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特開2022-184864抗菌性を有する変性ポリエステル及びその変性ポリエステルの使用
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  • 特開-抗菌性を有する変性ポリエステル及びその変性ポリエステルの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184864
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】抗菌性を有する変性ポリエステル及びその変性ポリエステルの使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/44 20060101AFI20221206BHJP
   D01F 6/62 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
C08G69/44
D01F6/62 304
D01F6/62 306C
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022140282
(22)【出願日】2022-09-02
(62)【分割の表示】P 2021031199の分割
【原出願日】2018-02-06
(31)【優先権主張番号】102017000019556
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】512007247
【氏名又は名称】ゴールデン レデイ カンパニー ソチエタ ペル アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ザルティエリ,マウロ
(72)【発明者】
【氏名】グラシ,ネリノ
(72)【発明者】
【氏名】マージ,マウリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ,フィリッポ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特に医療用途等に好適な、抗菌性を有するポリエステルおよび繊維製品を提供する。
【解決手段】末端がカルボキシル基であるポリエチレンテレフタレートと、末端がアミノ基であるポリエーテルジアミンもしくはポリエーテルトリアミンを反応させて得られる、ポリエステル、抗菌性を有する繊維製品を製造するための、前記ポリエステルを含有するスレッド又は繊維の使用を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレート及び少なくともポリエーテルアミンを含有する、抗菌性を有するポリエステル。
【請求項2】
ポリエーテルアミンが、ポリエチレンテレフタレート中の、アミノ末端(NH)を有する鎖末端として広くいきわたって位置する、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項3】
ポリエーテルアミンがポリエーテルジアミン又はポリエーテルトリアミンである、請求項1又は2に記載のポリエステル。
【請求項4】
ポリエーテルアミンは、ポリエステルの総重量に対して少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約2重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%の割合で存在し、かつポリエーテルアミンの重量割合はポリエステルの総重量に対して約50重量%以下、好ましくは約30重量%以下、より好ましくは約25重量%以下、さらにより好ましくは約20重量%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリエステル。
【請求項5】
ポリエステルは、ポリエステルの総重量に対して少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約70重量%、さらにより好ましくは少なくとも約80重量%のポリエチレンテレフタレートの割合を含み、かつ好ましくは、ポリエチレンテレフタレートの重量割合がポリエステルの総重量に対して約99重量%以下、好ましくは約98重量%以下、さらにより好ましくは約95重量%以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリエステル。
【請求項6】
ポリエーテルアミンは、少なくとも約500g/mol、好ましくは少なくとも約800g/mol、さらに好ましくは少なくとも1000g/mol、より一層好ましくは少なくとも約1500g/molであり、そして好ましくは約5000g/mol以下、より好ましくは約3000g/mol以下の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリエステル。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリエステルを含み、かつ短繊維、連続モノフィラメントスレッド、連続マルチフィラメントスレッド、紡糸繊維からなるスレッド、生地、不織布からなる群から選択される、繊維製品。
【請求項8】
繊維製品の総重量に対して少なくとも約40重量%、好ましくは少なくとも約50重量%、さらに好ましくは少なくとも約60重量%のポリエステル重量割合を含む、請求項7に記載の繊維製品。
【請求項9】
抗菌性を有する製品を製造するための、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリエステルの使用。
【請求項10】
抗菌性を有する繊維製品を製造するための、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリエステルを含有するスレッド又は繊維の使用。
【請求項11】
ポリエチレンテレフタレート鎖にポリエーテルアミンを導入する工程を含む、ポリエチレンテレフタレートを含有するポリエステルに抗菌性を付与する方法。
【請求項12】
ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルの重合及び形成を十分に引き起こすため温度及び圧力でテレフタル酸、エチレングリコール及びポリエーテルアミンを反応させる工程を含む、ポリエステルの製造方法。
【請求項13】
末端カルボキシル基を有するポリエチレンテレフタレートを得るために、テレフタル酸及びエチレングリコールと過剰のエチレングリコールを反応させる工程と、
末端カルボキシル基とポリエーテルアミンを反応させて、ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリマー鎖を含有するポリエステルを得る工程を含む、請求項12に記載のポリエチレンテレフタレート及びーテルアミンをポリエ含有するポリエステルの製造方法。
【請求項14】
ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルを得るためのポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを反応させる工程を含む、ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルの製造方法。
【請求項15】
グラフト剤又は鎖延長剤を添加する工程を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
官能化ポリエチレンテレフタレートを得るためにポリエチレンテレフタレートにグラフト剤又は鎖延長剤を反応させる工程と;官能化ポリエチレンテレフタレートをポリエーテルアミンと反応させる工程とを有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーの分野に関する。特に、本明細書に開示された態様は、例えば織布、不織布又は他の繊維物品を製造するための合成スレッド、繊維及びヤーンを製造するためのポリマーの改良に関する。更なる態様は、医療用用途用の物品を製造するためのポリマーの改良に関する。
【0002】
本明細書で開示する態様は、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PET)の改良及びこれらのポリマーの新規用途に関する。
【背景技術】
【0003】
衣料品、家具、自動車分野、さらには医療及びヘルスケア分野等の繊維物品の製造においては、製造物品を製造するために使用されるスレッド、ヤーン又は繊維及びこれらの半製品から得られる製品に抗菌性(ANTIMICROBIAL又はANTIBACTERIAL)を付与することへの要求が高まっている。繊維物品を製造するための半製品に抗菌性又は静菌性を付与する必要性は、一方では健康及び衛生に関連し、他方では皮膚との接触が必要な衣料品又はその他の用途で用いられる繊維物品中の微生物の存在及び増殖に関連する非病理的な副次的効果に関連する。健康及び衛生上の理由は、工業又は病院環境等において繊維物品を介する病原体の伝染を減少させる必要性に関する。微生物の存在及び増殖に関連する副次的効果は、特に衣料品においては微生物が悪臭を発生させる原因となるということが認識されている。
【0004】
特に殺菌性を有する合成繊維又は合成スレッドから成る繊維物品を製造するためのポリマーを製造することを目的として多くの研究が行われている。一般的に、ポリマーに抗菌力又は静菌力を付与する方法は、以下の3つのマクロカテゴリーに分類される。
― 殺菌性ポリマー(BIOCIDAL POLYMERS):
通常は微生物の細胞膜上における動きを介して微生物を死滅させるようにしたポリカチオンの利用に基づく内在性抗菌活性を有するポリマーである。
― 重合殺菌剤(POLYMERIC BIOCIDES):
内在性の抗菌活性を持たないポリマーであり、殺菌性の分子が特異的に結合する。重合殺菌剤は通常その特徴である立体障害のために殺菌性ポリマーよりも効果が低い。立体障害は分子構造中の原子の空間分布により化学反応の遅効化又は抑制を引き起こすことができる効果として特徴づけられる。これらの場合に使用される殺菌特性を有する分子は複雑であり、温度に対して比較的不安定、高価、また一般的に取扱いが困難である。
― 殺菌剤放出ポリマー(BIOCIDE-RELEASING POLYMERS):
抗菌力をそれ自身は有さないポリマーであるが、経時的に放出される殺菌性の分子が付着している。実質的には、これらはマトリックス中に種々の方法で捕捉された殺菌性の分子を担持する高分子マトリックスである。これらのポリマーは、放出される殺菌剤が汚染物質であることあるいはポリマーに担持した殺菌剤が経時的に消失し再担持しなければならないといった多くの欠点を有する。
【0005】
抗菌性ポリマーの近年の開発に関する概要は、以下の文献に示される。
Madson R.E. Santos et al., "Recent Developments in Antimicrobial Polymers: A review", in Materials, 2016, 9, 599; doi: 10.3390/ma9070599 (www.mdpi.com/journal/materials);
Xan Xue et al , "Antimicrobial Polymeric Materials with Quaternary Ammonium and Phosphonium Salts", in International Journal of Molecular Sciences, 2015, 16, 3626-3655; doi: 10.3390/ijms 16023626 (www.mdpi.com/journals/ijms);
Diana Santos Morais et al. "Antimicrobial Approaches for Textiles: From Research to Market", in Materials, 2016, 9, 498; doi: 10.3390/ma9060498, (www.mdpi.com/journal/materials);
Felix Siedenbiedel et al, "Antimicrobial Polymers in Solution and Surfaces: Overview and Functional Principles", in Polymers 2012, 4, 46-71; doi: 10.3390/ polym4010046 (www.mdpi.com/journal/polymers);
Sheila Shahidi et al, "Antibacterial Agents in Textile Industry", in "Antimicrobial Agents", published by Varaprasad Bobbarala, ISBN 978-953-51-0723-1, September 12, 2012, chapter 19, pages 388-406
【0006】
医療及び病院分野において抗菌性を有する繊維物品を使用する必要性は、これらの製品が微生物を拡散させるための危険な媒体になり得るという事実に起因する。医療及び病院分野で使用する繊維物品の細菌汚染に由来するリスクは次の文献において議論されている。
A. Pinon et al., "Microbiological Contamination of Bed Linen and Staff Uniforms in a Hospital", in Advances in Microbiology, 2013, 3, 515-519, published online on http://www.scirp.org/journal/aim; http://dx.doi.org/10.4236/aim.2013.37069
S. Fijan et al., "Hospital Textiles, Are They a Possible Vehicle for Healthcare- Associated Infections?", in Int. J. Environ. Res. Public Health 2012, 9, 3330-3343; doi: 10.3390/ijerph9093330, published in www.mdpi.com/journal/ijerph
【0007】
上記の科学技術的文献に記載されているように、抗菌性を有するポリマーの製造においては、繊維への変換中又は半製品及びその半製品から得られうる繊維物品の使用中に重大な技術的困難及び/又は欠点が生じる。さらには、上記の文献においては、特に衣料品及び医療分野における殺菌性を有するポリマーの必要性が高まっていることを示されている。
以上のことより、抗菌性を有する繊維物品をより経済的に有利、より効果的、より汚染が少なく製造するための解決方法が継続的に研究されている。
【0008】
織物繊維及びスレッドの製造及びそれらを用いて製造された関連製品への使用に加えて、ポリマー材料は抗菌性が有益となる医療分野において多くの用途を有する。医療及び外科分野におけるポリマー材料の利用の概要は以下の文献に示される。
V.P. Shastri, "Non-Degradable Biocompatible Polymers in Medicine: Past, Present and Future", in Current Pharmaceutical Biotechnology, 2003, 4, 331-337;
W. Khan et al. "Implantable Medical Devices", in Focal Controlled Drug Delivery, chap.2, by A.J.Domb and W.Khan; Advances in Delivery Science and Technology, DOI 10.1007/978-1-4614-9434-8_2, available on http://www.springer.com/gp/book/9781461494331;
L.W. McKeen, "Plastics Used in Medical Devices", in "Handbook of Polymer Applications in Medicine and Medical Devices. DOI: http://dx.doi.org/10.1016/B978-0-323-22805-3.00003.7, 2014 published by Elsevier Inc. (https://www.elsevier.com/_data/assets/pdf_file/0011/91649/Plastics-Used-in-Medical-Devices_link.pdf);
M.F. Maitz, "Applications of synthetic Polymers in Clinical Medicine", in Biosurface and Biotribology 1 (2015) 161-176, available online at www.Sciencedirect.com.
