組み付け及び取り外すさらに他の簡単かつ効果的な手段が提供される。従って、加熱装置は、組み付けられたとき、流体導管に連結された場合に流体通路の一部を形成することができる。換言すると、加熱装置は、流体導管に対して組み付けられるか、又は流体導管に取り外し可能に配置されている。ここで、流体通路は、流体通路の全体、又は排気後処理装置の流体通路を指すことができる。従って、加熱装置の第1及び第2の流体通路は、一般的に、少なくとも流体通路の全体のそれぞれのサブ部分を形成する。従って、流体導管は、第1の導管フランジの下流の下流導管部と、第2の導管フランジの上流の上流導管部と、を備えていてもよい。その結果、加熱装置は、流体導管に対して組み付けられるか又は流体導管に取り外し可能に配置されて、下流導管部を上流導管部に流体連通させる。従って、加熱装置が取り外し、即ち、流体導管から取り外されると、流体導管は、2つの異なる導管部、即ち、下流導管部及び上流導管部に分けられる。
【0070】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本発明の第1~第5の態様のいずれか1つに適用可能であり、排気後処理装置は、ディーゼルパティキュレートフィルタDPFであるエミッション低減モジュール、即ち、排気からディーゼル排気微粒子やスートなどの微粒子を取り除くように構成されたエミッション低減モジュール、及び/又は一酸化炭素及び炭化水素を二酸化炭素に変換するように配置及び構成されたディーゼル酸化触媒DOCを更に備えている。従って、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、エミッション低減モジュールは、例えば、DOCがDPFの上流に配置された、DPF及びDOCの組み合わせである。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、エミッション低減モジュールはDPFである。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、エミッション低減モジュールはDOCである。エミッション低減モジュールは、例えば、加熱装置の上流に配置することができる。
【0071】
電気加熱要素は、電気によって加熱されるように構成された加熱要素であることを理解されたい。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、ラティス、グレーティング、コイル又はプレートを介して導かれた電気によって加熱されるように構成された、ラティス、グレーティング、コイル又はプレートを備えている。電気加熱要素は、他の形状、例えば、平坦若しくは湾曲した加熱薄膜の形状であってもよく、又は異なるタイプの加熱要素、例えば、抵抗発泡体の加熱要素を備えていてもよい。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、正温度係数PTCベースの要素である。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素は、誘導加熱に基づいており、誘導加熱要素と呼ぶことができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素の動作電力は、300W~15000Wの間、又は1000W~15000Wの間である。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気加熱要素の動作電力は、12V、24V又は48Vである。
【0072】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、還元剤は、無水アンモニア、アンモニア水、尿素、水性尿素及びディーゼル排気流体の少なくとも1つである。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、還元剤は、尿素又は液体尿素である。従って、電気加熱要素は、加熱された排気及び蒸発部材を介して、蒸発に必要な熱を持つ還元剤を提供し、可能であれば、還元剤をアンモニアに加水分解することができる。電気加熱要素の動作電力に基づいて、加熱された排気は、SCR触媒を更に温めることができる。
