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特開2022-184897車両用無線通信システム、車両用無線通信システムの車載器、車両用無線通信システムの携帯機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184897
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】車両用無線通信システム、車両用無線通信システムの車載器、車両用無線通信システムの携帯機
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20221206BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20221206BHJP
【FI】
E05B49/00 K
B60R25/24
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142735
(22)【出願日】2022-09-08
(62)【分割の表示】P 2019030415の分割
【原出願日】2019-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2018058929
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 雅巳
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 元生
(57)【要約】
【課題】車両に搭載された車載器と携帯機との間で通信を実行する車両用無線通信システムにおいて、1つの携帯機であっても複数の車載器と通信する技術を提供する。
【解決手段】第1携帯機10aは、車両に搭載可能であり、入力部と、車両に対して少なくとも開錠の指示を出力できる出力部とを有する。第1携帯機10aは、第1車載器20aと無線通信可能であり、操作部を有する。第1携帯機10aは、第1車載器20aに第2識別情報の第1値を有する第4の信号を送信する。第4の信号を受信した第1車載器20aは、保持している第2識別情報を第1値にする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、
前記第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、前記識別情報を保持する第2記憶部と、
をそれぞれ有する複数の車載器と、
を有する車両用無線通信システムであって、
登録処理時に、
前記携帯機は、
前記第1記憶部が、前記識別情報を車載器に登録する毎に増数する登録回数を保持し、
前記第1制御部が、前記識別情報および前記登録回数を含む第1信号を生成し、
前記第1無線部が、前記第1信号を、前記複数の車載器のそれぞれに送信し、
前記複数の車載器は、
前記第2無線部が、前記第1信号を受信し、
前記第2制御部が、前記第1信号に含まれる前記識別情報と、前記第2記憶部に保持している識別情報と、が異なる場合、前記第2記憶部に保持している前記識別情報を前記第1信号に含まれる前記識別情報に変更し、
前記第2記憶部が、変更後の識別情報と、前記第1信号に含まれる前記登録回数を保持し、
操作処理時に、
前記複数の車載器は、
前記第2制御部が、前記車両から所定の入力を受けた場合、前記第2記憶部に保持している前記変更後の前記識別情報および施錠または開錠を指示するコマンドを含む第2信号を生成し、
前記第2無線部が、前記第2信号を前記携帯機に送信し、
前記携帯機は、
前記第1無線部が、前記第2信号を受信し、
前記第1制御部が、受信した前記第2信号に含まれる前記変更後の前記識別情報が、第1記憶部に保持している前記識別情報に一致する場合、受信した前記第2信号に含まれるコマンドに対応した情報を、前記第1記憶部に保持された前記登録回数に基づいて暗号化し、
前記第1無線部が、前記暗号化した情報を含む第3信号を送信し、
前記複数の車載器は、
前記第2無線部が、前記第3信号を受信し、
前記第2制御部が、受信した前記第3信号に含まれる前記暗号化された情報を前記第2記憶部に保持した前記登録回数に基づいて復号した場合、前記復号した情報に応じて、施錠または開錠の指示を前記車両に出力する、
車両用無線通信システム。
【請求項2】
無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、
前記第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、前記識別情報を保持する第2記憶部と、
をそれぞれ有する複数の車載器と、
を有する車両用無線通信システムであって、
登録処理時に、
前記携帯機は、
前記第1記憶部が、前記識別情報を車載器に登録する毎に増数する登録回数を保持し、
前記第1制御部が、前記識別情報および前記登録回数を含む第1信号を生成し、
前記第1無線部が、前記第1信号を、前記複数の車載器のそれぞれに送信し、
前記複数の車載器は、
前記第2無線部が、前記第1信号を受信し、
前記第2制御部が、前記第1信号に含まれる前記識別情報と、前記第2記憶部に保持している識別情報と、が異なる場合、前記第2記憶部に保持している前記識別情報を前記第1信号に含まれる前記識別情報に変更し、
前記第2記憶部が、変更後の識別情報と、前記第1信号に含まれる前記登録回数を保持し、
操作処理時に、
前記複数の車載器のうち第1の車載器の前記第2制御部が、前記車両から所定の入力を受けた場合、前記第2記憶部に保持している前記変更後の前記識別情報、施錠または開錠を指示するコマンドおよび前記登録回数を含む第2信号を生成し、
前記第2無線部が、前記第2信号を前記携帯機に送信し、
前記携帯機は、
前記第1無線部が、前記第2信号を受信し、
前記第1制御部が、前記第1記憶部に保持された前記登録回数と前記第1の車載器の前記第2記憶部に保持された前記登録回数とが一致すると判断した場合、
前記第1無線部が、受信した前記第2信号に含まれるコマンドに対応した情報を含む第3信号を、前記第1の車載器に送信し、
前記第1の車載器は、
前記第1無線部が、前記第3信号を受信し、
前記第1制御部が、前記第3信号に含まれる前記コマンドに対応した前記情報に応じて前記車両に対して施錠または開錠の指示を出力する、
車両用無線通信システム。
【請求項3】
前記操作処理時に、
前記第1記憶部に保持された前記登録回数と前記複数の車載器のうちの第1の車載器の前記第2記憶部に保持された前記登録回数とが一致しない場合、
前記携帯機は、
前記第1無線部が、前記第3信号を、前記第1の車載器に送信しない、
請求項2に記載の車両用無線通信システム。
【請求項4】
前記車両から前記所定の入力は、
前記車両のエンジンあるいはモータの停止、ドアを開くこと、およびドアを閉じることの一連動作、または、
前記車両のドアノブを引くこと、
である請求項1または2に記載の車両用無線通信システム。
【請求項5】
無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、
前記第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、前記識別情報を保持する第2記憶部と、
をそれぞれ有する複数の車載器と、
を有する車両用無線通信システムの車載器であって、
前記車載器は、
登録処理時に、
前記第2無線部が、前記携帯機から、前記識別情報および前記識別情報を前記車載器に登録する毎に増数する登録回数を含む第1信号を受信し、
前記第2制御部が、前記第1信号に含まれる前記識別情報と、前記第2記憶部に保持している識別情報と、が異なる場合、前記第2記憶部に保持している前記識別情報を前記第1信号に含まれる前記識別情報に変更し、
前記第2記憶部が、変更後の識別情報と、前記第1信号に含まれる前記登録回数を保持し、
操作処理時に、
前記第2制御部が、前記車両から所定の入力を受けた場合、前記第2記憶部に保持している前記変更後の前記識別情報および施錠または開錠を指示するコマンドを含む第2信号を生成し、
前記第2無線部が、前記第2信号を前記携帯機に送信し、
前記第2無線部が、前記携帯機から、前記第2信号に含まれる前記変更後の前記識別情報が、第1記憶部に保持している前記識別情報に一致する場合、前記第2信号に含まれる対応するコマンドに対応した情報を、前記第1記憶部に保持された前記登録回数に基づいて暗号化した情報を含む第3信号を受信し、