医療及び外科分野において抗菌性を有するポリマーは有益であると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ポリエステルへの抗菌性は、驚くべきことに、ポリエチレンテレフタレート鎖に少なくともポリエーテルアミンを導入して変性することにより付与することができることが発見された。ポリエーテルアミンで官能化により得られた変性ポリエステルは、ポリエーテルアミンを含有しない同等のポリエチレンテレフタレートと比較して、ポリマーのサンプル上に接種された細菌コロニーの増殖を減少させる能力、すなわち、殺菌力を示した。
【0010】
したがって、本発明の一つの態様は、特に改良された抗菌力を有するポリマーとして、ポリエチレンテレフタレート及び少なくともポリエーテルアミンを含有するポリエステルに関する。また、変性ポリエステルは、1つ又は複数のポリエーテルアミン部分を含有するポリエチレンテレフタレート鎖を含有する官能化ポリエステルである。
【0011】
本明細書に示す実施態様においては、単一のポリエーテルアミンをポリエチレンテレフタレートと組み合わせて使用しているが、ポリエーテルアミン部分をポリエチレンテレフタレート鎖に導入することによって末端を官能化しながら、例えば様々な数のアミノ基(ポリエーテルジアミン、ポリエーテルモノアミン、ポリエーテルトリアミン等)等と組み合わせて複数のポリエーテルアミンを使用することも可能である。
【0012】
本開示及び特許請求の範囲においては、他に特定されない限り、一般的に抗菌力又は抗菌性は、微生物、特に細菌、病原菌、かび及びウイルス(BACTERIA、MICROBES、FUNGI、VIRUSES)の増殖を減少又は防止する能力を意味する。したがって、抗菌力は、抗かび力又は抗真菌力(ANTIFUNGAL CAPACITY or ANTIMYCOTIC CAPACITY)を含み得る。
【0013】
ポリマーの官能化のための分子としてポリエーテルアミンを使用することが知られている。WO2014/057364号及びWO2015/001515号は、水分率、つまり、水分を吸収及び保持する能力を増大させる、ナイロン及びポリエーテルジアミンを含む変性ポリアミドを製造する方法を記載している。特に、これらの変性ポリアミドは、布地及びそれらの布地から得られる衣類の感触を改善することが示唆されている。しかしながら、これらの文献は異なる種類のポリマーに関するものであり、ポリエーテルアミンをその他の目的のために使用することを示唆している。
【0014】
ポリエチレンテレフタレート鎖へ少なくともポリエーテルアミンを導入することは、ポリエステルの抗菌性を増加させる、つまり、ポリエーテルアミンを含有しない同じポリエステルと比較した時、より大きい抗菌力を有する変性ポリエステルを得ることを可能にする。ポリエーテルアミンとポリエチレンテレフタレートは、ポリエステルの高分子鎖中で共有結合により互いに結合している。このようにポリエーテルアミンによって与えられる抗菌性は、例えばスレッド、フィラメント、繊維又は半製品を製造する際に、変性ポリエステルのスレッド、ファイバーから得られる生地、不織布等の繊維物品を洗浄又は滅菌するためにポリエステルを押出し、洗浄、滅菌プロセス等の化学的、熱的又は機械的行為に供されたとしても、安定かつ持続的である。
【0015】
本明細書に記載されている様々な態様の基礎となる驚くべき効果が得られるメカニズムは、完全には明らかではない。ポリエーテルアミン中に存在するアミノ基が微生物の増殖を妨げ、変性ポリエチレンテレフタレートに静菌性を付与することが推定されるものの、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0016】
好ましくはポリエーテルアミンは、ポリエチレンテレフタレート中の、遊離アミノ末端(NH)を有する鎖末端として広くいきわたって位置する。
ポリエーテルアミンは、ポリエーテルモノアミンとすることができる。
現在の好ましい実施態様は、ポリエーテルアミンは1を超えるアミノ基を含み、そのため例えばポリエーテルジアミン又はポリエーテルトリアミンとすることができる。
【0017】
ポリエーテルアミンは、ポリエステルの総重量に対して少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約2重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%の重量パーセントで存在し得る。本明細書に記載されている実施態様において、ポリエーテルアミンは、ポリエステルの総重量に対して約50重量%以下、好ましくは約30重量%以下、より好ましくは約25重量%以下、さらにより好ましくは約20重量%以下の量で存在し得る。例えば、ポリエステルは、約1%から約50%、好ましくは約1%から約25%の重量パーセント割合でポリエーテルアミンを含むことができる。いくつかの実施態様において、ポリエステルは、約1%から約20%、約2%から約20%、又は約2.5%から約15%の割合でポリエーテルアミンを含む。
【0018】
いくつかの実施態様において、ポリエステルは、ポリエステルの総重量に対して少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約70重量%、さらにより好ましくは少なくとも約80重量%の割合でポリエチレンテレフタレートを含むことができる。本明細書に記載されている実施態様において、ポリエチレンテレフタレートの重量パーセントは、ポリエステルの総重量に対して約99重量%以下、好ましくは約98重量%以下、さらにより好ましくは約95重量%以下で構成され、例えばポリエステルは、約50重量%から約99重量%、好ましくは約75重量%から約99重量%であり、例えば約80重量%から約99重量%、又は約80重量%から約98重量%、又は約85重量%から約97.5重量%のポリエチレンテレフタレートを含むことができる。
【0019】
いくつかの実施態様には、ポリエーテルアミンの重量平均分子量(Mw)は、少なくとも約500g/mol、好ましくは少なくとも約800g/mol、より好ましくは少なくとも1000g/mol、さらに好ましくは少なくとも約1500g/mol、そして好ましくは約5000g/mol以下、より好ましくは約3000g/mol以下、例えば1500から2800g/molである。
【0020】
本明細書が開示するポリエーテルアミン変性ポリエステルは、繊維物品の製造に特に有用であり得る。本明細書では、繊維製品は半製品及び最終製品の両方を意味する。半製品は、連続モノフィラメント又はマルチフィラメントスレッド、短繊維、又は短繊維を紡糸することによって得られるヤーンを意味することができる。半製品は、例えば機械的、熱的、化学的、水圧的、又は任意の方法あるいは前述の結合方法の2つ又はそれ以上の組み合わせにより結合した、結合又は非結合の繊維、スレッド又はフィラメントからなる布、テープ又は管状織布、又は編布、多重プライ不織布をも意味する。半製品又は繊維物品は、織物繊維又はスレッドの2又はそれ以上の組み合わせたプライから構成される多重プライ製品を含み得る。
【0021】
繊維製品は、上述のようにポリエチレンテレフタレート及び少なくとも1つのポリエーテルアミンを含有するポリエステルのみから構成することができる。いくつかの実施態様において、繊維製品は、PET及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルに加えて一種又はそれ以上の更なる成分を含有することができる。いくつかの例示的な実施態様においては、異なる種類のポリマーがPET及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルと組み合わせることができる。例えば、本明細書に記載されている主題の実施態様は、二成分以上のフィラメント又は繊維から構成することができ、一方はPET及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルから構成される成分の一つであり、もう一方は、ポリアミド、ポリエーテルアミンを含有しないポリエチレンテレフタレート等の異なる種類のポリマーで構成することができる。
【0022】
二成分繊維又はフィラメントは、例えば繊維製品の総重量に対して少なくとも約40重量%、好ましくは少なくとも約50重量%、さらに好ましくは少なくとも約60重量%の、ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルで構成することができる。
【0023】
本明細書に記載されているポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有する変性ポリエステルで製造されたスレッド、フィラメント、繊維又はヤーンは、そのまま、又は他の天然、人工又は合成のスレッド、フィラメント、繊維又はヤーンと混合して使用することができ、例えばポリエーテルアミンを含有しないポリエステル、又はポリアミド又は他の適切な構成成分等の他のポリマーにより製造されるものを含む。この場合、繊維製品において、ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルは、重量パーセントにおいて少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは約60%又は70%に等しい重量パーセントで存在し得る。また、この割合は、繊維製品の総重量に対して約95%以下、さらに好ましくは約80%以下であることが好ましい。
【0024】
さらなる態様によれば、本明細書は、ポリエチレンテレフタレート及び少なくともポリエーテルアミンを含有するポリエステルは抗菌性を有する製品又は物品を製造するために使用されることを開示する。
