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特開2022-184840情報処理システム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184840
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】情報処理システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221206BHJP
【FI】
G06Q30/02 314
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132469
(22)【出願日】2022-08-23
(62)【分割の表示】P 2021090805の分割
【原出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100216367
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 梨絵
(72)【発明者】
【氏名】寺田 英治
(72)【発明者】
【氏名】早坂 大悟
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】より確度の高い潜在顧客を抽出することを課題とする。
【解決手段】情報処理システムに、指定店舗DS1bにおける行動の履歴が記録されたユーザである既存顧客の属性に基づいて指定店舗DS1bが所在する地理的範囲AR1bを設定し、指定店舗DS2bにおける行動の履歴が記録されたユーザである既存顧客の属性に基づいて指定店舗DS2bが所在する地理的範囲AR2bを設定する設定部21と、地理的範囲AR1bと地理的範囲AR2bとの重複範囲に所在する指定外店舗SH3bにおける行動の履歴が記録されたユーザを、指定店舗の潜在顧客として抽出する抽出部22と、を備えた。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された実店舗である指定店舗が所在する地理的範囲を設定する設定手段と、
前記地理的範囲に所在する前記指定店舗ではない実店舗である指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記指定店舗の潜在顧客として抽出する抽出手段とを備え、
前記設定手段は、第一の指定店舗が所在する第一の地理的範囲、及び第二の指定店舗が所在する第二の地理的範囲を設定し、
前記抽出手段は、前記第一の地理的範囲と前記第二の地理的範囲との重複範囲に所在する前記指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記潜在顧客として抽出する、
情報処理システム。
【請求項2】
指定された実店舗である指定店舗が所在する地理的範囲を設定する設定手段と、
前記地理的範囲に所在する前記指定店舗ではない実店舗である指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記指定店舗の潜在顧客として抽出する抽出手段とを備え、
前記設定手段は、第一の指定店舗が所在する第一の地理的範囲、及び第二の指定店舗が所在する第二の地理的範囲を設定し、
前記抽出手段は、前記第一の地理的範囲に所在する前記指定外店舗における行動の履歴が記録され、且つ前記第二の地理的範囲に所在する前記指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記潜在顧客として抽出する、
情報処理システム。
【請求項3】
前記設定手段は、前記指定店舗の周辺の前記指定外店舗における行動の履歴が記録された前記潜在顧客の数に更に基づいて前記地理的範囲を設定する、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記設定手段は、前記指定店舗の周辺の交通結節点又はランドマークを起点として前記地理的範囲を設定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記抽出手段は、前記地理的範囲に所在する前記指定外店舗における行動の履歴が記録され、且つ前記地理的範囲に所在する所定の店舗における行動の履歴が記録されていないユーザを前記潜在顧客として抽出する、
請求項1から4の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
抽出された前記潜在顧客に対して前記指定店舗に係る販促情報を配信する販促情報配信手段を更に備える、
請求項1から5の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記設定手段は、前記販促情報の配信量に基づいて前記地理的範囲を設定する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記行動の履歴は、来訪又は商取引に伴う履歴である、
請求項1から7の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータが、
指定された実店舗である指定店舗が所在する地理的範囲を設定する設定ステップと、
前記地理的範囲に所在する前記指定店舗ではない実店舗である指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記指定店舗の潜在顧客として抽出する抽出ステップとを実行し、
前記設定ステップでは、第一の指定店舗が所在する第一の地理的範囲、及び第二の指定店舗が所在する第二の地理的範囲を設定し、
前記抽出ステップでは、前記第一の地理的範囲と前記第二の地理的範囲との重複範囲に所在する前記指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記潜在顧客として抽出する、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータが、
指定された実店舗である指定店舗が所在する地理的範囲を設定する設定ステップと、
前記地理的範囲に所在する前記指定店舗ではない実店舗である指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記指定店舗の潜在顧客として抽出する抽出ステップとを実行し、
前記設定ステップでは、第一の指定店舗が所在する第一の地理的範囲、及び第二の指定店舗が所在する第二の地理的範囲を設定し、
前記抽出ステップでは、前記第一の地理的範囲に所在する前記指定外店舗における行動の履歴が記録され、且つ前記第二の地理的範囲に所在する前記指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記潜在顧客として抽出する、
情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
