(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184939
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】認知を増強する方法及びそれを実施するためのシステム
(51)【国際特許分類】
G09B 5/06 20060101AFI20221206BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20221206BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20221206BHJP
A63F 13/212 20140101ALI20221206BHJP
A63F 13/213 20140101ALI20221206BHJP
A63F 13/428 20140101ALI20221206BHJP
A63F 13/798 20140101ALI20221206BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G09B5/06
G09B9/00 Z
G09B19/00 G
A63F13/212
A63F13/213
A63F13/428
A63F13/798
A61B10/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145252
(22)【出願日】2022-09-13
(62)【分割の表示】P 2020129199の分割
【原出願日】2015-10-21
(31)【優先権主張番号】62/067,878
(32)【優先日】2014-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu-ray
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ガザーリー アダム
(57)【要約】
【課題】認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを対象に提示することを含む方法を提供する。
【解決手段】認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスを評価する段階、ならびに、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスに基づいて具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階を更に含む。或る態様において、対象において認知、身体的健康、または両方を増強するのに有用である。また、認知障害を処置及び診断する方法を提供する。本開示の方法を実施するためのシステム及びコンピュータ可読媒体もまた、提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを対象に提示する段階、
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスを評価する段階、ならびに
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスに基づいて前記具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階
を含む、方法。
【請求項2】
前記具現化認知タスクが、ディスプレイコンポーネントを介して前記対象に提示される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ディスプレイコンポーネントが、テレビジョン、モニター、高品位テレビジョン(HDTV)、投影スクリーン、及びヘッドアップディスプレイ(HUD)からなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記具現化認知タスクがビデオゲームである、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記認知的コンポーネントが、作業記憶、注意力、タスク切換え、目標管理、標的探索、標的識別、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の認知能力を標的にする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する反応時間を示す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する応答精度を示す、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、請求項6から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、請求項6から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の神経活動を検出することによって評価される、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記神経活動が、脳波記録法(EEG)、近赤外分光法(NIRS)、光学的撮像、機能的磁気共鳴撮像(fMRI)、及びその任意の組合せからなる群から選択される神経活動検出法を使用して検出される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記身体的コンポーネントが、前記対象の有酸素エネルギー生成能力、バランス、柔軟性、協調、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の身体能力を標的にする、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の生理学的測定値を検出することによって評価される、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記生理学的測定値が、心拍数、心拍数変動、VO2Max、電気皮膚応答(EDR)、瞳孔応答、及びその任意の組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が、注意欠陥多動性障害(ADHD)、外傷性脳損傷(TBI)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、物質依存障害(SDD)、うつ病、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、及び統合失調症からなる群から選択される認知障害を有する、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が健康な対象である、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記健康な対象が、就学前、小児中期、10代初期、ティーンエイジャー、若年成人、中年成人、及び高齢者からなる群から選択される年齢群からのものである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記対象の認知を増強する、請求項1から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
対象における認知障害を処置する方法であって、
前記対象における前記認知障害を処置するために、
認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを、認知障害を有する対象に提示する段階、
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスを評価する段階、ならびに
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスに基づいて前記具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階
を含む、前記方法。
【請求項26】
前記認知障害が、注意欠陥多動性障害(ADHD)、外傷性脳損傷(TBI)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、物質依存障害(SDD)、うつ病、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、及び統合失調症からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記具現化認知タスクが、ディスプレイコンポーネントを介して対象に提示される、請求項25または請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ディスプレイコンポーネントが、テレビジョン、モニター、高品位テレビジョン(HDTV)、投影スクリーン、及びヘッドアップディスプレイ(HUD)からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記具現化認知タスクがビデオゲームである、請求項25から28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記認知的コンポーネントが、作業記憶、注意力、タスク切換え、目標管理、標的探索、標的識別、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の認知能力を標的にする、請求項25から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、請求項25から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する反応時間を示す、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する応答精度を示す、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、請求項31から33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、請求項31から33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の神経活動を検出することによって評価される、請求25から36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記神経活動が、脳波記録法(EEG)、近赤外分光法(NIRS)、光学的撮像、機能的磁気共鳴撮像(fMRI)、及びその任意の組合せからなる群から選択される神経活動検出法を使用して検出される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記身体的コンポーネントが、前記対象の有酸素エネルギー生成能力、バランス、柔軟性、協調、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の身体能力を標的にする、請求項25から38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、請求項25から39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対象の前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の生理学的測定値を検出することによって評価される、請求項25から43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記生理学的測定値が、心拍数、心拍数変動、VO2Max、電気皮膚応答(EDR)、瞳孔応答、及びその任意の組合せからなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
対象を、認知障害を有するとして診断する方法であって、
認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを対象に提示する段階、
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスを評価する段階、
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスに基づいて前記具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階、
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスを、認知障害についての認知的パフォーマンス閾値と比較する段階、ならびに
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記認知障害についての前記認知的パフォーマンス閾値より小さいときに、前記対象を、認知障害を有するとして診断する段階
を含む、前記方法。
【請求項47】
