(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184818
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】振動発生装置
(51)【国際特許分類】
G01M 7/06 20060101AFI20221206BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01M7/06
B06B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088560
(22)【出願日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2021092430
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】593040391
【氏名又は名称】エミック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 祐太朗
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA08
5D107BB09
5D107CC09
(57)【要約】
【課題】振動方向を容易な構成で変更できる振動発生装置を提供する。
【解決手段】振動発生装置は、振動テーブルと、第1ベースプレートと、第2ベースプレートと、第3ベースプレートと、を備える。第2ベースプレートは、摺動面に対して流体を噴射し摺動面と第3面との間に第1流体膜を形成する第1流体供給部と、第1面に対して流体を噴射し第1面と第4面との間に第2流体膜を形成する第2流体供給部と、を有し、第3ベースプレートは、第2面に対して流体を噴射し、第5面と第2面との間に第3流体膜を形成する第3流体供給部を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の振動を発生させる振動発生部に対して着脱可能で、振動試験の対象である供試品を載置面に固定可能な板状の振動テーブルと、
前記振動テーブルの前記載置面の逆側の略扁平な摺動面に固定される突出部を第1面に備え、前記第1方向に摺動可能であるとともに、前記突出部を中心に旋回可能な板状の第1ベースプレートと、
前記摺動面に対向する第3面と前記第1面に対向する第4面と、前記第3面と前記第4面との間を貫通し前記突出部を挿通する開口部とを備え、前記振動テーブルと前記第1ベースプレートとの間に介在して設けられた扁平な板状の第2ベースプレートと、
前記第1面の逆側の第2面に対向する第5面を備え、前記第2ベースプレートと協働して前記第1ベースプレートを摺動可能に支持する第3ベースプレートと、
を備え、
前記第2ベースプレートは、前記摺動面に対して流体を噴射し前記摺動面と前記第3面との間に第1流体膜を形成する第1流体供給部と、前記第1面に対して流体を噴射し前記第1面と前記第4面との間に第2流体膜を形成する第2流体供給部と、を有し、
前記第3ベースプレートは、前記第2面に対して流体を噴射し、前記第5面と前記第2面との間に第3流体膜を形成する第3流体供給部を有する、
振動発生装置。
【請求項2】
前記第2流体供給部と、前記第3流体供給部とは、前記第1ベースプレートの摺動範囲内に等間隔で複数形成され、均一高さのランドで包囲されている、請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項3】
前記突出部は、円柱形状であり、前記開口部の内壁面と前記突出部の外周面との間には、前記振動発生部の振動ストローク以上の隙間が形成されている、請求項1または請求項2に記載の振動発生装置。
【請求項4】
前記振動テーブルは、前記振動発生部の連結ブロックと接離可能な固定ブロックを外縁部に複数備える、請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項5】
前記流体は、ドレンパンとの間で循環可能な油である、請求項1に記載の振動発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、振動試験の試験対象物である供試品を振動させる振動発生装置が知られている。例えば、流体軸受けを用いた振動発生装置や振動付与方向を変化させることができる多方向タイプの振動発生装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5766844号公報
【特許文献2】特開1987-14034号公報
【特許文献3】特開1985-10142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の振動発生装置は、供試品の付け替えを行うことなく、多方向の振動試験を実施することができるが、振動方向の切り替えのための構造が複雑であり、取り扱いが煩雑であるとともに、コスト増加の原因の一つになっていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、振動方向を容易な構成で変更できる振動発生装置が提供できれば、より効率的な振動試験が容易に実施することが可能になるとともに、試験コストや装置の製造コスト軽減が可能になり、有意義である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る振動発生装置は、振動テーブルと、第1ベースプレートと、第2ベースプレートと、第3ベースプレートと、を備える。振動テーブルは、第1方向の振動を発生させる振動発生部に対して着脱可能で、振動試験の対象である供試品を載置面に固定可能な板状の部材である。第1ベースプレートは、前記振動テーブルの前記載置面の逆側の略扁平な摺動面に固定される突出部を第1面に備え、前記第1方向に摺動可能であるとともに、前記突出部を中心に旋回可能な板状の部材である。第2ベースプレートは、前記摺動面に対向する第3面と前記第1面に対向する第4面と、前記第3面と前記第4面との間を貫通し前記突出部を挿通する開口部とを備え、前記振動テーブルと前記第1ベースプレートとの間に介在して設けられた扁平な板状の部材である。第3ベースプレートは、前記第1面の逆側の第2面に対向する第5面を備え、前記第2ベースプレートと協働して前記第1ベースプレートを摺動可能に支持する。