指定された実店舗である指定店舗が所在する地理的範囲を設定する設定手段と、
前記地理的範囲に所在する前記指定店舗ではない実店舗である指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記指定店舗の潜在顧客として抽出する抽出手段として機能させ、
前記設定手段は、第一の指定店舗が所在する第一の地理的範囲、及び第二の指定店舗が所在する第二の地理的範囲を設定し、
前記抽出手段は、前記第一の地理的範囲と前記第二の地理的範囲との重複範囲に所在する前記指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記潜在顧客として抽出する、
情報処理プログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
指定された実店舗である指定店舗が所在する地理的範囲を設定する設定手段と、
前記地理的範囲に所在する前記指定店舗ではない実店舗である指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記指定店舗の潜在顧客として抽出する抽出手段として機能させ、
前記設定手段は、第一の指定店舗が所在する第一の地理的範囲、及び第二の指定店舗が所在する第二の地理的範囲を設定し、
前記抽出手段は、前記第一の地理的範囲に所在する前記指定外店舗における行動の履歴が記録され、且つ前記第二の地理的範囲に所在する前記指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記潜在顧客として抽出する、
情報処理プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、潜在顧客を抽出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによる購買促進のために地理的情報を活用する技術が種々提案されている(特許文献1から6を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-241651号公報
【特許文献2】特許6250557号公報
【特許文献3】特開2017-207854号公報
【特許文献4】特開2013-33353号公報
【特許文献5】特開2012-190395号公報
【特許文献6】特開2002-73946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、ユーザの属性や地理的条件等に基づいた潜在顧客(見込み顧客)の抽出が行われている。しかし、従来の抽出方法は、単にユーザの属性や地理的条件を潜在顧客の絞り込みに用いるのみであり、ユーザの属性と地理的条件が互いに関連していることが見過ごされているために、抽出される潜在顧客の確度に課題があった。
【0005】
本開示は、上記した問題に鑑み、より確度の高い潜在顧客を抽出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例は、指定された実店舗である指定店舗における行動の履歴が記録されたユーザである既存顧客の属性に基づいて該指定店舗が所在する地理的範囲を設定する設定手段と、前記地理的範囲に所在する前記指定店舗ではない実店舗である指定外店舗における行動の履歴が記録されたユーザを、前記指定店舗の潜在顧客として抽出する抽出手段と、を備える情報処理システムである。
【0007】
本開示は、情報処理装置、システム、コンピュータによって実行される方法又はコンピュータに実行させるプログラムとして把握することが可能である。また、本開示は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものとしても把握できる。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より確度の高い潜在顧客を抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る情報処理システムの構成を示す概略図である。
図2】実施形態に係る情報処理システムの機能構成の概略を示す図である。
図3】実施形態に係る潜在顧客抽出処理の流れを示すフローチャートである。
図4】実施形態における潜在顧客抽出の概要を示す図である。
図5】実施形態における、地理的範囲重畳型の潜在顧客抽出の概要を示す図である。
図6】実施形態における、地理的範囲横断型の潜在顧客抽出の概要を示す図である。
図7】実施形態において、地理的範囲を設定するための起点として指定店舗の周辺の交通結節点を用いる場合の潜在顧客抽出の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る情報処理システム、方法及びプログラムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る情報処理システム、方法及びプログラムを以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施の態様に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。
【0011】
本実施形態では、本開示に係る技術を、ユーザに対して販促情報(クーポンやセール情報等)を配信するためのシステムにおいて実施した場合の実施の形態について説明する。但し、本開示に係る技術は、所定の条件を満たすユーザを抽出するための技術について広く用いることが可能であり、本開示の適用対象は、実施形態において示した例に限定されない。
【0012】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。本実施形態に係るシステムは、ネットワークに接続されることで互いに通信可能な情報処理装置1と、ポイント管理サーバ3と、ユーザデータベース4と、店舗データベース5と、地理的情報管理サーバ6と、1又は複数のユーザ端末9とを備える。
【0013】
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置14、NIC(Network Interface Card)等の通信ユニット15、等を備えるコンピュータである。但し、情報処理装置1の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、情報処理装置1は、単一の筐体からなる装置に限定されない。情報処理装置1は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0014】