前記認知障害が、注意欠陥多動性障害(ADHD)、外傷性脳損傷(TBI)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、物質依存障害(SDD)、うつ病、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、及び統合失調症からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記具現化認知タスクが、ディスプレイコンポーネントを介して対象に提示される、請求項46または請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ディスプレイコンポーネントが、テレビジョン、モニター、高品位テレビジョン(HDTV)、投影スクリーン、及びヘッドアップディスプレイ(HUD)からなる群から選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記具現化認知タスクがビデオゲームである、請求項46から49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記認知的コンポーネントが、作業記憶、注意力、タスク切換え、目標管理、標的探索、標的識別、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の認知能力を標的にする、請求項46から50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、請求46から51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する反応時間を示す、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する応答精度を示す、請求項52または請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、請求項52から54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、請求項52から54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の神経活動を検出することによって評価される、請求46から57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記神経活動が、脳波記録法(EEG)、近赤外分光法(NIRS)、光学的撮像、機能的磁気共鳴撮像(fMRI)、及びその任意の組合せからなる群から選択される神経活動検出法を使用して検出される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記身体的コンポーネントが、前記対象の有酸素エネルギー生成能力、バランス、柔軟性、協調、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の身体能力を標的にする、請求項46から59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、請求項46から60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記対象の前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の生理学的測定値を検出することによって評価される、請求項46から64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記生理学的測定値が、心拍数、心拍数変動、VO2Max、電気皮膚応答(EDR)、瞳孔応答、及びその任意の組合せからなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶された、請求項1から66のいずれか1項に記載の方法をコンピュータシステムに実行させるための命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項68】
請求項67に記載の非一時的コンピュータ可読媒体を含む、コンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年10月23日に出願された米国仮出願第62/067,878号の恩典を主張し、その出願は参照によりその全体が本明細書に組込まれる。
【背景技術】
【0002】
導入
認知制御(目標を達成する能力を含む)における欠損は、認知、社会的行動において重大な機能障害をもたらす可能性があり、また、様々な精神病において重要な役割を果たすであろう。これには、ADHD、PTSD、大うつ病性障害(Major Depressive Disorder)、外傷性脳損傷、強迫性障害、物質依存障害、及び多くの他の障害が含まれる。的を絞った認知的訓練及び身体的フィットネス訓練は、注意力を増加させ、不十分な認知制御能力を増強するための、2つの介入ベースのアプローチである。認知的及び身体的訓練アプローチは、近年開発されており、幾つかのグループは2つを一緒に結合しようと試みることの利益を既に検討している。例えば、Goji Play(商標)を参照されたい。しかし、これらの既存のアプローチは、2つのシステムを直接に結び付けない。むしろ、これらのアプローチにおける認知的及び身体的パフォーマンスは、間接的に他方に影響を及ぼすだけである。
【発明の概要】
【0003】
概要
本開示の態様は、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを対象に提示する段階、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスを評価する段階、ならびに、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスに基づいて具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階、を含む方法を含む。
【0004】
或る実施形態によれば、対象は認知障害を有する。関心対象の認知障害は、注意欠陥多動性障害(ADHD:attention deficit hyperactivity disorder)、外傷性脳損傷(TBI:traumatic brain injury)、心的外傷後ストレス障害(PTSD:post-traumatic stress disorder)、強迫性障害(OCD:obsessive compulsive disorder)、物質依存障害(SDD:substance dependence disorder)、うつ病(例えば、大うつ病性障害)、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、及び統合失調症を含むが、それに限定されない。他の態様において、対象は健康な対象である。
【0005】
或る態様において、対象は、就学前、小児中期、10代初期、ティーンエイジャー、若年成人、中年成人、及び高齢者から選択される年齢群からのものである。或る実施形態によれば、方法は、対象(例えば、健康な対象または認知障害を有する対象)において認知を増強する。
【0006】
また、対象において認知障害を処置する方法を提供する。方法は、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを対象に提示する段階、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスを評価する段階、ならびに、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスに基づいて具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階を含み、認知障害を処置する。本開示の方法を使用して処置され得る認知障害は、注意欠陥多動性障害(ADHD)、外傷性脳損傷(TBI)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、物質依存障害(SDD)、うつ病、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、及び統合失調症を含むが、それに限定されない。
【0007】
また、対象を、認知障害を有するとして診断する方法を提供する。方法は、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを対象に提示する段階、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスを評価する段階、ならびに、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスに基づいて具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階を含む。方法は、認知的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスを、認知障害についての認知的パフォーマンス閾値と比較する段階、及び、認知的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスが、認知障害についての認知的パフォーマンス閾値より小さいときに、対象を、認知障害を有するとして診断する段階、を更に含む。或る態様において、方法は、対象を、注意欠陥多動性障害(ADHD)、外傷性脳損傷(TBI)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、物質依存障害(SDD)、うつ病、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、または統合失調症を有するとして診断するためのものである。
【0008】
本開示の方法によれば、具現化認知タスクは、或る態様において、テレビジョン、モニター、高品位テレビジョン(HDTV)、投影スクリーン、及びヘッドアップディスプレイ(HUD)等のディスプレイコンポーネントを介して対象に提示される。或る実施形態によれば、具現化認知タスクはビデオゲームである。
【0009】
或る態様によれば、具現化認知タスクの認知的コンポーネントは、作業記憶、注意力、タスク切換え、目標管理、標的探索、標的識別、及びその任意の組合せから選択される対象の認知能力を標的にしてもよい。或る実施形態によれば、認知的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスは、対象の身体の動きを検出することによって評価される。身体の動きは、具現化認知タスクの認知的コンポーネントに対する反応時間を示してもよい。同じまたは異なる身体の動きは、具現化認知タスクの認知的コンポーネントに対する応答精度を示してもよい。或る態様において、身体の動きは、モーションキャプチャデバイス(例えば、深度カメラを含むモーションキャプチャデバイス)を使用して検出される。
【0010】
或る実施形態によれば、認知的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスは、対象の神経活動を検出することによって評価される。神経活動は、脳波記録法(EEG)、近赤外分光法(NIRS)、光学的撮像、機能的磁気共鳴撮像(fMRI)、及びその任意の組合せを含むが、それに限定されない任意の適したアプローチを使用して検出されてもよい。
【0011】
或る態様において、具現化認知タスクの身体的コンポーネントは、対象の有酸素エネルギー生成能力、バランス、柔軟性、協調、及びその任意の組合せからなる群から選択される対象の身体能力を標的にする。身体的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスは、例えば、対象の身体の動きを検出することによって評価されてもよい。或る実施形態によれば、身体の動きは、モーションキャプチャデバイスを使用して検出され、そのシステムは深度カメラを含んでもよい。代替的にまたは付加的に、身体的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスは、対象の生理学的測定値を検出することによって評価されてもよい。生理学的測定値は、心拍数、心拍数変動、電気皮膚応答(EDR)、瞳孔応答、及びその任意の組合せを含むが、それに限定されない。
【0012】
本開示の方法は、コンピュータ実装式であってよい。したがって、本開示の態様は、本開示の方法を実施するためのコンピュータ可読媒体及びシステムを含む。例えば、非一時的コンピュータ可読媒体が提供され、非一時的コンピュータ可読媒体は、本明細書で述べる方法のうちの任意の方法をコンピュータシステムに実行させるための、その上に記憶された命令を含む。こうした非一時的コンピュータ可読媒体を含むシステムもまた、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態による方法の段階を示すフロー図である。
【
図2】本開示の一実施形態によるシステムの略図である。
【
図3】本開示の一実施形態による対象に対する具現化認知タスクの提示の図である。
【
図4】パネルA及びBは、本開示の一実施形態による、訓練調査からの身体的成果を示すデータを提供する。
【
図5】パネルA及びBは、
図4に述べるものと同じ訓練調査からの認知的成果を示すデータを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを対象に提示する方法を提供する。方法は、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスを評価する段階、ならびに、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスに基づいて具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階を更に含む。或る態様において、方法は、対象において認知、身体的健康、または両方を増強するのに有用である。また、認知障害を処置し診断する方法を提供する。本開示の方法を実施するためのシステム及びコンピュータ可読媒体もまた、提供する。
【0015】
本開示の方法をより詳細に述べる前に、方法が、述べられる実施形態に限定されないこと、したがって、もちろん改変されてもよいことが理解される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のためだけのものであり、制限的であることを意図されないことが同様に理解される。
【0016】
或る範囲の値が設けられる場合、コンテキストが別途明確に示さない限り、その範囲の上限と下限の間にある、下限の単位の1/10までの各値と、指定される範囲内の任意の他に述べられる値または間にある値が、方法によって包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、当該より小さな範囲内に独立に含まれ、また、方法によって包含され、指定される範囲内の任意の具体的に排除される限界の支配下にある。指定される範囲がその限界の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限界のいずれかまたは両方を排除する範囲もまた、方法に含まれる。
