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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184826
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】物品収納装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/02 20190101AFI20221206BHJP
   B60P 3/20 20060101ALI20221206BHJP
   B62D 33/04 20060101ALI20221206BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65D90/02 B
B60P3/20 Z
B62D33/04 E
B62D33/04 D
F25D23/06 302A
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089342
(22)【出願日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2021092224
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521238340
【氏名又は名称】コールドストレージ・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大悟
【テーマコード(参考)】
3E170
3L102
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170DA01
3E170DA09
3E170EA06
3E170EB02
3E170NA01
3E170NA04
3E170RA02
3E170WE01
3E170WE03
3E170WE05
3L102JA06
3L102KC07
3L102LC09
3L102LC22
3L102LC23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】物品収納装置において各部材同士の接合部分の隙間から虫や塵埃等の侵入を防止することができ、断熱性能を向上させることが可能な物品収納装置を提供する。
【解決手段】コンテナと、コンテナ内に設けられた物品を収容する箱体と、箱体内を冷却する冷却手段とを具備する物品収納装置であって、箱体は、天井パネル及び床パネルと、前壁パネル及び後壁パネルと、一対の側壁パネルと、前壁パネル又は後壁パネルに開閉自在に取り付けられる扉パネルとを備え、各パネルは、断熱材からなる板状基材と、板状基材の両面に装着した外板及び内板とにより構成され、天井パネルは、四辺の端面に凸条を有し、前壁パネル、後壁パネル及び一対の側壁パネルは、上辺に天井パネルの凸条に嵌合可能な凹条と、下辺の端面に凸条とを有し、床パネルは、四辺の上面側に、前壁パネル、後壁パネル及び一対の側壁パネルの下辺の端面に設けられた凸条と嵌合可能な凹条を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナと、前記コンテナ内に設けられた物品を収容する箱体と、前記箱体内を冷却する冷却手段とを具備する物品収納装置であって、
前記箱体は、
天井パネル及び床パネルと、前壁パネル及び後壁パネルと、一対の側壁パネルと、
前記前壁パネル又は後壁パネルに開閉自在に取り付けられる扉パネルと、を備え、
各パネルは、断熱材からなる板状基材と、当該板状基材の両面に装着した外板及び内板とにより構成され、
前記天井パネルは、四辺の端面に凸条を有し、
前記前壁パネル、後壁パネル及び一対の側壁パネルは、上辺に前記天井パネルの凸条に嵌合可能な凹条と、下辺の端面に凸条とを有し、
前記床パネルは、四辺の上面側に、前記前壁パネル、後壁パネル及び一対の側壁パネルの下辺の端面に設けられた凸条と嵌合可能な凹条を有することを特徴とする、
物品収納装置。
【請求項2】
前記扉パネルは、4辺の内面側に辺と平行に伸びる円柱部材又は円筒部材を有する、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項3】
前記凸条は、断面が台形状で構成されていて、
前記台形状の上面に、長手方向に伸びる凹部が形成されている、
前記凹条は、断面が台形状で構成されている、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項4】
前記凹部を含む前記凹条と前記凸条との間に、シーリング材が設けられている、
請求項3記載の物品収納装置。
【請求項5】
