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特開2022-184905不織布層とメルトブローン層を有する濾材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184905
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】不織布層とメルトブローン層を有する濾材
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20221206BHJP
   D01F 8/06 20060101ALI20221206BHJP
   D01F 8/12 20060101ALI20221206BHJP
   D01F 8/14 20060101ALI20221206BHJP
   D04H 3/16 20060101ALI20221206BHJP
   D04H 3/147 20120101ALI20221206BHJP
   D04H 3/011 20120101ALI20221206BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20221206BHJP
   B32B 27/02 20060101ALI20221206BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20221206BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B01D39/16 A
D01F8/06
D01F8/12
D01F8/14 B
D04H3/16
D04H3/147
D04H3/011
B32B5/26
B32B27/02
B32B27/12
B32B27/36
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143082
(22)【出願日】2022-09-08
(62)【分割の表示】P 2020537703の分割
【原出願日】2019-01-14
(31)【優先権主張番号】102018102822.9
(32)【優先日】2018-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511183515
【氏名又は名称】ネーナー・ゲッスナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100220711
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 朗
(72)【発明者】
【氏名】デメル・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ガイスベルガー・ゲオルク
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐用年数、捕集効率、捕集効率、粉塵保持容量及び機械的剛性が良好な濾材を提供する。
【解決手段】濾材は、複合繊維を有する不織布層と、平均径(dl)1.8μm未満のポリエステル繊維を含みかつ通気度100l/m2秒~800l/m2秒を有するメルトブローン層とを備える。接触圧力0.1バール(10kPa)のとき、不織布層の厚さは、0.4mm未満である。メルトブローン層のポリエステル繊維の少なくとも25%の直径(d)は、1μm未満である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合繊維を含む不織布層と、平均径(dl)1.8μm未満のポリエステル繊維を含みかつ通気度100l/m2秒~800l/m2秒を有するメルトブローン層とを備え、接触圧力0.1バール(10kPa)のとき、不織布層の厚さは、0.4mm未満でありかつメルトブローン層のポリエステル繊維の少なくとも25%の直径(d)が1μm未満であることを特徴とする濾材。
【請求項2】
単位面積当たりの質量69g/m2~180g/m2、通気度40l/m2秒~400l/m2秒、厚さ0.32mm~0.82mm及び空隙率70%~90%を有する請求項1に記載の濾材。
【請求項3】
不織布層は、スパンボンド層である請求項1に記載の濾材。
【請求項4】
