(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184783
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、硬化物及び粘着シート
(51)【国際特許分類】
C09J 4/02 20060101AFI20221206BHJP
C09J 109/00 20060101ALI20221206BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20221206BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J109/00
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085640
(22)【出願日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2021092265
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】羅 聡
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA01
4J004AA05
4J004AB06
4J004FA08
4J040CA032
4J040FA131
4J040FA291
4J040JB07
4J040KA13
4J040LA01
4J040LA09
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】本開示では、良好な低誘電率を示すことができる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、その硬化物及びその硬化物を有する粘着シートを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示は、
(A)(a1)水素添加ポリブタジエンポリオール、(a2)脂肪族ポリイソシアネート及び(a3)イソシアナト基を有する(メタ)アクリレートの反応物である2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、
(B)アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレート、
(C)一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレート、
(D)水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレン、水素添加テルぺンフェノール樹脂、及び水素添加石油樹脂から選択される1種以上並びに、
(E)光重合開始剤を含み、
(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、夫々の比率が順に25~60質量%、15~65質量%、1~5質量%、及び0.5~55質量%であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a1)水素添加ポリブタジエンポリオール、(a2)脂肪族ポリイソシアネート及び(a3)イソシアナト基を有する(メタ)アクリレートの反応物である2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、
(B)アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレート、
(C)一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレート、
(D)水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレン、水素添加テルぺンフェノール樹脂、及び水素添加石油樹脂から選択される1種以上並びに、
(E)光重合開始剤を含み、
(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、夫々の比率が順に25~60質量%、15~65質量%、1~5質量%、及び0.5~55質量%であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【請求項2】
(A)成分の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値)が10,000~60,000である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【請求項3】
(A)成分の平均官能基数が2.0~4.0である請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【請求項4】
(B)成分は、
(b1)脂環構造を含有しない直鎖状アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレート、
(b2)脂環構造を含有しない分岐状アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレート及び、
(b3)脂環構造を含有するアルキル基の炭素数が6以上15以下のアルキルモノ(メタ)アクリレートから選択される1種以上のアルキルモノ(メタ)アクリレートである請求項1~3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の硬化物。
【請求項6】
25℃及び10kHzにおける誘電率が3.2以下である、請求項5に記載の硬化物。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の硬化物を基材表面の少なくとも一つの面に有する、粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、硬化物及び粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、静電容量式タッチセンサーを有するタッチパネルは、大型化や高集積化、応答速度の向上等の高機能化を進めている。タッチパネルを大型化や高集積化するために、タッチパネルに使用される部品、粘着剤層等の部材に対して軽量化・薄膜化するニーズが高まっている。静電容量式タッチパネルはタッチパネル内で使用されている部材の比誘電率と膜厚が変化することで、タッチパネルの感度に影響する静電容量を変化させることが分かっている。例えばタッチパネルの粘着剤層を単純に薄膜化した場合、静電容量の数値が変わってしまい、設計変更が必要になることや、誤作動を生じる恐れがあった。それらを解決するためには、粘着剤層等の部材を低誘電化することで静電容量の値を調節する必要があった。さらに低誘電化は、タッチパネルの応答速度や感度向上につながると期待されている。その他、このような粘着剤層は粘着力等の粘着物性のみならず、優れた光学特性(透明性)等の性能が要求されている。
【0003】
このことに対して、特許文献1には、低誘電率の粘着剤層を実現することを課題として、特定のアルキル(メタ)アクリレートを含むモノマー成分を重合することにより得られた(メタ)アクリル系ポリマーを含む粘着剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示では、良好な低誘電率を示すことができる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、その硬化物及びその硬化物を有する粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討したところ、所定の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、その硬化物及びその硬化物を有する粘着シートを用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の項目1~項目7に関する。
(項目1)
(A)(a1)水素添加ポリブタジエンポリオール、(a2)脂肪族ポリイソシアネート及び(a3)イソシアナト基を有する(メタ)アクリレートの反応物である2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、
(B)アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレート、
(C)一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレート、
(D)水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレン、水素添加テルぺンフェノール樹脂、及び水素添加石油樹脂から選択される1種以上並びに、
(E)光重合開始剤を含み、
(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、夫々の比率が順に25~60質量%、15~65質量%、1~5質量%、及び0.5~55質量%であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(項目2)
