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  • 特開-インクジェット印刷の校正方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184809
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】インクジェット印刷の校正方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/525 20060101AFI20221206BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20221206BHJP
   G01J 3/46 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B41J2/525
H04N1/60
G01J3/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088109
(22)【出願日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2021091325
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520495906
【氏名又は名称】株式会社カナオカホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】金岡 良延
(72)【発明者】
【氏名】早田 智章
【テーマコード(参考)】
2C262
2G020
5C079
【Fターム(参考)】
2C262AA02
2C262AB11
2C262AC01
2C262AC08
2C262CA11
2C262CA13
2C262FA13
2C262GA29
2G020AA08
2G020DA05
2G020DA13
2G020DA14
2G020DA16
2G020DA34
2G020DA43
2G020DA65
5C079KA15
5C079LA02
5C079LB01
5C079MA10
5C079MA19
5C079NA03
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】 小ロットの発注に対応し、オンデマンド性に優れ、しかも迅速なインクジェット印刷を人手が介在することを極力減らすことを可能にする。
【解決手段】インクジェット印刷の校正に関し、顧客の色見本から提示された色と印刷結果の色を合致させる色合わせにおいて、色見本により顧客から提示された色を色彩計で測色するだけでなく、印刷を実行する印刷機で印刷されたカラーチャートに色出しされた各色も色彩計で測色し、数値の比較により提示された色に近似した色を検索し、顧客が選択させ、一方、カラーチャートや印刷物の提示はそれを色彩計で撮影して画像をネットワーク上で送受信することにより行なう。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット印刷の校正において、
顧客から印刷原稿を受けとる手順、
ベタ部分に関し顧客から色見本により色の指定を受ける手順、
色見本により提示された色を色彩計で測色する手順、
受注者の印刷機でカラーチャートを印刷する手順、
カラーチャートに色出しされた各色を色彩計で測色し、測色データをカラーチャート測色データファイルに保存する手順、
顧客の色見本により提示された色の測色データを用いて、近似色をカラーチャート測色データファイルから検索する手順、
検索した複数の近似色を一面に印刷する手順、
上記印刷物を色彩計で撮影して画像を得る手順、
上記画像をネットワーク経由で顧客に送信して、顧客に色を選択してもらう手順、
顧客が選択した色をもってベタ部分に関し印刷すべき色として、全体を印刷して校正用印刷物を得る手順、
上記校正用印刷物を色彩計で撮影して画像を得る手順、
上記画像をネットワーク経由で顧客に送信して、顧客に校正してもらう手順、
を有することを特徴とするインクジェット印刷の校正方法。
【請求項2】
顧客が色見本を印刷する印刷機により作成したカラーチャートを、色彩計で測色して測色データ化する手順、
上記の測色データを顧客の色見本により提示された色の測色データと比較し、顧客の色見本は顧客のカラーチャートのどの色から配色を決めたかを探し出す手順、
を有する請求項1記載のインクジェット印刷の校正方法。
【請求項3】