【0017】
別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、方法が属する技術分野の専門家によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で述べる方法と同様のまたは等価ないずれの方法も、方法の実施または試験において同様に使用され得るが、代表的で例証的な方法、コンピュータ可読媒体、及びデバイスが、ここで述べられる。
【0018】
本明細書において引用されるいずれの刊行物及び特許も、それぞれの各刊行物及び特許が参照によって組込まれることを特にかつ個々に指示されたかのように参照により本明細書に組込まれ、また、刊行物がそれに関連して引用される素材及び/または方法を開示し述べるために本明細書に組込まれる。いずれの刊行物の引用も、出願日前の開示に対するものであり、提供される刊行物の日付は、別個に確認される必要がある場合がある実際の刊行日付と異なる場合があるため、本願方法がこうした刊行物に先行する資格がないという承認として解釈されるべきでない。
【0019】
本明細書で使用されるようにまた添付特許請求の範囲内で、単数形「a」、「an」、及び「the」は、コンテキストが別途明確に示さない限り、複数の指示対象を含むことが留意される。特許請求項が任意のオプションの要素を排除するために草稿され得ることが更に留意される。したがって、この記載は、特許請求項の要素の記載または「否定形の(negative)」限定の使用に関連して、「のみ(solely)」、「のみ(only)」のようなこうした排他的用語の使用についての先行詞として役立つことが意図される。
【0020】
明確にするために別個の複数の実施形態のコンテキストで述べられる、方法の特定の特徴は、同様に、組合わさって単一実施形態で提供されてもよいことが認識される。逆に、簡潔にするために単一実施形態のコンテキストで述べられる方法の種々の特徴は、同様に、別々に、または任意の適した下位組合せで、提供されてもよい。実施形態の全ての組合せは、本開示によって具体的に含まれ、ちょうど、それぞれのまたは全ての組合せが個々にかつ明示的に開示されたかのように、こうした組合せが、使用可能なプロセス及び/またはデバイスを含む程度に本明細書に開示される。更に、こうした変形を述べる実施形態において挙げられる全ての下位組合せは、同様に、本方法によって具体的に含まれ、ちょうど、それぞれのまたは全てのこうした下位組合せが個々にかつ明示的に本明細書で開示されたかのように本明細書に開示される。
【0021】
本開示を読むと当業者に明らかになるように、本明細書で述べられ示される個々の実施形態のそれぞれは、別個のコンポーネント及び特徴を有し、それらのコンポーネント及び特徴は、本方法の範囲または精神から逸脱することなく、容易に、他の幾つかの実施形態の任意の実施形態の特徴から分離されてもよい、または、それと組合されてもよい。記載される任意の方法は、記載される事象の順序で、または、論理的に可能である任意の他の順序で実施され得る。
【0022】
方法
本開示は、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを対象に提示する段階を含む方法を提供する。方法は、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスを評価する段階、及び、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスに基づいて具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階を更に含む。これらの段階は、
図1において、段階1、2、及び3としてそれぞれ示される。或る態様において、方法は、対象において認知、身体的健康、または両方を増強するのに有用である。同様に、認知障害を処置し診断する方法が提供される。
【0023】
本開示の方法の態様は、具現化認知タスクを対象に提示することを含む。或る態様によれば、対象は、ヒト対象、例えば、女性または男性ヒト対象である。関心対象のヒト対象は、子供及び成人を含む。或る態様において、ヒト対象は、4才から100才まで、例えば、8才から100才まで、9才から最高90才まで、10才から最高80才まで、11才から最高75才、または12才から最高70才までである。或る実施形態によれば、ヒト対象は、子供(新生児から最高18才まで)である。関心対象の子供は、乳児(新生児から最高1才まで)、幼児(1才から最高3才まで)、未就学児(3才から最高4才まで)、小児中期の子供(4才から最高11才まで、例えば、6才から最高8才まで、または、8才から最高11才まで)、10代初期(11才から最高14才まで)、及びティーンエイジャー(14才から最高18才まで)を含む。対象がヒト成人であるとき、対象は、若年成人(18~30才成人、例えば、21~28才成人)、中年成人(31~49才成人)、または高齢者(50才以上の成人(例えば、57~75才成人))であってよい。
【0024】
対象は認知障害を有してもよい、または、対象は健康な対象であってよい。本明細書で使用するとき、「認知障害(cognitive disorder)」は、1つまたは複数の精神的プロセスに影響を及ぼす障害である。これには、記憶(例えば、作業記憶)、注意力、タスク切換え、目標管理、標的探索、標的識別、自己調節、言語理解、及び感情処理等の認知制御の1つまたは複数の態様における機能的障害が含まれる。こうした障害は、性格及び行動の変化を伴う場合がある。「健康な対象(healthy subject)」は、認知障害を持たない対象である。
【0025】
「タスク(task)」は、特定の刺激に対して応答を提供する対象によって達成される目標及び/または目的を意味する。本明細書で使用するとき、「具現化認知タスク」は、その完了が、対象からの認知的応答と身体的応答の両方を必要とするタスクである。或る態様において、認知的タスクに対する身体的応答は、対象の動き、例えば、対象の腕及び/または脚の動きである。
【0026】
或る実施形態によれば、具現化認知タスクは、ビデオゲームの形態で対象に提示される。ビデオゲームの形態で対象に提示される具現化認知タスクは、ディスプレイコンポーネント、例えば、テレビジョン、モニター、高品位テレビジョン(HDTV:high-definition television)、投影スクリーン、及びヘッドアップディスプレイ(HUD:head-up display)、またはビデオゲームの形態で具現化認知タスクを提示するための任意の他の適したディスプレイを介して対象に提示されてもよい。
【0027】
ビデオゲームは、積極関与性があるゲーム要素(例えば、没入型3次元環境、音楽、アートワーク、適応性、フィードバック、報酬/インセンティブ、及び/または同様なもの)を含んでもよい。ビデオゲームコンテキストは、具現化認知タスクに対してより多くの注意資源を関与させることを対象に奨励する場合があり、それが、対象において認知の増強を促進する場合がある。認知的訓練プログラムの一部として提供されると、ビデオゲームコンテキストは、対象に対して、注意を払うかつ/または訓練を完了するためのインセンティブを提供することができる。すなわち、ゲームコンテキストによって生成される関心及び目標定位は、それ自体で積極関与性が少ない訓練タスクによって一般に維持されると思われるよりも長い期間にわたって訓練を継続するインセンティブを提供する。対象のインセンティブ及び関心を増加させることができるゲーム固有の特徴は、ボーナスポイント、ゲーム内の報酬またはペナルティ、例えば、そのグラフィカル表現または可聴表現、難易度レベルまたは費やされた時間によってスケーリングされる報酬またはペナルティ、実生活の報酬等を含んでもよいが、それに限定されない。積極関与性を増強するための更なるゲーム要素は、ビデオゲーミング、ボードゲーム、認知パラダイム、フィットネス/スポーツインストラクション、及び教育プログラムの技術の専門家に知られている。
【0028】
具現化認知タスクは、タスクの認知的コンポーネントが対象の1つまたは複数の認知能力を標的にする(または、認知能力に問い掛ける)ように設計されてもよい。例えば、認知的コンポーネントは、作業記憶、注意力、タスク切換え、目標管理、標的探索、標的識別、及びその任意の組合せから選択される対象の認知能力を標的にしてもよい。
【0029】
先に要約したように、方法は、認知的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスを評価する段階を含む。具現化認知タスクは、対象からの身体的応答を要求する認知的タスクであるため、或る態様において、認知的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスは、タスクに対する対象の身体的応答に基づいて評価される。或る態様において、認知的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスを評価することは、対象の身体の動きを検出することを含む。身体の動きは、タスクに対する対象の反応時間、タスク対する精度、または両方を示してよく、これは、認知的コンポーネント、身体的コンポーネント、または両方に対する対象のパフォーマンスの評価を可能にする。
【0030】
或る実施形態によれば、対象の身体の動きは、対象の身体上に装着されたセンサ(例えば、有線または無線センサ)を使用して検出される。こうしたセンサは、具現化認知タスクを実施している間の対象の動き及び/または位置を検出するため、対象の腕の一方または両方、対象の脚の一方または両方、及び/または対象の身体の任意の他の有用な場所に装着されてもよい。或る態様によれば、センサは、方法を実施するために実行されるシステムと無線通信する「無線(wireless)」センサである。こうした無線センサは、知られており、YEI Corporation(オハイオ州ポーツマス(Portsmouth, Ohio))から入手可能なPrioVRモーショントラッキングボディスーツを含む。
【0031】
或る態様において、モーション/位置キャプチャデバイスが使用されて、具現化認知タスクに応答している間の対象の身体の動きを検出する。モーションキャプチャデバイスの非制限的な例は、RGBビデオカメラ及び/または深度カメラ等のビデオカメラを含む。対象によって行われる動きは、画像のシーケンスで取込まれ、その後、処理される。モーションキャプチャデバイスは、単独でまたは第2のコンポーネント(例えば、ビデオゲームコンソール)と共に、ユーザの動きを検出し、限定はされないが、ユーザの動きに関してジェスチャ認識を実施すること、及び、ユーザが動く方向及び相対的距離をモニターすることを含む機能を実施してもよい。ユーザの動きの画像は、解析のために記憶されてもよい。
【0032】
或る実施形態によれば、モーション/位置キャプチャデバイスは、カメラ内の撮像センサとカメラの視野内の対象物との間の距離を検知可能な深度カメラを含み、対象の深度画像を取得する。深度画像、カラー画像、または両方が取込まれてもよい。カラー画像と深度画像の両方が取込まれる場合、カラー画像及び深度画像は、2つのレンズを有するカメラによって同時に取得されてもよい。この場合、一方のレンズはカラー画像を取得するためのものであり、他方は深度画像を取得するためのものである。カラー画像は、各チャネルが異なるカラーに対応する複数のチャネルを含む画像のデジタル表現である。或る態様において、3つのチャネルが使用され、各チャネルは、赤、緑、及び青のカラーのうちの1つに対応する。しかし、任意の他の適した数のカラー及びカラー選択が、複数のチャネルに割当てられてもよい。各チャネルは、同一の数のピクセルからなり、各ピクセルは、ゼロと最大数との間の輝度値を有する。最大数は、画像の用途に応じて変動する場合がある。各ピクセルの値は、各ピクセルの場所におけるそのカラーチャネルの寄与に対応する。
【0033】
深度画像は、各カラーチャネルと同じ数のピクセルからなる単一チャネルを含んでもよい。深度画像内の各ピクセルの値は、対応するピクセルの各場所におけるカメラレンズとユーザとの間の距離に対応する。飛行時間、立体視、及び三角測量を含む異なるアプローチが、深度画像を生成するために使用されてもよい。カラー画像及び深度画像は、独立に解析され処理されてもよい。
【0034】
具現化認知タスクに応答している間の対象の身体の動きは、或る時間スパンにわたって起こる。対象が任意の所与の身体の動きを行い始めることになるときがわからないため、対象の画像が、順次に撮影され、或る時間スパンにわたる複数の画像が、解析のために記録されてもよい。複数の画像はそれぞれ、先に論じたようにカラー及び深度画像を含んでもよい。以下の段階は、複数の画像のそれぞれにシーケンスで適用される。
【0035】
取得されたカラー及び深度画像を使用して、対象の身体上での関心対象の特徴点を位置特定してもよい。関心対象の特徴点は、例えば、ユーザの左脚、左膝、左臀部、左手、左肘、左肩、頭部、右肩、右肘、右手、右臀部、右膝、右脚、及び/または対象の動きを検出するための任意の他の有用な特徴点に対応する関節及び場所を含んでもよい。
【0036】
関心対象の特徴点の1つ1つについての3次元座標は、カラー及び/または深度画像から計算されてもよい。関心対象の特徴点のそれぞれについての座標場所は、同時に取得されたカラー及び深度画像に対応するフレームについて記憶されてもよい。
【0037】
記録された対象の動きの分類及び/または評価は、その動きを、動きライブラリに記憶された動きデータと比較することによって達成されてもよい。ライブラリ内の各動きは、動きを実施するために要求される期間をカバーする画像のシーケンスからなってもよく、動きを取込むのに十分な最小数の順次画像を有するシーケンスの画像間で均一な時間経過が起こる。身体の動きを検出するためのモーションキャプチャデバイスに関する更なる詳細は、例えば、米国特許第8,113,991号、米国特許出願公開第2010/0199228号、米国特許出願公開第2013/0342527号、及び米国特許出願公開第2014/0244008号に見出され、それらの開示は、全ての目的のためにそれらの全体が本明細書に組込まれる。