そして、前記第2ベースプレートは、前記摺動面に対して流体を噴射し前記摺動面と前記第3面との間に第1流体膜を形成する第1流体供給部と、前記第1面に対して流体を噴射し前記第1面と前記第4面との間に第2流体膜を形成する第2流体供給部と、を有し、前記第3ベースプレートは、前記第2面に対して流体を噴射し、前記第5面と前記第2面との間に第3流体膜を形成する第3流体供給部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る振動発生装置は、容易な構成で供試品の付け替えを行うことなく容易な作業で、様々な方向の振動試験を実現し、効率的な振動試験を低コストで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る振動発生装置の例示的かつ模式的な側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る振動発生装置の振動テーブル(スリップテーブル)の例示的かつ模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る振動発生装置の振動テーブルの下方に設置される第1ベースプレート、第2ベースプレート、第3ベースプレートの例示的かつ模式的な分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る振動発生装置の振動テーブル、第1ベースプレート、第2ベースプレート、第3ベースプレートの例示的かつ模式的な断面斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る振動発生装置の第2ベースプレートの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る振動発生装置の第1ベースプレート、第2ベースプレート、第3ベースプレートを組み合わせた場合の例示的かつ模式的な断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る振動発生装置の第2ベースプレートと第3ベースプレートに形成される流路を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る振動発生装置の第2ベースプレートの開口部から第1ベースプレートの突出部が露出した状態を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る振動発生装置の振動テーブルに接続可能な連結ブロックを示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態の振動試験装置における流体の循環系を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態の振動試験装置の振動テーブルの接続切り替えの態様を示す例示的かつ模式的な説明図である。
【
図12】
図12は、実施形態の振動試験装置の第2ベースプレートの第3面に形成される油膜の形成に寄与する流体分配溝を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図13】
図13は、実施形態の振動試験装置の第2ベースプレートの第3面に形成される油膜の形成に寄与する他の流体分配溝を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態の振動試験装置において、固定ブロックが連結ブロックと対面する位置でクリック感を持って一旦停止感を得やすい構成を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図15】
図15は、実施形態の振動試験装置において、固定ブロックが連結ブロックと対面する位置でクリック感を持って一旦停止感を得やすい構成を示す例示的かつ模式的な分解斜視図である。
【
図16】
図16は、実施形態の振動試験装置において、固定ブロックが連結ブロックと対面する位置でクリック感を持って一旦停止感を得やすい他の構成を示す例示的かつ模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る振動発生装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態は、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものも含む。
【0010】
まず、実施形態に係る振動発生装置10の全体構成について説明する。
図1は、実施形態に係る振動発生装置10の例示的かつ模式的な側面図である。
【0011】
本実施形態に係る振動発生装置10は、供試品(例えば、品質調査を依頼するにあたって生産者が提出するサンプル品)を強制的に振動させることにより、振動試験を実施する装置である。振動発生装置10は、例えば、供試品を載置し固定したスリップテーブル12(振動テーブル)に定盤と平行な方向(水平方向)の振動を付与(加振)したり、定盤に対して垂直方向の振動を付与したりする試験を実施する装置である。
図1は、振動発生装置10が、例えば定盤と平行な方向に加振できる状態にセッティングされた状態が示されている。なお、振動発生装置10は、振動発生部14を構成するヨーク16を、例えば時計回りに90°回転させることで、垂直方向の振動を付与できるように、運用状態を変更することができる。
【0012】
図1に示されるように、振動発生装置10は、振動発生部14を構成するヨーク16と、振動台18と、振動発生部14を支持する基台20と、スリップテーブル12と振動台18とを連結する連結ブロック22と、スリップテーブル12の下部に設けられる流体の流体リサイクル部24と、を主な構成部材とする。なお、実施形態において利用する流体は、非圧縮性の流体であり、例えば、油である。流体(油)は、後述するスリップテーブル12の振動動作及び旋回動作の際に利用される。
【0013】
ヨーク16の材料は、例えば、高透磁率で高強度の磁性材料で、例えばSS400等の低炭素鋼を用いることができる。振動台18の材料は、例えば、アルミニウム合金等の非磁性体で高強度の金属、あるいは例えば、カーボンファイバ等の合成樹脂等を用いることができる。なお、
図1の矢印X方向は、水平加振形態時の振動発生部14による加振方向(第1方向)を示している。
【0014】
ヨーク16には、当該ヨーク16に静磁場を生成する不図示の励磁コイルと、振動発生用のドライブコイルとが設けられている。ドライブコイルは磁気ギャップ内に配され、振動台18と一体的に構成されている。励磁コイルに直流電流を流すことにより、当該励磁コイルを取り巻くヨーク16内に磁気回路(静磁場)が生成される。そして、ドライブコイルに所定周波数の交流電流を流すことにより、上述した磁気ギャップに生成される静磁場とドライブコイルに流れる交流電流との間に力が働く。この力により、ドライブコイルは磁束の方向と直交する方向に振動する。その結果、振動台18はドライブコイルに流される交流電流の周波数で振動し、これに伴って、スリップテーブル12に取り付けられた被振動物としての供試品が矢印X方向に振動し、振動試験が実施される。