ポイント管理サーバ3は、本実施形態において提供されるポイントサービスの提供主体となるサーバである。ポイント管理サーバ3は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、通信ユニット、入力装置、出力装置等(図示は省略する)を備えるコンピュータである。但し、ポイント管理サーバ3の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、ポイント管理サーバ3は、単一の筐体からなる装置に限定されない。ポイント管理サーバ3は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0015】
ポイント管理サーバ3は、ポイントサービスに加盟又は提携する店舗における、ポイントサービスを受けるユーザによる決済等に応じて、ポイントの付与/使用を実行する。なお、ポイントの付与/使用の対象は決済に限定されず、ポイントはその他のユーザ行動(例えば、来店してのチェックイン等)に基づいて付与/使用されてもよい。一般に、ポイントの付与/使用は、店舗のPOSシステムからの通知やユーザ端末において実行されるポイントアプリケーションからの通知に応じて実行されるが、詳細な処理内容については説明を省略する。
【0016】
ユーザデータベース4は、ポイント管理サーバ3によって提供されるポイントサービスを受けるユーザのユーザデータを蓄積し、管理するためのデータベースである。また、ユーザデータベース4において、各ユーザデータには、各ユーザの店舗における行動の履歴(詳細については後述する)が紐づけられて管理されており、情報処理装置1やユーザデータベース4は、各ユーザの店舗における行動の履歴を、これらの履歴を管理する各種サーバ(外部サーバや外部サービスであってもよい)から適宜取得することが出来る。例えば、ユーザデータベース4は、ポイント管理サーバ3にアクセスしてユーザへのポイント付与/使用状況情報(付与/使用されたポイント数、ポイントが付与/使用された日時、ポイントが付与/使用された店舗の店舗ID等を含む)を取得することが出来る。ユーザデータベース4は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、通信ユニット、入力装置、出力装置等(図示は省略する)を備えるコンピュータである。但し、ユーザデータベース4の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、ユーザデータベース4は、単一の筐体からなる装置に限定されない。ユーザデータベース4は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0017】
本実施形態において、ユーザデータは、ユーザIDに、名称、住所(文字列による住所表記、住所コード、郵便番号を含んでよい)、情報配信宛先(メールアドレス、スマートフォンアプリへのプッシュ通知用のデバイストークン等)、及び当該ユーザのその他の属性(後述するデモグラフィック属性、サイコグラフィック属性、ビヘイビオラル属性を含む)が関連づけられたデータである。
【0018】
店舗データベース5は、ポイント管理サーバ3によって提供されるポイントサービスに加盟又は提携する店舗の店舗データを蓄積し、管理するためのデータベースである。店舗データベース5は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、通信ユニット、入力装置、出力装置等(図示は省略する)を備えるコンピュータである。但し、店舗データベース5の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、店舗データベース5は、単一の筐体からなる装置に限定されない。店舗データベース5は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0019】
本実施形態において、店舗データは、店舗IDに、名称、住所(文字列による住所表記、住所コード、郵便番号を含んでよい)、位置情報、連絡先(電話番号やメールアドレス等であってよい)、グループID、関連企業、業種、利用可能な決済手段及び当該店舗のその他の属性(後述するジオグラフィック属性を含む)が関連づけられたデータである。
【0020】
地理的情報管理サーバ6は、問合せに応じて、住所又は位置情報と地理的範囲との関係を判定可能な情報を提供するサーバである。地理的情報管理サーバ6は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、通信ユニット、入力装置、出力装置等(図示は省略する)を備えるコンピュータである。但し、地理的情報管理サーバ6の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、地理的情報管理サーバ6は、単一の筐体からなる装置に限定されない。地理的情報管理サーバ6は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0021】
本実施形態において、地理的情報管理サーバ6は、情報処理装置1、ポイント管理サーバ3、ユーザデータベース4、店舗データベース5、又はユーザ端末9からの、店舗の住所又は位置情報と地理的範囲とを示した問い合わせに応じて、問い合わせに係る店舗が問い合わせに係る地理的範囲に所在するか否かを判定するための情報を回答する。
【0022】
ユーザ端末9は、ユーザによって使用される端末装置である。ユーザ端末9は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、通信ユニット、入力装置、出力装置等(図示は省略する)を備えるコンピュータである。但し、ユーザ端末9の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、ユーザ端末9は、単一の筐体からなる装置に限定されない。ユーザ端末9は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。ユーザは、これらのユーザ端末9を介して、本実施形態に係るシステムによって提供される各種サービスを利用する。
【0023】
図2は、本実施形態に係る情報処理システムの機能構成の概略を示す図である。情報処理装置1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、情報処理装置1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、設定部21、抽出部22、及び販促情報配信部23を備える情報処理装置として機能する。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、情報処理装置1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0024】