前記箱体は、前記コンテナの内面と当該箱体の外面との間に、隙間を設けて配されている、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項6】
前記コンテナの壁面内面側に、断熱層が吹き付けにより設けられている、
請求項5記載の物品収納装置。
【請求項7】
前記床パネルは、配水管が取り付けられる排水口と、これを塞ぐ排水口蓋とを有し、
前記排水口蓋は、排水ゴム栓部と蓋部とを備え、前記排水口に着脱可能に嵌めこまれていて、
前記排水ゴム栓は、前記排水口に嵌めやすく、しっかりと嵌まりこむ、台形錐状に構成されている、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項8】
前記パネルの前記板状基材は、硬質ウレタンフォームで成型されている、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項9】
前記外板及び内板がカラー鋼板である、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項10】
各パネルのコーナー部に、巾木または山形鋼が設けられている、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項11】
前記床パネルと前記前壁パネル及び一対の側壁パネルとのコーナー部に巾木が設けられている、
請求項10記載の物品収納装置。
【請求項12】
前記巾木は、その表面を前記前壁パネル及び一対の側パネル側に位置する上端部側から前記床パネル側に位置する下端部側に向けて下降傾斜させ、前記巾木の表面が平面又は凹曲面である、
請求項11記載の物品収納装置。
【請求項13】
前記天井パネルと前記前壁パネル、後壁パネル及び一対の側壁パネルとのコーナー部に山形鋼が設けられている、
請求項10記載の物品収納装置。
【請求項14】
前記床パネルと前記前壁パネル及び一対の側壁パネルとのコーナー部に巾木が設けられていて、
前記天井パネルと前記前、後壁パネル及び一対の側壁パネルとのコーナー部に山形鋼が設けられている、
請求項10記載の物品収納装置。
【請求項15】
前記コンテナが、自動車などの駆動車輌に牽引されるタイヤを備えるコンテナである、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項16】
前記箱体の前記各パネルを構成する前記板状基材が、第1方向に延びる長板が並んで接着された第1平板部と、第1方向に直交する第2方向に延びる長板が並んで接着された第2平板部とが交互に積層された板材である、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項17】
前記コンテナの上面や下面、側面などを構成する各パネルが、第1方向に延びる長板が並んで接着された第1平板部と、第1方向に直交する第2方向に延びる長板が並んで接着された第2平板部とが交互に積層された板材である、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項18】
前記コンテナと前記箱体の天井パネル、床パネル、前壁パネル、後壁パネル、又は側壁パネルとの間の空間にスターリング冷凍機と、
前記スターリング冷凍機と接続されていた蓄電池とを備える、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項19】
前記コンテナの外側の天面に、太陽光パネルが配されている、
請求項1記載の物品収納装置。
【請求項20】
前記太陽光パネルに接続され、該太陽光パネルにより発電される電気を蓄電する蓄電池をさらに備える、
請求項19記載の物品収納装置。
【請求項21】
前記蓄電池は、前記コンテナと前記箱体の天井パネル、床パネル、前壁パネル、後壁パネル、又は側壁パネルとの間の空間に配されている、
請求項18又は20記載の物品収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や医薬品等の各種物品を保冷又は保温した状態で運送、保管するための物品収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、食品や医薬品等の各種物品を保冷又は保温した状態で運送保管するためのコンテナは保冷又は保温機能を有する複数のパネルを箱型に組み立てて用いられている。
【0003】
特許文献1には、断熱材を含む前壁パネル、後壁パネル、側壁パネル上辺及び下辺にそれぞれ接合される天井パネル及び床面パネルにより構成された保冷コンテナのパネルから構成されたコンテナが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、断熱材の厚みを大きくすることで断熱性能を向上させるコンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-203567号
