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特開2022-184861自己修復特性を有している、自己支持する合成重合体の防水性膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184861
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】自己修復特性を有している、自己支持する合成重合体の防水性膜
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/02 20060101AFI20221206BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20221206BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20221206BHJP
   B29C 48/285 20190101ALI20221206BHJP
   B29C 48/305 20190101ALI20221206BHJP
   B29C 48/88 20190101ALI20221206BHJP
   B29C 48/28 20190101ALI20221206BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20221206BHJP
【FI】
C08L23/02
C08L33/02
C08K3/34
B29C48/285
B29C48/305
B29C48/88
B29C48/28
B29C48/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139508
(22)【出願日】2022-09-01
(62)【分割の表示】P 2018517493の分割
【原出願日】2016-06-16
(31)【優先権主張番号】15382320.8
(32)【優先日】2015-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517439948
【氏名又は名称】アターフィル,エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】マーティン セヴィッラ,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】カレーラス トッレス,エミリオ
(72)【発明者】
【氏名】ヒダルゴ ベタンゾス,ジョアキン
(72)【発明者】
【氏名】ガルメンディア バッレナ,マリア イザスクン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】建設部門において適用可能な、自己修復特性を有しており、自己支持する、合成重合体の防水性膜、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】合成重合体の防水性膜であって、単層を構成するためのマトリクスとしての重合体とは別に、強化材料または可塑剤が混合されていない、押し出された自己支持する単層からなり、当該単層が、1重量%~95重量%の、スメクタイトグループに属するフィロケイ酸塩型クレイの無機フィラー、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、およびポリアクリル酸ナトリウムを有していることを特徴とする合成重合体の防水性膜である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成重合体の防水性膜であって、
単層を構成するためのマトリクスとしての重合体とは別に、強化材料または可塑剤が混合されていない、押し出された自己支持する単層からなり、
当該単層が、
1重量%~95重量%の、スメクタイトグループに属するフィロケイ酸塩型クレイの無機フィラー、
熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、および
ポリアクリル酸ナトリウムを有していることを特徴とする合成重合体の防水性膜。
【請求項2】
上記無機フィラーが、上記スメクタイトグループに属するフィロケイ酸塩(ベントナイト)の、他の無機フィラーとの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の膜。
【請求項3】
0.01mmを超える厚さを有していることを特徴とする請求項1に記載の膜。
【請求項4】
上記スメクタイトグループに属する上記フィロケイ酸塩型クレイが、モンモリロナイト、ベイドライト、ノントロナイト、ラポナイトおよびフルオロヘクトライトから選択されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の膜。