従来、例えばポイントサービスに加盟又は提携する店舗から収集されたPOS(point of sale)データの活用の取り組みを進めるにあたり、収集されたPOSデータを用いたセグメンテーションに基づくマーケティング(販促)が行われている。しかし、自社店舗の利用が無く自社店舗の周辺において商取引等の行動履歴(足跡)が残っている顧客にアプローチしたい、という要望に対するソリューションには改善の余地がある。例えば、ポイントサービスのユーザにはユーザの住所とは別に経済活動的にアクティブな地域があることが想定され、そのような地域におけるセグメンテーションが求められる。そこで、本実施形態に係るシステムは、特定地域の店舗での電子的バリューの履歴を集計し、その地域を活動範囲としているユーザを潜在顧客として抽出するようなセグメンテーションを行うこととした。
【0025】
設定部21は、潜在顧客抽出サービスの利用者から任意に指定された実店舗(任意の実店舗。以下、「指定店舗」と称する)の既存顧客の属性に基づいて、該指定店舗が所在する地理的範囲を設定する。ここで、店舗の既存顧客とは、当該店舗への来訪の履歴又は当該店舗における商品/サービス購入等の商取引に伴う履歴等の、当該店舗における行動の履歴が記録されたユーザである。
【0026】
本実施形態では、店舗における行動の履歴として商取引の履歴を用い、また商取引に伴う履歴として電子的バリューの付与履歴を用いるが、商取引に伴う履歴は、ユーザが当該店舗において商品/サービス購入等の商取引を行なったことが確認可能な記録であればよい。
【0027】
また、上述の通り、店舗における行動の履歴として来訪の履歴が用いられてもよい。来訪の履歴は、例えば、GPSや無線アクセスポイント等を用いた位置特定手段を備えたユーザ端末9において動作するアプリケーションが店舗データベース上のいずれかの店舗の近傍や店舗内にいることを検知した状態で、ユーザが当該店舗へのチェックイン操作を行うことでサーバに記録されるチェックインの履歴(又は、チェックインに伴って付与される電子的バリューの付与履歴)である。但し、来訪の履歴は、ユーザが当該店舗を訪れたことを確認可能な記録であればよい。
【0028】
その他、店舗における行動の履歴には、電子マネー/クレジットカードの決済履歴や電子的バリューを用いた決済履歴(電子的バリューの利用履歴に相当)、クーポンの使用履歴、チケットの発券履歴、チケットの読取履歴(認証履歴)、暗号通貨を用いた決済履歴、コンテンツの付与履歴等、電子的バリューの付与履歴以外の様々な記録が用いられてよい。
【0029】
本実施形態では、電子的バリューとして、商取引の際に取引額等に応じてユーザに付与され、割引その他の特典と交換可能なポイントを例に説明する。但し、電子的バリューは、商取引に伴ってユーザに対して電子的に付与される何らかのバリューであればよく、本実施形態において例示されたポイントに限定されない。また、店舗における行動の履歴としてコンテンツの付与履歴を用いる場合、ここで付与されるコンテンツは、例えば、クーポン、チケット、音楽/画像データ、アプリケーション、のような様々な種類のコンテンツであってよい。
【0030】
当該指定店舗が所在する地理的範囲は、既存顧客のデモグラフィック属性、サイコグラフィック属性、ビヘイビオラル属性、又はその他の既存顧客の様々な属性に基づいて設定されてよい。ここで、デモグラフィック属性とは、顧客データを分析する指標として用いられる人口統計学的な属性であり、例えば、顧客の性別、年齢、居住地域、職業、年収、学歴、及び家族構成等を含む。また、サイコグラフィック属性とは、顧客の心理的要因に基づく属性であり、例えば、ライフスタイル、行動、信念(宗教)、価値観、個性、購買動機、及び商品使用程度等を含む。また、ビヘイビオラル属性とは、行動学に基づいて設定された顧客の属性であり、例えば、商品/サービスの購入履歴、情報取得手段(使用するサーチエンジン等)、店舗に来訪する際の交通手段(徒歩、自転車や自動車等)及び情報シェア手段(使用するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)や当該SNS内で属するクラスタ等)等を含む。
【0031】
本実施形態において、設定部21は、既存顧客の属性に応じた地理的範囲の設定条件を取得するための手法として、各属性と属性に応じた地理的範囲の設定条件とが予め関連づけられたデータ(本実施形態では、「属性マップ」として説明する。但し、データの形式は限定されない)を用いる。設定部21は、指定店舗について抽出された既存顧客の属性のうち当該指定店舗について最も割合が高い属性に基づいて属性マップを参照することで、対応する地理的範囲の設定条件を属性マップから取得する。
【0032】
属性に応じた地理的範囲の設定条件が取得されると、設定部21は、取得された設定条件に従って、指定店舗に係る地理的範囲を設定する。ここで、地理的範囲の設定条件には、例えば、指定された地点(例えば、指定店舗の位置)を起点として「半径nキロメートル圏内」、「徒歩n分圏内」、「自転車n分圏内」、「自動車n分圏内」、「公共交通機関の利用を含めてn分圏内」、等が挙げられる。なお、これらの設定条件は、「半径nキロメートル圏内且つ徒歩m分圏内」のように組み合わされてもよい。
【0033】
具体的な例を挙げて説明すると、設定部21は、指定店舗における既存顧客の年齢層に応じて、地理的範囲の広さを設定してよい。本実施形態では、属性カテゴリのうち既存顧客に占める割合が最も高い属性を、当該属性カテゴリについての既存顧客の属性傾向とする。このため、例えば、設定部21は、既存顧客の最も割合が高い属性が若年層である(既存顧客の属性傾向が若年層である)場合、地理的範囲を例えば指定店舗から徒歩15分圏内の範囲として設定し、既存顧客の最も割合が高い属性が高齢者である(既存顧客の属性傾向が高齢者である)場合、地理的範囲を若年層に比べて狭く、例えば指定店舗から徒歩5分圏内の範囲として設定する。
【0034】
但し、属性に応じた地理的範囲の設定条件を取得するための手法は、上記説明した例に限定されない。例えば、機械学習によって属性に応じた地理的範囲の設定条件を取得するためのモデルを作成し、当該モデルを用いることも可能である。
【0035】
機械学習によれば、既存顧客の行動履歴が把握可能なデータ、例えば、ユーザ毎に記録された複数店舗におけるポイントの履歴(ポイントの付与日時、付与されたポイント数、等)を学習データとして、指定店舗の利用背景(例えば、指定店舗がコンビニエンスストアである場合、既存顧客が飲み会前に立ち寄ったのか、ランチ購入目的で立ち寄ったのか、等)に応じて既存顧客をクラスタリングすることが可能である。そして、クラスタリングによって既存顧客が分類されたクラスタを、既存顧客の属性とすることが出来る。
【0036】
そして、設定部21は、クラスタリングによって得られた既存顧客の属性のうち最も割合が高い属性を既存顧客の属性傾向とし、当該属性傾向に属する既存顧客の指定店舗の利用前後の移動範囲を算出し、算出された移動範囲の広さに応じて、地理的範囲の広さを決定するためのパラメータ(上記例では、「徒歩n分圏内」の「n」)を決定することが出来る。ここで、既存顧客の指定店舗の利用前後の移動範囲は、ユーザの行動履歴(複数店舗におけるポイントの履歴や、ユーザの位置情報等を用いることが出来る)を参照し、地理的情報管理サーバ6に問い合わせることで算出可能である。また、行動履歴から算出された既存顧客の移動範囲を、そのまま指定店舗に係る地理的範囲として設定してもよい。