【0073】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、電気加熱要素の下流、かつSCR触媒の上流の温度を180℃より高く維持するように構成されている。これは、例えば、第1の流体通路及び/又は第2の流体通路へのバルブによって、排気の流れを制御することで実現することができる。その結果、噴射された還元剤を原因とする汚損は、軽減又は取り除くことさえできる。例えば、加熱装置は、加熱装置の下流、かつSCR触媒の上流の流体通路を流れる排気温度を180℃より高く維持するように構成されていてもよい。この温度は、例えば、特定の距離に亘る平均温度として測定される。加熱装置は、上記の温度を180℃~300℃の間に維持するように構成されていてもよい。付加的に又は代替的に、加熱装置は、SCR触媒の温度を180℃~300℃の間に維持するように構成されている。
【0074】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、電気加熱要素の上流の測定温度が180℃未満であることに応答して、例えば、バルブによって、上述した第1の状態に従って第1の流体通路への排気の流れを可能にする(ガイド又は向ける)とともに、排気の加熱を開始するように制御されている。加熱装置は、電気加熱要素の上流の測定温度が200℃を超えたことに応答して、又は加熱装置の上流(かつ、例えば、SCR触媒の上流)の測定温度が300℃を超えたことに応答して、排気の流れの加熱を終了、又はその加熱を低減するように更に制御されていてもよい。そのような加熱の停止又は低減は、バルブを制御して、上述した第2の状態に従って少なくとも部分的に第2の流体通路への排気の流れを可能にする(ガイド又は向ける)とともに、電気加熱要素からの供給熱を停止又は少なくとも低減することによって実現することができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、SCR触媒の測定温度が200℃未満又は180℃未満であることに応答して、排気の加熱を開始するように構成されている。電気加熱要素の加熱レベルは、電気加熱要素への供給電圧を変更することによって、又は頻繁に電力を交互にオン及びオフすることに基づく平均値によって制御することができる。
【0075】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、少なくとも噴射された還元剤の温度に基づいて、加熱装置の下流、かつSCR触媒の上流の温度に適合するように構成されている。その結果、還元剤の温度は、加熱装置の制御に含ませることができる。
【0076】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排気後処理装置は、排気中のNOx濃度を制御する目的で、NOx、温度及び圧力などの様々な排気パラメータの関数として、排気の流体通路への還元剤の導入を制御するように構成されたコントローラを備えている。排気パラメータは、排気後処理装置の様々な位置にある様々なセンサによって測定することができる。例えば、NOxセンサは、排気後処理装置の入口及び出口に配置、又はこれに隣接して配置することができる。温度センサ、及び/又は圧力センサは、加熱装置又はSCR触媒の前後に配置することができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、加熱装置は、少なくとも1つの様々なセンサを備えるか、又はそのようなセンサ(複数もあり得る)の取り付けを含んでいる。
【0077】
SCR触媒は、一般的に、触媒を用いて、窒素酸化物NOxを二価窒素N2及び水、並びに/又は二酸化炭素CO2に変換するように構成されている。使用中、噴射された還元剤(又はその結果として生じるアンモニア)は、触媒上で反応する。
【0078】
本発明の第5の態様で説明した方法ステップの順序は、本開示で説明したものに限定されない。1つ又はいくつかのステップは、本発明の範囲から逸脱することなく明確に述べない限り、位置を変え、又は異なる順序で起こることができる。しかしながら、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、この方法ステップは、本発明の第5の態様において説明した順序で実行される。
【0079】
本開示のさらなる利点及び特徴は、以下の説明及び添付図面に開示及び説明されている。
【0080】
添付図面を参照して、以下、例として挙げられる本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】本発明の例示的な実施形態に従う排気後処理装置を備えた車両の概略的な側面図である。
【
図2A】本発明の例示的な実施形態に従う加熱装置を含んだ排気後処理装置の概略的な断面図である。
【
図2B】
図2Aにおける加熱装置の第1及び第2の導管部の概略的な断面図である。