【請求項5】
上記熱可塑性ポリオレフィン(TPO)が、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはEVA共重合体から選択されることを特徴とする請求項1に記載の膜。
【請求項6】
以下のステップ:
-スメクタイトグループに属するフィロケイ酸塩型クレイの、1重量%~95重量%の無機フィラー、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、およびポリアクリル酸ナトリウムの、押出機への導入、
-上述の複数の成分を溶融させること、
-溶融された成分を、膜の形状において押し出すこと、
-カレンダリングによって上記膜を冷却すること、ならびに
-上記膜を巻き取ること
を含んでいることを特徴とする、単層を構成するためのマトリクスとしての重合体とは別に、強化材または可塑化材料が混合されていない、自己支持する単層からなる、合成重合体の防水性膜を製造するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明である、自己修復特性を有している、自己支持する合成重合体の防水性膜は、建設部門に適用可能な合成膜に関する。この自己支持する膜は、単層または多層であり得る。単層膜の組成は、熱可塑性重合体、スメクタイト型のクレイ材料および超吸収性重合体(SAP)を含んでおり、自己支持性(すなわち、単層膜にとっての支持層として作用する補助層(ジオテキスタイル、強化材、またはジオシンセティック排水メッシュ型の補助層)に伴われていない)である。同様に、説明されている単層膜は、他のジオシンセティック補助層によって伴われ、少なくとも2つ(好ましくは3つ)の層(現在のジオシンセティックにある外部層と類似の組成を有している複数の外部層、および以上に特定されているような組成および本発明の対象物を有している中央層)からなる多層膜を生じ得る。
【0002】
本発明の、自己支持する自己修復する合成膜は、建築物(屋根および地下構造物(床、壁…))の分野および土木建造物の分野(埋め立て、運河、トンネル、貯水、道路、壁、橋…のシーリング)に適用可能である。
【背景技術】
【0003】
合成材料(重合体)は、現在、防水性膜の製造に使用されており、小さい比率の添加剤と混合されている、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ポリビニル(PVC)、エチレンプロピレンジエン単量体(EPDM)、ビチューメン…および/またはそれらの組み合わせである。
【0004】
異なるジオシンセティック材料の組み合わせも、ジオコンポジットから作製されている「ベントナイトブランケット」(すなわち、異なるジオシンセティック材料の組み合わせから形成されている製品(例えば、ジオテキスタイル-ベントナイト-ジオテキスタイル、ジオテキスタイル-ベントナイト-可塑性膜など))の場合のように、使用されている。これらのすべては、ジオシンセティックの他の層の間に閉じ込められているベントナイト粉末を含んでおり、建築物および土木建造物のためのベントナイトに基づく防水システムをもたらす。
【0005】
これらの合成原料または天然原料(PE、PP、PVC、EPDM、ビチューメン…)は、作業現場に設置するための防水性膜を製造するための原料として使用されており、以下の特性:なかでも、高度の耐水性、優れた機械特性および高い耐久性、を有していることを要する。既存の防水性膜は、極端に低い吸水力を特徴としており、この特徴のために、それらは、これらの用途に使用されている。さらに、それらは、水との接触による吸収作用(したがって膨張)を少しも示さない。
【0006】
防水性膜の主な制限の1つは、一旦破損が生じるとそれらが収納している液体の漏れを止めることができないので、一旦それらが破損すると、水密性をまったく維持できなくなることである。
【0007】
以下:
・トンネルの構築における陥没を防止するため、またはひび割れを塞ぐための、異なるベントナイトのグラウトまたはスラリー
・ジオメンブレン(貼り付けられているベントナイト層を支持する主な機能を有している防水性膜)を含んでいるベントナイトに基づく防水性ブランケット
・編まれているジオテキスタイルの1つ以上の層の間にカプセル化されているベントナイトを含んでいるジオコンポジット
の他に、異なるベントナイトに基づく解決法も、土木工事用途および建築作業用途の両方において防水性障壁として、用いられている。
【0008】
これらの生成物は、ジオシンセティクスの独立した作製(続いて、例えば設置される構成材を支持するなどのために、例えば溶接、縫い合わせまたは接着によって、機械的につながれる)を必要とする。さらに、これらの作製手順は、膜のサイズを制限する。