前記第2制御部が、受信した前記第3信号に含まれる前記暗号化された情報を前記第2記憶部に保持した前記登録回数に基づいて解読し、前記解読した情報に応じて、施錠または開錠の指示を前記車両に出力する、
車両用無線通信システムの車載器。
【請求項6】
無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、
前記第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、前記識別情報を保持する第2記憶部と、
をそれぞれ有する複数の車載器と、
を有する車両用無線通信システムの携帯機であって、
前記携帯機は、
登録処理時に、
前記第1記憶部が、前記識別情報を車載器に登録する毎に増数する登録回数を保持し、
前記第1制御部が、前記識別情報および前記登録回数を含む第1信号を生成し、
前記第1無線部が、前記第1信号を、前記複数の車載器のそれぞれに送信し、
操作処理時に、
前記第1無線部が、前記複数の車載器のうち、前記車両から所定の入力を受けた車載器から、前記識別情報および施錠または開錠を指示するコマンドを含む第2信号を受信し、
前記第1制御部が、受信した前記第2信号に含まれる前記識別情報が、第1記憶部に保持している前記識別情報に一致する場合、受信した前記第2信号に含まれる対応するコマンドに対応した情報を、前記第1記憶部に保持された前記登録回数に基づいて暗号化し、
前記第1無線部が、前記暗号化された情報を含む第3信号を送信する、
車両用無線通信システムの携帯機。
【請求項7】
無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、
前記第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、前記識別情報を保持する第2記憶部と、
をそれぞれ有する複数の車載器と、
を有する車両用無線通信システムの車載器であって、
前記車載器は、
登録処理時に、
前記第2無線部が、前記携帯機から、前記識別情報および前記識別情報を車載器に登録する毎に増数する登録回数を含む第1信号を受信し、
前記第2制御部が、前記第1信号に含まれる前記識別情報と、前記第2記憶部に保持している識別情報と、が異なる場合、前記第2記憶部に保持している前記識別情報を前記第1信号に含まれる前記識別情報に変更し、
前記第2記憶部が、変更後の識別情報と、前記第1信号に含まれる前記登録回数を保持し、
操作処理時に、
前記第2制御部が前記車両から所定の入力を受け、前記第2記憶部に保持している前記変更後の前記識別情報および施錠または開錠を指示するコマンドを含む第2信号を生成し、
前記第2無線部が、前記第2信号を前記携帯機に送信し、
前記第2無線部が、前記携帯機から、前記識別情報、前記施錠または開錠を指示するコマンドに対応した情報および前記登録回数を含む第3信号を受信し、
前記第2制御部が、前記第3信号に含まれる前記登録回数と前記第2記憶部に保持した前記登録回数とが一致すると判断した場合、
前記第2制御部が、前記第3信号に含まれる前記施錠または開錠を指示するコマンドに対応した情報に応じて、前記車両に対して施錠または開錠の指示を出力する、
車両用無線通信システムの車載器。
【請求項8】
無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、
前記第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、前記識別情報を保持する第2記憶部と、
をそれぞれ有する複数の車載器と、
を有する車両用無線通信システムの携帯機であって、
前記携帯機は、
登録処理時に、
前記第1記憶部が、前記識別情報を車載器に登録する毎に増数する登録回数を保持し、
前記第1制御部が、前記識別情報および前記登録回数を含む第1信号を生成し、
前記第1無線部が、前記第1信号を、前記複数の車載器のそれぞれに送信し、
操作処理時に、
前記第1無線部が、前記複数の車載器のうち、前記車両から所定の入力を受けた第1の車載器から、前記識別情報、施錠または開錠を指示するコマンドおよび前記登録回数を含む第2信号を受信し、
前記第1制御部が、前記第1記憶部に保持された前記登録回数と前記第1の車載器の前記第2記憶部に保持された前記登録回数とが一致すると判断した場合、
前記第1無線部が、受信した前記第2信号に含まれるコマンドに対応した情報を含む第3信号を、前記第1の車載器に送信する、
車両用無線通信システムの携帯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、登録技術に関し、特に車両に搭載された車載器と携帯機との間で通信を実行する車両用無線通信システム、車両用無線通信システムの車載器、車両用無線通信システムの携帯機に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアロックの施錠と開錠とを実行するために無線通信が実行される。車両に搭載された車載器は要求信号を送信し、車両ユーザが携帯した携帯機が返信データを送信した場合に、車載器はドアロックの施錠と開錠とを切りかえる。このような処理を実行する前に、車載器には携帯機が登録される。登録動作において、車載器に割り当てられた固有の車両ID(Identification)が、車載器から携帯機に書き込まれる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-20835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載器に固有の車両IDを携帯機に登録する場合、1つの携帯機は1台の車両に対してのみ使用可能になる。そのため、同一メーカの車両を複数台保有するユーザは、複数の携帯機を持ち歩いたり、間違えて別の車両用の携帯機を使用しようとしたりこともある。そのため、1つの携帯機から複数の車両のドアロックを制御することが求められる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両に搭載された車載器と携帯機との間で通信を実行する車両用無線通信システムにおいて、1つの携帯機であっても複数の車載器と通信する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の車両用無線通信システムは、無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、識別情報を保持する第2記憶部と、をそれぞれ有する複数の車載器と、を有する車両用無線通信システムであって、登録処理時に、携帯機は、第1記憶部が、識別情報を車載器に登録する毎に増数する登録回数を保持し、第1制御部が、識別情報および登録回数を含む第1信号を生成し、第1無線部が、第1信号を、複数の車載器のそれぞれに送信し、複数の車載器は、第2無線部が、第1信号を受信し、第2制御部が、第1信号に含まれる識別情報と、第2記憶部に保持している識別情報と、が異なる場合、第2記憶部に保持している識別情報を第1信号に含まれる識別情報に変更し、第2記憶部が、変更後の識別情報と、第1信号に含まれる登録回数を保持し、操作処理時に、複数の車載器は、第2制御部が、車両から所定の入力を受けた場合、第2記憶部に保持している変更後の識別情報および施錠または開錠を指示するコマンドを含む第2信号を生成し、第2無線部が、第2信号を携帯機に送信し、携帯機は、第1無線部が、第2信号を受信し、第1制御部が、受信した第2信号に含まれる変更後の識別情報が、第1記憶部に保持している識別情報に一致する場合、受信した第2信号に含まれるコマンドに対応した情報を、第1記憶部に保持された登録回数に基づいて暗号化し、第1無線部が、暗号化した情報を含む第3信号を送信し、複数の車載器は、第2無線部が、第3信号を受信し、第2制御部が、受信した第3信号に含まれる暗号化された情報を第2記憶部に保持した登録回数に基づいて復号した場合、復号した情報に応じて、施錠または開錠の指示を車両に出力する。
【0007】