【0015】
図2は、振動発生装置10のスリップテーブル12の例示的かつ模式的な平面図である。スリップテーブル12は、
図1の矢印X方向(第1方向)の振動を発生させる振動発生部14に対して着脱可能で、振動試験の対象である供試品を載置面12aに固定可能な板状の部材である。なお、載置面12aには、供試品を固定するために、例えば、複数の固定ねじ穴12bがマトリックス状に形成されている。固定ねじ穴12bを用いて供試品を直接固定したり、供試品を治具等を介して固定したりすることができる。なお、スリップテーブル12における供試品の固定方法は一例であり、例えば、空気吸引や電磁力等を用いた吸着等で行ってもよい。
【0016】
スリップテーブル12は、振動発生部14に一体化された連結ブロック22と接離可能な固定ブロック26を外縁部に複数備える。連結ブロック22の詳細は後述する。なお、
図2の場合、スリップテーブル12は、載置面12aの形状が略正方形であり、その4つの外縁部の略中央位置に固定ブロック26を備える。したがって、スリップテーブル12を旋回させて、連結ブロック22に対する固定ブロック26の接続位置を変更することにより、振動発生部14の振動方向が矢印X方向のみであっても、載置面12aに載置、固定された供試品の固定状態を維持したまま(供試品の載置面12aに対する付け替えを行うことなく固定したまま)、振動試験方向を90°単位で変更することができる。なお、スリップテーブル12の形状は、略正方形に限らず、5角形以上の多角形や円形でもよい。スリップテーブル12が多角形の場合、画数に対応する振動方向の選択が可能になる。また、スリップテーブル12が円形状の場合、スリップテーブル12の外周に沿って、任意の数の固定ブロック26の形成が可能になり、固定ブロック26の数に応じた振動方向を実現することができる。
【0017】
図3は、振動発生装置10のスリップテーブル12の振動動作及び旋回動作を実現するための第1ベースプレート28、第2ベースプレート30、第3ベースプレート32の例示的かつ模式的な分解斜視図である。また、
図4は、振動発生装置10のスリップテーブル12、第1ベースプレート28、第2ベースプレート30、第3ベースプレート32の例示的かつ模式的な断面斜視図である。また、
図5は、振動発生装置10の第2ベースプレート30の例示的かつ模式的な平面図であり、
図6は、第1ベースプレート28、第2ベースプレート30、第3ベースプレート32を組み合わせた場合の例示的かつ模式的な断面図である。
【0018】
図3に示されるように、第1ベースプレート28は、例えば略円盤形状の部材で、当該第1ベースプレート28の一方の平面部である第1面28aの略中央部に円柱形状の突出部34を備える。また、第2ベースプレート30は、
図3、
図4に示されるように、スリップテーブル12と第1ベースプレート28との間に介在する扁平な板状の部品である。第2ベースプレート30は、スリップテーブル12の載置面12aの逆側の略扁平な摺動面12cに対向する第3面30aと第1ベースプレート28の第1面28aに対向する第4面30bと、第3面30aと前記第4面30bとの間を貫通し、第1ベースプレート28の突出部34を挿通する略円形の開口部36とを備える。また、第3ベースプレート32は、第1ベースプレート28の第1面28aの逆側の第2面28bに対向する第5面32aを備える板状の部品である。第3ベースプレート32は、第2ベースプレート30と協働して、当該第3ベースプレート32と第2ベースプレート30との間で第1ベースプレート28を摺動可能に支持する。なお、第2ベースプレート30と第3ベースプレート32との間には、第1面28aと第2面28bで定まる第1ベースプレート28の厚みより僅かに厚く形成された、例えば、平面視で略5角形状の第4ベースプレート38が、例えば四隅に配置されている。第4ベースプレート38は、第2ベースプレート30と第3ベースプレート32との間に所定の隙間(第1ベースプレート28の厚み+後述する油膜形成用隙間)を確保するスペーサとして機能する。なお、第4ベースプレート38の形状は一例であり、本実施形態の場合、円盤形状の第1ベースプレート28との干渉を回避するために略5角形状としているが、第1ベースプレート28との干渉を回避できるスペーサ形状であれば、他の形状でもよい。例えば、平面視で円柱形状でもよいし、四角形状、三角形状でもよい。また、第4ベースプレート38は、第2ベースプレート30の第4面30bまたは第3ベースプレート32の第5面32aに一体化された突起として形成されてもよく、同様に機能可能である。
【0019】
第4ベースプレート38によって所定の隙間が形成される状態となる第2ベースプレート30と第3ベースプレート32との間に第1ベースプレート28が挟まれた場合、
図6に示されるように、第1ベースプレート28に一体的に形成された突出部34は、第2ベースプレート30の開口部36を貫通し、突出部34の上面34aが第3面30aから僅かに突出する。そして、突出部34の上面34aがスリップテーブル12略扁平な摺動面12cに固定されている。つまり、第1ベースプレート28は、第2ベースプレート30を介してスリップテーブル12と一体化される。その結果、第1ベースプレート28は、スリップテーブル12の挙動(
図1の矢印X方向の振動や旋回)に対応して、第2ベースプレート30と第3ベースプレート32との間で、同様に矢印X方向に振動したり、旋回したりすることができる。
【0020】
本実施形態のスリップテーブル12は、流体(例えば油)を用いた流体軸受けにより振動動作及び旋回動作をスムーズかつ安定的に実行できるように構成されている。
図7は、振動発生装置10の第2ベースプレート30に形成される流体(油)の流路としての第1流路40と、第3ベースプレート32に形成される流体(油)の流路としての第2流路42を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【0021】
第2ベースプレート30に形成される第1流路40は、スリップテーブル12の摺動面12cに対して流体としての、例えば油を第1流体供給部40aから噴射し、摺動面12cと第2ベースプレート30の第3面30aとの間に第1流体膜44aを形成する。
【0022】
図8は、振動発生装置10の第2ベースプレート30の開口部36から第1ベースプレート28の突出部34(上面34a)が露出した状態を示す例示的かつ模式的な平面図である。略円形の開口部36の直径Rは、当該開口部36を貫通する円柱形状の突出部34の直径rより、振動台18の矢印X方向(