顧客側において、色見本を印刷する印刷機により作成したカラーチャートの測色データを顧客および顧客が使用した印刷機別のプロファイルとして保存する請求項2記載のインクジェット印刷の校正方法。
【請求項4】
色彩計はCIEのXYZ等色関数など色関数と等価に線形変換された三つの分光感度(S1( λ) 、S2( λ) 、S3( λ) )を有する光学フィルターを持つカメラ式2次元色彩計である請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット印刷の校正方法。
【請求項5】
色見本により提示された色の測色データ、色出しされた複数の近似色から顧客が選択した色の測色データを、顧客と関連付けて顧客データベースに記録するとともに、色差に関する顧客の嗜好傾向を分析し、色出しされた複数の近似色を顧客に提示するに際し、前記データベースに記録された色差に関する顧客の嗜好傾向を参照して顧客の嗜好傾向に合致した色を優先して提示する請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット印刷の校正方法
【請求項6】
色見本により提示された色の測色データ、色出しされた複数の近似色から顧客が選択した色の測色データを、顧客と関連付けて顧客データベースに記録するとともに、色差に関する顧客の嗜好傾向を分析し、色出しされた複数の近似色を顧客に提示するに際し、前記データベースに記録された色差に関する顧客の嗜好傾向を参照して顧客の嗜好傾向に合致した色を優先して提示する請求項4記載のインクジェット印刷の校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、インクジェット印刷における校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客から提示された原稿に基づき行なう印刷においては、印刷装置における印刷を開始するにあたり必要となる前処理を行うプリプレスという工程が必要である。プリプレスにおいては顧客から提供された印刷デザインの原稿を受注者側において画像処理して印刷機用の印刷原稿を作成するが、その過程で試し印刷を行なって顧客を交えて印刷結果の校正を行なうことが不可欠となり、特に印刷物のベタ箇所における色合わせは重要であった。この作業は印刷デザインの原稿の一環として顧客から渡された色見本と試し印刷における色を比較することにより行なわれる。
【0003】
グラビア印刷においては印刷物のベタ箇所に関しては特色インキ( 色見本に近づけるべく複数の色インキを混合させたもの-特許文献1-) を使用し、微妙な色調整も含め作業者の目視で色彩を判断して色合せをし、印刷物は最終的に色差計の色差△E で数値管理している。
【0004】
図2は前記の場合の色出しの手順を示すものであり、
色見本を顧客から受け取る手順、
色見本を作業者が目視し、複数の色インキを混合して特色インキを作成する手順、
作業者が特色インキの色を判定する手順、
印刷を実行する印刷機に前記特色インキをセットして色出しを行う手順、
作業者が刷色を判定する手順、
色出しを終了する、
~手順からなった。
【0005】
図3は前記の場合の色出し後の色校正の手順を示すものであり、
複数回色出しを行う手順、
顧客が色校正を行い、色を判定する手順、
色校正に合格したインキを作り直し、印刷を実行する印刷機にセットし、これにより最終色出しを行う手順、
顧客が再度色校正を行い、色を判定する手順、
色校正を終了し、終了品を色差計で測色し△E管理する、
~手順からなった。
【0006】
一方、顧客から指示された色見本( 画像データになったデザイン) のカラー調子部分では、グラビア印刷もインクジェット印刷もカラーマネージメントさせた最適プロファイルから色校正作業が可能であるが、ベタ箇所に関しては、プロセス色KCMYの網点で色を再現させるインクジェット印刷においては、機械の構造上の色合わせに使用する特色インキのようなものは使用でなかった。
【0007】
その結果、インクジェット印刷においては予め用意したプロセス色KCMYの配色から作られたカラーチャートで見本に近い配色をいくつか選び色校正サンプルとして顧客に提出していた。
【0008】
図4は前記の場合の色出しの手順を示すものであり、
ベタ箇所に関し色見本を顧客から受け取る手順、
印刷を実行する印刷機で印刷したカラーチャートを作業者が目視し、色見本に合致した色を複数選ぶ手順、
画像データを複数配色で設定する手順、
複数色の色出しを行う手順、
作業者が刷色を判定する手順、
画像データを再選定した配色に設定する手順、
再選定した複数色の色出しを行う手順、
作業者が刷色を判定する、
~手順からなった。
【0009】