本開示の別の態様もまた、車両用無線通信システムである。この車両用無線通信システムは、無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、識別情報を保持する第2記憶部と、をそれぞれ有する複数の車載器と、を有する車両用無線通信システムであって、登録処理時に、携帯機は、第1記憶部が、識別情報を車載器に登録する毎に増数する登録回数を保持し、第1制御部が、識別情報および登録回数を含む第1信号を生成し、第1無線部が、第1信号を、複数の車載器のそれぞれに送信し、複数の車載器は、第2無線部が、第1信号を受信し、第2制御部が、第1信号に含まれる識別情報と、第2記憶部に保持している識別情報と、が異なる場合、第2記憶部に保持している識別情報を第1信号に含まれる識別情報に変更し、第2記憶部が、変更後の識別情報と、第1信号に含まれる登録回数を保持し、操作処理時に、複数の車載器のうち第1の車載器の第2制御部が、車両から所定の入力を受けた場合、第2記憶部に保持している変更後の識別情報、施錠または開錠を指示するコマンドおよび登録回数を含む第2信号を生成し、第2無線部が、第2信号を携帯機に送信し、携帯機は、第1無線部が、第2信号を受信し、第1制御部が、第1記憶部に保持された登録回数と第1の車載器の第2記憶部に保持された登録回数とが一致すると判断した場合、第1無線部が、受信した第2信号に含まれるコマンドに対応した情報を含む第3信号を、第1の車載器に送信し、第1の車載器は、第1無線部が、第3信号を受信し、第1制御部が、第3信号に含まれるコマンドに対応した情報に応じて車両に対して施錠または開錠の指示を出力する。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、車両用無線通信システムの車載器である。この車載器は、無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、識別情報を保持する第2記憶部と、をそれぞれ有する複数の車載器と、を有する車両用無線通信システムの車載器であって、車載器は、登録処理時に、第2無線部が、携帯機から、識別情報および識別情報を車載器に登録する毎に増数する登録回数を含む第1信号を受信し、第2制御部が、第1信号に含まれる識別情報と、第2記憶部に保持している識別情報と、が異なる場合、第2記憶部に保持している識別情報を第1信号に含まれる識別情報に変更し、第2記憶部が、変更後の識別情報と、第1信号に含まれる登録回数を保持し、操作処理時に、第2制御部が、車両から所定の入力を受けた場合、第2記憶部に保持している変更後の識別情報および施錠または開錠を指示するコマンドを含む第2信号を生成し、第2無線部が、第2信号を携帯機に送信し、第2無線部が、携帯機から、第2信号に含まれる変更後の識別情報が、第1記憶部に保持している識別情報に一致する場合、第2信号に含まれる対応するコマンドに対応した情報を、第1記憶部に保持された登録回数に基づいて暗号化した情報を含む第3信号を受信し、第2制御部が、受信した第3信号に含まれる暗号化された情報を第2記憶部に保持した登録回数に基づいて解読し、解読した情報に応じて、施錠または開錠の指示を車両に出力する。
【0009】
本開示のさらに別の態様は、車両用無線通信システムの携帯機である。この携帯機は、無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、識別情報を保持する第2記憶部と、をそれぞれ有する複数の車載器と、を有する車両用無線通信システムの携帯機であって、携帯機は、登録処理時に、第1記憶部が、識別情報を車載器に登録する毎に増数する登録回数を保持し、第1制御部が、識別情報および登録回数を含む第1信号を生成し、第1無線部が、第1信号を、複数の車載器のそれぞれに送信し、操作処理時に、第1無線部が、複数の車載器のうち、車両から所定の入力を受けた車載器から、識別情報および施錠または開錠を指示するコマンドを含む第2信号を受信し、第1制御部が、受信した第2信号に含まれる識別情報が、第1記憶部に保持している識別情報に一致する場合、受信した第2信号に含まれる対応するコマンドに対応した情報を、第1記憶部に保持された登録回数に基づいて暗号化し、第1無線部が、暗号化された情報を含む第3信号を送信する。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、車両用無線通信システムの車載器である。この車載器は、無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、識別情報を保持する第2記憶部と、をそれぞれ有する複数の車載器と、を有する車両用無線通信システムの車載器であって、車載器は、登録処理時に、第2無線部が、携帯機から、識別情報および識別情報を車載器に登録する毎に増数する登録回数を含む第1信号を受信し、第2制御部が、第1信号に含まれる識別情報と、第2記憶部に保持している識別情報と、が異なる場合、第2記憶部に保持している識別情報を第1信号に含まれる識別情報に変更し、第2記憶部が、変更後の識別情報と、第1信号に含まれる登録回数を保持し、操作処理時に、第2制御部が車両から所定の入力を受け、第2記憶部に保持している変更後の識別情報および施錠または開錠を指示するコマンドを含む第2信号を生成し、第2無線部が、第2信号を携帯機に送信し、第2無線部が、携帯機から、識別情報、施錠または開錠を指示するコマンドに対応した情報および登録回数を含む第3信号を受信し、第2制御部が、第3信号に含まれる登録回数と第2記憶部に保持した登録回数とが一致すると判断した場合、第2制御部が、第3信号に含まれる施錠または開錠を指示するコマンドに対応した情報に応じて、車両に対して施錠または開錠の指示を出力する。
【0011】
本開示のさらに別の態様は、車両用無線通信システムの携帯機である。この携帯機は、無線通信を行う第1無線部と、第1制御部と、識別情報を保持する第1記憶部と、を有する携帯機と、第1無線部と無線通信を行う第2無線部と、搭載された車両に対して施錠または開錠の指示を出力する第2制御部と、識別情報を保持する第2記憶部と、をそれぞれ有する複数の車載器と、を有する車両用無線通信システムの携帯機であって、携帯機は、登録処理時に、第1記憶部が、識別情報を車載器に登録する毎に増数する登録回数を保持し、第1制御部が、識別情報および登録回数を含む第1信号を生成し、第1無線部が、第1信号を、複数の車載器のそれぞれに送信し、操作処理時に、第1無線部が、複数の車載器のうち、車両から所定の入力を受けた第1の車載器から、識別情報、施錠または開錠を指示するコマンドおよび登録回数を含む第2信号を受信し、第1制御部が、第1記憶部に保持された登録回数と第1の車載器の第2記憶部に保持された登録回数とが一致すると判断した場合、第1無線部が、受信した第2信号に含まれるコマンドに対応した情報を含む第3信号を、第1の車載器に送信する。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、車両に搭載された車載器と携帯機との間で通信を実行する車両用無線通信システムにおいて、1つの携帯機であっても複数の車載器と通信できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(a)-(b)は、実施例の車両用無線通信システムによるキーレス通信の概要を示す図である。
図2図2(a)-(c)は、実施例の車両用無線通信システムによるスマート通信の概要を示す図である。
図3】実施例の車両用無線通信システムの構成を示す図である。
図4図3の車両用無線通信システムによる登録処理の概要を示す図である。
図5図5(a)-(b)は、図4における携帯機探索信号とレスポンス信号のフォーマットを示す図である。
図6図6(a)-(b)は、図4における情報要求信号とレスポンス信号のフォーマットを示す図である。
図7図7(a)-(b)は、図4における書込指示信号とレスポンス信号のフォーマットを示す図である。
図8図4の車両用無線通信システムによる登録手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示を具体的に説明する前に、概要を述べる。本開示の実施例は、車両に搭載された車載器と、ユーザに所持された携帯機(電子キー)との間において、車両のドアロックを施錠あるいは開錠するための無線通信を実行する車両用無線通信システムに関する。車載器と携帯機との間で無線通信を実行する車両用無線通信システムにおいて、2種類の通信シーケンスが定義される。1種類目は、車載器と携帯機との間で双方向通信を実行する通信シーケンスであり、「スマート通信」と呼ばれる。2種類目は、携帯機から車載器への一方向通信を実行する通信シーケンスであり、「キーレス通信」と呼ばれる。スマート通信では、携帯機と車載器との組合せを登録するために、識別情報が使用される。識別情報の一例が、背景技術において使用される車両IDである。背景技術のように、車載器毎に異なる車両IDが、車載器から携帯機に書き込まれる場合、1つの携帯機は1台の車両に対してのみ使用可能になる。ユーザの利便性を考慮すると、1つの携帯機が、複数の車両に対して使用可能である方が好ましい。
【0016】