【特許文献2】米国特許第6189330号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたコンテナは、コンテナを構成する床面パネルと、天井パネルと、前、後壁パネルと、一対の側壁パネルの各部材の端縁部間は、平面状の面同士の単なる当接にすぎないため、隙間から虫や塵埃等が侵入する。このため、上記のようなコンテナに果物等を入れて搬送しようとしても、コンテナ内に虫が入り込むという課題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載されたコンテナは、断熱性能は断熱材等の断熱部の厚さに依存するので、高い断熱性能を確保するためには、断熱材の厚みを大きくする必要があり、コンテナの重量が大きくなるとともに製造コストが高くなり、また限られた収納空間を更に小さくするという課題があった。
【0008】
そこで、このような課題に鑑み、物品収納装置において各部材同士の接合部分の隙間から虫や塵埃等の侵入を防止することができ、断熱性能を向上させることが可能な物品収納装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の態様にかかる物品収納装置は、コンテナと、前記コンテナ内に設けられた物品を収容する箱体と、前記箱体内を冷却する冷却手段とを具備する物品収納装置であって、前記箱体は、天井パネル及び床パネルと、前壁パネル及び後壁パネルと、一対の側壁パネルと、前記前壁パネル又は後壁パネルに開閉自在に取り付けられる扉パネルとを備え、各パネルは、断熱材からなる板状基材と、当該板状基材の両面に装着した外板及び内板とにより構成され、前記天井パネルは、四辺の端面に凸条を有し、前記前壁パネル、後壁パネル及び一対の側壁パネルは、上辺に前記天井パネルの凸条に嵌合可能な凹条と、下辺の端面に凸条とを有し、前記床パネルは、四辺の上面側に、前記前壁パネル、後壁パネル及び一対の側壁パネルの下辺の端面に設けられた凸条と嵌合可能な凹条を有することを特
徴とする。
【0010】
この構成によれば、前記天井パネル、前記前壁パネル、後壁パネル、前記一対の側壁パネル、前記床パネル、前記扉パネルが断熱性を有するので、箱体に断熱性をもたらすことができる。また、コンテナ内に物品を収容する箱体を設けることで、コンテナを含む物品収納装置全体の断熱性を向上させることができる。また、傷つきやすい断熱材からなる板状基材は、外板と内板で両面から挟まれて保護され、耐久性も確保できる。
【0011】
また、パネル同士の接合は凹条と凸条の嵌合により行うので、断熱性の向上を図ることができ、箱体全体の強度を強くすることができる。また、パネル同士の接合は凹条と凸条の嵌合により行うので、各パネル同士の端縁部同士の接合部分の隙間から虫や塵埃等の侵入を防止することができる。
【0012】
また、この物品収納装置は、前記扉パネルが、4辺の内面側に辺と平行に伸びる円柱部材又は円筒部材を有することを特徴とする。この構成によれば、扉パネルと、後壁パネルや床パネルとの接合部分が、平面同士の接合の場合にはどうしても隙間が生じてしまうところ、扉パネルの円柱部材又は円筒部材が介在することで、後壁パネルや床パネルとの接合部分に隙間が生じづらくなり、これにより虫や塵埃等の侵入を防止することができる。
【0013】
また、この物品収納装置は、前記凸条の断面が台形状で構成されていて、前記台形状の上面に長手方向に伸びる凹部が形成されており、前記凹条の断面が台形状で構成されていることを特徴とする。この構成によれば、凸条と凹条の台形同士がしっかりとはまり込むことで、確実な接合が可能となる。また、凸条の台形状断面の上面に長手方向に伸びる凹部が形成されていることで、後述するシーリング材と共に保冷に必要な水密性・気密性に効果を発揮する。
【0014】
また、この物品収納装置は、前記凹部を含む前記凹条と前記凸条との間に、シーリング材が設けられている。この構成によれば、凹部を含む凹条と凸条との間にシーリング材を設けることで、シーリング材と共に保冷に必要な水密性・気密性に効果を発揮する。併せて、凹部にシーリング材が設けられていることで、これがストッパーの役割となりズレを防止する。
【0015】
また、この物品収納装置は、前記箱体が前記コンテナの内面と当該箱体の外面との間に、隙間を設けて配されていることを特徴とする。この構成によれば、コンテナと箱体との間に隙間、すなわち、空間が形成されるので、間に空気の壁が介在されることにより断熱効率が向上する。
【0016】