【0025】
特に、本明細書は、ポリエチレンテレフタレート及び少なくともポリエーテルアミンを含有するポリエステルは抗菌性を有する繊維製品を製造するために使用されることを開示する。また、繊維物品は、繊維が結合した又は非結合した不織布、織布、編布、又はそれらの組み合わせから選択されることが開示されている。
さらなる態様によれば、本明細書は、ポリエチレンテレフタレートを含有するポリエステルに抗菌性を付与する方法であって、ポリエチレンテレフタレート鎖にポリエーテルアミンを重合プロセス又は重合プロセスに続いて導入し、すでに重合したポリエステルにポリエーテルアミンを反応させる方法を開示する。
【0026】
さらなる態様によれば、本明細書は、ポリエステル、特に、ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルの重合及び形成を引き起こすために十分な温度及び圧力において、テレフタル酸、エチレングリコール及びポリエーテルアミンを反応することを含む、ポリエステル、特に抗菌性を有する変性ポリエステルを製造方法を開示する。
【0027】
いくつかの実施態様では、ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルの製造方法は、
末端カルボキシル基を有するポリエチレンテレフタレートを得るために、テレフタル酸及びエチレングリコールと過剰のエチレングリコールを反応させる工程と、
末端カルボキシル基とポリエーテルアミンを反応させて、ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリマー鎖を含有するポリエステルを得る工程を含む。
【0028】
その他の実施態様によると、ポリエチレンテレフタレート鎖に少なくともポリエーテルアミンを導入するために既に重合したポリエステルを変性する方法を提供する。この方法は、抗菌性を有し、ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルを得るためのポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンの反応工程を含み得る。この方法は、改良された抗菌力を有し、ポリエーテルアミンを有する変性ポリエチレンテレフタレートから構成される連続モノフィラメント又はマルチフィラメントスレッドを製造するために押出機内で実施することができ、例えばチップ状又は顆粒状等のポリエチレンテレフタレートを含有するポリエステルを開始原料として直接押出機又は押出機と分離した容器内に添加され、又はそれと流体連通して、適量の少なくともポリエーテルアミンを添加する。ポリエステルは、ポリエーテルアミンと反応し、変性ポリエステルは押出されてスレッド、繊維物品等の用途のための半完成物品を形成する。
【0029】
他の実施態様において、得られた変性ポリエステルは、後続の変換工程のためにチップ、顆粒などの形状の半製品に再加工されることができる。言い換えれば、ポリエステル及びポリエーテルアミンの官能化反応が開始単量体からではなく既に重合されているポリエステルから開始する場合、変性ポリエステルを使用して、溶融及び押出工程をさらに含む後続のプロセスに適した任意の物理的形状の半製品を製造することができる。ポリエーテルアミン及びポリエチレンテレフタレートの共有結合の安定性は、ポリマーが後続の熱処理及び機械的加工の操業に供した場合でも、ポリエーテルアミンをポリエチレンテレフタレート鎖に導入することにより得られる抗菌性が維持されることを確保する。
既に重合されているポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンの反応を促進するために、いくつかの実施態様は、グラフト剤又は鎖延長剤を添加する工程を含むことができる。この方法は、官能化ポリエチレンテレフタレートを得るためにポリエチレンテレフタレートにグラフト剤又は鎖延長剤を添加する工程及び官能化ポリエチレンテレフタレートをポリエーテルアミンと反応させる工程を有することができる。
【0030】
さらなる態様によれば、本発明は、抗菌性を有する繊維物品、例えば布地、シート、ブランケット、カーテン、ガーゼ、又は医療用又は外科用機器等の製造のためのポリエチレンテレフタレート及び少なくともポリエーテルアミンを含有するポリエステル繊維又はスレッドの使用に関する。
【0031】
変性ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートをポリエーテルアミンで修飾して得られる抗菌性を有することにより、抗菌性が望まれ有用となる全ての用途、例えば医療外科分野だけでなく、細菌量が減少することで汗に由来する悪臭の発生を減少させるような衣料品部門でも特に適するものとなる。
【0032】
また、本明細書は、繊維構造の抗菌性を高めるため、織物繊維又はスレッドの形態の半製品を1プライ又はそれ以上の不織布、織布、又は編物などの繊維構造に変換する工程であって、当該半製品はポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含む工程を含む、繊維物品の製造方法を開示する。
【0033】
いくつかの実施態様において、ポリエーテルアミンは、少なくとも2つのアミノ基(NH)を有し、そのうちの1つはポリエチレンテレフタレートとの反応し、ポリエステル鎖と共有結合を形成するために使用され、もう一つは得られたポリマー鎖で利用可能な状態である。
【0034】
本明細書の特徴及び実施態様を以下のとおり開示し、特許請求の範囲に本明細の必須事項をさらに記載する。上記の簡潔な説明は、本発明の様々な実施態様の特徴について、以下の詳細な説明がよりよく理解され、技術への本発明への貢献がよりよく理解されるように示す。本発明の上記以外の特徴についてもこれ以降の明細書及び特許請求の範囲に記載される。これに関して、本発明のいくつかの実施態様を詳細に説明する前に、本発明の様々な実施態様は、その適用において以下の説明及び図に示される構成の詳細及び要素の配置に限定されないと理解される。本発明は、他の実施態様が可能であり、様々な方法で実施することができる。また、本明細書で使用される語法及び用語は説明を目的とするものであり、限定するためのものではない。
【0035】
当業者にとって本開示が基づく概念は、本発明の様々な目的を実現するために別の構造、方法、及び/又はシステムを設計する基礎として容易に利用することができると考えられる。したがって、本発明の意図及び範囲から逸脱しない限り、特許請求の範囲は同等の構成等を含むとみなされることが重要である。
【0036】
本明細書に記載されているポリエーテルアミンを有する変性ポリエステルの使用は、紡織スレッド及び繊維、その他の半製品又は最終製品が工業的規模で容易に実施可能な工程により抗菌性を有することを可能にする。実際に、特にポリエーテルアミンをポリエチレンテレフタレート鎖に導入するためのプロセス条件は、従来の通常のポリエチレンテレフタレート、すなわちポリエーテルアミンを含有しないポリエチレンテレフタレートを製造するために使用される条件から大幅な変更はない。さらに、このアプローチには、抗菌性の増加に関する類似の効果を得るための現在知られている他の工業プロセスと比較して低コストである明白な利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、添付の図面に示された一連の例示的な実施態様及び得られた結果を参照して説明される。図1は、従来のPETスレッドを含有する布地、及びポリエーテルジアミン含有PET、すなわち本発明によるポリエーテルアミンで官能化されたPETから成るスレッドを含有する布地の抗菌力を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に例示される実施態様の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面の同じ参照番号は、同一又は類似の要素を示す。また、図面は縮尺どおりである必要はない。以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。むしろ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
【0039】
説明中の「実施態様」、「その実施態様」、「いくつかの実施態様」の参照は、対象の少なくとも一つである実施態様に関連する特定の性質、構造又は要素を意味する。したがって、様々な時点の説明における「実施態様」、「その実施態様」、「いくつかの実施態様」という語句は、必ずしも同じ実施態様を指すとは限らない。さらに、1つ又は複数の実施態様において、特定の特徴、構造、又は要素が適切な方法で組み合わせることができる。
【0040】
本明細書及び特許請求の範囲において図示又は言及される比率、濃度、量及びその他の数値データは、範囲の形態で表されることができる。表現の形式は、便宜上及び簡潔さのために用いられるものであることが理解されるべきであり、範囲は、範囲の限定として明示される数値データのみを含むと理解されるべきではない。代わりに、数値の範囲は、範囲に含まれる全ての個々の数値及び範囲に含まれる2つの数値で区切られた全ての下位範囲を含むという意味で広範かつ柔軟であることは理解されるべきである。したがって、一般に、表現「約Aから約Bまでの範囲」は、A及びBの端から端までの範囲だけでなく、AとBの間にある数値がXとYである場合に「約Xから約Y」までの任意の下位範囲も意味する。
【0041】