【0037】
設定部21は、指定店舗が所在する地理的範囲を、当該指定店舗のジオグラフィック属性に基づいて設定してもよい。ここで、ジオグラフィック属性とは、地理的な属性であり、例えば、所在地域、地域特有の気候や文化、人口密度や都市化の程度、人流が集中する程度、等を含む。
【0038】
具体的な例を挙げて説明すると、設定部21は、指定店舗のジオグラフィック属性が、指定店舗の所在地が繁華街であることを示す場合と、住宅地であることを示す場合とで、地理的範囲の設定方法を変更することが出来る。例えば、人口密度の高/低に応じて地理的範囲の広さを縮小/拡大したり、人流の集中程度の高/低に応じて地理的範囲の広さを縮小/拡大したりすることとしてよい。より具体的には、設定部21は、後述する地理的範囲の設定条件(パラメータ)を人口密度や人流の集中程度に応じたものとし、ジオグラフィック属性が繁華街(人口密度:高、人流の集中程度:高)である場合には地理的範囲をより狭い範囲(例えば、「徒歩5分圏内」)に設定し、ジオグラフィック属性が住宅地(人口密度:低、人流の集中程度:低)である場合には地理的範囲をより広い範囲(例えば、「徒歩15分圏内」)に設定することとしてよい。また、これらのジオグラフィック属性を示す値の高/低と、それに応じた地理的範囲の広さの縮小/拡大との対応関係は固定されたものではなく、目的に応じて逆に設定されてもよい。
【0039】
なお、既存顧客の属性に基づく地理的範囲の設定条件とジオグラフィック属性に基づく地理的範囲の設定条件とは、何れか一方のみが用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよい。
【0040】
また、地理的範囲の設定条件は、上述の通り「半径nキロメートル圏内且つ徒歩m分圏内」のように組み合わされてもよい。この際、このような条件指定がなされた地理的範囲は、一の指定店舗について互いに異なる設定条件に従って設定された複数の要素的な地理的範囲(以下、「サブエリア」と称する)を組み合わせることで設定することが出来る。即ち、設定部21は、互いに異なる設定条件によって設定された複数のサブエリアを組み合わせることで、潜在顧客を抽出するために最終的に用いられる地理的範囲を設定する。この際、最終的な地理的範囲は、サブエリアの和集合であってもよいし、サブエリアの共通部分であってもよい。換言すれば、設定部21は、既存顧客の属性に基づく第一の設定条件に従って設定された第一のサブエリアと、当該既存顧客の属性に基づく第二の設定条件に従って設定された第二のサブエリアとの和集合又は共通部分を算出することで、指定店舗が所在する地理的範囲を設定してもよい。
【0041】
例えば、「徒歩10分圏内」と、「自動車5分圏内」とのように、異なる設定条件(スケール)によって定められた地理的範囲同士では、車では通行できない道の存在等の理由により、必ずしも一方が他方を完全には包含しない可能性がある。このような場合であっても、上記したサブエリアを組み合わせて最終的な地理的範囲を設定する方法を採用することで、「徒歩10分圏内且つ自動車5分圏内」の地理的範囲や、「徒歩10分圏内又は自動車5分圏内」のような地理的範囲を容易に設定することが可能となる。
【0042】
抽出部22は、設定部21によって設定された地理的範囲に所在する、指定店舗以外の実店舗(他の実店舗。以下、「指定外店舗」と称する)における行動履歴が記録されているユーザ(本実施形態では、商取引に伴うポイントが過去に付与されたユーザ)を、指定店舗の潜在顧客として抽出する。この際、指定店舗を利用済のユーザ(指定店舗において商取引に係る履歴があるユーザ)は、抽出される潜在顧客に含まれてもよいし、除外されてもよい。即ち、本開示において、「潜在顧客」の定義には、指定店舗での履歴がまだ無いユーザという条件が含まれてもいてよい。
【0043】
即ち、本実施形態に係るシステムによれば、上記説明したような設定部21及び抽出部22を備えることで、指定店舗を含む所定の地理的範囲内の指定外店舗においてポイント履歴があるユーザを、指定店舗の潜在顧客として抽出することができる。
【0044】
販促情報配信部23は、抽出された潜在顧客に対して、指定店舗に係る販促情報(例えば、クーポンやセール情報等)を配信する。但し、販促情報は、指定店舗の利用(来訪や商取引)の促進に役立つような何らかの情報であればよく、本実施形態において例示されたクーポンやセール情報等に限定されない。例えば、販促情報として、使用期限付きポイント、チケット、音楽/画像データ、アプリケーション、のような様々な種類のコンテンツが用いられてもよい。
【0045】
なお、販促情報配信部23は、指定店舗の既存顧客の属性や潜在顧客の属性に応じて決定された販促情報を配信することとしてもよい。例えば、判定された属性を有する顧客がターゲットとして設定された商品/サービスのクーポンを配信するような対応が可能である。また、上記した機械学習によるクラスタリングを用いることで、指定店舗が所在する地理的範囲に来訪しているユーザの来訪目的(例えば、仕事、遊び、ランチ、飲み会等)を属性化し、属性に応じて配信する販促情報を変更することも可能である。
【0046】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係る情報処理システムによって実行される処理の流れを説明する。なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0047】
図3は、本実施形態に係る潜在顧客抽出処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、情報処理装置1が、潜在顧客抽出サービスの利用者から、潜在顧客の抽出要求を受け付けたことを契機として実行される。
【0048】
ステップS101では、潜在顧客の抽出要求、及び潜在顧客を抽出するための各種条件の指定が受け付けられる。本実施形態にかかる情報処理装置1は、潜在顧客を抽出するための条件として、以下の条件を受け付けることが出来る。
・指定店舗
・指定外店舗の抽出条件
・既存顧客の抽出条件
・潜在顧客の抽出条件
・地理的範囲の設定条件
ここで、「指定店舗」は、潜在顧客抽出サービスの利用者から任意に指定された実店舗であり、本実施形態では、当該指定店舗の潜在顧客が抽出される。店舗の指定は、店舗ID、店舗の名称、住所、位置情報、又は連絡先等によって行うことが可能であり、情報処理装置1は、与えられた指定店舗の情報に基づいて店舗データベース5に対する問い合わせを行い、指定店舗のデータを特定する。
【0049】