【0038】
身体の動きを検出するのに有用なモーション/位置キャプチャデバイスが入手可能であり、MicrosoftのKinectモーションキャプチャデバイス(例えば、Windows v2用のMicrosoft Kinect)、SonyのEyeToy(登録商標)モーションキャプチャデバイス、及び同様なものを含む。
【0039】
或る実施形態によれば、認知的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスは、対象の神経活動を検出することによって評価される。神経活動(例えば、認知制御機能に関連する神経活動または任意の他の関心対象の神経活動)を検出するための適したアプローチは、脳波記録法(EEG:electroencephalography)、近赤外分光法(NIRS:near-infrared spectroscopy)、光学的撮像、機能的磁気共鳴撮像(fMRI:functional magnetic resonance imaging)、及びその任意の組合せを含むが、それらに限定されない。例えば、或る態様において、対象の神経活動は、対象によって装着されるモバイルEEGデバイス(例えば、64チャネルEEGキャップ等のEEGキャップ(または「ヘッドセット(headset)」))を使用して記録されて、リアルタイムに、具現化認知タスクの提示中に、及びそれに対する対象の応答中を含む、所望の期間に、脳のニューロン内のイオン電流の流れから生じる電圧変動の記録を可能にする。例えば、神経活動データは、脳の運動野及び感覚野から収集されて、コア知覚及び行動プロセスがどのように機能しているかが調べられ、この情報を使用して、方法の適応段階が行われる(例えば、タスクの難易度のレベルの適応性に影響を及ぼす適応的アルゴリズムを駆動する)。代替的にまたは付加的に、前頭前皮質及び頭頂皮質内の脳の認知制御野からの神経信号を使用して、注意力、作業記憶、目標管理、及び意思決定等の制御プロセスを評価することができる。同様にこれを使用して方法の適応段階を行う(例えば、適応的アルゴリズムを駆動する)ことができる。
【0040】
先に要約したように、方法は、身体的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスを評価する段階を含む。具現化認知タスクは、身体的コンポーネントが関心対象の1つまたは複数の身体的能力を標的にするように設計されてもよい。或る実施形態によれば、身体的コンポーネントは、対象の有酸素エネルギー生成能力(例えば、心肺機能)、バランス、柔軟性、協調、及びその任意の組合せからなる群から選択される対象の身体能力を標的にする。
【0041】
或る態様において、身体的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスは、対象の身体の動きを検出することによって評価される。任意の好都合なセンサまたはデバイスが使用されて、対象の身体の動きを検出してもよい。任意の好都合なセンサまたはデバイスは、上述した対象によって装着される有線または無線モーションセンサ、上述したモーション/位置キャプチャデバイス、例えば、対象の身体上で関心対象の特徴点の深度画像を取込む深度センサを含むモーション/位置キャプチャデバイス、及び同様なものを含む。対象の身体の動き及び/または位置を検出することは、バランス、柔軟性、協調、及び同様なものに関して対象のパフォーマンスを評価するのに有用である。対象の動き/位置を、動き/位置の基準データと比較して、具現化認知タスクの身体的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスを評価してもよい。
【0042】
同様に、方法の実施形態によって、認知的及び/または身体的コンポーネントの1つまたは複数の態様に対する対象のパフォーマンスを評価するための圧力検知デバイスの使用が包含される。例えば、方法は、例えば、バランス、柔軟性、協調、及び/または同様なものを評価するために、対象のステップの距離及び/またはタイミングを検出する圧力検知マット上に対象が乗っている間に、対象に具現化認知タスクを提示することを含む。同様に例として、具現化認知タスクが、対象物(例えば、ボール)を実際のまたは仮想の標的に投げることを対象に要求する場合、対象の前の壁は、対象物と壁との接触のタイミング及び/または位置を検出する圧力センサを含み、例えば、対象の反応時間、標的識別能力、手-眼の協調等の協調を評価してもよい。或る態様において、対象のバランスは、バランスボード上で具現化認知タスクを実施するように対象に要求することによって評価される。
【0043】
上述した身体的評価アプローチの任意のアプローチに対して代替的にまたは付加的に、具現化認知タスクの身体的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスは、対象の1つまたは複数の生理学的測定値を検出することによって評価されてもよい。対象のパフォーマンスを評価するために検出されてもよい生理学的測定値の非制限的な例は、心拍数、心拍数変動、VO2Max、電気皮膚応答(EDR:electrodermal response)、瞳孔応答、及びその任意の組合せを含む。或る態様において、心拍数及び/または心拍数変動は、具現化認知タスクの提示中及びそれに対する対象の応答中に、対象によって装着されるデバイス等のモバイル心拍数検出デバイスを使用して検出される。或る実施形態によれば、デバイスは、対象の手首に装着され、そのデバイスの例は、Basis,Inc.によるPeakフィットネストラッカ及びPolar Electro,Inc.によるV800スポーツウォッチを含む。
【0044】
有酸素エネルギー生成能力/心肺持久力は、対象のVO2Max(1分当たりの酸素のリットル(L/分)または1分当たりで体重1キログラム当たりの酸素のミリリットル(mL/(kg・分)または同様なもの)として表現されてもよい)を決定することによって評価されてもよい。VO2Maxは、吸気及び呼気の換気量ならびに酸素及び二酸化炭素の濃度を測定することによって決定してよい。作業負荷が増加しても酸素消費が定常状態にあるままであるときに、VO2Maxに達する。VO2Maxは、同様に、Uth-Sorensen-Overgaard-Pedersen推定、クーパーテスト、または同様なものを使用して推定してもよい。
【0045】
身体的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスを評価するための関心対象の電気皮膚応答は、ガルバニック皮膚応答(GSR:galvanic skin response)を含むが、それに限定されない。或る態様において、GSRは、具現化認知タスクの提示中及びそれに対する対象の応答中に、対象によって装着されるデバイス等のモバイルGSR検出デバイスを使用して検出される。或る実施形態によれば、デバイスは、対象の手首に装着され、そのデバイスの例は、Basis,Inc.によるPeakフィットネストラッカを含む。
【0046】
対象の瞳孔応答を検出するための適したアプローチは、具現化認知タスクの提示中及びそれに対する対象の応答中に、対象の瞳孔の一方または両方の画像を取込むことを含む。或る態様において、対象の身体の動きを検出するために使用されるモーションキャプチャデバイスが、同様に使用されて、具現化認知タスクに応答している間にユーザの瞳孔応答を検出する。関心対象の瞳孔応答は、圧縮(縮瞳)及び/または拡張(瞳孔散大)を含む。
【0047】
先に要約したように、方法は、具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階を含む。或る態様において、難易度レベルは、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスに基づいて適応される。認知的及び身体的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスに基づいて難易度レベルを適応させるアルゴリズムが使用されてもよい。使用されてもよい適応的方法/アルゴリズムは、逐次試験によるパラメータ推定(PEST:parameter estimation by sequential testing)、最尤法、及び階段法を含むが、それに限定されない。
【0048】
或る実施形態によれば、具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階は、PESTを使用して達成され、PESTは、試行のセットにわたってステップサイズと方向の両方を変更する(すなわち、レベルを上げる及び下げる)閾値探索のためのアルゴリズムを特徴とする。ステップサイズの変更が使用されて、更に一層微細に(finely)適応的追跡に的を絞り、推定が適切に規定されると追跡を停止する。最終的な推定は、試行配置手順によって決定される最終的な値に過ぎない。PESTアルゴリズムは、刺激軸に沿う最も効率的な位置に試行を配置して、閾値を推定するのに必要な試行の数を最小にしながら、測定精度を増加させるように設計される。
【0049】
或る態様において、具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階は、最尤法を使用して行われる。最尤法において、刺激-応答試行のセットは、オジーブ型関数(ogival function)に合致し、後続の試行配置及び閾値推定は、これらの合致した関数から導き出される。最尤法は、全ての刺激-応答試行後に、基礎となる精神測定関数全体の目下の最良推定を考慮することによって決定される各試行上の刺激配置を特徴とする。適応的追跡の長さが増大するにつれて、推定関数は、過去の試行から生成されるデータ点の集合によって、よりよく規定される。各試行後に、刺激レベルのセット及び各レベルに関連する正しい応答の割合が組合されて、精神測定関数を形成する。個々の点は、オジーブ型関数に合致され、目下の推定閾値レベルが抽出される。新しい精神測定関数が、各試行または試行のセットの後に生成され、後続の試行は、最新の関数上で標的パフォーマンスレベルに配置される。最尤フィッティングアルゴリズムは、通常、このタイプの手順で使用される。
【0050】
或る実施形態によれば、具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階は、適応的階段アルゴリズム/階段法を使用して達成される。階段法は、一般に、適応的追跡内の過去の1つまたは複数の応答を使用して、次の試行配置を選択し、次に、種々の方法で、例えば、適応的追跡の方向逆転(すなわち、転換点)におけるレベルを平均することによって、閾値推定を提供する。アップダウン階段は、対象の応答がポジティブであるとき刺激レベルの減少を、また、対象の応答がネガティブであるとき刺激レベルの増加を要求する。閾値を超えるレベルで始めて、ポジティブ応答は、ネガティブ応答が起こるまで、刺激レベルの継続的な減少をもたらす。これは、追跡の方向の逆転をトリガーし、後続の試行に関するレベルは、応答の次の変化が起こるまで増加する。アップダウン階段プロシージャは、偶然の0%の正しいパフォーマンスから100%の正しいパフォーマンスまで延在する精神測定関数上で50%パフォーマンスレベルを標的にする。すなわち、追跡は、正しい応答の確率が正しくない応答の確率と等しい刺激レベル、または同等に、追跡が、等しい確率で刺激軸上を上または下に移動することになるレベルを標的にする。このタイプのプロシージャの値は、その実行のために必要な非常に少数の仮定にある。より高いパフォーマンスレベルを標的にするため、下方移動についてのシーケンスは、2つ以上のポジティブな応答であってよく、また、上方移動についてのシーケンスは、1つのネガティブな応答にあるままであってよい。この例は、2ダウン、1アッププロシージャであり、精神測定関数上で70.7%レベルを標的にする。ダウンシーケンスの確率がアップシーケンスの確率に等しくなければならないことを想起すると、追跡を下方に移動させるためには、2つの連続する試行に対するポジティブな応答が起こらなければならないことを本発明者等は理解する。pが、所与の試行に対するポジティブな応答の確率である場合、p×pは、0.50に等しくなければならず、したがって、標的確率は0.707である。同様に、3ダウン、1アップ変換は、0.794(p3=0.50;0.50の立方根は0.794である)のパフォーマンス標的をもたらす。
【0051】
具現化認知タスクが、認知訓練プログラムの一部として対象に提示されるとき、こうした適応的アルゴリズムは、訓練経験を増大させ、関心及び能力レベルを各個人について適切に漸増された状態に維持し、また同様に、訓練プログラムを、ADHDを有する若者からあまり運動をしない高齢者に及ぶ任意の標的集団に適応可能にさせ得る。或る態様において、各ドメイン(認知的コンポーネント及び身体的コンポーネント)における要求は、適応が相克することを防止するように「結び付けられている(tethered)」。例えば、或る実施形態によれば、対象の身体的健康の改善は、具現化認知タスクの適応をもたらし、それにより、認知的コンポーネントは、直前に提示された具現化認知タスクと比較してより難しくなる、及び/または、対象の認知能力(例えば、対象の認知制御能力の1つまたは複数の態様)の改善は、具現化認知タスクの適応をもたらし、それにより、身体的コンポーネントは、直前に提示された具現化認知タスクと比較してより難しくなる。
【0052】