不織布層は、単位面積当たりの質量60g/m2~120g/m2、通気度1000l/m2秒~3500l/m2秒、厚さ0.25mm~0.38mmを有する請求項1~3の何れかに1項に記載の濾材。
【請求項5】
複合繊維は、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む請求項1~4の何れかに1項に記載の濾材。
【請求項6】
複合繊維は、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエチレンテレフタレートを含む請求項1~5の何れか1項に記載の濾材。
【請求項7】
メルトブローン層は、単成分繊維を含む請求項1~6の何れか1項に記載の濾材。
【請求項8】
メルトブローン層は、ポリブチレンテレフタレート繊維を含み又はポリブチレンテレフタレート繊維により構成される請求項1~7の何れか1項に記載の濾材。
【請求項9】
メルトブローン層は、単位面積当たりの質量9g/m2~35g/m2、厚さ0.07mm~0.22mmを有する請求項1~8の何れか1項に記載の濾材。
【請求項10】
メルトブローン層は、平均径(dl)0.60μm≦d≦1.75μmのポリエステル繊維を含む請求項1~9の何れか1項に記載の濾材。
【請求項11】
濾材は、スパンボンド層又はメルトブローン層を含む保護層を有する請求項1~10の何れか1項に記載の濾材。
【請求項12】
保護層は、ポリエステル繊維を含む請求項11に記載の濾材。
【請求項13】
保護層は、単成分繊維を含む請求項11又は12に記載の濾材。
【請求項14】
保護層は、ポリブチレンテレフタレー繊維又はポリエチレンテレフタレート繊維を含む請求項11~13の何れか1項に記載の濾材。
【請求項15】
請求項1~14の何れか1項に記載の濾材を含むことを特徴とする濾過材。
【請求項16】
濾過材は、請求項1~14の何れか1項に記載の濾材とは異なる濾材を含む請求項15に記載の濾過材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合繊維を含む不織布層とメルトブローン(メルトブロー、溶融紡糸又は吹込成形)層とを有する濾材及びこの種の濾材を有する濾過材に関する。
【背景技術】
【0002】
濾過材の耐用年数又は寿命は、濾過材を最初に利用する時点から所定の最大差圧に達するまでに要する時間を意味する。濾過材の濾過面積が大きい程又は濾材(フィルター材料)の表面性質の粉塵保持容量が良好な程、耐用年数は長い。
【0003】
圧力差は、濾過すべき流体が濾過材料を通過するときの濾過材料の前後に発生する圧力差である。圧力差が小さいほど、所定の送出性能による流体の処理能力が大きい。所定の濾過材料と所定の濾過すべき流体の所定の流量では、濾過材の濾過面積が大きいほど圧力差は、小さい。
【0004】
襞(折目、プリーツ)を設ける通常の濾過材料では、極力大きな濾過面積の増大が図られる。襞数は、実際に濾過材の大きさと幾何学形状により制限される。
【0005】
機械的高負荷に耐える襞付き濾過材料には、可能な限り剛性を付与しなければならない。厚い濾過層を用いて、所望の剛性を達成する必要のある場合が多い。尤も、厚い濾過材料では、形成される襞量が減少して、利用可能な濾過面積も減少する難点がある。これは、濾過材の粉塵保持容量に悪影響を与え、圧力損失が増大する原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、耐用年数、捕集効率、粉塵保持容量及び機械的剛性が非常に良好な濾材を提供すること及び襞を形成できかつ大きい濾過面積を有する濾材を提供することにある。高温で使用する濾過材料の脆弱化を可能な限り減少すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要約
本発明では、請求項1の特徴を有する濾過材料と請求項15の特徴を有する濾過材により、前記課題が、達成される。本発明による濾材は、複合繊維を含む不織布層と、平均径(dl)1.8μm未満のポリエステル繊維を含み通気度100l/m2秒~800l/m2秒を有するメルトブローン層とを備え、接触圧力0.1バール(10kPa)のとき、不織布層の厚さは、0.4mm未満でありかつメルトブローン層のポリエステル繊維の少なくとも25%の直径(d)が1μm未満であることを特徴とする。本発明の有利な実施の形態を、他の請求項に記載する。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明の濾材は、複合繊維を有する不織布層、好適にはスパンボンド層と、平均径1.8μm未満のポリエステル繊維を含むメルトブローン層とを有する。0.1バール(10kPa)の接触圧力では、不織布層の厚さは、0.4mm未満である。メルトブローン層のポリエステル繊維の少なくとも25%の直径は、1μm未満である。