図1参照)の振動ストローク(例えば、50mmから60mm)に相当またはそれ以上の隙間S分だけ、大きく形成されている。したがって、振動台18による加振時には、開口部36の内壁面36aと突出部34の外周面34bとは非接触状態が確保できる。
【0023】
また、開口部36の周囲には、例えば、4つの第1流体供給部40aが等間隔で配置されている。各第1流体供給部40aから流体を噴出させることにより、スリップテーブル12の摺動面12cと第2ベースプレート30の第3面30aとの間に広範囲の第1流体膜44aを形成し、スリップテーブル12に対する流体軸受けとして機能する。その結果、スリップテーブル12は、第2ベースプレート30に対して、スムーズかつ安定的に摺動(振動動作)および旋回動作を実現することができる。
【0024】
また、
図7に示されるように、第1流路40は、第1ベースプレート28の第1面28aに対して流体としての、例えば油を第2流体供給部40bから噴射し、第4面30bと第1面28aとの間に第2流体膜44bを形成する。同様に、第2流路42は、第1ベースプレート28の第2面28bに対して流体としての、例えば油を第3流体供給部42aから噴射し、第3ベースプレート32の第5面32aと第1ベースプレート28の第2面28bとの間に第3流体膜44cを形成する。
【0025】
第2流体供給部40b及び第3流体供給部42aは、第1ベースプレート28が摺動時(
図1の矢印X方向の振動時)に移動し得る範囲に、複数個が、例えば等間隔で配置されている。
図5に示されるように、第2流体供給部40bは、例えば2個セットで4箇所、合計8箇所設けられている。また、
図3、
図4に示されるように、第3流体供給部42aもまた、第1ベースプレート28が摺動時(X方向の振動時)に移動し得る範囲に、複数個が、例えば等間隔で配置されている。第3流体供給部42aは、例えば2個セットで4箇所、合計8箇所設けられている。なお、断面図である
図4の場合、第3流体供給部42aは4個のみが図示されている。
【0026】
第2流体供給部40b及び第3流体供給部42aは、第1ベースプレート28の第1面28a側及び第2面28b側の対応する位置に同様な構成で配置され、第2流体供給部40b及び第3流体供給部42aを中心として噴射した流体(油)を一時的に貯留するポケット46を形成している。
図4を用いて、第3流体供給部42aを含むポケット46の構成を説明する。
図4に示されるように、第3流体供給部42aの周囲には、均一高さのランド46aが形成され、第3流体供給部42aを包囲したポケット46を形成している。ポケット46は、流体を一定量蓄えることができる。ランド46aの高さ(ポケット46の高さ)は、形成する第3流体膜44cの膜厚に応じて決定することができる。ランド46aの高さは、例えば、2~6mm程度とすることができる。したがって、第3流体膜44cの厚みは、ランド46aの高さ+溢れ出た際に流体によって第1ベースプレート28を押し上げたい量によって決定される。同様に、第2流体供給部40bの周囲にもランド46aで包囲されるポケット46が形成され、所定の厚みの第2流体膜44bを形成する。第2流体供給部40bに対するランド46aの高さ(ポケット46の高さ)は、形成する第2流体膜44bの膜厚に応じて決定することができる。したがって、第2流体膜44bの厚みは、ランド46aの高さ+溢れ出た際に流体によって第1ベースプレート28を押し下げたい量によって決定される。
【0027】
このように、振動発生装置10において、第2ベースプレート30の第3面30aとスリップテーブル12の摺動面12cとの間に第1流体膜44aを形成し、第2ベースプレート30の第4面30bと第1ベースプレート28の第1面28aとの間に第2流体膜44bを形成し、第1ベースプレート28の第2面28bと第3ベースプレート32の第5面32aとの間に第3流体膜44cを形成する。その結果、スリップテーブル12と第2ベースプレート30との接触、スリップテーブル12に接続された第1ベースプレート28と第2ベースプレート30及び第3ベースプレート32との接触が回避され、スリップテーブル12と第1ベースプレート28との結合体を、第2ベースプレート30と第3ベースプレート32との結合体に対して、流体軸受けで支持することができる。その結果、スリップテーブル12が連結ブロック22を介して振動台18(振動発生部14)に接続された場合は、スリップテーブル12を
図1の矢印X方向にスムーズに往復移動(摺動)させることができる。また、スリップテーブル12と連結ブロック22との接続を解除した状態においては、スリップテーブル12を自由かつスムーズに旋回させることが可能になる。この場合、スリップテーブル12は突出部34を介して第1ベースプレート28に接続されているため、スリップテーブル12の旋回位置は、第2ベースプレート30の開口部36によって規制され、スリップテーブル12(第1ベースプレート28)が第2ベースプレート30と第3ベースプレート32との結合体から脱落することはない。スリップテーブル12を旋回させた後、スリップテーブル12の外縁部に複数形成された固定ブロック26のいずれかと連結ブロック22とを接続することにより、振動台18の振動方向に対して、スリップテーブル12に供試品を固定した状態を維持したまま、供試品に他の方向の振動試験を実施することができる。
【0028】
なお、
図7に示されるように、第1流路40と第2流路42とは、連結管48で連結され第1流路40と第2流路42で利用される流体(油)が共用できるようになっている。なお、
図5に示されるように、第2ベースプレート30に形成される第1流路40は、例えば格子状に形成されている。第1流路40及び第2流路42を構成する各流路は、加工上、第2ベースプレート30、第3ベースプレート32の外縁部にそれぞれ始端部と終端部が形成される。複数の始端部と終端部のいずれか1箇所を流体供給口とし、他は、例えば、止め栓50で封止している。第1流路40、第2流路42を利用する流体の循環に関しては後述する。
【0029】
図9は、振動発生装置10のスリップテーブル12の外縁部に形成された固定ブロック26に接続可能な連結ブロック22を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【0030】
連結ブロック22は、平面視で、略T字形状の板状の部品で、上面22a側に振動台18側と接続固定するための締結部材52(例えば、ボルト)を上面22aから側面22bに進出させるための斜めに延びる座ぐり穴54が複数(例えば、4個)形成されている。また、上面22aの逆側の面である下面22cには、振動台18の振動方向(
図1中矢印X方向)に連結ブロック22をスムーズかつ矢印X方向以外の振動(例えば、直交する方向の振動等)が発生させることなく安定して案内するためのガイド部材56が固定されている。ガイド部材56は、矢印X方向に平行に例えば2つ固定されている。ガイド部材56は、例えば、周知のリニアガイドが利用できる。