或る実施形態によれば、方法は、具現化認知タスクに対する対象のパフォーマンスに基づいて対象にフィードバック(例えば、ポジティブフィードバック(例えば、報酬)及び/またはネガティブフィードバック)を提供することを含む。例えば、具現化認知タスクがビデオゲームの一部として提示される場合、対象が、指定されたレベルでパフォーマンスする(例えば、特定のスコア/点数を超える、「或るレベルを通過する(passing a level)」など)と、ゲーム内の報酬(例えば、ボーナスポイント)またはペナルティ、例えば、そのグラフィカル表現または可聴表現の形態のフィードバックが、対象に提供されてもよい。或る実施形態によれば、フィードバックは、認知的及び身体的コンポーネントの全体にわたる対象のパフォーマンスに「結び付けられる」。例えば、或る態様において、本開示の方法は、認知的及び身体的コンポーネントのそれぞれに対するパフォーマンスの閾値レベルが達成されるときにだけ、対象に報いることを含む。こうした態様によれば、対象がコンポーネントの一方に対してどれほどうまくパフォーマンスするかに関係なく、他方のコンポーネントに対するパフォーマンスが、そのコンポーネントについての閾値レベルより低い場合には、報酬は、対象に提示されないことになる。ポジティブ及び/ネガティブフィードバックは、適応性機構に加えて、ゲームプレイにおける認知的コンポーネントと身体的コンポーネントの両方について複数の時間スケール上で提供されてもよいため、ゲームは、対象の能力のちょうど「スイートスポット(sweet spot)」で対象に課題を与え、退屈するほど容易にならず、またいらいらするほど難しくならない。
【0053】
或る態様において、具現化認知タスクは、認知的訓練プログラムの一部として対象に提示されてもよい。或る実施形態によれば、訓練プログラムは、或る選択された継続時間の2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、95以上、または100以上の具現化認知タスクを提示することを含む。その難易度レベルは、或る態様において、選択済みの難易度レベルにおける先行する具現化認知タスクの提示中の認知的及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスに基づいて適応されてもよい。こうした訓練プログラムは、或る日数(例えば、連続するまたは連続しない日数)にわたって毎日、対象に1つまたは複数の具現化認知タスクを提示することを含んでもよく、それにより、訓練プログラムは、複数の「セッション(session)」を含み、1日の間の具現化認知タスクの1回または複数回の提示が単一セッションを構成する。訓練プログラムは、例えば、所望のレベルの認知の増強が達成されるまで、任意の日数にわたって提示されてもよい。或る態様において、訓練プログラム全体は単一の日に提示される。他の態様において、訓練プログラム全体は、2日から7日、8日から14日、5日から21日、22日から28日、または所望の結果を達成するのに適する任意の他の日数だけ続く。
【0054】
本開示の方法は、最初の提示段階の前に段階を含んでもよい。例えば、方法が、ある対象に初めて実施される場合、方法は、閾値化段階、評価、インストラクション、及び/またはデモンストレーションを包含してもよい。
【0055】
閾値化段階は、1回または複数回の試行で対象に具現化認知タスクを提示することを含む。この閾値化段階は、具現化認知タスクに対する対象の初期パフォーマンスレベルを決定するのを助ける。閾値化の別の目的は、評価を実施するため難易度レベルを決定することである。特定の難易度レベルに対する閾値化は、個人に対して方法を調節(tailor)するときに有用であり得る。その理由は、各対象が、具現化認知タスクの実施について様々なベースライン能力を有し得るからである(例えば、タスクが難易度により適応される場合、高齢者は、低いパフォーマンスレベルでタスクを実施する)。
【0056】
評価を実施する難易度レベルは、所定の精度パーセンテージ(例えば、80%)で、任意選択で、事前選択済みの最大応答時間以内で、対象がタスクを実施するレベルであってよい。初期難易度レベルは、或るカテゴリ(例えば、年齢範囲についての平均)の対象についてのデフォルト難易度レベル、最低難易度レベル、または対象の直前の評価に基づく同等のレベルであってよい。難易度レベルは、その後、特定の精度レベルで対象が実施するまで変化することができる。代替の方法において、単一の訓練セッション実行は、適応的閾値化法(精神測定階段アルゴリズム等)を使用して、個人を特定のパフォーマンスレベルで迅速に閾値化することができる。
【0057】
閾値レベルは、対象に対して個人化されることができる。例えば、或る態様において、最初の閾値レベルは、対象が、具現化認知タスクを、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、または約90%以上の精度で実施することができるレベルである。閾値化段階の後に、方法は、訓練セッションまたは訓練プログラムの前の、その最中の、及び/またはその後の評価を含んでもよい。
【0058】
本開示の方法を実施するとき、任意の閾値化段階及び/または評価は、認知的タスクに対する対象の総合パフォーマンス、認知的コンポーネントだけに対する対象のパフォーマンス、身体的コンポーネントだけに対する対象のパフォーマンス、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネント対する対象の別々のパフォーマンス、またはその任意の組合せに関するものであってよい。
【0059】
或る態様において、訓練前及び/または訓練後の認知評価が実施される。認知評価は、注意力(例えば、注意変数テスト(T.O.V.A:Test of Variables of Attention)及び/または連続パフォーマンスタスクを使用する)、注意容量(例えば、複数対象物追跡(Multiple Object Tracking)を使用する)、作業記憶(例えば、変化検出タスク、フィルタタスク、2バックタスク及び3バックタスク、及び/または遅延式認識作業記憶タスクを使用する)、処理速度(例えば、WAIS-IIIデジットシンボルタスク、偏心性を有するUFOV、及び/または反応時間タスクを使用する)、またはその任意の組合せを評価することを含んでもよい。ACTIVE調査で使用されるものを含む、生活様式、性格、及び/または心的状態質問票は、メディアマルチタスキングの割合等を確立するために使用されてもよい。これらの測定値のそれぞれは、訓練に基づく脳可塑性の変化に関連する基礎になる神経機構をよりよく理解するために、EEGまたはfMRIを使用する神経記録によって補足されてもよい。本開示の方法から得られる認知的成果は、訓練前及び/または訓練後の認知評価の結果を比較することによって評価されてもよい。
【0060】
或る態様において、訓練前及び/または訓練後の身体評価が実施される。身体評価を、任意の認知評価に加えて実施してもよい。身体評価は、身長及び体重、心拍数変動、血圧、皮下脂肪測定による体脂肪、垂直跳び、敏捷性(例えば、ヘキサゴン敏捷性テストを使用する)、及び最大有酸素容量(例えば、VO2Maxによって決定される)、またはその任意の組合せを評価することを含んでもよい。本開示の方法から得られる身体的成果は、訓練前及び/または訓練後の身体評価の結果を比較することによって評価されてもよい。これらの測定値のそれぞれは、訓練に基づく変化に関連する基礎になる身体機構の理解を促進するために、生理的特性を評価する血液または唾液測定値によって補足されてもよい。
【0061】
図3は、本開示の一実施形態による対象に対する具現化認知タスクの提示の図を提供する。この例において、具現化認知タスクは、ビデオゲームの形態で対象に提示される。具現化認知タスクを対象に提示するシステムは、ビデオゲームコンソール302、モーションキャプチャシステム304、及びディスプレイコンポーネント306を含む。対象は、腕及び/または脚の動きを使用して具現化認知タスクに応答し、その動きは、具現化認知タスクの認知的及び/または身体的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスの評価を可能にする。この例において、対象は、タスクに応答しながら神経活動を検出するためのEEGヘッドセット308を装着している。更に、対象の手首には、タスクに応答している間の対象の心拍数及び/またはガルバニック皮膚応答(GSR:galvanic skin response)を検出する装着可能デバイス310が装着される。
【0062】
先に要約したように、或る実施形態によれば、本開示の方法は、対象において認知を増強する。「認知を増強する(enhance cognition)」とは、対象の認知の少なくとも1つの局面が、提示する段階、評価する段階、及び適応する段階(あるいは、例えば、訓練セッションまたは訓練プログラムの一部としての、こうした段階の2回以上の反復)の結果として改善されることを意味する。増強され得る対象の認知の局面は、対象の記憶(例えば、作業記憶)、注意力、タスク切換え能力、目標管理、標的探索能力、標的識別能力、及び/または同様なものを含むが、それに限定されない。
【0063】
或る実施形態によれば、対象の認知の増強は、訓練前評価及び訓練後評価を実施することによって判定される。方法は、同様に、訓練全体を通した(例えば、訓練内のまたはセッション内の)断続的な評価の1つまたは複数を含んでもよい。評価は、具現化認知タスクを提示すること、及び、対象のパフォーマンスを評価することを含んでもよい。評価は、対象を訓練しようとしない点で、訓練セッションと異なってもよい。一実施形態において、訓練セッションと違って、評価における試行ごとの難易度レベルは、対象のパフォーマンスに対して変化または適応しない。むしろ、評価についての難易度レベルは同じレベル(例えば、閾値化段階によって決定された難易度レベル)のままである。別の実施形態において、評価は、例えば、対象の能力を適応的に決定する、精神測定解析の分野において知られている方法(例えば、階段法及び/または最尤法)による難易度レベルの適応を含む。いずれの場合も、評価の主要な目的は、個人のパフォーマンスを訓練するのではなく、個人のパフォーマンスを評価することである。
【0064】
上述した評価は、訓練セッションまたは訓練プログラムの前に及び/またはその後に行われ得る。訓練後評価に関わる段階は、訓練前評価においては、データを使用して訓練の前に対象の能力及び/またはパフォーマンスを決定することを除いて、上述した訓練前評価の段階と同じである。しかし、訓練後セッションにおいて、解析されるデータは、評価において収集されるデータだけでなく、訓練プログラム中のデータも含んでよい。また、訓練後評価は、次の訓練セッションの進行を指示するコントロールとして、対象に対するフィードバックならびに訓練プログラムに対するフィードバックとして使用されてもよい。
【0065】
解析は、同様に、訓練後の対象のパフォーマンス及び能力を反映する。換言すれば、訓練後評価は、対象の訓練後のパフォーマンスを訓練前のパフォーマンスと比較し、対象の認知能力、対象の身体能力、または両方に対する訓練の影響を評価することができる。対象の1つまたは複数の認知能力が訓練後に改善される(訓練後認知能力評価中の認知能力を訓練前認知能力評価中の認知能力と比較することによって明らかになる)とき、対象の認知は、方法によって増強されている。同様に、対象の1つまたは複数の身体能力が訓練後に改善される(訓練後身体能力評価中の1つまたは複数の身体能力を訓練前身体能力評価中の身体能力と比較することによって明らかになる)とき、対象の身体能力は、方法によって増強されている。評価され得る認知能力は、作業記憶、注意力、タスク切換え、目標管理、標的探索、標的識別、及び/または同様なものを含むが、それに限定されない。評価され得る身体能力は、VO2Max、バランス、動きの制御、協調、柔軟性、心臓血管健全度、ストレスレベル(例えば、コルチゾールレベル及び/または皮膚伝導率によって測定される)、睡眠測定、実世界パフォーマンス、生産性、及び/またはウエルネスを含むが、それに限定されない。
【0066】
治療方法
先に要約したように、本開示によって、対象において認知障害を処置する方法が提供される。処置方法は、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを、認知障害を有する対象に提示する段階、及び、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスを評価する段階を含む。方法は、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスに基づいて具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階であって、それにより、対象における認知障害を処置する、適応させる段階を更に含む。提示する段階、評価する段階、及び適応させる段階は、先に述べたアプローチの任意のアプローチを使用して実施されてもよい。
【0067】
対象において認知を増強する目標に関して、訓練セッションまたはプログラムの有効性を実験的に決定することが望ましい可能性がある。実験的テストに適した方法は、ヒトによる予備研究及び臨床試験を含む、認知的、行動的、または薬理的介入の有効性をテストするために知られている調査のタイプを含む。本開示の方法にとって適する1つの有効性テスト方法は、訓練前評価及び訓練後評価の実施であり、その実施は、対象の1つまたは複数の認知能力(例えば、1つまたは複数の認知制御能力)において測定可能な変化を訓練がもたらしたかどうかについての判定を可能にする。
【0068】
或る実施形態によれば、訓練前評価及び訓練後評価は、健康な個人と、臨床患者集団を含む、認知欠損を経験したまたは認知欠損を経験する危険にさらされている個人の両方に関する一般的認知機能から構成される。こうした適したテストは、知覚能力、反応機能及び他の運動機能、視力、長期記憶、作業記憶、短期記憶、論理、意思決定、及び同様なものについてのテストを含む、認知的または行動的調査における様々な認知のうちの任意の特定の機能を試験するテストを含む。こうした測定の特定の例は、TOVA、MOT(motion-object tracking、モーション対象物追跡)、SART、CDT(Change detection task、変化検出タスク)、UFOV(useful Field of view、有効視野)、フィルタタスク、WAISデジットシンボル、トゥループ、Simonタスク、Attentional Blink、Nバックタスク、PRPタスク、タスク切換えテスト、Flankerタスク、及びその任意の組合せを含むが、それに限定されない。
【0069】