【0009】
本発明では、複合繊維を有する不織布層とメルトブローン層との組み合わせにより、非常に良好な耐用年数、捕集効率及び機械的剛性が得られる驚愕に値する事実が判明した。また、襞を形成して、より大きい濾過面積を達成することができる。例えば、自動車のボンネット内やガスタービン内等の高温環境下又は温度変動環境下で使用しても、濾過材料は、僅かな脆弱化を示すに過ぎない。
【0010】
160℃以下の温度に暴露しても、本発明の濾材は、本質的に物理的変化又は捕集効率低下を生じない。
【0011】
15分間140℃、好適には温度160℃の環境に本発明の濾材を暴露しても、濾材の捕集効率と圧力損失は、一定であり又は少なくとも実質的に変化しない。温度140℃環境に15分間濾材を暴露した後、濾材の圧力損失は、10%を超えて、好ましくは5%を超えて増加しない。温度160℃に15分間濾材を暴露した後、濾材の圧力損失は10%を超えて増加せず、好ましくは5%を超えて増加しない。下記の方法で、濾材の特性を計測した。
【0012】
15分間140℃、好適には温度160℃環境に濾材を暴露しても、本発明の濾材の粉塵保持容量は、一定であり又は少なくとも実質的に変化しない。15分間温度140℃に濾材を暴露した後、濾材の粉塵保持容量は、20%を超えて減少せず、好適には10%を超えて減少しない。15分間温度160℃に濾材を暴露した後、濾材の圧力損失は、20%を超えて、好適には10%を超えて減少しない。下記方法で、濾材の特性を計測した。
【0013】
本発明の濾材の捕集(濾過)効率は、35%(F7級)、50%(F8級)及び70%(F9級)である。捕集効率は、ドイツ工業規格(DIN)、欧州統一規格(EN)779:2012に準拠する0.4μmのセバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHS,DOS)粒子の最小限捕集効率(百分率)に対応する(後述する)。
【0014】
本発明の濾材の好適な単位面積当たり質量は、69g/m2~180g/m2、より好適には80g/m2~150g/m2、特に好適には90g/m2~130g/m2である。
【0015】
濾材の好適な通気度は、140l/m2秒~400l/m2秒であり、特に好適には150l/m2秒~250l/m2秒である。
【0016】
接触圧力0.1バール(10kPa)での濾材の好適な厚さは、0.32mm~0.82mm、特に好適には0.50mm~0.70mmである。本発明の濾材の好適な空隙率は、70%~90%、特に好適には80%~90%である。
【0017】
ドイツ工業規格、欧州統一規格、国際標準化機構(ISO)534に準拠する接触圧力0.1バール(10kPa)では、不織布層、好適にはスパンボンド層の好適な厚さは、0.40mm未満である。不織布層の特に好適な厚さは、0.25mm~0.38mm、特に0.30mm~0.35mmである。
【0018】
不織布層の単位面積当たり質量は、60g/m2~120g/m2であり、好適には75g/m2~90g/m2、特に好適には80g/m2である。
【0019】
不織布層の通気度は、1000l/m2秒~3500l/m2秒、好適には1800l/m2秒~2800l/m2秒である。
【0020】
公知のどの方法を使用しても、不織布層を製造することができる。好適な不織布層は、スパンボンド不織布又は梳綿処理される織布を有する。化学的及び/又は熱的に不織布を硬化してもよい。不織布層は、特にスパンボンド不織布層が好ましい。
【0021】
不織布層は、複数の複合繊維を含み又は複数の複合繊維を有する。複数の複合繊維は、少なくとも1つの高融点の第1の繊維部と、低融点の第2の繊維部とを含む熱可塑性材料を有する。繊維の物理的構成は、当業者には公知であり、並列構造又は芯鞘構造を通常有する。
【0022】
ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)等)及びポリアミド(ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,12等を含む)等複数の熱可塑性材料から複合繊維を製造できる。ポリエステルから複合繊維を製造することが特に好ましい。ポリエチレンテレフタレート(PET)/共重合ポリエチレンテレフタレート(coPET)により複合繊維を構成することが特に好ましい。