また、この物品収納装置は、前記コンテナの壁面内面側に断熱層が吹き付けにより設けられている。この構成によれば、コンテナの壁面内面側に断熱層が形成されているので、断熱効率が更に向上する。断熱層は、例えばウレタンフォームやロックウール、グラスウールの吹き付けによって形成されている。
【0017】
また、この物品収納装置は、前記床パネルが、配水管が取り付けられる排水口と、これを塞ぐ排水口蓋とを有し、前記排水口蓋が、排水ゴム栓部と蓋部とを備え、前記排水口に着脱可能に嵌めこまれていて、前記排水ゴム栓が、前記排水口に嵌めやすく、しっかりと嵌まりこむ、台形錐状に構成されている。
【0018】
この構成によれば、箱体内に発生した結露による水分や箱体内を内部洗浄時に使用した水を、排水口を通じて外部へ排出させることができる。また、排水口蓋が台形錐状の排水ゴム栓部と蓋部とからなるので、排水ゴム栓部が排水口にしっかりと嵌まりこみ、かつ、
その上から蓋部でしっかりと塞ぐことで、排水口からの水の浸入と虫などの室内への侵入を確実に防止できる。
【0019】
また、この物品収納装置は、前記板状基材が、硬質ウレタンフォームで成型されている。この構成によれば、板状基材に硬質ウレタンフォームを使用することにより、より優れた断熱性を確保することが可能となる。また、硬質ウレタンフォームは施工現場での発泡が容易で、多くの材料と自己接着するので隙間のない連続した断熱層を作ることができる。
【0020】
また、この物品収納装置は、前記外板及び内板がカラー鋼板であることを特徴とする。この構成によれば、軽量で加工性が高く、防水性にも優れた外板及び内板とすることができる。さらに、コンテナ内に収容した物にマッチした色調、彩り感などを付与することができるほか、様々なデザイン効果を生むことができる。
【0021】
また、この物品収納装置は、各パネルのコーナー部に、巾木または山形鋼が設けられていることを特徴とする。この場合、前記床パネルと前記前壁パネル及び一対の側壁パネルとのコーナー部に巾木が設けられている構成とすることができる。この構成によれば、床パネルと前壁パネル及び一対の側壁パネルとのコーナー部に巾木を設けたことにより、床パネルと前壁パネル及び一対の側壁パネルとの隙間から虫や塵埃等が侵入することを防止することができる。
【0022】
また、この物品収納装置は、前記巾木は、その表面を前記前壁パネル及び一対の側パネル側に位置する上端部側から前記床パネル側に位置する下端部側に向けて下降傾斜させ、前記巾木の表面が平面又は凹曲面であることを特徴とする。この構成によれば、巾木の表面を壁パネル側に位置する上端部側から床パネル側に位置する下端部側に向けて下降傾斜させているので、巾木表面には塵埃がたまりにくく衛生的になる。また、巾木の表面を、平面又は凹曲面としているので、例えば、巾木の表面を平面とした場合にはその製作性が容易となり低コスト化が図られ、また巾木の表面を凹曲面とした場合には、塵埃等の付着残留が防止され、清掃性が向上し庫内の衛生環境が良好に維持されるとともに、美観性も向上がすることになる。また、収納物が壁パネルに当たった場合も壁パネルを損傷から守る効果がある。
【0023】
また、この物品収納装置は、前記天井パネルと前記前壁パネル、後壁パネル及び一対の側壁パネルとのコーナー部に山形鋼が設けられていることを特徴とする。この構成によれば、天井パネルと前壁パネル、後壁パネル及び一対の側壁パネルとの隙間から虫や塵埃等が侵入することを防止することができる。また、箱体全体の強度を強くすることができる。
【0024】
また、この物品収納装置は、前記床パネルと前記前壁パネル及び一対の側壁パネルとのコーナー部に巾木が設けられていて、前記天井パネルと前記前、後壁パネル及び一対の側壁パネルとのコーナー部に山形鋼が設けられていることを特徴とする。巾木と山形鋼の両方を使用する事で、壁パネル・床パネルを強固に結合する。
【0025】
また、この物品収納装置は、前記コンテナが、自動車などの駆動車輌に牽引されるタイヤを備えるコンテナとすることもできる。この構成によれば、地面に接地するコンテナや鉄道などに載置するコンテナ以外に、自動車で牽引可能なコンテナとでき、これにより自動車による物品収納装置の移動が可能となる。
【0026】
また、この物品収納装置は、前記箱体の前記各パネルを構成する前記板状基材が、第1方向に延びる長板が並んで接着された第1平板部と、第1方向に直交する第2方向に延びる長板が並んで接着された第2平板部とが交互に積層された板材である。この構成によれば、耐久性の高い物品収納装置となる。
【0027】
また、この物品収納装置は、前記コンテナの上面や下面、側面などを構成する各パネルが、第1方向に延びる長板が並んで接着された第1平板部と、第1方向に直交する第2方向に延びる長板が並んで接着された第2平板部とが交互に積層された板材である。この構成によれば、耐久性の高いコンテナとすることが可能となる。