【0009】
最新技術において、ベントナイトナトリウムまたはモンモリロナイトが知られており、スメクタイトグループに属する3層ケイ酸塩型のクレイ(図1)であり、その構造は、単純なまたは水酸化されている補償カチオンを含んでいるシリコン(Si)四面体の2平面の間にある、網状形態におけるアルミニウムから主になる八面体ユニットの積層物によって構成されている。
【0010】
スメクタイト型クレイの主な構造的特徴は、水および他の極性分子(有機分子が挙げられる)の両方が、層間の空間に浸透し得る(網目の膨張を起こす)ことである。この現象は、このグループに属するクレイを形成している平行な複数のシートが、ファンデルワールス力および他の静電気力によってつながれていることに起因する。この構造設計は、水硬性障壁としての作用にとってそれらを理想的にしている。特に、ベントナイトナトリウムに属するクレイは、水と接触すると数倍に体積を増す能力を有しているので、この用途に最適であるが、ベントナイトカルシウム、またはカルシウムとナトリウムとの混合物も使用されている。
【0011】
ベントナイトは、高いパーセンテージのモンモリロナイトから構成されている。様々な種類のベントナイトは、存在するカチオンおよびそれらのパーセンテージにしたがって、分類されている。工業用途において、ヘクトライトは、その膨張力および分散力のために、ある場合にはベントナイト(主にモンモリロナイト)より優れていることが示されている。これは、より小さいその粒径による。
【0012】
水を吸収し得、スメクタイトと類似の様式において膨張し得る、他の化合物の選択肢(例えば、ラポナイト(合成ヘクトライト)、フルオロヘクトライトまたは白雲母のフッ化物)が、天然スメクタイトの他にある。ナトリウムが活性化しているクレイ(ベントナイトナトリウムを得るためのカルシウムベントナイト)がある。
【0013】
ベントナイト粉末を含んでいる防水性障壁によって示される主な制限は、それらがジオシンセティックの異なる層から作製されている防水システムに適合することである。当該層において、当該システムを形成している複数の層(例えば、ジオテキスタイル、ジオメンブレン、ジオメッシュまたはそれらの組み合わせ)の間に、ベントナイトが加えられていること、支持されていること、および/または閉じ込められていること(これによって、設置の間および後における、ベントナイト粉末の凝集を保証し、移動および/または分散を防止する)が必要である。
【0014】
さらに、超吸収性重合体(SAP-Superabsorbent Polymer)は、それら自体の質量に対して極めて多量の液体を吸収し、維持し得る重合体である。網状であるときにヒドロゲルとして分類される吸水性重合体は、水分子との水素結合を介して水性溶液を吸収する。水を吸収するSAPの能力は、水溶液のイオン濃度による。
【0015】
低密度の網状を有しているSAPは、一般に、より高い吸収力を有しており、より大きく膨張する。これらの種類のSAPはまた、より柔らかい、より粘性のゲル構造を有している。高密度の網状を有している重合体は、より低い吸収力を示し、あまり膨張しないが、ゲル強度は、より堅固であり、粒子の形状は、中程度の圧力下でも維持される。
【0016】
SAPの主な用途は、使い捨ての衛生製品(例えば、乳児用おむつ、成人用の保護下着および衛生パッド)に見られる。SAPはまた、地下の電源または通信ケーブルへの水の浸透を阻むため、園芸用の水保持剤、流出物および汚染水性液体の制御、ならびに人工雪の生成に使用される。
【0017】
乾燥状態におけるアクリル酸重合体(すなわち超吸収性重合体(SAP))は、渦巻きコイルに似ている(図2)。これらの分子が水中に置かれると、水素架橋結合が、周囲にあるHOHを伴って形成され、それらを、伸びた、まっすぐな状態にする(図3)。
【0018】
分子がまっすぐになると、それらは、周囲の液体の粘度を増大させる。超吸収性の化学的性質は、2つのこと:メッシュ(網目)を形成している複数の重合体鎖を横方向につなぐ小分子の添加、および重合体主鎖に沿っているカルボン酸基(-COOH)の部分的な中和(-COONa)を必要とする。
【0019】
水分子は、重合体主鎖におけるナトリウムの中和によって形成される拡散勾配(diffusion gradient)によって、メッシュに向かって引き付けられる。重合体鎖は、まっすぐになろうとするが、網目によって制限を受ける。このようにして、粒子は、メッシュを水が通るにしたがって膨張する(図4)。
【0020】