代替的にまたは付加的に、訓練前評価及び訓練後評価は、日常生活の実際的な機能的活動に関する改善を測定するテストを含む。例としては、そのような成果を測定するために特に構成され実証されたテストを含み得る。そのような成果は、例えば、高齢者の臨床試験に使用される日常生活動作(Activities of Daily Living)、または、指示されたタスクを実行する能力、読むこともしくは会話の理解、職場環境での能率といった、同様の簡単な測定である。
【0070】
代替的にまたは付加的に、訓練前評価及び訓練後評価は、特定の疾病または状態に関連する症状または機能に関する改善を測定するテストを含む。適したタイプのテストは、疾病または状態の症状重症度またはバイオマーカを客観的に測定するテスト、症状重症度の主観的な臨床または観察者測定を使用するテスト、及び、疾病状態に相関付けられることが知られている認知機能を測定するテストを含む。こうしたテストの例は、簡易精神状態検査(Mini Mental State Exam)、CANTAB認知検査、神経心理状態の評価用の反復性検査(Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status)、特有な状態に関連する臨床的全般印象度尺度(Clinical Global Impression scales relevant to specific conditions)、臨床医の門診に基づく変化印象(Clinician‘s interview-Based Impression of Change)、認知の重度障害検査(Severe Impairment Battery)、アルツハイマー病評価スケール(Alzheimer’s Disease Assessment Scale)、ポジティブ及びネガティブ症候群スケール(Positive and Negative Syndrome Scale)、統合失調症認知評価スケール(Schizophrenia Cognition Rating Scale)、コナーズ成人ADHD評価スケール(Conners Adult ADHD Rating Scales)、うつ病用のハミルトン評価スケール(Hamilton Rating Scale for Depression)、ハミルトン不安スケール(Hamilton Anxiety Scale)、モントゴメリ-アスベルグうつ病評価スケール(Montgomery-Asberg Depressing Rating scale)、ヤング躁病評価スケール(Young Mania Rating Scale)、子供のうつ病評価スケール(Children‘s Depression Rating Scale)、ペン状態心配質問票(Penn State Worry Questionnaire)、病院不安及びうつ病スケール(Hospital Anxiety and Depression Scale)、異常行動チェックリスト(Aberrant Behavior Checklist)、及び日常生活活動スケール(Activities of Daily Living scales)等の評価スケールまたは調査;アミロイドベータ、コルチゾール、及び他のストレス応答マーカの検出等の、疾病または健康の内部マーカを測定する生理的テスト;及び、特定の神経シグネチャの存在に基づいて状態を評価する脳撮像調査(例えば、fMRI、PET等)を含むが、それに限定されない。
【0071】
代替的にまたは付加的に、訓練前評価及び訓練後評価は、対象の自分自身の自己報告式知覚を測定する調査または質問票タイプテストを含む。これらは、健康機能または感覚あるいは疾病機能または症状の自己報告スケールを含み得る。適した自己報告テストの例は、ADHD自己報告スケール、正ポジティブ及びネガティブアフェクトスケジュール、うつ病不安ストレススケール、簡易抑うつ病状尺度(Quick Inventory of Depressive Symptomatology)、PTSDチェックリスト、及び、或る状態の症状の全体的な感覚、または実世界機能状態または改善に対する満足度に関して対象が報告するために行われ得る任意の他のタイプの調査を含むが、それに限定されない。
【0072】
診断方法
本開示は診断方法を提供する。方法は、状態(例えば、認知障害)を有するとして対象を診断するために使用されてもよく、対象において状態の徴候を診断し、対象の状態の変化を診断し、状態をもはや有していないとして対象を診断し、または、その任意の組合せを行う。
【0073】
先に要約したように、本開示は、認知障害を有するとして対象を診断する方法を提供する。診断方法は、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを、認知障害を有する対象に提示する段階、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスを評価する段階、及び、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスに基づいて具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階を含む。提示する段階、評価する段階、及び適応させる段階は、先に述べたアプローチの任意のアプローチを使用して実施されてもよい。
【0074】
診断方法は、認知的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスを、認知障害についての認知的パフォーマンス閾値と比較する段階、及び、認知的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスが、認知障害についての前記認知的パフォーマンス閾値より小さいときに、認知障害を有するとして対象を診断する段階を更に含む。或る態様において、認知的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスは、適応的閾値化法(精神測定階段アルゴリズム等)を使用して単一訓練セッションまたは複数訓練セッション中に決定されて、個人を特定のパフォーマンスレベルで閾値化してもよい。そのパフォーマンスレベルは、その後、認知障害についての認知パフォーマンス閾値レベルと比較されて、個人が認知障害を有するかどうかを判定してもよい。
【0075】
診断方法の態様は、限定はしないが、注意欠陥多動性障害(ADHD)、外傷性脳損傷(TBI)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、物質依存障害(SDD)、うつ病、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、及び統合失調症から選択される認知障害を有するとして対象を診断することを含む。
【0076】
コンピュータ可読媒体及びデバイス/システム
本開示の態様は、コンピュータ可読媒体及びデバイス/システムを更に含む。或る態様において、本明細書の他の所で述べる方法の任意の実施形態を含む本開示の方法をコンピュータデバイス/システムが実行するようにさせるためにそこに記憶した命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。例えば、コンピュータ可読媒体は、コンピュータデバイス/システムが、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを対象に提示し、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスを評価し、認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントのそれぞれに対する対象のパフォーマンスに基づいて具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる、ようにさせる命令を含んでもよい。
【0077】
本開示の非一時的物理的コンピュータ可読媒体は、ディスク(例えば、磁気または光ディスク)、固体ストレージデバイス、カード、テープ、ドラム、穿孔式カード、バーコード、及び磁気インク文字、ならびに、表現、命令、及び/または同様なものを記憶するために使用されてもよい他の物理的媒体を含むが、それに限定されない。
【0078】
或る態様において、非一時的物理的コンピュータ可読媒体は、具現化認知タスクのパフォーマンス中に対象の動きをモニターすることが可能なKinectモーションキャプチャデバイスに動作可能に接続された、MicrosoftのXbox Oneビデオゲームコンソール等のビデオゲームコンソールと共に使用するのに適する。或る実施形態によれば、本発明の方法をコンピュータデバイス/システムが実行するようにさせるための命令は、リモートサーバからコンピュータデバイス/システム(例えば、ビデオゲームコンソール)にダウンロードされ、それにより、非一時的物理的コンピュータ可読媒体はコンピュータデバイス/システムの一部になる。例えば、非一時的物理的コンピュータ可読媒体はコンピュータデバイス/システムのハードドライブである。或る態様において、本開示の方法を実施するための命令はリモートサーバ上に存在する。
【0079】
同様に、本開示の方法を実施するコンピュータデバイス/システムが提供される。或る態様において、コンピュータデバイス/システムは、上述した任意の実施形態による非一時的コンピュータ可読媒体を含む。或る実施形態によれば、コンピュータデバイスは、本開示の方法を実施するための命令を含むのではなく、認知訓練プログラムを提示するためのポータルとして役立ち、そのプログラム用の命令がリモートサーバ上に記憶される。
【0080】
図2は、本開示の或る態様による方法を実施するのに有用なシステム(図示するように、システム200)の一実施形態を概略的に示す。コンピューティングサブシステム202が、示され、ビデオゲームコンソール、メインフレームコンピュータ、サーバコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ホームエンターテインメントコンピュータ、ネットワークコンピューティングデバイス、モバイルコンピューティングデバイス、モバイル通信デバイス(例えば、スマートフォン)等の形態をとってもよい。コンピューティングサブシステム202は、論理サブシステム204及びストレージサブシステム206を含む。システムは、同様に、ディスプレイコンポーネント208、入力デバイス(例えば、モーションキャプチャデバイス210)、通信サブシステム212、及び任意の他の有用なコンポーネントを含む。
【0081】
論理サブシステム204は、ソフトウェア命令を実行するように構成される1つまたは複数のプロセッサを含んでもよい。付加的にまたは代替的に、論理サブシステムは、ハードウェアまたはファームウェア命令を実行するように構成される1つまたは複数のハードウェアまたはファームウェア論理マシンを含んでもよい。論理サブシステムのプロセッサは、シングルコアまたはマルチコアであってよく、その上で実行されるプログラムは、順次処理、並列処理、または分散処理のために構成されてもよい。論理サブシステムは、遠隔に位置する及び/または協調処理のために構成され得る2つ以上のデバイスの間で分配される個々のコンポーネントを含んでもよい。論理サブシステムの態様は、クラウドコンピューティング構成で構成される遠隔アクセス可能なネットワーク化コンピューティングデバイスによって仮想化され実行されてもよい。
【0082】
ストレージサブシステム206は、本開示の方法を実行するため、データ及び/または論理サブシステムによって実行可能な命令を保持するように構成される1つまたは複数の物理的非一時的デバイスを含む。こうした方法及びプロセスが実行されると、ストレージサブシステム206の状態は、例えば、異なるデータを保持するように変換されてもよい。
【0083】
ストレージサブシステム206は、取外し可能媒体及び/または内蔵デバイスを含んでもよい。ストレージサブシステム206は、とりわけ、光メモリデバイス(例えば、CD、DVD、HD-DVD、Blu-Rayディスク等)、半導体メモリデバイス(例えば、RAM、EPROM、EEPROM等)、及び/または磁気メモリデバイス(例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、MRAM等)を含んでもよい。ストレージサブシステム206は、揮発性デバイス、不揮発性デバイス、ダイナミックデバイス、スタティックデバイス、読出し/書込みデバイス、読出し専用デバイス、ランダムアクセスデバイス、シーケンシャルアクセスデバイス、ロケーションアドレス指定可能デバイス、ファイルアドレス指定可能デバイス、及び/またはコンテンツアドレス可能デバイスを含んでもよい。
【0084】
ストレージサブシステム206は、1つまたは複数の物理的非一時的デバイスを含んでもよい。しかし、幾つかの実施形態において、本明細書で述べる命令の局面は、純粋な信号、例えば、電磁または光信号によって一時的方式で伝搬されてもよい。これは、有限期間の間、物理的デバイスによって保持されない。更に、本開示に関連するデータ及び/または他の形態の情報は、純粋な信号によって伝搬されてもよい。
【0085】
或る実施形態によれば、論理サブシステム及びストレージサブシステムの態様は、共に統合されて、1つまたは複数のハードウェア論理コンポーネントになってもよい。こうしたハードウェア論理コンポーネントは、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定プログラム向け及び特定用途向け集積回路(PASIC/ASIC)、特定プログラム向け及び特定用途向け標準製品(PSSP/ASSP)、システムオンチップ(SOC)システム、及びコンプレックスプログラマブル論理デバイス(CPLD)を含んでもよい。
【0086】
ディスプレイコンポーネント208を使用して、ストレージサブシステム206によって保持される命令内に存在する具現化認知タスクを提示してもよい。具現化認知タスクは、ビデオゲーム、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)、及び同様なものの形態をとってもよい。方法が、ストレージサブシステムによって保持されるデータを変更し、したがって、ストレージサブシステムの状態を変換すると、ディスプレイコンポーネントの状態が、同様に変換されて、基礎になるデータの変化を視覚的に示してもよい。ディスプレイコンポーネントは、事実上あらゆるタイプの技術を利用する1つ又は複数のデバイスを含んでもよい。こうしたディスプレイデバイスは、共有エンクロージャ内で論理サブシステム及び/またはストレージサブシステムと組合されてもよい。または、こうしたディスプレイデバイスは、