1つの携帯機を複数の車両に対して使用可能にするために、本実施例では、複数の車載器のそれぞれに共通の識別情報(以下、「グループID(グループ識別情報)」という)を割り当てる。このようなグループIDを割り当てるために、次の処理が実行される。第1携帯機には予めグループIDが割り当てられている。第1携帯機は、グループIDが未登録の第1車載器にグループIDを登録させる。また、第1携帯機は、第1車載器とは別の第2車載器であって、かつグループIDが未登録の第2車載器に対しても、グループIDを登録させる。その結果、第1携帯機と第1車載器と第2車載器におけるグループIDが共通になるので、第1携帯機は、第1車載器と第2車載器に対してスマート通信を実行可能である。
【0017】
このような状況下において、グループIDが登録された第1車載器と第2車載器に対して第2携帯機を登録する場合、第1車載器は、グループIDを第2携帯機に登録させる。なお、第2携帯機には、第1携帯機に割り当てられたグループIDとは別のグループIDが割り当てられているが、第1車載器からの指示に応じて、別のグループIDを、第1携帯機に割り当てられたグループIDに上書きする。また、第2車載器は、グループIDを第2携帯機に登録させる。その結果、第1携帯機と第2携帯機と第1車載器と第2車載器におけるグループIDが共通になる。
【0018】
図1(a)-(b)は、車両用無線通信システム1000によるキーレス通信の概要を示す。車両用無線通信システム1000は、携帯機10、車載器20を含み、車載器20は、車両50に搭載される。携帯機10は、携帯IDとグループIDとを保持する。携帯IDは、キーレス通信において携帯機10を識別するためのIDであり、携帯機10の個体毎に異なる値を有する。グループIDは、後述のスマート通信において使用されるIDである。携帯IDとグループIDは互いに異なり、携帯IDを第1識別情報呼ぶ場合、グループIDは第2識別情報と呼ばれる。例えば、携帯機10において保持される携帯IDは第1値であり、グループIDは第1値である。これらの第1値は異なった値でもよい。携帯機10は、操作部が所定の操作を受けた場合、例えば、ユーザによってドアロック開錠の操作を受けた場合、キーレス信号を車載器20に送信する。ユーザによるドアロック開錠の操作は、例えば、携帯機10に設けられたボタン(図示せず)が押し下げられることである。キーレス信号は、第1の信号と呼ばれてもよい。
【0019】
図1(b)は、キーレス信号のフォーマットを示す。キーレス信号は、プリアンブル、同期信号、データを順に配置する。プリアンブル、同期信号は、レスポンス信号におけるそれらと同一である。データは、コマンド、携帯ID、ローリングコードを含む。コマンドは、キーレス通信によって実行させる機能、例えばドアロックの開錠の指示を特定するための情報を示す。携帯IDは例えば第1値である。ローリングコードは、携帯機10からのキーレス信号の送信毎に増加する値を示し、例えば2バイトで示される。具体的には、キーレス信号の送信毎にローリングコードの値は「1」ずつ増加する。図1(a)に戻る。
【0020】
車載器20は、キーレス信号を受信する。車載器20は、キーレス信号に含まれた携帯ID、ローリングコードをもとに、車両50のドアロックを開錠させるか否かを判定する。開錠させると判定した場合、車載器20の出力部は、車両50に対して開錠の指示を出力する。なお、車両50のドアロックの施錠に対しても、主にコマンドの内容が変わるだけで同様の処理がなされる。
【0021】
図2(a)-(c)は、車両用無線通信システム1000によるスマート通信の概要を示す。スマート通信は、スマートエントリー方式、スマートキー方式、パッシブキーレスエントリー(PKE:Passive Keyless Entry)方式とも呼ばれる。図2(a)は、車両用無線通信システム1000による施錠動作を示す。ユーザは、車両50から降車する場合、車両50のエンジンあるいはモータを停止させ、ドアを開き、降車後にドアを閉じる。車載器20の入力部は、車両50のエンジンあるいはモータの停止、ドアを開くこと、およびドアを閉じることの一連の動作を所定の入力として受けつける。所定の入力がドアノブを引くことであってもよい。入力部が所定の入力を受けつけたことをトリガとして、車載器20は、探索信号を携帯機10に送信する。探索信号は、LF(Low Frequency)の信号、例えば、125kHz帯の信号である。LFの信号の通信距離は、車両50から2m程度の範囲に限定される。
【0022】
図2(b)は、探索信号のフォーマットを示す。探索信号は、ウエイクパターン、コマンド、グループID、乱数、RSSI(Received Signal Strength Indicator)用バーストを順に配置する。ウエイクパターンは携帯機10に探索信号の受信を検知させるための信号であり、携帯機10にとって既知のパターンの信号である。コマンドでは、スマート通信によって実行させる機能、例えばドアロックの施錠を指示するための機能が示される。また、コマンドは暗号化されている。グループIDは、車載器20が含まれるグループを識別するためのIDである。グループIDは、車載器20に保持される。RSSI用バーストは、携帯機10に受信信号強度を測定させるための信号である。図2(a)に戻る。
【0023】
携帯機10は、車載器20からの探索信号を受信すると、探索信号からグループIDを抽出する。携帯機10は、抽出したグループIDとをもとに、正当な車載器20からの探索信号であるか否かを判定する。例えば、抽出したグループIDの値と、携帯機10に保持されたグループIDの値とが一致する場合に、正当な車載器20からの探索信号であると判定される。正当な車載器20からの探索信号であることを認識した場合、携帯機10は、コマンドの内容を解読するとともに、携帯機10において受信した探索信号の受信強度、例えば、RSSIを測定する。これらに続いて、携帯機10はレスポンス信号を車載器20に送信する。レスポンス信号は、UHF(Ultra High Frequency)の信号、例えば、キーレス信号と同一の周波数帯である300MHz帯の信号である。なお、UHFの信号は、RFの信号とも呼ばれる。探索信号を第2の信号と呼ぶ場合、キーレス信号は第3の信号と呼ばれてもよい。一方、正当な車載器20からの探索信号でないことを認識した場合、携帯機10は、信号を送信しなくてもよく、正当な車載器20からの探索信号でないことが示された信号を送信してもよい。
【0024】
図2(c)は、レスポンス信号のフォーマットを示す。レスポンス信号は、プリアンブル、順番ID、暗号文、RSSI値、CRC(Cyclic Redundancy Check)を順に配置する。プリアンブルは、携帯機10と車載器20との間の通信(スマート通信)を成立させるために使用される既知の信号である。順番IDは、車載器20に登録された携帯機10の順番を示すためのIDである。暗号文は、コマンドに対応した信号であることを示すための情報である。RSSI値は、携帯機10において測定された探索信号の受信強度を示す。CRCは誤り訂正符号である。これらには公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。図2(a)に戻る。
【0025】
車載器20は、携帯機10からのレスポンス信号を受信する。車載器20において、レスポンス信号に含まれた順番ID、暗号文をもとに、既に送信した探索信号に対する応答を携帯機10から受けつけたと判定すれば、車載器20の出力部は、車両50のドアロックを施錠の指示を出力する。なお、ドアロックを開錠させる場合も同様の処理が実行されればよい。
【0026】
図3は、車両用無線通信システム1000の構成を示す。車両用無線通信システム1000は、前述のごとく、携帯機10、車載器20を含み、車載器20は、車両50に搭載される。携帯機10は、操作部100、制御部102、UHF送信部104、LF受信部106、記憶部110を含む。車載器20は、UHF受信部200、制御部202、LF送信部204、記憶部210を含む。車両50は、ECU(Electronic Control Unit)52、ドアロック機構54を含む。
【0027】