水分子は、超吸収性重合体メッシュのカルボン酸塩イオンに、水素架橋結合を介して、強く付着される。多くの可溶性金属も、重合体主鎖に沿っているナトリウムとイオン交換する傾向を有しており、保持され、これは、ポリアクリル酸塩が、硬水に用いる界面活性剤において金属イオン封鎖剤またはキレート剤として使用され得る理由である。高吸収性分子の外観は、図5により詳細に表してあり、超吸収性重合体メッシュのより大きな外観が、図6により詳細に示されている。
【0021】
さらに、最新技術において、可塑剤を含んでいる熱可塑性重合体、スメクタイト型クレイおよび超吸水性重合体を含んでいる組成の膜があり得る。可塑剤は、その加工を容易にし、かつその柔軟性を向上させるためにプラスティックに混合されている材料である。可塑剤の使用は、その組成物における、以下の:
-溶融状態における粘度
-弾性率、ならびに
-プラスティックのガラス転移温度(Tg)
を低下させる。
【0022】
したがって、可塑剤は、
-材料の変形を容易にするため、
-衝撃抵抗を上昇させるため、
-柔軟性を向上させるため、
-重合体の延性および引っ張り強さを向上させるため、ならびに
-硬度および脆性を低減させるために、
組成物に主に混合されている。
【0023】
しかし、上述の利点に加えて、可塑剤の使用は、特定の問題(例えば、
-毒性の問題:例えば、高い毒性のポリ塩化ビフェニルは可塑剤としてすでに使用されていない。フタル酸エステル(例えば、DOP)は、可塑化されているPVCバッグおよび管に保管されている血液から抽出され得る。これらの芳香族エステルはまた、PVC、車の座席カバーから熱によって分離され得る。
-プラスティック材料における可塑剤の減少は、耐用年数を大幅に短縮させるので、それが製造された目的に適さない脆弱な材料に、プラスティック材料を変える。
-プラスティック工業に使用されているいくつかの可塑剤は、有害である(例えば、研究室の試験において動物に対する発がん性があり、この生成物が現在、強い発がん性とみなされている、例えば「ジ-2-エチルヘキシルフタル酸塩」可塑剤など)。
)を引き起こす。
【0024】
したがって、本発明の対象物は、それに伴う不利益を回避するためにあらゆる種類の可塑剤なしの、熱可塑性重合体、スメクタイト型クレイおよび超吸水性重合体を含んでいる組成の、自己支持する単層膜である。
【発明の概要】
【0025】
本発明の対象物である自己支持する防水性膜の自己修復特性は、異なるパーセンテージの熱可塑性樹脂、スメクタイト型もしくはベントナイト型のフィロケイ酸塩クレイ、および超吸水性重合体(SAP)を混合することによる。
【0026】
本発明は、モンモリロナイト(ベントナイト)、ベイドライト、ノントロナイト、ラポナイトなどであるスメクタイト型のフィロケイ酸塩クレイを想定している。
【0027】
上記熱可塑性重合体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA共重合体などであり得る。
【0028】
さらに、超吸水性重合体は、親水性樹脂(スターチに基づく、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、PVA、PVOH)など、および架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸重合体、架橋ポリビニルアルコール、アルギン酸カルシウム、スターチ-g-アクリル酸ナトリウム共重合体であり得る。
【0029】
したがって、本発明の目的は、大きな膨潤特性および吸水特性を必要とする用途のために、自己修復特性(したがって自己修復能)を有している自己支持する防水性膜を備えていることであり、上記重合体に対して、異なる量(1重量%~95重量%)の、ベントナイトクレイを加えること、ならびに、特に、これまでのように、ベントナイト粉末をつなぐため、支持するため、または閉じ込めるための他の層を利用するための吸水性重合体の添加(必須ではない)によって達せられ、破損が生じたときに自己密閉する膜(防湿層)を実現するための連続的な唯一の処理において製造される単層または多層の生成物をこのようにして得ることである。
【0030】
本発明の対象物である膜を形成する層において強化材料を用いることなく、その組成によって自己支持する特性は、自身を支持するための単層膜を可能にする(すなわち、最新技術にあるような、その組成に組み込まれる強化材料を必要としない)。ここで、自己支持しない単層膜は、当該単層膜の支持層として作用するドレーン性のジオテキスタイルまたはジオコンポジット(ジオドレーン)を利用している。明らかに、本発明の対象物である単層膜は、上記単層膜の支持層として作用する補助的な他のジオシンセティック層(例えば、防水性ジオメンブレン、ジオテキスタイル、またはドレーン性のジオコンポジット(ジオドレーン)など)をその用途に応じて、伴い得る。明らかに、本発明の対象物である単層膜は、補助的な他のジオシンセティック層(例えば、防水性膜、ジオテキスタイル、またはドレーン性のジオコンポジット(ジオドレーン)など)をその用途に応じて、伴い得る。上述の通り、これらの補助層は、保護もしくはろ過(ジオテキスタイル)または排出(ジオドレーン)であるその特定の機能のために、本発明の対象物である単層膜の気密封止溶液に組み込まれている。