【0023】
複合繊維の好適な平均径は、10μm~35μm、特に好適には、14μm~30μmである。
【0024】
本発明に使用するメルトブローン層の平均径(dl)は、1.8μm未満、好適には0.6μm≦dl<1.8μm、特に好適には0.60μm≦dl<1.75μmであるポリエステル繊維からなり、メルトブローン層のポリエステル繊維の少なくとも25%、好ましくは50%の直径(d)は、1μm未満、好適には0.6≦d<lμm、特に好適には0.60≦d≦0.95μmである。メルトブローン層中のポリエステル繊維の好ましくは少なくとも25%、特に好ましくは少なくとも40%は、直径(d)0.60≦d≦0.90μmである。直径0.6≦d≦0.85μmのポリエステル繊維の割合は少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%である。
【0025】
本発明では、「平均径」と「直径」とを区別する。この相違は、所定径の細繊維量の情報を示さない平均径に意味がある。本発明に使用するメルトブローン層は、好ましくは単位面積当たりの質量9g/m2~35g/m2、特に好ましくは12g/m2~30g/m2、特に18g/m2~24g/m2である。メルトブローン層の好適な通気度は、100l/m2秒~800l/m2秒、より好適には180l/m2秒~400l/m2秒、特に好適には180~300l/m2秒である。メルトブローン層の好ましい厚さは、0.07mm~0.22mm、特に好適には0.10mm~0.16mmである。
【0026】
専門分野で公知のメルトブローン法を使用して、メルトブローン不織布が製造されて、本発明に使用される。適切な重合体(特に、ポリエステル)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートである。好適なメルトブローン層は、ポリブチレンテレフタレート繊維を含む。特に好適なメルトブローン層は、ポリブチレンテレフタレート繊維により構成される。また、例えば、親水化剤、疎水化剤、結晶化促進剤又は塗料等の添加剤を必要に応じて重合体に添加することができる。例えば、コロナ処理又はプラズマ処理等の表面処理工程により、メルトブローン(吹込成形)される不織布の表面特性を必要に応じて処理し又は変性してもよい。不織布層とメルトブローン層との組み合わせのみから濾材を構成してもよく、1層以上の他の層を含んでもよい。
【0027】
不織布層とメルトブローン層の他に、メルトブローン層を保護する保護層を更に濾材に含んでもよい。専門分野で公知のスパンボンド法により製造されるスパンボンド不織布を保護層に含んでもよい。スパンボンド法に適する重合体は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)又はそれらの混合物である。単成分繊維又は複合繊維を保護層に含んでもよい。保護層は、単成分ポリエステル繊維を含むことが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート繊維を含むことが好ましい。単成分ポリエチレンテレフタレート繊維によりスパンボンド層を構成することが特に好ましい。
【0028】
また、梳綿法やメルトブローン法で保護層を製造することもできる。これらの方法に適する重合体は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド及びポリオレフィン又はそれらの混合物である。
【0029】
保護層中の繊維の平均径(d)は、2μm<d≦50μm、好適には5μm<d≦30μm、特に好適には10μm<d≦20μmである。
【0030】
保護層の単位面積当たり質量は、8g/m2~25g/m2、好適には10g/m2~20g/m2、通気度は、5000l/m2秒~12000l/m2秒、好適には6800~9000l/m2秒である。接触圧力0.1バール(10kPa)での保護層の厚さは、0.05mm~0.22mm、好適には0.05mm~0.16mmである。
【0031】
また、不織布層とメルトブローン層と保護層とにより濾材を構成してもよい。
【0032】