車両50に搭載されたセンサ(図示せず)によって、車両50のエンジンあるいはモータが停止されたこと、ドアを開くこと、およびドアを閉じることの一連の動作が検出される。ECU52は、センサからこれらの一連の動作の検出を通知されると、動作の検出を制御部202に出力する。制御部202は、ECU52から動作の検出を受けつけると、スマート通信における探索信号の送信を決定する。制御部202は、探索信号を生成する。その際、制御部202は、記憶部210に記憶されたグループIDを探索信号に含める。記憶部210には、ECUIDも保持される。ECUIDは、車載器20の個体毎に異なる値を有し、グループIDとは異なる。ECUIDは、第3識別情報と呼ばれてもよい。第3識別情報は、車両50毎に定義される識別情報(ID)と捉えてもよいし、ECUのシリアル番号(ECUの識別情報)と捉えてもよい。制御部202は、探索信号をLF送信部204に出力する。LF送信部204は、探索信号を携帯機10に送信する。
【0028】
携帯機10のLF受信部106は、車載器20からの探索信号を受信する。LF受信部106は、探索信号を制御部102に出力する。制御部102は、探索信号に含まれたグループIDを抽出する。制御部102は、記憶部110に記憶したグループIDと、抽出したグループIDとをもとに、ペア認証を実行する。ペア認証については公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。ペア認証が失敗した場合、後述の処理は実行されない。一方、ペア認証が成功した場合、制御部102は、レスポンス信号を生成する。その際、制御部102は、記憶部110に記憶した順番IDをレスポンス信号に含めるとともに、LF受信部106において測定された探索信号のRSSI値をレスポンス信号に含める。制御部102は、レスポンス信号をUHF送信部104に出力する。UHF送信部104はレスポンス信号を車載器20に送信する。これは、車載器20から受信した探索信号に対する応答として、レスポンス信号を車載器20に送信することに相当する。
【0029】
車載器20のUHF受信部200は、携帯機10からのレスポンス信号を受信する。なお、LF送信部204が探索信号を送信してから一定期間にわたって、UHF受信部200がレスポンス信号を受信しない場合、制御部202は探索信号をLF送信部204から再送させてもよい。UHF受信部200は、レスポンス信号を制御部202に出力する。制御部202は、レスポンス信号に含まれた順番ID、暗号文をもとに、既に送信した探索信号に対する応答を携帯機10から受けつけたことを認識する。これに続いて、制御部202は、車両50のドアロックの施錠を決定する。その際、レスポンス信号に含まれたRSSI値を、車両50のドアロックを施錠するか否かを決定するために使用してもよい。なお、これには公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。制御部202は、ドアロックの施錠を決定した場合、ECU52を介してドアロック機構54を施錠する。なお、携帯機10の操作部100は、キーレス通信の際に使用されるが、ここでは説明を省略する。
【0030】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他のLSI(Large Scale Integration)で実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0031】
これまでの説明の通り、車載器20におけるグループIDと、携帯機10におけるグループIDとをもとになされた認証が成功した場合に、ドアロックを施錠あるいは開錠させるためのスマート通信が成立する。以下では、一例として、車載器20におけるグループIDと、携帯機10におけるグループIDとが同一であるとする。このような状況において、複数の車載器20のそれぞれにおけるグループIDが、1つの携帯機10におけるグループIDと同一である場合、1つの携帯機10によって、複数の車載器20が搭載された複数の車両50のドアロックの施錠あるいは開錠が可能になる。以下では、複数の車載器20のそれぞれにおけるグループIDと、1つの携帯機10におけるグループIDとを同一にするための登録処理を説明する。
【0032】
図4は、車両用無線通信システム1000による登録処理の概要を示す。車両用無線通信システム1000は、携帯機10と総称される第1携帯機10a、第2携帯機10b、車載器20と総称される第1車載器20a、第2車載器20bを含む。携帯機10の数、車載器20の数は「2」に限定されない。また、図4において、車載器20を搭載する車両50は省略される。登録処理は、一般的に車両工場あるいは車販売店に、第1携帯機10aと第1車載器20aとが持ち込まれて実施される。
【0033】
第1車載器20aに登録用テスタ(図示せず)を接続し、登録用テスタに対する操作がトリガとなって登録処理が開始する。第2携帯機10bと第2車載器20bに対しても同様である。登録処理を開始する段階において、第1携帯機10a、第2携帯機10b、第3携帯機10c、第4携帯機10dは未登録の状態である。そのため、第1携帯機10aと第2携帯機10bには、互いに異なったグループIDがそれぞれ予め記憶されており、第1車載器20aと第2車載器20bにはグループIDが記憶されていない。以下では、(1)第1携帯機10aと第1車載器20a間の登録処理、(2)第2携帯機10bと第1車載器20a間の登録処理、(3)第1携帯機10aと第2車載器20b間の登録処理、(4)第2携帯機10bと第2車載器20b間の登録処理の順に説明する。その際、図3も使用する。
【0034】
(1)第1携帯機10aと第1車載器20a間の登録処理
第1車載器20aの制御部202は、登録処理を開始するとともに、前述の探索信号と同様の携帯機探索信号をLF送信部204から送信させる。図5(a)-(b)は、携帯機探索信号とレスポンス信号のフォーマットを示す。図5(a)に示されるように携帯機探索信号は、登録用ウエイクパターン、コマンドを順に配置する。登録用ウエイクパターンは携帯機10に携帯機探索信号の受信を検知させるための信号であり、携帯機10にとって既知のパターンの信号である。登録用ウエイクパターンはウエイクパターンとは異なっている。コマンドでは携帯機探索が示される。図5(b)は後述し、図4に戻る。
【0035】
第1携帯機10aの制御部102は、LF受信部106を介して、携帯機探索信号を受信する。制御部102は、携帯機探索信号から抽出したコマンドをもとに、携帯機探索であることを認識する。制御部102は、記憶部110に予め記憶した順番ID、グループID[#1]を抽出して、図5(b)のごとく、順番ID、グループID[#1]が含まれたレスポンス信号を生成する。ここで、順番IDは「1」に設定される。制御部102は、UHF送信部104を介して、レスポンス信号を第1車載器20aに送信する。このレスポンス信号は第4の信号と呼ばれてもよい。
【0036】
第1車載器20aの制御部202は、UHF受信部200を介して、レスポンス信号を受信する。ここで、第1車載器20aは未登録の状態であるので、記憶部210には、未登録を意味する値のグループIDが記憶されている。制御部202は、第1車載器20aが未登録の状態であるので、レスポンス信号に含まれたグループID[#1]を記憶部210に記憶することによって、未登録を意味する値のグループIDをグループID[#1]に変更する。このグループIDは図4に示される。また、制御部202は、記憶部210に記憶されている順番IDを確認するが、第1車載器20aが未登録の状態であるので、記憶部210には順番IDが記憶されていない。そのため、制御部202は、レスポンス信号に含まれた順番ID「1」を取得し、これを記憶部210に記憶する。
【0037】
これに続いて、制御部202は、情報要求信号をLF送信部204から送信させる。図6(a)-(b)は、情報要求信号とレスポンス信号のフォーマットを示す。図6(a)に示されるように携帯機探索信号は、登録用ウエイクパターン、コマンドを順に配置する。コマンドでは情報要求が示される。図6(b)は後述し、図4に戻る。
【0038】
第1携帯機10aの制御部102は、LF受信部106を介して、情報要求信号を受信する。制御部102は、情報要求信号から抽出したコマンドをもとに、情報要求であることを認識する。制御部102は、記憶部110に予め記憶した携帯ID、暗号鍵を抽出する。また、制御部102は、記憶部110に記憶した登録回数を抽出するが、第1携帯機10aは未登録の状態であるので、登録がなされた車載器20の数を示す登録回数は「0」に設定されている。制御部102は、図6(b)のごとく、携帯ID、暗号鍵、登録回数が含まれたレスポンス信号を生成する。制御部102は、UHF送信部104を介して、レスポンス信号を第1車載器20aに送信する。
【0039】