本実施形態では、後述するステップS106において、指定外店舗の顧客が、指定店舗の潜在顧客として抽出される。このため、本実施形態では、「指定外店舗の抽出条件」として、指定外店舗の属性その他の条件を指定することで、どのような店舗の顧客を潜在顧客として抽出したいかを設定することが出来る。指定店舗や指定外店舗等の店舗の属性としては、例えば、グループIDや関連企業、業種、利用可能な決済手段等を指定することが可能である。また、抽出条件として、抽出される指定外店舗の数の範囲(上限/下限等)が指定されてもよいし、抽出対象から除外したい条件(指定外店舗の属性等)を指定することも可能である。
【0050】
また、本実施形態では、「既存顧客の抽出条件」及び/又は「潜在顧客の抽出条件」を指定することが可能である。本実施形態において、情報処理装置1は、ユーザデータベース4から顧客(ユーザ)を抽出するが、潜在顧客抽出サービスの利用者は、目的に応じてユーザの抽出条件を設定することが可能である。ユーザの抽出条件には、例えば、ユーザ毎のメールマガジン、アプリ内通知、広告メール等の各種通知の許諾状況や各種通知の確認状況、キャンペーンのエントリー状況、店舗の利用期間や利用日時、利用曜日、利用時間帯、利用回数等を指定することが可能である。また、抽出条件として、抽出されるユーザの数の範囲(上限/下限等)が指定されてもよいし、抽出対象から除外したい条件を指定することも可能である。
【0051】
更に、本実施形態では、「地理的範囲の設定条件」を指定することが可能である。「地理的範囲の設定条件」には、例えば、地理的範囲を定めるための起点を指定店舗の位置とするかその他の位置(バリエーションとして後述する)とするか、また起点からの範囲を決定するためのスケールとして「半径nキロメートル圏内」、「徒歩n分圏内」、「自転車n分圏内」、「自動車n分圏内」、「公共交通機関の利用を含めてn分圏内」、等の何れを採用するか、等が指定可能である。その後、処理はステップS102へ進む。
【0052】
ステップS102では、指定店舗の既存顧客が抽出される。情報処理装置1は、ステップS101で指定された指定店舗におけるポイント履歴があり、且つステップS101で指定された「既存顧客の抽出条件」に合致するユーザをユーザデータベース4に対して問い合わせることで、指定店舗の既存顧客を抽出する。その後、処理はステップS103へ進む。
【0053】
ステップS103では、既存顧客の属性傾向が決定される。情報処理装置1は、ステップS102で抽出された既存顧客の属性を抽出し、集計する。より具体的には、情報処理装置1は、指定店舗の既存顧客の属性カテゴリ毎に属性を集計し、属性カテゴリ内における属性毎の割合を算出する。例えば、属性カテゴリ「年齢」について、情報処理装置1は、抽出された既存顧客を年齢層(例えば、12歳以下、13歳以上19歳以下、20歳以上29歳以下、30歳以上49歳以下、50歳以上のように区分けされてよい)別に集計し、既存顧客全体に占める各年齢層の割合を算出する。そして、情報処理装置1は、属性カテゴリ毎に、最も割合が高い属性を、指定店舗における既存顧客の属性傾向として決定する。本実施形態では、このようにすることで、指定店舗における既存顧客の属性傾向を把握することが出来る。但し、指定店舗における既存顧客の属性を把握するための方法には、その他の手法が採用されてもよい。その後、処理はステップS104へ進む。
【0054】
ステップS104では、既存顧客の属性及び/又は指定店舗のジオグラフィック属性に基づいて地理的範囲が設定される。設定部21は、ステップS103で決定された既存顧客の属性傾向、及び/又は店舗データベースから取得された指定店舗のジオグラフィック属性に従って、地理的範囲を設定する。具体的には、設定部21は、ステップS103で決定された既存顧客の属性傾向を用いて属性マップを検索し、当該属性傾向に対応する地理的範囲の設定条件を取得する。具体的には、属性カテゴリ「年齢」について、属性傾向が「13歳以上19歳以下」であった場合、地理的範囲の設定条件(スケール)「徒歩n分圏内」のための設定条件(パラメータ)として、「n=15」が取得される。一方、属性カテゴリ「年齢」について、属性傾向が「50歳以上」であった場合、地理的範囲の設定条件(スケール)「徒歩n分圏内」のための設定条件(パラメータ)として、「n=5」が取得される。
【0055】
そして、設定部21は、既存顧客の属性傾向に基づいて取得された地理的範囲の設定条件(本フローチャートでは、パラメータ)、及びステップS101で指定された地理的範囲の設定条件(本フローチャートの例では、スケール)に基づいて、指定店舗に係る地理的範囲を設定する。具体的には、ステップS101において地理的範囲の設定条件(スケール)として「徒歩n分圏内」が設定されており、既存顧客の属性傾向に基づいて取得された地理的範囲の設定条件(パラメータ)として「n=15」が設定されている場合、設定部21は、地理的範囲として「徒歩15分圏内」を設定する。一方、地理的範囲の設定条件(スケール)として「徒歩n分圏内」が設定されており、既存顧客の属性傾向に基づいて取得された地理的範囲の設定条件(パラメータ)として「n=5」が設定されている場合、設定部21は、地理的範囲として「徒歩5分圏内」を設定する。その後、処理はステップS105へ進む。
【0056】
なお、上記具体例では、指定店舗が所在する地理的範囲を既存顧客の属性に基づいて設定する例について説明したが、上述の通り、設定部21は、指定店舗のジオグラフィック属性に基づいて地理的範囲を設定してもよい。また、既存顧客の属性に基づく地理的範囲の設定条件とジオグラフィック属性に基づく地理的範囲の設定条件とは、何れか一方のみが用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよい。
【0057】
また、上述したサブエリアの組み合わせによって地理的範囲を設定する場合、ステップS104において、設定部は、まず必要なサブエリアを設定し、設定されたサブエリアを組み合わせることで、潜在顧客を抽出するために最終的に用いられる地理的範囲を設定する。この際、サブエリアの組み合わせ方法が和集合であっても共通部分であってもよいことは、上述した通りである。また、サブエリアが3つ以上用いられる場合には、「サブエリア1と2との共通部分」と「サブエリア3」との和集合、のように、和集合による設定と共通部分による設定が組み合わせて用いられてもよい。
【0058】
また、本フローチャートでは、地理的範囲の設定条件(スケール)がサービス利用者によって指定され、地理的範囲の設定条件(パラメータ)が属性に従って決定される例を説明したが、地理的範囲の設定条件としてのスケール及びパラメータは、何れがサービス利用者によって指定されてもよいし、何れが属性に従って決定されてもよい。例えば、属性に従って、地理的範囲の設定条件(スケール)を決定することも可能である(例えば、属性が繁華街である場合にはスケールとして「徒歩n分圏内」を採用し、属性が住宅地である場合にはスケールとして「自転車n分圏内」を採用する)。