図2に示すディスプレイコンポーネント等の周辺ディスプレイデバイスであってよい。
【0087】
通信サブシステム212は、コンピューティングサブシステムを1つまたは複数の他のコンピューティングデバイスと通信可能に結合するように構成されてもよい。通信サブシステム212は、1つまたは複数の異なる通信プロトコルと適合性がある有線及び/または無線通信デバイスを含んでもよい。非制限的な例として、通信サブシステムは、無線電話ネットワークあるいは有線または無線のローカルまたはワイドエリアネットワークを介した通信のために構成されてもよい。幾つかの実施形態において、通信サブシステムは、コンピューティングサブシステムが、インターネット等のネットワークを介して他のデバイスに及び/または他のデバイスから、データ、メッセージ、及び/または同様なものを、送信及び/または受信することを可能にしてもよい。
【0088】
有用性
本開示の方法は、種々のコンテキストにおいて有用であり、或る事例において、対象の認知の1つまたは複数の局面(例えば、認知制御の1つまたは複数の局面)及び/または身体能力を増強する。選択された目標を達成する我々の能力を支配する認知制御の欠損は、認知、社会的行動において重大な機能障害をもたらす可能性があり、また、ADHD、PTSD、大うつ病性障害、外傷性脳損傷、強迫性障害、及び物質依存障害を含む様々な精神病において重要な役割を果たし得る。したがって、認知を増強することに加えて、本開示の方法は、認知障害を有する対象を処置し診断するのに有用である。
【0089】
本開示の方法の具現化認知タスクは、対象からの認知的応答と身体的応答の両方を要求する単一タスクである。認知的及び身体的訓練アプローチは、近年開発されており、幾つかのグループは認知的タスク及び身体的タスクを一緒に結合することの利益を検討している。しかし、既存のアプローチにおける認知的及び身体的挑戦は統合されていない。例えば、Goji Play(商標)を参照されたい。ここでは、人は、身体的運動(例えば、運動用バイクに乗ること等)に従事しながら、ビデオゲームをするが、ゲームと運動は、独立している/非統合的である。理論に束縛されるものではないが、認知的及び身体的挑戦を結合する具現化認知タスクを含む本開示の方法の態様は、認知的及び身体的挑戦が独立している/非統合的であるアプローチに比べて大幅な程度に認知を増強すると思われる。更に、或る態様において、本方法は、適応及び/または報酬を、認知領域と身体領域の両方に対するパフォーマンスに結び付けられることによって相克を防止する。これは、過去の訓練アプローチには無い有利な特徴である。
【0090】
認知を増強するためのアプローチは、自己誘導式訓練セッションを含む。しかし、自己誘導式訓練は、訓練を受ける人に、進行状況を追跡し訓練の有効性を最大にするために、フィードバック及びパフォーマンスに基づいた難易度レベルの適応を提供することができない。本開示の方法は、訓練を受ける人にパフォーマンスに基づいた適応(また任意選択で、フィードバック)を提供することによって自己誘導式アプローチの欠点を補い、それにより、本開示の方法は、自己誘導式アプローチと比較して、認知を増強することにおいてより有効であり得る。
【0091】
以下の例は、制限としてではなく例証として提供される。
【実施例0092】
実験
実施例1
以下には、具現化認知タスクを提示し、タスクの認知的及び身体的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスを評価し、認知的及び身体的コンポーネントに対する対象のパフォーマンスに基づいてタスクの難易度レベルを適応させる、本開示の一実施形態による例が提供される。この例において、具現化認知タスクは、ビデオゲームとして提示され、対象の動きが、Microsoft Kinectモーションキャプチャデバイスを使用して検出される。
【0093】
対象は、85”プラズマTVの前に立つ。対象は、Polar H1心拍数センサ等の心臓モニターを装着する。ゲームは、対象を動機付けするストーリー及び挑戦で展開する。次に、対象は、ウォームアップのセットを行って、心拍数を上げ、筋肉を伸長させる。この後、対象は、閾値化ゲームを行い、彼/彼女の中心位置から様々な距離に現れる標的により、知覚的挑戦に対する彼/彼女の応答時間を評価する。対象は、標的がどれほど遠くに現れるかに応じて、左右に手を伸ばす、上下に手を伸ばす、左右に突進する、かつ/またはジャンプする/かがむ必要がある。閾値化データを使用して、ゲームの開始レベルを導く。
【0094】
ゲームが始まると、4分カウンタが、第1のセッションについて時間をカウントダウンし始める。この特定のモジュールは、認知的コンポーネントについて選択的注意及びタスク切換え、また、身体的コンポーネントについて有酸素運動の課題を与える。対象は、スクリーンの中心に現れるキューについて意思決定する。この例では、キューは色のついた(例えば、青または緑)標的である、または、キューは或るタイプの野菜(例えば、ダイコンまたはニンジン)である。数秒後、標的のセット(青円、緑円、ダイコン、ニンジン)が対象の周りに現れる。対象は、キューが出された標的に出来るだけ迅速かつ正確に手を伸ばす必要がある。その後、対象は、中心位置に戻り、次のキューが現れる。
【0095】
対象のパフォーマンスに応答してゲームを変更する3つの適応的ループが存在する。彼/彼女が中心位置からより速く離れるにつれて、知覚決定はより難しくなる。例えば、複数の色が一緒に姿を現し、複数の野菜が一緒に姿を現す。彼/彼女が成功裡に最後までやり遂げ、(事前閾値化プロシージャによって確立された)所定の期間以内に標的をヒットするにつれて、彼/彼女がそれを行わなければならない時間が減少する。対象の心拍数が、ゲームが開始する前に設定されたレベル(例えば、120~140bpm:対象の心拍数最大の70%~80%を決定するため、所定のVO2Maxを使用して確立された)より低いままであれば、標的が現れる中心からの距離は増加する。対象の心拍数目標に達すると、標的はそれ以上遠くに移動せず、心拍数目標を超える場合、中心からの標的の距離は減少する。対象は、こうして4分間ゲームを行い、統合されたゲームプラットフォームとして提示される具現化認知タスクに関して、認知的にかつ身体的に自分自身に適応的に挑戦する。4分後、対象は、休憩をとり、また、任意選択で、同じまたは異なる認知的及び身体的挑戦を有する次のモジュールを始める。
【0096】
実施例2
認知的及び身体的訓練は、認知制御能力にポジティブな影響を示した。認知及び身体の同時訓練が認知的利益を増強することになると本発明者等は仮定する。これをテストするため、ビデオゲームメカニクス、モーションキャプチャ用のKinect、及び心拍数モニターを使用してこれらの訓練アプローチを組合せる「脳身体トレーナ」(「BBT:Brain-Body Trainer」)を、本発明者等は開発した。
【0097】
健康な若年成人が、訓練調査(n=6)及び期待適合対照群(n=10)のために採用された。各参加者は、訓練の前及び後に、認知的及び生理的検査を終了した。BBT参加者(5人の女性、1人の男性)は、8週にわたって1時間の長さの24のセッションの間、訓練した。プラセボ参加者(6人の女性、4人の男性)は、6週にわたって15時間の間、訓練した。BBTは、3つのモジュールに分割され、それぞれは、異なる認知制御の局面(注意力、目標管理、作業記憶)を訓練し、それぞれは、4分間隔について実行された。この実施例において、第1のモジュールは、注意能力用の視覚的探索タスクに関与した。第2のモジュールは、作業記憶用の空間スパンタスクに関与した。第3のモジュールは、目標管理能力用のタスク切換えパラダイムに関与した。認知タスク難易度は試行ごとに適応され、一方、身体的タスク難易度はリアルタイムに、この例では、リアルタイム心拍数測定値に基づいて適応された。
【0098】
視覚的探索モジュールの間、参加者は、指示キューによって指示されたら、自分の個別の閾値期間以内に自分の左/右に手を伸ばすように求められた。参加者はまた、同じ状況下で上/下に手を伸ばすように求められた。ただし、上/下の標的に手を伸ばすときは、参加者はまた、自分の心拍数レベル及び自分のVO2Max規定フィットネスレベルによって決定される指定期間の間、足踏みするように求められた。タスク切換えモジュールの間、参加者は、指示キューによって指示されたら、自分の個別の閾値期間以内に自分の左/右/上/下に手を伸ばすように求められた。参加者の心拍数レベルに応じて、これらのいずれかの方向に参加者が手を伸ばすように要求された距離が変化した。すなわち、参加者が、自分の理想的な心拍数より低かった場合、要求される距離は増加した(また、その逆も同様である)。作業記憶モジュールの場合、参加者は、どの標的に向かって参加者が手を伸ばす必要があるかを指示された。遅延期間後に、参加者は、記憶から標的のそれぞれを思い出し、それに手を伸ばすことを求められた。参加者の心拍数レベルに応じて、これらのいずれかの方向に参加者が手を伸ばす必要があった距離が変化した。すなわち、参加者が、自分の理想的な心拍数より低かった場合、距離は増加した(また、その逆も同様である)。
【0099】
訓練調査からの身体的及び認知的成果は、
図4及び5にそれぞれ示される。
図4、パネルAに示すように、BBTとプラセボ群との間に、収縮期血圧と拡張器血圧との有意の差が観測された(
*=p<0.05)。
図4、パネルBに示すように、BBTとプラセボ群との間に、垂直ジャンプ高さに有意の差が観測された(
*=p<0.05)。
【0100】
認知的成果に関して、BBTとプラセボ群との間に、作業記憶タスクによって決定された、ポジティブな認知的改善を示す参加者のパーセンテージの有意の差が観測された(
図5、パネルA)(
*ボックス内=有意の対応t検定)。作業記憶タスクの場合、BBT参加者は、訓練前と比較して訓練後に反応時間の有意の減少を示した(
図5、パネルB)(
*=p<0.05)。
【0101】
上記発明が、明白な理解のために例証及び例として或る程度詳細に述べられたが、添付特許請求項の精神及び範囲から逸脱することなく、或る変更及び修正がそれに対して行われてもよいことが本発明の教示に照らして当業者に容易に明らかである。
【0102】
したがって、上記は本発明の原理を示すだけである。明示的に述べられないまたは本明細書に示されないが、本発明の原理を具現化しかつ本発明の精神及び範囲内に含まれる、種々の配置構成を当業者が考案できるであろう。更に、本明細書で記載される全ての例及び条件の記載は、本発明の原理、及び、当技術分野を推進することに対して発明者等によって寄与される概念を読者が理解することを補助することを主に意図され、また、具体的に記載されるこうした例及び条件に対する限定がないものとして解釈される。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態ならびにその特定の例を記載する本明細書の全ての陳述は、その構造的等価物と機能的等価物の両方を包含することを意図される。更に、こうした等価物が、目下のところ知られている等価物及び将来開発される等価物、すなわち、構造によらず、同じ機能を実施する、開発される任意の要素を含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書で示され述べられる例示的な実施形態に限定されることを意図されない。むしろ、本発明の範囲及び精神は、添付特許請求の範囲によって具現化される。
本開示の方法は、コンピュータ実装式であってよい。したがって、本開示の態様は、本開示の方法を実施するためのコンピュータ可読媒体及びシステムを含む。例えば、非一時的コンピュータ可読媒体が提供され、非一時的コンピュータ可読媒体は、本明細書で述べる方法のうちの任意の方法をコンピュータシステムに実行させるための、その上に記憶された命令を含む。こうした非一時的コンピュータ可読媒体を含むシステムもまた、提供される。
[本発明1001]
認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを対象に提示する段階、
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスを評価する段階、ならびに
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスに基づいて前記具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階
を含む、方法。
[本発明1002]
前記具現化認知タスクが、ディスプレイコンポーネントを介して前記対象に提示される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記ディスプレイコンポーネントが、テレビジョン、モニター、高品位テレビジョン(HDTV)、投影スクリーン、及びヘッドアップディスプレイ(HUD)からなる群から選択される、本発明1001または本発明1002の方法。
[本発明1004]
前記具現化認知タスクがビデオゲームである、本発明1001から1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記認知的コンポーネントが、作業記憶、注意力、タスク切換え、目標管理、標的探索、標的識別、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の認知能力を標的にする、本発明1001から1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、本発明1001から1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する反応時間を示す、本発明1006の方法。
[本発明1008]
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する応答精度を示す、本発明1006または1007の方法。
[本発明1009]