第1車載器20aの制御部202は、UHF受信部200を介して、レスポンス信号を受信する。制御部102は、レスポンス信号に含まれた携帯ID、暗号鍵を制御部202に記憶する。この携帯ID、暗号鍵は、図4において携帯ID(第1携帯機)、暗号鍵(第1携帯機)と示される。また、制御部202は、レスポンス信号に含まれた登録回数を抽出し、登録回数を「1」増加させる。その結果、登録回数は「1」になる。制御部202は、増加された登録回数を記憶部210に記憶する。
【0040】
これに続いて、制御部202は、記憶部210に記憶された順番ID、グループID、登録回数を取得する。制御部202は、これらが含まれた書込指示信号を生成する。図7(a)-(b)は、書込指示信号とレスポンス信号のフォーマットを示す。図7(a)に示されるように書込指示信号は、登録用ウエイクパターン、コマンド、順番ID、グループID、登録回数を順に配置する。コマンドでは書込指示要求が示される。図7(b)は後述し、図4に戻る。制御部202は、書込指示信号をLF送信部204から送信させる。
【0041】
第1携帯機10aの制御部102は、LF受信部106を介して、書込指示信号を受信する。制御部102は、書込指示信号から抽出したコマンドをもとに、書込指示であることを認識する。制御部102は、書込指示信号に含まれた順番ID、グループID、登録回数を記憶部110に記憶する。ここで、記憶すべきグループIDは、予め記憶したグループIDと同一であるので、グループIDは変更されない。そのため、第1携帯機10aと第1車載器20aとの間において、予め第1携帯機10aに割り当てられたグループIDが使用されるといえる。また、順番IDもグループIDと同様である。一方、記憶すべき登録回数は、予め記憶した登録回数よりも「1」だけ大きいので、増加された登録回数が記憶部110に登録されるといえる。これらの処理の終了後、制御部102は、図7(b)のごとくレスポンス信号を生成する。レスポンス信号には、ACKが含まれる。制御部102は、UHF送信部104を介して、レスポンス信号を第1車載器20aに送信する。
【0042】
第1車載器20aの制御部202は、UHF受信部200を介して、レスポンス信号を受信する。制御部202は、レスポンス信号に含まれたACKをもとに、第1携帯機10aにおける登録の完了を認識すると、第1車載器20aにおける登録を完了する。
【0043】
(2)第2携帯機10bと第1車載器20a間の登録処理
第2携帯機10bと第1車載器20aの間では、第1携帯機10aと第1車載器20aとの間と同様に登録処理が実行される。第1車載器20aの制御部202は、自己診断機能(On-Board Diagnostics;OBD)により所定の入力がある場合、登録処理を開始するとともに、携帯機探索信号をLF送信部204から送信させる。第2携帯機10bの制御部102は、LF受信部106を介して、携帯機探索信号を受信する。制御部102は、記憶部110に予め記憶した順番ID、グループIDを抽出して、図5(b)のごとく、順番ID、グループIDが含まれたレスポンス信号を生成する。ここでも、順番IDは「1」に設定される。また、グループIDには、第1携帯機10aでのグループIDとは異なった第2携帯機10bでの他のグループIDが設定される。つまり、各携帯機10は、記憶部110において、グループIDの値を書換え可能に保持する。ここで、当初保持されるグループIDの値は初期値を有し、初期値は、携帯機10の個体毎に異なる値である。制御部102は、UHF送信部104を介して、レスポンス信号を第1車載器20aに送信する。
【0044】
第1車載器20aの制御部202は、UHF受信部200を介して、レスポンス信号を受信する。制御部202は、記憶部210にグループIDを既に記憶しているので、レスポンス信号に含まれたグループIDを破棄する。また、制御部202は、記憶部210に順番ID「1」が既に記憶されていることを確認する。そのため、制御部202は、レスポンス信号に含まれた順番ID「1」を「2」に変更して、順番ID「2」を記憶部210に記憶する。これに続いて、制御部202は、情報要求信号をLF送信部204から送信させる。
【0045】
第2携帯機10bの制御部102は、LF受信部106を介して、情報要求信号を受信する。制御部102は、記憶部110に記憶した登録回数を抽出するが、第2携帯機10bは未登録の状態であるので、登録回数は「0」に設定されている。制御部102は、図6(b)のごとく、携帯ID、暗号鍵、登録回数が含まれたレスポンス信号をUHF送信部104を介して第1車載器20aに送信する。
【0046】
第1車載器20aの制御部202は、UHF受信部200を介して、レスポンス信号を受信する。制御部102は、レスポンス信号に含まれた携帯ID、暗号鍵を制御部202に記憶する。この携帯ID、暗号鍵は、図4において携帯ID(第2携帯機)、暗号鍵(第2携帯機)と示される。また、制御部202は、レスポンス信号に含まれた登録回数を抽出し、登録回数を「1」増加させる。その結果、登録回数は「1」になる。制御部202は、増加された登録回数を記憶部210に記憶する。図3に示されているように、第1携帯機10aに対する携帯ID、暗号鍵、順番ID、登録回数の組合せと、第2携帯機10bに対する携帯ID、暗号鍵、順番ID、登録回数の組合せとは別々に記憶される。
【0047】
これに続いて、制御部202は、記憶部210に記憶された順番ID、グループID、登録回数を取得する。このグループIDは、第1携帯機10aに割り当てられたグループID[#1]である。制御部202は、これらが含まれた書込指示信号をLF送信部204から送信させる。書込指示信号は、第5の信号と呼ばれてもよい。
【0048】
第2携帯機10bの制御部102は、LF受信部106を介して、書込指示信号を受信する。制御部102は、書込指示信号に含まれた順番ID、グループID[#1]、登録回数を記憶部110に記憶する。つまり、制御部102は、記憶部110に予め記憶したグループIDをグループID[#1]に変更する。そのため、第2携帯機10bが、既に記憶していた他のグループIDに代えて、第1車載器20aから受信したグループIDを登録するといえる。その結果、第1携帯機10aと第2携帯機10bと第1車載器20aとの間において、予め第1携帯機10aに割り当てられたグループIDが使用される。また、増加された登録回数も記憶部110に登録される。これらの処理の終了後、制御部102は、UHF送信部104を介して、レスポンス信号を第1車載器20aに送信する。
【0049】
(3)第1携帯機10aと第2車載器20b間の登録処理
第1携帯機10aと第2車載器20bの間では、これまでと同様に登録処理が実行される。第2車載器20bの制御部202は、登録処理を開始するとともに、携帯機探索信号をLF送信部204から送信させる。第1携帯機10aの制御部102は、LF受信部106を介して、携帯機探索信号を受信する。制御部102は、記憶部110に記憶した順番ID、グループIDを抽出して、図5(b)のごとく、順番ID、グループIDが含まれたレスポンス信号を生成する。ここでも、順番IDは「1」に設定される。制御部102は、UHF送信部104を介して、レスポンス信号を第2車載器20bに送信する。
【0050】
第2車載器20bの制御部202は、UHF受信部200を介して、レスポンス信号を受信する。制御部202は、第2車載器20bが未登録の状態であるので、レスポンス信号に含まれたグループIDを記憶部210に記憶することによって、当該グループIDを登録する。このグループIDは、図4においてグループID[#1]と示される。このように、1つの携帯機10のグループIDを保持できる車載器20の数は、「1」に限られず、「2以上」にもなる。また、制御部202は、記憶部210に記憶されている順番IDを確認するが、第2車載器20bが未登録の状態であるので、記憶部210には順番IDが記憶されていない。そのため、制御部202は、レスポンス信号に含まれた順番ID「1」を取得し、これを記憶部210に記憶する。これに続いて、制御部202は、情報要求信号をLF送信部204から送信させる。
【0051】
第1携帯機10aの制御部102は、LF受信部106を介して、情報要求信号を受信する。制御部102は、記憶部110に予め記憶した携帯ID、暗号鍵を抽出する。また、制御部102は、記憶部110に記憶した登録回数「1」を抽出する。制御部102は、UHF送信部104を介して、携帯ID、暗号鍵、登録回数が含まれたレスポンス信号を第2車載器20bに送信する。
【0052】