物質A及び物質Bの含有量が最大値の割合のシリーズ及び最小値の割合のシリーズとして定義されている場合、物質Aが物質Bに含有され得る量は、その最小値のいずれか1つ及び最大値のいずれか1つの組み合わせによってそれぞれ定義された複数の範囲内にあることが理解されるべきである。例えば、少なくともx%、好ましくは少なくとも(x-n)%及びy%以下、好ましくは(y-m)%以下を含むという定義は、範囲[x;y]、[x;(y-m)]、[(x-n);y]、[(x-n);(y-m)]を含む。これらの範囲は各々は、その上限と下限の間で定義された各下位範囲も含む。
【0042】
「約」という用語は、数値を有効数字へ端数処理したものを含み得る。
本明細書で使用される「約」という用語は、ある数値又はある数値の範囲を指す場合、数値又は範囲の変動の程度を許容し、例えば、示された数値、又はある範囲の示された限定の数値の10%以内、又は示された数値の5%以内である。
【0043】
本明細書に記載されている実施態様によれば、改善された抗菌力を有するポリエチレンテレフタレート(PET)を含むポリエステル系ポリマーを得るために、ポリエステル鎖中のポリエチレンテレフタレートの1つ以上のモノマーに結合したポリエーテルアミンが使用される。
【0044】
ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを製造するためのモノマー(テレフタル酸とエチレングリコール)を開始原料として、少なくともポリエーテルアミンが添加されているバッチ又は連続重合反応により得ることができる。
【0045】
本明細書に記載されている本方法及び本最終製品で使用されうるポリエーテルアミン、特にポリエーテルジアミン及びポリエーテルトリアミンの例を以下に説明する。
【0046】
いくつかの態様においては、その方法は、テレフタル酸及びエチレングリコールと過剰のエチレングリコールを反応させ、末端カルボキシル基を有するポリエチレンテレフタレートを得ることを提供する。すなわち、本方法は以下の通りである。
【0047】
【化1】
【0048】
反応は、酸触媒とともに約150℃~約200℃の温度で約4barの圧力下で行われる。得られたPETをポリエーテルジアミンと反応させ、末端基がNHである変性ポリエチレンテレフタレートを得る。すなわち、反応は以下の通りである。
【0049】
【化2】
【0050】
式中、HN-R-NHは、一般的なポリエーテルジアミンであり、例を本明細書で後述する。反応は、約120℃~約140℃の温度で24時間、大気圧下で行なうことができる。
【0051】
得られた変性ポリエチレンテレフタレートは、顆粒状、チップ状又はその他の適切な形状であることができ、例えば成型、射出、共成型、押出、ブロー等の後続の製造プロセスに用いることができる。
【0052】
特に、このように得られたポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルは、後続の繊維物品のための半製品であるモノフィラメント又はマルチフィラメントスレッドを得るために溶融、及び押出をすることができる。連続フィラメントを繊維に細断し、不織布の製造に使用、又は連続ヤーンを得るために紡糸することができる。
【0053】
他の態様において、変性ポリエステルは、例えばチップ状、顆粒状等の形状のすでに重合したポリエチレンテレフタレートを開始原料として製造することができ、官能化反応を起こす。官能化反応では、ポリエーテルアミン分子がポリエチレンテレフタレート分子の末端基、又はPET分子の2つの連続したモノマーと反応する。以下の反応は、ポリエチレンテレフタレートの鎖端末基と一般的なポリエーテルジアミンHN-R-Hとの間で行われ、エタノールの生成を伴う変性ポリエステルを得ることができる。
【0054】
【化3】
【0055】
逆にポリエーテルアミン分子が2つのモノマーのポリエチレンテレフタレートの鎖内部で反応する場合、逆も同様であり、以下の反応が得られる。
【0056】
【化4】
【0057】
すでに重合しているポリエチレンテレフタレートを開始原料としてポリエーテルアミンを添加することにより、変性ポリエチレンテレフタレートを含有するポリマー鎖を形成することを促進するために、鎖延長剤又はグラフト剤を使って、ポリエーテルアミン分子及びポリエチレンテレフタレートのモノマー間の結合の形成を促進することができる。いくつかの態様においては、ホルムアルデヒド及びブロモ酢酸を鎖延長剤として用いることができる。第一工程において、事前に重合したポリエチレンテレフタレートは鎖延長剤と反応し、反応に基づきカルボキシル基で官能化されたポリエチレンテレフタレートを形成することができる。その反応は以下の通りである。
【0058】
【化5】
【0059】
第一反応は、約30℃、約4時間、1Mの酢酸中で行われ、第二反応は、30℃、18時間、2Mの水酸化ナトリウム中で行うことができる。
【0060】
得られた分子は、ポリエーテルアミンとアミド化反応を経て各末端基COOHと反応し、結果として下記反応のとおりポリエーテルアミンを含有するポリエステルとなることができる。
【0061】
【化6】
【0062】
式中、HN-R-NHは、一般的なポリエーテルジアミンを表し、その例は下記に示すとおりである。mは、PETの数、PETのn個のモノマーを含有する分子中のPETのモノマー数であり、ポリエーテルアミンと反応するものである。反応は、約120~140℃で、24時間、大気圧で行うことができる。値は、
パラメータnは、約10~約1000の間に含まれることができる。
パラメータmは、1~100の間に含まれることができる。
上記反応は、バッチ法で行なうことができる。
【0063】
他の態様において、ポリエチレンテレフタレートは、連続プロセス中でポリエーテルアミンで官能化することができ、連続工程においてポリエチレンテレフタレートは、グラフト剤又は鎖延長剤の存在下又は非存在下で上記反応に基づき一定供給容積量における試薬の滞留時間に適合した、短時間での官能化反応を得るための適切な温度及び圧力条件下でポリエーテルアミンと作用する。
【0064】
例えば、ポリエステル及びポリエーテルアミンは、押出機の縦延伸方向、すなわち、オーガー又はその他の押出機に沿った物質の供給システムの延伸方向の、両方同じ位置で、又は異なる位置で、押出機に供給される。例えば、ポリエチレンテレフタレートは、一軸又は二軸スクリュー充填オーガーの縦延伸方向の上流部で容器へ供給することができる。ポリエーテルアミンは、オーガーの充填方向に対してポリエチレンテレフタレートの供給点の下流部に導入することができ、充填オーガーによって規定された経路の上流部で事前に溶融されたポリエチレンテレフタレートと接触する。ポリエーテルアミンの供給点の下流部において、後者はポリエチレンテレフタレートと反応し、ポリエーテルアミンで官能化されたポリエステルを得て、直線状に押出される。
【0065】
反応が一種又はそれ以上の反応助剤、例えば上記グラフト剤又は鎖延長剤等の使用を伴って行われる場合は、これらはポリエチレンテレフタレートと共に、又は、後で、例えばポリエチレンテレフタレートの供給点とポリエーテルアミンの供給点の間で、又は、ポリエーテルアミンと共に、又は、ポリエーテルアミンの供給点の下流部にて導入することができる。
【0066】
ポリエーテルアミンと反応した、又は反応しているポリエチレンテレフタレートの溶融塊を押出して、スレッド又はフィラメント、又は不定長のその他の半製品を製造することができる。
【0067】
他の態様において、押出工程中の官能化を伴ってポリエチレンとポリエーテルアミンは、押出機内で滞留時間200~800秒、例えば約300~約700秒の間、好ましくは、約450~約600秒の間、典型的には約550秒間反応させることができる。滞留温度は、例えば、約250℃~約350℃の間、好ましくは約270℃~約310℃の間、例えば特に約290℃にすることができる。押出機内の圧力は、例えば、約100bar~約300barの間、好ましくは約100bar~約250barの間にすることができる。ポリエーテルアミンで官能化されたポリエチレンテレフタレートのポリマー塊は、10~20kg/時の間、好ましくは、12~18kg/時の間、例えば約15kg/時の総流量で押出することができる。モノフィラメント又はマルチフィラメントスレッドの特有のパラメータにより定義される例示的態様を下記に説明する。
【0068】
開始原料のポリエチレンテレフタレートは、約10,000~約40,000の間の重量平均分子量(Mw)を有し、いくつかの態様において、相対粘度(ジクロロ酢酸の1%溶液による方法)は、約0.4~1.0dl/gの間にすることができる。いくつかの態様において、PETは、TiOを重量%で2%以下、好ましくは1.5%以下含有することができる。本明細書に記載されている変性ポリエステルを製造するために有用なポリエチレンテレフタレートの例、特に繊維物品の用途においては、INVISTA Resins & Fibers GmbH & Co Kg社(ドイツ)により製造及び販売されているRT20、Novapet(スペイン)により販売されているSM-01/D535である。
【0069】
その他の態様において、ポリエーテルモノアミン又はポリエーテルトリアミンは、前の反応で例として示されているように、ポリエーテルジアミンの代わりに使用することができる。
【0070】
ポリエーテルアミンで官能化されたポリエステルが例えば繊維物品の用途の連続スレッドの製造を目的とする場合、グラフト剤又は鎖延長剤の存在下又は非存在下で、ポリエーテルテレフタレートがポリエーテルアミンと直接反応する官能化工程は、特に興味深くなるであろう。実際にこの場合には、チップ状のポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンは、押出機内又は押出機と流体連結した高圧チャンバー内等で連続スレッドが送出される紡糸口金が配置された出口で2つの成分(PETとポリエーテルアミン)が互いに接触する押出及び紡糸工程の開始材料として使用することができる。