図5は前記の場合の色出し後の色校正の手順を示すものであり、
複数回色出しを行う手順、
印刷を実行する印刷機で指定デザイン( 1面に複数色で色出しする)を印刷する手順、
ベタ箇所に関し顧客が色校正を行い、色を判定する手順、
色校正に合格した配色を画像データ全面に設定する手順、
最終色で色出しする手順、
顧客が再度色校正を行い、色を判定する手順、
色校正を終了し、終了品を色差計で測色し△E管理する、
~手順からなった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11- 296664
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記の場合、受注者側の印刷機で印刷したカラーチャートを受注者側の作業者が目視し、顧客の色見本に合致した色を選ぶが、この作業は大変煩雑で手間を要するものであった。一方、作業者ごとの色彩感覚の違いや、体調などの要因により配色の選定が異なることもある。そのため色見本に対し色彩的にほぼ合致した指定デザイン印刷物を提示することができず、その結果、複数の近似色を表示した指定デザイン印刷物を提示することになり、極めて非効率的であった。
【0012】
ところで、印刷業界では印刷の発注に際して、印刷立会い( 顧客が印刷工場に赴き、印刷する刷物で最終判断) をするのが通例となっている。インクジェットで印刷する場合は、事前に複数の配色パターンを印刷しておいて顧客が立合いをして最終の判断をする必要がある。しかし昨今のコロナ禍では直接顧客が印刷工場に来られなくなっているので、印刷した刷物を郵便などで顧客に送付し判断してもらう必要が生ずる。特にベタ箇所において前記の問題があるインクジェット印刷の場合は色校正回数が多くなり従来よりも郵送回数も増えてかなり日数がかかり顧客の短納期の要求に応えられない問題があった。
【0013】
インクジェット印刷は小ロットのオンデマンド印刷を迅速に行うのに最適であるが、前記の問題によりそれが損なわれることとなり、折角の利点が生かされない問題があった。
【0014】
インクジェット印刷は小ロットのオンデマンド印刷を迅速に行うのに最適であるが、前記の問題によりそれが損なわれることとなり、折角の利点が生かされない問題があった。特にグラビア印刷の場合は同一の絵柄が多面付になるのでプリプレス作業が受注1点につき絵柄1点であるのに対し、デジタル印刷の場合は数種類の異なる絵柄を多面付するケースが多くなることに注意しておかなければならない。従来のグラビア印刷の感覚でデジタル印刷のプリプレス作業を受注すると採算が取れない可能性が高くなる。
【0015】
前記の場合、顧客はデジタル印刷機で色見本を作成しているのであるから、その印刷データを受注者が使用すれば色合わせの問題は解消するように思われる。しかしながら、顧客が使用している印刷機と受注者が使用している印刷機は異なるので、同じデータに基づくものであっても出力される印刷結果の色が正確に一致することはない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は前記の問題を解消したインクジェット印刷の校正方法を提供することを目的として創作されたものである。
【0017】
すなわち、本願発明のインクジェット印刷の校正方法は、
顧客から印刷原稿を受けとる手順、
ベタ部分に関し顧客から色見本により色の指定を受ける手順、
色見本により提示された色を色彩計で測色する手順、
受注者の印刷機ででカラーチャートを印刷する手順、
カラーチャートに色出しされた各色を色彩計で測色し、測色データをカラーチャート測色データファイルに保存する手順、
顧客の色見本により提示された色の測色データを用いて、近似色をカラーチャート測色データファイルから検索する手順、
検索した複数の近似色を一面に印刷する手順、
上記印刷物を色彩計で撮影して画像を得る手順、
上記画像をネットワーク経由で顧客に送信して、顧客に色を選択してもらう手順、
顧客が選択した色をもってベタ部分に関し印刷すべき色として、全体を印刷して校正用印刷物を得る手順、
上記校正用印刷物を色彩計で撮影して画像を得る手順、
上記画像をネットワーク経由で顧客に送信して、顧客に校正してもらう手順、
を有することを特徴とする。
【0018】
また、請求項2記載の発明は前記の校正方法において、顧客が色見本を印刷する印刷機により作成したカラーチャートを、色彩計で測色して測色データ化する手順、
上記の測色データを顧客の色見本により提示された色の測色データと比較し、顧客の色見本は顧客のカラーチャートのどの色から配色を決めたかを探し出す手順、
を有することを特徴とする。
【0019】