(A)成分の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値)が10,000~60,000である項目1に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(項目3)
(A)成分の平均官能基数が2.0~4.0である項目1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(項目4)
(B)成分は、
(b1)脂環構造を含有しない直鎖状アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレート、
(b2)脂環構造を含有しない分岐状アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレート及び、
(b3)脂環構造を含有するアルキル基の炭素数が6以上15以下のアルキルモノ(メタ)アクリレートから選択される1種以上のアルキルモノ(メタ)アクリレートである項目1~3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(項目5)
項目1~4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の硬化物。
(項目6)
25℃及び10kHzにおける誘電率が3.2以下である、項目5に記載の硬化物。
(項目7)
項目5又は6に記載の硬化物を基材表面の少なくとも一つの面に有する、粘着シート。
【発明の効果】
【0008】
本開示の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の粘着剤層(以下、「硬化物」ともいう。)は特に低誘電率に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの下限としてA1、A2、A3等が例示され、数値αの上限としてB1、B2、B3等が例示される場合、数値αの範囲は、A1以上、A2以上、A3以上、B1以下、B2以下、B3以下、A1~B1、A1~B2、A1~B3、A2~B1、A2~B2、A2~B3、A3~B1、A3~B2、A3~B3等が例示される。なお、本開示において「~」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。以下、本開示の活性エネルギー戦硬化型粘着剤組成物の各成分、その硬化物及びその硬化物を有する粘着シート等について詳細に説明する。
【0010】
<(A)成分>
(A)成分は、(a1)水素添加ポリブタジエンポリオール(本開示において、「(a1)成分」ともいう。)、(a2)脂肪族ポリイソシアネート(本開示において、「(a2)成分」ともいう。)及び(a3)イソシアナト基を有する(メタ)アクリレート(本開示において、「(a3)成分」ともいう。)の反応物である2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン(メタ)アクリレートである。
【0011】
<(a1)成分>
(A)成分に(a1)成分である水素添加ポリブタジエンポリオールを含むことで、活性エネルギー戦硬化型粘着剤組成物の溶液の相溶性及び粘着剤層の相溶性に優れる。
【0012】
(a1)成分は、市販された製品であってもよい。当該製品として、水素添加ポリブタジエンジオール(製品名「NISSO-PB GI-1000」、「NISSO-PB GI-2000」、「NISSO-PB GI-3000」、日本曹達(株)製)、(製品名「Krasol HLBH-P2000」、「Krasol HLBH-P3000」、CRAY VALLEY社製)等が例示される。
【0013】
(a1)成分の数平均分子量(Mn)の上限は、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500等が例示され、下限は4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500、1,000等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000~5,000程度である。(a1)成分の数平均分子量が上記下限未満であると粘着剤層が硬くなる傾向にあり、上記上限超であると粘着剤層が柔らかくなる傾向にあることから、上記好ましい範囲内であることでより粘着力が良くなる傾向にあるだけでなく、段差追従性(粘着剤層を段差のある部分に使用する際に当該粘着剤層が段差の形状に追従して変形する特性)にも優れる傾向にある。本開示において、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値である。
【0014】
(a1)成分のヨウ素価(Ig/100g)の上限は、50、45、40、35、30、25、20、15等が例示され、下限は45、40、35、30、25、20、15、10等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分のヨウ素価(Ig/100g)は、低い数値である程、耐久性に優れる。本開示において、ヨウ素価はJIS K 0070-1992に記載の方法で測定された数値のことである。
【0015】
(a1)成分の水酸基価(KOHmg/g)の上限は、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20等が例示され、下限は150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分の水酸基価(KOHmg/g)は、特に接着性に優れることから、好ましくは20~100である。本開示において水酸基価はJIS K 0070-1992に記載の中和滴定法で測定された数値のことである。
【0016】
(a1)成分の水酸基数の上限は、3、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6等が例示され、下限は2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分の水酸基数は、粘着剤層が段差追従性と加工性に優れることから、好ましくは1.5以上3以下であり、より好ましくは1.8以上2.5以下である。本開示において、水酸基数はJIS K1557-1:2007に記載の方法で求めることができる。具体的には、水酸基数はアセチル化法で求めることができる。
【0017】
(a1)成分の含有量(固形分換算)の上限は、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分の合計100質量%に対して、99、98、96、94、92、90、85、80、75、70、65、60、55質量%等が例示され、下限は、98、96、94、92、90、85、80、75、70、65、60、55、50質量%等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分の含有量(固形分換算)は、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分の合計100質量%に対して、好ましくは50~99質量%である。(a1)成分の含有量を上記範囲内とすることで、本開示の諸性能をより良好に示すことが可能となる。(a1)成分の含有量が上記下限以上であると粘着剤層がより適切な硬さとなり好ましい。
【0018】
<(a2)成分>
(a2)成分は、脂肪族ポリイソシアネートである。(a2)成分として、脂肪族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート、脂肪族テトライソシアネート等が例示される。(a2)成分として、直鎖状脂肪族ポリイソシアネート、分岐状脂肪族ポリイソシアネート、脂環式脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等が例示される。直鎖状脂肪族ジイソシアネートとして、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が例示される。分岐状脂肪族ジイソシアネートとして、2,6-ジイソシアナトヘキサン酸メチル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。脂環式脂肪族ジイソシアネートとして、ジシクロヘキシルメタン4,4´-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサン-1,4-ジイルビス(メチレン)ジイソシアナート、1-メチルシクロヘキサン-2,4-ジイルジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が例示される。芳香族ジイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が例示される。直鎖状脂肪族トリイソシアネートとして、リジントリイソシアネート等が例示される。
【0019】
(a2)成分は、低誘電特性に優れることから、好ましくは脂環式脂肪族ポリイソシアネートであり、より好ましくは脂環式脂肪族ジイソシアネートである。
【0020】