【0031】
また、連結ブロック22において、側面22bの逆側の側面22dには、
図4に示すスリップテーブル12の固定ブロック26と連結ブロック22とを接続固定するための締結部材(例えば、ボルト)が螺合するねじ穴58が複数設けられている。
図4に示すように、スリップテーブル12の載置面12aから連結ブロック22の側面22d側に締結部材を進出させるため、載置面12aには、挿通穴26bと連通した斜めに延びる座ぐり穴26aが複数個(例えば、4個)形成されている。
【0032】
このように、スリップテーブル12に形成された固定ブロック26と連結ブロック22との接続固定をスリップテーブル12の載置面12a側からのアクセスにより実現することにより、スリップテーブル12を旋回させて、供試品の振動方向を変更させる作業を容易かつ効率的に行うことができる。
【0033】
図10は、振動発生装置10における流体(油)の循環系を示す例示的かつ模式的な斜視図である。上述したように振動発生装置10は、スリップテーブル12の振動動作時(振動試験時)と、供試品をスリップテーブル12の載置面12aに固定したままの状態で、供試品に対する振動方向を変更するための旋回動作時と、のいずれの場合においても流体を流体系内で循環させている。すなわち、振動発生装置10の振動試験時および旋回切り替え時において、常時、第1流体供給部40a、第2流体供給部40b、第3流体供給部42aから流体が噴出し、第1流体膜44a、第2流体膜44b、第3流体膜44cが形成されている。
【0034】
図10に示される流体リサイクル部24は、貯留タンクと、サクションフィルタと、ポンプと、リリーフ弁、切替弁等を内部に収容する。貯留タンクは、循環系内を循環する流体としての油を貯留する。サクションフィルタは、循環する流体(油)から異物を除去し浄化する。ポンプは、リリーフ弁、切替弁等を通して流体(油)を貯留タンクから圧縮状態で送出し、第1流体供給部40a等から噴出させる。このときの流体の吐出圧は、例えば、3MPa~7MPa等である。吐出された流体は、供給管60を介して、例えば第3ベースプレート32の流体導入口32bから第3ベースプレート32に供給される。供給された流体は、第2流路42を流れる過程で第3流体供給部42aから噴射されて第3流体膜44cを形成する。また、第2流路42の終端部に達して流体は、連結管48を介して第1流路40に流入する。流体は、第1流路40を流れる過程で第1流体供給部40aおよび第2流体供給部40bから噴出し、第1流体膜44a、第2流体膜44bを形成する。そして、第1流体膜44aとしての機能を終了し、第2ベースプレート30の第3面30aから流れ出た流体Wは、第3ベースプレート32の下方に設置されたドレンパン62によって回収される。同様に、第2流体膜44bとして機能を終了し、第1ベースプレート28の端部から流れ出た流体Wは、第3ベースプレート32の第5面32a上に流れ落ちる。また、第3流体膜44cとしての機能を終了し、第1ベースプレート28の端部から流れ出た流体Wは、第2流体膜44bとして機能していた流体Wとともにドレンパン62によって回収される。ドレンパン62に回収された流体Wは、流体リサイクル部24のポンプが発生する負圧によって吸引され、帰還路64を介して、流体リサイクル部24の貯留タンクに戻され、サクションフィルタによる濾過の後、再度、油膜形成のために再利用される。
【0035】
図11は、振動発生装置10のスリップテーブル12の接続状態の切り替えの態様CSを示す例示的かつ模式的な説明図である。
図11の場合、スリップテーブル12の載置面12aには、略直方体形状の供試品66が固定されている。供試品66は、その短手方向辺66aの一方を連結ブロック22に接続された一対のガイド部材56の配列方向と平行になるように固定されている。
【0036】
図11の態様CS1には、振動台18に接続されガイド部材56に案内される連結ブロック22がスリップテーブル12の外縁部に設けられた固定ブロック26のうち第1固定ブロック26Mに連結された状態が示されている。第1固定ブロック26Mと連結ブロック22との接続は、締結部材によって行われる。したがって、振動台18が
図1中矢印X方向に振動した場合、供試品66は、短手方向辺66aと直交する長手方向辺66bに沿って加振され、振動試験が実行される。なお、この場合、連結ブロック22がガイド部材56に案内され、かつスリップテーブル12が第1流体膜44a等の流体軸受けによって支持されるため、供試品66は、ガイド部材56の設置面(例えば定盤)と平行にかつ安定して加振され、高精度の振動試験が実行される。
【0037】
図11の態様CS2には、供試品66の振動試験が一旦終了し、次に供試品66の他の方向での振動試験を実行するために、連結ブロック22がスリップテーブル12の第1固定ブロック26Mから分離させた状態が示されている。第1固定ブロック26Mと連結ブロック22との分離は、
図4、
図9で説明したように、締結部材を挿通穴26bから抜き取ることによって可能である。
【0038】
続いて、
図11の態様CS3に示されるように、供試品66を載置面12aに固定した状態のまま、スリップテーブル12を例えば、反時計方向回りに旋回させる。この場合、第2ベースプレート30の開口部36の直径Rは、第1ベースプレート28の突出部34の直径rより隙間S分大きく形成されているので、第1ベースプレート28とともにスリップテーブル12は、連結ブロック22から離間する方向に手動で容易に摺動可能である。したがって、スリップテーブル12(固定ブロック26)は、連結ブロック22と干渉することなく旋回させることができる。また、前述したように、旋回動作時においても、第1流体膜44a、第2流体膜44b、第3流体膜44cが形成されているため、スリップテーブル12はスムーズかつ安定的、容易に旋回可能である。
【0039】
態様CS4には、スリップテーブル12を反時計方向回りに90°旋回させた結果、連結ブロック22に形成された第1固定ブロック26Mに隣接する第2固定ブロック26Nが対面した状態が示されている。この場合、固定ブロック26が連結ブロック22と対面する位置でクリック感を持って一旦停止するように構成しておけば、スリップテーブル12の旋回動作を容易かつ正確に実施することができる。
【0040】