【0031】
防水膜に生じ得るあらゆる破損は、それらの主な特性(水密性)を損なう。これらの破損は、使用される種々の機械(掘削機、フォークリフト、トラックなど)の動作を介して、地形における種々の不規則さのために敷設の間、および動物、植物などの活動を介して敷設の後にも生じ得る。
【0032】
以上のことにしたがって、本発明の目的は、第1の請求項に係る、自己修復する特性を有している自己支持する防水性膜である。当該膜は、異なる構造を有し得、単一の層(すなわち単層膜)、または2つ以上の層(すなわち多層膜)によって形成され得る。
【0033】
自己修復する膜は、単層からなり、その配合は、異なる量の:
・ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA共重合体または類似の特性を有している化合物を含んでいる、ポリオレフィン熱可塑性重合体
・親水性樹脂(スターチに基づく、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、PVA、PVOH)など、および架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸重合体、架橋ポリビニルアルコール、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、スターチ-g-アクリル酸ナトリウム共重合体、または類似の特性を有している化合物を含んでいる群から選択される、超吸水性重合体(SAP)、ならびに
・無機フィラーまたはそれらの組み合わせ(例えば、スメクタイト型のフィロケイ酸塩クレイ、モンモリロナイト(ベントナイト)、ベイドライト、ノントロナイト、ラポナイト、フルオロヘクトライト…、無機顔料(カーボンブラック、酸化チタンなど))
を混合することを含んでいる。
【0034】
これらの混合の結果物は、膜における破損(穴、亀裂、…)を塞ぎ、したがって単層膜に含まれている液体(水、…)が漏れることを防ぐ、自己修復する単層膜である。
【0035】
多層膜も、自己修復する膜であり、自己修復する膜は、この場合、2つ以上の層によって形成されている。ここで、複数の層のうち1層(一般的に内部層)が、上述の自己修復する単層膜のように作製されており、他の層が、現行の防水性膜と同様に形成され得る。防水性膜に穴または亀裂型の破損がある場合に、破損は、上述のように、熱可塑性重合体(TPO)、ベントナイトクレイおよび超吸水性重合体(SAP)を、水と接して含んでいるその特定の調合のために内部層の自己修復特性の結果として塞がれ得る。
【0036】
さらに、本発明の対象物である複数の膜は、請求項1に係る自己修復する単層、または請求項1に係る自己支持する単層膜を含んでいる多層のいずれでも、例えば接合された膜を生じさせる溶接によって、互いに接合され得る。
【0037】
自己修復する単層膜および自己修復する多層膜を構成している成分は、
a)熱可塑性材料から作製されている可塑性成分:
i)例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合体EVA…を包含しているポリオレフィン熱可塑性物質
ii)超吸水性重合体(SAP)、親水性樹脂(スターチに基づく、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、PVA、PVOH)、および架橋カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸重合体、架橋ポリビニルアルコール、アルギン酸カルシウム、スターチ-g-アクリル酸ナトリウム共重合体
b)スメクタイト型のフィロケイ酸塩クレイ(総配合量の1重量%~95重量%のパーセンテージにおいてモンモリロナイト(ベントナイト)、ベイドライト、ノントロナイト、ラポナイトおよびフルオロヘクトライトを含んでいる)によって形成されている無機成分、または他の無機フィラー(例えば、重炭酸塩、硫酸塩など)との、ベントナイトナトリウムの混合物によって形成されている無機成分
を含んでいる。
【0038】
種々のパーセンテージのの相溶性化合物を上述の混合物に加えることが、良好な混和性を実現することを目的として、当該混合物の異なる成分(可塑性フィラーおよび鉱物フィラー)の間に架橋または結合を形成するために、可能である。
【0039】