また、請求項3記載の発明は前記の校正方法において、顧客側において、色見本を印刷する印刷機により作成したカラーチャートの測色データを顧客および顧客が使用した印刷機別のプロファイルとして保存することを特徴とする。
【0020】
また、請求項4記載の発明は前記の校正方法において、色彩計はCIEのXYZ等色関数など色関数と等価に線形変換された三つの分光感度(S1( λ) 、S2( λ) 、S3( λ) )を有する光学フィルターを持つカメラ式2次元色彩計であることを特徴とする。
【0021】
また、請求項5、6記載の発明は前記の校正方法において、色見本により提示された色の測色データ、色出しされた複数の近似色から顧客が選択した色の測色データを、顧客と関連付けて顧客データベースに記録するとともに、色差に関する顧客の嗜好傾向を分析し、色出しされた複数の近似色を顧客に提示するに際し、前記データベースに記録された色差に関する顧客の嗜好傾向を参照して顧客の嗜好傾向に合致した色を優先して提示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本願発明のインクジェット印刷の校正方法は、顧客がデジタル印刷機で色見本を作成した際の印刷データを受注者側において流用して受注者が印刷すべき色を生成するのではなく、顧客が顧客側の印刷機で出力したハードコピーを顧客から提示された色見本として特定した上で、それを色彩計で測色して測色データ化したことを第一の特徴とする。
【0023】
次に、受注者において印刷を実行する印刷機で出力したハードコピーをカラーチャートとして特定した上で、それを色彩計で測色して測色データ化したことを第二の特徴とする。
【0024】
そして、受注者側において、顧客の色見本により提示された色の測色データを用いて、近似色を受注者側のカラーチャート測色データファイルから検索して、受注者の印刷機で色出しするので、受注者と顧客の印刷機の違いによる双方の色彩の違いの問題を解消することができる。
【0025】
一方、以上の手順は人手を介さずにITを活用して機械化できるので人手が介在しないことにより、作業速度が飛躍的に向上するだけではなく、作業者個人の色彩感覚などの不確定要素を排除し、正確な色合わせを行なうことが可能となる。
【0026】
また、請求項2記載の発明のように色見本を印刷する印刷機により顧客が作成したカラーチャートを、受注者側において色彩計で測色して測色データ化し、受注者側において、上記の測色データを顧客の色見本により提示された色の測色データと比較し、顧客の色見本は顧客のカラーチャートのどの色から配色を決めたかを探し出す場合は、周辺の色も把握できることからより正確な色合わせを行なうことが可能となる。
【0027】
さらに、請求項3記載の発明のように顧客側において、色見本を印刷する印刷機により作成したカラーチャートの測色データを顧客および顧客が使用した印刷機別のプロファイルとして受注者側において保存する場合は前記の作業をより迅速に行なうことが可能となる。
【0028】
また、請求項4記載の発明のように、CIEのXYZ等色関数など色関数と等価に線形変換された三つの分光感度(S1( λ) 、S2( λ) 、S3( λ) )を有する光学フィルターを持つカメラ式2次元色彩計で測色する場合は、人間の眼の感度を数値化することができ顧客の要求に合った色を提示することが可能となる。
【0029】
一方、最終的に色判断する顧客は人間である以上、色の選定に関し嗜好や癖がある。これは受注者と顧客の印刷機の違いとは異なる問題である。これに関し、請求項5、6記載の発明のように、色見本により提示された色の測色データ、色出しされた複数の近似色から顧客が選択した色の測色データを、顧客と関連付けて顧客データベースに記録するとともに、色差に関する顧客の嗜好傾向を分析し、色出しされた複数の近似色を顧客に提示するに際し、前記データベースに記録された色差に関する顧客の嗜好傾向を参照すれば、顧客の嗜好傾向に合致した色を知ることができ、その色を優先して提示することによりやり直しの少ない色合わせを迅速に行なうことが可能となる。
【0030】
以上のように、数値化することにより人間の介在場面を減らすことができるので、印刷原稿を受けとりや、顧客に色を選択してもらう場面も、対面ではなくネットーク上の画像の送受信で行なうことができる。その結果、顧客が印刷所に出向いたり、郵送を使用することなく、印刷の発注、校正がネットーク上で完結し、小ロットの発注に対応し、オンデマンド性に優れ、しかも迅速なインクジェット印刷の利点を最大限に生かすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本願発明のインクジェット印刷の校正方法の手順を示すフローチャート。