【0028】
また、この物品収納装置は、前記コンテナと前記箱体の天井パネル、床パネル、前壁パネル、後壁パネル、又は側壁パネルとの間の空間にスターリング冷凍機と、前記スターリング冷凍機と接続されていた蓄電池とを備える。この構成によればスターリング冷凍機を利用して箱体内の物品を冷却することができる。
【0029】
また、この物品収納装置は、前記コンテナの外側の天面に、太陽光パネルが配されている。この構成によれば、太陽光パネルを用いて発電することができ、冷却用などの電力を自ら供給可能となる。
【0030】
また、この物品収納装置は、前記太陽光パネルに接続され、該太陽光パネルにより発電される電気を蓄電する蓄電池をさらに備える。この構成によれば、太陽光パネルにより発電した電気を蓄電池に蓄電しておくことが可能となる。
【0031】
また、この物品収納装置は、前記蓄電池が、前記コンテナと前記箱体の天井パネル、床パネル、前壁パネル、後壁パネル、又は側壁パネルとの間の空間に配されている。この構成によれば、コンテナと箱体の間の空間に蓄電池を配することで、コンテナの外形寸法を変えることなく蓄電池を配置できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、物品収納装置において各パネル同士の接合は凹条と凸条の嵌合により行うので、断熱性の向上を図ることができ、箱体全体の強度を強くすることができる。また、パネル同士の接合は凹凸条の嵌合により行うので、各パネル同士の端縁部同士の接合部分の隙間から虫の侵入を防止することができる。また、各パネルは断熱性を有するので断熱性能を向上させることができる。また、物品収納装置は、コンテナ内に物品を収容する箱体を設けることで、断熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の物品収納装置の縦断面図である。
図2】本発明の物品収納装置の横断面図である。
図3】本発明の物品収納装置の背面図である。
図4図1のA―A線における箱体の断面図である。
図5図1のB―B線における箱体の断面図である。
図6】箱体の排水口が設けられた部分の断面図である。
図7】スキッドの平面図である。
図8】別の実施形態の物品収納装置を示す横断面図である。
図9】別の実施形態の物品収納装置を示す平面図である。
図10】別の実施形態の物品収納装置のパネルを示す図である。
図11】別の実施形態の物品収納装置におけるコンテナを示す図である。(a)は側面図、(b)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態にかかる物品収納装置を図面に基づき説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
【0035】
<物品収納装置の構造>
本実施形態の物品収納装置は、図1図2に示すように、コンテナ1と、当該コンテナ内に設けられた物品を収容する箱体2と、箱体2内を冷却する冷却手段である冷蔵ユニット3を備える。冷蔵ユニット3は、庫内ユニット3aと庫外ユニット3bとからなる。なお、本実施形態において冷却手段を冷蔵ユニットとしているが、冷凍ユニット等箱体内を冷却する手段であれば特に限定されない。
【0036】
図1図2に示すように、本実施形態の箱体2は、天井パネル20、前壁パネル21、後壁パネル22、一対の側壁パネル23、床パネル24とで主に構成されており、また後壁パネル22に扉パネル25が開閉自在に連結されている。
【0037】
コンテナ1の内面と箱体2の外面との間には隙間を設けている。詳しくは、コンテナ1の一対の側壁面と箱体の一対の側壁パネル23との間には、それぞれ隙間4a,4bが、またコンテナ1の前後壁面と箱体2の前壁パネル21、後壁パネル22との間には、それぞれ隙間4c,4dが、またコンテナ1の天井面と箱体2の天井パネル20との間には隙間4eが、そしてコンテナ1の床面と箱体2の床パネル24との間には隙間4fが設けられている。
【0038】
隙間4a~4fを箱体2の周囲に設けることで、空気の壁を作り断熱効率を高め、消費電力を少なくしランニングコストの低減を図ることができる。なお、本実施形態において4aから4fの大きさはほぼ同じ大きさであるが、隙間4dの大きさを大きくして、箱体2へ物品を収容するための準備室とすることもできる。
【0039】
また、コンテナ1の壁面内側には、一例としてウレタンフォームが吹き付けにより設けられている(図1図2図4図5図6のハッチング部分)。これにより、コンテナ1の壁面内側に断熱層が形成されることで、コンテナ1と箱体2の間の空気の壁と併せて、断熱効率がさらに向上する。なお、断熱層はロックウールやグラスウールとしてもよい。