態様CS5には、連結ブロック22の対面位置に移動した第2固定ブロック26Nを連結ブロック22に連結した状態が示されている。この場合、スリップテーブル12を連結ブロック22に接近させる必要があるが、この場合も第1流体膜44a等が形成された状態のままなので、スリップテーブル12の第2固定ブロック26Nを容易かつスムーズに連結ブロック22に接近させることができる。この状態で、締結部材を第2固定ブロック26Nの挿通穴26bに挿入し螺合させることによってスリップテーブル12(第2固定ブロック26N)と連結ブロック22の固定が完了する。この場合、供試品66は、長手方向辺66bの一方を連結ブロック22に接続された一対のガイド部材56の配列方向と平行になるように固定される。したがって、振動台18が
図1中矢印X方向に振動した場合、供試品66は、長手方向辺66bと直交する短手方向辺66aに沿って加振され、振動試験が実行される。つまり、供試品66をスリップテーブル12から取り外すことなく、供試品66に対する振動試験方向を変更し、高精度の振動試験を容易かつ効率的に実行するこができる。
【0041】
なお、振動試験により、スリップテーブル12には様々な方向の力のモーメントが発生している。振動発生装置10において、スリップテーブル12と第1ベースプレート28は一体的に連結されているため、スリップテーブル12に発生する力のモーメントは第1ベースプレート28に伝わる。第1流体供給部40a、第2流体供給部40b、第3流体供給部42aの周囲に形成されたポケット46は、第2ベースプレート30の第4面30bと、第3ベースプレート32の第5面32aにおいて、第1ベースプレート28を挟んだ上下方向に対向した位置に配置することができる。その結果、第1ベースプレート28に強力な対抗力を発生させることが可能になる。この対抗力は供給する流体(油)の圧力を変えることで所望の大きさに変更することができる。そのため、流体の圧力を調整することで、供試品66(スリップテーブル12)の振動方向以外の振動を効果的に抑制することが可能となり、振動試験の精度をさらに向上させることができる。なお、ポケット46(第2流体供給部40b、第3流体供給部42a)は、スリップテーブル12(第1ベースプレート28)が摺動時または旋回時であっても第1ベースプレート28平面投影面範囲内に配置することで、効率的に対抗力を発生させることができる。
【0042】
上述した実施形態において、第1流体供給部40aは、第2ベースプレート30の第3面30aの全面に第1流体膜44aを薄く広く形成するため、扁平な第3面30aに端部が開口した態様を示した。他の実施形態では、第1流体供給部40aの周囲に流体を分配する溝を形成してもよい。
【0043】
図12は、振動発生装置10の第2ベースプレート30の第3面30aに形成される第1流体膜44aの形成に寄与する流体分配溝68を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【0044】
第3面30aの表面において、流体分配溝68は、第1流体供給部40aを起点として形成される、流体を第3面30aの広範囲に分配するために形成された溝であり、スリップテーブル12の摺動面12cと第2ベースプレート30の第3面30aとの間に広い第1流体膜44aを形成する。
図12の場合、第1流体供給部40aと流体分配溝68とは、第3面30a平面内でつながり、流体分配溝68に沿って流体がスムーズに流れるため、第3面30aの広範囲に安定的に流体を供給することができる。その結果、各第1流体供給部40aに繋がる流体分配溝68で囲まれた、流体による安定した略均一の圧力エリアを形成する。そして、広範囲に広がる流体(第1流体膜44a)は、スリップテーブル12の振動試験中の供試品66やスリップテーブル12のビビリ振動や共振により発生する、正規振動方向(
図1のX方向)以外の微振動(クロストーク成分)を減衰させ、精度のよい振動試験を可能とする。
図12の流体分配溝68の構成は、第1流体供給部40aを起点とする流体分配溝68は、開口部36の周囲に略矩形の圧力エリアを複数形成し、スリップテーブル12の摺動面12cを均一に支持する例である。
【0045】
図13は、振動発生装置10の第2ベースプレート30の第3面30aに形成される第1流体膜44aの形成に寄与する他の流体分配溝68aを示す例示的かつ模式的な平面図である。
図13の場合、複数の第1流体供給部40aと流体分配溝68aとが、第3面30a平面内でつながった、開口部36を包囲する矩形の圧力エリアを形成している。この場合も、流体分配溝68aに沿って流体がスムーズに流れるため、第3面30aの広範囲に安定的に流体を供給することができる。その結果、流体による安定した略均一の圧力エリアを形成する。また、この場合も、広範囲に広がる流体(第1流体膜44a)は、スリップテーブル12の振動試験中の供試品66やスリップテーブル12のビビリ振動や共振により発生する、正規振動方向(
図1のX方向)以外の微振動(クロストーク成分)を減衰させ、精度のよい振動試験を可能にすることができる。
【0046】
図14の平面図及び
図15の分解斜視図は、
図11の態様CS4において、固定ブロック26(第2固定ブロック26N)が連結ブロック22と対面する位置でクリック感を持って一旦停止感を得やすい構成を説明する説明図である。
【0047】
図11で説明したように、態様CS2で、連結ブロック22と固定ブロック26との連結が解消された場合、第1ベースプレート28は、第2流体膜44bと第3流体膜44cによって形成される流体軸受によって第2ベースプレート30と第3ベースプレート32との間で、実質的に非接触のフリー状態で回転可能に支持される。仮に、第1ベースプレート28に固定回転軸が存在する場合、振動試験のとき、例えば、水平加振時に固定回転軸が、水平方向の剪断応力を受ける可能性があり、回転軸が摩耗したり損傷したりして回転機能を損なう虞がある。一方、固定回転軸が存在しない本実施形態の第1ベースプレート28の場合、上述のような不都合を生じることなく、振動試験及びスリップテーブル12(第1ベースプレート28)の接続状態の切替作業を行うことができる。しかしながら、第1ベースプレート28の突出部34の直径より第2ベースプレート30の開口部36の内径の方が大きいため、第1ベースプレート28の回転中心は定まり難く、また、固定ブロック26と連結ブロック22との位置合わせが煩雑になる場合がある。
【0048】
そこで、
図14、
図15に示すように、第1ベースプレート28の外周を囲むように複数の方向からガイドする回転ガイド部70及びクリック感を生じさせる抵抗発生部72を配置している。
図14は、第1ベースプレート28の突出部34に接続されるスリップテーブル12及び第2ベースプレート30を取り外した状態である。
図14の場合、回転ガイド部70は、第3ベースプレート32の四隅に配置される第4ベースプレート38のうち三つに配置され、他の一つの第4ベースプレート38に抵抗発生部72が配置されている例が示されている。
【0049】