本発明の濾材は、追加の処理を行なわずに、既に難燃性を有する。例えば、ドイツ工業規格75200では、B値は、B=0となる。しかし、追加の難燃処理を濾材に施すこともできる。
【0033】
動的濾過での流動方向は、メルトブローン層又は保護層を通過する。
【0034】
静的濾過での流動方向は、不織布層を通過する。
【0035】
不織布層、好適にはスパンボンド層にメルトブローン層を接合して濾材を製造することができる。例えば、穿刺法、水噴射穿刺法、熱的方法(即ち、圧延硬化法及び超音波硬化法)、化学的方法(即ち、接着剤硬化法)等、当業者に公知の全接合技術を利用して接合することができる。点接合圧延法を用いてスパンボンド層にメルトブローン層を接合することが好ましい。本発明は、濾材を含む濾過材にも関連する。濾過材は、本発明の濾材とは異なる別の特性を有する別の濾材を追加的に含みうる。
【0036】
本発明の濾材の特に有利な応用分野は、ガスタービンである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の特に好適な実施の形態を以下説明する。
【0038】
[1]複合繊維を有する不織布層と、平均径<1.8μmのポリエステル繊維を含むメルトブローン(メルトブロー、溶融紡糸又は吹込成形)層とを有し、接触圧力0.1バール(10kPa)で不織布層の厚さは、0.4mm未満であり、メルトブローン層のポリエステル繊維の少なくとも25%が直径d<lμmである濾材。
【0039】
[2]不織布層は、スパンボンド層である[1]に記載の濾材。
【0040】
[3]複合繊維は、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む[1]及び/又は[2]に記載の濾材。
【0041】
[4]複合繊維は、ポリエステル繊維を含む[1]~[3]の何れか1つに記載の濾材。
【0042】
[5]複合繊維は、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエチレンテレフタレートを含む[1]~[4]の何れか1つに記載の濾材。
【0043】
[6]不織布層は、芯鞘であるポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエチレンテレフタレート複合繊維を含み又はこれから構成される[1]~[4]の何れか1つに記載の濾材。
【0044】
[7]接触圧力0.1バール(10kPa)では、不織布層の厚さは、0.25mm~0.38mm、好適には0.30mm~0.35mmである[1]~[6]の何れか1つに記載の濾材。
【0045】
[8]メルトブローン層は、平均径(dl)が0.60μm≦d≦1.75μmのポリエステル繊維を含む[1]~[7]の何れか1つに記載の濾材。
【0046】
[9]メルトブローン層は、ポリエステル単成分繊維を含む[1]~[8]の何れか1つに記載の濾材。
【0047】
[10]メルトブローン層は、ポリブチレンテレフタレートを含む[1]~[9]の何れか1つに記載の濾材。
【0048】
[10]メルトブローン層は、ポリブチレンテレフタレートにより構成される[1]~[10]の何れか1つに記載の濾材。
【0049】
[11]濾材は、スパンボンド不織布層又はメルトブローン層を有する保護層を含む[1]~[10]の何れか1つに記載の濾材。
【0050】
[12]保護層は、単成分繊維を含む[10]に記載の濾材。
【0051】
[13]保護層は、ポリエステル繊維を含む[11]~[12]の何れか1つに記載の濾材。
【0052】
[14]保護層は、ポリブチレンテレフタレート繊維又はポリエチレンテレフタレート繊維を含む[11]~[13]の何れか1つに記載の濾材。
【0053】
[15][1]~[14]の何れか1つに記載の濾材を含むガスタービン濾材。
【0054】
[16][1]~[15]の何れか1つに記載の濾材を含む濾過材。
【0055】
[17][1]~[15]の何れか1つに記載の濾材とは異なる濾材を更に含む[16]に記載の濾過材。
【0056】
試験法
単位面積当たりの質量:ドイツ工業規格、欧州統一規格、国際標準化機構536に準拠
【0057】
厚さ:ドイツ工業規格、欧州統一規格、国際標準化機構534に準拠する接触圧力0.1バール(10kPa)
【0058】
通気度:ドイツ工業規格、欧州統一規格、国際標準化機構9237に準拠する圧力差200Pa
【0059】
