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特開2022-18491毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク
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  • 特開-毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018491
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220120BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 M
A41D13/11 H
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121621
(22)【出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】520262766
【氏名又は名称】株式会社五郎八
(74)【代理人】
【識別番号】100080528
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 冨士男
(74)【代理人】
【識別番号】100073601
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 和男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雪子
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】消毒液を毛細管現象を利用することでフィルターに浸潤させ細菌やウイルスに対し持続的に吸気や呼気を無毒化させることができる消毒液持続浸潤マスクを提供する。
【解決手段】毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク1は、マスク本体2と、一対の耳掛け片3と、液タンク4と、液タンク4、マスク本体2内に設けたフィルター5間に液タンク4内の消毒液を送給する送給チューブ6とを有している。使用者Mの呼吸に伴い、吸気に対してフィルター5を介して液送給チューブ6を経て送給される消毒液を持続的に作用させて消毒して清浄化し、使用者Mの呼気は下部位置に外気に臨むように設けられ、排出口に消毒液を浸潤させたフィルター5aで無害化する逆流防止弁31を経てマスク本体2外に排出させるように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔、鼻領域を覆う状態で使用者の顔面に被着される布製のマスク本体と、
前記マスク本体の両端辺に連結され使用者の耳に掛け止められる一対の耳掛け片と、
前記使用者の後頭部外側に配置される消毒液を収容した液タンクと、
前記液タンク、前記マスク本体に設けたフィルター間に連結されて前記液タンク内の消毒液を、毛細管現象を利用して前記フィルターに送給し、前記マスク本体のフィルターを浸潤させる液送給チューブと、
を有する毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクであって、
前記マスク本体は、使用者の呼吸に伴い、吸気に対して前記フィルターを介して液送給チューブ経て送給される消毒液を持続的に作用させて消毒して清浄化し、清浄化吸気を使用者の口腔、鼻孔内に吸引させるようにするとともに、
使用者の呼気は前記後室内の下部位置に外気に臨むように設けられ、排出口に消毒液を浸潤させたフィルターを付加してこのフィルターで無害化する逆流防止弁を経てマスク本体外に排出させるように構成したこと、
を特徴とする毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク。
【請求項2】
口腔、鼻領域を覆う状態で使用者の顔面に被着される布製のマスク本体と、
前記マスク本体の両端辺に連結され使用者の耳に掛け止められる一対の耳掛け片と、
前記使用者の後頭部外側に配置される次亜塩素酸液からなる消毒液を収容した液タンクと、
前記液タンク、前記マスク本体に設けたフィルター間に連結され前記液タンク内の消毒液を、毛細管現象を利用して前記フィルターに送給し、前記マスク本体のフィルターを浸潤させる液送給チューブと、
を有する毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクであって、
前記マスク本体は、仕切り片を用いて使用者の正面外気側の前室と、使用者の口腔、鼻側の後室との二室に区画形成されるとともに、前記仕切り片には前室から前記後室に至る吸気用の吸入筒、及び前記仕切り片の前室側壁面に設けた前記液送給チューブから送給される消毒液が供給される複数のフィルターを有し、
使用者の呼吸に伴い、吸気に対しては前記前室内で前記液送給チューブ経て送給される消毒液を複数のフィルターを介して持続的に作用させて消毒して清浄化し、清浄化吸気を前記吸入筒を経て使用者の口腔、鼻孔内に吸引させるようにするとともに、使用者の呼気は前記後室内の下部位置に外気に臨むように設けられ、排出口に消毒液を浸潤させたフィルターを付加してこのフィルターで無害化する逆流防止弁を経てマスク本体外に排出させるように構成したこと、