【
図3A】本発明の例示的な実施形態に適用可能な、加熱装置が流体導管に対してどのように取り外し可能に配置され、かつどのように組み付け/取り外されるかの概略的な例を示している。
【
図3B】本発明の例示的な実施形態に適用可能な、加熱装置が流体導管に対してどのように取り外し可能に配置され、かつどのように組み付け/取り外されるかの概略的な例を示している。
【
図4】本発明の例示的な実施形態に従う加熱装置を含んだ排気後処理装置の概略的な断面図である。
【
図5】本発明の他の例示的な実施形態に従う加熱装置を含んだ排気後処理装置の概略的な断面図である。
【
図6】本発明のさらに他の例示的な実施形態に従う加熱装置を含んだ排気後処理装置の概略的な断面図である。
【
図7】本発明の例示的な実施形態に従う方法のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1を参照すると、本発明で開示される種類の排気後処理装置20、及び本発明で開示される種類の加熱装置38が有益である、ここでは大型トラック1として例示された車両1が示されている。しかしながら、排気後処理装置20、及び/又は加熱装置38は、バス、小型トラック、建設機械、乗用車、船舶用途など、他のタイプの車両にも同様に実装することができる。
図1の車両1は、ディーゼルエンジン10であるエンジン10を備えているが、車両1は、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気機械(図示せず)を更に備えたハイブリッド車両であってもよい。ディーゼルエンジン10は、一般的に、燃料タンクに含まれたディーゼル燃料によって動作し、電気機械は、一般的に、例えば、バッテリや燃料電池など、少なくとも1つのエネルギー蓄積装置、又は変換装置から供給される電力によって動作する。
【0083】
図1において、車両1は、少なくともディーゼルエンジン10から排出される排気を浄化する排気後処理装置20を更に備えている。排気後処理装置20は、
図1の拡大図で最もよくわかるように、少なくとも、SCR触媒32と、SCR触媒32の前の排気を加熱する加熱装置38と、を備えている。SCR触媒32は、触媒を用いて、NOxとも呼ばれる窒素酸化物を二価窒素N2、水及び/又は二酸化炭素CO2に変換するように配置及び構成されている。オプションとして、排気後処理装置20は、SCR触媒32にアンモニアを供給する液体還元剤を噴射するように構成されたインジェクタを更に備えている。インジェクタは、一般的に、SCR触媒32の上流、かつ加熱装置38の下流に配置されている。還元剤、好ましくは、無水アンモニア、アンモニア水、尿素、水性尿素又はディーゼル排気流体溶液は、インジェクタによってエンジンの排気に添加されて、SCR触媒32の触媒上に吸着される。
【0084】
図2Aには、
図1の排気後処理装置20がより詳細に示されている。排気後処理装置20は、排気の流体通路を提供する流体導管21を備えている。排気後処理装置20は、流体導管21の下流に配置されたSCR触媒32を更に備えている。
図2では、これは、流体導管21がSCR触媒32に入って終わるように例示されている。また、SCR触媒32へとアンモニアを供給するために、排気後処理装置は、SCR触媒32の上流に配置されて、上述したように、SCR触媒32へとアンモニアを供給する液体還元剤を噴射するように構成されたインジェクタ34を備えていてもよい。還元剤は、例えば、尿素である。排気後処理装置20は、SCR触媒32の上流、かつインジェクタ34の上流に配置されて、SCR触媒32の前の排気を加熱するように構成された加熱装置38を更に備えている。加熱装置38は、排気が通過して加熱される、ここではラティス又はグレーティング40として例示される、電気加熱要素40を備えている。
図2において、加熱装置38の内側の排気の流体通路は、電気加熱要素40へと排気をガイドする第1の流体通路26Aと、電気加熱要素40をバイパスするように排気をガイドする第2の流体通路26Bと、に分けられる。
【0085】
図2Aにおいて、加熱装置38は、第1の流体通路26A及び電気加熱要素40を含んだ第1の導管部28Aと、第2の流体通路26Bを含んだ第2の導管部28Bと、を備えている。従って、第2の導管部28Bは、第1の導管部28Aとは異なっている。即ち、第1の導管部28Aは、導管壁が第1の流体通路26Aを全周に亘って取り囲むように導管壁によって画定され、第2の導管部28Bは、導管壁が第2の流体通路26Bを全周に亘って取り囲むように導管壁によって画定されている。
図2Aにおいて、第1の導管部28Aは、