(a1)成分と(a2)成分の質量比(固形分換算、(a1)/(a2))の上限は、30、28、26、24、22、20、18、16、14、12等が例示され、下限は28、26、24、22、20、18、16、14、12、10等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分と(a2)成分の質量比(固形分換算、(a1)/(a2))は、好ましくは10~30である。(a1)成分と(a2)成分の質量比(固形分換算、(a1)/(a2))を上記範囲内とすることで、本開示の諸性能をより良好に示すことが可能となる。(a1)成分と(a2)成分の質量比が上記下限以上であると粘着剤層がより適切な硬さとなり、また、低誘電率にも優れることから好ましい。
【0021】
(a2)成分の含有量(固形分換算)の上限は、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分の合計100質量%に対して、20、18、16、14、12、10、8、6、4、2質量%等が例示され、下限は、18、16、14、12、10、8、6、4、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(a2)成分の含有量(固形分換算)は、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分の合計100質量%に対して、好ましくは1~20質量%である。(a2)成分の含有量を上記範囲内とすることで、本開示の諸性能をより良好に示すことが可能となる。(a2)成分の含有量が上記上限以下であると粘着剤層の低誘電率に優れることから好ましい。
【0022】
<(a3)成分>
(A)成分に(a3)成分であるイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートを含むことで、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の溶液及び粘着剤層が相溶性に優れる。(a3)成分を含まず活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を製造した場合、硬化不良が起こり、室温において粘着剤層が柔らかくなりすぎてしまう。
【0023】
(a3)成分として2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が例示される。
【0024】
(a3)成分は、市販された製品であってもよい。当該製品として、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート(製品名「カレンズMOI」、「カレンズAOI」、昭和電工(株)製)、1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(製品名「カレンズBEI」、昭和電工(株)製)等が例示される。
【0025】
(a1)成分の水酸基のmol数(OH(a1))と(a2)成分及び(a3)成分のイソシアネート基のmol数(NCO((a2)+(a3)))との比(OH(a1)/NCO((a2)+(a3)))の上限は、3.0、2.8、2.6、2.4、2.2、2.0、1.8、1.6、1.4、1.2、1.0、0.8等が例示され、下限は2.8、2.6、2.4、2.2、2.0、1.8、1.6、1.4、1.2、1.0、0.8、0.6等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分の水酸基のmol数(OH(a1))と(a2)成分及び(a3)成分のイソシアネート基のmol数(NCO((a2)+(a3)))との比(OH(a1)/NCO((a2)+(a3)))は、0.6~3.0程度である。当該比を上記範囲内とすることで、本開示の諸性能をより良好に示すことが可能となる。
【0026】
(a1)成分と(a3)成分の質量比(固形分換算、(a1)/(a3))の上限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35等が例示され、下限は85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分と(a3)成分の質量比(固形分換算、(a1)/(a3))は、好ましくは30~90である。(a1)成分と(a3)成分の質量比(固形分換算、(a1)/(a3))を上記範囲内とすることで、本開示の諸性能をより良好に示すことが可能となる。(a1)成分と(a3)成分の質量比が上記下限以上であると粘着剤層がより適切な硬さとなることから好ましい。(a1)成分と(a3)成分の質量比が上記上限以下であると粘着剤層がより適切な柔らかさとなることから好ましい。
【0027】
(a2)成分と(a3)成分の質量比(固形分換算、(a2)/(a3))の上限は、10、8、6、4、2、1等が例示され、下限は8、6、4、2、1、0.5等が例示される。1つの実施形態において、(a2)成分と(a3)成分の質量比(固形分換算、(a2)/(a3))は、好ましくは0.5~10である。(a2)成分と(a3)成分の質量比(固形分換算、(a2)/(a3))を上記範囲内とすることで、本開示の諸性能をより良好に示すことが可能となる。(a2)成分と(a3)成分の質量比が上記上限以下であると粘着剤層がより適切な柔らかさとなり、低誘電率にも優れることから好ましい。
【0028】
(a3)成分の含有量(固形分換算)の上限は、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分の合計100質量%に対して、10、8、6、4、2、1、0.5質量%等が例示され、下限は、8、6、4、2、1、0.5、0.1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(a3)成分の含有量(固形分換算)は、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分の合計100質量%に対して、好ましくは0.1~10質量%である。(a3)成分の含有量を上記範囲内とすることで、本開示の諸性能をより良好に示すことが可能となる。(a3)成分の含有量が上記下限以上であると粘着剤層がより適切な柔らかさとなることから好ましい。
【0029】
<その他(A)成分に配合可能な添加剤>
(A)成分には、必要に応じて、各種添加剤を含めてもよい。添加剤は、各種公知のものであってもよい。添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。添加剤として、触媒、結晶核剤、結晶化促進剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等が例示される。
【0030】
(A)成分の製造法は特に限定されないが、各種公知のポリウレタンの製法を採用できる。(A)成分は(a1)成分と(a2)成分とを反応させて、1以上の水酸基を末端に有するウレタンプレポリマー(以下、(A’)成分)を一旦製造し、次いで(A’)成分と(a3)成分を反応させることにより得られる。反応温度及び反応時間は特に限定されないが、通常、70℃以上85℃以下、1時間以上5時間以下である。適宜、上記ポリウレタン樹脂製造時に、(b1)成分、(b2)成分や(b3)成分等を希釈剤として用いることが可能であり、(b1)成分、(b2)成分が好ましい。また、(A)成分の製造では、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分を一括反応させる方法も採用できるが、(A)成分の重量平均分子量を制御しやすい点から前者を採用するのが好ましい。
【0031】
(A)成分の25℃、10kHzにおける誘電率の上限は3.0、2.8、2.6、2.4、2.2、2.0等が例示され、下限は、2.8、2.6、2.4、2.2、2.0、1.8等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の25℃、10kHzにおける誘電率は、好ましくは1.8~3.0程度である。
【0032】
(A)成分の重量平均分子量の上限は、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000、40,000、30,000、20,000等が例示され、下限は80,000、70,000、60,000、50,000、40,000、30,000、20,000、10,000等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の重量平均分子量は、粘着剤層が粘着力及び段差追従性に優れることから、好ましくは10,000以上90,000以下である。(A)成分の重量平均分子量が上記下限以上であると粘着剤層の粘着力がより強くなる傾向にあり、上記上限以下であると活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の粘度が適度であり、製造しやすくなる傾向にある。本開示において、重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値である。
【0033】