を特徴とする毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク。
【請求項3】
前記マスク本体内には、外部から吸引する吸気を渦巻き状に誘導して口腔、鼻孔に導くフィンが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク。
【請求項4】
前記液送給チューブには、消毒液の流量を調節するクランプ式流量調節機構部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク。
【請求項5】
前記液送給チューブには、消毒液の流量を調節する止水弁式流量調節機構部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクに関し、詳しくは、身体に害のある細菌やウイルスをフィルターによる受動的な侵入防止だけではなく、次亜塩素酸のような消毒液による毛細管現象を利用した消毒効果で能動的に無毒化することで、一層効果的な感染防止効果が得られるようにした毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来多用されているフィルター機能付きマスクは、フィルターにより細菌等の対象物を濾し取ることで身体に害のある細菌やウイルスの口腔、鼻内への侵入を防ぐ受動的な構造としたものが一般的である。
【0003】
また、従来の毛細管現象を利用したマスクとしては、特許文献1に薬気発散マスクが提案されている。
【0004】
この薬気発散マスクは、マスクに水分器をつけ水分を毛細管現象で移動させ、マスク自体にカイロ等を付けて水分を継続的に蒸発させる構成としている。
しかし、特許文献1の薬気発散マスクの場合、水分を継続的に蒸発させつつ口腔内に導く構成であり、身体に害のある細菌やウイルスの能動的な侵入防止を図るような構成を備えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-230130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における上記事情に鑑み開発されたものであり、次亜塩素酸のような消毒液を用い、毛細管現象を利用し、細菌やウイルスに対する消毒効果で能動的、かつ、持続的に吸気や呼気を無毒化することで、一層効果的な感染防止効果が得られるようにした毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクは、口腔、鼻領域を覆う状態で使用者の顔面に被着される布製のマスク本体と、前記マスク本体の両端辺に連結され使用者の耳に掛け止められる一対の耳掛け片と、前記使用者の後頭部外側に配置される消毒液を収容した液タンクと、前記液タンク、前記マスク本体に設けたフィルター間に連結され前記液タンク内の消毒液を、毛細管現象を利用して前記フィルターに送給し、前記マスク本体のフィルターを浸潤させる液送給チューブとを有する毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクであって、前記マスク本体は、使用者の呼吸に伴い、吸気に対して前記フィルターを介して液送給チューブ経て送給される消毒液を持続的に作用させて消毒して清浄化し、清浄化吸気を使用者の口腔、鼻孔内に吸引させるようにするとともに、使用者の呼気は後室内の下部位置に外気に臨むように設けられ、排出口に消毒液を浸潤させたフィルターを付加してこのフィルターで無害化する逆流防止弁を経てマスク本体外に排出させるように構成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1、2記載の発明によれば、次亜塩素酸のような消毒液を用い、毛細管現象を利用し、細菌やウイルスに対する消毒効果で能動的、かつ、持続的に吸気や呼気を無毒化することで、一層効果的な感染防止効果が得られるようにした毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクを実現し提供することができる。
【0009】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明において、マスク本体内に外部から吸引する吸気を渦巻き状に誘導して口腔、鼻孔に導くフィンが設けられていることにより、請求項1又は2記載の発明と同様な効果を奏するとともに、吸気を渦巻き状に回転する態様として次亜塩素酸と吸気とを撹拌し消毒効果を高めつつ口腔、鼻孔に導くことができる毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクを実現し提供することができる。
【0010】
請求項4記載の発明によれば、前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記液送給チューブには、消毒液の流量を調節するクランプ式流量調節機構部が設けられているので、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の効果を奏するとともに、クランプ式の構成の基に、個々のフィルターの次亜塩素酸の浸潤量を調節したり、使用しないときには次亜塩素酸の消耗を防止したり、更に、外気の状態により次亜塩素酸の濃度をコントロールしたりすることができる毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクを実現し提供することができる。
【0011】