【0040】
コンテナ1の後壁面は、図3に示すように、2枚の外扉11a,11bから構成される。この外扉11a,11bは、図1に破線で示すように、一端側を支点として回動可能にコンテナ1の本体部に取り付けられている。外扉11a,11bはロック機構を備える。
【0041】
天井パネル20は、本実施形態においては硬質ウレタンフォームの断熱材からなる板状基材5と、この板状基材5の両面に装着した外板6及び内板7とで構成されている。硬質ウレタンフォームを板状基材5に使用することで、より優れた断熱性が確保される。断熱性を確保するために、板状基材5としての硬質ウレタンフォームの厚さは、20mm以上
であることが好ましく、軽量化のために50mm以下であることが好ましい。
【0042】
本実施例においては硬質ウレタンフォームの厚さは50mmである。また、外板6及び内板7は例えばカラー鋼板にて形成されている。天井パネル20の内側には照明35が取り付けられている。
【0043】
また、天井パネル20は、四辺の端面に凸条26が設けられている。この凸条26は、断面が台形状で構成されていて、台形状の上面部分に、長手方向に伸びる凹部26aが形成されている。この凹部26aが形成されていることで、凸条と凹条の台形同士がしっかりとはまり込み確実な接合が可能となる。また、凸条の台形状断面の対面に水平方向に伸びる凹部が形成されていることで、ここにシーリング材を設けることで、シーリング材と共に保冷に必要な水密性・気密性に効果を発揮する。
【0044】
また、凸条26は、後述する前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23の上辺の内面に設けられた凹条27と嵌合され、天井パネル20と前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23の接合性を高めることができる。これにより、接合部分の隙間から虫の侵入を防止することができる。また、天井パネル20の四辺の端面には保護枠10が装着されている。なお、本実施形態において保護枠10は塩化ビニル樹脂製である。
【0045】
また、図4に示すように、天井パネル20と前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23とのコーナー部に山形鋼8が固定されている。本実施形態において山形鋼8はアルミアングルである。天井パネル20と前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23との隙間から虫や塵埃等が侵入することを防止することができる。また、箱体2全体の強度を強くすることができる。
【0046】
前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23は、本実施形態において硬質ウレタンフォームの断熱材からなる板状基材5と、この板状基材5の両面に装着した外板6及び内板7とで構成されている。硬質ウレタンフォームを板状基材5に使用することで、より優れた断熱性が確保される。
【0047】
断熱性を確保するために、板状基材5としての硬質ウレタンフォームの厚さは、20mm以上であることが好ましく、軽量化のために50mm以下であることが好ましい。本実施例においては硬質ウレタンフォームの厚さは50mmである。また、外板6及び内板7は例えばカラー鋼板にて形成されている。
【0048】
また、前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23の上辺の内面に、天井パネル20の凸条26に嵌合可能な凹条27が設けられ、かつ、下辺の端面に凸条26Aが設けられている。この凹条27は天井パネル20の四辺の端面に設けられた凸条26と嵌合させており、天井パネル20と前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23の接合性を高めることができる。これにより、接合部分の隙間から虫の侵入を防止することができる。
【0049】
この凸条26Aは、上記した凸条26と同様に断面が台形状に構成され、台形の上面に凹部26aが形成されている。また、凸条26Aは、後述する床パネル24の四周側辺の上面側に設けられた凹条27Aと嵌合させており、前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23と床パネル24の接合性を高めることができ、接合部分の隙間から虫の侵入を防止することができる。
【0050】
前壁パネル21及び一対の側壁パネル23の上辺の内面には、天井パネル20との接合