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、本発明1006から1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、本発明1006から1008のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、本発明1010の方法。
[本発明1012]
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の神経活動を検出することによって評価される、本発明1001から1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
前記神経活動が、脳波記録法(EEG)、近赤外分光法(NIRS)、光学的撮像、機能的磁気共鳴撮像(fMRI)、及びその任意の組合せからなる群から選択される神経活動検出法を使用して検出される、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記身体的コンポーネントが、前記対象の有酸素エネルギー生成能力、バランス、柔軟性、協調、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の身体能力を標的にする、本発明1001から1013のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、本発明1001から1014のいずれかの方法。
[本発明1016]
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、本発明1015の方法。
[本発明1018]
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、本発明1017の方法。
[本発明1019]
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の生理学的測定値を検出することによって評価される、本発明1001から1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
前記生理学的測定値が、心拍数、心拍数変動、VO
2
Max、電気皮膚応答(EDR)、瞳孔応答、及びその任意の組合せからなる群から選択される、本発明1019の方法。
[本発明1021]
前記対象が、注意欠陥多動性障害(ADHD)、外傷性脳損傷(TBI)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、物質依存障害(SDD)、うつ病、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、及び統合失調症からなる群から選択される認知障害を有する、本発明1001から1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
前記対象が健康な対象である、本発明1001から1020のいずれかの方法。
[本発明1023]
前記健康な対象が、就学前、小児中期、10代初期、ティーンエイジャー、若年成人、中年成人、及び高齢者からなる群から選択される年齢群からのものである、本発明1022の方法。
[本発明1024]
前記対象の認知を増強する、本発明1001から1023のいずれかの方法。
[本発明1025]
対象における認知障害を処置する方法であって、
前記対象における前記認知障害を処置するために、
認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを、認知障害を有する対象に提示する段階、
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスを評価する段階、ならびに
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスに基づいて前記具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階
を含む、前記方法。
[本発明1026]
前記認知障害が、注意欠陥多動性障害(ADHD)、外傷性脳損傷(TBI)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、物質依存障害(SDD)、うつ病、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、及び統合失調症からなる群から選択される、本発明1025の方法。
[本発明1027]
前記具現化認知タスクが、ディスプレイコンポーネントを介して対象に提示される、本発明1025または本発明1026の方法。
[本発明1028]
前記ディスプレイコンポーネントが、テレビジョン、モニター、高品位テレビジョン(HDTV)、投影スクリーン、及びヘッドアップディスプレイ(HUD)からなる群から選択される、本発明1027の方法。
[本発明1029]
前記具現化認知タスクがビデオゲームである、本発明1025から1028のいずれかの方法。
[本発明1030]
前記認知的コンポーネントが、作業記憶、注意力、タスク切換え、目標管理、標的探索、標的識別、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の認知能力を標的にする、本発明1025から1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、本発明1025から1030のいずれかの方法。
[本発明1032]
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する反応時間を示す、本発明1031の方法。
[本発明1033]
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する応答精度を示す、本発明1031または本発明1032の方法。
[本発明1034]
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、本発明1031から1033のいずれかの方法。
[本発明1035]
前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、本発明1031から1033のいずれかの方法。
[本発明1036]
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、本発明1035の方法。
[本発明1037]
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の神経活動を検出することによって評価される、本発明1025から1036のいずれかの方法。
[本発明1038]
前記神経活動が、脳波記録法(EEG)、近赤外分光法(NIRS)、光学的撮像、機能的磁気共鳴撮像(fMRI)、及びその任意の組合せからなる群から選択される神経活動検出法を使用して検出される、本発明1037の方法。
[本発明1039]
前記身体的コンポーネントが、前記対象の有酸素エネルギー生成能力、バランス、柔軟性、協調、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の身体能力を標的にする、本発明1025から1038のいずれかの方法。
[本発明1040]
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、本発明1025から1039のいずれかの方法。
[本発明1041]
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、本発明1040の方法。
[本発明1042]
前記対象の前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、本発明1040の方法。
[本発明1043]
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、本発明1042の方法。
[本発明1044]
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の生理学的測定値を検出することによって評価される、本発明1025から1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
前記生理学的測定値が、心拍数、心拍数変動、VO
2
Max、電気皮膚応答(EDR)、瞳孔応答、及びその任意の組合せからなる群から選択される、本発明1044の方法。
[本発明1046]
対象を、認知障害を有するとして診断する方法であって、
認知的コンポーネント及び身体的コンポーネントを含む具現化認知タスクを対象に提示する段階、
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスを評価する段階、
前記認知的コンポーネント及び前記身体的コンポーネントのそれぞれに対する前記対象のパフォーマンスに基づいて前記具現化認知タスクの難易度レベルを適応させる段階、
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスを、認知障害についての認知的パフォーマンス閾値と比較する段階、ならびに
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記認知障害についての前記認知的パフォーマンス閾値より小さいときに、前記対象を、認知障害を有するとして診断する段階
を含む、前記方法。
[本発明1047]
前記認知障害が、注意欠陥多動性障害(ADHD)、外傷性脳損傷(TBI)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、物質依存障害(SDD)、うつ病、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、及び統合失調症からなる群から選択される、本発明1046の方法。
[本発明1048]
前記具現化認知タスクが、ディスプレイコンポーネントを介して対象に提示される、本発明1046または本発明1047の方法。
[本発明1049]
前記ディスプレイコンポーネントが、テレビジョン、モニター、高品位テレビジョン(HDTV)、投影スクリーン、及びヘッドアップディスプレイ(HUD)からなる群から選択される、本発明1048の方法。
[本発明1050]
前記具現化認知タスクがビデオゲームである、本発明1046から1049のいずれかの方法。
[本発明1051]
前記認知的コンポーネントが、作業記憶、注意力、タスク切換え、目標管理、標的探索、標的識別、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の認知能力を標的にする、本発明1046から1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、本発明1046から1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する反応時間を示す、本発明1052の方法。
[本発明1054]
前記対象の前記身体の動きが、前記具現化認知タスクの前記認知的コンポーネントに対する応答精度を示す、本発明1052または本発明1053の方法。
[本発明1055]
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、本発明1052から1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、本発明1052から1054のいずれかの方法。
[本発明1057]
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、本発明1056の方法。
[本発明1058]
前記認知的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の神経活動を検出することによって評価される、本発明1046から1057のいずれかの方法。
[本発明1059]
前記神経活動が、脳波記録法(EEG)、近赤外分光法(NIRS)、光学的撮像、機能的磁気共鳴撮像(fMRI)、及びその任意の組合せからなる群から選択される神経活動検出法を使用して検出される、本発明1058の方法。
[本発明1060]
前記身体的コンポーネントが、前記対象の有酸素エネルギー生成能力、バランス、柔軟性、協調、及びその任意の組合せからなる群から選択される前記対象の身体能力を標的にする、本発明1046から1059のいずれかの方法。
[本発明1061]
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の身体の動きを検出することによって評価される、本発明1046から1060のいずれかの方法。
[本発明1062]
前記身体の動きが、前記対象の身体上に装着されたモーションセンサを使用して検出される、本発明1061の方法。
[本発明1063]
前記対象の前記身体の動きが、モーションキャプチャデバイスを使用して検出される、本発明1061の方法。
[本発明1064]
前記モーションキャプチャデバイスが深度カメラを含む、本発明1063の方法。
[本発明1065]
前記身体的コンポーネントに対する前記対象のパフォーマンスが、前記対象の生理学的測定値を検出することによって評価される、本発明1046から1064のいずれかの方法。
[本発明1066]
前記生理学的測定値が、心拍数、心拍数変動、VO
2
Max、電気皮膚応答(EDR)、瞳孔応答、及びその任意の組合せからなる群から選択される、本発明1065の方法。
[本発明1067]
非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶された、本発明1001から1066のいずれかの方法をコンピュータシステムに実行させるための命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
[本発明1068]
本発明1067の非一時的コンピュータ可読媒体を含む、コンピュータシステム。