単層膜は、その組成に可塑剤を欠いているにもかかわらず、粘度、弾性率、ガラス転移温度、衝撃耐性、柔軟性、延性および引っ張り強さ、硬度、脆性…についての特徴を有している。つまり、可塑剤によって変更されるこれらのすべては、その形成に可塑剤を使用しているプラスティックに対してさえ、その形成に可塑剤を使用する必要なしに優れている。本発明の対象物である自己修復する単層膜は、押出成形処理、および続くカレンダリングによって得られる。同様に、例えば1つまたは2つの外部層によって形成されている、単層膜、ジオコンポジットを形成するために請求項1の対象物である単層膜を伴っているジオメンブレンの製造物はまた、後の処理または任意の続く操作なしに、押出成形法を用いて製造される。
【0040】
概略的に、押出-カレンダリング装置は、
・1重量%~95重量%のプラスティックに負荷を加えることのできる、押出機供給装置
・(複数の)押出機
・単層膜、および請求項1に係る単層膜を組み込んでいる多層膜の両方を得ることのできる同時押出装置
・0.25mからの、最小ヘッダ幅
・1つ以上のローラを有しているカレンダ
・巻き取り機
・コンベア
によって構成されている。
【0041】
同時押出成形法にしたがって得られる、本発明において説明されている、単層または多層(図7)の膜は、0.01mm~20mmの厚さを有し得る。しかし、これらの膜にとっての最も一般的な厚さは、1.00mm~5.00mmの範囲である。
【0042】
本発明の対象物である自己修復する単層膜は、その組成およびその製法のために最大12mの高さに達し得る。
【0043】
なされている説明を補足し、本発明の特徴のよりよい理解を助けるために、1組の図面が、その必須部分として本願明細書に添付されており、当該図面において、例示的かつ非限定的に以下のことが表されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、シリコン(Si)四面体の2平面に挟まれている、主にアルミニウムの、積層された八面体ユニット(単純なまたは水酸化されている補償カチオンを含んでいる)によって、網目形態に構成されているベントナイトナトリウムまたはモンモリロナイトの構造の模式図を示している。
図2図2は、渦巻きコイル形状を有している、乾燥状態における超吸水性重合体の模式図を示している。
図3図3は、水(HO)中に置かれているときに、乾燥状態における超吸水性重合体の分子を混合する模式的な手順を示している。
図4図4は、超吸水性重合体のメッシュを水(HO)中で混合する模式的な手順を示している。
図5図5は、超吸水分子の模式図を示している。
図6図6は、超吸水性重合体メッシュの模式図を示している。
図7図7は、本発明の対象物である多層膜を示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本願の目的を果たすための好ましい形態が以下に説明されるが、本発明は特定の例に限定されない。
【0046】
以下の成分:
・0.820g/cc~0.940g/ccの密度を有している熱可塑性ポリオレフィン(TPO)樹脂
・ベントナイトナトリウム
・ポリアクリル酸ナトリウム(例えばSAP)
・カーボンブラックのマスターバッチおよび他の添加剤(可塑剤および滑剤を除く)
を含んでいる調合物が、自己支持しかつ自己修復する膜を、生成し、得るために使用されている。
【0047】
この調合物は、平坦なヘッダに取り付けられている同方向回転ツインスプール機械(押出成形機)において処理されており、膜1および膜2の調合物は、以下の2つの表(表1-膜1および表2-膜2)に示されている。
【0048】
【表1】
【0049】
溶融された材料は、押出成形機のヘッダから膜の形態において流出する。高温の溶融されたこの膜は、適切な冷却処理に当該膜が供されるカレンダのローラに通される。生じた膜が一旦十分に冷却されると、当該膜はスプールに巻き取られる。
【0050】
結果物は、異なる長さ、および12メートル以下の幅のロールであった。
【0051】
得られた膜は、1.00mm~5.00mmの厚さである。
【0052】
図7は、クレイおよび吸水性重合体なしの少なくとも1つの疎水性の外部層(1)を両面に有している請求項1に係る自己支持する中央層(2)がある、本発明の対象物である多層膜の例を示しており、中央層(2)は、合計厚さの1%~75%の範囲にある厚さを示す。自己支持する中央層は、全体の25%~99%に相当する厚さを好ましく有しており、さらに、複数の外部層(1)は、強化層として機能する。当該強化層または複数の強化層は、異なる材料(例えば、ポリエステル、繊維ガラス、ポリプロピレンまたはそれらの組み合わせ)によって作製され得る少なくとも1つの強化メッシュを備えている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7