(A)成分の平均官能基数の上限は、4.0、3.8、3.6、3.4、3.2、3.0、2.8、2.6、2.4、2.2、2.0、1.8、1.6等が例示され、下限は、3.8、3.6、3.4、3.2、3.0、2.8、2.6、2.4、2.2、2.0、1.8、1.6、1.5等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の平均官能基数は、粘着剤層の耐久性が良好となることから、好ましくは1.5~4.0であり、より好ましくは1.8~4.0であり、さらにより好ましくは2.0~4.0である。本開示において、該平均官能基数とは、(A)成分の1分子中に存在する(メタ)アクリロイル基の平均個数を意味する。
【0034】
(A)成分の含有量(固形分換算)の上限は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、60、55、50、45、40、35、30質量%等が例示され、下限は、55、50、45、40、35、30、25質量%等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の含有量(固形分換算)は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が硬化性に優れ、粘着剤層が粘着力、耐久性及び段差追従性に優れることから、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、25質量%以上60質量%以下である。
【0035】
<(B)成分>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に(B)成分であるアルキル基の炭素数が4~18のアルキルモノ(メタ)アクリレートを含むことで、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の溶液の相溶性、粘着剤層の相溶性、及び粘着剤層の誘電率が優れる。(B)成分は、好ましくは下記の(b1)成分、(b2)成分及び(b3)成分から選択される1種以上である。
【0036】
<(b1)成分>
(b1)成分は、脂環構造を含有しない直鎖状アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレートである。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に(b1)成分を用いることで、粘着剤層が段差追従性に優れる。(b1)成分のアルキルモノ(メタ)アクリレートにおけるアルキル基の炭素数が19未満であることで、相溶性が良好となり、より本開示の効果を奏しやすくなる。
【0037】
(b1)成分として、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0038】
(b1)成分の直鎖状アルキル基の炭素数の上限は、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5等が例示され、下限は17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4等が例示される。1つの実施形態において、(b1)成分の直鎖状アルキル基の炭素数は、4以上18以下である。
【0039】
(b1)成分の含有量(固形分換算)の上限は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10質量%等が例示され、下限は60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5質量%等が例示される。1つの実施形態において、(b1)成分の含有量(固形分換算)は、粘着剤層が段差追従性に優れることから、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、好ましくは5質量%以上65質量%以下である。
【0040】
<(b2)成分>
(b2)成分は、脂環構造を含有しない分岐状アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレートである。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に(b2)成分を用いることで、粘着剤層が段差追従性に優れる。(b2)成分のアルキルモノ(メタ)アクリレートにおけるアルキル基の炭素数が19未満であることで、相溶性が良好となり、より本発明の効果を奏しやすくなる。
【0041】
(b2)成分として、イソアミル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0042】
(b2)成分の分岐状アルキル基の炭素数の上限は、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5等が例示され、下限は17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4等が例示される。1つの実施形態において、(b2)成分の分岐状アルキル基の炭素数は、4以上18以下である。
【0043】
(b2)成分の含有量(固形分換算)の上限は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5質量%等が例示され、下限は60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(b2)成分の含有量(固形分換算)は、粘着剤層が段差追従性に優れることから、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、好ましくは1質量%以上65質量%以下である。
【0044】
<(b3)成分>
(b3)成分は、脂環構造を含有するアルキル基の炭素数が6以上15以下のアルキルモノ(メタ)アクリレートである。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に(b3)成分を用いることで、粘着剤層が粘着力に優れる。
【0045】
(b3)成分として、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ-ト等が例示される。
【0046】
(b3)成分は、粘着剤層が粘着力に優れることから、好ましくはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上であり、より好ましくはイソボルニル(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンタニル(メタ)アクリレートである。
【0047】
(b3)成分の脂環構造を含有するアルキル基の炭素数の上限は、15、14、13、12、11、10、9、8、7等が例示され、下限は14、13、12、11、10、9、8、7、6等が例示される。1つの実施形態において、(b3)成分の脂環構造を含有するアルキル基の炭素数は、6以上15以下である。
【0048】
(b3)成分の含有量(固形分換算)の上限は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5質量%等が例示され、下限は60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(b3)成分の含有量(固形分換算)は、粘着剤層が粘着力に優れることから、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、好ましくは1質量%以上65質量%以下である。
【0049】
(B)成分の25℃、10kHzにおける誘電率の上限は5.0、4.8、4.6、4.4、4.2、4.0、3.8、3.6、3.4、3.2等が例示され、下限は、4.8、4.6、4.4、4.2、4.0、3.8、3.6、3.4、3.2、3.0等が例示される。1つの実施形態において、(B)成分の25℃、10kHzにおける誘電率は、好ましくは3.0~5.0程度である。
【0050】
(B)成分は、粘着剤層の段差追従性及び粘着力の両方が優れることから、(b1)成分及び(b2)成分から選択される1種以上及び(b3)成分の2種以上を含むことが特に好ましい。(b1)成分及び(b2)成分から選択される1種以上と(b3)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(b1)成分及び(b2)成分から選択される1種以上/(b3)成分])の上限は、2.0、1.8、1.6、1.4、1.2、1.0、0.8等が例示され、下限は、1.8、1.6、1.4、1.2、1.0、0.8、0.5等が例示される。1つの実施形態において、(b1)成分及び(b2)成分から選択される1種以上と(b3)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(b1)成分及び(b2)成分から選択される1種以上/(b3)成分])は、0.5~2.0程度が好ましい。
【0051】