請求項5記載の発明によれば、前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記液送給チューブには、消毒液の流量を調節するクランプ式流量調節機構部が設けられているので、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の効果を奏するとともに、止水弁式の構成の基に、個々のフィルターの次亜塩素酸の浸潤量を調節したり、使用しないときには次亜塩素酸の消耗を防止したり、更に、外気の状態により次亜塩素酸の濃度をコントロールしたりすることができる毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクを実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の実施例に係る毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクの全体構成を示す概略側面図である。
図2図2は本実施例に係る毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクにおけるフィルター、仕切り片の概略拡大断面図である。
図3図3は本実施例に係る毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクにおける使用者が被着した状態での仕切り片の前室側から見た態様を示す概略正面図である。
図4図4は本実施例に係る毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクにおける液タンク、液送給チューブを示す概略拡大側面図である。
図5図5は本実施例に係る毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクにおける液送給チューブに設けたクランプ式流量調節機構部を示す概略斜視図である。
図6図6は本実施例に係る毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクにおける液送給チューブに設けた止水弁式流量調節機構部を示す概略拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、次亜塩素酸のような消毒液を用い、毛細管現象を利用し、細菌やウイルスに対する消毒効果で能動的、かつ、持続的に吸気や呼気を無毒化することで、一層効果的な感染防止効果が得られるようにした毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクを実現し提供するという目的を、口腔、鼻領域を覆う状態で使用者の顔面に被着される布製のマスク本体と、前記マスク本体の両端辺に連結され使用者の耳に掛け止められる一対の耳掛け片と、前記使用者の後頭部外側に配置される次亜塩素酸液からなる消毒液を収容した液タンクと、前記液タンク、前記マスク本体に設けたフィルター間に連結され前記液タンク内の消毒液を、毛細管現象を利用して前記フィルターに送給し、前記マスク本体のフィルターを浸潤させる液送給チューブとを有する毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクであって、前記マスク本体は、仕切り片を用いて使用者の正面外気側の前室と、使用者の口腔、鼻側の後室との二室に区画形成されるとともに、前記仕切り片には前室から前記後室に至る吸気用の吸入筒、及び、前記仕切り片の前室側壁面に設けた前記液送給チューブから送給される消毒液が供給される複数のフィルターを有し、使用者の呼吸に伴って、吸気に対しては前記前室内で前記液送給チューブ経て送給される消毒液を複数のフィルターを介して持続的に作用させて消毒して清浄化し、清浄化吸気を前記吸入筒を経て使用者の口腔、鼻孔内に吸引させるようにするとともに、使用者の呼気は前記後室内の下部位置に外気に臨むように設けられ、排出口に消毒液を浸潤させたフィルターを付加してこのフィルターで無害化する逆流防止弁を経てマスク本体外に排出させるように構成したことにより実現した。
【実施例0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスクについて説明する。
【0015】
本実施例に係る毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク1は、図1に示すように、使用者Mの口腔、鼻領域を覆う状態で使用者の顔面に被着される例えば布製のマスク本体2と、前記マスク本体2の左右両端辺に連結されて使用者Mの耳に掛け止められる一対の耳掛け片3と、前記使用者Mの後頭部外側に配置される例えば次亜塩素酸液(組成式:HClO)からなる消毒液51を収容した液タンク4と、前記液タンク4、前記マスク本体2内に設けた例えば4個のフィルター5間に前記一対の耳掛け片3に沿う形状で連結されて、前記液タンク4内の消毒液51を毛細管現象を利用して前記各フィルター5に各々送給し、前記マスク本体2内のフィルター5を浸潤させる所要個数の液送給チューブ(本実施例では4個)6とを有している。
【0016】
前記マスク本体2は、仕切り片11を用いて使用者Mの正面外気側の前室21と、使用者Mの口腔、鼻側の後室22との二室に区画形成されている。