【0071】
他の態様において、PETとポリエーテルアミンの反応によって得られる変性ポリマーは、再度チップ状、顆粒状又はスレッド以外のその他の形状に変換し、その後、成型や押出等の変換工程で使用することができる。
【0072】
上記の方法のいずれかを使用した、ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルの製造工程において使用できるポリエーテルアミンの詳細を下記に示す。
【0073】
本明細書において、参照は、単一のポリエーテルアミン(すなわち、一種類のポリエーテルアミン分子のみ)を用いる実施例を具体的に参照しているが、いくつかの態様においては、異なる式を有する複数のポリエーテルアミンが、ポリエチレンテレフタレートのポリマー鎖に組み込まれることもできると理解されるべきである。
【0074】
いくつかの態様おいて、ポリエーテルアミンは、以下の一般式(1)で示されるポリエーテルモノアミンとすることができる:
【0075】
【化7】
【0076】
式中、エチレンオキシドの場合はR=Hであり、プロピレンオキシドの場合はR=CHである。式中、x及びyは、鎖中に存在するプロピレンオキシド及びエチレンオキシドの数に応じて変化する。式(1)のポリエーテルモノアミンは、例えば、Jeffamine(登録商標)Mシリーズ(Huntsman社(米国))を利用できる。
【0077】
好ましい態様では、ポリエーテルアミンは複数の遊離NH基を有し、ポリエチレンテレフタレートとの反応においてNH基の一つは、ポリエチレンテレフタレートのポリマー鎖と共有結合を形成し、一方で残りのNH基は利用可能な状態である。
【0078】
いくつかの態様において、ポリエーテルアミンは、以下の一般式(2)のポリエーテルジアミンである;
【0079】
【化8】
【0080】
式中、x、y及びzは、ポリマー鎖に存在するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの数に応じて変わることができる。
【0081】
一般式(2)のポリエーテルジアミンは、例えば、Jeffamine(登録商標)EDシリーズ及びElastamine(登録商標)REシリーズ(いずれもHuntsman社(米国))を利用できる。
【0082】
好ましい態様では、ポリエーテルジアミンは少なくとも約500g/mol、好ましくは少なくとも約800g/mol、より好ましくは少なくとも約1000g/mol、より一層好ましくは少なくとも約1500g/molであり、好ましくは約5000g/mol以下、より好ましくは、約3000g/mol以下、例えば、1500~2500g/molの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0083】
一つの態様は、Elastamine(登録商標)RE-2000(Huntsman社)又はJeffamine(登録商標)ED2003の使用を提供し、いずれも式(1)のいずれも、
yは約39と等しく、
(x+z)は約6と等しく、
そして、約2000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0084】
他の実施例において、以下の特徴を有する式(2)のポリエーテルジアミンを用いることができる:
【0085】
好ましくは、ポリエーテルジアミンは、理想的なAHEW(アミン水素当量)に関して10%以下のAHEWを有する。用語「AHEW」は、ポリエーテルアミンの重量平均分子量を一分子当たりの活性アミン水素の数によって除したものとして定義される。例えば、2000g/molの重量平均分子量を有し、ポリエーテルの末端がすべてアミンであり、一分子当たりの活性アミン水素が4である理想的なポリエーテルアミンのAHEWは、当量あたり500gになるであろう。末端の10%がアミンではなくヒドロキシル基である場合は、一分子当たりの活性アミン水素が3.6のみであり、ポリエーテルアミンのAHEWは、当量あたり556gになるであろう。
【0086】
一分子当たりの活性アミン水素の数、得られるポリエーテルアミンのAHEWは、先行技術及び従来技術に従って計算することができる。例えば、ISO 9702規格によって規定される手順を用いて、アミン基の窒素含有量を計算される。
【0087】
特に有利な態様において、ポリエーテルアミンは、好ましくは1500g/molの重量平均分子量及びポリエーテルアミンの理想的なAHEWの10%を超えないAHEWを有する、ポリエーテルジアミンである。
【0088】
本明細書に記載されている態様において、ポリエーテルジアミンは、一般式(2)を有し、PPG(ポリプロピレングリコール)基に対してPEG(ポリエチレングリコール)基が多いポリマー鎖の組成、すなわち、y>(x+z)を有する。
【0089】
他の態様において、ポリエーテルジアミンは、ポリエチレングリコール(PEG)基及びポリプロピレングリコール(PPG)基を含有し、PPG基が優勢であるポリマー鎖を有することができる。この種のポリエーテルジアミンは、Elastamine(登録商標)RPシリーズ(Huntsman社)で入手可能である。
【0090】
さらに他の態様において、ポリエーテルジアミンは、ポリプロピレングリコール及びポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)(PTMEG)の基本構造を有することができる。この種のポリエーテルジアミンの例は、Elastamine(登録商標)RTシリーズ(Huntsman社)で販売されているポリエーテルジアミンである。
【0091】
約1500g/mol以上、約2500g/mol以下の重量平均分子量を有するREシリーズのポリエーテルジアミンが現在好ましいが、特に繊維及びスレッドの製造のためのポリエステル類への適用のためには、より高い重量平均分子量を有するポリエーテルジアミン、例えばElastamine(登録商標)RP3-5000(Huntsman社)のような5000g/mol以下の重量平均分子量のポリエーテルジアミンを用いることも可能である。他の態様において、ポリエーテルジアミンは、1500g/mol未満、例えば1000g/mol以下又は800g/mol以下の重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0092】
他の態様において、ポリエーテルジアミンは、以下の一般式(3)中のポリプロピレングリコールPPG基から構成されるポリマー鎖を有する。
【0093】
【化9】
【0094】
この種のポリエーテルジアミンの例は、Huntsman社によって製造及び販売されるJeffamine(登録商標)Dシリーズのポリエーテルジアミンであり、重量平均分子量(Mw)は約230g/molから約4000g/molまで可変であり、xは、約2.5から約68まで可変である。
【0095】
さらに他の態様においては、2を超えるアミノ基(NH)の数を有するポリエーテルアミンを用いることができる。例えば、ポリエーテルアミンは、以下の一般式(4.1)のポリエーテルトリアミンであることができる。
【0096】
【化10】
【0097】
式中、(x+y+z)は、5~6の間であることができ、重量平均分子量Mwは、約440g/molに等しくすることができる。その他の態様において、ポリエーテルトリアミンは、以下の一般式(4.2)で示されることができる。
【0098】
【化11】
【0099】
ここで、x+y+zは、約50~約85の間であり、約3000g/molから約5000g/molの重量平均分子量(Mw)である。この種のポリエーテルトリアミンの例は、Huntsman社(米国)によって製造及び販売されるJeffamine(登録商標)Tシリーズである。
【0100】
いくつかの態様において、ポリエステル中のポリエーテルアミンの量は、ポリエステル総重量に対して約1~約50重量%の間にすることができ、例えば約2~約30重量%、好ましくは約2~約25重量%の間であり、例えば約2.5~約20重量%の間、又は約5%~約20重量%の間にすることができる。
【0101】
いくつかの態様において、ポリエステルは、ポリエステルの総量に対して少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約70重量%、さらに好ましくは少なくとも約80重量%、例えば少なくとも85%重量のポリエチレンテレフタレートを含む。いくつかの態様において、ポリエチレンテレフタレートの割合は、ポリエステル総重量に対して約99重量%以下、好ましくは約98重量%以下であり、例えば約95重量%以下又は約90重量%以下、又は約85重量%以下である。
【0102】
ポリエーテルアミンを含有する変性ポリエステルが他のポリマーと混合又は組み合わせて使用される場合、例えば二成分繊維である場合又は他のポリマーから構成される繊維、スレッド又はフィラメントとの混合である場合において、上記のポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンの割合は、混合物中の第二又は追加のポリマーの重量を除外した、ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルの総重量を参照する。
【0103】
使用可能なポリエステルは、例えば、約1,000~約1,000,0000g/molの間のモル質量を有することができる。いくつかの態様において、ポリエステルは、約2,000~約1,000,0000g/molの間のモル質量を有する。
【0104】