【0059】
ステップS105では、設定された地理的範囲に所在する指定外店舗が抽出される。情報処理装置1は、ステップS104で設定された地理的範囲に所在する、指定店舗以外の実店舗である指定外店舗であって、ステップS101で指定された指定外店舗の抽出条件を満たす指定外店舗を抽出する。より具体的には、情報処理装置1は、ステップS104で設定された地理的範囲及びステップS101で指定された指定外店舗の抽出条件に合致する店舗を地理的情報管理サーバ6及び店舗データベース5に対して問い合わせることで、条件を満たす指定外店舗を抽出する。その後、処理はステップS106へ進む。
【0060】
ステップS106では、指定外店舗における行動の履歴があるユーザが、潜在顧客として抽出される。抽出部22は、ステップS105で抽出された指定外店舗におけるポイント履歴があり、且つステップS101で指定された「潜在顧客の抽出条件」に合致するユーザをユーザデータベース4に対して問い合わせることで、指定店舗の潜在顧客を抽出する。なお、指定外店舗におけるポイント履歴があり且つ「潜在顧客の抽出条件」に合致するユーザには、指定店舗を利用済のユーザが含まれる可能性があるが、そのようなユーザが特定可能な場合には潜在顧客としての抽出対象から除外されてよい。
【0061】
また、抽出部22は、指定外店舗におけるポイント履歴があるために抽出されたユーザから、地理的範囲に所在する「所定の店舗」におけるポイント履歴があるユーザを除いたユーザを、潜在顧客として抽出してもよい。即ち、抽出部22は、地理的範囲に所在する指定外店舗における来訪又は商取引に伴う電子的バリューが過去に付与され、且つ地理的範囲に所在する所定の店舗における来訪又は商取引に伴う電子的バリューが過去に付与されていないユーザを潜在顧客として抽出することが出来る。ここで、「所定の店舗」は、店舗を個別に指定することで特定されてもよいし、指定されたグループIDや関連企業、業種等によって店舗データベース5を検索することで特定されてもよい。情報処理装置1は、このような機能を備えることで、例えば、特定のグループに属する店舗を「所定の店舗」として除外対象とし、当該特定グループの店舗を利用済のユーザを潜在顧客から除外することが出来る。その後、処理はステップS107へ進む。
【0062】
ステップS107では、潜在顧客リストが生成及び出力される。情報処理装置1は、ステップS106で抽出された潜在顧客のユーザID及び情報配信宛先を含む潜在顧客リストを生成する。即ち、潜在顧客抽出処理では、ステップS101からステップS106の処理によって指定店舗の潜在顧客となるユーザのセグメントが定められ、当該セグメントに属するユーザが抽出されて潜在顧客リストが生成される。ここで、情報配信宛先には、メールアドレスの他、スマートフォンアプリへのプッシュ通知用のデバイストークン等が含まれてよい。情報処理装置1は、生成された潜在顧客リストを出力する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0063】
図4は、本実施形態における潜在顧客抽出の概要を示す図である。図4に示された例によれば、設定部21は、指定店舗DS1の既存顧客の属性等に基づいて、指定店舗DS1が所在する地理的範囲AR1を設定する。抽出部22は、地理的範囲AR1に所在する指定外店舗SH1からSH3におけるポイント履歴があるユーザU1及びU2を、指定店舗DS1の潜在顧客として抽出する。一方、店舗SH4におけるポイント履歴があるが、地理的範囲AR1に所在する指定外店舗SH1からSH3におけるポイント履歴が無いユーザU3は、指定店舗DS1の潜在顧客としては抽出されない。
【0064】
また、上記フローチャートを示して説明した潜在顧客抽出処理では、1の指定店舗に対して設定された1の地理的範囲に基づいて潜在顧客を抽出する例について説明したが、潜在顧客は、複数の地理的範囲の組み合わせを用いて抽出されてもよい。
【0065】
図5は、本実施形態における、地理的範囲重畳型の潜在顧客抽出の概要を示す図である。図5に示された例によれば、設定部21は、指定店舗DS1bの既存顧客の属性等に基づいて、指定店舗DS1bが所在する地理的範囲AR1b(第一の地理的範囲)を設定し、指定店舗DS2bの既存顧客の属性等に基づいて、指定店舗DS2bが所在する地理的範囲AR2b(第二の地理的範囲)を設定する。ここで設定される複数の地理的範囲の夫々は、互いに異なる設定条件(既存顧客の属性や指定店舗の属性等)に基づいて設定されてもよいし、複数の地理的範囲の間で共通の設定条件に基づいて設定されてもよい。即ち、地理的範囲AR1b(第一の地理的範囲)及び地理的範囲AR2b(第二の地理的範囲)を設定するにあたって、地理的範囲AR1bを設定するための設定条件と、地理的範囲AR2bを設定するための設定条件とは、異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0066】
抽出部22は、地理的範囲AR1bと地理的範囲AR2bとの重複範囲AR3bに所在する指定外店舗SH3bにおけるポイント履歴があるユーザU1を、指定店舗DS1b及びDS2bの潜在顧客として抽出する。一方、地理的範囲AR3bに所在する指定外店舗SH3bにおけるポイント履歴が無いユーザU2及びU3は、指定店舗DS1b及びDS2bの潜在顧客としては抽出されない。即ち、地理的範囲重畳型の潜在顧客抽出処理において、抽出部22は、第一の地理的範囲と第二の地理的範囲との重複範囲に所在する指定外店舗における来訪又は商取引に伴うポイントが過去に付与されたユーザを、潜在顧客として抽出する。上記説明した地理的範囲重畳型の潜在顧客抽出において、指定店舗DS1b及びDS2bとして同一の店舗グループ(フランチャイズを含む)に属する店舗を指定すれば、同一の店舗グループに属する複数の指定店舗についての潜在顧客を抽出することが可能となる。なお、抽出部22は、地理的範囲AR3bに所在する指定外店舗SH3bにおけるポイント履歴が無いユーザU2を指定店舗DS2bの潜在顧客として抽出しない構成であってよい。また、抽出部22は、地理的範囲AR3bに所在する指定外店舗SH3bにおけるポイント履歴が無いユーザU3を指定店舗DS1bの潜在顧客として抽出しない構成であってもよい。
【0067】
また、地理的範囲接続型の潜在顧客抽出が行われてもよい。図5に示された、指定店舗DS1bが所在する地理的範囲AR1b(第一の地理的範囲)、及び指定店舗DS2bが所在する地理的範囲AR2b(第二の地理的範囲)が設定された状態で、抽出部22は、地理的範囲AR1bと地理的範囲AR2bとが結合された接続範囲に所在する指定外店舗SH1bからSH3b及びSH5bにおけるポイント履歴があるユーザU1からU3を、指定店舗DS1b及びDS2bの潜在顧客として抽出する。即ち、地理的範囲接続型の潜在顧客抽出処理において、抽出部22は、第一の地理的範囲及び第二の地理的範囲の少なくとも何れかに所在する指定外店舗における来訪又は商取引に伴うポイントが過去に付与されたユーザを、潜在顧客として抽出する。