第2車載器20bの制御部202は、UHF受信部200を介して、レスポンス信号を受信する。制御部102は、レスポンス信号に含まれた携帯ID、暗号鍵を制御部202に記憶する。この携帯ID、暗号鍵は、図4において携帯ID(第1携帯機)、暗号鍵(第1携帯機)と示される。また、制御部202は、レスポンス信号に含まれた登録回数を抽出し、登録回数を「1」増加させる。その結果、登録回数は「2」になる。制御部202は、さらに増加された登録回数を記憶部210に記憶する。
【0053】
これに続いて、制御部202は、記憶部210に記憶された順番ID、グループID、登録回数を取得する。制御部202は、これらが含まれた書込指示信号をLF送信部204から送信させる。
【0054】
第1携帯機10aの制御部102は、LF受信部106を介して、書込指示信号を受信する。制御部102は、書込指示信号に含まれた順番ID、グループID、登録回数を記憶部110に記憶する。ここで、記憶すべきグループIDは、予め記憶したグループIDと同一であるので、グループIDは変更されない。そのため、第1携帯機10aと第2車載器20bとの間において、予め第1携帯機10aに割り当てられたグループIDが使用されるといえる。また、順番IDもグループIDと同様である。一方、記憶すべき登録回数は、予め記憶した登録回数よりも「1」だけ大きいので、増加された登録回数が記憶部110に登録されるといえる。これらの処理の終了後、制御部102は、UHF送信部104を介して、レスポンス信号を第2車載器20bに送信する。
【0055】
(4)第2携帯機10bと第2車載器20b間の登録処理
第2携帯機10bと第2車載器20bの間では、第2携帯機10bと第1車載器20aとの間と同様に登録処理が実行される。第2車載器20bの制御部202は、登録処理を開始するとともに、携帯機探索信号をLF送信部204から送信させる。第2携帯機10bの制御部102は、LF受信部106を介して、携帯機探索信号を受信する。制御部102は、記憶部110に記憶した順番ID、グループIDを抽出して、図5(b)のごとく、順番ID、グループIDが含まれたレスポンス信号を生成する。ここでも、順番IDは「1」に設定される。また、グループIDは、第1携帯機10aでのグループIDと同一である。制御部102は、UHF送信部104を介して、レスポンス信号を第2車載器20bに送信する。
【0056】
第2車載器20bの制御部202は、UHF受信部200を介して、レスポンス信号を受信する。制御部202は、記憶部210にグループIDを既に記憶しているので、レスポンス信号に含まれたグループIDを破棄する。また、制御部202は、記憶部210に順番ID「1」が既に記憶されていることを確認する。そのため、制御部202は、レスポンス信号に含まれた順番ID「1」を「2」に変更して、順番ID「2」を記憶部210に記憶する。これに続いて、制御部202は、情報要求信号をLF送信部204から送信させる。
【0057】
第2携帯機10bの制御部102は、LF受信部106を介して、情報要求信号を受信する。また、制御部102は、記憶部110に記憶した登録回数「1」を抽出する。制御部102は、UHF送信部104を介して、携帯ID、暗号鍵、登録回数が含まれたレスポンス信号を第2車載器20bに送信する。
【0058】
第2車載器20bの制御部202は、UHF受信部200を介して、レスポンス信号を受信する。制御部102は、レスポンス信号に含まれた携帯ID、暗号鍵を制御部202に記憶する。この携帯ID、暗号鍵は、図4において携帯ID(第2携帯機)、暗号鍵(第2携帯機)と示される。また、制御部202は、レスポンス信号に含まれた登録回数を抽出し、登録回数を「1」増加させる。その結果、登録回数は「2」になる。制御部202は、さらに増加された登録回数を記憶部210に記憶する。図3に示されているように、第1携帯機10aに対する携帯ID、暗号鍵、順番ID、登録回数の組合せと、第2携帯機10bに対する携帯ID、暗号鍵、順番ID、登録回数の組合せとは別々に記憶される。
【0059】
これに続いて、制御部202は、記憶部210に記憶された順番ID、グループID、登録回数を取得する。制御部202は、これらが含まれた書込指示信号をLF送信部204から送信させる。
【0060】
第2携帯機10bの制御部102は、LF受信部106を介して、書込指示信号を受信する。制御部102は、書込指示信号に含まれた順番ID、グループID、登録回数を記憶部110に記憶する。以上の結果、第1携帯機10a、第2携帯機10b、第1車載器20a、第2車載器20bの間において、予め第1携帯機10aに割り当てられたグループIDが使用される。また、増加された登録回数も記憶部110に登録される。これらの処理の終了後、制御部102は、UHF送信部104を介して、レスポンス信号を第2車載器20bに送信する。
【0061】
以上の構成による車両用無線通信システム1000の動作を説明する。図8は、車両用無線通信システム1000による登録手順を示すシーケンス図である。第1車載器20aは第1携帯機10aを探索するための携帯機探索信号を送信する(ステップS10)。第1携帯機10aはレスポンス信号を送信する(ステップS12)。第1車載器20aはレスポンス信号に含まれたグループIDを登録する(ステップS14)。第1車載器20aは情報要求信号を送信する(ステップS16)。第1携帯機10aはレスポンス信号を送信する(ステップS18)。第1車載器20aは、レスポンス信号に含まれた情報を記憶する(ステップS20)。第1車載器20aは書込指示信号を送信する(ステップS22)。第1携帯機10aはレスポンス信号を送信する(ステップS24)。第1携帯機10aは、書込指示信号に含まれた情報を記憶する(ステップS26)。
【0062】
第1車載器20aは第2携帯機10bを探索するための携帯機探索信号を送信する(ステップS28)。第2携帯機10bはレスポンス信号を送信する(ステップS30)。第1車載器20aは情報要求信号を送信する(ステップS32)。第2携帯機10bはレスポンス信号を送信する(ステップS34)。第1車載器20aは、レスポンス信号に含まれた情報を記憶する(ステップS36)。第1車載器20aは書込指示信号を送信する(ステップS38)。第2携帯機10bはレスポンス信号を送信する(ステップS40)。第2携帯機10bは、書込指示信号に含まれた情報を記憶する(ステップS42)。
【0063】
第2車載器20bは第1携帯機10aを探索するための携帯機探索信号を送信する(ステップS44)。第1携帯機10aはレスポンス信号を送信する(ステップS46)。第2車載器20bはレスポンス信号に含まれたグループIDを登録する(ステップS48)。第2車載器20bは情報要求信号を送信する(ステップS50)。第1携帯機10aはレスポンス信号を送信する(ステップS52)。第2車載器20bは、レスポンス信号に含まれた情報を記憶する(ステップS54)。第2車載器20bは書込指示信号を送信する(ステップS56)。第1携帯機10aはレスポンス信号を送信する(ステップS58)。第1携帯機10aは、書込指示信号に含まれた情報を記憶する(ステップS60)。
【0064】
第2車載器20bは第2携帯機10bを探索するための携帯機探索信号を送信する(ステップS62)。第2携帯機10bはレスポンス信号を送信する(ステップS64)。第2車載器20bは情報要求信号を送信する(ステップS66)。第2携帯機10bはレスポンス信号を送信する(ステップS68)。第2車載器20bは、レスポンス信号に含まれた情報を記憶する(ステップS70)。第2車載器20bは書込指示信号を送信する(ステップS72)。第2携帯機10bはレスポンス信号を送信する(ステップS74)。第2携帯機10bは、書込指示信号に含まれた情報を記憶する(ステップS76)。
【0065】
本実施例によれば、第1車載器と第2車載器に対して第1携帯機からグループIDを登録させるので、第1車載器と第2車載器と第1携帯機とにおいてグループIDを共通化できる。また、第1車載器と第2車載器と第1携帯機とにおいてグループIDが共通化されるので、1つの携帯機であっても複数の車載器と通信できる。1つの携帯機であっても複数の車載器と通信が可能であるので、複数の携帯機を携帯することを不要にできる。また、複数の携帯機を携帯することが不要になるので、ユーザの利便性を向上できる。
【0066】
また、第1携帯機を登録した車載器の台数に応じて登録回数を増加させるので、第1携帯機において車載器を識別できる。また、グループIDを登録した第1車載器が、第2携帯機にグループIDを登録させるので、第2携帯機に同一のグループIDを使用させることができる。また、第2携帯機に予め記憶されている他のグループIDに代わってグループIDを登録させるので、第2携帯機に同一のグループIDを使用させることができる。また、第2携帯機を登録した車載器の台数に応じて登録回数を増加させるので、第2携帯機において車載器を識別できる。