図2Bから分かるように、環状に形成、又は環として形成された排気後処理装置20の長手方向Lを横切る横断面を有している。同様に、第2の導管部28Bは、
図2Bから分かるように、円形である排気後処理装置20の長手方向Lを横切る横断面を有している。また、
図2A及び2Bの両方でも見られるように、第1の導管部28Aは、第1の導管部28A及び第2の導管部28Bは同心に配置されるように、第2の導管部28Bを環状に取り囲んでいる。
【0086】
排気後処理装置20,より具体的には、
図2Aの加熱装置38は、第1及び第2の導管部28A,28Bへの排気の流れを制御することによって、第1及び第2の流体通路26A,26Bにおける排気の流れを制御するように構成されたバルブ41を備えている。バルブ41は、排気の流れが第1の導管部28A及び第1の流体通路26Aを通過可能にする第1の状態と、排気の少なくとも一部が第2の導管部28B及び第2の流体通路26Bを通過可能にする第2の状態と、の間で動作可能である。
図2Aには、第2の状態が、破線形式のバルブ41によって表されている。従って、
図2の第1の状態では、バルブ41は、第2の導管部28Bの横断面を覆うことによって、第2の流体通路26Bにおける排気の流れを妨げて、排気の流れが第2の導管部を通過しないように配置されている。その結果、排気の流れが第1の導管部28A、第1の流体通路26A及び電気加熱要素40を通過可能になる。一般的に、電気加熱要素40は、第1の導管部28Aの横断面の全体を覆っており、これによって、第1の導管部28Aの内側で排気の流れが電気加熱要素40をバイパスすることができなくなる。同様に、第2の状態において、バルブ41は、第2の導管部28Bの横断面の少なくとも一部を開通可能にすることによって、第2の流体通路26Bにおける排気の流れを可能にして、排気の流れの少なくとも一部が第2の導管部28B及び第2の流体通路26Bを通過可能にするように配置されている。その結果、排気の流れは、第1の導管部28Aと第2の導管部28Bとの間で分けられ、加熱装置38の全体に亘って誘発される圧力低下は、第1の状態と比較して低減することができる。
【0087】
従って、
図2Aのバルブ41は、第1の状態では、排気の流れが第1の流体通路26Aへと流れることを可能にする一方、排気の流れが第2の流体通路26Bへと流れることを妨げ、第2の状態では、排気の流れが第2の流体通路26B及びオプションとして第1の流体通路26Aへと通過可能にするように構成されている。例えば、第1の状態では、第2の流体通路26Bへの排気の流れを妨げつつ、排気の流れを第1の流体通路26Aへと向けるかガイドするようにバルブが構成されている。第2の状態では、第2の流体通路26B及びオプションとして第1の流体通路26Aへと排気の流れを向けるかガイドするようにバルブが構成されている。
【0088】
図2Aにおける加熱装置38は、流体導管21に対して取り外し可能に配置されている。従って、加熱装置38は、流体導管21から取り外すことができ、例えば、メンテナンスや構成部品の交換の対象とすることができる。このために、流体導管21は、SCR触媒32の上流に配置された第1の導管フランジ21Aと、第1の導管フランジ21Aの上流に配置された第2の導管フランジ21Bと、を備えている。その結果、流体導管21は、2つの導管部、即ち、下流導管部22及び上流導管部23に分けられる。下流導管部22は、
図2Aにおいて、第1の導管フランジ21AからSCR触媒32へと下流に延び、上流導管部23は、第2の導管フランジ21Bから上流に延びている。
【0089】
同様に、加熱装置38は、第1の加熱装置フランジ39Aと、第1の加熱装置フランジ39Aの反対側に配置された第2の加熱装置フランジ39Bと、を備えている。加熱装置38は、例えば、ねじやクランプによって、第1の導管フランジ21Aが第1の加熱装置フランジ39Aに対して取り外し可能に連結されるとともに、例えば、ねじやクランプによって、第2の導管フランジ21Bが第2の加熱装置フランジ39Bに対して取り外し可能に連結されることで、流体導管21に対して取り外し可能に配置されている。従って、第1の加熱装置フランジ39Aから第1の導管フランジ21Aを切り離し、かつ第2の加熱装置フランジ39Bから第2の導管フランジ21Bを切り離すことによって、加熱装置38を取り外すことができるか、又は取り外し状態にすることができる。そのような状態は
図3Aに見られ、そこでは、加熱装置38が流体導管21から分離され、かつ下流導管部22が上流導管部23から分離されている。そのような取り外し状態は、流体導管21への加熱装置38の取付中に、又は加熱装置38及び/又は流体導管21のメンテナンス中に見られる。その後、加熱装置38は、