(A)成分と(B)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(A)成分/(B)成分])の上限は、3.0、2.8、2.6、2.4、2.2、2.0、1.8、1.6、1.4、1.2、1.0、0.8、0.5、0.3等が例示され、下限は、2.8、2.6、2.4、2.2、2.0、1.8、1.6、1.4、1.2、1.0、0.8、0.5、0.3、0.1等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分と(B)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(A)成分/(B)成分])は、0.1~3.0程度が好ましい。
【0052】
(B)成分の含有量(固形分換算)の上限は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20質量%等が例示され、下限は60、55、50、45、40、35、30、25、20、15質量%等が例示される。1つの実施形態において、(B)成分の含有量(固形分換算)は、粘着剤層が段差追従性及び粘着力に優れることから、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、好ましくは15質量%以上65質量%以下である。
【0053】
<(C)成分>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に(C)成分である一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレートを用いることで、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が硬化性に優れ、粘着剤層が耐湿熱試験後の耐久性に優れる。(C)成分の代替物として水酸基を有しないモノ(メタ)アクリレートを用いた場合、耐湿熱試験後の耐久性や耐湿熱試験後のヘイズ値が劣る。また、(C)成分の代替物として二級水酸基含有モノ(メタ)アクリレートを用いた場合、耐湿熱試験後のヘイズ値が劣る。
【0054】
(C)成分として、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0055】
(C)成分は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が硬化性に優れ、粘着剤層が耐湿熱試験後の耐久性に優れることから、好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
【0056】
(C)成分の25℃、10kHzにおける誘電率の上限は15.0、14.5、14.0、13.5、13.0、12.5、12.0、11.5、11.0、10.5等が例示され、下限は、14.5、14.0、13.5、13.0、12.5、12.0、11.5、11.0、10.5、10.0等が例示される。1つの実施形態において、(C)成分の25℃、10kHzにおける誘電率は、好ましくは10.0~15.0程度である。
【0057】
(A)成分と(C)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(A)成分/(C)成分])の上限は、20、18、16、14、12、10、8、6、4等が例示され、下限は、18、16、14、12、10、8、6、4、2等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分と(C)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(A)成分/(C)成分])は、2~20程度が好ましい。
【0058】
(B)成分と(C)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(B)成分/(C)成分])の上限は、20、18、16、14、12、10、8、6、4等が例示され、下限は、18、16、14、12、10、8、6、4、2等が例示される。1つの実施形態において、(B)成分と(C)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(B)成分/(C)成分])は、2~20程度が好ましい。
【0059】
(C)成分の含有量(固形分換算)の上限は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、5、4、3、2質量%等が例示され、下限は4、3、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(C)成分の含有量(固形分換算)は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、好ましくは1質量%以上5質量%以下である。(C)成分は上記下限以上であることで粘着剤層が耐湿熱試験後の耐久性に優れる。(C)成分は上記上限以下であることで粘着剤層の誘電率を低く保てる。
【0060】
<(D)成分>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に(D)成分である水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレン、水素添加テルぺンフェノール樹脂、及び水素添加石油樹脂から選択される1種以上を含むことで、粘着剤層が誘電率に優れることから好ましい。(D)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0061】
水素添加ポリブタジエンは、市販された製品であってもよい。当該製品として、製品名「NISSO-PB BI-2000」、「NISSO-PB BI-3000」(日本曹達(株)製)等が例示される。
【0062】
水素添加ポリブタジエンポリオールは、市販された製品であってもよい。当該製品として、製品名「NISSO-PB GI-1000」、「NISSO-PB GI-2000」、「NISSO-PB GI-3000」(日本曹達(株)製)等が例示される。
【0063】
水素添加ポリイソプレンポリオールは、市販された製品であってもよい。当該製品として、製品名「EPOL」(出光興産(株)製)等が例示される。
【0064】
水素添加ポリイソプレンは、市販された製品であってもよい。当該製品として、製品名「クラプレン LIR-290」(クラレ(株)製)等が例示される。
【0065】
テルペンフェノール樹脂として、公知のテルペン類(α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン等)とフェノール類とを共重合させて得られるテルペンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂を高分子量化したもの(例えば、特開2000-212534号公報参照)等が例示される。テルペンフェノール樹脂を公知の方法で水素化することで水素添加テルぺンフェノール樹脂を得ることができる。水素添加テルぺンフェノール樹脂は、市販された製品であってもよい。当該製品として、製品名「YSポリスターUH」(ヤスハラケミカル(株)製)等が例示される。
【0066】
石油樹脂として、C9系石油樹脂、C5系石油樹脂、C5-C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂やこれらの樹脂をアルコールやフェノール、有機酸などで変性させたものが例示される。変性に用いられる有機酸として、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、セバシン酸等のα,β-不飽和カルボン酸類およびその無水物、ロジン系樹脂、(メタ)アクリル酸、フェノール類等が例示される。変性方法として、石油樹脂を製造した後に有機酸等を反応させる方法、有機酸等の存在下に石油樹脂を製造する方法等が例示される。石油樹脂を公知の方法で水素化することで水素添加石油樹脂を得ることができる。水素添加石油樹脂は、市販された製品であってもよい。当該製品として、製品名「アルコン」(荒川化学工業(株)製)等が例示される。
【0067】
(D)成分の軟化点(℃)の上限は200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90等が例示され、下限は、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90、80等が例示される。1つの実施形態において、(D)成分の軟化点(℃)は、耐久性に優れることから、好ましくは90~200程度である。
【0068】
(D)成分の25℃、10kHzにおける誘電率の上限は2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9等が例示され、下限は、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8等が例示される。1つの実施形態において、(D)成分の25℃、10kHzにおける誘電率は、好ましくは1.8~2.5程度である。
【0069】
(D)成分の含有量(固形分換算)の上限は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1質量%等が例示され、下限は50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0.5質量%等が例示される。1つの実施形態において、(D)成分の含有量(固形分換算)は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が誘電率に優れることから、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、好ましくは0.5質量%以上55質量%以下である。