すなわち、前室21は、仕切り片11より前方に配置する正面外被材23と、正面外被材23から使用者Mの顔面に至る範囲に配置する筒状の側被材24の内側途中位置に配置する仕切り片11によって使用者Mの正面外気側に区画形成されている。
【0017】
また、後室22は、仕切り片11によって側被材24の内側で使用者Mの口腔、鼻側の領域に区画形成されている。
【0018】
前記後室22内の下部位置には、図1に示すように、排出端側が外気に臨むように設けられ、排出端に消毒液51を浸潤させた前記フィルター5と同様な構成のフィルター5aを付加してこのフィルター5aで使用者Mの呼気を無害化してマスク本体2外に排出させる逆流防止弁31を配置している。
【0019】
図2図3は、前記フィルター5、及び、このフィルター5の仕切り片11に対する配置を示すものであり、このフィルター5は、前記仕切り片11に添着され前記消毒液51により浸潤するフィルター材12と、このフィルター材12の露出部分を覆う汚れ防止用のメッシュカバー材13とを具備している。
【0020】
前記仕切り片11の中央部には後室22に連なる吸入筒8を配置している。
【0021】
また、前記仕切り片11の前室21側の端面には、中央部より外側に位置して使用者Mの吸気を渦巻き状として吸入筒8内に導く弧状のフィン25を設けている。
【0022】
前記フィルター5は、前記仕切り片11の前室21側の端面に中央に配置する吸入筒8の周りに90度間隔配置に四箇所にわたって設けられ、各々前記4個の液送給チューブ6から消毒液が各々送給されて浸潤されるように構成している。
【0023】
図4は、前記液タンク4、液送給チューブ6の拡大構成を示すものであり、前記液タンク4、液送給チューブ6は、例えば外周が褐色を呈するように遮光処理された合成樹脂材やチューブ材により形成されている。
【0024】
また、液送給チューブ6の内部には、その内部から液タンク4内底部に至るように例えば毛細管現象を起こす密度の綿材からなる繊維7が配置され、これにより、使用者Mの姿勢の変化の如何にかかわらず、繊維7により消毒液51を液タンク4より吸い上げ、前記マスク本体2内に設けたフィルター5に毛細管現象を利用して持続的に消毒液51を安定送給することが可能となっている。
【0025】
また、前記液タンク4、液送給チューブ6は、外周の遮光処理により、外光の透過を減弱させ、これにより、紫外線による消毒液51の分解を防ぐように構成している。
【0026】
図5図6は、本実施例における前記液送給チューブ6内を送給される消毒液51の流量節機構部41を示すものであり、このうち、図5はクランプ式流量調節機構部41Aを示し、図6は止水弁式流量調節機構部41Bを示している。
【0027】
すなわち、図5に示すクランプ式流量調節機構部41Aは、端面(断面)コ字状のクランプ材42内に液送給チューブ6の途中領域を挿通させるとともに、クランプ材42側に回転操作により外周部が前記液送給チューブ6の外周部分を圧接可能な例えば楕円形状の流量調節環43を回転可能に配置し、流量調節環43の回転量の調節により液送給チューブ6内を送給される消毒液51の流量を調節可能に構成したものである。
【0028】
また、図6に示す止水弁式流量調節機構部41Bは、前記液送給チューブ6の途中位置に流量調節ダイアル44付の止水弁(ウォーターストップバルブ)45を連結し、流量調節ダイアル44の回転量の調節により液送給チューブ6内を送給される消毒液51の流量を調節可能に構成したものである。
【0029】
このようなクランプ式又は止水弁式の構成の基に、個々のフィルター5における次亜塩素酸のような消毒液51の浸潤量を調節したり、使用しないときには消毒液51の消耗を防止したり、更に、外気の状態により消毒液51の濃度をコントロールしたりすることができる。
【0030】
以上説明した本実施例の毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク1によれば、使用者Mの呼吸に伴い、吸気に対しては前記前室21内で前記液送給チューブ6を経て送給される消毒液51を、各フィルター5を介して持続的に作用させ、消毒して清浄化し、清浄化吸気を前記吸入筒8を経て使用者Mの口腔、鼻孔内に吸引させることができる。
【0031】
また、使用者Mの呼気は前記後室22内の下部位置に外気に臨むように設けられ、排出口に消毒液51を浸潤させたフィルター5aを付加してこのフィルターで無害化する逆流防止弁31を経てマスク本体2外に排出させることができる。
【0032】
次に、本実施例の毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク1について一部重複するが更に付言する。
【0033】
本実施例の毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク1は、細菌やウイルスに対する殺菌効果が高く、使用者Mへの安全性が高い消毒液51(次亜塩素酸)をフィルター5に浸潤させ、フィルター5を通る吸気を持続的に消毒するものである。
【0034】
フィルター5への消毒液51の浸潤は繊維7の毛細管現象を利用し、その物理的作用により、他のエネルギーを使用することなくフィルター5に送給し浸潤させる。
【0035】
本実施例の毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク1は、マスク本体2を顔面に被着するゴム紐等の耳掛け片3に沿う形状で液送給チューブ6が接続されており、液送給チューブ6の片方はマスク本体2のフィルター5に、他方は液タンク4に接続されている。