また、第1ベースプレート28の外周面には、ギヤ74が周設されている。ギヤ74は、回転ガイド部70に回転可能に支持される回転ギヤ70aと噛合可能である。回転ギヤ70aは、第4ベースプレート38に対してギヤ74と回転ギヤ70aとが噛合状態となる第1姿勢(実線で図示)と非噛合状態となる第2姿勢(破線で図示)との間で揺動可能なスイングアーム70bによって回転可能に軸支されている。スイングアーム70bは、第4ベースプレート38に揺動可能に軸支されている。スイングアーム70bは、図示を省略した付勢部材(例えば、板バネやつるまきバネ)によって時計回り方向に付勢されギヤ74と回転ギヤ70aとが噛合状態となる第1姿勢を形成する。なお、第4ベースプレート38または第4ベースプレート38には、スイングアーム70bに軸支される回転ギヤ70aが第1姿勢のときに突出部34の略中心位置の方向を向いて停止するように配置されたストッパ(不図示)が形成されている。
【0050】
一方、抵抗発生部72は、第1ベースプレート28の周方向に可撓性を有する接触子72aをスイングアーム72bによって支持している。接触子72aは、第1ベースプレート28の周囲に形成されたギヤ74及びその一部に形成された切欠部74aと係合可能である。スイングアーム72bは、第4ベースプレート38に揺動可能に軸支されている。したがって、抵抗発生部72は、接触子72aがギヤ74または切欠部74aと接触する第1姿勢(実線で図示)と、接触子72aがギヤ74または切欠部74aと非接触となる第2姿勢(破線で図示)との間で揺動可能である。スイングアーム72bもスイングアーム70bと同様に、図示を省略した付勢部材(例えば、板バネやつるまきバネ)によって時計回り方向に付勢され、接触子72aがギヤ74または切欠部74aと接触する第1姿勢を形成する。第4ベースプレート38または第4ベースプレート38には、スイングアーム72bに支持される接触子72aが第1姿勢のときに突出部34の略中心位置の方向を向いて停止させるようなストッパ(不図示)が形成されている。切欠部74aは、ギヤ74の歯丈より深く形成された窪みで、例えば、第1ベースプレート28の周囲に90°間隔で形成されている。
【0051】
図14に示されるように、第1ベースプレート28は、回転ガイド部70及び抵抗発生部72が第1姿勢のときに四方から支持されることになり、実質的にセンタリングされるようになる。したがって、固定ブロック26と連結ブロック22との対面位置を変化させるために、スリップテーブル12(第1ベースプレート28)を回転させると、接触子72aは、例えば、90°ごとに切欠部74aと接触する。その結果、接触子72aは、切欠部74aを通過するときに、切欠部74a以外のギヤ74の歯面を通過するときより強い抵抗感を発生することができる。つまり、抵抗発生部72は、強いクリック感、または、停止感を発生することができる。このとき、切欠部74aと接触子72aの接触によって強いクリック感または停止感が得られるタイミングで、固定ブロック26と連結ブロック22とが対面するように各部材の配置調整を行う。その結果、スリップテーブル12の回転切り替え時の固定ブロック26と連結ブロック22との位置合わせを容易かつ正確に行うことができる。なお、回転ギヤ70aは、90°間隔で、切欠部74aを通過するが、ギヤ74と回転ギヤ70aの歯の形状を調整することにより、回転ギヤ70aは切欠部74aをスムーズに通過することが可能であり、接触子72aと切欠部74aとが接触したときの強いクリック感を強調させるようにすることができる。
【0052】
回転ギヤ70aを軸支するスイングアーム70b及び接触子72aを支持するスイングアーム72bには、付勢部材の付勢力に逆らってギヤ74から回転ギヤ70a及び接触子72aを離間させて第2姿勢とさせる駆動ワイヤ76が接続されている。
図14の場合、駆動ワイヤ76は、三つの回転ガイド部70及び一つの抵抗発生部72を相互に接続している。また、駆動ワイヤ76の一部には、例えば、回転操作可能な操作部78と接続された連動ワイヤ76aが設けられている。操作部78を、例えば時計回り方向に回転させることにより、連動ワイヤ76a及び駆動ワイヤ76が巻き上げられスイングアーム70b(回転ガイド部70)及びスイングアーム72b(抵抗発生部72)を第2姿勢に移行させる。また、操作部78を反時計方向に回転させれば、連動ワイヤ76a及び駆動ワイヤ76が巻き戻されてスイングアーム70b(回転ガイド部70)及びスイングアーム72b(抵抗発生部72)を第1姿勢に移行させることができる。
図14の場合、第3ベースプレート32の各側面に操作部78が形成されているが、いずれか一か所の操作部78を操作することにより、三つの回転ガイド部70及び一つの抵抗発生部72を連動して同様の状態に移行させることができる。その結果、スリップテーブル12の回転状態に拘わらず、操作部78の操作(回転ガイド部70と抵抗発生部72の姿勢切替)を容易に行うことができる。なお、駆動ワイヤ76と操作部78は回転ガイド部70及び抵抗発生部72を個別に揺動させるように構成されてもよい。
【0053】
図14の場合、三つの回転ガイド部70及び一つの抵抗発生部72の合計4部品(4点)が第1姿勢の場合に第1ベースプレート28に接触し、第1ベースプレート28のセンタリングを行う例を示した。第1ベースプレート28のセンタリングは、最低3点で行うことが可能であり、例えば、二つの回転ガイド部70及び一つの抵抗発生部72を第1ベースプレート28に対して例えば、120°間隔で配置するようにしてもよく、同様の効果を得ることができる。また、少なくとも、二つの回転ガイド部70及び一つの抵抗発生部72が含まれればよく、5点以上で支持するようにしてもよい。また、
図14の場合、回転ガイド部70及び抵抗発生部72を第4ベースプレート38に配置する例を示したが、第1姿勢のときに、第1ベースプレート28のセンタリングが可能であればよく、他の位置に設けてもよく、同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、
図14では、切欠部74aを、固定ブロック26の配置間隔に合わせて90°間隔で形成する例を示した。この場合、スリップテーブル12が90°回転するごとに、強いクリック感または停止感を得ることができるが、他の間隔で切欠部74aを形成してもよい。例えば、固定ブロック26の形成数を増加させる場合、その増加数に合わせて、45°間隔や第2ベースプレート30°間隔等で切欠部74aを形成してもよい。この場合、スリップテーブル12の回転時のクリック感または停止感をさらに細かい回転角で得ることが可能である。その結果、スリップテーブル12の回転時の位置決め性を向上することができる。
【0055】