【0067】
また、車載器は、グループIDの値を携帯機に合わせるので、1つの携帯機であっても複数の車載器と通信できる。また、車載器の個体毎に異なる値を有するECUIDはグループIDと異なるので、ECUIIDに関係なく通信を実行できる。また、グループIDは未登録を意味する値を有するので、未登録の状態を登録の状態に変更できる。また、第2携帯機は、保持しているグループIDの値を第1携帯機のグループIDに合わせるので、第1携帯機と第2携帯機とにおいてグループIDの値を共通にできる。また、携帯機は、グループIDの値を書換え可能に保持するので、グループIDの値を変更できる。また、携帯機の個体毎に異なる初期値を有するので、初期値の状態でも携帯機を識別できる。
【0068】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の車両用無線通信システムは、車両に搭載可能であり、入力部と、車両に対して少なくとも開錠の指示を出力できる出力部とを有する車載器と、車載器と無線通信可能であり、操作部を有する携帯機と、を有する。携帯機は、第1識別情報の第1値と、第2識別情報の第1値とを保持し、操作部が所定の操作を受けた場合、携帯機は第1識別情報の第1値を有する第1の信号を、無線通信を利用して車載器に送信し、第1識別情報の第1値を受信した車載器の出力部は、第1識別情報の第1値を基に車両に対して開錠の指示を出力し、車載器は、少なくとも第2識別情報の第2値を保持し、入力部が所定の入力をうけた場合、少なくとも第2識別情報の第2値を有する第2の信号を、無線通信を利用して携帯機に送信し、第2識別情報の第2値を受信した携帯機は、第2識別情報の第1値と第2値を基に、車載器に無線通信を利用して、第3の信号を送信し、第3の信号を受信した車載器の出力部は、第3の信号を基に車両に対して開錠の指示を出力する、車両用無線通信システムであって、少なくとも第1識別情報は、携帯機の個体毎に異なる値を有し、第1識別情報と第2識別情報は互いに異なり、携帯機が、車載器に第2識別情報の第1値を有する第4の信号を送信し、第4の信号を受信した車載器は、保持している第2識別情報を第1値にする。
【0069】
この態様によると、車載器は、第2識別情報の値を携帯機に合わせるので、1つの携帯機であっても複数の車載器と通信できる。
【0070】
車両用無線通信システムであって、車載器は、車載器の個体毎に異なる値を有する第3識別情報を保持し、第3識別情報は、第2識別情報とは異なってもよい。この場合、車載器の個体毎に異なる値を有する第3識別情報は第2識別情報と異なるので、第3識別情報に関係なく通信を実行できる。
【0071】
車両用無線通信システムであって、第2識別情報の第2値は、未登録を意味してもよい。この場合、第2識別情報の第2値は未登録を意味するので、未登録の状態を登録の状態に変更できる。
【0072】
車両用無線通信システムであって、携帯機を、第1携帯機として、車載器と無線通信可能な第2携帯機を、更に有してもよい。車載器において所定の入力がある場合、車載器は、保持している第2識別情報の第1値を有する第5の信号を、第2携帯機に送信し、第2識別情報の第1値を受信した第2携帯機は、保持している第2識別情報の値を第1値としてもよい。この場合、第2携帯機は、保持している第2識別情報の値を第1値とするので、第1携帯機と第2携帯機とにおいて第2識別情報の値を共通にできる。
【0073】
車両用無線通信システムであって、携帯機は、第2識別情報の値を書換え可能に保持してもよい。この場合、第2識別情報の値を書換え可能に保持するので、第2識別情報の値を変更できる。
【0074】
車両用無線通信システムであって、携帯機が保持する第2識別情報の値は、初期値を有してもよい。初期値は、携帯機の個体毎に異なる値であってもよい。この場合、携帯機の個体毎に異なる初期値を有するので、初期値の状態でも携帯機を識別できる。
【0075】
本開示の別の態様は、識別情報登録方法である。この方法は、車両に搭載可能であり、入力部と、車両に対して少なくとも開錠の指示を出力できる出力部とを有する車載器と、車載器と無線通信可能であり、操作部を有する携帯機と、を有する。携帯機は、第1識別情報の第1値と、第2識別情報の第1値とを保持し、操作部が所定の操作を受けた場合、携帯機は第1識別情報の第1値を有する第1の信号を、無線通信を利用して車載器に送信し、第1識別情報の第1値を受信した車載器の出力部は、第1識別情報の第1値を基に車両に対して開錠の指示を出力し、車載器は、少なくとも第2識別情報の第2値を保持し、入力部が所定の入力をうけた場合、少なくとも第2識別情報の第2値を有する第2の信号を、無線通信を利用して携帯機に送信し、第2識別情報の第2値を受信した携帯機は、第2識別情報の第1値と第2値を基に、車載器に無線通信を利用して、第3の信号を送信し、第3の信号を受信した車載器の出力部は、第3の信号を基に車両に対して開錠の指示を出力し、少なくとも第1識別情報は、携帯機の個体毎に異なる値を有し、第1識別情報と第2識別情報は互いに異なる、車両用無線通信システムで利用可能な識別情報登録方法であって、携帯機が、車載器に第2識別情報の第1値を有する第4の信号を送信し、第4の信号を受信した車載器は、保持している第2識別情報を第1値にする。
【0076】
この態様によると、車載器は、第2識別情報の値を携帯機に合わせるので、1つの携帯機であっても複数の車載器と通信できる。
【0077】
識別情報登録方法であって、車載器は、車載器の個体毎に異なる値を有する第3識別情報を保持し、第3識別情報は、第2識別情報とは異なってもよい。この場合、車載器の個体毎に異なる値を有する第3識別情報は第2識別情報と異なるので、第3識別情報に関係なく通信を実行できる。
【0078】
識別情報登録方法であって、第2識別情報の第2値は、未登録を意味してもよい。この場合、第2識別情報の第2値は未登録を意味するので、未登録の状態を登録の状態に変更できる。
【0079】
識別情報登録方法であって、携帯機を、第1携帯機として、車載器と無線通信可能な第2携帯機を、更に有してもよい。車載器において所定の入力がある場合、車載器は、保持している第2識別情報の第1値を有する第5の信号を、第2携帯機に送信し、第2識別情報の第1値を受信した第2携帯機は、保持している第2識別情報の値を第1値としてもよい。この場合、第2携帯機は、保持している第2識別情報の値を第1値とするので、第1携帯機と第2携帯機とにおいて第2識別情報を共通にできる。
【0080】
識別情報登録方法であって、携帯機は、第2識別情報の値を書換え可能に保持してもよい。この場合、第2識別情報の値を書換え可能に保持するので、第2識別情報の値を変更できる。
【0081】
識別情報登録方法であって、携帯機が保持する第2識別情報の値は、初期値を有してもよい。初期値は、携帯機の個体毎に異なる値であってもよい。この場合、携帯機の個体毎に異なる初期値を有するので、初期値の状態でも携帯機を識別できる。
【0082】
以上、本開示について実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0083】
本開示の実施例において、第1車載器20aと第2車載器20bは、第1携帯機10aと通信可能である。しかしながらこれに限らず例えば、第1携帯機10aは、最後に登録された第2車載器20bとだけ通信し、第1車載器20aとの通信を禁止してもよい。具体的には、スマート通信において、第1携帯機10aは、暗号文を登録回数分だけ右方向にローテートし、車載器20は、暗号文を登録回数分だけ左方向にローテートを行う。最後に登録された第2車載器20bでは、もとの暗号文に戻るので、通信が可能になる。それよりも前に登録された第1車載器20aでは、もとの暗号文に戻らないので、通信が可能にならない。なお、登録回数が通信中に送信され、携帯機10と車載器20との間で登録回数が一致した場合に、通信がなされてもよい。本変形例によれば、通信の柔軟性を向上できる。
【符号の説明】
【0084】
10 携帯機、 20 車載器、 50 車両、 52 ECU、 54 ドアロック機構、 100 操作部、 102 制御部、 104 UHF送信部、 106 LF受信部、 110 記憶部、 200 UHF受信部、 202 制御部、 204 LF送信部、 210 記憶部、 1000 車両用無線通信システム。
図1
図2
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図8