図3Bに示すように、組み付け状態になる可能性がある。従って、加熱装置38が流体導管21に対して取り付けられた組み付け状態では、第1の導管フランジ21Aが第1の加熱装置フランジ39Aに対して全周に亘って連結され、かつ第2の導管フランジ21Bが第2の加熱装置フランジ39Bに対して全周に亘って連結されている。
【0090】
しかしながら、上流導管部23はなくてもよく、加熱装置38は、下流導管部22に対してのみ取り外し可能に配置されてもよいことに留意されたい。
【0091】
加熱装置38が上述したように流体導管21に対して組み付けられた
図2Aに戻ると、加熱装置38は、第2の加熱装置フランジ39Bから第1の加熱装置フランジ39Aまで延びる周囲導管壁部39を備えている。
図2において、第1及び第2の流体通路26A,26B、従って、第1及び第2の導管部28A,28Bは、周囲導管壁部39に収容されている。周囲導管壁部39は、加熱装置38のケーシング又はハウジングと呼ぶことができる。即ち、電気加熱要素40は、加熱装置38の内部に収容されている。
【0092】
排気後処理装置20は、一般的に、以下のように動作する。ディーゼルエンジンからの(浄化対象の)排気が、上流導管部23を介して排気後処理装置20へと流入し、加熱装置38を通過し、これによって、排気の流れがバルブ41と出会う。バルブ41の位置に応じて、第1及び第2の導管部28A,28Bを通過する排気の流れを可能及び/又は妨げることによって、排気の流れが第1の流体通路26A及びオプションとして第2の流体通路26Bへと向かわせるか又はガイドされる。例えば、バルブ41が第1の状態に配置されていれば、(例えば、向かわせるかガイドされることによって)第1の導管部28Aへのすべての排気の流れが可能になり、これによって、排気が電気加熱要素40によって加熱されるようになる。すべての排気の流れが電気加熱要素40を介してガイドされるので、加熱装置38の全体に亘って誘発される圧力低下は比較的大きくなる。バルブ41が第1の状態に配置されたときに誘発される圧力低下は、第1の圧力低下と呼ぶことができる。その後、又はバルブ41を第1の状態に配置する前に、バルブ41を第2の状態に配置することができ、排気の流れの少なくとも一部が、第2の流体通路26Bを介して第2の導管部28Bを通過することが可能になる。従って、第2の導管部28Bに電気加熱要素が存在しないので、加熱装置38の全体に亘って誘発される圧力低下が、バルブ41が第1の状態に配置された場合と比較して小さくなる。バルブ41が第2の状態に配置された場合に誘発される圧力低下は、第2の圧力低下と呼ぶことができる。第2の圧力低下は、第1の圧力低下よりも小さい。一般的に、バルブ41が第2の状態に配置された場合にも第1の流体通路26Aを利用可能であるので、加熱装置38の全体に亘って誘発する圧力低下は、第1及び第2の導管部28A,28Bを通過する排気の流れの組み合わされた効果に基づく。
【0093】
図2Aに示すように、電気加熱要素38はラティス又はグレーティングであり、従って、排気の流れは、ラティス又はグレーティングを通過するときに加熱される。電気加熱要素が異なる方法で配置されてもよいこと、例えば、電気加熱要素が加熱コイル又は加熱発泡体を含み、排気が加熱コイル又は加熱発泡体の加熱面を横切って通過することによって加熱されてもよいことに留意されたい。
【0094】
加熱装置38を通過した後、少なくとも部分的に加熱された排気の流れは、流体導管21に沿って下流導管部22、例えば、還元剤がインジェクタ(図示せず)によって噴射される位置へと流れ続ける。従って、噴射された還元剤は、加熱された排気の流れ及び電気加熱要素40によって提供された熱と部分的に混合される。その後、還元剤(必要であれば)及び排気がNOxの触媒還元のためにSCR触媒32へと流入し、その後、浄化された排気が、排気後処理装置20から排出されるか、又は下流のプロセスによって更に浄化される。
【0095】
図4には、排気後処理装置120の代替的な加熱装置138が示されている。加熱装置138は、例えば、
図2Aに示す実施形態に対応する流体導管21に配置することができ、従って、原則として、
図2に示す実施形態と同様に機能する。しかしながら、
図4の加熱装置138について、第1及び第2の流体通路26A,26Bにおいて排気の流れを制御するように構成されたバルブが省かれている。従って、第1の流体通路26A及び電気加熱要素140を含んだ第1の導管部128Aを通過する排気の流れ、第2の流体通路26Bを含んだ第2の導管部128Bを通過する排気の流れは、基本的な流れの原理に応じて2つの流体通路に分けられる。従って、排気に加えられる熱量は、