また、別の実施形態では、抵抗発生部72を省略し、三か所以上の回転ガイド部70の少なくとも一つの回転ギヤ70aに、当該回転ギヤ70aの回転時にクリック感が得られるラチェット機構を設けるとともに、固定ブロック26と連結ブロック22の両方に、当該固定ブロック26と連結ブロック22とが連結可能な対面位置を確認できるマーク等の指標を設けてもよい。この場合、クリック感でスリップテーブル12(固定ブロック26)の回転位置を確認しながら固定ブロック26側の指標と連結ブロック22側の指標との位置合わせを行うようにしてもよい。この場合、クリック感や停止感が得られる構成のシンプル化が容易になるとともに、スリップテーブル12の回転時の位置決め性を向上することができる。
【0056】
図14、
図15の例では、回転ガイド部70及び抵抗発生部72が第1ベースプレート28の周方向に揺動することで、第1姿勢と第2姿勢を切り替える例を示した。別の実施形態では、回転ガイド部70及び抵抗発生部72は、第1ベースプレート28の径方向に移動して第1姿勢と第2姿勢を切り替えるようにしてもよい。また、周方向の揺動と径方向の移動を組み合わせてもよい。また、
図14の例では、回転ガイド部70及び抵抗発生部72の第1姿勢と第2姿勢の切替を、駆動ワイヤ76を用いた切換機構で行う例を示した。第1姿勢と第2姿勢の切り替えが可能であれば、他の切替機構を用いてもよい。切替機構は、例えば、リンク機構やモータ駆動機構等を用いてもよく、同様の効果を得ることできる。
【0057】
図16は、固定ブロック26が連結ブロック22と対面する位置でクリック感を持って一旦停止感を得やすい他の構成を示す例示的かつ模式的な側面図である。
【0058】
図16示す変形例の場合、第1ベースプレート28は、厚み方向(上下方向)に、例えば、第1層28Mと第2層28Nを備える多層構造で構成されている。第1層28Mの外周面には、例えば、ギヤ74が全周に形成されている。また、第2層28Nの外周面には、例えば、90°間隔で切欠部74aが4箇所(
図16では、三か所が見えている)に形成されている。つまり、ギヤ74と接触子72aとが異なる領域に形成されている。なお、第1層28Mと第2層28Nの積層順番は逆でもよい。
【0059】
変形例の場合、三か所の第4ベースプレート38に形成される回転ガイド部70は、第1層28Mの高さに対応して形成され、回転ガイド部70が第1姿勢に切り替わるとき、すなわちスリップテーブル12の回転位置決め時には、第1層28Mの外周面の全周に形成されたギヤ74と回転ギヤ70aが、常に噛合するようになる。同様に、一か所の第4ベースプレート38に形成される抵抗発生部72は、第2層28Nの高さに対応して形成され、抵抗発生部72が第1姿勢に切り替わるとき、すなわちスリップテーブル12の回転位置決め時には、第2層28Nの外周面に90°間隔で形成された切欠部74aと接触子72aが、90°ごとに係合し、クリック感や停止感を発生する。換言すれば、切欠部74aが形成されていない位置では、クリック感や停止感は発生しない。
【0060】
上述した
図14、
図15の構成の場合、接触子72aは、ギヤ74及び切欠部74aの両方に接触するため、クリック感や停止感は、常に生じている。そして、接触子72aが切欠部74aと係合する場合により強いクリック感や停止感が得られて回転位置の確認ができる。この場合、接触子72aが切欠部74aと係合した場合のクリック感や停止感の判断にはある程度慣れや経験が必要になるが、第1ベースプレート28の薄型化や構成の簡略化が可能であり、製造コストの低減や装置の小型化、軽量化に寄与できる。
【0061】
一方、
図16に示す構成の場合、接触子72aが切欠部74aと係合した場合のみ、クリック感や停止感が得られるので、固定ブロック26が連結ブロック22と対面する位置の認識を、振動発生装置10の利用者により容易かつ正確に行わせることが可能となる。
【0062】
なお、上述の説明では、第1ベースプレート28の四隅に設けられる第4ベースプレート38のうち三か所に回転ガイド部70を配置する例を示したが、四隅の第4ベースプレート38の全てに回転ガイド部70を配置してもよい。この場合、四隅の第4ベースプレート38のうちの一か所に回転ガイド部70と抵抗発生部72と積層状態で配置する。この場合、第1ベースプレート28は、90°間隔で配置された四つの回転ガイド部70で四点支持可能となり、第1ベースプレート28のセンタリングを、より安定的な回転で正確に実現することができる。
【0063】
上述した実施形態の
図11において、連結ブロック22及び連結ブロック22を案内するガイド部材56は、振動台18に近い側にのみ形成する例を示した。他の実施形態においては、スリップテーブル12を挟んで、振動台18から遠い側にも連結ブロック22及び連結ブロック22を案内するガイド部材56を設けてもよい。すなわち、スリップテーブル12は、振動試験時には、振動方向(
図1の矢印X方向)に平行な、直線上に配置される一対の連結ブロック22によって案内される。その結果、スリップテーブル12のより安定した振動試験を実施することができる。なお、供試品66の振動方向を変更するためにスリップテーブル12を旋回させる際、振動台18から遠い側の追加した連結ブロック22は、ガイド部材56に沿ってスリップテーブル12からさらに離間する方向に移動させることができる。その結果、スリップテーブル12の旋回時に、当該スリップテーブル12は、追加した連結ブロック22と非干渉とし、容易かつスムーズに供試品66の振動試験方向を変更することができる。
【0064】
また、上述した実施形態においては、第1流体供給部40aは4つ、第2流体供給部40b及び第3流体供給部42aは8つ形成する例を示した。第1流体供給部40a、第2流体供給部40b、第3流体供給部42aは、第1流体膜44a、第2流体膜44b、第3流体膜44cを広範囲に均一に形成することができれば、その形成数は適宜増減変更可能である。また、配置パターンも適宜変更可能であり、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10…振動発生装置、12…スリップテーブル、12a…載置面、14…振動発生部、22…連結ブロック、24…流体リサイクル部、26…固定ブロック、28…第1ベースプレート、28a…第1面、28b…第2面、30…第2ベースプレート、30a…第3面、30b…第4面、32…第3ベースプレート、32a…第5面、34…突出部、36…開口部、40…第1流路、40a…第1流体供給部、40b…第2流体供給部、42…第2流路、42a…第3流体供給部、44a…第1流体膜、44b…第2流体膜、44c…第3流体膜、46…ポケット、46a…ランド、66…供試品、70…回転ガイド部、70a…回転ギヤ、72…抵抗発生部、72a…接触子、74…ギヤ、74a…切欠部。