【0070】
<(E)成分>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に(E)成分である光重合開始剤を含むことで、粘着剤層が硬化性に優れることから好ましい。
【0071】
光重合開始剤として、ラジカル系光重合開始剤、カチオン系光重合開始剤、アニオン系光重合開始剤等が例示される。ラジカル系光重合開始剤として、アルキルフェノン型光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤、水素引き抜き型光重合開始剤、オキシムエステル型光重合開始剤等が例示される。アルキルフェノン型光重合開始剤として、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のベンジルジメチルケタール、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン等のα-ヒドロキシアルキルフェノン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のα-アミノアルキルフェノン等が例示される。アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤として、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等が例示される。水素引き抜き型光重合開始剤として、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等が例示される。オキシムエステル型光重合開始剤として、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等が例示される。カチオン系光重合開始剤として、ヨードニウム,(4-メチルフェニル)]4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロフォスフェート(1-)及びプロピレンカーボネートの混合物、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリアリールスルフォニウム テトラキス-(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が例示される。アニオン系光重合開始剤として、コバルトアミン系錯体、o-ニトロベンジルアルコールカルバミン酸エステル、オキシムエステル等が例示される。
【0072】
(E)成分の含有量(固形分換算)の上限は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、5、4、3、2、1、0.5質量%等が例示され、下限は4、3、2、1、0.5、0.1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(E)成分の含有量(固形分換算)は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が粘着力・耐久性に優れることから、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
【0073】
<その他配合可能な添加剤>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物には、必要に応じて、各種添加剤を含めてよい。添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。添加剤として、表面調整剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、無機フィラー、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、消泡剤、湿潤剤、防錆剤、連鎖移動剤、光増感剤等が例示される。
【0074】
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物には、有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤として、ケトン溶剤、芳香族溶剤、アルコール溶剤、グリコール溶剤、グリコールエーテル溶剤、エステル溶剤、ハロアルカン溶剤、アミド溶剤、その他石油系溶剤等が例示される。
【0075】
ケトン溶剤として、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が例示される。
【0076】
芳香族溶剤として、トルエン、キシレン、製品名「ティーソル100」、「ティーソル150」(いずれもJXTGエネルギー(株)製)等が例示される。
【0077】
アルコール溶剤として、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、クレゾ-ル等が例示される。
【0078】
グリコール溶剤として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が例示される。
【0079】
グリコールエーテル溶剤として、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ビス(2-メトキシエチル)エーテル等が例示される。
【0080】
エステル溶剤として、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が例示される。
【0081】
ハロアルカン溶剤として、クロロホルム等が例示される。
【0082】
アミド溶剤として、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム等が例示される。
【0083】
その他石油系溶剤として、ジメチルスルホキシド、メチルシクロヘキサン等が例示される。
【0084】
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、溶剤を含有せずとも使用できる。よって、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物には、コスト及び環境への影響を抑制できるという観点から、好ましくは溶剤を含有しない。
【0085】
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の25℃、10kHzにおける誘電率の上限は、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5等が例示され、下限は3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4等が例示される。1つの実施形態において、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の25℃、10kHzにおける誘電率は、好ましくは3.5以下である。これにより、粘着シートは、伝送損失抑制のために好適に用いることができる。
【0086】
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分並びに必要に応じてその他配合可能な添加剤を混合することで得られる。混合する順番は、特に限定されないが、順次混合してもよいし、すべてを一度に混合してもよい。
【0087】
<硬化物>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化した物もまた本発明の1つである。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に溶剤を含む場合、紫外線照射を行う前に、乾燥処理を行うことが考えられる。
【0088】
紫外線光源として、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置が例示される。該装置における、紫外線の照射強度及び積算光量、並びに搬送速度等の条件は特に限定されないが、通常、照射強度が80mW/cm2以上160mW/cm2以下、搬送速度が3m/分以上50m/分以下、積算光量が100mJ/cm2以上3,000mJ/cm2以下である。
【0089】
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を各種プラスチックフィルム基材に塗工し、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の層を形成した後、当該層へ紫外線を照射することにより硬化物を得てもよい。
【0090】
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の塗工方法として、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が例示される。