図2】グラビア印刷における色出しの手順を示すフローチャート。
図3】グラビア印刷における色校正の手順を示すフローチャート。
図4】インクジェット印刷における色出しの従来例の手順を示すフローチャート。
図5】インクジェット印刷における色校正の従来例の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本願発明の具体的実施例を請求項6記載の発明を例にとって、図1のフローチャートに沿って説明する。
【0033】
手順S1
顧客から印刷原稿を受けとったインクジェット印刷において、そのベタ部分に関し、顧客が印刷した色見本により色の指定を受ける。
【0034】
手順S2
色見本により提示された色を色彩計で測色する。この実施例では色彩計として特開2018-004423などでも公知の有限会社パパラボ製の2次元色彩計を用いる。この色彩計はCIEのXYZ等色関数など色関数と等価に線形変換された三つの分光感度(S1( λ) 、S2( λ) 、S3( λ) )を有する光学フィルターを持つカメラ式のものであり、人間の眼の感度を数値化できる。
【0035】
手順S3
次に、受注者において印刷を実行する印刷機で標準カラーチャートを印刷する。ここでは、上記印刷機としてDDCPであるインクジェップリンターを想定している。
【0036】
手順S4~S5
標準カラーチャートに色出しされた各色を色彩計で測色して数値化し、測色データをカラーチャート測色データファイルに保存する。
【0037】
手順S1-1
発注者が作成したカラーチャートを受領する。このカラーチャートは発注者が色見本を印刷するのに使用した印刷機で印刷したものである。
【0038】
手順S2-2
発注者が作成したカラーチャートに色出しされた各色を測色して測色データとして数値化する。ここでは受注者が使用しているDDCPのスキャナーで読み込んだ後、測色データとして数値化している。
【0039】
手順S2-3
前記測色データを発注者および発注者が使用した印刷機と紐付けたプロファイルとしてプロファイルデータファイルに保存する。
【0040】
手順S6~S7
数値化された色見本により提示された色に関し、カラーチャート測色データファイルから数値化されたカラーチャートに色出しされた各色中から色差を指定して近似色を検索し、受注者の印刷機で色出しをする。この際に顧客および顧客が使用した印刷機のプロファイルデータファイルを参照して、上記の測色データを顧客の色見本により提示された色の測色データと比較し、顧客の色見本は顧客のカラーチャートのどの色から配色を決めたかを探し出し色出しの参考にする。
【0041】
手順S8
顧客が新規かどうかを判断し、新規の場合は手順S10に、以前にも受注している場合は手順S9を介して手順S10に進む。この場合、同一の法人であっても発注の担当者別に新規であるか否かを判断する。
【0042】
手順S10
手順S7で色出しした複数の近似色を一面に印刷する。具体的には多面付きのデザインで一面ずつ複数の配色で印刷する。
【0043】
手順S9
色差に関する顧客の嗜好傾向を記録してある顧客データベースを参照し、手順S10の提示に際して、顧客の嗜好傾向に合致した色を優先して提示する。ここに優先とは提示する色に順位を付ける場合の他、ただ一種の色のみを提示することを含む。
【0044】
手順S11~S12
手順S10で得た印刷物を色彩計で撮影して画像を得る。得た画像をネットワーク経由で顧客に送信して、顧客に色を選択してもらう。この場合、顧客側の端末のモニターは例えば特開2012-217052などで公知の技術を応用した再現性の高いものを指定すれば正確な色判断を行なうことができ迅速な校正が実現される。一方、指定のモニターでなくても、遠隔地にいる顧客がパソコンやスマートフォンを通じて色を確認して要望することができるので迅速化には寄与する。
【0045】
手順S13
顧客が選択した色をもってベタ部分に関し印刷すべき色として、全体を印刷して校正用印刷物を得る。
【0046】
手順S14~S15
手順S13で得た印刷物を色彩計で撮影して画像を得る。得た画像を画像をネットワーク経由で顧客に送信して、顧客に色を校正してもらう。
【0047】
手順S16~S17
色見本により提示された色の測色データ、色出しされた複数の近似色から顧客が選択した色の測色データを、色差に関する顧客の嗜好傾向を分析して、顧客と関連付けて顧客データベースに記録する。
【符号の説明】
【0048】
S1~S17 フローチャートにおける手順
図1
図2
図3
図4
図5