捕集効率:本明細書での捕集効率値は、ドイツ工業規格、欧州統一規格779:2012に準拠する0.4μm粒子での最小捕集効率を百分率で表し、平面試料計測に基づく。
【0060】
圧力損失と粉塵保持容量:圧力差-流量曲線による圧力損失とドイツ工業規格DIN71460-1に準拠する粉塵保持容量
【0061】
温度安定性:濾材は、加熱炉内温度140℃又は160℃に15分間暴露した後、温度24℃、湿度50%の空調室に放置した。温度24℃、湿度50%の空調室内に24時間放置した後、本明細書に記載する試験法により再び濾材を計測した。
【0062】
空隙率は、濾材の実際の密度と使用繊維の平均密度とから、次式により、算出した。
【0063】
空隙率=(1-濾材密度[g/cm3]/繊維密度[g/cm3])×100%
【0064】
繊維径
i.計測原理
走査型電子顕微鏡により、所定の倍率で複数の画像を撮影した。得られた画像を自動ソフトウェアで計測した。繊維の交差点を検出し、繊維径の表われない計測点を手動で削除した。通常1本の繊維として繊維束を評価した。
【0065】
ii.機器
付属ソフトウェア:ファイバーメトリック(Fibermetric)V2.1と共に、走査電子顕微鏡:フェノム・ファイ(Phenom Fei)を使用した。
【0066】
iii.試験の実施
試料の抽出: 膜幅(1.8m)に沿って、5箇所の不織布を抽出した。
【0067】
撮影:
【0068】
a.試料をスパッタリングした。
【0069】
b.無作為に光学像撮影して、変量効果モデル(Random Encounter Model, REM)を用いて、1000倍率で検出箇所を撮影した。
【0070】
c.「ワンクリック(キーの一回操作)」法による繊維径を決定し、各繊維毎に記録した。
【0071】
d.繊維直径分析ソフトウェアにより得られたデータによってエクセルを使用して、平均値と繊維径分布とを評価した。
【0072】
各不織布当たり少なくとも5箇所以上での平均繊維径を検出した。5つの平均値から1平均値を算出した。この平均値を不織布の平均繊維径と称する。
【0073】
少なくとも500本の繊維を評価した。
【0074】
また、直径≦0.95μmの繊維百分率割合も検出した。
【0075】
e.誤差/標準偏差
【0076】
標準偏差も挙げた。
【実施例0077】
点接合圧延法を用いて、厚さ0.12mm、通気度280l/m2秒の19g/m2のポリブチレンテレフタレート・メルトブローン層を、厚さ0.35mmの80g/m2のポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエチレンテレフタレートスパンボンド不織布に接合した。その後、厚さ0.11mm、通気度7500l/m2秒での15g/m2のポリエチレンテレフタレートスパンボンドをメルトブローン層に塗布した。このとき、メルトブローン層の上面に保護層を接着した。
【0078】
得られた本発明の濾過材料の特性は、厚さ0.60mm、通気度160l/m2秒、単位面積当たりの質量114g/m2、空隙率88.3%であった。
【比較例1】
【0079】
点接合圧延法により、厚さ0.12mm、通気度280l/m2秒の19g/m2のポリプロピレン・メルトブローンを、厚さ0.35mmの80g/m2のポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエチレンテレフタレートスパンボンド不織布に接合した。その後、厚さ0.11mm、通気度7500l/m2秒での15g/m2のポリエチレンテレフタレートスパンボンドをメルトブローン層に塗布した。このとき、メルトブローン層の上面に保護層を接着した。
【0080】
得られた濾材は、厚さ0.60mm、通気度160l/m2秒、単位面積当たりの質量114g/m2、空隙率87.6%であった。
【0081】
実施例1の濾材は、非常に良好に襞付加工でき、多くの襞数を形成できた。同時に、濾材は、非常に長期の耐用年数、捕集効率及び優れた脆弱化抵抗を示した。160℃での温度処理後に、濾材は、実質的に大きな物理的変化を示さず、捕集効率の低下も認められなかった。
【0082】
160℃での温度処理後に、濾材の圧力損失は増加せず、欧州統一規格779:2012に基づく捕集効率は35%(F7級)、50%(F8級)、又は70%(F9級)で一定であった。
【0083】
これに対し、比較例1では、140℃での温度処理後に既に圧力損失の増加を示した。粉塵保持容量は、明らかに減少(-75%)した。