【0091】
塗工量は、通常乾燥後の質量が1g/m2以上1,000g/m2以下、好ましくは3g/m2以上500g/m2以下になる範囲である。
【0092】
硬化物の厚みは、特に限定されないが、気泡が生じ難いことから、好ましくは乾燥後塗膜が10μm以上1,000μm以下であり、より好ましくは25μm以上500μm以下である。
【0093】
硬化物の25℃及び10kHzにおける誘電率の上限は、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5等が例示され、下限は3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4等が例示される。1つの実施形態において、硬化物の25℃、10kHzにおける誘電率は、好ましくは3.2以下である。これにより、粘着シートは、良好な伝送損失抑制を示すことができる。
【0094】
<粘着シート>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の適用例として、各種公知の物品の基材間への塗工が例示される。
【0095】
当該物品として、携帯電話及びスマートフォン等のモバイル型通信機器やその基地局装置、サーバー・ルーター等のネットワーク関連電子機器、パソコン等の情報端末の筐体及びディスプレイ、これら物品のプリント配線板等が例示される。粘着剤層の誘電率が良好であり、かつヘイズも良好であることから、各種情報端末(パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット等)のディスプレイ向けに使用することが特に好ましい。
【0096】
<適用可能な基材>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を塗工する基材として、ガラス基材、金属基材、プラスチック基材等が例示される。プラスチック基材として、熱可塑性プラスチック基材、熱硬化性プラスチック基材等が例示される。熱可塑性プラスチック基材として、汎用プラスチック基材、エンジニアリングプラスチック基材等が例示される。汎用プラスチック基材として、オレフィン系、ポリエステル系、アクリル系、ビニル系、ポリスチレン系等が例示される。オレフィン系として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン等が例示される。ポリエステル系として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が例示される。アクリル系として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が例示される。ビニル系として、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等が例示される。ポリスチレン系として、ポリスチレン(PS)樹脂、スチレン・アクリロニトリル(AS)樹脂、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル(ABS)樹脂等が例示される。エンジニアリングプラスチック基材として、汎用エンプラ、スーパーエンプラ等が例示される。汎用エンプラとして、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)等が例示される。スーパーエンプラとして、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が例示される。熱硬化性プラスチック基材として、ポリイミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が例示される。その他のプラスチック基材として、トリアセチルセルロース樹脂等が例示される。プラスチック基材は、上記した複数のプラスチックの共重合体であってもよい。本開示の基材は、上記した基材を複数含む多層であってもよい。また、基材は、表面処理(コロナ放電等)がなされているものであってもよい。基材の厚さの上限は、300、275、250、225、200、175、150、125、100、75、50、25、10μm等が例示され、下限は、275、250、225、200、175、150、125、100、75、50、25、10、1μm等が例示される。1つの実施形態において、基材の厚さは、好ましくは1~300μmであり、より好ましくは25~250μmであり、さらにより好ましくは50~200μmであり、特に好ましくは50~150μmであり、さらに特に好ましくは75~125μmである。
【0097】
粘着剤層は、透明性に優れることから、光学用途に用いることが特に好ましい。すなわち、粘着剤層は、特に、光学用基材を張り合わせることに適している。粘着剤層は光学用透明粘着剤(以下、「OCA」ともいう。)として使用することに適している。光学用基材は、特に限定されず、各種公知のものであってもよい。光学用基材は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0098】
光学用基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム、ガラス、スズドープ酸化インジウムフィルム、ITOフィルム、透明導電フィルム等が例示される。
【0099】
具体的には、粘着剤層と光学用基材との組合せとしては、
(1)ガラス、粘着剤層、透明導電膜(以下、「ITO」ともいう。)
(2)支持フィルム、粘着剤層、ITO
(3)支持フィルム、粘着剤層、液晶ディスプレイ
(4)ガラス、粘着剤層、液晶ディスプレイ
等が挙げられる。
【実施例0100】
以下に、製造例、比較製造例、実施例、比較例、評価例及び比較評価例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明で、部および%は質量基準である。
【0101】
本実施例において重量平均分子量(Mw)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
(GPC測定条件)
機種 :製品名「HLC-8220GPC」(東ソー(株)製)
カラム :製品名「TSKgel G1000H」「TSKgel G2000H」(東ソー(株)製)
展開溶剤:テトラヒドロフラン
流量 :0.6mL/分
測定温度:40℃
検出器 :示差屈折率検出器(RI:Refractive Index Detector)
標準 :単分散ポリスチレン
試料 :樹脂から固形分換算で0.2%濃度のテトラヒドロフラン溶液を調製し、該溶液をマイクロフィルターでろ過して得た20μLの溶液
【0102】
各製造例中、ウレタンプレポリマーのNCO測定方法は、以下のとおりである
測定装置本体:電位差自動滴定装置(製品名「AT-400」、京都電子工業(株)製)
測定手順:
1:秤量瓶にサンプル0.500g以上1.000g以下程度秤量する。
2:0.15mol/Lのジブチルアミンのトルエン溶液を10mL注入する。
3:サンプルを入れた秤量瓶を超音波洗浄機に入れ、サンプルを完全に溶解する。
4:サンプルが完全に溶解しているのを確認し、15分間放置する(直射日光、熱の掛らない所)。
5:15分後、秤量瓶にイソプロピルアルコールを100mL加える。スターラーピースを秤量瓶に入れる。
6:0.1mol/Lの塩酸溶液(f=1.00)を用いて滴定を行い、NCO価を求める。
測定するサンプル量を自動滴定装置にインプット後、測定する。測定差が0.30以内であれば可とする。0.30以上であれば、再度1個測定し、0.30以内を確認する。
【0103】
<製造例1:(A-1)成分の作製>
冷却管と撹拌機がついた反応装置に、水素添加ポリブタジエンポリオール(日本曹達(株)製、商品名「NISSO-PB GI-3000」)936部(0.47モル)、ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネ-ト44部(0.34モル)およびオクチル酸スズ0.2部を加え、80℃まで昇温して2時間保温した後、NCO測定にて反応完結を確認し、中間体である水酸基末端ウレタンオリゴマーを得た。ついで、2-イソシアナトエチルメタクリレート(製品名「カレンズMOI」、昭和電工(株)製)を20部(0.13モル)加え、80℃で2時間保温し、NCO測定にて反応完結を確認することにより、重量平均分子量22,000、平均官能基数2.0のポリウレタンメタクリレートオリゴマー(以下、「(A-1)成分」ともいう。)を得た。
【0104】
<製造例2及び比較製造例1:(A-2)成分及び(A-C1)成分の作製>
表1に記載するように成分を変更した以外は製造例1と同様にして実施した。
【0105】
【0106】
表1中の用語の意味は下記のとおりである。なお、表中の成分に関する数値は固形分換算の数値を記載している。なお、誘電率は下記性能評価(2)と同様の方法にて測定した。
GI-3000:水素添加ポリブタジエンジオール(製品名「NISSO-PB GI-3000」、昭和電工(株)製)
PPG2000:ポリプロピレングリコール(製品名「ポリプロピレングリコール, ジオール型, 2,000」、富士フィルム和光純薬(株)製)
H12MDI:ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネ-ト(東京化成工業(株)製)