部分に保護枠10Aを装着している。後壁パネル22の内面側の一側に凹条27を有する断面略コ字状に形成された保護枠10Bを装着している。前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23の下辺の端面に保護枠10Cを装着している。本実施形態において保護枠10A、10B、10Cは塩化ビニル樹脂製である。
【0051】
また、前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23と天井パネル20のコーナー部に山形鋼8が固定されている。したがって、前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23と天井パネル20との隙間から虫や塵埃等が侵入することを防止することができ、箱体2全体の強度を強くすることができる。
【0052】
また、図4に示すように、前壁パネル21及び一対の側壁パネル23と床パネル24のコーナー部に巾木9が固定されている。したがって、前壁パネル21及び一対の側壁パネル23と床パネル24の隙間から虫や塵埃等が侵入することを防止することができ、箱体2全体の強度を強くすることができる。本実施形態において巾木9はR巾木である。
【0053】
床パネル24は、本実施形態において硬質ウレタンフォームの断熱材からなる板状基材5と、この板状基材5の両面に装着した外板6及び内板7とで構成されている。硬質ウレタンフォームを板状基材5に使用することで、より優れた断熱性が確保される。断熱性を確保するために、板状基材5としての硬質ウレタンフォームの厚さは、20mm以上であることが好ましく、軽量化のために50mm以下であることが好ましい。本実施例においては、硬質ウレタンフォームの厚さは50mmである。また、外板6及び内板7は例えばカラー鋼板にて形成されている。
【0054】
また、床パネル24の四周側辺の上面側に、前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側パネル23の下辺の端面に設けられた凸条26Aと嵌合可能な凹条27Aを備える。この凹条27Aは、床パネル24と前壁パネル21、後壁パネル22及び一対の側壁パネル23の接合性を高めることができ、接合部分の隙間から虫の侵入を防止することができる。床パネル24の四隅に、上面側の一側に凹条27Aを有する断面略コ字状の保護枠10Dを装着している。本実施形態において、保護枠10Dは塩化ビニル樹脂製である。
【0055】
床パネル24には、図6に示すように、排水口30が設けられており、排水口30には排水ゴム栓部31と蓋部32とを具備する排水口蓋が着脱可能に嵌めこまれている。排水ゴム栓部31及び蓋部32は、箱体1の内部清掃時等に取り外され、これによって排水管33への水の流入が可能となる。排水口蓋を構成する排水ゴム栓部31は、台形錐状に形成されているので、排水口30にしっかりと嵌まりこめることができる。加えて、排水ゴム栓部31の上から蓋部32を覆いかぶせるように排水口30にはめ込むことで、箱体2内への水の浸入並びに虫や塵埃等の侵入を確実に防止することができる。
【0056】
排水口30に、継手34の一端が接合され、継手34のもう一方に排水管33の一端が接合されている。排水口30内に流入した水は、排水管33によって、箱体2内から排出される。
【0057】
図3に示すように、扉パネル25は、後壁パネル22に開閉自在に取り付けられている。この扉パネル25は、物品の収容や取り出し等で箱体2内に立ち入る場合に利用されるもので、図1に点線で示すように一端側を支点として開閉自在に、箱体2の後壁パネル22に取り付けられている。なお、扉パネル25はロック機構を備える。
【0058】
扉パネル25は、本実施形態においては、硬質ウレタンフォームの断熱材からなる板状基材5と、この板状基材5の両面に装着した外板6及び内板7とで構成されている。硬質ウレタンフォームを板状基材5に使用することで、より優れた断熱性が確保される。断熱
性を確保するために、板状基材としての硬質ウレタンフォームの厚さは、20mm以上であることが好ましく、軽量化のために50mm以下であることが好ましい。本実施例においては硬質ウレタンフォームの厚さは50mmである。また、外板6及び内板7は例えばカラー鋼板にて形成されている。
【0059】
また、図5に示すように、扉パネル25の4辺の内面側には、それぞれ辺と平行に伸びる円筒部材28が設けている。この円筒部材28により、扉パネル25と後壁パネル22及び床パネル24との接合部分が、平面同士の接合の場合にはどうしても隙間が生じてしまうところ、扉パネル25と後壁パネル及び床パネルとの接合部分の隙間を防止でき、虫や塵埃等の侵入を防止することができる。
【0060】