図2Aに示す実施形態と比較して、電気加熱要素140の電力によって広範囲に制御することができる。また、加熱装置138の全体に亘る圧力低下は、第2の導管部128Bを通過する流れを妨げるバルブが存在しないので、
図2の実施形態に対してあまり変化しない。
【0096】
図2Aの排気後処理装置20のものと少なくとも一部が対応している排気後処理装置220を示している
図5に戻ると、第1及び第2の流体通路26A,26Bにおける排気の流れを制御するように構成されたバルブ241を少なくとも含むことによって、原則として、
図2Aに示す実施形態と同様に機能する。しかしながら、
図5の加熱装置238について、バルブ241は、加熱装置238の外部に配置され、その代わりに加熱装置238の上流の流体導管21に含まれている。ここで、バルブ241は、流体導管21の導管壁に対して回転するように取り付けられ、排気の流れが第1の流体通路26Aを含んだ第1の導管部228Aに流入することを可能にする第1の状態と、排気の流れの少なくとも一部が第2の流体通路26Bを含んだ第2の導管部228Bに流入することを可能にする第2の状態と、の間で動作可能である。バルブ241は、閉塞部によって全周に亘って囲まれた中央開口を備えている。バルブ241の第1の状態を示している
図5では、中央開口が第1の導管部228Aと一致し、これによって、排気の流れが第1の流体通路26A及び電気加熱要素240を介して通過可能になる一方、閉塞部が第2の導管部228Bと一致して、これによって、(例えば、向かわせるかガイドすることによって)排気の流れが第2の流体通路26Bを介して通過可能にならない。破線形式のバルブ241によって表される第2の状態では、バルブ241は、流体導管21の導管壁に向かって回転する。従って、ここでは、バルブ241は、もはや第2の導管部228Bへの流れを邪魔しないことによって、第2の流体通路26Bを介して第2の導管部228Bにおける排気の流れを可能にするように配置されている。その結果、排気の流れは、第1の導管部228Aと第2の導管部228Bとの間で分けられ、加熱装置238の全体に亘って誘発される圧力低下は、第1の状態と比較して低下させることができる。また、
図5では、第2の導管部228Bは、環状に形成、又は環として形成された排気後処理装置220の長手方向を横切る横断面を有している。同様に、第1の導管部228Aは、円形である排気後処理装置220の長手方向を横切る横断面を有している。さらに、
図5において第2の導管部228B及び第1の導管部228Aが同心に配置されているので、第2の導管部228Bは、第1の導管部228Aを環状に取り囲んでいる。
【0097】
図6には、排気後処理装置320の加熱装置338のさらに他の実施形態が示されている。加熱装置338は、例えば、
図2に示す実施形態に対応する流体導管21に配置することができ、さらに、第1及び第2の流体通路26A,26Bにおける排気の流れを制御するように構成されたバルブが存在しないので、
図4に示す実施形態と非常に類似している。しかしながら、
図6では、第1の流体通路26Aを含んだ第1の導管部328Aは、(
図2Aに示す実施形態の周囲導管壁部39と同様な)周囲導管壁部339、及び電気加熱要素340の外面によって画定されている。同様に、第2の流体通路26Bを含んだ第2の導管部328Bは、電気加熱要素340の外部構造によって画定されている。電気加熱要素340が加熱装置338の中央に配置されているので、第2の導管部328Bは、環状に形成、又は環として形成された排気後処理装置320の長手方向を横切る横断面を有している。同様に、第1の導管部328Aは、円形、又は電気加熱要素340の外部構造によって画定された他の任意の周囲形状を有する排気後処理装置320の長手方向を横切る横断面を有している。また、第2の導管部328Bは、第2の導管部328B及び第1の導管部328Aが
図6において同心に配置されているので、第1の導管部328Aを環状に取り囲んでいる。また、周囲導管壁部339は、流体通路21と比較してバルジとして形成され、効果的な方法で、排気の流れが電気加熱要素340をバイパスすることを可能にする。さらに、バルジ形状の周囲導管壁部339は、第2の導管部238Bにおける排気の流れが電気加熱要素349をバイパスするときに強制的に曲げられるので、加熱装置338の下流の排気の流れの混合を促進する。
【0098】
図4~6の加熱装置138,238,338は、一般的に、