IPDI:イソホロンジイソシアネート(東京化成工業(株)製)
MOI:2-イソシアナトエチルメタクリレート(製品名「カレンズMOI」、昭和電工(株)製)
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
【0107】
<実施例1:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(1)の作製>
(A-1)成分を37部、(b2)成分として2-EHAを20部、(b3)成分としてイソボルニルアクリレート(製品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製)を20部、(C)成分として4-ヒドロキシブチルアクリレート(製品名「4HBA」、三菱ケミカル(株)製)を3部、(D)成分としてP-100を20部、(E)成分として2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド(製品名「Speedcure TPO」、DKSHジャパン(株)製)を1部混合することにより、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(1)を得た。
【0108】
<実施例2~7及び比較例1~5:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(2)~(7)及び(C1)~(C5)>
表2及び表3に記載するように成分を変更した以外は実施例1と同様にして実施した。
【0109】
<性能評価(1):粘度(mPa・s)>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(1)~(7)及び(C1)~(C5)の粘度を市販の測定機(製品名「TVE-10型粘度計」、東機産業(株)製)を用いて、25℃で測定した。
【0110】
<性能評価(2):誘電率(溶液)>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(1)~(7)及び(C1)~(C5)の25℃、10kHzにおける誘電率を、市販の誘電率測定装置(製品名「Model 871」、日本ルフト(株)製)を用いて測定した。
【0111】
<性能評価(3):相溶性(溶液)>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(1)~(7)及び(C1)~(C5)の相溶性を目視で確認し、下記基準で評価した。
〇:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の溶液が透明であり、溶液中に沈殿物が発見できない。
×:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の溶液が白化している、及び/又は溶液中に沈殿物がある。
【0112】
<性能評価(4):誘電率(粘着剤層)>
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(1)~(7)及び(C1)~(C5)のいずれかを、75μm厚の重剥離処理ポリエステルフィルム(製品名「SP-PET-03-75BU」、パナック(株)製)上に、硬化後の粘着剤層の膜厚が100μmとなるよう塗布し、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物塗布層に38μm厚の軽剥離処理ポリエステルフィルム(製品名「SP-PET-01-38BU」、パナック(株)製)の剥離処理面を貼り合わせる。次いで、得られた塗工フィルムを、大気中、高圧水銀灯(100mW/cm2、900mJ/cm2)で紫外線を照射することで、粘着剤層を含む積層フィルム(軽剥離処理ポリエステルフィルム/粘着剤層/重剥離処理ポリエステルフィルム)を作製した。次に、該積層フィルムから1cm×1cmの試験片を切り取った。次に、該試験片より軽剥離処理ポリエステルフィルムと重剥離処理ポリエステルフィルムを剥がし、粘着剤層のみからなるシート(粘着剤層(1)~(7)及び(C1)~(C5))を得た。得られたサンプルについて、25℃、10kHzにおける誘電率を、市販の誘電率測定装置(製品名「Keysight E4980A」、キーコム(株)製)を用いて測定した。
【0113】
<性能評価(5):相溶性(粘着剤層)>
分光光度計(製品名「U-3210形自記分光光度計」、(株)日立製作所製)を用いて、性能評価(4)の粘着剤層に波長500nmの光を照射し、その透過率(%)を測定し、下記基準で相溶性を評価した。
○:85%以上
×:85%未満
【0114】
<性能評価(6):ヘイズ値(耐湿熱試験前)>
性能評価(4)の硬化後における活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の膜厚が100μmとなるように積層フィルムを作製し、更に軽剥離処理ポリエステルフィルムを剥がし、これに代えて50μm厚のポリエステルフィルム(製品名「コスモシャインA-4300」、東洋紡(株)製)を2kgローラーで貼り合わせ、2時間静置した。次いで、このものから8cm×8cmの試験片を切り取り、重剥離処理ポリエステルフィルムを剥がすことによって、片面粘着シート(コスモシャインA-4300/粘着剤層)を作製した。ガラス板(10cm×10cm×2mm)の上に片面粘着シート(粘着剤層/コスモシャインA-4300)(5cm×5cm×150μm)を重ね、2kgローラーで密着させることにより、積層体(コスモシャインA-4300(50μm厚)/粘着剤層(100μm厚)/ガラス板(2mm厚))(積層体(1)~(7)及び(C1)~(C5))を作製した。積層体(1)~(7)及び(C1)~(C5)のヘイズ値を、市販の測定機(製品名「ヘーズ・透過率計 HM-150」、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K 7136:2000に準拠し測定した。なお、得られたヘイズ値は、基材(コスモシャインA-4300及びガラス板)のヘイズ値を含めた値である。
【0115】
<性能評価(7):ヘイズ値(耐湿熱試験後)>
温度85℃及び湿度85%の恒温恒湿機中に500時間静置した後の積層体(1)~(7)及び(C1)~(C5)のヘイズ値を、市販の測定機(製品名「ヘーズ・透過率計 HM-150」、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K 7136:2000に準拠し測定した。なお、得られたヘイズ値は、基材(コスモシャインA-4300及びガラス板)のヘイズ値を含めた値である。
【0116】
<性能評価(8):粘着力(N/25mm)>
積層体(1)~(7)及び(C1)~(C5)を25℃及び湿度50%の条件下で24時間静置した。該片面粘着シート(粘着剤層/コスモシャインA-4300)をガラス板から180°方向に300mm/minの速度で剥離することによって、粘着力(N/25mm)を測定した。測定には、市販の機械(製品名「テンシロン万能材料試験機」、AND(株)製)を用いた。
【0117】
<性能評価(9):耐久性(耐湿熱試験後)>
積層体(1)~(7)及び(C1)~(C5)を、温度85℃及び湿度85%の恒温恒湿機中に500時間静置した後、粘着剤層の耐久性を以下の基準で評価した。
○:基材の剥がれ、粘着剤層位置のズレ、粘着剤層中の気泡、粘着剤層の破損のいずれもなし
×:基材の剥がれ、粘着剤層位置のズレ、粘着剤層中の気泡、粘着剤層の破損の少なくとも一の欠陥が発生
【0118】
【0119】
【0120】
表2及び表3中の用語の意味は下記のとおりである。
LA:ラウリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、誘電率:3.6)
2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート(製品名「アクリル酸2-エチルヘキシル」、三菱ケミカル(株)製、誘電率:4.3)
ISTA:イソステアリルアクリレート(製品名「ISTA」、大阪有機化学(株)製、誘電率:3.3)
IBXA:イソボルニルアクリレート(製品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製、誘電率:4.6)
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(製品名「4-HBA」、大阪有機化学工業(株)製、誘電率:13.3)
P-100:水素化石油樹脂(製品名「アルコン P-100」、荒川化学工業(株)製、軟化点(環球法)100±5℃、誘電率:2.1)
P-140:水素化石油樹脂(製品名「アルコン P-140」、荒川化学工業(株)製、軟化点(環球法)140±5℃、誘電率:2.1)
BI-2000:水素添加ポリブタジエン(製品名「NISSO-PB BI-2000」、日本曹達(株)製、誘電率:2.1)
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド(製品名「Speedcure TPO」、DKSHジャパン(株)製)
各成分の誘電率は性能評価(2)と同様の方法にて測定した。