【0068】
図6は、本実施形態における、地理的範囲横断型の潜在顧客抽出の概要を示す図である。図6に示された例によれば、設定部21は、指定店舗DS1cの既存顧客の属性等に基づいて、指定店舗DS1cが所在する地理的範囲AR1c(第一の地理的範囲)を設定し、指定店舗DS2cの既存顧客の属性等に基づいて、指定店舗DS2cが所在する地理的範囲AR2c(第二の地理的範囲)を設定する。抽出部22は、地理的範囲AR1cに所在する指定外店舗におけるポイント履歴があり、且つ地理的範囲AR2cに所在する指定外店舗におけるポイント履歴があるユーザU1を、指定店舗DS1c及びDS2cの潜在顧客として抽出する。一方、地理的範囲AR1cに所在する指定外店舗SH1cからSH3cにおけるポイント履歴があるが地理的範囲AR2cに所在する指定外店舗SH5c及びSH6cにおけるポイント履歴が無いユーザU2、及び地理的範囲AR1cに所在する指定外店舗SH1cからSH3cにおけるポイント履歴が無いが地理的範囲AR2cに所在する指定外店舗SH5c及びSH6cにおけるポイント履歴があるユーザU3は、指定店舗DS1c及びDS2cの潜在顧客としては抽出されない。即ち、地理的範囲横断型の潜在顧客抽出処理において、抽出部22は、第一の地理的範囲に所在する指定外店舗における来訪又は商取引に伴うポイントが過去に付与され、且つ第二の地理的範囲に所在する指定外店舗における来訪又は商取引に伴うポイントが過去に付与されたユーザを、潜在顧客として抽出する。上記説明した地理的範囲横断型の潜在顧客抽出において、指定店舗DS1c及びDS2cとして同一の店舗グループに属する店舗を指定すれば、同一の店舗グループに属する複数の指定店舗についての潜在顧客を抽出することが可能となる。なお、このとき、抽出部22は、ユーザU2を指定店舗DS2cの潜在顧客として抽出しない構成であってよい。また、このとき、抽出部22は、ユーザU3を指定店舗DS1cの潜在顧客として抽出しない構成であってもよい。
【0069】
潜在顧客抽出処理によって出力された潜在顧客リストは、潜在顧客抽出サービスの利用者によって確認/修正される。このため、潜在顧客リストは、リストの内容が適切であるか否かを確認するために、ユーザID及び情報配信宛先以外の情報(例えば、ユーザデータベース4から抽出された情報や、ポイント管理サーバ3から取得されたポイント履歴等)が含まれてよい。潜在顧客抽出サービスの利用者は、潜在顧客リスト中の各種情報を参照することでリストの内容が適切であるか否かを確認し、不備がある場合にはこれを修正する。
【0070】
潜在顧客抽出サービスの利用者によって確認/修正された潜在顧客リストは、販促情報配信部23に入力される。販促情報配信部23は、入力された潜在顧客リスト中の情報配信宛先を利用して、各種販促情報(クーポンやセール情報等)を、リストに含まれるユーザ(即ち、指定店舗の潜在顧客)に対して配信する。ここで、上記説明した地理的範囲重畳型、地理的範囲接続型又は地理的範囲横断型の潜在顧客抽出によって複数の指定店舗に共通する潜在顧客が抽出されている場合、販促情報配信部23は、当該潜在顧客に対して、これらの複数の指定店舗で共通して利用可能な販促情報を配信する。なお、本実施形態では、潜在顧客リストが一旦出力され、潜在顧客抽出サービスの利用者による確認/修正を受けた後に販促情報配信に利用される態様について説明しているが、潜在顧客リストは、潜在顧客抽出処理による生成の後、自動的に販促情報配信に用いられてもよい。
【0071】
<バリエーション>
上記説明した実施形態では、属性及び/又はサービス利用者から指定された条件に基づいて地理的範囲を設定する例について説明したが、地理的範囲は、指定店舗の周辺の潜在顧客の数に応じてその広さが動的に調整されてもよい。即ち、設定部21は、指定店舗の周辺の指定外店舗における来訪又は商取引に伴うポイントが過去に付与された潜在顧客の数に基づいて地理的範囲を設定してもよい。
【0072】
このようにすることで、例えば指定店舗の周辺の潜在顧客の数が所定の閾値を超えるように、地理的範囲の広さを調整することが可能となる。具体的には、例えば、初期値として地理的範囲が「徒歩n分圏内」且つ「n=10」と設定されており、この条件で抽出された潜在顧客の数が所定の閾値(サービス利用者によって指定されてよい)未満である場合にはnを増加させて潜在顧客を再抽出することで、閾値以上の潜在顧客を抽出することが出来る。
【0073】
地理的範囲が動的に調整可能であるため、例えば、地理的範囲を動的に調整するための閾値として販促情報の配信量(配信上限や配信下限)を設定することで、設定部21は、販促情報の配信量に基づいて地理的範囲を設定することができる。具体的には、例えば、初期値として地理的範囲が「徒歩n分圏内」且つ「n=10」と設定されており、この条件で抽出された潜在顧客の数がクーポンの配信上限として設定された所定の閾値以上である場合にはnを減少させて潜在顧客を再抽出することで、潜在顧客の数を閾値(クーポンの配信上限)未満に抑えることが出来る。
【0074】
また、上記説明した実施形態では、地理的範囲を設定するための起点として指定店舗の位置を用いる例について説明したが、地理的範囲を設定するための起点には、地理上のその他の位置が用いられてもよい。この際、地理上のその他の位置については、指定店舗の位置情報を示して、当該位置情報周辺にある所定の属性を有する施設情報を地理的情報管理サーバ6に問い合わせることで取得できる。例えば、設定部21は、指定店舗の周辺のランドマーク等を起点として、地理的範囲を設定してもよい。ここで、ランドマークとは、地理上の目印となるような特徴物であり、例として、交通結節点(ターミナル駅等)や公共施設、ショッピングモール等が挙げられる。即ち、起点が指定店舗の最寄りのターミナル駅であり、地理的範囲の設定条件(スケール)が「徒歩n分圏内」である場合、地理的範囲は、「最寄りのターミナル駅から徒歩n分圏内」に設定される。
【0075】
図7は、本実施形態において、地理的範囲を設定するための起点として指定店舗の周辺の交通結節点を用いる場合の潜在顧客抽出の概要を示す図である。図7に示された例によれば、各店舗の位置関係は図4に示された例と同じであるが、指定店舗DS1の周辺のターミナル駅ST1を起点として地理的範囲AR1dを設定した結果、指定店舗DS1を起点として地理的範囲AR1を設定した図4の例と異なり、ユーザU1からU3が潜在顧客として抽出されることが分かる。ターミナル駅やランドマーク等があるためにユーザの行動範囲が指定店舗以外の地理的位置を起点として定まるような場合には、図7に示したような地理的範囲の設定方法を採用することで、抽出される潜在顧客の確度をより高めることが出来る。
【符号の説明】
【0076】
1 情報処理装置
9 ユーザ端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7