本明細書に記載されているポリエステルは、連続スレッドの形状又は短繊維の形状において、繊維工業製品の半製品を製造するために有利に用いることができる。スレッドは、モノフィラメント又はマルチフィラメントであることができる。
【0105】
スレッドは、押出によって得られ、短繊維は押出した連続スレッドを細断することによって得られる。本明細書に記載されている方法に従ってポリマーの押出から得られるスレッドは、LOY(低延伸糸)、POY(半延伸糸)又はFDY(全延伸糸)タイプのマルチフィラメント繊維製品スレッドであることができる。
【0106】
スレッドを細断し繊維にする場合、繊維は、例えば、約2~約200mmの間、好ましくは約10~約100mmの間の長さを有することができる。短繊維は、公知の紡績工程を使用して連続ヤーンに変換することができる。
【0107】
他の態様によれば、短繊維が用いられ、不織布の製造や繊維のプライを形成し、続いて機械的、水圧的、化学的、熱的結合プロセス又はこれらの組み合わせに供される。
【0108】
スレッド又はヤーンは、製織プロセス、編みプロセス又はその他の用途のために用いることができる。
【0109】
本明細書に記載されているプロセスによって製造されるスレッドは、物理的、機械的特性を変性するために処理することができる。いくつかの態様において、スレッドは、他のスレッドと組み合わせて複合物品を得ることができる。いくつかの態様において、紡糸口金から得られるスレッドは、例えばインターレース又はカバージェット又はその他の適切なデバイスによってテクスチャード加工又はタスラン加工、伸縮加工、弾性スレッドと組み合わせ加工をすることができる。
【0110】
スレッド又は繊維は、単一成分であることができる。この場合、それを形成する一つ又は複数、又は各フィラメントは、単一物質から構成される。
【0111】
他の実施態様において、スレッドは、複数成分、例えば二成分であることができる。スレッドを形成する一つ又は複数のフィラメントは、この場合、2つの異なるポリマーにより形成される2つの部分を含む。いくつかの態様において、フィラメントは、異なるポリマーで製造されたインナーコアおよび外側コーティングを含む(「コア-スキン」二成分繊維)。可能な態様によれば、インナーコアを囲む外側部分すなわちスキンは、ポリエチレン及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルから構成することができ、一方でコアは、異なるポリマーから構成することができる。
【0112】
いくつかの態様において、二成分繊維は、ポリアミド、ポリプロピレン又は熱可塑性ポリウレタン又はポリエステル、例えばポリエーテルアミンを含有しないポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレート等の第二成分を有することができる。
【0113】
他の態様において、各フィラメントを形成する2つの成分は、一方を他方の内側に挿入するのではなく、互いに並列することができる(「並列」二成分繊維)。
【0114】
複数成分、特に二成分で構成されるスレッドを製造するための押出ヘッドは、公知であり、本明細書に記載されている方法における状況で有利に用いることができる。
【0115】
いくつかの態様において、二成分スレッドは、構成するポリマーの10~95重量%、好ましくは50~80重量%がポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルであり、一方で残る部分はポリアミド、未変性ポリエステル(すなわち、ポリエーテルアミンを含有しない。)又は他の種類のポリマー(例えばポリプロピレン)からなる。
【0116】
目的とする用途に応じて、スレッドは、1(モノフィラメント)から10,000の間のフィラメント数を有することができる。いくつかの態様において、約5~約6000dtexの間、好ましくは約5~約5000dtexの間、例えば約5~約3000dtexの間のカウントを有することができる。
【0117】
いくつかの態様において、スレッドは、1~300の間、例えば5~200の間のフィラメント数で押出される。
【0118】
有利な態様において、スレッドは、0.3~20の間、例えば0.4~20の間のDPF値(フィラメント当たりのdtex)を有することができる。
【0119】
いくつかの態様において、特に、例えば布地の製造に使用するのスレッドのフィラメント数は、1(モノフィラメント)~約100の間、好ましくは約30~約80の間を有することができ、いくつかの態様においては、約40~約75の間を有することができる。また、カウントは約7~約140dtexの間、好ましくは約40~約120dtexの間を有することができ、例えば約50~約100dtexの間であり、ある態様においては、約90dtexのカウントを有することができる。
【0120】
いくつかの態様において、ポリマーは、20~80cm/秒の間の押出速度で押出される。紡糸口金から出るフィラメントは、例えば気流等の公知の方法によって有利に冷却されることができる。
【0121】
この工程において、単一フィラメントは、横方向の空気の流れによって冷却され、給油部に収束して通過することにより結合してマルチフィラメントスレッドを形成する。下流でスレッドは、一つ又は複数の延伸及び/又は弛緩及び/又は安定化ローラーに供給される。ローラーは、互いに異なる周速度で電動で制御され、必要な又は所望の延伸及び/又は配向の程度を与える。
【0122】
スレッドは約15%~200%の間の伸長割合で、延伸及び/又はテクスチャード加工に供すことができる。いくつかの態様において、スレッドは、20%~150%の間の伸長に供される。
【0123】
最後に、スレッドは巻かれ、リール又はパッケージを形成する。巻き速度は、約1000~約5500m/分の間、好ましくは約2000~約3500m/分の間であり、例えば、約2500~約3000m/分の間、ある態様においては、約2800m/分にすることができる。
【実施例0124】
(抗菌性の試験)
ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルアミンを含有するポリエステルの抗菌力の比較の試験は、後述するように実施された。
【0125】
以下の内容を製造した:カウント50dtexで52フィラメント、70dtexで60フィラメント、90dtex及び92のフィラメントを有するポリエステルRT20(Invista Resins & Fibers GmbH&Co KG社、ドイツ)のチップを使用したポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメントスレッドで丸編機で編まれた生地のサンプル、及び、ポリエチレンテレフタレート(RT20 Invista)及びポリエーテルジアミン(Elastamine(登録商標)RE2000(Huntsman社)を含有するポリエステルをスレッド総重量に対して2.5重量%である、上記カウント及びフィラメント数と同じマルチフィラメントスレッドを丸編機で編まれた生地のサンプルである。Elastamine(登録商標)RE2000で官能化されたポリエチレンテレフタレートは、上記のとおり押出機中で反応して得た。
【0126】
2種の生地サンプル(ポリエチレンテレフタレートのポリマー鎖中にポリエーテルアミンを有するもの及び有さないもの)を標準ASTM E2315-03に従って以下の細菌を接種した。
-グラム陽性菌、staphilococcus aureus(黄色ブドウ球菌)(DSM 346)
-グラム陰性菌、klebsiella pneumoniae(クレブシエラ・ニューモニエ)(DSM 789)
【0127】
図1は、得られた結果を示す。標準ポリエチレンテレフタレート(PETとして示される棒グラフ)及びスレッドの総重量に対してポリエーテルジアミンElastamine(登録商標)RE2000を2.5重量%添加した変性ポリエチレンテレフタレート(Golden Lady PETとして示された棒グラフ)で検出した細菌数(10単位)を各細菌毎に示す。図1からわかるように、ポリエチレンテレフタレートをポリエーテルジアミンで官能化し得た変性ポリエステルで製造した生地のサンプルは、下記抗菌活性を得た:
-黄色ブドウ球菌に関しては30%抗菌活性、すなわち、ポリエーテルアミンを用いずに、同じポリアミドで製造した参照用の生地で得たものよりも30%低い細菌増殖
-クレブシエラ・ニューモニエに関しては18%抗菌活性、すなわち、ポリエーテルアミンを用いずに、同じポリアミドで製造した参照用の生地で得たものよりも18%低い細菌増殖
【0128】
示されたデータは、細菌の接種の24時間後に得られた。各細菌の2つの棒グラフを図に示す。左側の棒グラフは、標準ポリエチレンテレフタレートの参照サンプル(参照用の生地)に関し、一方、右側の棒グラフは、ポリエチレンテレフタレート及びポリエーテルジアミンを含有するポリエステルのサンプルに関する。
【0129】
使用する国際標準試験は、試験を行うために従う手順を確立するためのみに使用されていることは重要である。それらは、検出活性が弱いか、良好であるか、優秀かどうかを定めるためのいかなる絶対的基準又は相対的な比較基準も提供しない。このパラメータは、それが最終的に比較されなければならない製品の最終特性(例えば、生地から発生する匂い等)に基づいて、定められなければならない。
【0130】
上記データによると、ポリエーテルアミンの導入によって化学的に変性した繊維を用いて作製される生地は、前記標準繊維を用いて作製された同じ生地と比較して生地中の細菌増殖の減少を示すと言える。
クレブシエラ・ニューモニエは、特に耐性菌であり、殺菌が困難であることに注意しなければならない。したがって、他の細菌株に関して得られるものよりも、クレブシエラ・ニューモニエに関する活性はより低い値が得られるのは当然である。