【0036】
消毒液51を貯蔵する液タンク4は耳掛け片3に沿った液送給チューブ6を通じて使用者Mの後頭部など、身体のほかの場所に設置され、液送給チューブ6を通してマスク本体2のフィルター5に消毒液51が届けられる。前記マスク本体2は、外気を取り込み消毒を行う前室21と、前室21で消毒され吸入筒8を経た吸気を取り込む後室22とで構成される。マスク本体2の仕切り片11にある吸入筒8に吸気を取り込む際にはフィルター5に浸潤した消毒液51が吸気と混合し消毒される。吸気(空気)を吸い込むフィルター5は複数構成で、それらフィルター5の全面に消毒液51が染み込む構造となっている。
【0037】
各フィルター5には、液タンク4に接続された液送給チューブ6が接続され、各々繊維7の毛細管現象により各フィルター5に消毒液51が送給される。
【0038】
また、状況により個々のフィルター5の消毒液51の浸潤量を個別的に又は一括して調節する構成とすることもできる。
【0039】
これにより、使用しないときには消毒液51の消耗を防ぎ、また、外気の状態により消毒液51の濃度をコントロールすることができる。
【0040】
流量調節は個々のフィルター5を個別に調節可能とすることもでき、更に一括で流量調節可能な機構も採用することもできる。
前記液送給チューブ6の内部にも毛細管現象を起こす密度の繊維7(例えば綿材)が通っており、使用者Mの姿勢の変化等にかかわらず、消毒液51を液4タンクより吸い上げることが可能となっている。
【0041】
これにより、全てのフィルター5に消毒液51が浸潤し、フィルター5の位置が液タンク4より高い位置にあっても毛細管現象により消毒液51が上昇し安定供給される。
【0042】
このようなフィルター5を通る空気全体が消毒液51に触れることで殺菌・殺ウイルスが可能となる。また、複数のフィルター5を経て多量の空気を流入させることができ、息苦しさを感じづらい構造とすることができる。
【0043】
前記消毒液51の消毒効果は、細菌やウイルスなどの有機物と消毒液51が接触することで起こるため、外気と消毒液51をより撹枠させることを目的として、マスク本体2の前室21では吸気が渦状の回転運動をしながら移動をする構成とする。
【0044】
この回転運動を起こすために、マスク本体2の前室21の壁に沿って水平方向に外気が取り込まれるようになっている。
【0045】
使用者Mの吸気により前室21内へ外気が吸入される際には、仕切り片11に対して水平方向に付けられた吸入筒8の角度により、仕切り片11に沿って水平方向に空気が流入・流動し、マスク本体2内で渦状に回転運動をしながら後室22へと繋がる吸入筒8に移動して行く。
【0046】
また、このような渦状の回転を一層推進させるために、仕切り片11に気流をコントロールする例えば弧状のフィン25を設けることができる。
このマスク本体2内の渦状の回転により、外気と次亜塩素酸は、一層撹祥され、細菌やウイルスなどの有機物と消毒液51が接する機会を増やし、消毒効果を向上させる。
【0047】
次に、次亜塩素酸等の消毒液51は、光に対して不安定なので、分解を防ぐ目的から液タンク4及び液送給チューブ6は遮光処理した構成となっている。
【0048】
また、液タンク4内の消毒液51の残量が分かるよう内部が見える窓を持つ構成とすることができる。
【0049】
この窓も遮光処理を施す。また液タンク4は使用しながら残量確認や消毒液51の補充ができるよう、液送給チューブ6が接続されたまま設置場所から外し、取り扱えるようなチューブの長さを持つ構成とすることもできる。
【0050】
上述したように、本実施例の毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク1は、殺菌・殺ウイルス効果が高く、使用者Mに対しては非常に安全性が高い次亜塩素酸等の消毒液51を用いて、呼吸する空気を持続的に消毒することで、感染症発生防止に大いに資するものである。
【0051】
従来のマスクは、フィルターにより対象物を濾し取ることで体に害のある細菌やウイルスの侵入を防ぐ、受動的な構造となっているが、本実施例の毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク1によれば、使用者Mの身体に害のある細菌やウイルスを次亜塩素酸等の消毒液51の消毒効果で能動的、持続的に無毒化することで、一層効果的な感染防止効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、消毒液として、次亜塩素酸の他、次亜塩素酸の塩類、アルコール消毒液等を用いる構成とし、感染症予防対策用マスクとして広範に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 毛細管現象を利用した消毒液持続浸潤マスク
2 マスク本体
3 耳掛け片
4 液タンク
5 フィルター
5a フィルター
6 液送給チューブ
7 繊維
8 吸入筒
11 仕切り片
12 フィルター材
13 メッシュカバー材
21 前室
22 後室
23 正面外被材
24 側被材
25 フィン
31 逆流防止弁
41 流量節機構部
41A クランプ式流量調節機構部
41B 止水弁式流量調節機構部
42 クランプ材
43 流量調節環
44 流量調節ダイアル
45 止水弁
51 消毒液
M 使用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6