図2Aの実施形態で説明したように、第1及び第2の導管フランジ、並びにこれらに対応する第1及び第2の加熱装置フランジによって、流体導管21に対して取り外し可能に配置されていることを理解されたい。
【0099】
NOxエミッションを変換する排気後処理装置の流体導管に対して加熱装置を組み付け及び/又は取り外す方法は、ここで、
図7を参照してあまねく説明する。従って、排気後処理装置は、加熱装置に関連して、
図2A、2B、3A、3B、4、5及び6のものとすることができる。このように、排気後処理装置は、排気の流体通路を提供する流体導管と、流体導管内又はその下流に配置されたSCR触媒と、オプションとしてSCR触媒にアンモニアを供給する液体還元剤を噴射するように構成されたインジェクタと、を備えている。インジェクタは、SCR触媒の上流に配置されている。加熱装置は、一般的に、電気加熱要素と、電気加熱要素へと排気をガイドする第1の流体通路と、電気加熱要素をバイパスするように排気をガイドする第2の流体通路と、を備えている。加熱装置は、流体導管に対して取り外し可能に連結可能である。
【0100】
第1のステップS10では、加熱装置がSCR触媒の上流に配置されるように、加熱装置が流体導管に対して組み付けられ、これによって、排気の流れが第1及び/又は第2の流体通路を介して加熱装置を通過するように制御することができる。
【0101】
図2A、2B、3A、3Bの実施形態を参照して説明したように、流体導管は、SCR触媒の上流に配置された第1の導管フランジを備え、加熱装置は、第1の加熱装置フランジを備えていてもよい。従って、組み付ける第1のステップS10は、オプションとして、第1の加熱装置フランジに対して第1の導管フランジを全周に亘って連結する第1のサブステップS12を含んでいてもよい。また、以前に説明したように、流体導管は、第1の導管フランジの上流に配置された第2の導管フランジを更に備え、加熱装置は、第1の加熱装置フランジの反対側に配置された第2の加熱装置フランジを更に備えていてもよい。従って、組み付ける第1のステップS10は、第1の加熱装置フランジに対して第1の導管フランジを全周に亘って連結する第1のサブステップS12と、第2の加熱装置フランジに対して第2の導管フランジを全周に亘って連結する第2のサブステップS14と、を含んでいてもよい。
【0102】
第1のステップS10、及びオプションであるサブステップS12,S14のいずれかに続いて実行することができる第2のステップS20、又は第1のステップS10、及びオプションであるサブステップS12,S14のいずれかの代わりに若しくはその前に実行することができる第2のステップS20では、加熱装置が流体導管から取り外される。第1及び第2のサブステップS12,S14と同様に、取り外す第2のステップS20は、第1の加熱装置フランジから第1の導管フランジを切り離す第3のサブステップS22と、第2の加熱装置フランジから第2の導管フランジを切り離す第4のサブステップS24と、を含んでいてもよい。
【0103】
本発明は、上述及び図示の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、多くの変更及び修正がなし得ることを認識するであろう。例えば、電気加熱要素は、加熱装置のハウジングと一体化された電気接続を介して電力が供給されてもよい。例えば、電気加熱要素の動作電力は、300W~15000Wの間であってもよい。さらに、排気後処理装置を使用して、ディーゼルエンジンとは異なる他のエンジンの排気からのNOxエミッションを変換するようにしてもよい。例えば、本排気後処理装置を使用して、CNG(圧縮天然ガス)、LPG(液化加圧ガス)、DME(ジメチルエーテル)、及び/又はH2(水素)に基づく内燃機関の排気からのNOxエミッションを変換するようにしてもよい。
【0104】
さらに、開示された実施形態の変形例は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求された本発明の概念を実行する当業者によって理解及び達成できる。特許請求の範囲において、「備える」という用語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞“a”又は“an”は複数を除外するものではない。特定の方法が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの方法の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【外国語明細書】