【0131】
実施された試験は、その抗菌活性に関して、ポリエチレンテレフタレートのポリマー鎖へのポリエーテルアミン部分の導入が、ポリマーの重大な改善を達成することを可能にすることを示す。
【0132】
(製造プロセス及び使用の例)
以下に示す実施例は、より詳細に本発明を説明する。
【0133】
実施例1(反応押出におけるElastamine RE2000を用いたPETのヤーンの調製)
下記に示す手順は、Elastamine RE2000(Huntsman社(米国))と呼ばれているポリエーテルジアミンで官能化されるPET(ポリエチレンテレフタレート)のヤーンの調製を説明するものである。
【0134】
(ヤーンを生成するための実施手順)
PETを5kg/時の流量で290℃で稼働している押出機に注入する。Elastamine RE2000の流量は、0.26kg/時であり、滞留時間は10分である(Elastamine RE2000の割合は、ポリマーの総重量に対して5重量%に等しい)。
【0135】
上記の方法で得られたヤーンの官能化反応の有効性を評価するために、以下の実施手順にて化学的及び物理的分析が実施された。
【0136】
特に、40、60、80℃の水中で5%の濃度(重量/体積)に等しいドデシル硫酸ナトリウムによる洗浄後、100%に等しい官能化反応への転化率が確認された。また、炭素核磁気共鳴によって、ヤーン中のElastamine RE2000の存在が示された。PETの典型的シグナルは、下記スペクトルとすることができる:δ167.6(C=OR)、133.1(C Ar)、129.3(C Ar)、63.0(CH)。Elastamine RE2000の特性ピークは、69.15ppmに存在する。
【0137】
ヤーンは、ISO 20743及びASTM 2315-03に従って細菌培養試験に供された。
下記2つの細菌株が使用された:
グラム陽性菌、Staphilococcus aureus(黄色ブドウ球菌)(DSM 346)
グラム陰性菌、Klebsiella pneumoniae(クレブシエラ・ニューモニエ)(DSM 789)
試験は、以下の通りに実施された:
官能化PET生地を0.04g±0.05に細断した。使用された検体数は6であり、非官能化PETの検体数は6であった。
マルチウェルプレートに検体を入れ、70%エタノール(体積/体積)水溶液で30分間消毒した。
そして、ISO 20743及びASTM 2315-03に従い、細菌増殖を評価した。
ポリエーテルアミンで官能化されたPET検体は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方に関して、細菌増殖力が未処理のPET検体(100%)に相対すると5%に等しいことを示した。
【0138】
抗かび活性は、真菌株としてAspergillus aculeatus ATCC 36411を用い、ISO 13629-2:2014規格に従って評価された。ポリエーテルアミンで官能化されたPET検体は、かび増殖率が未処理のPET(100%)に相対して2%に等しいことを与えた。
本実施例及び後述の実施例において、100%の値は非官能化PET中の微生物の増殖に起因する。そして、処理済PET検体の細菌増殖力は未処理のPETに対する割合として示される。したがって、5%のかび又は細菌増殖の割合とは、試験した検体の微生物増殖が未処理の(すなわち、ポリエーテルアミンで官能化されていない)参照検体の微生物増殖の5%に等しいことを意味する。
【0139】
変更した態様において、押出機における反応工程にて一種又はそれ以上のグラフト剤又は鎖延長剤を加えることが可能である。
【0140】
実施例2(反応押出におけるElastamine RP3-5000を用いたPETのヤーンの調製)
下記に示す手順はElastamine RP3-5000(Huntsman社(米国))で官能化されるPET(ポリエチレンテレフタレート)のヤーンの調製を説明するものである。Elastamine RP3-5000は分子量(Mw)が約5000に等しい三官能性一級アミンであり、オキシプロピレン繰り返し単位を特徴とする。
【0141】
(ヤーンを生成するための実施手順)
PETを5kg/時の流量で290℃で稼働している押出機に注入する。RP3―5000の流量は、0.26kg/時であり、滞留時間は10分である(RP3-5000の割合は、ポリマーの総重量に対して5重量%に等しい)。
【0142】
上記の方法で得られたヤーンの官能化反応の有効性を評価するために、以下の実施手順にて化学的及び物理的分析が実施された。
【0143】
特に、40、60、80℃の水中で5%の濃度(重量/体積)に等しいドデシル硫酸ナトリウムによる洗浄後、98%に等しい官能化反応への転化率が確認された。また、炭素核磁気共鳴によって、ヤーン中のRP3-5000の存在が示された。PETの典型的シグナルは、下記スペクトルとすることができる:δ167.6(C=OR)、133.1(C Ar)、129.3(C Ar)、63.0(CH)。RP3―5000の特性ピークは、69.15ppmに存在する。
【0144】
ヤーンは、ISO 20743及びASTM 2315-03に従って細菌培養試験に供された。
下記2つの細菌株が使用された:
グラム陽性菌、Staphilococcus aureus(黄色ブドウ球菌)(DSM 346)
グラム陰性菌、Klebsiella pneumoniae(クレブシエラ・ニューモニエ)(DSM 789)
試験は、以下の通りに実施された:
RP3-5000で官能化されたPET生地を0.04g±0.05に細断した。使用された検体数は6であり、非官能化PETの検体数は6であった。
マルチウェルプレートに検体を入れ、70%エタノール(体積/体積)水溶液で30分間消毒した。
そして、ISO 20743及びASTM 2315-03に従い、細菌増殖を評価した。
官能化PETを使用して製造された検体は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方に関して、細菌増殖力が未処理のPET検体(100%)に相対すると40%に等しいことを示した。
【0145】
抗かび活性は、真菌株としてAspergillus aculeatus ATCC 36411を用い、ISO 13629-2:2014規格に従って評価された。
ポリエーテルアミンで官能化されたPET検体は、かび増殖率が未処理のPET(100%)に相対して1%に等しいことを示した。
【0146】
実施例3(反応押出におけるJeffamine M2005を用いたPETのヤーンの調製)
下記に示す手順はJeffamine M2005(Huntsman社(米国))で官能化されたPET(ポリエチレンテレフタレート)のヤーンの調製を説明するものである。Jeffamine M2005は分子量(Mw)が約2000のモノアミンである。
【0147】
(ヤーンを生成するための実施手順)
PETを5kg/時の流量で290℃で稼働している押出機に注入する。Jeffamine M2005の流量は、0.26kg/時であり、滞留時間は10分である(Jeffamine M2005の割合は、ポリマーの総重量に対して5重量%に等しい)。
【0148】
上記の方法で得られたヤーンの官能化反応の有効性を評価するために、以下の実施手順にて化学的及び物理的分析が実施された。
【0149】
特に、40、60、80℃の水中で5%の濃度(重量/体積)に等しいドデシル硫酸ナトリウムによる洗浄後、97%に等しい官能化反応への転化率が確認された。また、炭素核磁気共鳴によって、ヤーン中のJAの存在が示された。PETの典型的シグナルは、下記スペクトルとすることができる:δ167.6(C=OR)、133.1(C Ar)、129.3(C Ar)、63.0(CH)。Jeffamine M2005の特性ピークは、69.15 ppmに存在する。
【0150】
ヤーンは、ISO 20743及びASTM 2315-03に従って細菌培養試験に供された。
下記2つの細菌株が使用された:
グラム陽性菌、Staphilococcus aureus(黄色ブドウ球菌)(DSM 346)
グラム陰性菌、Klebsiella pneumoniae(クレブシエラ・ニューモニエ)(DSM 789)
試験は、以下の通りに実施された:
Jeffamine M2005で官能化されたPET生地を0.04g±0.05に細断した。使用された検体数は6であり、非官能化PETの検体数は6であった。
マルチウェルプレートに検体を入れ、70%エタノール(体積/体積)水溶液で30分間消毒した。
そして、ISO 20743及びASTM 2315-03に従い、細菌増殖を評価した。
官能化PETを使用して製造された検体は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方に関して、細菌増殖力が未処理のPET検体(100%)に相対すると55%に等しいことを示した。
【0151】
抗かび活性は、真菌株としてAspergillus aculeatus ATCC 36411を用い、ISO 13629-2:2014規格に従って評価された。
Jeffamine M2005で官能化された検体は、かび増殖率が未処理のPET(100%)に相対して1%に等しいことを示した。
【0152】
実施例4(Elastamine RE2000を用いたPETのヤーンの調製)
下記に示す手順は、直接エステル化反応及び縮合重合反応にてElastamine RE2000(Huntsman社(米国))で官能化されたPET(ポリエチレンテレフタレート)のヤーンの調製を説明するものである。
【0153】
(ヤーンを生成するための実施手順)
エチレングリコール及びテレフタル酸を還流又は蒸留が可能なオートクレーブに供する。