コンテナ1内にはスキッド40が設けられている。本実施形態において、スキッド40は合木製である。スキッド40は図7に示すよう外枠が正方形状であり、正方形状の内側に木枠が4本並行に配置されている。なお、本実施形態においてスキッド40の外枠は正方形状であるが、床パネルの形状に合わせた形状とすることができる。本実施形態において架台41の上にスキッド40が載置されている。
【0061】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、天井パネル20及び床パネル24が略正方形で、前,後壁パネル21,22、一対の側壁パネル23がこれに合わせて長方形であるが、概ね正方形に形成される場合について説明したが、これら天井パネル20,前、後壁パネル21,22、一対の側壁パネル23, 床パネル24を長方形に形成してもよい。
【0062】
上記実施形態では、天井パネル20の四辺の端面に設けられた凸条26と、前、後壁パネル21,22及び一対の側壁パネル23の上辺の内面に設けられた凹条27とを嵌合させる場合について説明したが、天井パネル20の四辺の端面に凹条を設け、前、後壁パネル21,22及び一対の側壁パネル23の上辺の内面に凸条を設けて嵌合させるようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、前、後壁パネル21,22及び一対の側壁パネル23の下辺の端面に設けられた凸条26Aと、床パネル24の四周側辺の上面側に設けられた凹条27Aとを嵌合させる場合について説明したが、前、後壁パネル21,22及び一対の側壁パネル23の下辺の端面に凹条を設け、床パネル24の四周側辺の上面側に凸条を設けて嵌合させるようにしてもよい。
【0064】
上記実施形態では、排水口30は1つであるが、2以上であってもよく、冷蔵ユニットは1つであるが2以上であってもよい。
【0065】
また、図8に示すように、本発明にかかる物品収納装置は、コンテナ1と物品収納装置の箱体2との間の空間に、スターリング冷凍機50と、これにケーブルで接続された蓄電池60とを備える構成とすることができる。スターリング冷凍機50は、図示しないモータと、2つのピストン機構とを有していて、蓄電池60から供給された電力により、モータが作動してピストンを動かし、一方側のピストンを冷却する機構である。すなわち、スターリングエンジンにおけるスターリングサイクルを逆側に回すことで、一方のピストンを冷凍機として動作させている。これにより、スターリング冷凍機50により、箱体2内を冷却する。
【0066】
また、図9に示すように、コンテナ1の上面に太陽光パネル70を設置して、太陽光により発電し、これを物品収納装置の電力として用いるようにしてもよい。この場合、太陽光パネル70に蓄電池を接続することで、発電した電気を蓄電池に貯めておくことができる。これにより、昼間などに電気を貯めておき、夜間や悪天候の場合などに予め貯めておいた電気を利用することができる。
【0067】
また、図10に示すように、本発明にかかる物品収納装置は、物品収納装置の箱体2を構成する各パネルや、コンテナ1を構成するパネルを、第1方向に延びる長板が並んで接着された第1平板部と、第1方向に直交する第2方向に延びる長板が並んで接着された第2平板部とが交互に積層された板材80で構成してもよい。図10の板材80は、2枚の第1平板部と1枚の第2平板部が交互に積層された板材であり、このようにすることで、強度の高いパネルとなる。
【0068】
また、図11の(a)(b)に示すように、本発明にかかる物品収納装置を収容するコンテナを、自動車などの駆動車輌に牽引されるタイヤを備えるコンテナ100とすることができる。この構成によれば、上述した地面に接地するコンテナや鉄道などに載置するコンテナ以外に、自動車で牽引可能なコンテナとでき、これにより自動車による物品収納装置の移動が可能となる。
【0069】
以上の通り、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0070】
1 コンテナ
2 箱体
3 冷蔵ユニット
3a 庫内ユニット
3b 庫外ユニット
4a,4b,4c,4d,4e,4f 隙間
5 板状基材
6 外板
7 内板
8 山形鋼
9 巾木
10、10A、10B、10C、10D 保護枠
11a、11b 外扉
20 天井パネル
21 前壁パネル
22 後壁パネル
23 側壁パネル
24 床パネル
25 扉パネル
26、26A 凸条
26a 凹部
27、27A 凹条
28 円筒部材
30 排水口
31 排水ゴム栓部
32 蓋部
33 排水管
34 継手
35 照明
40 スキッド
41 架台
50 スターリング冷凍機
60 蓄電池
70 太陽光パネル
80 板材
100 コンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11