設定条件は、圧力は2.7~5.5barの間、温度は220~260℃の間とする。縮合重合により発生した水分は蒸留により除去される。エステル化ステップは2段階であってもよく、第2段階の設定条件は250~270℃、大気圧である。
上記で得られたモノマーを重合反応器に入れ、10~40mmHg及び250~300℃で稼働し、ポリマーの総重量に対して5重量%になるようにElastamine RE2000を持続的に滴下する。
上記にて得られた乾燥ポリマーを押出機に装填し、Elastamine RE2000で官能化されたPETヤーンを得る。
【0154】
上記の方法で得られたヤーンの官能化反応の有効性を評価するために、以下の実施手順にて化学的及び物理的分析が実施された。
【0155】
特に、40、60、80℃の水中で5%の濃度(重量/体積)に等しいドデシル硫酸ナトリウムによる洗浄後、100%に等しい官能化反応への転化率が確認された。また、炭素核磁気共鳴によって、ヤーン中のJAの存在が示された。PETの典型的シグナルは、下記スペクトルとすることができる:δ167.6(C=OR)、133.1(C Ar)、129.3(C Ar)、63.0(CH)。Elastamineの特性ピークは、69.15ppmに存在する。
【0156】
ヤーンは、ISO 20743及びASTM 2315-03に従って細菌培養試験に供された。
下記2つの細菌株が使用された。:
グラム陽性菌、Staphilococcus aureus(黄色ブドウ球菌)(DSM 346)
グラム陰性菌、Klebsiella pneumoniae(クレブシエラ・ニューモニエ)(DSM 789)
試験は、以下の通りに実施された:
Elastamine RE2000で官能化されたPET生地を0.04g±0.05に細断した。使用された検体数は6であり、非官能化PETの検体数は6であった。
マルチウェルプレートに検体を入れ、70%エタノール(体積/体積)水溶液で30分間消毒した。
そして、ISO 20743及びASTM 2315-03に従い、細菌増殖を評価した。
官能化されたPETを使用して調整された検体は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方に関して、細菌増殖力が未処理のPET検体(100%)に相対すると8%に等しいことを示した。
【0157】
抗かび活性は、真菌株としてAspergillus aculeatus ATCC 36411を用い、ISO 13629-2:2014規格に従って評価された。
官能化検体は、かび増殖率が未処理のPET(100%)に相対して5%に等しいことを示した。
【0158】
実施例5(Elastamine RE2000を用いるPETに基づくマスターバッチの調製)
下記に示す手順は、直接エステル化反応及び縮合重合反応にてElastamine RE2000(Huntsman社(米国))で官能化されたPET(ポリエチレンテレフタレート)に基づくヤーンの調製を説明するものである。
【0159】
(ヤーンを生成するための実施手順)
エチレングリコール及びテレフタル酸を還流又は蒸留が可能なオートクレーブに供する。
設定条件は、圧力は2.7~5.5barの間、温度は220~260℃の間とする。縮合重合により発生する水分は蒸留により除去される。エステル化ステップは2段階であってもよく、第2段階の設定条件は250~270℃、大気圧である。
上記で得られたモノマーを重合反応器に入れ、10~40mmHg及び250~300℃で稼働し、総重量に対して30重量%になるようにElastamine RE2000を持続的に滴下する。
上記にて得られた乾燥ポリマーを市販の(非官能化)PETと共に押出機に装填し、5重量%に等しい濃度のElastamine RE2000で官能化されたPETを得る。
【0160】
上記の方法で得られたヤーンの官能化反応の有効性を評価するために、以下の実施手順にて化学的及び物理的分析が実施された。
【0161】
特に、40、60、80℃の水中で5%の濃度(重量/体積)に等しいドデシル硫酸ナトリウムによる洗浄後、97%に等しい官能化反応への転化率が確認された。PETの典型的シグナルは、下記スペクトルとすることができる:δ167.6(C=OR)、133.1(C Ar)、129.3(C Ar)、63.0(CH)。Elastamine RE2000の特性ピークは、69.15ppmに存在する。
【0162】
ヤーンは、ISO 20743及びASTM 2315―03に従って細菌培養試験に供された。
下記2つの細菌株が使用された。:
グラム陽性菌、Staphilococcus aureus(黄色ブドウ球菌)(DSM 346)
グラム陰性菌、Klebsiella pneumoniae(クレブシエラ・ニューモニエ)(DSM 789)
試験は、以下の通りに実施された:
Elastamine RE2000で官能化されたPET生地を0.04g±0.05に細断した。使用された検体数は6であり、非官能化PETの検体数は6であった。
マルチウェルプレートに検体を入れ、70%エタノール(体積/体積)水溶液で30分間消毒した。
そして、ISO 20743及びASTM 2315-03に従い、細菌増殖を評価した。
検体は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方に関して、細菌増殖力が未処理のPET検体(100%)に相対すると6%に等しいことを示した。
【0163】
抗かび活性は、真菌株としてAspergillus aculeatus ATCC 36411を用い、ISO 13629-2:2014規格に従って評価された。
検体は、かび増殖率が未処理のPET(100%)に相対して4%に等しいことを示した。
【0164】
上記の実施例4及び5において、ポリエーテルアミンで官能化されたポリマーのマスターバッチが重合反応器において得られ、一方で他の可能な態様において、ポリエーテルアミンで官能化されたPETのマスターバッチの調製は、直接反応押出によって得ることが可能である。この場合、ベースポリマー、すなわち市販PETは、上記の中から選択することができるポリエーテルアミンと共に押出機に供給される。いくつかの態様において、ポリエーテルアミンは、ポリマー総質量の10%~60%の間、好ましくは15%~50%の間の範囲で加えられる。供給は、容積測定式供給機、重量測定式供給機、及び容積測定式供給機と重量測定式供給機の組み合わせを用いて行われる。成分は、固体形態(粒状又は粉状)又は液体形態のどちらもで供給する。2つのスクリューを備える押出機での混合により、正確な滞留時間、PETとポリエーテルアミンの正確な反応が得られる。これらの条件は、永続的な特性を有する安定的な製品を得るために必要な結びつき(共有結合の形成による)を確実にする。
【0165】
上記プロセスは押出工程において、250~300℃及び滞留時間60~120秒の流量及び押出機のタイプを関数として実施することができる。
【0166】
得られた通常ミリメートル単位の直径を有するフィラメントは、その後、適切な温度の水浴(例えば一般的に30℃)等で冷却される。その後、スレッドは細断され、顆粒又はチップにする。
このようにして得られた、ポリエーテルアミンによって官能化されたPETのマスターバッチは、スレッド又はヤーンの製造の原料製品、例えば代表的には繊維物品に使用するためのマルチフィラメントとして用いることができる。
【0167】
この場合、官能化PETは、非官能化(すなわち、ポリエーテルアミンを含有しない)成分と組み合わせて押出機に供給される。例えば、最終ヤーンの押出の間、非官能化されたPETは、最終ヤーンにおいてポリエーテルアミンの重量含有量の5%程度になるように加えられる。
【0168】
ポリマー鎖へのポリエーテルアミンの添加によるポリエチレンテレフタレートの変性に由来する抗菌活性の増加により、紡糸可能な、すなわちマルチフィラメント又はモノフィラメントスレッドの形成に適合したポリマー物質が得られ、繊維やスレッドは織布又は不織布に変換されることから、繊維物品を有利に製造することができる短繊維に変換することができる。これらの繊維物品は、細菌増殖により生じる悪臭を低減するそれらの能力に起因して、衣料品、特にスポーツ用衣料品で有利に使用することができる。実際、抗かび性を含む抗菌活性は、悪臭を生じる役割を果たす微生物の増殖を低減する。
【0169】
さらに、このように変性されたポリマーは、細菌量の減少、すなわち、細菌や真菌のような微生物の存在の減少が必要とされる健康及び衛生上の有益な用途も有する。例えば、本明細書に記載されている改良された抗菌特性を有する変性ポリエステルを使用する繊維材料が、特に医療及び外科的デバイスとして病院内での使用のために、ガウン、パジャマ、シーツ、布、保護マスク、枕カバー、ブランケット、カーテン、包帯及びその他のものに用いることができる。ポリマーは、家庭用及び自動車分野における調度品(内装品、敷物、カーペット)のための織布及び不織布の製造に用いられることもでき、フィルター、特に、空調システムに用いられる空気フィルターを製造するために有利に用いることもできる。
【0170】
ポリエチレンテレフタレートのモノマーと共有結合したポリエーテルアミンを使用して変性したポリエステルは、医療分野及び外科的処置や一般的に現在ポリエチレンテレフタレートが用いられる分野すべてにおいて使用することができ、抗菌性を有するポリマーが有益である場合がある。例えば、ポリエーテルアミンは、医療用スレッド及び膜の製造向けポリエチレンテレフタレートに抗バクテリア特性を付与するために使用され、例えば、縫合スレッド、血管形成用カテーテルバルーン膜、包帯、医療用薄膜、血液透析膜、腱及び靭帯再建材料、グラフト又は人工血管、外科用メッシュ、人工心臓弁の構成品等がある。
図1
【外国語明細書】